◎ STAEBLE OPTIK (シュテーブル・オプティック) STAEBLE-LINEOGON 35mm/f3.5 silver《Paxette版》(M39)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
STAEBLE OPTIK製準広角レンズ・・・・、
STAEBLE-LINEOGON 35mm/f3.5 silver《Paxette版》(M39)』です。


今回も初めての扱いになるモデルですが、戦前から発売されていたレンジファインダーカメラ「Paxetteシリーズ」用のオプション交換レンズ群の一つを「疑似マクロ化」させることで「盛大な収差の世界」が愉しくてまた手を付けてしまいました!(笑)

本来製品としての仕様である「最短撮影距離1m」を「なんちゃってマクロ」で「17cm」 まで短縮化してしまいます (実測値)。もちろん本来の設計で突き詰められた描写性能から逸脱した写りですから決して褒められる話ではありませんが、それでも愉しいのでハマッている ワケです!(笑)

そうは言ってもいつものとおり小心者の当方なので「一切の改造無しオリジナルのまま」でのトライですから、いつでも好きなタイミングで元のオールドレンズに戻せます。60年以上を経た老体でひっそり余生を愉しむか、過去の栄光にしがみつきつつも今一度光り輝きたいのか残りの命運を握るのはご落札者様1名様のみです!(笑)

是非ともご検討願えれば一生懸命辻褄合わせに没頭した甲斐があると言うモノです・・(笑)
(単純にフランジバック計算しても現実はその数値どおりの結果/写り方には至らないから)

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戦前ドイツで1915年にバイエルン州ニュルンベルグでKarl Braunによって 創設された会社で、戦後の1948年にはCarl Braun Camera Factoryとして レンジファインダーカメラ「Paxette (original)」を開発/発売しました。
(旧西ドイツ側に属する) 

このフィルムカメラはリーフシャッター方式のPRONTOR-Sを搭載した「固定式レンズ」のレンジファインダーカメラでした。

右写真はアクセサリシューが一体型切削だった初期のモデルで後の モデルバリエーションではアクセサリーシューが後付けされるように変更になっています (シャッター速度はいずれもB〜1/300)。

1951年に発売された上記の改良型「Paxette ver.II (original)」で、アクセサリーシューが後付けになったタイプです (写真左)。

また右写真は上記のVARIOリーフシャッター式を搭載したタイプで「Kataplast 45mm/
f3.5
」の固定式レンズです (1953年発売)。

さらに1956年発売の「Paxette IB ver.2」で、右写真は巻き上げノブが附加されたほうのタイプです。

巻き上げノブが無いoriginalと同一の巻き上げ式のタイプも存在するようです。

この辺のモデルバリエーションはとても多く複雑です。これらは全て「固定式レンズ」ですが「POINTAR/KATA/Cassar」などの銘柄モデルが存在します。

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また1952年「Paxette II」が発売され、新たにオプション交換レンズ群が用意され「M39ネジ込み式マウント規格」を採用しました。マウント規格自体は「内径39mm x ピッチ1mm」なのでライカ判のネジ込み式マウント規格「L39」と同一ですが、フランジバックが 違うので転用できません。

右写真は少々珍しい1951年版「Paxette I ver.II」なのにレンズ交換式に変わっているタイプです (Prontor-S搭載)。

さらにリーフシャッターがProntor-SVSに変更になり巻き上げノブが附随する「Paxette II」で1953年の発売タイプのようです。

もちろんレンズ交換式で同様に「M39ネジ込み式マウント規格」の ままです。巻き上げノブは2回巻き上げが必要です。

1953年に発売された「Paxette IIL」でレンジファインダーユニットにより軍艦部の中央が一段分高くなっています。

他に「Paxette IIM/Paxette IIBL」なども存在し、やはり種類が多く複雑です。

右写真は「Paxette IIM」で巻き上げノブが無いほうのタイプになります。


右写真は「BRAUN Paxette」でBRAUN銘を刻印しているタイプに なりこちらも少々珍しいタイプなのでしょうか。

何しろバリエーション数が非常に多いので、世代としての前後はもちろん細かい仕様上の違いなどもよく理解できていません。

(もしも間違いがあれば是非ご指導下さいませ)

そしていよいよ「M39ネジ込み式マウント規格」では最後に登場する1956年発売の「Super Paxette I」からのバリエーションです。

やはりモデルバリエーションが幾つか存在し「Super Paxette IB/
Super Paxette IL」などがあるようです。

結局簡単に大きく分類すると「固定式レンズ方式のPaxette Iシリーズ」また同時期に「レンズ交換式M39ネジ込み式マウント規格のPaxette IIシリーズ」そしてさらに「距離計連動機構を装備したSuper Paxette Iシリーズ」までが「M39マウント」対応モデルと考えられます。

なお「距離計連動機構装備」のPaxetteにセットで発売されていた交換レンズは「-E-」刻印をレンズ銘板に伴うオールドレンズで、距離計を意味するドイツ語「Entfernungsmesser」の頭文字を採っています (必ず-E-が附随するとも限らない/今回のモデルは附随していない)。

但し距離計と言っても構造としてはちょうど「M42マウント」の絞り連動ピンのような仕組みなので、レンジファインダーカメラ側マウント部内部には「押し込み板」が備わり、その板状が押し込まれる量で距離計が連動するようです。

またこの事から同一モデル銘のオールドレンズでも「-E-」の有無によってマウント面の設計が異なっており、特に「マウントアダプタへの装着時に問題が起きる」点が要注意です (最後 までネジ込めないタイプが中には存在する)。

従ってライカ判「L39」と同じマウント規格だからと取っつき易く考えるのですが、イザッ オールドレンズを手に入れると下手すれば用意したマウントアダプタにネジ込めないハメに 陥ります (実際当方もそのような個体が数本あった)。この相性のような問題点があるために、なかなか手放しで調達できない難しさがあったりしますね。

特に今回の個体をオーバーホールする際に大きな問題になったのが「フランジバック計算だけではピントが合わなかった」という点です。「Paxetteシリーズ」のフランジバックは「44mm」なのですが「なんちゃってマクロ」で疑似マクロ化させる為にフランジバック計算すると「SONY Eマウントに対して25.72mm26mm」なのにピント合焦しないのです。

《フランジバック計算の考え方》
SONY Eマウント規格のフランジバックは18mmなので、Paxetteのフランジバック44mmから18mmを差し引いた数値が今回の求めるフランジバック計算値26mm (各附随するアダプタ類の合算値) になる。

結局個体別に無限遠位置がビミョ〜にズレている為にアンダーインフ状態に陥り計算上は「0.28mm余裕がある」ハズなのに相殺されてしまったワケです。つまりオーバーホール工程の中でキッチリ無限遠位置を合わせて、且つ附随する各アダプタ類を極限まで隙間無く配置 させる必要があったワケで、それが大変なのです (最終的に現状ほんの僅かなオーバーインフ まで仕上げてある)(泣)

  ●               


上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端からピント面のアウトフォーカス部に広がる背景ボケが変化していく様をピックアップしています。光学系に3枚玉トリプレット型構成成分を包括していながら「変形配置」に起因するのか収差の影響が大きくキレイな円形ボケが表出できません。それでも却ってその乱れたボケ味がむしろ「背景効果」的に使えてしまいます(笑)

二段目
左端写真のように数多く存在するSTAEBLE OPTIK製Paxette向けオールドレンズの中にあって明確なコントラストの高さを持つ、ある意味貴重なモデルと言えます (他のモデルが大人しめなので)。このコッテリ系のコントラストは好き嫌いが分かれるでしょうが、この当時の焦点距離35mmの準広角域のオールドレンズでこれだけ高めのコントラストを保持できるのは魅力的です。

ところが白黒写真になるとご覧のように256階調にカラー成分が割り振られる際、ご覧のように自然な階調で広がるのでまた別格の写り方を愉しめます。本来の製品としての被写界深度はそれほど狭くなさそうですね。

光学系は4群4枚の「変形トリプレット型構成」と当方では判定しま した。

実はネットを見ているとこのモデルの光学系を指して「初期のレトロ フォーカス型構成」と解説している場合があります。

それらの解説サイトは高い信用/信頼のある由緒正しい某有名サイトばかりですから、当方のような信用/信頼が皆無なモノの説明などはその信憑性が疑われるので、どうか深く考えずに笑い飛ばして頂ければと思います (正しいのはそれらサイトの説明です)。

ところが天の邪鬼な当方の考えは違っていて(笑)、レトロフォーカス型構成とはどうしても受け取れないのです。

この「レトロフォーカス型構成」と言う表現をみた時に「甘い写り方」「コントラストの低い古めかしい写り方」などの印象で解説しているサイトがネット上を見ているととても多いですが、これはこの光学系のコトバ「レトロ」から受けた印象で語っているからそうなります。

つまり「古めかしい/復古調の」と言う一般的な「レトロな感覚」とは異なり「レトロ (後退 させる)」と「フォーカス (焦点)」が合体した当時に作られた商標 (造語) が正しい認識になります。

この問題を正しく認識するには当時の時代背景を知らないと理解できません・・。

当時戦前からフィルムカメラの主力として世界各地で開発され使い続けられていたのはレンジファインダーカメラです (現在有名な一眼レフフィルムカメラではない)。カメラボディ側に リーフシャッターを装備した方式が主流だったので「オールドレンズのバックフォーカスが 短くて済んだ時代」とも言えます。

バックフォーカス
オールドレンズの後玉端からフィルムカメラのフィルム印画紙面までの距離を指す

フランジバック
レンズマウント面からカメラのフィルム印画紙面/撮像素子面までの距離

時々、このようにバックフォーカスとフランジバックをあべこべに認識している人が居ますが、これらは全く別の要素を意味します。

左図はこの解説用に用意した合成図なので配置と距離が厳密では
ありません。

の距離がオールドレンズマウント面からの距離であり「フランジ
バック
」です。
一方の距離は後玉端からの距離なので「バックフォーカス」を
意味します。

するとフランジバックはマウント規格として「一つの数値しか存在しない」ワケですが、一方バックフォーカスは同一マウント規格だとしても「オールドレンズのモデル別に千差万別」と言えます。

そこで今回この問題「レトロフォーカス型構成」を考えた時、フォーカスの焦点位置を後退させて相当後のほうに結像させる概念の話ですから、それは「バックフォーカスが必要になったフィルムカメラの方式」に適合すると言い替えられます。

つまりフィルム印画紙面の直前に「クィックリターンミラーボックス」を配置させてオールドレンズの後玉端からの距離が長くなった、戦後すぐに登場した新たなフィルムカメラの方式たる「一眼レフ (フィルム) カメラ向けの光学系」と言えます。

逆に言うなら、戦後まではレンジファインダーカメラが主流だったので特に広角域の焦点距離だとしても「バックフォーカスは短いままで大丈夫だった」ハズなのであり「レトロフォー カス型光学系の必要性が存在しない」とも言い替えられます。

ここがポイントです・・!

1950年世界で初めて「レトロフォーカス型構成」を実装したフランス屈指の老舗光学メーカーP. ANGÈNIEUX PARIS社が発売した「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」と言う準広角 レンズの登場によって、ようやくバックフォーカスが長い広角域の光学系構成が用意されたのです。

当初P. ANGÈNIEUX PARIS社はこの「RETROFOCUS」をちゃんと登録商標として登記しましたが、世界規模で広まりこのコトバが一人歩きしてしまった為に訴訟沙汰にせず黙認し続けたようです。

以上がこの「レトロフォーカス」と言うコトバの正しい認識とその登場背景ですが、今回扱うモデルがレンジファインダーカメラ用の準広角域のオールドレンズなので「レトロフォーカス型構成を使うハズがない」のです。

そのように考えないと当時の背景に照らしても辻褄が合いません(笑)

従ってバックフォーカスを長くする理由が存在しないので当方の判定では「変形トリプレット型構成」となり「決して初期のレトロフォーカス型ではない」と断言してしまいます(笑)

右図は前述のP. ANGÈNIEUX PARIS社製「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」の光学系構成図です。 部分は3群4枚テッサー型 構成が基本成分であり、その前にバックフォーカスを稼ぐ目的から 2枚硝子レンズを配した「レトロフォーカス型構成」ですね(笑)

こちらはP. ANGÈNIEUX PARIS社の発売から遅れること3年後の1953年にようやく発売された旧東ドイツのCarl Zeiss Jena製準広角レンズ「Flektogon 35mm/f2.8」の光学系構成図で、やはり4群5枚の ビオメター型構成たる 部分を基本成分とした「レトロフォーカス型構成」です (バックフォーカスを稼ぐ目的で直前に1枚配置)。

右図はさらにその基本成分となっている、やはりCarl Zeiss Jena製の
中望遠レンズ「Biometar 80mm/f2.8」光学系構成図になります。

前述のレトロフォーカス型構成に包括される基本成分なのが一目瞭然 ですね (全く同一である事が明白)(笑)

一方こちらは旧西ドイツはSteinheil München社から登場した「Auto Quinaron 35mm/f2.8」の光学構成図で4群6枚の典型的なダブルガウス型構成を 部分で基本成分としています。

もちろん直前に1枚配してバックフォーカスを稼いだ「レトロフォーカス型構成」です。

さて、ではこちらはどうでしょぅか?

2つ光学系構成図を載せましたが旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製から右側が「Primagon 35mm/f4.5」そして左側が「Lydith 30mm/f3.5」になり 部分の基本成分は3群3枚のトリプレット型構成です。

右図は本家3枚玉の「Trioplan 50mm/f2.9」の光学系構成図で全くピタリと配置が一致しています。

重要なポイントは「絞りユニットが何処に居るのか?」です。3群3枚トリプレット型光学系は第2群と第3群の間に絞りユニットが配置される前後パワーバランスになります (前群/後群別のパワー成分の配分率が異なる光学設計上の意図的な配置/狙い)。

逆に言うなら「絞りユニットの居る場所は必ず決まっている」のが光学構成上の一つのルールなので、何処に居ても同じと言う概念には成り得ません。

例えば3群4枚のテッサー型構成と同じく3群4枚のエルマー型構成は「互いに同一の光学系構成」とは通常言いませんョね? (絞りユニットの居る場所が違うから)(笑)

従って前述2つのオールドレンズがちゃんと「レトロフォーカス型構成」を採っていた事が これで明白ですね (絞りユニットの位置がピタリと適合しているから)(笑)

いずれの「レトロフォーカス型構成」もバックフォーカスを稼ぐ目的で基本成分の直前に1枚の両凸レンズと1枚の凹メニスカスを配置するか、或いは純粋に1枚の凹メニスカスだけでバックフォーカスを稼いでいますから「RETROFOCUS」の意味に適合した純然たる「レトロフォーカス型構成」と言い切ることができますね。

それではもう一度今回扱うモデルの光学系構成図を右に掲載して
みましょう。

如何ですか?

 部分はパッと見では3枚玉トリプレット型構成のように見えますが、実は「絞りユニットの配置が違う」と分かります。

もしもこの構成図を「レトロフォーカス型構成」と呼ぶのなら「絞りユニットは第3群の次に来なければイケナイ」と言えないでしょぅか???

つまり今回のモデルに載っている光学系は「レトロフォーカス型構成ではない」と受け取らざるを得ません。光学系第1群の前玉が居る理由は「バックフォーカスを稼ぐ目的ではなく焦点距離を延伸させる目的」なのだと言えます。当時標準レンズの光学系設計として主流を成していた3枚玉トリプレット型構成をムリヤリ準広角域まで延伸させた「苦し紛れの光学系」なのが今回の理論の結末です(笑)

とてもお話が長くなって申し訳御座いませんが、以上から当方では「初期のレトロフォーカス型構成」とは考えずに、あくまでも「3枚玉を変形させて35mmに延伸させた特殊な理由」と受け取った次第です。

しかしそうは言っても信用/信頼が皆無な当方がこだわっている話なので(笑)、是非とも皆様はネット上の某有名処で解説されている内容を「」としてご認識下さいませ (当方の話は偽りでいいです)。

そうしないとまた嫌がらせの誹謗中傷が来るので・・(泣)(怖)(涙)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造はこれでもかと言うほどに簡素で合理化が進んでおり各構成パーツの点数まで少ないです。

冒頭解説のとおりフランジバック計算では「25.72mm26mm」で十分間に合うハズだったのですが、当初バラす前の時点で「なんちゃってマクロ」やってみたらアンダーインフ状態でとてもピントが合いません(笑)

できるだけ早く愉しみたいとの想いだけで取り掛かっているので、焦っています(笑)

↑こうなると本格的に何処をどのように微調整すればちゃんと「なんちゃってマクロ」できるのか、マジッモードに切替です!(笑)

絞りユニットゃ光学系前後群を格納する真鍮 (黄鋼) 製の鏡筒ですが、ご覧のとおり光学系第3群の硝子レンズが組み込まれたままです。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑光学系前群側の硝子レンズ格納筒を組み付けて絞りユニットの絞り羽根がバラけないようにしたところです。つまり「絞りユニットの蓋の役目」を光学系前群側が兼務している設計です。

↑さらに光学系前後群をちゃんと組み付けて鏡筒の基本部分を完成させました。「絞り環用ベース環」の上から絞り環が被さりますし、距離環もヘリコイド (オス側) にセットされる設計です。従ってカチカチと各絞り値でクリック感を伴う「ベアリングスプリング」が既に組み込まれています。

↑こちらはマウント部ですが基準「」マーカーがある基台 (ヘリコイド:メス側) も兼ねています。

↑完成している鏡筒部分を無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

実はここまでの工程で (非常に工程数が少ないですが) ちゃんと微調整を施しており、当初バラした状態からビミョ〜に光学系の組み込み位置を変更して、最後に「なんちゃってマクロ」でピントが合うよう仕込んでいます(笑)

この後は絞り環と距離環をそれぞれセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。残念ながら今回出品する個体はフィルター枠が相当打痕していて変形しまくっていました。可能な限り真円状態に戻して何とかフツ〜にフィルターを着脱できるよう改善させていますが、それでもよ〜く見るとまだまだ変形が残っています (これ以上戻せません)。

↑パッと見で光学系内のコーティング層が全てご覧のように斑模様に剥がれているように見えてしまいますが、これは光学系第1群 (前玉) 表面側のコーティング層が経年劣化進行に伴い剥がれてしまったワケで、一部はカビ除去痕でもあります。

従ってLED光照射すると極僅かに薄いクモリが浮かび上がる場所がありますがカビ除去痕なので除去できません (事前告知なのでクレーム対象になりません)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側にもやはりカビ除去痕が残ってしまいその痕跡が視認できますが、然しLED光照射でも極薄いクモリが皆無の状態です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い2ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
但し前玉表裏面はコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが微かにあります
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持したまま」閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
フィルター枠に打痕が複数箇所あり修復済ですが僅かに変形しています(フィルター着脱可能)

↑このモデルはヘリコイドの駆動が「距離環が回ると一緒に絞り環も回っていく」回転式ヘリコイド駆動なので、絞り値の刻印が両サイドに刻んであります。また今回の「なんちゃってマクロ」で疑似マクロ化でマウントアダプタやエクステンションを繋げていくと、基準「」マーカー位置は真下に来てしまい真逆のポジショニングです (マウントのネジ部の仕様なので改善不可能)。

↑上の写真は「フランジバック環」をセットした状態なのでこのオールドレンズ本来のマウント面の写真ではありません (本来の状態は前に掲載しています)。

この「フランジバック環」でちゃんと僅かなオーバーインフになるようピタリと合わせてあるので外さないようにして下さいませ。外した場合はフランジバックが超過してアンダーインフ状態に陥る懸念があります。

↑こんな感じで複数の附属品を一緒にセットして出品しています。

《附属品》
ハクバ製MCフィルター (新品)
本体のオールドレンズそのモノ
フランジバック環
M39後キャップ
M39前キャップ
マクロヘリコイド付マウントアダプタ
(新品)
エクステンション
(10mm) (新品)
エクステンション (16mm) (新品)
SONY Eマウントキャップ

なお、エクステンションのセットには他に附属品として「合皮の巾着袋」が用意されています。これら2種類のエクステンションは着脱に多少コツが必要なのでご留意下さいませ。そのまま急いで着脱させようとすると引っかかって取れない事があります (当方の問題ではないので関知しません)。

またフィルターの着脱もフィルター枠自体に変形がまだ多少残っているので、特にネジ込む際はネジ山が合うことを確認してからネジ込むようにして下さいませ (ネジ込んだ状態で梱包しお届けします)。他にフィルターケースが附属しています。

↑上の写真 (2枚) は、実際にマクロヘリコイド付マウントアダプタに装着して撮影する時の解説です。

《1枚目写真の解説内容》
ハクバ製MCフィルター (新品)
本体のオールドレンズそのモノ
フランジバック環
マクロヘリコイド付マウントアダプタ
10mmのエクステンション
SONY Eマウントキャップ

するとマクロヘリコイド付マウントアダプタのローレット (滑り止め) 部分をブルーの矢印方向に回すと、マクロヘリコイド部分がググーッと繰り出されて「5mm分シフトアップ」します。

つまりマクロヘリコイドを操作しなければこのオールドレンズの「仕様上の最短撮影距離1m」のままで撮影でき、マクロヘリコイドを操作すれば「近接撮影31cm」まで最短撮影距離が縮まります (最大の5mm繰り出した時/実測値)。

従ってマクロヘリコイドを操作するかどうかで簡単に切り替えられるので使い易いと考えます。

↑こちらはエクステンションを「16mm」に変更しています。この時マクロヘリコイドを回して繰り出せば「最短撮影距離21cm」までの近接撮影が実現できます (実測値)。

↑さらにダブルでエクステンションをかませれば (10mm+16mm) さらに近接撮影が可能になり「最短撮影距離17cm」と言う話です (マクロヘリコイド操作時の実測値)。

このブログページの最後に各エクステンション装着時の実写を載せたので、どんな感じで拡大で写って、且つボケ量が増えるのか参考にして下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる仕様上の最短撮影距離1mでの開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少ハレーション気味だったりします。

↑上の写真は、マクロヘリコイドを回して「最大5mm」繰り出して撮影した時の状況で「最短撮影距離31cm」まで近接撮影した時の開放実写です。

↑上の写真 (2枚) は、同様今度は1枚目がエクステンションを「16mm」に付け替えた時の「最短撮影距離21cm」の写り方で、2枚目がエクステンション「10mm16mm」のダブルで撮った時の「最短撮影距離17cm」です。

いずれもマクロヘリコイドを操作して「最大5mm」シフトアップさせて (繰り出して) おり且つ最短撮影距離は全て実測値です。

《近接撮影の状況》※マクロヘリコイドの5mm分繰り出しで疑似マクロ化
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド回さず → 仕様1mのまま
エクステンション (10mm) +マクロヘリコイド (5mm) →31cmまで近接
エクステンション (16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →21cmまで近接

エクステンション (10/16mm) +マクロヘリコイド (5mm) →17cm近接

↑上の写真 (4枚) は、同様1枚目が「仕様上最短撮影距離1m」で2枚目がマクロヘリコイド繰り出し時の「31cm」3枚目が「21cm」で最後の4枚目が「17cm」です。

いずれも絞り環を回して設定絞り値を「f4」に変更しています。

↑上の写真 (4枚) は、さらに絞り環を回してf値「f5.6」で撮影しています。1枚目が「1m」で2枚目「31cm」3枚目「21cm」4枚目「17cm」です。

↑上の写真 (4枚) は、f値「f8」での撮影です。

↑f値は「f11」に上がっています。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。