〓 Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX Planar 50mm/f2 silver《前期型》(CRX)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
CONTAREX Planar 50mm/f2《前期型》(CRX):疑似マクロ化セットです。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時のCONTAREX版標準レンズ「Planar 50mm/f2」の括りで捉えると累計で21本目にあたりますが今回扱った個体「前期型のシルバー鏡胴モデル」だけでカウントすると10本目です。前回扱ってからアッと言う間に1年が経ってしまいました。

生活費に消えてしまい調達資金が枯渇している上に8月に入ってから体調も芳しくなく、なかなか作業する時間もなく気がつけば寝てばかりです。引退まで残すところまさに1年ですが、はたして1年間も作業を続けられるのか徐々に自信を失っていく始末です。

今回扱うモデルCONTAREX Planar 50mm/f2《前期型》(CRX):疑似マクロ化セット』は当方の琴線に触れまくりの10本のオールドレンズの中で一位のオールドレンズですが、特に最近になって一つの印象を強く抱くようになりました。

それは「光学系の寿命が限界に到達している」点です。もっと正しく表現するなら「貼り合わせレンズのバルサム切れが生じていない個体を見つけるのが至難の業」と指摘でき、且つ蒸着コーティング層の状態も相当悪化していてまず以てカビの繁殖で容易に蒸着コーティング層がやられてしまい薄いクモリを伴う個体の多さに「簡単に調達できないハードルの高さ」を強く感じている次第です。

少なくとも現在のヤフオク! でも、或いは海外オークションebayでも「最短撮影距離が30cmのシルバー鏡胴のみ」に限定して調べてみても流通個体58本中で10万円以上払っても光学系の状態を確信できないのが現実だったりします (スカッとクリアと確信を得られるのは僅か数本レベル)。しかしさすがにこのモデルに10万円前後支払ってもオーバーホールした後に そんな高額な個体を誰も落札してくれません(笑)

従って今回の個体のようにチマチマとジャンク品レベルの個体を漁っては可能な限り改善するしか手がありません。これから先50年後には現在市場流通している半数以上の個体が「製品寿命」を迎え消えていく運命の『絶滅危惧種』と当方ではオールドレンズそのモノを認識していますが、この調子でいくとどうやら50年ももたないのかも知れません(涙)

最低でも誰かが容易に光学硝子材を研磨できる装置を一般人が購入できる価格帯で開発してくれない限り、とても専門職に頼っている悠長な状況ではなくなるのが目に見えています。それほど製造時点から数十年〜半世紀以上が当たり前な時間を経ているととても光学系の状態を 担保することが適いません(涙)

ちなみにこのモデルで撮影する写真に対し当方が自身の琴線に触れまくりな要素とはもちろん幾つも在りますが、その中で最大の感動的な描写性は「自分の眼で見たがままの感動をリアルに表現する能力の高さ」であると同時に、実は「その感覚をさらに増幅させて誇張的とも受け取れるほどに示してくれるからこそ記憶色含め感性に強力に反応して新鮮な感動を残してくれる」と指摘できます。

これは今まで扱ってきたCarl Zeiss製CONTAREX版オールドレンズのいずれのモデルでも共通項的にその描写性に感動するので、巷で騒がれているCONTAX版Carl Zeiss製オールドレンズ (日本のヤシカ製からのモデル) とは一種別の嗜好であり、画の隅々までその光学性能を突き詰めた写りとは全く対極的な「ひたすらに人の五感に反応する描写性」からしてどんだけオールドレンズの収差の影響に果てしなく大きな期待を抱いているのかと言う別次元の話です。

要は当方は決してオールドレンズの描写性に光学性能の究極的な到達点を求めず、むしろ逆に収差の影響をふんだんに受けながらピント面含め背景の (収差の影響を絶大に受けた) 写り具合にまで大きな魅力を感じているからととも説明できます。

従ってそれ程までに光学性能に固執したいなら今ドキなデジタルなレンズを使えば良く、そもそもオールドレンズにそのような究極的な光学性能を求めている時点で当方の琴線とは真逆の次元です。

だからこそ等倍鑑賞して画の隅々まで検査していく行為自体にその対象となるオールドレンズの良し悪しさえ見出しません。当方にとってのオールドレンズの良し悪し (魅力) とは、あくまでも撮られた写真の画全体から香るべきリアル感なのです。

なおその当方が感動しまくりで琴線をこれでもかと触られまくった「たった1枚の写真」はCONTAREX Planar 50mm/f2《前期型》(CRX)』のページ冒頭で解説しているので興味がある方はご参照下さいませ。

また今回オーバーホール済でのヤフオク! 出品に際し、附属させているマウントアダプタ類は ちゃんとCONTAREX版のフランジバックを合わせてあるので、例えばマクロヘリコイド付のSONY E用マウントアダプタを外して他のカメラボディマウント用にLMからの変換タイプを 用意すれば当然ながらピタリとフランジバックが適合するのでそのまま使えます (但しマクロ ヘリコイドを装備していないので疑似マクロ化にはならない)。もちろんそのままCONTAREX版フィルムカメラに装着しても正常です。

例えばLM→SONY Eマウントアダプタ (マクロヘリコイド付) を取り外して、LM→Nikon Zマウントアダプタと付け替えたらそれでもちゃんと使えるワケです。もちろんLM→EOS Rマウントアダプタでも大丈夫です。要はCRX→LMマウントアダプタを装着した時点でフランジバックをLMマウント規格に合わせてあるので、そこから先の変換マウントアダプタとの併用も当然ながらフランジバックが適合する次第です。

すると前述の例で言うならCRX→LMマウントアダプタ+LM→Nikon Zマウントアダプタの合計寸法 (厚み) は、CRX→Nikon Zマウントアダプタの製品寸法と厚みがほぼ同一と言う話になります (厳密な寸法はマウントアダプタの製品仕様に拠る)。同じようにCRX→LMマウントアダプタ+LM→EOS Rマウントアダプタの合計寸法 (厚み) も、CRX→EOS Rマウントアダプタのサイズと同一ですね。

詰まるところフランジバック計算値から逆算して微調整した結果なので、撮影者は (ご落札者様は) そう言う面倒くさい部分を考えずに純粋に被写体を撮りたい一心でこれらの組み合わせで様々なデジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着すれば良いだけの話です。

このような直感的な感覚での操作性こそがそもそも『疑似マクロ化』の着想原点なので、マクロヘリコイド付のマウントアダプタなら「単にマクロヘリコイドを回したらその分さらに近寄って撮影できて、明るく写って且つボケ量まで増える一石三鳥みたいな話」を主眼に置いた 発想です。

フランジバック
レンズマウント面から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならば撮像素子面) までの距離

もっと踏み込んでご案内するなら検査して調べた事はありませんが (光量を調べられないから)例えば単純に距離環を回して3m位置にある被写体を撮影した時よりも「おそらく」マクロヘリコイドを回して5mm繰り出した状態で距離環を回して同じ距離位置の被写体を撮った時、明るさが増してボケ量も増えている事になると思います。何故ならオールドレンズ本体側距離環の位置が3mではなく3.5m辺りまでしか鏡筒を繰り出していない状態ながら、実際はマクロヘリコイドのほうでオールドレンズ全体が5mm分繰り出されている事から光学系内への入射光量が多少なりとも増えていると考えられるので (3.5m位置での想定入射光量よりも僅かに増えていると言う意味) 真面目に素直に距離環だけで撮影するよりもマクロヘリコイドを繰り出して撮ったほうがボケ量がよりトロトロになると推察できます。但しキッチリ検証したワケではないので頭で考えただけの話ですからご容赦下さいませ。

そう言う着想からスタートしているので、何も最短撮影距離位置 (このモデルで言えば30cm) だけに限定してより明るく撮れて且つボケ量が増えトロトロになる話ではなく、無限遠位置以外での特に最短撮影距離〜10m辺りくらい (∞刻印の一つ手前指標値) での撮影時でも明るさが増してトロトロになるとの概念・・こそが『疑似マクロ化』の原点ですから、またオールドレンズのモデル自体も一粒で二度美味しいみたいな楽しみ方に幅が広がる次第です。

ちょっとマニアックな話でなかなかとっつきにくいですが、今までのご落札者様からのご指摘を聞く限り一度この醍醐味を味わうと手放せないらしいです(笑) まぁ〜確かにそう思うだろうと推測して着目したのが出発点ですから、そのような感想を抱かれるのも至極納得です。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCONTAREX Planar 50mm/f2《前期型》(CRX)』のページをご参照下さいませ。

↑上の写真は一つ前の全景写真と全く同一の写真ですが、赤色矢印の鏡筒をご覧頂くと真鍮 (黄銅) 製なのが分かります。既に当方が「磨き研磨」を施した後に撮影しているのでピッカピカに黄金色に光り輝いています。

磨き研磨」する前のこの鏡筒は内側の光学硝子が格納される箇所と同じように「焦茶色」でしたが、実は内側も僅かに「磨き研磨」を施し平滑性を確保し光学硝子レンズが確実にセットできるよう仕上げてあるのです (従って当初バラした直後はもっと濃い色合いになる)。

どうしてそこまでして「磨き研磨」にこだわるのかと言えば、真鍮 (黄銅) 材なので経年劣化の進行に伴い酸化/腐食/錆びが増大するので酸化/腐食/錆びの影響から内部に格納するべき光学硝子レンズが適切な位置にセットできなくなるからです。結果光路長が適切でなくなり本来の製産時点の鋭いピント面に至らず僅かに甘い印象に堕ちていたりします。

もっと言うなら「過去メンテナンス時に塗りまくられた反射防止黒色塗料」のせいで余計に 光路長確保が難しくなるので光学系内はマットな漆黒の真っ黒が良いなどと勝手に思い込んでいるのはそれら整備者と共に一部のユーザーだったりします。どうしてそこまでして光学系内の真っ黒にこだわるのかと言えば、まさに一部の人達/勢力がいまだに騒ぐ「迷光」をシャットアウトしたいが故で、その趣旨は理解できるものの実のところそのこだわりの為に光学硝子レンズの締付環まで適切に締め付けが適わず気がつけばピント面の甘さを促している結末を招いていると言う悪循環です。

この「迷光」問題については当ブログでもさんざん解説してきたので今回は省きますが、例に漏れず今回扱った個体も鏡筒内側や締付環は過去メンテナンス時にさんざん反射防止黒色塗料が塗られまくっていました (それらを溶剤で落とすだけで12時間かかる作業)。

逆に指摘するなら本当に設計者が必要と考えているならちゃんと製産時点にメッキ加工、或いは焼き付け塗装されていて溶剤で溶けて落ちませんから、その事実をちゃんと考察するなら「製産時点は黒色ではなかった」のが自明の理です。要は過去メンテナンス時に反射防止黒色塗料を塗られたと受け取るのが自然ではないでしょうか?

ちなみに今回の個体の製造番号「237xxxx」代で今まで真鍮 (黄銅) 材で作られてきた鏡筒はアルミ材削り出しへと設計変更になるので、この後すぐに「焦茶色のメッキ加工が施されたアルミ合金材の鏡筒」に変わり、製品重量が20gほど軽くなります。但しアルミ合金材に設計変更するとしてもその鏡筒の外側はやはり「平滑処理でツルツル状態」に仕上げられているので、どちらにしても経年劣化に伴う酸化/腐食/錆びにより抵抗/負荷/摩擦が増大してしまう為可能な限り除去するのが好ましいワケです。

さらにグリーンの矢印で指し示しているとおり光学系の光学硝子レンズを順に並べていますが左端から順に第1群 (前玉)→第2群 (貼り合わせレンズ)→第3群→第4群→第5群と5つの塊になりますが、第2群のみ2枚の光学硝子レンズが接着されるので上下2列に分けて並べています (だから5群6枚の拡張ダブルガウス型構成と捉えています)。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤/バルサム剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

つまり今回の個体はこの貼り合わせレンズにバルサム切れが生じており、クモリが生じていた次第ですが、調達時にそのクモリについて記載がなかったので出品時の掲載写真を頼るしか ないものの、実は巧みにクモリが分からない角度で撮影されていて手にするまで分かりませんでした(涙)

仕方ないので今回のオーバーホール工程の中で一旦剥がして再接着した次第です。

ちなみに今現在もヤフオク! などで流通しているオールドレンズの多くの個体で「薄いクモリがありますが写真には影響しません」との表現が主流です。しかし実際に撮影した時の写真に影響を来すか否かは「薄いクモリは全て影響しない」ではなく、その判定基準の最大の要素は「光学系の構成から捉えた時のどの群に薄いクモリが生じているのか」であって、如何にも何でもかんでも「薄いクモリなら問題ない」的な感覚で出品ページに明記しているのは「 あくまでも転売屋/転売ヤーの謳い文句でしかない 」ので要注意です。

同じように、似たように光学系内に極薄いクモリが残っているのに当方が「光源や逆光撮影時にフレア発生の懸念が残る」と明記している理由の根拠は「光学系の構成と焦点距離など」から捉えた今までに3,000本以上扱ってきた体験値からの指摘事項です。

その意味でヤフオク! 転売屋/転売ヤーの謳い文句に惑わされないようくれぐれもご注意下さいませ。もちろん当方もそれら『転売屋/転売ヤー』の類の一人です(笑)

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
距離環が完全固着していて一切動かない。
絞り羽根は正しく開閉するものの距離環のトルクムラが不明(完全固着しているから)。
 光学系内にカビの発生が多い (前後玉に相当量繁殖)。
光学系内に極薄いクモリがある (調達時出品ページに記載なし)。

《バラした後に新たに確認できた内容》
白色系グリースと潤滑油が塗布されている
ヘリコイド (オスメス) が噛んでしまっている。
光学硝子レンズが適切に格納されていない。
光路長が適合しておらずアンダーインフ状態。
過去メンテナンス時整備者は原理原則を知らない。

・・とまぁ〜こんな感じです(笑)

まずそもそも距離環が完全固着していて一切回らないものの固着位置のままでピント確認すると指標値刻印の数値と実距離が著しくズレており「例え距離環が回っても無限遠位置で無限遠合焦しないアンダーインフ状態」なのが明白でした。

すると過去メンテナンス時の整備者がヘリコイド (オスメス) に「潤滑油」を注入していた理由が見えてきました。

つまり過去メンテナンス時の整備者は完全解体して距離環のローレット (滑り止め) とヘリコイドをちゃんとオス側/メス側に分離させたかったのだと思います。ところがこのモデルは距離環ローレット (滑り止め) の締付固定が激しいので (堅いので) 解体できずムリヤリ回して外そうと試みたようです。

そのように処置したくなるのは十分理解できるのですが、このモデルの設計を事前にちゃんと調べてからそのような処置を講じなかったのです。このモデルは距離環や距離環ローレット
(滑り止め) を締付ネジで締め付け固定しない「締付環で締め付け固定する手法で設計」しているのです。つまりヘリコイド (オスメス) を外したいとムリに力を加えて回すと「ヘリコイド (メス側) だけが僅かに回ってしまい然し緩まずに外れない/解体できない」結果に至ります。

するとヘリコイド (メス側) だけが僅かに回ってしまうので (つまりズレてしまうので) ヘリコイド (オス側) のネジ込み位置がそのズレた分だけ変わります。その結果、無限遠位置がズレてしまいそれを元の状態に正せない (何故なら締付環を外せないから回せない) のでアンダーインフ状態に陥ります。

一度ヘリコイド (メス側) が回ってしまうと一切戻らないのでアンダーインフ状態のまま組み 上げるしかなく、それをムリに戻そうとするなら「ヘリコイドオスメスのネジ山が噛んでし まう」のは自明の理です。

しかし残念ながらこの処置を講じた過去メンテナンス時の整備者はこのモデルの設計は元よりヘリコイド (メス側) の締付環の存在を知っていながらその理由を理解できなかった「原理原則を知らない整備者」だった次第です(笑) 要はバラした時の手順の逆でしか組み上げられない整備レベルながら、このモデルのヘリコイド (オスメス) をバラして、さらに鏡筒まで格納できる技術レベルを有する整備者だったので、少なくとも当方から観ればシロウト整備ではない「プロの手による作業」だったのが明白です。

何故なら鏡筒を格納した後に距離環を回すトルクが重くトルクムラまで酷かったので最終手段で「潤滑油」をちゃんとヘリコイド (オスメス) のネジ山にだけ注入しているからです。たいていのシロウトはヘリコイド全体に注入してしまいますが、プロはそれが距離環の固定位置を さらにズラしてしまう要因になるのを知っているので必ずネジ山に注入します。

つまり今回の個体は当初バラす前の状態で距離指標値の6m位置が実は実距離で3mだったので1目盛分は間違いなくズレていて、仮に距離環を回せたとしてもとても無限遠位置まで回らないからです (その前にカチンと突き当て停止手止まってしまう)。

要は無限遠合焦したくてもその前に先に距離環が突き当て停止してしまうので一度も無限遠 合焦しない「アンダーインフ状態」と断言できるワケです。

↑上の写真はオーバーホール工程の途中で撮影した写真です。一番最初のお盆に並べている完全解体状態の写真を見れば分かりますが、上の写真で言う処の「オス側」と「指標値環」さらに「基台」以外は全てが距離環のローレット (滑り止め) として一体のまま写っています。

つまり当初バラした時は距離環のローレット (滑り止め) を解体していなかったのですが、オーバーホール工程の途中で「ヘリコイド (メス側) だけがズレたのが確定した」為に仕方なく完全解体して上の写真を撮影しました (今回のオーバーホール途中ではなく過去メンテナンス時に ズレたと言う意味)。

基本的にこの当時のCarl Zeiss製CONTAREX版オールドレンズはどのモデルも全て距離環用 ローレット (滑り止め) の解体が至難の業です。

当方で通常執り行う「加熱処置」などではビクともせず溶剤漬けしようが何しようがまずバラせません。仕方ないので相当大変な作業になるのですが (1日がかり) 特殊な手法でバラした 次第です。

しかしバラす手法が特殊としてもそれ以前に当方にとっては非常に恐ろしい恐怖感を強く感じながらの作業になるので、そちらのほうがイヤなのです。

その理由は上の写真の各構成パーツ全てが「アルミ合金材」だからです。特に手前側に並べた「オリーブ色のヘリコイド (オスメス) と基台」はそれぞれのパーツがネジ山を有するので相応の肉厚を持ちますが、一方後列に並べたアルミ合金材パーツは全て肉厚が薄いのでこれらを ムリに回すと「容易に変形してしまう」からです。それこそ一定のチカラまでは耐えるものの特定のチカラに至った時点でグシャッと変形しもう二度と元の真円状態に戻せません(怖)

特に後列一番左端の「締付環」こそがヘリコイド (メス側) とローレット (滑り止め) を締め付け固定する締付環なので、それを極僅かでも変形させてしまったらもう締め付けが適わないか、上手く締め付けできても「距離環を回した時にトルクムラが酷くなる」のは120%間違い ありません(怖)

何しろヘリコイド (メス側) とローレット (滑り止め) がガシッと締め付け固定されているので ネジ山が存在するとなれば製産時点にはおそらく専用の治具がちゃんと用意されていて容易に締め付けできていたのだと考えられます。

↑すると上の写真がこのモデルに備わる無限遠位置の微調整機能を解説しています。但し無限遠位置を微調整できる大前提は「完全解体できること」或いは「ローレット (滑り止め) の固定位置を変更できること」なので、一つ前の工程で説明したように締付環を外せなければどうにもなりません。

すると中央に置かれている「基台」には「直進キー」が突出するので、この基台にヘリコイド (メス側) がネジ込まれた後にヘの (オス側) が「直進キーが刺さりながらネジ込まれる」原理なのが明白です。そうしないと距離環のローレット (滑り止め) を回してもヘリコイド (オス側) が繰り出し/収納できずに詰まるところ鏡筒が繰り出されないのでピント合わせできませんね(笑)

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

従ってヘリコイド (オス側) に上の写真で赤色矢印で指し示した「直進キー」が両サイドに刺さるとしても、それはローレット (滑り止め) を回す時の「回転するチカラを直進動に変換しているだけ」なので今回問題になっている無限遠位置の微調整機能には関係しません (だから上の写真にヘリコイド (オス側) が一緒に写っていない)。

もしも無限遠位置を微調整する必要が生じたなら上の写真の「ローレット (滑り止め) を締め 付け固定する位置を変更してあげれば無限遠位置を微調整できる」のを説明しています。

ローレット (滑り止め) に備わる「制限壁 (グリーンの矢印)」と共に一方指標値環の内側に備わる「制限キー (グリーンの矢印)」により距離環の駆動域 (回転域) を決めているので、正しい 無限遠位置に合わせてこの「制限壁」が備わるローレット (滑り止め) の固定位置をズラして あげれば良いだけです。

つまりローレット (滑り止め) をズラす必要がある事がここの解説でご理解頂けると思います。

一方指標値環側の「制限キー」も「基台の孔 (グリーンの矢印)」のところを通過してネジ山の部分まで被さるので、互いの「制限壁と制限キーがカチ合うことで距離環の回転を制限する 仕組み」なのだと理解できます。

上の写真で説明するならブルーの矢印の側が無限遠位置にあたり、一方オレンジ色矢印の側が最短撮影距離位置にあたります。それぞれがカチンと突き当て停止するので距離環を回して いる時に気持ち良く操作できますね(笑)

これらの解説からこのモデルに於いて設計を知っている事、或いは「原理原則」を知っている事がどれだけ重要な話なのかが分かると思いますが、残念ながらそう簡単にこのローレット (滑り止め) 部分を外す (つまり締付環を外す) 事は容易い話ではありません。下手すれば変形 してしまう懸念が高く当方もいつもはやりたくない作業です (非常に怖い)。「変形」と言うとあたかも回して外そうとしているかの如く聞こえますが(笑)、何もそれだけではありません
(だから特殊な手法)。

なおこれらヘリコイド (オスメス) と共に特に「基台の内側」には絞り羽根開閉を司る「制御環」が鋼球ボールの封入による回転駆動方式で組み込まれています。今回の個体は残念ながらその封入している鋼球ボール (2種類の外径サイズ) の一部が過去に注入された「潤滑油」の せいで酸化/腐食/錆びしてしまい「鋼球ボールの平滑性」まで回復させた次第です(泣)

そしてその「制御環」に備わる斜め状の溝部分を鏡筒から飛び出た「開閉アーム」が上下動/ 直進動しながらスライドしていくので「基本的にヘリコイド (オスメス) のトルクを決めるのは鏡筒の組み込み状況」であり、このモデルは特に塗布するヘリコイドグリースだけに頼って 粘性がどんなに軽めのグリースを塗布しても意味がありません(笑)

だからこそキッチリ鏡筒を格納できるようピッカピカに磨いているワケで、当然ながら「開閉アーム」の斜め状の溝との噛み合わせ自体まで確実に検査して組み込んでいるから「どうしてこんなに軽いトルク感で距離環を回せるのか?」と言う仕上がりに至っています(笑)

詰まるところ完全解体する事で「観察と考察」により問題箇所やパーツを特定し処置を施した上で「原理原則」に則り組み上げていけば自ずと適切な操作性と共に鋭いピント面に至りたった一人ですがご落札者様にご満足頂けるとの考え方です。

・・是非ご検討下さいませ。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。冒頭解説のとおり今回の個体は光学系の状態が悪いので当方の今までのオーバーホール済ヤフオク! 出品即決価格帯で言うなら最も低価格な設定です。

今まで扱った累計本数 (シルバー鏡胴モデルのみ) の10本で案内するなら以下になります。

《このモデルのオーバーホール済での当方ヤフオク! 出品価格》
❶ 即決価格:89,500円・・光学系に齟齬が無い個体=6本
❷ 即決価格:59,500円・・光学系が経年並みの個体=3本 ← 今回ここに入っている
❸ 即決価格:57,000円・・光学系に齟齬がある個体=1本

・・こんな感じなので、たまたま今回市場の流通価格帯と近くなってしまいましたが、本来 当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品している価格帯は「89,500円」なので、光学系の 状況を勘案して低価格に設定している次第です。

しかしその一方でこのモデルでここまで距離環を回すトルクが「軽くてシットリしている」 操作性と共に「ピントのピークがアッと言う間なのにそれすら微調整できるビミョ〜な軽さが堪らない」と当方のファンの方々にご好評を得ている当方のいつものトルク感で仕上がって います(笑)

なおフィルター枠の次の黒色遮光環 (ギザギザの環/リング/輪っか) とレンズ銘板との間に僅かな3mm程度の隙間がありますが、これはこのCONTAREX版オールドレンズの全シリーズで 同じように隙間が残る「設計上の仕様」です。

どうやらCarl Zeissではこの遮光環のような環/リング/輪っかをフィルター枠の固定用としか考えていなかったようで、レンズ銘板との連続性や製品としての仕上げの美しさなどをこの 部位に求めていなかったように印象を受けます。つまりレンズ銘板の先にもう一つ締付固定環が存在しますが、それで完結していてフィルター枠締付固定環はその役目としてだけしか考えておらず隙間を気にしていなかったと考えられます。

それは酷い場合には5mmも隙間が残るモデルがあったりするのでどう考えても設計者の意識の中に隙間を問題視する概念が無かったと考えます。従って個体別に隙間の量が異なるのではなく「モデル別の相違」なので、今回扱ったシルバー鏡胴モデルでは全ての個体で同一の隙間が空きます (従ってクレーム対象となりません/隙間を無くすことが設計上できません)。

↑このように撮影するといったいこの光学系の何処が悪いのかとしか見えませんが、実は前後玉に相当な量のカビ除去痕が残っており、特に前玉側のカビ除去痕はコーティング層蒸着層にまで達しているのでどうにもなりません。但し不幸中の幸いは「カビ除去痕に薄いクモリが伴っていない/菌糸状に残っているだけ」為に入射光を通すのでこのページの最後に掲載したオーバーホール後の実写のとおりちゃんと撮影できています。

但しそうは言っても前玉にはほぼ全面に渡りカビ除去痕が残っているので光源を含む撮影や 逆光撮影時に多少フレアの発生率が上がる懸念が高いです (つまり低コントラストに堕ちる)。

なお当初バラす前の時点で既に光学系第2群の貼り合わせレンズにバルサム切れが生じていて薄クモリがありました。一旦剥がしてから再接着しています。簡易検査具を使い「光軸ズレ」を検査しつつ仕上げたので適切に組み込みできています。

↑上の写真 (4枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

特に4枚目の写真をご覧頂くとこの角度で撮影すると全くキレイに見えてしまいカビ除去痕など一つも視認できませんが、上の4枚の写真で全てが写っていないとしても実はほぼ全面に渡り菌糸状のカビ除去痕が無数に残っています (前玉の話)。

↑光学系後群側も前群同様にLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。極薄いクモリが皆無なものの、前述のとおり前玉には全面に渡る菌糸状のカビ除去痕が無数に残っており、こちら後玉にも微細な点状カビ除去痕が無数に残っています。但しこちらは同じカビ除去痕でも菌糸状ではなく芯部分の微細な点状だったのが功を奏して投下してきた入射光をそのままカメラ側に抜けるので写真への影響が限定された次第です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後群内に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大13mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前玉は全面カビ除去痕が無数に残っています)
(後玉は微細な点状カビ除去痕無数に残っています)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
但し光源含むシーンや逆光撮影時にフレアやフレアの出現率が上がる懸念がありますが事前に告知済なのでクレーム対象としません

↑9枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正九角形を維持」したまま閉じていきます。上の写真の閉じ具合はこのモデルでの最小絞り値「f22」を越えた実測値でほぼ「f32越え」みたいな閉じ具合です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・CONTAREX版フィルムカメラの設計仕様上、絞り羽根の開閉操作はフィルムカメラ側で行う仕組みです。附属マウントアダプタには絞り環が備わりますがCONTAREX版オールドレンズの全てに対応した設計の為「開放f値f1.4からの刻印」にて製産されています。今回出品モデルは開放f値が「f2.0」なのでマウントアダプタに装着するとf1.4から噛み合う仕様です(噛み合わせ時に合わせてもすぐに戻ります)。これはCONTAREX版オールドレンズ側の絞り制御環が「板バネ方式」を採る原理の為であり仕様です。またオールドレンズ側開放f値をフィルムカメラ側に伝達する仕組みが備わっていないのでマウントアダプタに装着するとこのような話、制御概念にになります。
・<B>附属品としてマクロヘリコイドを装備したLM→SONY Eマウントアダプタをセットしています。装備しているマクロヘリコイドを操作する(回転させる)と全体が繰り出されてさらに近接撮影ができますが、その一方でマクロヘリコイド操作により繰り出した際は必然的に無限遠合焦しなくなります。無限遠合焦する本来の仕様状態に戻したい時はマクロヘリコイドを元の位置まで回せばカツンと突き当て停止し製品仕様に容易に戻せます。つまり単純にもっと近寄りたい時に直感的にマクロヘリコイドを操作すれば最短で「25cm」まで近接撮影が叶います。近寄る事で光量が増すので全体的に明るさが増して、且つボケ味もより滑らかに溶けていく傾向での写り具合に変化します(光学系の設計を逸脱した写り方なので製品仕様上の描写とは変化します)。写り方/描写性が変化するだけで、製品に於ける将来的な不具合を誘引するなど諸問題は一切ありませんし発生もしません。単にもっと明るく撮りたい時、近寄って撮りたい時、もっとボケ味を増やしたい時にマクロヘリコイド操作すれば良いだけです。
従って単なる近接撮影の追求のみならず光量を増やしてボケ味を増大させる三つ巴での描写性の変化を追求した概念が『疑似マクロ化』です。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『CONTAREX Planar 50mm/f2《前期型》(CRX)』
汎用樹脂製バヨネット式後キャップ (新品)
 無名ブランド製CRX→LM マウントアダプタ (絞り環装備) (新品)
無名ブランド製LM→SONY E用マクロヘリコイド付マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ (新品)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑実際に附属の『疑似マクロ化』セット (マウントアダプタ2個) を装着するとこんな感じです。解説の番号は前述に準拠。

↑ここからは附属品のマウントアダプタ解説に移ります。上の写真はCONTAREX版オールド レンズ本体とマウントアダプタの装着を説明しています。互いにリリースマーカー「」があるので、純粋にそのマーカー位置を合わせて互いに密着させ (密着時に極僅かな程良いクッション性を感じます:グリーンの矢印①) 時計の針方向にマウントアダプタ側を回すと (ブルーの矢印②) カチッとバヨネット爪が噛み合います。

なおここからの『疑似マクロ化』に関する解説は過去の掲載写真から転載している為に附属品の符番数値が一部違っています (スミマセン)。

この時両手で掴んでやっている所為はまるでグリーンの矢印①の内容だけですが、冒頭解説の通りマウント面に位置する「制御環のコの字型切り欠き部分のマウントアダプタ側板状パーツとの噛み合わせ」には気を全く遣いません (赤色矢印の部分)。

解説のとおりこの「制御環」が板バネによる噛み合わせとして設計されているので、且つ何度も指摘しますが「開放f値を伝達する能力を持たない」のでどの位置で噛み合っても最終的に いつかはマウントアダプタ側絞り環の一番左端「f1.4」の位置でバチンッ!と噛んでしまい ます。

今回の個体で試してみるなら (ご落札者様お一人だけですが) マウントアダプタ側絞り環の設定絞り値をカチカチとクリック感を伴いつつ一つ回して「f2」にセットしてから互いのリリースマーカー「」を合わせて装着するとカチッとバヨネットが噛み合ってロックされます。しかしこの時「制御環」たる板バネの「バチンッ!」と言う大きな音は聞こえてきません。

ちゃんとf値「f2」の時に完全開放し絞り環を回すと刻印されている 絞り値で絞り羽根が閉じていきます。何度f値「f2」で絞り環操作を 止めてもちゃんと完全開放していてズレませんし絞り羽根開閉異常も当然ながら起きません(笑)

ところが撮影時にうっかり操作して右端まで絞り環を回してしまうとイキナシ「バチンッ!」の大きな音が聞こえてビックリします(笑)

つまりこの時に初めてマウントアダプタ側絞り環の刻印f値「f1.4」まで絞り環が回ってしまいオールドレンズ側「制御環の板バネが反応した」から音が聞こえたのです(笑)

これこそが冒頭でさんざん細かく解説した「CONTAREX版オプション交換レンズ群の開放f値を伝達しない設計」の話なのです。

どうしてここまで執拗に解説するのかと言うとネット上で誰も解説しておらず不用意なので人によっては心許ないと言うか心配な想いが募りますし (オールドレンズ内部の何かが壊れた音なのか?!)(驚)、マウントアダプタが装備している絞り環との矛盾点にも納得できれば安心と言う心の健康みたいな話だからです(笑)

実際にご落札者様お一人からこの話をご指摘頂き「まさにそれこそが人情」と真摯に反省したので今このブログでしつこく解説し続けています(笑) このブログを一生懸命それこそまるで心に痛みを覚えながら超長文な解説を読む努力をしてらっしゃる皆様には本当に申し訳なく思うばかりです(涙)・・スミマセン。

↑実際にオールドレンズを装着した状態でマウントアダプタ側を拡大撮影しました。付しているのいずれかの番号は前述の附属品一覧の説明番号に合致します。

CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備)」に備わる「ロック解除ボタン (赤色矢印)」は、 ブルーの矢印①のように押し下げたままマウントアダプタ全体をブルーの矢印②方向に回すと (つまり反時計の針方向) 外せます。

↑さらに「CRX→LMマウントアダプタ (絞り環装備)」とその次の「LM→SONY Eマウントアダプタ (マクロ付)」との装着も同じでグリーンの矢印①で指し示した互いのリリースマーカー「」を合わせてからブルーの矢印②のようにマウントアダプタ全体を時計の針方向に回せば やはりバヨネット爪が噛み合ってカチンとロックします。前述同様は附属品一覧の符番に合います。

↑マクロヘリコイドを備えた一番下に位置するマウントアダプタ「LM→SONY Eマウントアダプタ (マクロ付)」の解説です。「ロック解除ボタン」が備わり下方向に押し込みながら (ブルーの矢印①) 全体をブルーの矢印②方向 (つまり反時計の針方向) に回せば一つ前のマウントアダプタと外れます (1枚目の写真)。

また2枚目の写真では「マクロヘリコイド (ローレット/滑り止め) の使い方とその動き方」を説明しています。1枚目の写真でグリーンの矢印で指し示しているのが「マクロヘリコイド」のローレット (滑り止め) ですがオレンジ色矢印方向にスライドさせると (無段階のスライドですが位置的に狭いので少々操作し辛い)(泣)、しまいには「ロック解除ボタンに左端にカチンと突き当て停止する」のでその時点でズズ〜ッと全体が「最大で5mm分繰り出される」のを ブルーの矢印で説明しています。

もちろん繰り出し量は自由なので5mm分全部繰り出さなくても構いません(笑)

↑上の写真 (3枚) は、実際に『疑似マクロ化』で操作する時の全体像を説明しています。例によって符番は前述附属品一覧の番号です。

筐体の基準「」マーカーに無限遠位置「」刻印が合致している状態が1枚目です (赤色矢印)。ここで距離環を回してピント合わせします (ブルーの矢印①)。

仮に最短撮影距離位置「30cm」まで到達したとします (2枚目の写真)。実際に鏡筒がズズ〜ッと繰り出されて (ブルーの矢印) このモデルの諸元上の最短撮影距離「30cm」で停止します (実際に実則したらまさにピタリと被写体までの距離30cm/カメラボディ側の撮像素子面までの距離)。

この時さらに近接撮影したくなって『疑似マクロ化機能を発動させる』なら2枚目の写真で ブルーの矢印②で示した解説が当てはまります。

マクロヘリコイドのローレット (滑り止め) を回して (ブルーの矢印②) 全体を「最大で5mm分繰り出す」と (ブルーの矢印③) オールドレンズ全体がさらに繰り出されます。距離環の刻印 指標値は「最短撮影距離30cm」のままですが被写体との距離は「実測すると25cmまで近寄っている」ワケですね(笑)

従ってまさに直感的にボケ量を多くしたくなったり光量が欲しい時、或いは発色性の良さを もっと追求したい時などにこのように「マクロヘリコイドをズズ〜ッとヤル!」事で『疑似 マクロ化の世界に没入』する次第です(笑)

これらの話はあくまでもマウントアダプタによる操作の話なので他のオールドレンズにも同じ環境が該当しますから「サクッと直感的にヤッてしまう快感!」みたいなのを是ともご堪能 下さいませ(笑)

・・ハッキリ言ってメッセージ頂いた6人の方々には一度知ると堪らないようです(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離30cm附近での開放実写です (1枚目の写真)。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

一方2枚目の写真はマクロ用ローレット (滑り止め) を操作して筐体全体を「5㍉分繰り出した状態」での最短撮影距離 (近接) 撮影であり、実測では仕様上の30cmから「25cm」と5cm分短縮化して撮った写真です (同じく開放実写)。

↑同様に絞り環を回して設定絞り値を「f2.8」にセットして撮った写真で、1枚目が仕様上の最短撮影距離:30cm、2枚目がマクロ用ローレット (滑り止め) を操作した近接撮影で最短撮影距離:25cmでの「f2.8」撮影です。

↑さらに回してf値は「f4」に上がりました。1枚目が最短撮影距離:30cmで、2枚目が最短撮影距離:25cmです。

↑f値は「f5.6」に変わっています。1枚目30cmで2枚目25cmです。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。さすがにもうだいぶ絞り羽根が閉じてきているのですが、まだまだ「回折現象」の影響を感じ取れません。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑f値「f16」まで到達しました。

↑f値はこのモデルの仕様上「f22」に到達していますが、何とまだまだ背景が僅かにボケています!(驚)

↑このモデルの仕様上の最小絞り値「f22」を越えた「f32」まで絞り羽根が閉じきっています (それでもまだ開口部があるからちゃんと撮影できている)。しかもまだ背景ボケがあるという状況です。

この『疑似マクロ化』はさすがにとっつきにくいと言うか分かりにくいようですが、今までにこのようなセット「疑似マクロ化/なんちゃってマクロ」で当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品したオールドレンズをご落札頂いた方からは「総じてとても高い評価/認識」を頂きました。

やはり実際に使ってみないとこの「疑似マクロ化」の利便性や撮影の幅が広がる話はなかなか実感が湧かないようです(笑)

然し一度でもこの味を知ってしまうと「近接撮影が堪らない」と (今までマクロ撮影に興味があまりなかったのに) とオドロキの声をお聞きしており(笑)、要は別に徹底的に最短撮影距離にこだわらずとも「任意の距離/位置でマクロ用ローレットで繰り出してちょっと拡大撮影」が叶いさらにその時に「ご覧のように光量が増すので明るさとボケ量が増える」ので例えマクロ撮影に今まで興味がなかった人でも手に入れると「直感的に/意識せず操作できてクセになっている」とのご感想を何件が頂きました!(笑)

まさにそれが当方が狙っていた「撮影に専念できる使い使い勝手の良さ」であり、同時にお手元のオールドレンズが「一粒で二度美味しい」的な発想に転換できるワケで「それこそが写真ライフの愉しみ感倍増!」とも表現できますね!(笑)