◆ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX):疑似マクロ化セット

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
CONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX):疑似マクロ化セット』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時のCONTAREX版標準レンズ「Planar 50mm/f2」の括りで捉えると累計で20本目にあたりますが今回扱った個体「前期型のシルバー鏡胴モデル」だけでカウントすると9本目です。前回扱ってから1年が経ってしまいました。

今回の出品個体はそれはそれは本当にスカッとクリア!な光学系でとても秀逸な距離環のトルク感に至り全体的な軽い操作性が所有欲を常に充たし続けて くれることでしょう・・!(涙) 是非ご堪能下さいませ!

当方にとって自らの琴線に触れまくりで大好きなオールドレンズ10本の中に入る逸本です。同じPlanarでも巷で今現在もなお銘玉中の銘玉とその「帝王の玉座」を欲しいままに独占し 続けているCarl Zeissの標準レンズ「CONTAX Planar 50mm/f1.4T* (C/Y)」は、実は 当方はあまりピンと来ません(笑)

当方にとっての琴線とは「自分の瞳で見たがままの感動を残せる描写性」であって「人の五感に訴えるリアルな表現性」でもありそして「瞬時に没入感を覚える緊迫感」なのです。

そこには決して画の緻密さや均整に収差の少なさなど凡そ厳密なくらいまで追求された隅々 まで優れた画質にこだわる要素がありません(笑) 従って当方は等倍鑑賞派でもありませんしそのように等倍鑑賞する意義を見出しません(笑)

どんなに優れた計測値や検査結果を残しているオールドレンズだとしても、そこから吐き出された写りに自分の琴線に反応する要素が含まれなければ単なる写真でしかなく、おそらくそれを観ても感動はありません(笑) それは当方の写真を見る時の態度が影響します・・「見る」ではなく「観る」のが常に当方のスタンスです。それは常に受動的に身を置いているにもかかわらず実は主体的に「観ている」のが当方の姿勢とも指摘できます。

従って背景ボケが汚いと貶されてもトロットロに溶けていかないオールドレンズでも、或いはピント面の鋭さが期待値ほど高くなく精緻さも全く見出せない写りだとしても「自分の目は そんな程度にしか見えていない」からこそ (普段の自分/人間がそのくらいにしか認知できて いないからこそ) それでもなお琴線に触れる感触を心が感じた時に感動を覚えます (そういう 天の邪鬼な嗜好を持つヤツです)(笑)

同じ事が実はオールドレンズのオーバーホール作業時にも該当し「観察と考察」・・常に受動的に且つできるだけ客観的に冷静に事実を認知しますがその作業は主体的に「原理原則」から頑なに決して逸脱しない大前提の中で仕上げていくスタンスです (但し時々ミスもします)。

人の瞳で見た時は実は見えているようで見えておらず、見ていないハズだったのに記憶していたりします。その意味で必ずしも精神性を以て「観ている」ばかりではないので人は凡そ「見ている」事が多いのでしょうが、こと写真やオールドレンズを相手にするとどうしても「観ている」を促してしまう悪い癖があります (無意識に判定している)(笑)

その結果が「他人の批判ばかりしている」と揶揄されSNSで貶される一因なのかも知れませんが自分のスタンスなので仕方ありません(笑)

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1959年に旧西ドイツのZeiss Ikonから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタレックス)」は後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり、巷での俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と 共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産され
なかったフィルムカメラです。

大きな円形窓が軍艦部に備わりますが絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラですね。この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれますがセレン光電池式連動露出計であり、この俗称の由来は「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。

1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、焦点距離21mm から何と1,000mmまで揃っていたので、本気度が違いますね(笑) とは言いつつも現実的な話として非常に高価なフィルムカメラだっので、はたしてこれらオプション交換レンズ群を揃えられた人が世界中でいったいどれだけ居るのかと考えてしまいます(笑)

軍幹部に備わる丸窓の「セレン光電池式連動露出計」には設定絞り値窓が備わりシャッターボタン直前に配された「絞り値ダイアル」をグリグリと回すと絞り値窓内が左右に移動し設定絞り値が現れます。この時シャッターボタン直下に位置するシャッタースピードの設定と共にファインダー内のガイドが即座に反応する「露出計と距離計に自動的にセットされる」当時としては驚異的で先進的な一眼レフ (フィルム) カメラだったようです。

一方数多く用意されたオプション交換レンズ群はその全てのモデルが「絞り環を装備しない オールドレンズ」と巷では解説されますが (実際絞り環を装備していない) それは正しくもあり正しくもありません(笑)

↑上の写真はこれら「CONTAREX版オプション交換レンズ群のマウント部」を解説した写真 ですが、今回扱った個体のマウント部を撮っています。

確かにこのマウント部の直前まで備わるのは「距離環だけ」でありフィルター枠〜距離環までしか存在せず絞り環がありません。

しかし現物をチェックすれば一目瞭然ですが上の写真で解説している「制御環 (赤色矢印)」と言う「絞りユニットに直結している絞り羽根開閉を司る環/リング/輪っか」が存在します。

撮影者が自分の手と指で掴んで具体的に設定絞り値などを操作するべく「絞り環が無い」だけの話であって、現物にはちゃんと絞り羽根開閉を実現する環/リング/輪っかがあるのです。

実際現物を手にしてこの「制御環」を回すと無段階でスルスルととても滑らかに回転し「光学系内を覗き込むとその時に連動して絞り羽根が開閉動作しているのが見える」ワケです。

つまりフィルムカメラボディ側の操作でこの環/リング/輪っかが回転して鏡筒内部の絞りユニットに実装されている9枚の絞り羽根が開閉動作する仕組みなのだと理解できます。

・・しかしこの原理を正しくちゃんと解説してくれているサイトがありません(涙)

一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX I型」の事は自慢げにあ〜だこ〜だ解説してくれるのに肝心な装着するオールドレンズとの仕組みの関係性/原理を案内してくれないのです。そこに齟齬が生まれ正しく認知できていない現実が生まれます。

上の写真で「制御環」は円形状の環/リング/輪っかですがグリーンの矢印で指し示した箇所に3本の締付ネジで固定されています。そしてよ〜く観察すると「制御環はそのネジ止め固定の箇所から斜め状に迫り出している」のがポイントになります。斜め状にカタチがついているので上の写真でオレンジ色矢印で案内したように浮き上がっています。

この事実はその理由と原理を何処のサイトも解説してくれないので「CONTAREX版オールドレンズ」を手に入れる前の人にはなかなか伝わりません。

前述のとおり「CONTAREX版オールドレンズには絞り環が備わらない」ので絞り羽根の開閉動作はフィルムカメラ側ボデイにある「絞り値ダイアル」をグリグリ回す操作で設定絞り値を変更します。このダイアルと連結しているのが上の写真で言うところの「制御環」なのです。

・・何を言いたいのか???

この「制御環=大きな板バネ」なのです。板バネの為フィルムカメラのマウント部にオールドレンズを装着すると「バチン!」と言う大きな音が聞こえてきてガシッとロックします。要は反発力を持たせる目的で浮き上がったカタチにして板バネを実現しているワケです。

さらに「制御環の途中にあるコの字型の切り欠き」部分がフィルムカメラ側マウント部内部の板状連係パーツと噛み合う仕組みです。

これでフィルムカメラ側の露出計とオールドレンズ側の絞り羽根開閉動作が (装着した時に) 勝手に自動的に連動する原理と仕組みは理解できましたが、もう一方のフィルムカメラ側距離計とオールドレンズとの連係はどうなのでしょうか???


↑上の写真 (6枚) は、主だったオプション交換レンズ群を掲載しました。上段左端から順に B-Distagon 35mm/f4、Planar 50mm/f2、B-Planar 50mm/f2、下段の左端に移ってPlanar 55mm/f1.4、Sonnar 85mm/f2、Sonnar 135mm/f4です。

それぞれの6本が無限遠位置の時に基準「」マーカーにちゃんと「」刻印が合致している状態を撮影していますが、その基準「」マーカーとマウント部の「カット部分」との位置 関係をそれぞれのモデルで明示しています。

基準「」マーカーから垂直に赤色矢印を下ろしそれに対しどの位置にズレて「カット部分」が来ているのかの位置関係をブルーの矢印で示しています。

CONTAREX版オールドレンズをフィルムカメラ側のマウント部にバチンと音をたてて装着するとその時この「カット部分」の位置の相違からフィルムカメラ側が「装着したオールドレンズの焦点距離」を把握しています。

さらに上段中央と右端の「Planar 50mm/f2どうし」で中央のシルバー鏡胴と右端のブラックモデルでは「同じ焦点距離と開放f値なのにカット部分のズレ方が違う」点がまさにオドロキなのです!(笑)

しかしよ〜く観察すると実は「同じPlanar 50mm/f2どうし」でも距離環に刻印されている 距離指標値の数値が異なり、且つその間隔も違います。これが何を意味するのかと説明するなら「ヘリコイド (オスメス) のネジ切り勾配が互いに違う」と明言でき、それは詰まるところ 「鏡筒の繰り出し方が違う」ので互いに同一焦点距離/開放f値としても光学設計が別モノなのはそれら証拠から容易に導き出せます (そもそも最短撮影距離違うし・・)。

このように言うとまた公然と平気でウソを流布していると指摘されるのでちゃんと例を挙げるなら(笑)、シルバー鏡胴の「∞」一つ手前は「10m」ですがFlashmaticのブラックモデルは「∞一つ手前は6m」の刻印です。その差4mもの実距離をブラックモデルはアッと言う間に通過していきます。だからこそ最短撮影距離が「38cm」と後退してしまった辻褄が合うのであってはたしてこの撮影距離の制御に関する相違点はどうして起きているのかと言えば「まさにフラッシュ撮影時の都合からヘリコイド駆動を変更せざるを得なかった」からなのであり、そこに光学系設計が主体だった因果関係を見出せません (つまり光学の設計までもフラッシュ撮影時の整合性から必要に迫られてしまった話と結論できる)。このような事実を以てはたして光学系の違い (詰まるところ描写性の相違) までちゃんと指摘できているのかと言うと現実は 甚だ難しいところです (基本的に当方は光学まで音痴だから)(泣)

もっと指摘するなら上の掲示写真で上段一番左端のB-Distagon 35mm/f4と右端のB-Planar 50mm/f2とは互いにFlashmaticモデルですがその距離環刻印距離指標値は「刻印数値とその間隔が全く同一」です(笑) つまりこの2つのモデルのヘリコイド (オスメス) の切削ネジ山 勾配は同一であると断言でき、それは全てがフラッシュ撮影時のガイドナンバーを基準にした制御からの発想で再設計された製品群である事を確実に認識する必要があります (何度も指摘しますが互いのシルバー鏡胴とは光学設計が異なる)。

・・これらの話はネット上の様々なサイトをチェックしても何処も解説してくれていません。

基本的に当方は極度のカメラ音痴なのでフィルムカメラに詳しい通の方々こそ自慢話ばかり していないでこのような内容をちゃんと詳説するべきなのではありませんかね?(怒)

・・本当に見る立場の人達に対する配慮や思い遣りが全くありません!

前述のとおり同一の焦点距離でも同一開放f値でも「カット部分のズレに違いがある」ことからこのカット部分の用途は単に焦点距離のみならず最短撮影距離までも伝達している可能性を感じましたが当方には全く理解できていません。

・・誰かちゃんと解説してください!!!



↑同様に主だったオプション交換レンズ群を掲載しました。上段左端から順に B-Distagon 35mm/f4、Planar 50mm/f2、B-Planar 50mm/f2、下段の左端に移ってPlanar 55mm/
f1.4、Sonnar 85mm/f2、Sonnar 135mm/f4です (つまり前述と同じモデル)。

今度はマウント部にある「制御環とカット部分の位置関係」を示しました。同じようにブルーの矢印でカット部分の位置を示し、一方グリーンの矢印で制御環の「コの字型切り欠き部分」を指し示していますが全てのモデルで同一でカット部分に対しほぼ反対側に制御環のコの字型切り欠きが位置します (一部写真では制御環が僅かに動いてしまっている)。

これらの検証から「オールドレンズ側の焦点距離他の何かの要素はフィルムカメラ側ボデイに伝達している」としても「オールドレンズ側の開放f値は全く伝達されていない」ことが分かりました。

いちいち検証せずとも「フィルムカメラ側に絞り値ダイアルが備わるから当たり前」なのですが(笑)、実は今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着して使う人が増えたからこそ「このような話の検証が重要になってくる」のです。

何回も指摘していますが「CONTAREX版オールドレンズには絞り環が備わらない」からこそ マウントアダプタ側の絞り環との整合性に「矛盾を感じる人が多い」点を今ここで解説しようと努力しているのです。

左写真は今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体に附属品としてセットしている「CRX→LMマウントアダプタ」を一例として掲示していますが、市場流通している全てのCONTAREXマウント規格用マウントアダプタは同一の仕様です (製品が違っても仕様はほぼ同一)。

カチカチとクリック感を伴う絞り環を装備しますが絞り環に刻印されている開放f値が「f1.4スタート」なのです

それはそもそもCONTAREX版オプション交換レンズ群で一番明るい開放f値モデルが「f1.4」だからこそ用意されていると思い込みますが、ところが現実は異なり「単に一番明るいf値を 刻印しているだけ」なのです。

もちろん「Planar 55mm/f1.4」モデルをこのマウントアダプタに装着すればピタリと一致しますが今回の「Planar 50mm/f2」を装着しても、装着する際にワザワザ開放f値「f2」に絞り環を合わせて噛み合わせても「端から端まで絞り環操作すると途中でバチンッ!という大きな音が聞こえてやはりf1.4に噛み合ってしまう」次第です。

・・何を言いたいのか???

要はCONTAREX版オールドレンズは「カメラボディ側に開放f値を都度伝達する概念を諸元として持っていない」のです。

設計諸元として開放f値を伝達しないのでどのCONTAREX版モデルをマウントアダプタに装着しようとも絞り環に刻印されている絞り値との整合性は「Planar 55mm/f1.4装着時しか持ち 合わせない」と言う顛末です(笑)

つまり今回扱うモデル「Planar 50mm/f2」はどんなに噛み合わせ位置を合わせようとも気を遣っていちいち絞り環操作する時に注意しない限り「一度たりとも絞り環を端まで回してしまったらやはりバチンッ!と大きな音が聞こえて一番端のf1.4で噛み合ってしまう」と言う結末です(笑)

逆に言うなら今回の個体を装着する際マウントアダプタ側の絞り環を「f2」にセットしてからオールドレンズ側とマウントアダプタ側のお互いのリリースマーカー「」を合わせて噛み合わせると「その時だけバチンッ!の大きな音が聞こえてこないまま装着完了する」と言い替え られますね(笑)

実際当方も一度そのようにちゃんとマウントアダプタ側絞り環の開放f値を合わせて (f2にセットして) から装着して撮影してみましたがそもそも撮影時にいちいち絞り環をチェックしながら (絞り値を確認しながら) 撮影していません(笑) それは一般の方々の撮影時も同じなのではないでしょうか? 分かりませんが取り敢えず当方は都度絞り環の絞り値をチェックしません。純粋に撮影時はピント面にこだわって、且つ背景ボケの具合などをファインダーで確認しな がら撮影しています。

すると撮影時にいちいち絞り環でセットされている絞り値をチェックしないのでどの位置に 絞り値が来ているのかはそれほど重要な話ではありません。むしろ撮影後にどの絞り値で撮影 したのか確認する事が時々ある程度の話ですが、CONTAREX版オールドレンズの場合「実際の絞り羽根の閉じ具合 (絞り値) と絞り環の刻印とはズレている」ワケです (マウントアダプタに装着時の話)。

するともしも仮にちゃんと開放f値の絞り値と絞り環刻印の位置とを合わせて装着したのなら、同時に「撮影時にも必ず必要以上に絞り環を回しきらないよう留意する必要性が憑き纏う」話で、一度でも絞り環を回しきると再び一番端の「f1.4」で噛み合ってしまいバチンッ!音がします(笑)・・となれば当方の感覚として「いちいちそんな留意するのが億劫だから絞り値との整合性など気にしない」となって結局のところ絞り環の刻印絞り値はいつもズレたまま使っていました(笑)

その意味でマウントアダプタ装着時の絞り羽根の開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量) は厳密に言えば「f2 > f2.8 > f4 ・・・」の国際絞りの値に整合していません (極僅かに足らなかったり超過していたり)。然しそうは言ってもこれはそもそもCONTAREX版オールドレンズの設計諸元なのでマウントアダプタ側の問題ではなく「モデルとしての開放f値が伝達されない 仕様」なのが問題なのです(笑)

従ってマウントアダプタを別のモデルに買い替えようが結末は全く100%同じになります(笑)

人によっては一番最初に (事前情報がなく知らないから) バチンッ!音を聞いて驚きつつもマウントアダプタ側絞り環の刻印絞り値と合わないのを「もしかしたら壊してしまった?」と多少落胆しながら使っている人が居るかも知れません(涙) その意味で細かく解説しました。

当方のことを自信過剰だ何だと貶す前にちゃんと案内するべき事を明示するのが「その道の通の人達の知らない人に対する配慮」なのではないかなぁ〜といつも思いますね(笑) まッ貶すのは自由なので・・(笑)

ちなみにこのモデル「Planar 50mm/f2」ではシルバー鏡胴モデルは今回のタイプしか存在しませんがブラックバージョンだけは2種類顕在しています。

その一つは「Flashmatic (フラッシュマチック 機構)」を取り入れたモデルなのでマウント部の直前に配置されているガイドナンバーツマミを セットすると距離環の駆動に従い自動的に絞り 羽根が勝手に開閉してストロボ撮影時に適切な光量の写真になるよう変化します。

要は撮影時にピント合わせだけに専念すれば誰でもプロ並みのフラッシュ撮影が叶うと言うシロモノです (フラッシュマチック機構の概念は別の光学メーカーの登録商標でありCarl Zeissの特許ではありません)(笑)

そしてもう一方のモノホンのブラックバージョンモデルは実は珍しく希少価値が高いので海外オークションebayでもフィルムカメラとの セット価格で「1,700,000円以上」と言うとんでもない世界のお話 です!(驚)

ちゃんとよ〜く拝むと「距離環までブラック」なのが分かります。

そしてここが一番のポイントなのですが、このフラッシュマチック機構装備のモデルを指して「B-Planar 50mm/f2」とのモデル銘であり、またの名を「Planar 50mm/f2 “Blitz”」と呼称していますが、真の違いはフラッシュマチックと共に「最短撮影距離が38cmと後退してしまった異なる諸元」であってシルバー鏡胴の本来の最短撮影距離「30cm」からは近寄れなくなっています (当然ながら光学系も再設計されている)。

巷ではブラックバージョンと語られていますが「全くの別モノ」なのが ”Blitz” であってモノホンのブラックバージョンは確かに最短撮影距離30cmで同じですがとても手に入りません!

この“Blitz”モデルを単にブラックバージョンと唄ってオークション出品して いる場合がありますが、それは認識違いで最短撮影距離が「38cmと後退
している諸元」
なので要注意です (シルバー鏡胴は30cmだから)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCarl Zeiss製CONTAREX Planar 50mm/f2.0 silver《前期型》(CRX)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。今回の個体が累計で20本目にあたりますが最も 軽い操作性に仕上がり当初バラす前にチェックした時点で顕在していた問題点も全て改善されさらに光学系内の透明度はまさに秀逸なレベルです。

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
制御環を回すと回転のトルクムラを僅かに感じる。
鏡胴に極僅かなガタつきが残っている。
 距離環を回すと極僅かにトルクムラを感じる箇所がある。
光学系内に極薄いクモリがある。

《バラした後に新たに確認できた内容》
至る箇所に青緑色固着剤が多い。
白色系グリースが塗布されている。
鏡筒をエポキシ系接着剤で接着固定している。

ザッと挙げるとこんなところです(笑) 一つずつ解説していきます。

↑上の写真は以前扱った個体のオーバーホール工程の中から転載/流用した写真です。マウント面に備わる「制御環」のベース環/リング/輪っかですがご覧のように距離環やマウント部が 組み付けられる基台に鋼球ボールを介在させて回転する仕組みで設計されています。

制御環を回すと回転のトルクムラを僅かに感じる。
この鋼球ボールはグリーンの矢印で指し示した大きめの鋼球ボール「⌀2.1mm径 x 24個」とオレンジ色矢印の「⌀1.81mm径 x 48個」が全周に渡りビッシリと敷き詰められます。
(上の写真は解説用に一部の鋼球だけをセットした状態)

するとその2種類の鋼球径から容易に互いの組み込みパターンが判明しますが大きめの鋼球ボールとの間に小さめの鋼球ボールが2個ずつセットされるのが正しい適切な組み込み方法なのだと判定できます (そう考えないと数の対比が適わない)。

ところが今回の個体は「⌀2.1mm径▲1個」と「⌀1.81mm径▲3個」の合計4個の 鋼球ボールが欠品していました。さらにほぼ全てが前述のパターンで組み込まれていたものの一部だけがバラバラでした (大きめが4個並んでいた)。

つまり当初バラす前の制御環を回した時の極僅かなトルクムラはそのような鋼球ボールの欠品と配置が因果関係と判定しました。

足りない鋼球ボール4個分を補充し無事にとても滑らかな操作性に改善できました。もちろん鋼球ボール組み込み時のパターンは確実です(笑)

このように環/リング/輪っかを鋼球ボールの径を介在させて保持する方式は多くのオールド レンズに採用されていますが、特に鋼球の径が異なる場合それをテキト〜に組み込むと間違いなくトルクムラに至ります(笑) 鋼球ボールだから多少の欠品或いは順序の相違は仕方ないと 言うのは整備者による思い込みであり確実にセットする必要があります (その為に設計者が ワザワザ配置した鋼球径の相違だから)。

・・こんな至極当たり前の事が過去メンテナンス時にできていません(笑)

鏡胴に極僅かなガタつきが残っている。
 距離環を回すと極僅かにトルクムラを感じる箇所がある。
この2つの問題点は実は前述のの不具合と密接にかかわります。距離環を回して鏡筒を繰り出す時このモデルは前述の「制御環」からズズ〜ッと内部に伸びている「斜め状のガイド/」に刺さった鏡筒から飛び出ている開閉アームが連動してスライドしていくのです。

つまり距離環を回した時の「掴んだ指が感じる重い/軽いのトルク感はこれらガイドからの抵抗/負荷/摩擦も含まれる」事を過去メンテナンス時の整備者は全く理解できていません(笑)

要は前述の欠品していた鋼球をちゃんと補充せずに、さらに一部デタラメに組み込んでいた点も影響して「制御環」の極僅かなトルクムラを誘いました。そのトルクムラの抵抗/負荷/摩擦が結果的にヘリコイド (オスメス) の駆動時に加味され最終的な距離環を回す際のトルクムラに繋がっていたのです。

さらに鏡胴の極僅かなガタつきも別の理由で「ごまかしの整備」として故意にワザと距離環の締付ネジによる締め付け固定を本締めせずに軽く仕上げていたワケです (整備者がごまかしでよく行う所為の一つ)(笑)

至る箇所に青緑色固着剤が多い。
白色系グリースが塗布されている。
鏡筒をエポキシ系接着剤で接着固定している。

この3つが当初バラす前の問題の根源的な因果関係です(笑) 塗布されていた固着剤「青緑色固着剤」なのでおそらく数年内に整備されていると推測でき、且つヘリコイドグリースが「白色系グリース」なので国内でのメンテナンスと考えられます (海外での整備の場合少々 異なるグリースが人気だから)。

特にヘリコイド (オスメス) のネジ込みの難しさを考えればド素人整備とは考えられずプロの 手による整備作業とも推測できますが・・こんなレベルです(笑)

何よりも極めつけは「 鏡筒をエポキシ系接着剤で強制的に接着固定させていた」ことが最大の問題点として全てに影響を来していました。当初製産時点にそんな所為をCarl Zeissはしませんから(笑)、過去メンテナンス時にエポキシ系接着剤で接着固定する必要性も皆無なのに「ごまかしの整備で仕上げた」ワケです(笑)

そもそもどうして鏡筒をエポキシ系接着剤で接着固定していたのかと説明すると(笑)、鏡筒を固定する際内部の絞りユニットから飛び出ている「開閉アーム」と言う絞り羽根開閉動作を 司る板状パーツが「斜め状に切削されている板状パーツ」なので、前述の「斜め状ガイド/溝」をスライドするのに「その斜めの傾き具合がピタリと一致していない」のをムリに合わせようと試みたからです。

逆に指摘するなら製産時点にそれら斜め状の傾きが互いに合致していないハズがありません。そんな事はちょっと考えれば当然の話なのにそれをムリに合わせようと試みます(笑)

・・いったい何のために整備しているのか皆目???です(笑)

ちなみに海外でオールドレンズが整備されている場合、多くの個体で「ヘリコイドグリースに芳香が香る」ケースが多いですし、そもそも日本の整備者が好む「白色系グリース」を向こうの整備者は嫌います(笑) たいていの場合で使うグリースの種別が違います。

逆に申し上げるなら当方も海外の整備者 (で有名だった人) からのご教授で、何と全く畑違いのディーラの伝手からその整備者に連絡が行き、正直者でとても真面目なJapanese repairmanなので教えてあげてほしいとやり取りされ、わざわざご本人が当方宛メール送信してくれて参考にすべきグリース種別やその他の技術/コツを案内してきてくれたと言う恩があります。残念ながら既に他界されていらっしゃるので当方が逝った折には是非お目にかかってお礼申し上げる想いでいっぱいです! (それまでに少しは英語話せるようにならなければ!)(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。ちょっと歯が浮く皆さんが大好きな言葉で表現するなら「限りなくスカッとクリア」です(笑)

光学系内に極薄いクモリがある。
この問題も過去メンテナンス時の整備者による不始末が大きく影響していました。

光学系の光学硝子レンズ格納筒の内壁や締付環にこれでもかと塗りまくっていた「反射防止 黒色塗料のインク成分」が光学硝子レンズ面のコーティング層に飛んでしまい極薄いクモリに至っていました。

これは当方の憶測ではなく具体的に実際に光学硝子レンズの清掃時にシルボン紙に非常に薄くグレー色の痕が残るから判明します。特に第2群の貼り合わせレンズの表面がなかなか落ちずに少々強めに擦ったくらいです(怖)

タダでさえ光学硝子レンズの擦りキズが怖いのに本当に勘弁してもらいたいです!(怒)

面倒くさいったらありゃしませんが、逐一全ての過去メンテナンス時に塗布されていた「反射防止黒色塗料」を溶剤で除去してご覧のように「スカッとクリア」に戻った次第です(笑)

・・ロクなことをしません!(怒)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

・・どうですか?! 見て下さい! この透明感が本当に素晴らしいです!♪♪

などと何処かの◉◉ジャパンみたいな謳い文句で本当に歯が浮きそうですが(笑)、まぁ〜そういうレベルです。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。「皆無です」と言えばマジッで皆無 です(笑)

ひいて指摘するなら後玉表面の中心付近にとても微かな擦りキズがササッと集まっている箇所がありますが、おそらくオールドレンズを下に置いた時についてしまった当てキズ的な擦り キズのように見えます (過去メンテナンス時の整備時による拭きキズではない)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:18点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かなカビ除去痕が計4箇所あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い5mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
(但し前玉表面に非常に薄い微かな泡状のカビ除去痕が1点あります/パッと見で汚れに見えますが何回清掃しても除去できません)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

あまりにも透明度が高いので上記のとおり「経年の微細な点キズ」が余計に目立ってしまう くらいの話です(笑)

↑9枚の絞り羽根もキレイになりマウント部の制御環共々とても軽い操作性に仕上がっています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正九角形を維持」したまま閉じていきます。

過去メンテナンス時に欠品していた鋼球ボールを補充しなかったという怠慢が招いた不具合でしたが、ちゃんと対処してあげればこんなにも素晴らしい操作性に戻ってくれます。

よく「70年前の状態に戻せるはずがない」とSNSで当方を批判していますが(笑)、そんなのは当たり前の話で当方がヤッているのは「各構成パーツの経年劣化を可能な限り除去して製産時点に近づけている」に過ぎず、それがDOHのポリシ〜でもあります。

・・ちゃんと読まずに批判ばかりしたがる解すなヤツらです(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・CONTAREX版フィルムカメラの設計仕様上、絞り羽根の開閉操作はフィルムカメラ側で行う仕組みです。附属マウントアダプタには絞り環が備わりますがCONTAREX版オールドレンズの全てに対応した設計の為「開放f値f1.4からの刻印」にて製産されています。今回出品モデルは開放f値が「f2.0」なのでマウントアダプタに装着するとf1.4から噛み合う仕様です(噛み合わせ時に合わせてもすぐに戻ります)。これはCONTAREX版オールドレンズ側の絞り制御環が「板バネ方式」を採る原理の為であり仕様です。またオールドレンズ側開放f値をフィルムカメラ側に伝達する仕組みが備わっていないのでマウントアダプタに装着するとこのような話になります。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『CONTAREX版 Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)』
汎用樹脂製バヨネット式後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
中国製CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備) (新品)
中国製LM→SONY Eマクロ付マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ (新品)

今回の附属品セットはその目的として『疑似マクロ化』があるので「普段使いは単に普通の マウントアダプタとして、然しイザッと言う時はさらに近接して直感的な操作だけで (附属品を付け替えたりせずに) 疑似的にマクロレンズ化して使ってしまう」その使い勝手の良さを大前提とした組み合わせです。

この『疑似マクロ化』の概念で附属品を組み合わせてご落札頂いた「CONTAREX版Planar 50mm/f2」は今までに7本ありますが (57,000円のご落札が1本に、59,500円が1本、79,500円が1本、そして89,500円が4本) 今回8本目のセットとしてヤフオク! 出品します。
(即決価格の相違は個体別の仕上がり状況による違い/例:カビ除去痕などの多少)

実は今までご落札頂いた「7人のご落札者様のうち6人の方」からメッセージやメールなどでその後の感想や印象をご案内頂いています (ありがとう御座います!)(涙)

別に難しい事ではなくやっている事は単にマウントアダプタを組み合わせただけの話ですが、これが意外にも使い勝手が良く「新鮮な感動を伴う」と言う新たな境地に到達しているよう です(笑)

・・誠に嬉しい限りです!!!(涙)

そもそもオールドレンズ単体の設計からして「最短撮影距離30cm」なのがこのモデルの 魅力の一つですがそれを「5cmさらに寄って撮れるようにした」だけの話です(笑)

ところが被写体により近接して「光学系の設計を逸脱して入射光が記録される」点に於いて「光量が増しトロットロのボケ味が増大し被写体の発色性に艶/艶やかさが増す」という三つ巴の効果をも狙った概念としてこの『疑似マクロ化』を据えています。

このブログの最後に実際にこの『疑似マクロ化』セットでの実写を載せて通常撮影時と比較しているのでお分かり頂けると思います。

画全体の明るさが増してどのように背景ボケが増えてきてトロットロなのか、或いはコントラストのレベルやそこに感じられる艶やかな被写体の印象など実写から読み取れると思います。

但しあくまでも設計者が一切想定していない光学設計から逸脱した写りなのでそこには厳密な根拠は見出せませんが(笑)、冒頭解説の通り当方にとって自らの琴線に触れる要素は諸手を 挙げて提供したくなってしまうのです・・(笑)

・・しょせんオールドレンズの描写性に期待するべきはその程度との認知に留まる。
・・然しそれこそがオールドレンズの醍醐味であって沼に浸かり続けるまさに快感!

ではないでしょうかね・・(笑) せめて首から上は沼に沈まないように気をつけないと気が ついたら息ができず首が回らない状態 (お金が無い/嫁にこそこそ隠れている状況) に陥りますョ〜ぉ?!(笑)

↑今回の個体は筐体外装に経年相応な擦りキズ (赤色矢印) が多少残っています。上の写真の 反対側にも少しあります・・。

↑ここからは附属品のマウントアダプタ解説に移ります。上の写真はCONTAREX版オールド レンズ本体とマウントアダプタの装着を説明しています。互いにリリースマーカー「」があるので、純粋にそのマーカー位置を合わせて互いに密着させ (密着時に極僅かな程良いクッション性を感じます:グリーンの矢印①) 時計の針方向にマウントアダプタ側を回すと (ブルーの矢印②) カチッとバヨネット爪が噛み合います。

この時両手で掴んでやっている所為はまるでグリーンの矢印①の内容だけですが、冒頭解説の通りマウント面に位置する「制御環のコの字型切り欠き部分のマウントアダプタ側板状パーツとの噛み合わせ」には気を全く遣いません (赤色矢印の部分)。

解説のとおりこの「制御環」が板バネによる噛み合わせとして設計されているので、且つ何度も指摘しますが「開放f値を伝達する能力を持たない」のでどの位置で噛み合っても最終的に いつかはマウントアダプタ側絞り環の一番左端「f1.4」の位置でバチンッ!と噛んでしまい ます。

今回の個体で試してみるなら (ご落札者様お一人だけですが) マウントアダプタ側絞り環の設定絞り値をカチカチとクリック感を伴いつつ一つ回して「f2」にセットしてから互いのリリースマーカー「」を合わせて装着するとカチッとバヨネットが噛み合ってロックされます。しかしこの時「制御環」たる板バネの「バチンッ!」と言う大きな音は聞こえてきません。

ちゃんとf値「f2」の時に完全開放し絞り環を回すと刻印されている 絞り値で絞り羽根が閉じていきます。何度f値「f2」で絞り環操作を 止めてもちゃんと完全開放していてズレませんし絞り羽根開閉異常も当然ながら起きません(笑)

ところが撮影時にうっかり操作して右端まで絞り環を回してしまうとイキナシ「バチンッ!」の大きな音が聞こえてビックリします(笑)

つまりこの時に初めてマウントアダプタ側絞り環の刻印f値「f1.4」まで絞り環が回ってしまいオールドレンズ側「制御環の板バネが反応した」から音が聞こえたのです(笑)

これこそが冒頭でさんざん細かく解説した「CONTAREX版オプション交換レンズ群の開放f値を伝達しない設計」の話なのです。

どうしてここまで執拗に解説するのかと言うとネット上で誰も解説しておらず不用意なので人によっては心許ないと言うか心配な想いが募りますし (オールドレンズ内部の何かが壊れた音なのか?!)(驚)、マウントアダプタが装備している絞り環との矛盾点にも納得できれば安心と言う心の健康みたいな話だからです(笑)

実際にご落札者様お一人からこの話をご指摘頂き「まさにそれこそが人情」と真摯に反省したので今このブログでしつこく解説し続けています(笑) このブログを一生懸命それこそまるで心に痛みを覚えながら超長文な解説を読む努力をしてらっしゃる皆様には本当に申し訳なく思うばかりです(涙)・・スミマセン。

↑実際にオールドレンズを装着した状態でマウントアダプタ側を拡大撮影しました。付しているのいずれかの番号は前述の附属品一覧の説明番号に合致します。

CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備)」に備わる「ロック解除ボタン (赤色矢印)」は、 ブルーの矢印①のように押し下げたままマウントアダプタ全体をブルーの矢印②方向に回すと (つまり反時計の針方向) 外せます。

↑さらに「CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備)」とその次の「LM→SONY Eマウントアダプタ (マクロ付)」との装着も同じでグリーンの矢印①で指し示した互いのリリースマーカー「」を合わせてからブルーの矢印②のようにマウントアダプタ全体を時計の針方向に回せば やはりバヨネット爪が噛み合ってカチンとロックします。前述同様は附属品一覧の符番に合います。

↑マクロヘリコイドを備えた一番下に位置するマウントアダプタ「LM→SONY Eマウントアダプタ (マクロ付)」の解説です。「ロック解除ボタン」が備わり下方向に押し込みながら (ブルーの矢印①) 全体をブルーの矢印②方向 (つまり反時計の針方向) に回せば一つ前のマウントアダプタと外れます (1枚目の写真)。

また2枚目の写真では「マクロヘリコイド (ローレット/滑り止め) の使い方とその動き方」を説明しています。1枚目の写真でグリーンの矢印で指し示しているのが「マクロヘリコイド」のローレット (滑り止め) ですがオレンジ色矢印方向にスライドさせると (無段階のスライドですが位置的に狭いので少々操作し辛い)(泣)、しまいには「ロック解除ボタンに左端にカチンと突き当て停止する」のでその時点でズズ〜ッと全体が「最大で5mm分繰り出される」のを ブルーの矢印で説明しています。

もちろん繰り出し量は自由なので5mm分全部繰り出さなくても構いません(笑)

↑上の写真 (3枚) は、実際に『疑似マクロ化』で操作する時の全体像を説明しています。例によって符番は前述附属品一覧の番号です。

筐体の基準「」マーカーに無限遠位置「」刻印が合致している状態が1枚目です (赤色矢印)。ここで距離環を回してピント合わせします (ブルーの矢印①)。

仮に最短撮影距離位置「30cm」まで到達したとします (2枚目の写真)。実際に鏡筒がズズ〜ッと繰り出されて (ブルーの矢印) このモデルの諸元上の最短撮影距離「30cm」で停止します (実際に実則したらまさにピタリと被写体までの距離30cm/カメラボディ側の撮像素子面までの距離)。

この時さらに近接撮影したくなって『疑似マクロ化機能を発動させる』なら2枚目の写真で ブルーの矢印②で示した解説が当てはまります。

マクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を回して (ブルーの矢印②) 全体を「最大で5mm分繰り出す」と (ブルーの矢印③) オールドレンズ全体がさらに繰り出されます。距離環の刻印 指標値は「最短撮影距離30cm」のままですが被写体との距離は「実測すると25cmまで近寄っている」ワケですね(笑)

従ってまさに直感的にボケ量を多くしたくなったり光量が欲しい時、或いは発色性の良さを もっと追求したい時などにこのように「マクロヘリコイドをズズ〜ッとヤル!」事で『疑似 マクロ化の世界に没入』する次第です(笑)

これらの話はあくまでもマウントアダプタによる操作の話なので他のオールドレンズにも同じ環境が該当しますから是非とも「サクッと直感的にヤッてしまう快感!」みたいなのを是非 ともご堪能下さいませ(笑)

・・ハッキリ言ってメッセージ頂いた6人の方々には一度知ると堪らないようです(笑)

  ●               

長々と解説してきましたが (超長文で本当に申し訳御座いません)、このような使いでのある 環境をご提供する事で写真ライフの一助になればとの想いです。

もちろん今回のオーバーホールで仕上げたこの個体の操作性もズバ抜けて快適で(笑)、距離環を回すトルク感はそれはそれは軽くて当方の特徴たるいつもの気持ち良い感触を伴い (人に より普通程度かも?) 当然ながらこのモデルのピントのピーク/山は「アッと言う間に瞬時に 訪れる瞬間」こそがその微動でピタッと決まりすぎてチョ〜気持ちいい!ワケです(笑)

むろん光学系の透明度は秀逸なレベルでハッキリ言って光学系を覗き込んでパッと見で「/」に見える点キズさえもイラッと来るくらいに(笑)・・ひたすらに透明な世界です!(涙)

実はこのモデルも含め今現在市場で流通している多くの個体で「CONTAREX版オプション 交換レンズ群の光学系はその限界値に到達している状況」と指摘でき残念ながらコーティング層経年劣化進行や特に「バルサム切れ」の問題が相当辛いです(涙)

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態

確かに今現在ヤフオク! などでも信じられないような低価格でバルサム切れが起きている個体が「虹色に輝きながら」流通しており有終の美にも至らず甚だ哀しい現実です。中にはバルサム切れを明記せずに、然し光学系内の写真を見るとあからさまにバルサム切れで剥がれている箇所の影が写っていて少々確信犯的な印象で唸ってしまいますが是非ともご注意下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑最短撮影距離まで寄らずに被写体全体が写る距離で開放実写するとこんな写り方です・・・素晴らしすぎて涙出ます!(涙)

↑当レンズによる最短撮影距離30cm附近での開放実写です (1枚目の写真)。ピントはミニ カーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

また2枚目の写真はその位置のままで (1枚目の写真の位置のままで) マクロヘリコイドを操作して「最大5mmさらに繰り出し」して25cmまで近接した時の開放実写です。

同じミニスタジオでの写真で同一被写体に対しての撮影なので『疑似マクロ化』によるボケ味やコントラストと共に発色性の艶やかさなども是非ご覧下さいませ。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。同様1枚目がオリジナルの最短撮影 距離:30cm位置での撮影で2枚目『疑似マクロ化』による25cm位置で撮った写真です。

また設定絞り値は前述のとおりマウントアダプタ側絞り環刻印絞り値とはズレています (バチンッ!と音が聞こえているのでズレている)。面倒くさいのでいちいち絞り環をチェックして撮影しませんが(笑)、マウントアダプタ側絞り環の刻印絞り値上では「f2」ですが絞り羽根の開閉 レベルはほぼ「f2.8」です (一つずつズレるから)。

↑さらに絞り環を回してf値「f4」で撮っています。1枚目がオリジナルの30cmで2枚目が 近接25cmです。

↑f値は「f5.6」に上がりました。ピント面の鋭さが増してきて腕に鳥肌立ちます!(笑)

↑f値は「f8」に変わっています。

↑f値「f11」です。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきているのですがまだまだ頑張ってます!(涙)

↑f値は「f16」まで上がりました。ほぼ絞り羽根が閉じているのでさすがにそろそろ「回折 現象」の影響を受け始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑f値「f22」ですからもぅ解像度の低下と共にコントラストの変質が僅かに際立ち始めて
います。

↑f値は「凡そf32」あたりで実測すると優にf32を越えています。当然ながら製品仕様を逸脱 した写りなので画質が劣化するのも当たり前の話です。然し何と『疑似マクロ化』の2枚目の写りを観るとまだまだ背景にボケ味を伴うので恐るべし・・です!(笑)