♦ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
CONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧西ドイツはCarl Zeiss製標準レンズの中から・・
CONTAREX版向け50mm/f2」に限定した括りで捉えると26本目にあたります。それらの中でシルバー鏡胴モデルだけでカウントすると12本目になり、超希少なシルバー鏡胴のブラックバージョンモデルが僅か1本のみ、さらに鏡胴内部にフラッシュマチック機構を内蔵したBlitz“モデル13本のままと言う状況です。

これらの中には当方がこだわって『疑似マクロ化』に挑戦した個体を7本含んでおり、さらにシルバー鏡胴ながらも鏡筒が黄銅材だったおそらく初期の製産個体3本含みます。

今回シルバー鏡胴モデルを扱うに際し、今までこのブログで考察してきた内容をザックリ考えていた時「鏡筒が黄銅材で用意されていたり、光学系の光学硝子レンズが、黄銅材でモールド一体成型されていた個体」に対し、その考察が不十分だったことにフッと気づいたのです(汗)

それは「製造番号の事前割り当て制」の法則を見落としていたからです(汗) 製品として供給される個体の製造番号は、製産時点にその製産ライン内で必ずしも意識していなかったとの受け取り方が当方の持論です。

これは今になってオールドレンズの製造番号をチェックする時、同型モデルに限定していながらもその製造番号の全ての桁数を「シリアル値」として捉えて昇順に並べてみた時に「モデルバリエーションの前後が入り混じってしまう不合理性に突き当たる」問題に遭遇する場合が
多い点を指して、当方では「必ずしも製産ラインの中で製造番号は認識されていなかった」とみています。

逆に言うなら「製造番号を製品の何処に刻印していたのか???」が問題になり、とても多くのオールドレンズで採用している「レンズ銘板の途中に刻印する手法」を例として考えた時、それは「製産ラインの最後の工程で検査も終わった梱包直前の時点で、製造番号が刻印されているレンズ銘板をネジ込んで仕上げていただけ」とすれば、検査を通過して化粧箱に収められていく個体の製造番号が「必ずしもシリアル値を執らない」話の道理がとおります(笑)

例えばライカ製オールドレンズの製造番号台帳を調べてみただけでも、1年の中で製産していたモデルバリエーションは複数モデルに渡り、その際割り当てていた製造番号は・・今回扱う旧西ドイツは、Carl Zeiss製「CONTAREX版向け50mm/f2」の発売時期たる「1959年」単年度だけで製産状況をチェックしてみても・・同じ標準レンズ域のモデルだけでも「SUMMILUX 50mm/f1.4」に「ELMAR 50mm/f2.8」や「FOCTOR 50mm/f4.5」他に「SUMMICRON 50mm/f2.0」もあり、さらにその中の1つのモデルだけを取り上げてみても年度内で複数回に渡り、非連続的に製産していた記録が掴めます。

するとこの考察を進める時、工場の製産ラインが1つの単発だったのか、複数ラインが並行的に進められていたのかまで調べていませんが、いずれにしても最終工程で箱詰めされる時に
ネジ込んでいたレンズ銘板には「既に製造番号が刻印されていたのは間違いない」とすれば、それは「自ずと製造番号の事前割り当て制」以外の何物でもないことの査証としか言いようがありません(汗)・・そのような写真を今までに見たことはありませんが、妄想するなら、製造番号が刻印されて仕上がっている「レンズ銘板」だけが複数並べられている中から一つを取り出して、検査終了した個体にネジ込んでいる光景が浮かんできます(笑)

このような考察から、今回のモデル「CONTAREX版向け50mm/f2」に限定した内容で考え直すと、実は「製造番号の先頭3桁が管理番号になり、それ以降がシリアル値4桁 xxxx を
示す
」と認識できます(汗)

今まで当方が扱ってきた個体だけを例として挙げるなら、「CONTAREX版向け50mm/f2」に限定した時「236xxxx ~ 237xxxx」と連番で続くと思いきや「261xxxx」と飛び、さらに「317xxxx / 324xxxx / 334xxxx / 370xxxx / 407xxxx / 450xxxx / 480xxxx / 494xxxx」と言う連番にならず飛びまくる状況になり、これらの
中で赤色文字の先頭番号だけが「黄銅材の鏡筒、或いは黄銅材による一体モールド成形の光学硝子レンズ」でした。

逆に言うなら、他の先頭3桁はアルミ合金材だけで造られており、黄銅材パーツが存在せず、そもそも光学硝子レンズは格納筒内への落とし込みだけで設計してあり、モールド一体成型の光学硝子レンズが存在しないことを確認しています。

従って光学硝子レンズの「ガラスレンズ単体落とし込み格納方式」と「黄銅材による一体モールド成形処置後の落とし込み方式」という、2つの手法と設計の相違が製造番号を昇順に並べていった時に、まるで混在してしまっている状況に不合理性を感じ取り、そのようにコストをかけたりかけなかったりの根拠が見つからないとの疑念が湧いた次第です(汗)

↑上の写真は以前扱ったCONTAREX B-Planar 50mm/f2 “Blitz (CRX)』のブログ掲載写真からの転用です。本来格納筒は同じアルミ合金材削り出しで用意されるものの「内外全てに濃い紫色のメッキ加工」であり (上の写真第3群のように、内側がシルバーなアルミ合金材の
むき出しにならない
)、且つ光学系後群側要素にあたる「光学系第3群と第4群が格納筒の中に落とし込み」で入れられ、第4群の上に締付環をネジ込み締め付け固定してから後玉 (第5群) を乗せて、最後に締付環のネジ込みという設計です。

これは格納筒内部に「黄銅材で一体モールド整形されている各群を落とし込んで格納していく方式」だからこそ、その格納時の平滑性を担保する目的から「格納筒の内壁は平滑仕上げで、
陽極アルマイト仕上げを施していた
」とみています。

そのように考えた時、既に合理化が進んでいる製産ラインを用意していた中で、いったいどうして突然このような、黄銅材モールド一体成型の光学硝子レンズを用意してまで (コストと労力を費やして) 全く別の製産ラインを間に組み入れる必要があったのかという点について、納得できる説明が成り立ちません(汗)

それ故、製造番号は全ての桁が完全シリアル値を採らず、且つ先頭から複数桁が「管理番号」として扱われ、その管理が「製造番号事前割り当て制」に則るなら「直接前後の管理番号にかち合わないよう、計画的に管理番号を幾つかの塊で捉えていれば、モデルバリエーションの中で新旧のタイプが互いに混在していく道理になる」との結論です。

これは或る単年度に於ける「需要と供給」の齟齬を可能な限り低減させ、企業利潤の追求に精度を高める (つまり機会ロスを減らしていく) なら、至極自然な経営手法/製産手法とも指摘でき、理にかなった生産体制の一つと当方は考えています。

従ってよくネット上で製造番号を並べて考察している時に「新旧モデルバリエーションが混在してしまう」状況に、誰一人考察を深めようとしないのがとても不思議ですが (製造番号事前割り当て制を誰も言わない)(笑)、今回の当方のように意外にも見落としがちな要素だったりするのかも知れません(汗)

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話が長くなりましたが、今回のこのブログ掲載では「CONTAREX版向け50mm/f2」に限定し「光学系の変遷についてもう一度考察してみる」ことを主眼として解説していきます。

今回扱うCONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》の装着先フィルムカメラは、1959年に旧西ドイツはZeiss Ikonから発売された高級一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTAREX I型」です。

全モデルで捉えてもその製産台数が僅か約55,000台のようなので (wikiより)、高額さ故に世界中の富裕層にしか売れていなかったことが窺えます(汗)

大きな円形窓が軍艦部に備わりますが、TTL方式ではないものの、円形窓の中に組み込まれている「硫化カドミウム測光素子を使うCdSセル方式」により、ゆっくりにしてもとても高い精度で測光でき、且つそれに連動し絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方を自動制御する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラであり、この
円形窓の様相を呈して「Bullseye (ブルズアイ:射撃の的)」と呼ばれています(汗)

↑1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、発売当初は
焦点距離21㎜〜1,000㎜まで揃えており、その本気度の違いすら感じます。

↑1959年発売当初の製品版「CONTAREX I型」に同梱していた取扱説明書をめくると、今回扱うCONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》の欄で光学系構成図を見る
ことができます (上の図はその抜粋)。典型的な4群6枚ダブルガウス型光学系構成です。

↑さらに上の図は1961年に印刷されていた「CONTAREX I型」製品カタログからの抜粋で「Planar 50mm/f2」装着状態の「Bullseye」カット図です。ところが今回改めてよ~く調べたところ、このカット図が (カラー印刷ではないものの) 一つ前にご案内した発売当初に同梱していた取扱説明書の別ページにも、上のカット図と100%同一な図が載っていたのです。
(当方がちゃんと調べずに見落としていました)

・・ここで一つの疑問が湧かなければイケマセン(笑)

いったいどうして同じCONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》なのに、いえもっと言うなら、同じ取扱説明書のページ同士で「異なる光学系構成図を載せているのか?」になります(汗)

そこで今一度冷静な気持ちになって、一つ前の取扱説明書解説を和訳してみました・・・・、

Planar レンズは、今世紀初頭にまで遡る Carl Zeiss の方式に基づいており、それ以来、光学的および機械的に数え切れないほどの改良が加えられてきま
した。その結果、Contarex 用の現在の f/2、50mm Planar レンズは、現代
レンズ設計の究極を表しています。

他の優れた特性の中でも、このレンズは、フィールド全体にわたって均一で
非常にシャープな解像度を備えた非常に平坦な画像を生成します。球面収差と色収差の優れた補正とコントラストの適切なレンダリングにより、カラー及び白黒写真の理想的な標準レンズとなっています。標準の Contarex マウントでは、12インチ (30cm) まで焦点を合わせることができます。

すると驚いたことに (当方がちゃんと説明文を読まずに、構成図ばかり見ていた為に) 異なる
光学系構成図を載せている背景を匂わせる説明だったのです(笑)

・・そうなのです! 20世紀初頭までに発明された「4群6枚プラナー型光学系」についてちゃんと明示しつつ、そこからさらに改良を加えて製品化された標準レンズであることが明記されていました(汗)

つまりこの説明書きの左横に載っている4群6枚ダブルガウス型光学系は、ドイツ人物理学者/数学者/レンズ設計者Paul Rudolph (パウル・ルドルフ)」博士が1896年に発案した特許出願申請書GB189627635A (1896-12-04)』(英国内務省宛申請) 「プラナー型光学系」からの、Carl Zeiss内光学設計開発局に於ける発展系を載せていることが分かりました(汗)

まさに現在でもなお通用している「Carl Zeissに於いて、初めてクイックリターンミラー内蔵一眼 (レフ) フィルムカメラ向けに製品化された、プラナー型光学系を実装した標準レンズ」である点を以て、その査証になりました (いやいや、ちゃんと読まなければダメでしょ、ハイ)(笑)

↑上の図はその1896年に開発された「プラナー型光学系」からのCarl Zeiss内に於ける発展として特許出願申請書をピックアップしました。

GB189627635A (1896-12-04)』(英国内務省宛申請)
発明者:Paul Rudolph (パウル・ルドルフ)」
CH320405A (1953-03-17)』(スイス特許庁):
発明者:Johannes Berger (ヨハネス・ベルガー)、Günther Lange (グンター・ランゲ)
US2831397A (1955-02-15)』 (米国特許庁)
発明者:Johannes Berger (ヨハネス・ベルガー)、Günther Lange (グンター・ランゲ)
CH367998A (1957-06-13)』(スイス特許庁):
発明者:Johannes Berger (ヨハネス・ベルガー)、Günther Lange (グンター・ランゲ) Dr.

Paul Rudolph (パウル・ルドルフ)」による1896年考案「4群6枚ダブルガウス型光学系 ()」を基に、旧西ドイツはoberkochenを本拠地とするCarl Zeiss社内にて、特に光学設計開発局の中で Johannes Berger (ヨハネス・ベルガー)と、Günther Lange (グンター・ランゲ) 2人主体のチームが手掛けたのダブルガウス型光学系が、まさにCarl Zeissでのプラナー型基本形を形成していたのが窺えます。

そしてこそが今回扱う「CONTAREX版向け50mm/f2」の実装光学系の原型を成すことが
分かります・・ここに来てようやく製品版に組み込まれている光学系との整合性に感じ入り、納得に到達できた印象です (遅すぎるって)(汗)

ちなみに一番右端のは、少しだけ早めの1957年に発売されていたレンジファインダーカメラ「Contaflex IV」向け光学系の特許出願申請書です。ヘリコイド方式を採り入れて、且つ「光学系前群側を交換式とした斬新的なモデル」であり「Satz-Planar 50mm/f2」に対し
前群側に「Satz-Planar 35mm/f4」を提供する概念を発案実施しています。
(後群側だけカメラ側に残り、前群を交換することで3つの焦点距離に対応できた)

この時発売された製品のほうでは (量産化モデルは) Planar銘、及びその光学設計を採らず「Tessar銘とその光学系を基本にした」ようなので、標準装備は「Tessar 50mm/f2.8」としているようです。

結果、最終的にこの開発案件の設計概念を引き継いだのが/寄与したのがCONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)』登場背景だったようであり、特に絞りユニットを挟んだ前後群の基本成分に対する考察が窺えるように考えます。

右構成図は、上に挙げた特許出願申請書の中から今回扱ったモデルの原型にあたる US2831397A (1955-02-15)』 (米国特許庁) 図面掲載の構成図から、当方の手によりトレースした図です。

後群側第3群~第4群の貼り合わせを分離させて単独にしています。

さらに右構成図は前のほうで説明した発売当初の「CONTAREX I型」同梱取扱説明書の中から、プラナー型光学系の背景を解説していた
ページからトレースしています。

この構成図をどんなに拡大しつつチェックしても「後群側第3群と
第4群は互いに接着しているようにしか、線画が引かれていない
(太さが変わらない)」点を以て、初めて今回貼り合わせレンズと確信を持ちました(笑)

だからこそ説明の内容がストンと自分の頭の中に落ちてきたような印象を覚えました(笑)

逆に同じ取扱説明書の別ページに掲載されていたカット図のほうは、最大値まで拡大してトレースしていくと「第3群と第4群は分離していて単独であり (接着していない/極僅かな空間を挟んでいる) 互いに曲がり率を有している」ことが判明しました。つまり「まさに特許
出願申請書の発案に近い構成と内容
」と言う話になります(驚)

後群側第3群と第4群との間には、最大値まで拡大すると明確に「明暗の違いをちゃんと含んだ線画の描写が印刷されていた」事実を視認でき、ここがバルサム剤で接着していない「僅かな隙間の空間」であることを示していました。さらに第4群光学硝子レンズのカタチで、裏面側 (つまり第3群側) が一直線の平坦ではないことも掴め、第3群と互いに空間を挟んで均等の同心円状に曲がり率を有することが分かりました(汗)

説明を読まずに構成図だけ見て思い込んでおり「後群側も貼り合わせレンズの、典型的な4群6枚ダブルガウス型光学系」との認識でこのカット図すら見誤っていました・・恥ずかしい。

そして右構成図が、今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子
レンズを計測したトレース図です。

同様後群側第3群と第4群の間に僅かな空間を挟み、互いに曲がり率を有するものの、その空間を挟んだ曲がり率が異なり「第4群裏面側の曲がり率のほうがより高い (つまり凸メニスカスの中心部の空間が最大値を採っている)」ことも実測で判明しています

さらにその後1967年に追加発売した「Flashmatich (フラッシュマチック機構)」を装備した “Blitz (ブリッツ) ” と呼ぶ標準レンズ・・
B-Planar 50mm/f2 (black) (CRX)」が登場します。

以前扱った際のトレース図で、最短撮影距離38cmと後退している為、光学系は再設計されています。

ところが今回の冒頭解説のように、自身の考察を改めたことから見えてきた「黄銅材によるモールド一体成型」を根拠とした、初期ロットの “Blitz” との憶測が初めて見えてきました(汗)

つまり同じ製品仕様のままですが、このタイプの “Blitz” のほうが先に供給されていたものの、その製造番号が「494xxxx」だったことから、完璧に見誤ってしまいました (スミマセン)(恥)

要は1967年に追加発売した際、一番最初に出荷して流通していたタイプが右構成図の光学設計だったと、今回初めて納得しました (一つ前の構成図のタイプのほうが後の供給)(汗)

これら右に示した光学系構成図は、全て以前のオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い、逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図なので、例えば後群側第3群と第4群の間の空間までキッチリ正確にトレースできています

以上の考察から当方の認識/受け取りを更新しCONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)』の光学系設計は「1896年に発明されたプラナー型光学系の後群側貼り合わせレンズを分離させて、単独使用とした光学設計」との認識が最も自然なのだと・・今回改めて反省です(汗)

以下の仕様一覧、光学系構成表記も・・変更しました。

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。具体的なオーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

 

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
距離環が∞刻印を過ぎた3目盛半ほどで完全固着して停止したまま微動もしない。
マウント部の爪が僅かに変形しているように感じる。
光学系内に僅かに塵/埃/汚れ状が確認できる。

《バラした後に新たに確認できた内容》
固着剤が相当古い時代の褐色系なるも、それは決して製産時点のモノではない。
ヘリコイドオスメスが完全固着しており、何をしても微動だにしない。
距離環ローレット (滑り止め) が空転している状態。
距離環の駆動域を決める「制限壁」の位置が28㎜ほどズレている。
それによりヘリコイドオスメスのネジ山が最後までカジリついてしまった。
黄褐色系グリースを塗布していたようだが、後に潤滑油を注入しているか???
その潤滑油のせいで油成分揮発が促されてしまい、完全固着の環境が整ってしまった。

・・とまぁ~、こんな感じです (のみがオーバーホール/修理のご依頼内容)。

確かにこのモデルの市場流通品に於いて明らかに確認できる瑕疵内容は、大きく2つあり・・
ヘリコイドの完全固着」と「光学系内のバルサム切れ」が近年の特徴的な傾向として掴めて
います。

バルサム切れのほうは当方でも幾つかの個体で一旦剥がしてから再接着している為、対処が
可能ですが、中には過去メンテナンス時に「二液性レジン液」を使い接着したような執拗に
頑固で、溶剤でも全く溶けないバルサム剤だった個体もありました(怖)

まさかマイナスドライバーで擦って削り落とすワケにもいかず、本当に何度も何度も光学硝子
レンズ専用工業用綿棒を使い、それこそ50本くらい消耗するレベルで擦り落としました(汗)

そもそも「二液性レジン液」を使うにも、ならばどうしてたかが5年前後で「雪の結晶」の
ように浮きが始まるバルサム切れが起きるのか、全く以て理解できません(汗) いったい何の
為に整備しているのか、その根拠に大きな疑念を抱きます(笑)

ましてや「反射防止黒色塗料」着色による厚塗りで光路長を僅かに逸脱してしまい、ピント
面の鋭さ感が僅かに足りないような (当初バラす前の実写確認) 甘い印象だったりします(笑)

さらにそれにプラスして近年多くなりつつあるのが「ヘリコイド固着」であり、特に過去メンテナンス時に「白色系グリース」を塗られていて、そこにプラスで数年後に「潤滑油」が注入されると、化学反応により凡そ1年~数年であっという間に完全固着します。

特にCarl Zeiss製CONTAREX版モデルの多くで「とても幅が広い直進キーを採用している」ことが影響して、塗布するヘリコイドグリースの種別によっては耐えられずに (潤滑性を維持できずに) 固着化へと突き進むように考えます(汗)

さらに指摘するならCarl Zeiss製CONTAREX版モデルの多くで「ヘリコイドオスメスのネジ山にはメッキが被せてある」ので、特に塗布するヘリコイドグリースの性質が問題になるのに、相変わらず「白色系グリース」に頼るばかりなので(笑)、結果的に5年前後で固着化の環境が整います・・これはそもそも「白色系グリース」の遊離性質が問題であり、例えば新しく購入した「白色系グリース」ですら、蓋を開けた時に既に透明な揮発油成分が遊離してヒタヒタになっていたりします(笑)

逆に言うなら、在庫として保管していた (どの程度の期間保管していたのか知りませんが) だけで揮発油成分が遊離している説明を「白色系グリース愛好家」の人達/勢力はちゃんと説明するべきですね(笑) もっと言うなら、どうして製産時点に「黄褐色系グリース」塗布を前提としていたオールドレンズにシリコーングリースたる「白色系グリース」を塗布する条件が整うのかまで、説明すべきですね(笑)

これらの話は以前取材させて頂いた金属加工会社社長さんからの質問時にも返答し、大凡正答していると教えて頂きました (ホッと一安心)。

↑4時間がかりでようやく解体できたヘリコイドオスメスと基台です(涙)

普通に「加熱処置」しただけでは120%の勢いで効果なく、さらに専用工具を駆使してヘリコイドのオスメスで互いに反対方向に回そうと試みるも、それすら微動だにしません(恐)・・「加熱処置」でチンチンに高温に至っていても、そのままに専用工具で回そうにも、溶剤を注入しようとも (注入した溶剤は瞬時にパチパチと跳ねて、あっという間に蒸発していきます)、
何をしても完全に効果なし!(涙)

せっかく3時間がかりでトライし続けたのだから、もう1時間くらいはいろいろ試してみるかと延長したところ、30分ほどで「わッ!1㎜動いた!」とまさにその微動を掴んでいた指が感じ取り、そこからが真剣勝負になりました(笑)

加熱処置」し続けながら、少しずつ溶剤を注入して1時間ほどで上の写真を撮影できました(涙)・・ホッと一安心。

・・バラしてしまえばコッチのものです(笑)

赤色矢印で指し示している箇所は、完全に角質化してしまった「潤滑油のせいでネジ端にまで追い出されてしまった、黄褐色系グリースの基剤成分」であり、この完全に固まってしまった分が、まるでエポキシ系瞬間接着剤の如く作用しています(怖)

さらにグリーン色の矢印で指し示している箇所に残る「波のような、液面のような痕跡」が「潤滑油」注入による揮発油成分ですが、そもそも先に塗布されていた古い「黄褐色系グリース」と重合反応してしまったのではないかとみています(汗)

その意味で、或る一時期にもしかしたら盛夏の際に陽が当たる場所か、温度が上がる場所にあったようにも感じますが分かりません。

多くのグリースで対応温度帯は「マイナス20℃プラス200℃」辺りは普通に対処できるようです。当方が使う「黄褐色系グリース」は、以前オーバーホール/修理ご依頼を賜ったオールドレンズで「マイナス40℃以下の環境まで、極限的に極寒の中に置かれていた個体」だったことが分かり、それ以降使用温度帯を広げて「マイナス40℃プラス260℃」で使えるヘリコイドグリースに変更しています (マイナス40℃以下まで対応するグリースは粘性も相当限定される)(汗)

するとこの辺りに「ロシアンレンズ」に使われる、あのドロッとした粘度で、非常に油成分が強い純正グリースの秘密が隠されていたのかも知れません(汗) 例えば日本国内でも特に北海道になると、観測史上最低値であるマイナス41℃を観測したことがあり (気象庁観測統計上の1902年旭川計測値)、まるで他人事になりません(汗)

例えば車の中のダッシュボードも含め、盛夏の日中に於ける車内温度は「80℃」まで上がるデータがJAFで示されていますから、すると例えばヘリコイドグリースは何とか耐えられるものの「光学系内の貼り合わせレンズに使うバルサム剤」が耐えられない場合があります(涙)

実際今現在ヤフオク!で「分解整備済」を謳いつつ、オールドレンズを出品している出品者の解説を読んだ時(笑)、その出品者はバルサム切れの際自分で一旦剥がして再接着する作業をしていますが、その時に使うバルサム剤の情報を安心材料として掲示していました(笑)

当方自身もバルサム切れ個体の光学硝子レンズを一旦剥離し自分で再接着しますが、その作業時に使うバルサム剤は相応にアッチコッチ探しまくったので、そんなバルサム剤があったのかと、試しにその管理データシートを製造メーカーから取り寄せてみると「65℃以上で重篤な重合反応を示す」と明記されており、とてもそんなバルサム剤を使う気持ちにはなりません(笑)
・・おそらく重合反応をちゃんと研究していないのではないでしょうか???(笑)

そんなこんなで今回の個体の完全固着を回して外す作業には、ほぼ4時間少々の時間を要し、凡そ800℃近くまでの高温度帯で処置した為、相当ヤバかったですね(怖)・・下手に薄いアルミ合金材や黄銅材のシム環などが入っていれば、変形や下手すれば少し溶けてしまいます(怖)

・・4時間、さすがに長かったです (冷やす時間も必要なので)(涙)

↑外したヘリコイドメス側と距離環ローレット (滑り止め) を順に並べています。

実はこのモデルはここまで解体できることが非常に少ないですから、今回の個体はラッキ~だったと言うか、もしかしたら過去メンテナンス時に既に一度外されていたのかも知れません。

と言うのも、このモデルの設計上/仕様上「締付環 (右)」はアルミ合金材削り出しの陽極アル
マイト仕上げ、且つ面取加工を1/3程度に敢えてワザと故意に抑えているパーツの為「この
締付環をネジ込んで締め付けていくと、相手が同じアルミ合金材削り出しだった場合、ほぼ
完璧固着して緩まなくなる
」ので、当方が扱ってきた多くの個体でローレット (滑り止め) は
上の写真のようにバラせません(汗)

しかも例えば今回のように「加熱処置」で高温度帯まで上げておきながら、カニ目レンチなどでチカラを入れて回そうものなら、あっという間に変形して「製品寿命」を迎えます(怖)

その意味で、ちゃんとこの「締付環」の固着が緩んできたのかどうかを探る手立てがある為、シッカリそれを活用しつつ少しずつ、本当に少しずつ処置していったので、必然的に時間を
要します(汗)・・が然し、前述のとおり「全くの完全固着」だった為、仕方ないが再び組み
上げて明日梱包して返却するかと、マジッで考えていたほどです(汗)

・・どこまで根気を詰めるのかが問われ続ける内容です (当方はすぐ挫けるタチ)(汗)

↑取り外したヘリコイドオス側と基台です。左側のヘリコイドオス側内側に備わる「直進キー
ガイドと言う幅広の溝
(グリーン色の矢印) 」に、右に並べた基台の「直進キー」が刺さるので
距離環を回した時の「回転するチカラ」がここで「直進動に即座に変換されて伝わっていく」から鏡筒が繰り出したり/収納したりの動きをする原理です。

すると一つ前のヘリコイドメス側含め、見れば一目瞭然ですが「ヘリコイドのネジ山はオスもメスも基台まで含めてメッキ加工されている」からこそ、このモデルに塗布するヘリコイドグリースの成分と配合に性質が大きく問われるのです(汗)

・・粘性軽めの白色系グリースを塗ればそれだけで良い、との考え方はシロウト丸出し(笑)

だからこそ数年で固着化が始まるので、リアルな現実に「どうしてこのモデルだけが固着して数多く流通するのか???」の説明をしてもらいたいですね(笑)

なお、このモデルの「直進キー」は「特殊設計」の為、ちゃんとそれを勘案しつつ処置を進めてオーバーホール工程を仕上げることは、当然ながら必須条件だったりしますね(笑)

↑無事、こんな感じで基台まで含めたヘリコイド群がネジ込み完了しました。もう既に無限遠位置の当たりをつけてあるので (当初バラす前の時点は、全く動かないので実距離で合焦点を探っても意味がない) このまま組み上げていけば良いだけです(笑)

逆に言うなら「ヘリコイドのネジ込み位置や、駆動域の範囲内で、どのように目安をつければ無限遠位置の合焦範囲に入るのかの原理原則を理解しているかどうかが問われる」のがオールドレンズの構造なので、たしかにマニュアルフォーカスで簡単な構造ですから「特に高い技術スキルも必要とせず」誰でもバラして組み立てできるものの、技術スキルが低い当方などは
それでも納得ずくで適切に組み上げられないことばかりだったりします(汗)

・・本当にとても多くの方々にご不満、ご不快を与えてしまい、申し訳ないばかりです(涙)

↑ここからの写真は以前オーバーホールした個体の撮影写真からの転載です (今回も同じ内容なので)。

上の写真に示すように「基台」に対し「制御環」は鋼球ボールに囲まれて回転するように設計されている仕様です。これはちゃんと理由があって「CONTAREX向けオールドレンズの全てのモデルが、カメラ側で絞り羽根開閉制御を行う (つまりオールドレンズ側には絞り環が備わっていない)」ワケですが、これを鋼球ボールだから必ず滑らかにスムーズに動くと信じ込んでいる整備者が居ます(汗)

するとご覧のとおり「基台制御環」の間には「小径の褐色鋼球ボール48個」と「大径のシルバー鋼球ボール24個」の合計72個の鋼球ボールが順番にセットされる事で「平滑な回転が実現」される原理です (グリーン色の矢印)。

当然ながら組み込む数から間に挟むのは「小径褐色の鋼球ボールが2個」なのは歴然ですが(笑)、その金属材の相違までちゃんと理解している整備者があまりにも少なすぎます(汗)

従ってこれら組み込む鋼球ボールの平滑性までシッカリ確認する作業が、意外にも絞り羽根開閉動作のポイントだったりしますが、この作業は結構面倒くさいです (なにしろ全部で72個あるし)(笑)

↑基台や鮮魚環まで含めたヘリコイド群全ての組み込みが終わると、こんな感じに仕上がります。もちろん既にこの時点でブルー色の矢印のような「制御環の動き」には一切の抵抗/負荷/摩擦を感じないのが必須ですし、当然ながらヘリコイドオスメスのトルク感も無限遠位置の
当たりつけも何もかも終わっている必要があります(笑)

実は「CONTAREX版向けモデル」だけは「観察と考察」ではなくて「原理原則」だけでこのような組立工程を進められる力量が求められるので(汗)、単にバラした時の逆手順にこだわって組み立てると、適切に仕上がりません(笑)

↑また今回の個体はグリーン色の矢印で指し示している箇所に締め付けられている「締付環」が外せたので、無限遠位置もピタリに合わせてあります(涙)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。もちろんご依頼内容であった「ヘリコイド完全固着」は100%改善できており、且つ距離環のローレット (滑り止め) を回す際のトルク感は、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

僅かにヘリコイドネジ山の擦れ感が強めですが、酸化/腐食/サビや固着箇所の『磨き研磨』を少々強めに処置した為 (トルク優先で軽く仕上げる為)、その結果が現れています・・申し訳
ございません。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑光学系後群側もスカッとクリアに戻り、極薄いクモリが皆無です。

↑9枚の絞り羽根もキレイになり、確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます (途中僅かに角ばるのは設計上からです)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」ですが、当方独自のヌメヌメッとした
シットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント
面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています (擦れ感僅か
に強め
)(笑)

無限遠位置は当方所有RICOH製「GXR」にLMレンズユニットA12を装着し、ピタリの
位置で∞刻印を合致させて組み上げています。アンダーインフでもオーバーインフでもあり
ません(笑)

↑特にご報告すべき瑕疵内容はありませんし、冒頭の気になっていた問題も全て改善済です。
要は単に当方の作業がチョ〜チョ〜大変だっただけです(笑)

マウント部の爪も確かにテーブル面に置くとカタコト歪んでいましたが(汗)、叩き込んで平坦に戻したので、現状一切問題ありません。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ピタリ位置の状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f2.0被写体までの距離49m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度24m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の50m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑マウントアダプタの絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮っています。

↑f値は「f5.6」に上がりました。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」になりました。

↑f値「f22」での撮影ですが、このモデルの製品上の仕様では「最小絞り値f22」になって
います。しかし装着しているマウントアダプタの絞り環がまだ回るので、この先まで絞り羽根が閉じる余裕が残っています。

↑マウントアダプタ側絞り環を最後まで回しきった突き当て停止位置で、簡易検査具で調べると「f32を超えているくらいの絞り値」に到達しています。

それでもまだまだ背景に微かなボケ味が確認でき「回折現象」の影響すら感じません。本当に銘玉中の銘玉で「当方の一番のお気に入りモデル」の一つです(涙)

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。本日日中に完全梱包の上、クロネコヤマト宅急便にてご返送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。