◆ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX B-Planar 50mm/f2 “Blitz”(CRX)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
CONTAREX B-Planar 50mm/f2 “Blitz (CRX)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧西ドイツはCarl Zeiss製標準レンズの中から「CONTAREX版向け50mm/f2」に限定した括りで捉えると24本目にあたります。それらの中でシルバー鏡胴モデルだけでカウントすると10本になり、超希少なシルバー鏡胴のブラックバージョンモデルが僅か1本のみ、さらに今回扱うBlitz“モデル13本目と言う状況です。

完全解体に頼るオーバーホールする側面から捉えれば、このモデルの「CONTAREXシリーズ」はそもそもヘリコイドのトルク管理で「超高難度モデル」とでも表現したいほどに難しいオールドレンズの一つです・・さらにその中にあって「距離環と絞り羽根開閉操作の自動化を制御する”Blitz“モデル」の難しさと言ったら、それこそ別世界レベルです(怖)

特にこの「フラッシュのガイドナンバーに従い距離環の駆動域と絞り羽根開閉制御を同時に自動化する概念」との設計思想を具現化してしまった設計者は「天才ではないのか???」としか受け取れないほどに、内部構造は洗練され、且つスマートに合理的に無駄を省いた素晴らしい設計です!(驚)

これらの構造と機能を僅か1cmにも満たない高さ空間の中で、両サイドに配置される「直進
キー
」と言うチカラの方向性変換機構を避けた、鏡胴内に残された限られた空間内にキッチリ収めてしまった設計は「単にギミック感だけに留まらない涙腺が反応せざるを得ない快挙」にしか、当方には捉えられません(涙)・・本当に凄いです!(驚)

ハッキリ言って、今の現代ではこのような制御の必要性はほぼ皆無となってしまい陳腐化してしまいましたが(涙)、しかしこの機能の存在こそ「その栄光を決して忘れてはならない!」と常に心の奥底に思うところであります・・電子制御ではないマニュアルでアナログな世界の中だけで成し得たからこその栄誉を、褒め称え続けたい!(涙)

今回扱う「CONTAREX版Planar 50mm/f2シリーズ」だけを並べると以下になります。

↑1959年発売のシルバー鏡胴モデル (左端) にそのブラックバージョンモデル (中央)、そして今回扱うBlitzモデル (右端) ですが、モデルの仕様上は最短撮影距離:30cmなのが左端と中央だけで、Blitzモデルたる右端は「最短撮影距離38cm」です。

上の右端「Blitz (ブリッツ) モデル」は「Flashmatic (フラッシュ・マチック)」機構を実装したモデルで、ストロボ/フラッシュ撮影時に鏡胴のプリセット値環に刻印されているガイドナンバーを合わせて
セットすると、自動的に「距離環の駆動範囲と適切な絞り羽根の開閉幅が限定される仕組み」であり、失敗しないフラッシュ撮影を実現した先進的な仕組み・・フラッシュを焚く時、撮影時に気にするのは「ピント合わせだけ」だからです (Blitz“はドイツ語で稲妻の意)。

そもそもこれらのオールドレンズは、1959年に旧西ドイツのZeiss Ikonから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタレックス)」向けの交換レンズ群であり、後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり巷での俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産されなかったフィルムカメラです。

大きな円形窓が軍艦部に備わりますが、絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラになり、この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれています。

この丸窓はセレン光電池式連動露出計であり俗称の由来「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。

↑1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、発売当初は
焦点距離21mm〜1,000mmまで揃えており本気度の違いすら感じてしまいます。

↑一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX I型」取扱説明書に掲載されている「CONTAREX
版B-Planar 50mm/f2
」の光学系解説ですが、実はよ〜く見ると不可解な掲載です(笑) 光学系構成図に添えてモデル銘がちゃんと記されているのに、何とその最短撮影距離が「30cm」のままなのです!(驚)

11 3/4 in」との記載なので「11インチ27.94cm」でさらに「3/4インチ1.905cm」ですから、足せば「29.845cm」で凡そ30cmの最短撮影距離になってしまいます。

ところがCONTAREX版B-Planar 50mm/f2《Blitz(CRX)の解説ページのとおりBlitzモデルは「最短撮影距離38cm」なので、距離環刻印距離指標値は「18”」でちゃんと終わっています (実際の距離環突き当て停止位置は18”の刻印位置からだいぶ回った位置で止まる)。ちなみに18”は45cmになります。もちろんシルバー鏡胴モデルのほうも距離環刻印距離指標値は「最短撮影距離30cm」として刻印しています (メートル表記だから)。

前述した「Flashmatic (フラッシュ・マチック)」機構の写真も、実は同じ取扱説明書からの抜粋なので、一つの取扱説明書の中で辻褄が合わない記載をしていることになります。

↑さらに上の光学系構成図も同じ取扱説明書からの抜粋です。2つとも「CONTAREX版Planar 50mm/f2」の光学系構成図である事をちゃんと謳っているのに、肝心な光学系のカタチが別モノなのです!(驚)

左側の光学系構成図は取扱説明書の中に載っている「標準レンズを装着したフィルムカメラのカット図線画」からのトレース図になり、一方右側はオプション交換レンズ群の解説の中にて掲載されている構成図からトレースしたものです (いずれも当方にてトレースしています)。

しかもこれら2つの構成図をよ〜く観察すると「そもそもあり得ない構成図なのは右側」だと明言できてしまいます(笑) その理由は「光学系第3群と第4群後玉との間の距離が長すぎる」点で、さすがに「光学知識皆無なド素人」の当方でさえ、この後玉の格納位置では標準レンズに成り得ないのが分かってしまいます(笑)

その結果、当初の仕様だった最短撮影距離「30cm」タイプのモデル (シルバー鏡胴モデルと後に黒色鏡胴モデルが追加発売) の光学系と
必然的に変わることになります。

右図は当初の仕様たる最短撮影距離「30cm」の場合の光学設計を トレースした図で当方の手によるデジタルノギスでの計測に基づく 構成図になります。

最短撮影距離「38cm」に仕様変更した “Blitz” モデルの標準レンズ「B-Planar 50mm/f2.0」の構成図は右図になり、やはり以前に
オーバーホールした際、取り出した光学硝子を当方の手でデジタル ノギスで逐一計測してトレースした図です。

光学系の第3群〜第4群の曲率や外径サイズなどが再設計されたのだと受け取っていたワケですが、実は光学系前群側の第1群前玉~第2群貼り合わせレンズの設計も異なります。

さらにこの「Blitz“モデル」には製品の仕様上何一つ変わらないのに「光学系の造り自体が変化した個体が顕在する」のを右構成図で示しています(驚)

仕様上は何の変更も無く最短撮影距離「38cm」のままであり、特に光学系を再設計しなければならない理由が全くありません。意味不明な話なのですが一つだけ言える事は「製造番号494xxxx」なので、おそらく最後のほうに製産/出荷されていた個体なのではないかと考えています。
(特に光学系後群側が黄鋼材によるモールド一体成型に変わっている)(驚)

↑光学系第3群が黄鋼材一体モールド整形されつつもさらにアルミ合金材の光学系後群格納筒に整形され、且つ第4群まで黄鋼材の一体モールド成形です(驚)

  ●               

さて、冒頭の解説は前段になり、実はここからが今回扱った個体の解説に入ります。

今回の解説は市場流通品に対する「一つの警鐘」として掲載しています!

結論から言えば、実は上の右側に列挙した構成図で 色付した部分、シルバー鏡胴モデルの「光学系後群の第3群第5群後玉」及びBlitzモデルの「光学系前群の第1群前玉第2群貼り合わせレンズ」を「光学系前群と後群とで合体させてしまった個体」だったのです!(驚)

このような仕業を公然と平気でヤッてしまう点に於いて、当方はまるで予測すら思い浮かばず
当初のオーバーホール/修理ご依頼時「写りが変でピント面の左右でボケ具合が違ったり滲んだりしている」との内容で承ってしまったのです(汗)・・本当に申し訳ございません!(涙)

今までの13年間、この「CONTAREX版Planar 50mm/f2」の個体を23本も扱っておきながら、全く気づけなかったのです!(涙)・・本当にスミマセン!

↑上の写真は過去にオーバーホール/修理た際に撮影した写真からの転載で、1枚目がシルバー
鏡胴モデルの「光学系第1群前玉締付環の裏面側」の状態を赤色矢印で指し示しています。

2枚目が今回扱った「Blitz“モデル」の同様前玉の締付環裏面側です・・問題なのは赤色矢印で指し示している箇所の設計上の相違で「要はシルバー鏡胴モデルの前玉と”Blitz“モデルの
前玉は互いに入れ替えができない!
」事を解説しています。

これは以前シルバー鏡胴モデルの前玉をBlitzモデルの前玉から転用してキレイに仕上げたいとのご依頼を承った際に判明した「事実」です!(驚)・・つまり前玉の曲がり率と厚みが異なる設計なので、当然ながら入れ替えが不可能なのです (ムリに入れ替えても隙間が空いてしまい固定できない)!

たかだか締付環裏側の突出の有無だけの相違のように見えますが、実はこの締付環の曲がり/アールも設計が異なり、且つ締め付け時のネジ山数まで異なるので、当然ながら隙間が空いたりします(泣)

従って、今回のオーバーホール/修理では、当初ご依頼時に「もしかしたら光学系第2群の貼り合わせレンズを過去メンテナンス時に一度剥がし、再接着されていてちゃんと格納できていないのかも知れない (だから偏芯や光軸ズレが起きていると予測した)」との内容で概算見積を
メール送信したのです(泣)

・・届いた個体をバラしたら、ぜ~んぜん違う因果関係だったのです!(驚)

これは、当然ながら互いのモデルで (シルバー鏡胴モデルと”Blitz”モデルとで) 最短撮影距離が違うので、必然的に同一の光学系で済むハズがないのです(泣)・・当方は「光学知識が皆無」なのですが、それでもムリヤリ考えると、前焦点位置と後焦点位置が違うのは歴然で、結像点まで変わる事が推測でき、シルバー鏡胴モデルの後群とBlitzモデルの前群とを組み合わせて「まともに描写性能を維持できるワケがない」のです!(涙)

・・それが不可能である事の「証拠」として、前出の2枚の転載写真を解説しました。

本来Blitzモデルの光学系後群は「光学系第3群と第4群の外形が同一径」ですが、今回の
個体は「第4群のほうが大きい外形」です(涙)

確かにBlitzモデルで異なる外形のタイプが顕在しますが、それは「黄鋼材によるモールド一体成型」での話なので、別モノです・・すると引き出される結論はたったの一つシルバー
鏡胴の後群を持ってきて転用してしまった/入れ替えてしまった
と言う所為が浮かび上がり
ました!(驚)

・・こういう事を公然と平気でヤッてしまうのはまさに当方同業者たる『転売屋/転売ヤー

しか居ません!(怖)・・いったいどうしてこう言う事が平気でできるのか???・・とても信じられませんが(涙)、何でもアリの世界なのが当方と同業者たる『転売屋/転売ヤーです(涙)

・・しかしこれが市場流通品で罷り通ってしまうと、とても判別ができません!(泣)

要は光学系前群に瑕疵が残っているから、或いは後群側にクモリやカビ除去痕が多いから・・などの理由でサクッと入れ替えられて出品されたら、堪ったものではありません(泣)

↑上の写真は以前扱った個体からの転載写真ですが、1枚目がシルバー鏡胴の光学系後群側の撮影で、2枚目がBlitzモデルの後群写真です。

もしもなんとしてでも判別の根拠を発見する必要があると命じられるなら、上の写真のような判別手法しか残っていません(泣)・・赤色矢印で指し示しているのはそれぞれで違うタイプの「光学系第3群のコバ端位置」です。

Blitzモデルだけが「第3群と第4群が同径」なので、ご覧のようにコバ端の見える位置が
外周方向に偏ります・・シルバー鏡胴モデルの方は「光学系第4群の外径サイズのほうが
大きい
」ので、このような写り具合の差が現れます。

↑同様1枚目がシルバー鏡胴の後群側で、2枚目がBlitzモデルです。同じ様に赤色矢印でコバ端位置を示していますが、このような位置の違いを「オークションの出品ページ掲載写真だけで判定を下すのは至難の業」としか言いようがなく、本当に腹立たしい限りです!(怒)

これら4枚の後群側写真から判別の方法を考えるとすれば、それは「光学系後群第3群の締付環の遮光段部分の見え方」と言う、締付環の遮光部分 (ギザギザに段々状に切削されている環/リング/輪っか) が斜め状に明確に (小さい外形サイズで内側に) 見えているか否かで判定を下すしかありません(泣)

↑上の写真は、今回の個体を完全解体した際に取り出した「光学系前群」たる光学系第1群前玉第2群貼り合わせレンズと、第3群第5群後玉の「光学系後群」です。こうやって並べても、光学系第4群の外径サイズが大きいのが不明瞭ですから、どんだけ難しいのかと言う
話にしかなり得ません(汗)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCONTAREX版B-Planar 50mm/f2《Blitz(CRX)のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりましたが、先ずはこの個体に於けるご報告と言うか、指摘事項を列挙する必要があります(泣)

↑上の写真は以前にオーバーホール/修理した別個体のBlitzモデルからの転載写真で、完全解体の全景写真です。ところが赤色矢印で指し示している構成パーツが今回の個体には実装されていませんでした(泣)

実は当初バラす前の確認時点で「確かに無限遠位置の合焦はピント面が怪しげで、色ズレも起きている」のが実写確認で判明していますが、それ以外にも「鏡胴の前後左右での僅かなガタつき」も掴んでいる指が感じ、直進動方向でのガタつきに合わせて、ピントのピーク/山の前後動時にもわずかにガタつきを感じました(泣)

その因果関係が上の構成パーツの欠品で、その影響からヘリコイドオスメスのネジ込み位置が1山分だけ故意にワザとズラされており、合わせてマウント部の爪も明らかに緩めてあり
ました(泣)

↑上の写真が欠品している構成パーツの拡大写真ですが、当方が所有する「ジャンク品/部品取り品」たるBlitzモデルから今回のオーバーホール/修理に際し転用しました(泣)

ちなみにこの構成パーツは「フラッシュマチック機構」に於いて「距離環と絞り羽根開閉の駆動制御」を正しく執る際に必須の構成パーツです(泣)・・この構成パーツが欠品していると絞り羽根の開閉制御が狂うので、それを「ごまかす整備」が必須になります。

↑実際はご覧のように右横に並べた「捻りバネ」との関係性で必需品であり、且つ適切な反発を「フラッシュマチック機構」の制御に於いて及ぼす役目です。

↑さらに上の写真は今回の個体を完全解体した際に取り出した絞り羽根9枚の中から「経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びた3枚」をピックアップしています。中央の絞り羽根は見ただけで赤サビの状況が分かると思いますが、左右の絞り羽根は赤色矢印で指し示している箇所に赤サビが起きています(泣)

・・これらの赤サビ箇所は全て当方のオーバーホール/修理工程の中で完全除去しています。

↑上の写真は絞りユニット内で使う「開閉環」ですが、やはり赤色矢印で指し示している領域に (相当長い領域ですが) 確かに3枚分の長さで赤サビが起きていました(泣)・・こちらの「開閉環」も上の写真撮影時点で「磨き研磨」にて既に赤サビを完全除去しています。

↑上の写真は今回の個体から取り出した「光学系前群格納筒 (左)」と「光学系後群格納筒 (右)」ですが、赤色矢印で指し示した箇所に過去メンテナンス時に着色されていた「反射防止黒色塗料」が残っていましたが、このうち第2群貼り合わせレンズと第5群後玉の2箇所で「確実に格納できておらず極僅かに斜めっていた」のが、今回の個体での実写で影響を示していた「色ズレと偏芯」ではないかとみています。

但し、そもそも光学系後群格納筒を見れば一目瞭然ですが「シルバー鏡胴モデルからの転用」なのが分かります (径が違うから)。

↑同じ格納筒をひっくり返して裏側を撮影していますが、赤色矢印で指し示した箇所にはやはり赤サビが生じており今回のオーバーホール工程で完全除去しています。またグリーン色の矢印で指し示した箇所にも全面に渡り「反射防止黒色塗料」が厚塗されていたので、同様完全除去しました(泣)

これらの影響から9枚の絞り羽根のうち1~2枚のプレッシングキーが垂直を維持できていないようで(汗)、マウントアダプタで絞り環操作していると「稀に絞り環の操作時に抵抗/負荷/摩擦を感じる事が起きる」ので、その際は「必ず強く操作せずに一度反対方向に戻してから
もう一度操作し直して下さいませ
」・・そうしないと絞りユニット内部で1~2枚の絞り羽根が膨れ上がっている為に、その抵抗/負荷/摩擦を指が感じて絞り環操作が重くなっており、ムリに操作すると「絞り羽根が変形する/下手すればキーが欠落」の懸念が高いのでご留意下さいませ。

・・キーの垂直度は検査機械設備がないので当方では分かりません(泣)

↑上の写真はこのモデルで使う鏡胴内部の「両サイドにセットされる直進キー」です。すると赤色矢印で指し示している箇所に切り欠き/カット/欠落があります。どうして互いに違う場所に切り欠き/カット/欠落を用意しているのでしょうか???(笑)

さらにグリーン色の矢印で指し示している箇所の問題も「整備者ならその理由と役目を答えられなければイケナイ」と指摘できます(笑)

要は、過去メンテナンス時にこれら「直進キー」の固定箇所をミスっていました(笑)

両サイドのどちら側にいずれの「直進キー」を締付ネジで締め付け固定するのが正しいのかの判断をミスると、このように距離環を回した時のトルクムラの原因に至るので、それを「ごまかす整備」を行うハメに陥ります(笑)

↑前出の並べた2つの「直進キー」を重ね合わせて一つにまとめて撮影しています・・グリーン色の矢印で指し示している箇所が「僅かに斜めっているが同じカタチと方向で設計されているのが分かる」ものの、はたしてそれはどのような理由なのでしょうか???(笑)

ちなみに当然ながらこのモデルも「鏡筒の繰り出し/収納は直進動」なので、鏡胴内部で真っ直ぐ進んでいます・・それなのに、どうして「直進キー」の中心部は「斜め状に切削される必要があるのか???」ですね(笑)

こう言う細かい事柄についてちゃんと「観察と考察」ができて「原理原則」から組み上げられないから最後には「ごまかしの整備」にしか組み上げられず「ガタつきが残った個体」として仕上がります(笑)

・・当然ながら今回のオーバーホール/修理では完璧にガタつきを排除しています(笑)

ちゃんと正しい適切な位置で「直進キー」を硬締めしたので、とても軽いトルク感に仕上がっています(笑)・・こういうのが当方が言う処の「本来在るべき姿」ですね(笑)

↑こちらも「ごまかしの整備」の一貫ですが(笑)、左側はフィルター枠をひっくり返して並べています。一方右側は既にヘリコイドオス側をネジ込んだオーバーホール工程を進めている最中の鏡胴です。

するとフィルター枠の裏側に1つだけ突出が備わり、それが「ヘリコイドオス側の縁に用意されている切り欠きに入る」のをグリーン色の矢印で指し示しています。

ところが過去メンテナンス時の整備者は「用意されている切り欠き6箇所の何処にセットすれば良いのか理解していなかった」ので、距離環がズレて入っていたのです(笑)

なぜなら、このBlitz“モデルだけが「フィルター枠の直下に指標値感が配置された設計だから」です(笑)・・つまり基準「|」マーカーが距離環の距離指標値真上に居るので、そこに∞の刻印位置を合わせて仕上げる必要が起きます。

ところがフィルター枠の裏側には突出が1つだけなので、固定できる箇所が決まってしまいます(笑)・・さて、どうやって微調整すれば良いのか???・・ですね(笑)

ちなみにそのフィルター枠直下に来る指標値環はイモネジ固定なので、ムリヤリ任意の位置で締め付け固定している個体も今までに幾つか扱いましたが、リアルな現実は「ちゃんと製産
時点にイモネジ用の下穴で深いのが1箇所だけ用意されていて、しかも3本のイモネジの中で長いのが1本だけ存在する
」ので、凡そ製産時点には「例えヘリコイドオス側の縁に6箇所溝が用意されていても刺さる箇所は1箇所だけ決まっていたハズ」との推定が適う次第です(笑)

・・当然ながら、では何故6箇所も溝が用意されているのかが既に分かっている(笑)

こう言うのが「観察と考察」であり「原理原則」に則って組み上げていけば、自ずと自然に「本来在るべき姿」として完成し、手に馴染む素晴らしい操作性で仕上がるのです (当方は
技術スキルが相当低いので何一つ難しい作業ができないから、そうするしか手がない
)(笑)

↑以上ご報告としてオーバーホール/修理が完了した今回の個体に関する当初の内容を挙げました。光学系は前玉外周部分に経年劣化進行に伴うカビ除去痕が複数菌糸状に残り、僅かにクモリを付随しますが撮影する写真には影響しません。

他、光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

前述のとおり、今回の個体は敢えて「反射防止黒色塗料」を完全除去して光学硝子レンズを
適切な位置で格納しています。

↑光学系後群側もスカッとクリアでカビ除去痕が残っていませんし、もちろん極薄いクモリ
すら皆無
です。

↑赤サビが生じていた3枚の絞り羽根も「磨き研磨」を施したのでキレイになっていますが、前述のとおりプレッシングされているキーが垂直場を維持できていないようなので「極僅かに絞り羽根の開閉角度を広めにセットしている」状況です。

これは適正値で組み込むと膨れ上がってしまう頻度が上がったので、最終的にこのように仕上げました(泣)・・特に絞り羽根の中心部を確認すれば一目瞭然ですが「過去の一時期に絞り
羽根が噛み合ってしまっていた痕跡が残っている
」のが分かります(泣)

・・おそらくその影響でキーが変形しているのだと思いますが、調べられません(汗)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

 

今後50年も経てば、おそらく市場流通している数多くのオールドレンズ個体は、その実装光学系の限界に到達し、合わせて巷で流行る「分解整備済」も含め「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を利用した整備により、最終的に製品寿命の短命化へと突き進んでいるのがリアルな現実としか言いようがありません(涙)

・・その時、初めてオールドレンズが『絶滅危惧種』だった事を、悟るのでしょう(涙)

当方が処置するDOH製品寿命の延命化を最終目標として、100%の完全解体を大前提としたオーバーホールを経て組み上げられています。

それは「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない「伝統的な研磨技術」を活用して、経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを徹底的に排除し平滑性を取り戻した内部の構成パーツを適切に微調整する事で、個別に経年するオールドレンズ個体への妥協のない「観察と考察」により「原理原則」に則り本来在るべき姿として、可能な限り「製産時点」に戻すことを
その使命としています。

従って内部の構成パーツは、製産時点も含めた全ての固着剤を除去し、各部位との連携の中でチカラの伝達を追求したオーバーホール工程を経て仕上げられています。それら完成したオールドレンズを手にした時、きっとその完成度の高さを堪能できることでしょう。

・・とここではイキナシ喧伝してますが(笑)、下手な広告が現れてウザイのに比べれば、まだ
マシでしょう(笑) 最近「分解整備済」が巷で流行っているので(笑)、警鐘を鳴らす意味で下手な化学薬品を使うのは「およしなさい」とご案内するところであります・・端的に指摘すれば「製品寿命の短命化」を促しているようなモノで(怖)、ただでさえ放っておいても市場流通数は限りなく激減していく方向にしか至らず、それが何とも哀しいリアルな現実で御座います(涙)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当方独自のヌメヌメっとしたシットリ感漂うトルク感に仕上がっており、ピントのピーク/山の前後動では掴んでいる指の腹に極軽いチカラを伝えるだけで微動が適うので「軽い」操作性に仕上がっています!(笑)

↑付属で同梱いただいたKIPON製「CRX-NEXマウントアダプタ」を装着したところですが、このマウントアダプタはたいしたモノで「ちゃんと装着した時に絞り環が開放f値:f2でセット
される
」設計でした!(驚)

↑一方こちらのマウントアダプタは、とうほうがいつも使っているタイプで「 haoGe製CRX-LMマウントアダプタ (絞り環装備)」にダブル装着で「 FOTOFOX LM-NEXマウントアダプタ (ヘリコイド付)」です(笑)

するとご覧のように開放f値を合わせる機能を装備していないので、装着すると「f1.4」で入ってしまいます(笑)

↑しかしその代わりにメリットがあり(笑)、例えば赤色矢印のように最短撮影距離:38cmまで繰り出した時、上の写真のようにグリーン色の矢印で指し示したい値にヘリコイド付マウントアダプタのローレット (滑り止め) がセットされている場合「オリジナルの仕様上の最短撮影距離位置のまま」で使えます・・つまり最短撮影距離は38cmのままですね(笑)

ところがブルー色の矢印❶のようにローレット (滑り止め) を回していくと、ずずぅ~ッとオールドレンズ全体がせり上がり「5㎜分さらに繰り出される」状態に変わります (ブルー色の矢印❷)。

グリーン色の矢印の位置にあるツマミは「ロック解除ボタン」なので、その位置までローレット (滑り止め) を回すと繰り出しますが、もちろん途中で止めても構いません(笑)

要は最大限繰り出すと (5㎜分) 最短撮影距離が短縮化でき「仕様上の38cm29cmまでの近接撮影が適う」ワケで、それこそBlitzモデルながらも「シルバー鏡胴と同じ最短撮影距離:30cmの撮影が適う」と言うお話です(笑)

当然ながらこの時「フラッシュマチック機構」はOFFなので(笑)、上の写真オレンジ色の矢印のとおり互いのリリースマーカ「▲▼」は合致させたままです。

↑実際にローレット (滑り止め) を回して繰り出すと、こんな感じで全体が「5㎜分」繰り出します (オレンジ色の矢印)(笑)・・オリジナルの最短撮影距離:38cmに戻すなら、そのままローレット (滑り止め) を反対方向に回して (ブルー色の矢印❸) いくと、全体がずずぅ~ッと収納されて (ブルー色の矢印❹) オリジナルの状態に戻りますから「直感的に近接撮影したい時だけローレット (滑り止め) を繰り出せば良い」ので、当方ではこれを以てして『疑似マクロ化』と呼んでいます(笑)

なお余談ですが(笑)、この「 haoGe製CRX-LMマウントアダプタ (絞り環装備)」は開放f値が一致しないタイプなので、装着すると一段分ズレています (開放f値が絞り環側はf1.4に入る)。

その関係で「絞り羽根は1段分ずつズレた数値の表記」になりますが、それは裏を返せば「最小絞り値がf32まで閉じられる」話になります(笑)

従って、このローレット (滑り止め) 付マウントアダプタのメリットとしての「被写体への近接撮影29cm」の結果の恩恵で「光量が増えてボケ味もよりトロットロに変わる」のを逆手に取り「最小絞り値:f32でもまだ溶けている写真が撮れる」次第です(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離38cmでの開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

なお1枚目がオリジナルな仕様上の最短撮影距離:38cm実写で、2枚目が装着しているマクロヘリコイドを回して「5㎜分繰り出した状態での同じ開放実写」です(笑)・・被写体により近づいたので、光量が増して明るくなりボケ味まで増大している「まさにマクロレンズの状況」ですね(笑)

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。1枚目がオリジナルの最短撮影距離:38cmで2枚目が「29cmまで近接撮影」ですね(笑)

↑さらに回してf値「f4」で撮っています。

↑f値は「f5.6」に上がりました。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」に上がっています。

↑取り敢えず仕様上では最小絞り値になる「f22」での撮影ですが、絞り環がまだ回ります(笑)

↑最後まで絞り環を回すと簡易検査具で調べてf値「f32」に到達しています(笑)

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。前述のとおり、当方が気づけなかったが為に今回のご依頼を受けてしまいましたが、もしもご納得頂けない場合は「減額」下さいませ・・申し訳ございませんでした!(涙)

引き続き、次のオールドレンズの作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。