◎ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX Planar 50mm/f2 silver《前期型》(CRX)
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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
『CONTAREX Planar 50mm/f2.0 silver《前期型》(CRX)』です。
一昨日同じ旧西ドイツのOberkochenはCarl Zeissが発売/製産していた「凹Ultron 50mm/
f1.8《Oberkochen》(M42)」をオーバーホールしたので、大好きなこのモデルを仕上げたとなればもう1本やらないワケにはいかないモデルがあります!(笑)
・・と言ってる端から凹Ultronはご落札頂きました!ありがとう御座います! ヤフオク! では当方と同じ同業者が堰を切ったかのように同型品を似たような高価格帯で出品していますが(笑)、当方の即決価格は「作業分の対価を加算」しているつもりなのに対し、その同業者は「ハッキリ言ってボッタクリ!」
(何故ならず〜ッと継続観察してますが数ヶ月前まで7万円以下の価格帯だったのが突然の2万円増し!)(笑) 現下のコロナ禍のおり、きっと恥も外聞も無い のでしょう・・(笑)
当方の即決価格設定は、海外オークションebay価格帯の2万円増し (作業料)
なので、分母は市場価格に沿ってるワケです(笑) とは言いつつもどちらも
『転売屋/転売ヤー』なので煮ても焼いても食えませんね (同じ穴の狢)!(笑)
↑2016年にこの写真を見たがために今回扱うオールドレンズの虜に堕ちてしまった「たった 1枚の写真」です(笑)
ビミョ〜な独特の陰影が焼きレンガの壁に映り込む嵐が過ぎ去った後の (まるで大量の湿気にむせるような) ワンシ〜ンを撮影したこの写真の、あまりのリアルさに (まるで現場に佇んで いるかのような錯覚を覚え) 使われているオールドレンズのモデル銘を調べないワケにはいか ない素晴らしい写真です (おそらく撮影者の写真スキルも相当高いレベル)。
どんなオールドレンズでも似たような写真が撮れるのかと言えば、それがその通りにならないから惚れ込んでしまったワケです(笑) 平面的な (ノッペリした) 立体感を何も感じない写真、奥行き感も無くもちろん日射しの陰影だけで「風」の存在をその写真に見出すような、そんなリアルな写真はそう簡単には撮れません。
当方が「人の五感に訴えるような写真」と呼んでいるのがまさに上のような写真であり、音や温度まで (湿度まで) 感じてしまうほどに明確なインパクトが写し込まれている写真です。
ではそのような優れた (自分が感動したくらいの) 素晴らしい描写能力があるオールドレンズとなれば、相当ハイレベルなスペックなのかと言えば、意外にも熟れた仕様諸元で、少々呆気に取られてしまったモデルでもあります (意外に前玉小っちゃ!)(笑)
いえ、逆に言ったほうが分かり易いですかね。開放f値を「f2.0」に採ってきた分、ムリをしていない余裕がその吐き出す写真にちゃんと現れているとでも言えば褒め言葉になっているで しょうか。いわゆるスペック至上主義では決して説明できない要素を多分に含んでいるのだと受け取っています(笑) もちろんそんな感覚に頼った説明では説得力が無いと言われれば返す言葉がありませんが(笑)、しかし当方にとっての写真の鑑賞の仕方とは、意外にもそんな感覚的な部分がむしろ重要だったりしています (等倍鑑賞しませんから)(笑)
そんな感覚だけで物事を捉えているのか・・とどうぞお笑い下さいませ(笑)
従って別件で幾つかヤフオク! に出品していますが、エクステンション併用で「疑似マクロ化」で愉しむオールドレンズなど結構気に入って出品していますが、本来のそのオールドレンズの「光学性能から逸脱した描写性」にキャッキャッと騒いでいる始末なので(笑)、他の人達には魅力として受け入れられずに全くなびかない世界だとしても自分的には楽しくて仕方ないワケで(笑)、そのギャップがまた自らの満足感にも成り得ていると言うどうしようもない天の邪鬼です(笑)
その意味で「じゃ、マクロッていったい何なのョ?」などと食ってかかっているワケで(笑)、まさに「疑似マクロ化と本家マクロとの境界を競っている」ような部分に何だか魅力を感じてしまったからどうしようもありません(笑) もっと端的に言うなら「写真見て本家マクロと 疑似マクロの区別をちゃんと当てられるのかョ?!」と言うほとんど難癖状態です(笑)
もちろん写真を隅々チェックすれば「収差の影響度合いから疑似マクロだとすぐにバレる」 のでしょうが、はたして当方はまだまだ修行が足りないのでそれほど容易に見分けることが できていません(笑)
そんな低レベルの話の世界の中でのたうち回っている始末です・・(笑)
ちなみにこのモデルも『疑似マクロ化』の附属品をちゃんと用意して出品しているので毎回同じですが「即決価格:89,500円」です (何か指摘事項がある 時だけ多少安くなります)。
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1959年に旧西ドイツのZeiss Ikonから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタレックス)」は後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり、巷での俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と 共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産され
なかったカメラです。
大きな円形窓が軍艦部に備わりますが絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラですね。この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれますがセレン光電池式連動露出計であり、この俗称の由来は「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。
1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、焦点距離21mm から何と1,000mmまで揃っていたので、本気度が違いますね(笑) とは言いつつも、現実的な話しとして非常に高価なフィルムカメラだっので、はたしてこれらオプション交換レンズ群を揃えられた人が世界中でいったいどれだけ居るのかと考えてしまいます(笑)
当時の「CONTAREX I型」俗称”Bullseye“の取扱説明書を開くと「B-Planar 50mm/f2.0」と印刷されていますが、後に登場した「黒色鏡胴モデル”Blitz“」です。本来の最短撮影距離が30cmから38cmへと後退してしまった仕様諸元ながらも、大変珍しい「被写体までの距離と フラッシュ撮影時の絞り値を自動的に連動制御してしまうフラッシュマチック機構」装備の モデルです。
今回扱うモデルはシルバー鏡胴なので、それ以前に発売/登場していたタイプになり、従って「最短撮影距離:30cm」ですが、例によってマクロヘリコイド付マウントアダプタを併用して「最短撮影距離:25cmまで短縮化」して喜んでいる次第です(笑)
自分的にはなかなかこの当時の標準レンズで (マクロレンズではなくて)「25cmまで被写体に近づける」モデルというのは余り思い浮かばないので、それなりにきっと使い出があるとの 考えから (独りで勝手に) 気に入っている次第です(笑) 「25cm」と言っても今回のモデルは最短撮影距離での撮影時は、繰り出した筐体の全高で「6cm」ですから、被写体との実距離は「19cm」しか空間がありません。
こんだけ近づいて撮影したらマクロ撮影好きには十分楽しい!・・というワケです(笑)
そして何と言ってもマクロレンズとは真逆で「普段の撮影時に銘玉中の銘玉!」と言う写真を吐き出すワケですから、イザッとなればギリギリまで近寄っても撮れるのは自分的には楽しくて仕方ないワケです! (画が明るくなってさらに背景ボケが余計にトロトロに溶けるから)(笑)
但しそうは言っても「光学設計を逸脱した写り」である事には変わりないので、その点覚悟は必要です (当方などはむしろその増えた収差の感じがまた楽しい!)(笑)
・・と何を言っても聞く耳持たずなので、こうなるとどうしようもないですね!(笑)
上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。
◉ 一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで単なる円形ボケへと変わっていく様をピックアップしていますが、肝心なそのシャボン玉ボケは「たいしてキレイにエッジが出てこない」或いは「大きなシャボン玉ボケではなくて小ぶり」とも言えます。これはおそらく円形ボケのエッジから外れるアウトフォーカス部がすぐに滲んで (柔らかく) 溶けてしまうので「明確な円形ボケのエッジを残せない」のではないかと考えています。その意味で裏を返せばそれはメリットでもあると言う考え方ですね(笑) 撮影の際に多少工夫すれば小ぶりな円形ボケも少しは大きく写すことが可能です。
◉ 二段目
この段では敢えて背景ボケが汚く (収差の影響を受けて) 写ってしまった写真をピックアップしましたが、実は前述のようにすぐにアウトフォーカス部が柔らかく滲んでいくので、これら特徴的な収差ボケも「違和感なくむしろ背景効果的に使えてしまう」点を逆にメリットとして集めた次第です。要は背景がザワザワと煩く (それはイコール違和感) なるのかどうかはそのオールドレンズの光学性能に係るところが大きいのでしょう。
◉ 三段目
当方としてはこの段の4枚の写真でもぅ決まりみたいな話です(笑) 一番左端の被写体の素材感や材質感を余すことなく写し込んでしまう質感表現能力の高さ、そして開放f値「f2.0」ながらも意外に狭い (薄い) 被写界深度とも言えます。その質感表現能力の高さは2枚目の写真でも明確に表れています。
そして何と言っても右側のこの2枚!(笑) もぉ〜この2枚で決まりです!(笑) まるで現場に佇んでいるかのような錯覚を覚えてしまうほどにとてもリアルな距離感や空気感を感じさせるリアルな写真です。その意味では「下手すれば空気まで写っている?」的なあり得ない感覚に囚われてしまうほどに「感覚的な距離環を感じる」写真とも言えます。その要素とは詰まるところ「背景のボケ方一つで変わる」のでしょうが、このビミョ〜に溶けていくボケ味があるからこそのリアル感なのではないでしょうか。
◉ 四段目
ゴッホの自画像ですが、と言われて信じてしまいそうなほどに何処かで観たような顔つきとポーズで収まっているのが楽しい写真です。人物も美肌効果的に滑らかに写ってしまいます(笑) 明暗部の耐性が高いのでギリギリまで白飛びせず、黒潰れせず頑張ってくれます。
光学系は当初発売された「初期型」では取扱説明書に印刷されていた典型的な4群6枚ダブルガウス型構成のようですが、当方はまだこの構成で入っていた個体を見たことがありません。
右の図はその取扱説明書からトレースしてきた構成図です。
一方右図は今回の個体を完全解体してバラした際に、光学系の清掃時に逐一デジタルノギスで当方の手で計測してトレースした構成図です。
左端から第1群 (前玉) → 第5群 (後玉) と言う並び順ですが (つまり入射光は左側から透過していく)、特に第3群と第4群は「貼り合わせレンズを接着せずに独立させた設計」のように見えますが、確かに実際に2枚の硝子レンズは接着されておらず独立しています。
ところがこの2つの光学硝子の間には「僅か厚み0.2mmのシム環」と言うリングが挟まっているだけで第3群と第4群は「重ね合わせ状態」です (つまり締付環は第4群に附随する)。
逆に言うなら第3群は単にストンと格納筒の中に落とし込まれただけと言う設計です。そしてその間に挟んでいるシム環がある「空間」部分は同じ隙間なのかと考えていたのですが、今回細かく正確に計測したところ何と曲率が違っていました。
つまり硝子レンズ端 (レンズの端のほう) と中心部とで空いている隙間の量が違うワケです (従って曲率が違うと言う言い方になる)。するとここで貼り合わせレンズをバラして配置した単なる色消し操作 (間に空気レンズが含まれるので面数が増える分色消し効果を狙える) ではなくて「解像度の向上も狙っている/屈折率を活用」ではないかと考えが変わりました。
◉ 貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す
↑上の写真は別の個体で撮った写真から転載しています。第2群の貼り合わせレンズにバルサム切れが生じていたので剥がして再接着した時に撮っておいた写真です。
するとグリーンの矢印で指し示した第3群だけがコーティング層が放つ光彩が違う色合いにも (角度を変えると) 見えるワケで「アンバーパープルにプラスしてブル〜の光彩も放っている」と言えます。残念ながら格納筒にセットしてしまうとその「ブル〜の光彩」は視認できないほど薄い輝きです。
↑上の写真 (2枚) は、その剥がした貼り合わせレンズを1枚ずつ撮っています。すると1枚目の (前玉寄りの) 凸平レンズは貼り合わせ面が特異なカタチで突出している事が一目瞭然です。また2枚目の貼り合わせ面も平坦である事が分かります。
そして「後期型」たる黒色鏡胴の「フラッシュマチック機構装備の
“Blitz“」モデルでは。前述のとおり最短撮影距離が従来の30cmから「38cm」へと後退してしまった関係から再び光学系は再設計されて後群側が特に変わっています。
第4群の外径サイズが第3群と同径に変化しているのが分かりますね。つまり最短撮影距離が変わった分再設計していたことがこれで ハッキリしました(笑)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造はそれほど複雑ではなく、ある程度の技術スキルを有する整備者なら簡単に組み上げられます。但し組み上げではなくて「微調整」となるとある程度「観察と考察」或いは「原理原則」を熟知している人でないと気が付かない要素があったりします (気が付かないとピント面の鋭さが変わってしまう)。或いは距離環を回す時のトルク感にも影響が出てきたりします(笑)
その意味ではオールドレンズはバラした手順で組み上げれば良いと簡単に考えて係ると痛い目を見ます(笑) 逆に言うなら例えバラした時の順番とは違ってでも「こうしないと適切にならない」と明確な意志を伴って組み立て手順を変更するくらいの「観察と考察」ががあって然るべきなのです。
要は過去メンテナンス時の「不正を正す」くらいの覚悟と気概を以て臨むくらいがちょうどいいと言うお話です(笑) このように考えて作業工程を進めていくと、自ずと細かく「観察と考察」が行われ、そこに「原理原則」との整合性を採るようになるので、結果的に適切な組み上がりに至る次第です (それが不正を正したことになっている)。
↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しているので別に存在します。この鏡筒を観てすぐに気が付かないとダメなのですが「光学系内は反射させたくないハズ」なのに、どうして「シルバーな箇所があるのか?」逆に言えば どうして設計者は内側を黒っぽく全てメッキ加工しなかったのでしょうか?
こういう部分の気付きこそがまさに「観察と考察」なのであり、ここに気が付くかどうかで 最終的なピント面の鋭さにその結果がちゃんと出てくると言えます。逆に言えば当初バラす前にこのモデルにしては何となく甘い印象のピント面だったりした時、その証拠/根拠がちゃんとこの中に残っていたりするワケで、そうやって一つ一つを納得尽くで進めていけば「必然的に適切な組み上がりに至る」ことが自明の理ですね(笑)
↑前の写真は「前玉側方向から撮った写真」でしたが、上の写真は後玉側方向からの撮影です。すると絞り羽根の「位置決めキー」が刺さる穴が用意されているのが分かります。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑こちらの写真は別の個体からの転載ですが、光学系後群用の「硝子レンズ格納筒」自体が絞りユニットの蓋の役目を兼ねています (グリーンの矢印)。
↑こんな感じで9枚の絞り羽根がセットされます。絞り羽根を閉じていくと吸い込まれるような感覚になる独特な動き方です(笑)
↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上側方向が前玉側の方向にあたります。すると鏡筒の中腹に「開閉アーム」が飛び出ているだけの簡素な設計ですが、その「開閉アーム」はブルーの矢印のように動きます。
↑こちらは距離環やマウント部が組み付けられる基台です。両サイドに「直進キー」と言う板状のパーツ (赤色矢印) が飛び出ています (固定なので動かない)。
↑この基台の裏側を撮影しましたが、解説のとおり「鏡面仕上げ」になっています。どうしてこんな箇所を撮影したのかと言えば、実は絞り環操作した時に「ゴリゴリ感」を感じる箇所が極僅かにあったりしたので、その原因を突きとめるべくここまでバラしてしまった次第です(笑)
↑こちらは基台の内側にセットされる「制御環」で、絞り羽根の開閉制御を伝達している環 (リング/輪っか) になります。すると1箇所「制御用ガイド」なる溝が板状パーツに用意されています。
そしてその溝部分をよ〜く観察すると「斜め状にガイドが切削されている」ことが分かります。この「斜め状」である点が非常に重要になりますが、この後の工程でその理由が出てきます。
他方、この「制御環」の周囲まで「鏡面仕上げ」になっています (赤色矢印)。
↑どうして制御環も基台も互いに「鏡面仕上げ」だったのかと言えば、上の写真のとおり「鋼球ボールが入る場所だから」平滑性を維持させる必要から敢えてそのような設計だった事が 分かりますね (もちろん今回当方にて鏡面仕上げに磨き研磨しています)(笑)
さらに・・もっともっと注意深く「観察と考察」するともう一つ重要な要素に気が付きます。
鋼球ボールが入るワケですが、その鋼球ボールに色が付いている事が分かります。具体的には「シルバーな鋼球ボール:25個」の他にもう1種類「褐色の鋼球ボール:48個」と色が違うことに気がつきます。
さらにさらに「よ〜く観ると鋼球ボールの外径も違う」のが明確です。
つまり「大きめのシルバー鋼球ボール:25個」に「小さめの褐色系鋼球ボール:48個」と言うのが正しい認識になります。大きめのシルバーな鋼球ボールは「外径:⌀2.1mm」であり 褐色系は「外径:⌀1.82mm」と確かに違っていました。
ではどうしてワザワザ大きさが異なる鋼球ボールを使っているのでしょうか???
実は当初バラす前のチェック時点で絞り環操作に対して「ゴリゴリ感」を感じる事があった 原因が、まさにこの工程なのです。
当初バラした際はここに入っていた鋼球ボール達は「シルバーも褐色系もランダムにセットされていた」ので、例えば褐色系の鋼球ボールが6個ほど連なって並んでいたりしたワケです。
要は過去メンテナンス時の整備者は「どうして外径サイズが異なる鋼球ボールを使っているのか」或いは「どうして色が違うのか」とこの2点について全く気が付いておらず、且つ考えてもいなかった事が明白です(笑)
鋼球ボールの外径サイズが違ったり色が違うのは材質が異なる鋼球ボールであり、径が異なるのは「転がり率の相違を活用している」とも言えますから、これら鋼球ボールをランダムにセットしたらダメだと言う話になります。
その総個数から明白ですが「シルバーとシルバーの鋼球ボールの間に褐色系鋼球ボールが2個入る」のが適切であると分かりますね (ちゃんと観察と考察すればいとも簡単なお話)(笑)
当初バラす前のチェック時点で絞り環操作した時「ゴリゴリ感」を感じていた原因がこの鋼球ボールの組み込み方だった次第です(笑)
↑基台内側の「制御環」がとても滑らかに、且つゴリゴリ感も解消して回転するようになりました (ブルーの矢印)。さてここでもう一つ重要な要素があります。「制御用ガイド」の溝部分が「斜め状に切削されている」点です。これに気が付かなければ最後組み上がった時に「軽い操作性で距離環を回せない」仕上がりに至ったりします(笑)
↑まずは無限遠位置のアタリを付けた場所までヘリ (メス側) をネジ込みます。最後までネジ 込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。
↑さらにヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ 込みます。このモデルは全部で10箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
↑こんな感じでヘリコイド (オスメス) がセットされます。しかしよ〜く観ると「直進キーが ヘリコイド:オス側に刺さっている」のが分かりますね(笑)
つまり距離環を回すとこの「直進キー」が刺さっている為に鏡筒が繰り出されたり/収納したりする仕組みです。
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
↑ヘリコイド (オス側) を繰り出すとこんな感じで出てきます。ネジ山の長さが長いので相当な繰り出し量を誇っている事が明白です。
↑ここで完成していた鏡筒をヘリコイド (メス側) の内側にストンと落とし込んで固定します。
↑マウント部を組み付けてこの後は光学系前後群を鏡筒に組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。
その前に一つ重要な点を忘れています。前述の鏡筒から飛び出ていた「開閉アーム」のカタチが「斜め状」でした。また同様に基台の内側に入った「制御環」に附随する「制御用ガイド」も同様「斜め状」でした。
つまり「開閉アームと制御用ガイド」のカタチがピタリと一致したまま組み込まれなければ「距離環を回した時に重いトルクに至る」事が明白ですね(笑) 逆に言えば互いの「斜め状」をちゃんとチェックしているのかどうかが問われる話です (その結果として軽い操作性に仕上がっている)。
従って整備者がこれらの点についてちゃんと気が付き、必要な処置を講じて組み上げたのか 否かが問われるお話なのです(笑) もっと言うなら「どうして互いに斜め状なのか?」と言う点もちゃんと把握できているか否かです。別に互いにスライドさせるのに真っ直ぐでも良いのに「どうして敢えて斜めなのか?」が分からないとダメだと言う話です(笑)
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。光学系〜距離環を回すトルク感〜絞り羽根開閉〜筐体〜そして最も重要な描写性と、凡そ何も指摘する事柄がありません(笑)
それではそこいらに居るフツ〜の『転売屋/転売ヤー』と全く同じ部類になってしまうので(笑)、敢えて粗探しするとすれば・・(笑)
① 光学系内の各群はコーティング層の経年劣化が相応に進行している個体なので、光に翳してじっくり注意深くチェックすると、一部にコーティングムラ状に浮かんでいる箇所がある (パッと見で拭き残しのように見える箇所/拭き残しではありません)。
② 距離環を回すトルク感はそれはそれは「おぉ〜」と唸るほどに「軽い」トルク感に仕上げてあります。ある意味ここまで軽くできるのかと言う挑戦の結果のような仕上がり状態ですが、もしもどうしても何か指摘しろと言うなら「ネジ山が擦れる感触が極僅かに感じる箇所がある」と言う点でしょうか。また距離環を前後に微動させた時 (ピント合わせの際など) ほんの微かに遊びがあるようにも感じるかも知れませんが、その原因は経年で摩耗してしまった「直進キー」の問題なので、削れて摩耗してしまった金属を元に戻すことは不可能なので改善のしようがありません。ハッキリ言って距離環は全域に渡り均一なトルク感のままとにかく「軽め」の操作感です(笑)
③ 絞り羽根に関しても特に指摘する事柄が一切ありません(笑) 特に9枚ある絞り羽根も錆なども酷くなく至って快適そのモノです。閉じる際も「完璧に円形絞りを維持」して閉じていくので (もちろん多少ギザギザにはなる) 残念ながら指摘事項がありません。
④ 筐体はさすがに経年相応で引っ掻きキズや擦れなどがあちらこちらに見られますが、一応ちゃんと「アルミ合金材のアルマイト仕上げ」に見合う「磨きいれ」を処置したので、それなりに綺麗に仕上がっています。敢えて言うなら「それなりにキレイという程度のレベル」とご認識頂ければ良いでしょうか(笑)
⑤ 最も気になる描写性能ですが、光学系内の例の (冒頭で指摘した) シルバーに光り輝いている箇所の「当初バラした直後の状態」と「磨き研磨を施した後の状態」とで、当然ながら「磨き研磨」処置後のほうが確実に各光学硝子レンズが格納されるので、結果仕上がったこのオールドレンズから吐き出される写真の解像度が極僅かに鋭く変わったような「気がする」程度の変化しかありません(笑) そもそも作業している当方の技術スキルがその程度に低いので(笑)、あまり大きく期待すると期待ハズレになりますが、一応改善できています(笑)
なお、どうでも良い話ですが(笑)、レンズ銘板の刻印をよ〜く観察すると「極僅かに紫がかったアイボリー」なのが分かります (このシリーズは全ての個体で僅かに紫がかった色合い)。
↑光学系内は非常に透明度が高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。然しそうは言っても前述のとおりコーティング層の経年劣化は相応に進行しているので、光に翳して反射させてチェックするとコーティングムラ状に浮き上がる箇所があります (もちろん写真には一切影響しませんが)(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。特に何も指摘事項がありませんが、敢えて指摘するなら僅かに微細な点キズが多めです (前群と比較しての話/写真には一切影響せず)。ほんの微かにですが第3群のコーティング層の光彩ブル〜が見る角度で光ります(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:10点、目立つ点キズ:7点
後群内:16点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い2ミリ長が数本あります)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑絞り羽根を閉じていく時、そのまま閉じ具合を見続けていると「まるで吸い込まれそうになる」くらいにグルグルと重なっていく閉じ方です(笑) 9枚の絞り羽根は何ら指摘事項が無いくらいにとても綺麗に仕上がっています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま均一に閉じていきます (但しギザギザの開口部になる場合がありますがそれは仕様です)。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。そしてもちろん「アルミ合金材のアルマイト仕上げ」に見合う「磨きいれ」を処置しています。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。また当然ながら「光沢剤/艶出し剤」など使いませんから(笑)、ひたすらにちゃんと1時間〜 2時間がかりでゴシゴシと磨きまくって仕上げています (筐体外装を実際に見ればすぐに分かりますが)。また今回のオールドレンズは筐体外装が「アルミ合金材のアルマイト仕上げ」なので、その処置も施しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
・絞り環操作(絞り羽根の開閉)はマウントアダプタ側にあるローレット(滑り止め)操作で行います。
・オールドレンズを振るとコツコツ音聞こえますが絞り羽根開閉機構部の鋼球ボールが鳴っている音です(設計上の仕様なので消音は不可能)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑という事で、特に大袈裟に指摘する事柄がありません(笑) 敢えて総合的に指摘するなら「当方の技術スキルが低い点」でしょうか(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑今回のヤフオク! 出品に際して附属させた『疑似マクロ化』の為のアクセサリです。
① 汎用樹脂製被せ式前キャップ (社外品)
② 本体『CONTAREX Planar 50mm/f2.0 silver《前期型》(CRX)』
③ 汎用樹脂製バヨネット式後ろキャップ (社外品)
④ haoge製CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備)
⑤ 中国製マクロヘリコイド付LM→SONY Eマウントアダプタ
⑥ 汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ
本体を除いて他は全て今回の出品に際してワザワザ新品購入して調達した附属品ばかりです。なお前キャップはバヨネット式なので少し回してから外します (そのまま引っぱるとバヨネットの爪部分が割れてしまいます)。
『疑似マクロ化』などと大袈裟な呼び方をしていますが(笑)、要はどうせ今ドキのデジカメ 一眼/ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由装着するなら、そのサイズ (フランジバックの事) を活用してより近接撮影できるようにしてしまえと言う発想です(笑) もっと言うなら、近接撮影にこだわるなら「エクステンション」をさらに装着すればもっと近接できて、さらにトロトロボケになりより明るく撮ることができますね(笑)
↑附属のマウントアダプタ (2種類が既に装着済) の拡大撮影写真です。オールドレンズのマウント側に位置するマウントアダプタには「絞り環」を装備しており、カチカチとクリック感を伴いつつ操作できます。
↑以前壊してしまった方がいらしたので(笑)、ここで装着方法を解説しておきます。マウントアダプタの「絞り環」側に「制御用アーム」と言う板状の突起があるので、それをオールドレンズ側マウント部の「制御環のコの字型の切り欠き部分」にあてがいます (グリーンの矢印)。
従ってこの時、もしも「絞り環側が開放f値」にセットされているならオールドレンズ側マウント部の「制御環も指で回して完全開放状態に一致させる必要がある」と言えますね。この点だけご留意下さいませ (最小絞り値側ではなくて開放側で合わせたほうが無難です)。
そして実際にマウントアダプタとオールドレンズとの着脱は上の写真ブルーの矢印で指し示した「●のリリースマーカー」を互いに合わせてハメ込めるだけでOKです。填め込んだまま回転させるとカチッと言う音がして固定されます (とても滑らかで軽い操作性でハマります)。
↑こんな感じでマウントアダプタ側に「制御用アーム」が飛び出ています。この部分はクルクル回るので (凡そ45度の範囲) オールドレンズ側の切り欠き部分も開放にセットして互いに合わせれば簡単です。
↑オールドレンズを装着した状態を撮りました。当方の研究ができていないのでどうしてなのか理由が分かりませんが(笑)、オールドレンズ側の基準「▲」マーカー (グリーンの矢印) とマウント部の基準「|」マーカー位置 (赤色矢印) がほんの僅かにズレています (これは当方の整備が悪いのではなく刻印なので改善のしようがありません)。
上の写真ではこのモデルの開放f値「f2.0」にマウントアダプタ側「絞り環」をセットしたところを撮っています。この状態でマウントアダプタとオールドレンズとリリースマーカー「●」を目安に合わせて互いにハメ込めばカチッと言う音が聞こえてご覧のように装着完了です (ちゃんと絞り環もf値f2のままになっている)。
↑この状態で絞り環を回して最小絞り値「f16」までカチカチとクリックさせつつ絞り環操作した状態を撮っています (赤色矢印)。もちろんこの時光学系内を覗き込んで絞り羽根の状態をチェックすれば、ちゃんと最小絞り値まで閉じきっていますね(笑)
↑ところがこのまま「絞り環」をさらに回すとカチッと音が聞こえて次の「f22」まで回ってしまいます (赤色矢印)。そして同様光学系を覗き込んで絞り羽根をチェックすれば、最小絞り値「f16」からさらに閉じているのが分かります (実測でf22過ぎ辺りの閉じ具合)。
↑ならば・・と言うことで、今度は開放側に「絞り環」を回しきると「バチッ!」と少々大きな音がして (最初はビックリしますが) 何と「f1.4」まで回ってしまいます (赤色矢印)。この時やはり光学系内を覗き込んで絞り羽根の状態をチェックしながら操作すると、大きな音が聞こえた時に絞り羽根が完全開放状態に開ききったままである事が分かります (つまり単純にf2がf1.4に変わっただけの話)。
これはつまりマウントアダプタ側の「制御用アーム」とオールドレンズ側の「制御環のコの字型切り欠き部分」とが板バネ状態に設計されているので (反発力を持たせた設計になっているから) 一瞬切り欠き部分が反発して再び噛みあった時の音として「大きなバチッ!」音が聞こえる原理です。
従って決してイレギュラでも何でもないのですが (そういう仕様なので)、操作している人間からすると「えッ?何でf1.4になるのョ!」と自分の頭の中までカチッときてしまうでしょう。
要はオールドレンズ側マウント部を見た時にちゃんと「観察と考察」ができている人なら指して気にならない話なのですが「どうして制御環の切り欠き部分が斜めに角度が付いているのか?」と言う点で「あぁ〜板バネになってるのね!」と納得できる次第です(笑)
これは「CONTAREX I型 (俗称Bullseye)」から始まるCONTAREXシリーズのフィルムカメラマウント部との噛み合わせの操作性を考慮して、そのような仕様で設計されているワケです。
ではどうしてマウントアダプタ側の「絞り環刻印指標値と開放f値が一致しない」のでしょうか???
答はちょっと考えれば簡単です。オールドレンズ側のマウント部「制御環」には「コの字型の切り欠き」が用意されているだけで「フィルムカメラ側に開放f値を伝達する機構部が存在しないから」と言えます。
これはさすがに何某かの「CONTAREX」一眼レフ (フィルム) カメラに実際に装着してみないと「???」だと思いますが(笑)、マウント部が互いに噛み合う時、ちゃんと開放f値との連係が「フィルムカメラ側マウント部で実施されている」ので確認できます。
従って上の今までの写真のとおりマウントアダプタ側の「絞り環」とは「開放f値の伝達能力が一切存在しない」ので回したら「f22」まで行ってしまうし (絞り羽根もちゃんと閉じているし) 逆に開放f値側「f1.4」の時も一旦板バネが解除された上で再び切り欠きに噛み合っているから大きな音が聞こえてくるワケで (噛み合わせ自体が変わるので以降完全開放位置はf1.4になる)、すべては「観察と考察」で「原理原則」をもとに考えれば納得できてしまうワケです(笑)
従って開放f値を「f2」に合わせて「絞り環」を噛ませても、撮影で使っているうちに不用意に「f1.4」に変わってしまいますから (その時大きな音が聞こえますが) 面倒なので最初から「f1.4」で噛み合わせても構いません。もっと端的に言うなら、このCONTAREX版オプション交換レンズ群の中には開放f値が様々な種類で用意されていますから、その全ての開放f値にピタリと絞り環の停止位置を合わせる (開放f値でちゃんと止まる) 機構が備わっていませんから、気にしても仕方ないと言うお話です(笑)
逆に言えば「板バネ」の概念を採り入れたことで一眼レフ (フィルム) カメラ側のマウント部との「開放f値の伝達」に於いてその機構を簡素化できたとも言い替えられるので、これは非常に賢い設計だったと言えますね(笑)
要は最小絞り値側が「f32」くらいまで絞り羽根が閉じていくと受け取って頂ければ良いと思います (それで壊れることもありませんし、そもそも絞りユニットの設計自体がそうなっているから)。こういうところはオーバーホールで完全解体して組み上げている当方のメリットが出てきますね (要は壊れるか否かの判定ができると言うお話)(笑)
従って何だか辻褄が合わずにイヤだと感じるかも知れませんが(笑)、そこはグッと堪えてそのまま使い切ってしまって下さいませ(笑) マウントアダプタ側「絞り環」の刻印絞り値は便宜上「開放f値:f1.4」で刻印しているだけの話です。
↑上の写真は今度はマクロヘリコイド付マウントアダプタ側の解説に移っています。やはりローレット (滑り止め) を装備しているのでブルーの矢印①のように操作していくと、それに連動して筐体全体がググ〜ッと持ち上がって (繰り出されて) いきます (ブルーの矢印②)。
ローレット (滑り止め) を目一杯回しきると「最大で5mm分繰り出し」になるので、回しきっても良いですし途中で止めても構いません (無段階なので止める位置は自由です)。
↑上の写真がまさにその「ローレットを回しきった状態」を撮影しています (つまり全体が5mm分繰り出している状態です)。この時右端にある銀色のツマミは「マウント着脱用のリリースツマミ」なので触る必要はありません。
不用意にローレット (滑り止め) が回ってしまわないように多少「重め」のトルク感で作られているようです (今まで複数の同型マウントアダプタを操作していますが全て同じ重さのトルク感です)。
結局、このマクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を操作しなければ「オリジナルの仕様のまま」撮影できるので、最短撮影距離も「30cm」のままです。そしてここぞと言う時に可能な限り被写体に近寄って撮りたい時は「ローレットを回して25cmまで近寄る」と言う使い方になりますね(笑)
さんざん『疑似マクロ化』などと偉そうなことを言って大袈裟に騒ぎながらも、たかが「僅か5cmの短縮」にしかなっていないと言う何とも浅はかな結末ですが(笑)、ご容赦下さいませ。自分的には「たかが5cmでもされど5cm」と言う気概があるので(笑)、25cmまで近寄れる標準レンズがあるのかと心の中で叫んで慰めています(笑)
しょせん当方のレベルはその程度の話です・・(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離30cmでの開放実写が1枚目の写真で、ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありません。またフード未装着なので多少フレア気味だったりします。
また2枚目の写真がまさにローレット (滑り止め) を操作して「5mm繰り出し」した時の最短撮影距離「25cm」での撮影です。然したかが「5cm」の近接撮影だとしても被写体にそれだけ近づいたので光量が増えて背景のボケ具合がさらにトロトロに変わり、画全体も僅かですが明るめに変わってコントラストも僅かに増しています (光沢感が付いているのが嬉しかったりする)。光学の知識が皆無な当方には全く以て見当が付きませんが、どうして近接撮影を詰めていくとその写真の写り方に「光沢感が増す」のか不思議です(笑)
↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。同様1枚目がオリジナルの状態「最短撮影距離:30cm」で2枚目が「最短撮影距離:25cm」での撮影です。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もぅほとんど絞り羽根が閉じきっているのにまだ「回折現象」の影響を感じ取れません。もの凄い描写性能です。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
↑さらに絞り環側が回るので「f22」過ぎ辺りの撮影です (f22と言うのは簡易検査具を使って実測するとチェック用シートでそのくらいの印象のボケ具合だからです)。
↑同様最後まで絞り環を回しきった時の「f32過ぎ辺り」の閉じ具合です (やはりあくまでも 簡易検査具による実測の印象)。