〓 LEITZ WETTZLAR (ライツ) SUMMILUX 50mm/f1.4《貴婦人:前期型》(LM)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、旧西ドイツは
LEITZ WETZLAR製標準レンズ・・・・、
SUMMILUX 50mm/f1.4《貴婦人:前期型》(LM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、巷で「貴婦人」と呼ばれ続けている「SUMMILUX 50mm/f1.4」の括りで捉えると3本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると僅か2本目です。

そもそもライカ製オールドレンズは非常に高額なので、当方のような何処のウマの骨だか分からない整備者モドキがフツ〜に扱えるシロモノではありません(怖)・・それで怖いので滅多に扱わない次第です(笑)

それにもかかわらず、このように貴重なオールドレンズのオーバーホール/修理をご依頼頂き、先ずはご依頼者様に感謝の念をお伝えしたいと思います・・ありがとう御座います!(涙)

年間で捉えても僅か数本レベルですが(笑)、当方にオーバーホール/修理ご依頼を頂ける方がいらっしゃいます。本当に気宇な方であり、それこそ御前に両手ついて平伏したい思いです(涙)
・・ありがとう御座います!

このモデルは巷では「貴婦人」と呼ばれているモデルバリエーションがありますが、その詳細や背景、或いは製造番号から捉えた調査結果などは以前扱った際のSUMMILUX 50mm/
f1.4《貴婦人》1st
(LM)』
のページがあるので、ご参照下さいませ。

↑上の写真は当初バラし始めている途中で撮影しています。鏡胴「前部」を抜いてから距離環を取り外したところを撮影しています。

ご覧のように「距離計連動ヘリコイド」も「空転ヘリコイド」もそもそも黄鋼製なので、経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びにより「焦茶色」に変質しています (赤色矢印)。

今回の個体の距離環ローレット (滑り止め) を取り外したところ、グリーンの矢印で指し示したとおりイモネジ用の下穴周囲に「黄鋼材の摩耗粉」がパラパラと附着していますが、このイモネジ用の下穴は単に距離指標値環を締め付け固定しているだけなので、どうして摩耗するのかがよく分かりません・・ちなみに指標値環のイモネジによる締め付け固定は1箇所だけです。

↑同じく当初原し始めている途中で撮影していますが、一つ前の写真の角度から少しズラして撮っています。グリーンの矢印で指し示したとおりヒタヒタ状態の経年に伴う揮発油成分が「パッと見で濡れているように見えるくらい多量」に附着しています(泣)

今回の個体が過去メンテナンスされたタイミングは、おそらく10年前後ではないかとみていますが、そもそも「ヘリコイド部に潤滑油を塗布」しているので、このように揮発油成分が液化して附着してしまいます(泣)

このように「潤滑油」を好んで多用する整備者と言うのは、当方の詮索では「フィルムカメラの整備が得意な整備者」に多く、逆にNikonやCanonなどのオールドレンズ専門の整備者のほうは「むしろ潤滑油の塗布は最低限にして避けたがる」傾向があるのを掴んでいます。それらNikonやCanonのオールドレンズバラしてみれば一目瞭然ですが、ちゃんと内部のヘリコイド部にはグリースを塗布しています (但し認定店の話で一般的な整備会社ではやはり潤滑油が多い)。

すると、これら経年の揮発油成分に働く「界面原理」から水分が引き留められて、酸化/腐食/錆びの促進に至りますから堪ったものではありません(涙)

↑こちらもバラしている途中で撮影していますが、距離環のローレット (滑り止め) です。赤色矢印で指し示した箇所には、このローレット (滑り止め) がアルミ合金材なので、やはり摩耗粉が溜まっています(泣)

さらにグリーンの矢印で指し示したとおり、距離計連動ヘリコイドが黄鋼材である事から「経年による酸化/腐食/錆びたる緑青」の附着まで確認する事ができます(泣)

・・当方のような小心者にはこのような緑青だけでショックモノです!(怖)

↑こちらは光学系後群格納筒から取り出した第3群〜第5群までの光学硝子レンズです。第3群だけが貼り合わせレンズですが、第4群と第5群は逆に黄鋼材の格納環に一体モールド成形されています (赤色文字)。

赤色矢印で指し示している箇所は、過去メンテナンス時に着色された「反射防止黒色塗料」の厚塗り部分が擦れていた擦れ痕ですが、写真がド下手なので上手く撮れていません(汗)

またグリーンの矢印で指し示した箇所には前述同様「黄鋼材の酸化/腐食/錆びが生じており一部に緑青が発生」している状況です(涙)

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く

コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない

グリーンの矢印で指し示している箇所は貼り合わせ面の凹みですが、着色されていません(汗) さらに赤色矢印で指し示しているのは鉛筆書きされたマーキングですが、当方が書いたのではありません(汗)

↑光学系第4群の黄鋼材による一体モールド成形ですが、赤色矢印で指し示しているのは「液化した揮発油成分が波打っていた痕」です (もう既に錆びている為白っぽくなっている)。

↑こちらも光学系第5群ですが後玉です。やはり一体モールド成形なので黄鋼材に既に緑青が生じまくり状態です (赤色矢印)(涙)

ちなみに、これら光学系後群側の「3つの光学硝子レンズは全て格納筒への落とし込み格納方式」なので、最後にこの後玉の周囲に「締付環」が1本だけ被さって、ネジ込む事で締め付け固定が適います。

ところがこの第5群後玉の黄鋼材格納筒のサビにより「締付環自体も錆びてしまい、外す際にキ〜キ〜音が凄かった」状況です(涙) 普通のチカラでは全くビクともしなかったので、仕方なく「加熱処置」を施しながら作業しましたが、それでも半周回すごとに「高音域のキ〜キ〜音」が鳴り響き、相当ヤバイ感じでした(怖)

上の写真を見ると分かりますが、格納筒が2段構えになっているものの、底辺の突出部分が緑青で錆まくりなのに対して中央部分は横方向に液体が付着していた痕跡が残っています。さらにその直上部分はやはり錆が出ていて酸化が進行してしまった分、変質しています・・つまり3つの酸化/腐食/錆びの状況がこれを見ただけで確認できるので、何十年も経過しているとのではなく「短期間で揮発油成分が液化していた/同時に水分が引き留められていた」痕跡として理解できます。

・・詰まるところ潤滑油のせいであり、せいぜい10年前後の話(涙)

おそらく過去メンテナンス時に潤滑油を注入して落とし込んでいたのだと思います・・何故なら、既に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが進んでいた中で「それら経年劣化を一切取り除かずに再び格納筒に落とし込んでいたから」と明確に指摘できますが、そもそも光学系の格納筒に潤滑油を塗ってしまう発想自体が信じられません(泣)

・・まぁ〜確かに組み上がってしまえば一切見えませんがねぇ〜(笑)

↑今度は光学系前群側を取り出して並べて撮っています。何やらキモイですが・・(笑)

赤色矢印で指し示しているとおり、やはり光学系第2群の貼り合わせレンズも側面に鉛筆書きされていました (当方が書いたのではありません)。またグリーンの矢印で指し示しているのは着色した「反射防止黒色塗料」の厚塗り部分です。

↑こちらは光学系第1群の前玉ですが、同様コバ端に「反射防止黒色塗料」が厚塗りされていましたが、取り出そうにもビクともせず、仕方なく「加熱処置」したものの、それでも取り出せずに、どうしようもないので「溶剤を流し込んだ」ところ、コバ端の塗料が溶け始めてようやく取り出せました(涙)

↑こちらもバラしている途中での撮影ですが、絞り羽根には油じみが生じており、ご覧のように密着しています (赤色矢印で指し示した箇所が濡れている状況)。

↑こちらは絞り羽根の上から被さる「開閉環」で黄鋼材で造られていますが、赤色矢印で指し示した箇所は既に酸化/腐食/錆びが生じています。同様側面も酸化/腐食/錆びが生じていて、一部には緑青もあります (グリーンの矢印)。

結局、これらサビが出ている箇所は刺さっている絞り羽根にも同じ箇所にサビが出てしまい変質しています(泣)

↑こちらは光学系前群格納筒でアルミ合金材で造られていますが、ご覧のように「反射防止黒色塗料」の溶けた分が流れています。

↑今度は光学系後群の貼り合わせレンズ用格納筒ですが、同様「反射防止黒色塗料」が擦っていた痕跡が残っています。しかしグリーンの矢印で指し示したように全周で着色している幅が違うので、当然ながらその分画抵抗/負荷/摩擦に変わります。

このような幅が違ってしまう所為は「ライカの製造工程ではあり得ない話」なのが歴然ではないでしょうか??? どうしてこういう所為が平気でできてしまうのか「整備者モドキたる当方でさえ???」です(笑)

要は「必要最低限」ではなく、何でもかんでも真っ黒に着色すれば「見てくれが良くなる」との思考回路だけでヤッているワケで、どんだけ「低俗な整備者なのか」がこれだけで一目瞭然です(笑)

然し・・このオールドレンズはズミラックスですョ!(驚)・・ソレ相手にこういう所為がフツ〜にできてしまうのですから「見えない世界」と言うのは、なかなか怖いモノですね(怖)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はSUMMILUX 50mm/f1.4《貴婦人》1st (LM)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑「貴婦人」と呼ばれるだけあって、本当に美しくステキな佇まいで、いつもながら惚れ惚れしてしまいます(涙)

↑オーバーホール工程の途中で撮影した写真ですが、ご覧のとおり「距離計連動ヘリコイド」も「空転ヘリコイド」も合わせて「直進キー」も全て経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びを完全除去したので、今回のオーバーホール工程では「むしろトルクを与えてシッカリした操作性でピント合わせできるように調整を施した」次第です。

従って、当初バラす前の確認時点で起きていた「ピント合わせ時にククッと微動してしまうピントのピーク/山を掴みづらい操作性」は改善済です(笑)

このようにピッカピカに磨き込んでしまえば、一番神経質な「空転ヘリコイド」さえも、その「封入環」含めてとても滑らかな平滑性が担保できているので、逆に「距離計連動ヘリコイド」のほうでトルクを与えてしまい「むしろ重く仕上げている」くらいがちょうど良いワケです(笑)

もちろんいつもの通り「直進キーには一切グリースなど塗らず」とも、ちゃんとヌメヌメッとしたシットリ感漂うトルク感で全域に渡り距離環の操作が適っています(笑)

・・あくまでも当方では見てくれよりも10年間気持ち良く使える事が最優先!

なので(笑)、過去メンテナンス時の整備者とは真逆の整備概念です・・そもそもプロでもはないですし、マニアにもなれなかった「モドキ」ですから、それ相応の覚悟はできています(笑) そんな当方でも、こうやってライカ製オールドレンズを託して頂けるのだから、本当にありがたい方がいらっしゃいます!(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。然し・・このように光学系第1群〜第5群まで全てを組み込んでしまうと分かりにくいですが、残念ながら貼り合わせレンズたる「第2群と第3群にはバルサム切れの兆候が見てとれる」状況です(涙)

但し、バルサム切れと言っても白濁しているのではないので、本当によ〜く凝視しないと分からないレベルです (従って写真には一切影響しないレベル)。

単独でこれら第2群と第3群の貼り合わせレンズを取り出して確認した時に、ようやく本当に薄らと見える程度ですが、その薄いクモリの感じが/印象が「製産時点のバルサム剤が経年でハガレ始めているのとは異質な曇り具合」なのです(泣)

つまり過去メンテナンス時に貼り合わせたバルサム剤の剥離が始まっているように見えます。
(いわゆるオリジナルのバルサム剤とは異質な曇り方だから)(泣)

一般的に製産時点のバルサム剤が剥離していく際は「剥離が始まった箇所から徐々に剥がれていく」ので明確にその領域を表しますが、この個体の場合は「薄らと曇りの領域が現れている感じ」なので、どちらかと言うと剥離よりも下手すると「バルサム剤の劣化」なのかも知れません。

いったいどんな種類のバルサム剤を塗ったのか分からないので何とも言えませんが「まるで
レジン液の劣化が始まっている感じ
」的な曇りの兆候です(泣)・・非常に残念です(涙)

取り敢えず対策としては、このままご使用頂き「その薄いクモリが広がるのか否か」を確認して頂きます。数年内に広がる兆候が見られないなら、そのままで問題ないと思います。もしも広がる兆候が確認できた場合は、任意の時点で一旦剥がして再接着するのが良いかも知れません。その対象は光学系第2群と第3群の貼り合わせレンズですが、いずれも同じような薄クモリの状況なので、もしも過去メンテナンス時にバルサム切れによる再接着をしていたのなら、同じタイミングで現れるので確認できると思います。

・・ちなみに一旦剥がしての再接着は当方でもできます (光学硝子研磨はできません)。

但しモールド一体成形箇所の貼り合わせレンズは剥がす事ができませんし、モールドでなくても剥がせない場合もあります・・例えば3枚貼り合わせレンズの場合は3枚の光軸を合わせるのは不可能ですし、段差がある場合の貼り合わせレンズも再接着はできません。

↑こちらの後群側もLED光照射すると外周附近に同じような曇りの兆候が視認できます。また第3群の貼り合わせレンズは、おそらく「反射防止黒色塗料」のインク成分が化学反応していると思いますが、汚れ状の部分が極僅かに残っています (除去できません/除去するつもりで清掃したところキズっぽくコーティング剥がれが起きてしまいました)(怖)

↑12枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧な円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、全域に渡り完璧に均質なトルクを維持し、当方独特なヌメヌメッとしたシットリ感漂うトルクに仕上がっています。ピント合わせ時は、掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけでピントのピーク/山の前後で微動が適います。

↑ご指摘があった「絞り環の絞り値ズレ」については上の写真のとおりちゃんとピタリと合致させています(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑無限遠位置もご覧のように日本製のRayqual製マウントアダプタを使い実写確認しながら合致させています (当初位置のまま合っています)。

いつも思うのですが、日本製と言えどもこのRayqual製マウントアダプタは、ライカ製オールドレンズの「LMマウント」に装着すると、赤色に目印が付いているレバーを操作してもちゃんとすぐに取り外す事ができず、毎回指が痛くなります(涙)

むしろ中国製のK&F CONCEPT製マウントアダプタのほうが同じ「LMマウント規格品」でも、ツマミ操作は当然ながら確実に装着できるものの、外す際もすぐに外せます (指が痛くなったりしない)。

確かに日本製のほうが工業製品として考えた時に素晴らしく精度が高いのでしょうが、当方のような「整備者モドキ」には却って中国製のK&F CONCEPT製の製品のほうが性にあっていますね・・まぁ〜身分相応と言った感じなワケです(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。さすがに絞り羽根がほとんど閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き2本目の作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。