◆ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製/一部金属製/プラスチック製》(M42)一挙3本同時出品
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
FUJICA製標準レンズ・・・・、
『FUJINON 55mm/f2.2《前期型》(M42)』からその筐体外装の
相違の別により一挙3本を同時出品します。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回『FUJINON 55mm/f2.2《前期型》(M42)』から「総金属製・一部金属製・プラスチック製」3本を同時に出品しましたが、おかげさまで3本全て
ご落札頂きました。ありがとう御座いました。
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時のFUJICA製標準レンズ「55mm/f2.2」の括りで捉えると、累計で「3本の同時出品なので」69本目〜71本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると45本目〜47本目です。
特に企画としてこのような同時出品をしたかったワケではなくて、たまたま都合から個別にこのブログページで載せていくのが面倒だったので「3本まとめて同一ページに掲載しつつの同時出品」です(笑)
先週末の11月19日 (土) に突然いつも使っているパソコンのハードディスクがクラッシュしてしまい、今回は完璧にパソコンが起動できなくなり19日 (土) 〜24日 (木) までの5日間「ひたすらにクラッシュしたハードディスクからデータを吸い上げていた」次第です(涙)
(1TBのハードディスクのデータ吸い上げに5日間/120時間かかるとは?!)(驚)
実はこのようにハードディスクがクラッシュするのは今回が4回目なのですが、いつもそのたびに一番安いハードディスクを買って騙し騙し使っていたのが仇となりました。だいたいパソコン自体も2008年製ですし、そろそろ新しいのに買い替える算段をしないと今の自分のカラダ同様「いつまで使えるのか?」みたいな話だと真摯に受け取り、この5日間ひたすらに悔い改めていた次第です(笑)
そうは言っても先立つモノ (お金) が無いので、結局気がつけば日々生活に追われていてとてもパソコンの買い替えなど夢のまた夢と言う話です (気持的にはちゃんと反省して悔い改めても現実は何も改めていないいい加減さが何だか自分らしくてミョ〜に納得)(笑)
・・要はちゃんと悔い改めた事実こそが真摯な態度の証だからそれで良いのだ!(笑)
そのハードディスクからのデータ吸い上げに要した5日間は当然ながらパソコンが使えず一日中/24時間それら機材の電源を入れっ放しでひたすらに復旧作業です。
従って何もヤル事がないので暇を持て余し5本のオールドレンズのオーバーホール作業に勤しんでいた次第です。
当方はほぼ1年中365日毎日のように何かしら作業しているので、せっかく訪れた (マジッで暇々な) 5日間ならせめて余暇に使えばどうなの?・・との思いもフッと頭をよぎり、それならと家族に電話して「これから行くョ〜ぉ」と伝えると・・妻は用事があってお出掛け中。娘達もそれぞれ自分の都合でお出掛け中で当然ながら長男も不在と、まぁ〜突然急にこちらの都合を押しつけようにも誰一人「お父さん待ち合わせしようか」と発言してくれないこの現実に遭遇し「夕飯でも一緒に食べようかとか言ったらどうなのョ?!」とブツブツ言いながら、結局貧乏暇無しがいつの時代も世の倣いなので5日間オールドレンズをバラしまくって (ふて腐れて) 作業しまくりでした (何でももったいないと考えるのが昭和世代の習性とごまかす)(笑)
・・そんなワケで何もかも身から出たサビの如くこの5日間作業しまくりです!(笑)
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そんな経緯が直近で発生していたので、以下ご案内するのは『FUJINON 55mm/f2.2《前期型》(M42)』に於ける筐体外装の違いから下のように分けて/並べてこのブログページで解説していきます。
《今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際し区分けした内容》
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
従って個別の個体は「その製品重量だけが筐体外装と内部構造/各構成パーツの相違により変化する」事を知るべきです。
ネット上をチェックすると「まるで筐体外装の材質の違いだけで製品重量が変わると思い込みしている人が居る」のが現実ですが、その認識は間違っています。そもそもどうして当時の富士フイルムが筐体外装の材質を変更してきたのかとの視点に立って考察しない限り本当に正しく認識できません。
しかしそんな事柄は今になっては分かろうハズがありません。すると仕方ないので「逆説的に完全解体して内部構造の違いと合わせて各構成パーツの相違点も逐一調べる必要がある」のに
・・それを行いません(笑)
従って当方では基本的にオールドレンズをバラす時「常に完全解体在りき」のポリシ〜なので、そこから自ずと「内部構造の相違や各構成パーツの違いは明らかになる」のは必然な話です(笑)
ちなみにどうしてオールドレンズをバラす時「常に完全解体在りき」のポリシ〜なのかと問われれば、それは「過去メンテナンス時の整備者の所為を全く信じていないから」とも言い替えられます(笑) 要は過去メンテナンス時の整備者の「ごまかしの整備」に数多く遭遇してきているので、例え当初バラす前のオールドレンズの現状が「正常のように見える」としても、現実にリアルにバラすと一部の構成パーツで強制的に曲げたり変形させたり削ったりいろいろ処置を講じて「あたかも正常に動作しているように仕上げているだけ」なのが白日の下に曝されます。
するとその時、それら所為を加えられてしまった各構成パーツの「真に製産時点のカタチとはどうなのか?」との観点に立って「観察と考察」を進めると、自ずと各部位やそこに携わる各構成パーツの「役目や目的に狙い等々」が明白になり、黙っていても「このカタチや形状/動きに戻さない限り正しく動かない/チカラが伝達されない」など明確な改善内容が明らかになってきます。
・・詰まるところ別にサービスマニュアルなど手元に無くても全てが見えてくる。
のがオールドレンズの内部構造と使われている各構成パーツなのであって、そんなのは「観察と考察」に取り組み「原理原則」に則れば自然に製産時点の状況に近似していくワケです。
むしろ逆に指摘するなら、それら過去メンテナンス時に手を加えられてしまった所為により、それら各構成パーツの経年劣化進行はむしろ促されてしまい (何故なら設計時点で一切想定していない使われ方をしているから)「製品寿命の短命化を促しているようなモノ」との受け取り方が当方の認識です。
↑上の写真は今回扱った3本の個体をバラした際にどの個体でも似たように過去メンテナンス時処置されていた「ムリヤリ曲げてしまったパーツの状況」を撮影しています。曲げられている箇所 (パーツに向かって右なのか左なのか) やその曲げている程度などはそれぞれ3本の個体別に違うものの、どの構成パーツをどれだけ曲げれば「どんだけ強いチカラを及ぼすのか」を知っている整備者が曲げている処置なので、当然ながらシロウト整備は考えにくい話になります。
例えば上の写真で一番左端の「コの字型の爪があるパーツ」は絞り環に締付ネジで締め付け固定されて、且つ鏡筒から飛び出ている「制御アーム」と言う金属棒を常にガシッと掴んだまま離さないパーツです。
すると締め付け固定されている先が絞り環なので「必然的に設定絞り値を伝達する役目」であるものの、グリーンの矢印で指し示している箇所をムリヤリ曲げて「コの字型の爪の角度を左方向に強制的に変更した」事が掴めます。
さらに実際に過去メンテナンス時この整備者が行った所為まで明確になり「その時ペンチでムリに曲げたのはコの字型の爪を掴んでチカラ尽くで曲げてしまった」ので今回のオーバーホールで取り出すと「コの字型の爪の両サイドをペンチで掴んでムリに曲げた痕跡/凹みがちゃんと残っている」事実から、グリーンの矢印で指し示した箇所が曲がったのは結果的に変形してしまったのだと理解する事ができます。
要はこのパーツを取り外して最初にグリーンの矢印で指し示した箇所を曲げたのではなくて「絞り環に固定したままムリにペンチで曲げた」事がまるで見えてきます(笑)
このようにちゃんと「観察と考察」を行えばどんなに昔の古い過去メンテナンスだとしてもその時の整備者が執った処置があからさまになって「どうしてそんな処置を講じたのか?」まで分かってしまいます。
上の写真の例/傾き/変形を解説するなら「設定絞り値に対して絞り羽根が開きすぎている状況/或いは最小絞り値まで絞り羽根が閉じずにその手前で停止してしまっていた不具合の発生」と言う2つの現象が浮かび上がります。
すると今度はこれら2つの現象のどちらが起きていたのかを示す「証拠」が次の中央の「捻りバネ」に施された所為で判明します。
中央の「捻りバネ」のグリーンの矢印の箇所でやはりムリヤリペンチで曲げていますが、本来は右側に飛び出ているカタチと同じなのに曲げの角度を大きく変形させています。
この時この「捻りバネ」がそのバネのチカラとして及ぼす役目/目的が「絞り羽根が絞り連動ピンの押し込みに従い絞り羽根を閉じようとするチカラを及ぼす」為に備わる捻りバネなので、これら2つの構成パーツの状況 (過去メンテナンス時にペンチを使ってムリに曲げてしまった時に起きていたこの個体の状況) は「後述の現象で最小絞り値まで絞り羽根がちゃんと閉じきらなかった (おそらくf8〜f11辺りで絞り羽根が動かなくなっていた) 状況」なのがハッキリしてしまいます。
それらをごまかす為に過去メンテナンス時の整備者はパーツの向きを変えたり捻りバネをイジったりして「ちゃんと動くように処置した」事がこの2つのパーツをチェックしただけで見えてきます(笑)
こういう事柄が「観察と考察」なのだとこのブログでさんざん執拗に解説し続けており、当方ではこのような処置を執る事を「ごまかしの整備」と述べています。
何故なら、決してこのような処置は製産時点に執られていなかった所為であり、同時に本来製産時点のカタチや向きを逸脱してしまい「これらパーツに及ぶチカラ/或いはこれらのパーツが及ぼすチカラ」の強弱により他の部位のパーツが影響を受けて「結果的に製品寿命は設計時点から大きく短縮されていく運命」に至ると当方は捉えています。
・・生産時点とは違う処置や工程を経るのはどう考えてもおかしい/適切ではない。
と言うのが当方の見解ですが、皆様はどのように感じられるでしょうか。
ちなみに一番右端も「捻りバネ」ですが一切過去メンテナンス時に処置されておらず「おそらくは製産時点の状態を維持」と考えられ、且つこの捻りバネの役目/目的は「常に絞り羽根を開こうとするチカラを及ぼすために備わっている」ので、多くのオールドレンズに於ける「常に絞り羽根を閉じるチカラ」と「常時絞り羽根を開こうとするチカラ」のバランスの中で設定絞り値に対してマウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込み動作により「瞬時にシャコッと絞り羽根が設定絞り値まで閉じる」・・これが「原理原則」です。
今まで扱った71本の個体に於いて凡そ50本弱の個体で、マウント部内のこれら各構成パーツに「過去メンテナンス時にペンチでムリに曲げている所為」が集中しているので、当方では「FUJICA製オールドレンズを専門に整備していた整備会社が過去に存在していた」か、或いは「任意の整備会社の特定の整備者がFUJINONレンズばかりを専門に処置していた」とみています。結果どの個体もマウント部内部のパーツの使い方が「必ず一つだけミスったまま組み上げられている」事実に遭遇し、それに気づいていない整備者本人はあたかも慣例の如く「ペンチでヤリ放題」みたいな話です(笑)
そのように考えないとどの個体をバラしても近似した処置が講じられている説明が付きません。しかもここまで説明してきた処置の根源は「実はマウント部内部のパーツの使い方を自分が間違っていたから絞り羽根が正しく開閉動作していなかった」点をこの所為を施した整備者は気づいておらず、組み立てていく中でこのような処置を執っています。
すると今回のオーバーホールで当方が何をヤッているのかと言えば「そのマウント部内部で間違って使われていたパーツを正しく使いつつもこれら曲げられてしまったパーツを本来の正しいカタチに戻して組み上げている」始末で、毎回毎回で本当に頭に来ますがどうして当方がいちいち正さなければならないのかマジッでカチンと来ます。
逆に言えば、それら正したパーツを組み込んで仕上げれば何一つ不具合など起きずにちゃんと適切な駆動で各部位が反応し仕上がりますから、いったいこの何処に「ごまかしの整備を行う必要性があるのか?」いつも不思議に思います(笑)
71本扱った個体の中で例えば20本前後ならたまたまそういう整備者が複数任意の時代に存在していたと考えるのも自然ですが、これだけ多くの個体で近似した処置が施されていると「何処ぞの整備会社で執られていた整備内容」との考えに集約せざるを得ません。
少なくともシロウト整備でみんなが同じようにミスッてマウント部内部のパーツを使ってしまい、同じように考えてこのように曲げていたと考えるほうが不自然なので、これらの所為には「特定の整備会社が介在している」とみています。
いまだに相変わらずそのような本数が増えていくばかりなので、下手すると今現在も同じ整備を繰り返しているのかも知れません(笑)
↑上の仕様諸元一覧は左端から「総金属製/一部金属製/プラスチック製」の順になりますが、製品重量 (実測値) のみ相違がありその他の諸元値は全て同一です。
すると「総金属製>一部金属製>プラスチック製」の順番で仕上がり時の製品重量に相違があり、それぞれ「164g>150g>146.5g」なのが分かります。
例えば前回扱った時の総金属製の製品重量は実測値で「165g」だったりするので、1g前後の違いがあります。もちろん製造番号が違うのですが残念ながらこの当時のFUJICA製オールドレンズの製造番号は「先頭2桁が暗号」なので製造番号のシリアル値だけを観て「製産時期の前後/新旧の判定ができない」と指摘できます。
↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。同様に左端から「総金属製/一部金属製/プラスチック製」の順で写真を載せています。それぞれの写真に以下のような区分けを付番しています。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
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なおこのモデル「FUJINON 55mm/f2.2シリーズ」に関する情報について今まで以下のような内容でこのブログにアップしているので、ご興味ある方はご参照下さいませ。
《FUJINON 55mm/f2.2シリーズの情報》
※それぞれ☞マークの右側標題をクリック/タップすると別ページで該当ページが開きます。
❶ 当時の時代背景やオーバーホール工程の詳細についての解説/ご案内
☞ ◎ FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》
☞ ◆ FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》
☞ ◆ FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》
❷ 筐体外装の材質の変遷、及びその製造番号との関係性についての解説/ご案内
☞ ◆ FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》※一部に注意喚起の内容含む
☞ ◆ FUJINON 55mm/f2.2《初期型》
❸ 特異な光学設計に起因する描写性の特徴に関する解説/ご案内
☞ ◆ FUJINON55mm/f2.2《前期型:総金属製》
このようにそれぞれの視点に立ってこのモデルを考察していくと、そもそも4群4枚のフジノン型と言う特異な光学設計を採ってきた「当時はあくまでも廉価版モデルの格付」としても、探求すればするほどなかなか奥が深くて、チープなモデルと捨て去るにはあまりにも内容が濃い印象が募るばかりです。
今ドキのなデジタルなレンズのフジノンモデルに関しては、まさに皆さんもその吐き出す画質に相当な評価を与えていると思いますが、その一方でオールドレンズの現在の市場を顧みると「まるでゴミレンズの如く低価格帯でゴロゴロ出回っている始末」とも受け取られ、そのような状況を観るにつけ幾ばくかの郷愁感に溺れそうになりますが(涙)、実は意外に当時からしてとても優れた描写性能を持つオールドレンズ達だったのではないかと、最近改めて感じ入っているところです。
・・皆様も是非今一度立ち止まってフジノンレンズを眺めてみて下さいませ。
特に今まで扱ってきた累計本数71本に於ける皆様とのお取り引き内容から鑑みても「筐体外装の問題 (割れている個体が多すぎる)」或いはもっと根っこの話でもある「前玉と後玉にクモリがある個体が多すぎる問題」など、オークションでの当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』の輩の出品姿勢からも、なかなか落札者サイドに立った細かい出品個体に対する情報提供を怠っているヤツらばかりですが、そんな中でも何とか少しでも満足できる/慈しみを覚えられる個体を手に入れようと、その調達に奮起すると「気がつけば10本手に入れて使えるのはたったの1本レベル」と言うのが当方のリアルな現実で御座います(泣)
その意味ではたま〜に「総金属製」をオーバーホール済でヤフオク! 出品しようとも詰まるところそれまでに調達して出費してしまった経費から逆算すると「まるでチャラな話」なのがホンネで(笑)、ただただひたすらに「FUJINON 55mm/f2.2シリーズヘの慈しみだけ」がパワーの源のようなアホな話です(笑)
・・まぁ〜そんな事柄もオールドレンズの愉しみの一つですョね?
と皆様に同意を求めても仕方ないのですが・・。
詰まるところ『オールドレンズ沼の住人になる』と言うのは、どんだけ昔から住んでいるのかどうかは別にして、まるで古アパートに今も安住感を覚えて住まい続けるが如く、何某かの安寧を冀求する一方で例えば妻にバレないよういろいろ苦心惨憺して工夫している人や(笑)、そこに「散財」というコトバを当てはめられない人、ポチッとするその瞬間の葛藤 (当方はその瞬間に必ず眉をひそめて右手の人差し指を睨みつけている)「ポチッとな」してしまった直後の懺悔にも似たような何とも足元定まらない不安定な趣き、そして・・そしてついについに手に入れられた「求め続けて三千里くらいの逸品」を毎晩の如く慈しむ瞬間こそが「人情の所有欲を超越した、まさに人知を超えた悦びの境遇」ではないかといつも感じます(笑)
・・マジッでそんくらい想いを込めて一つ一つオーバーホールして仕上げている次第です。
今ドキなデジタルなレンズももちろん良いのですが/素晴らしいのですが、オールドレンズには数十年〜半世紀以上の「感触」が残り、且つその佇まいには「長き時の中での多くの人達の想い/情熱/意地/葛藤/苦しみ」が込められており、或いは家族や親族含め多くの想い出と共に育まれたロマンの言葉に括ってしまうにはあまりにも壮大すぎる「いろいろが見え隠れする」と言うオールドレンズの真髄を垣間見るにつけ、そのはき出す描写性を別にしても常に感じ入るところです。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑それぞれの個体で完璧なオーバーホールが終わっています。前述同様左端から順番に以下の符番を写真に付けています。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
確かにオールドレンズのモデル銘としては上の3つの写真はどれも同じ当時のFUJICA製標準レンズで廉価版の格付として登場した「FUJINON 55mm/f2.2 (M42)」ですが、筐体外装の材質が異なり、且つご覧のように前玉のコーティング層蒸着が放つ色合いまで違うのが分かります。
・・たまにはこうやって並べて撮ってみるのも分かりやすいですね(笑)
なお個別の個体のオーバーホール後の状態については必ずヤフオク! の出品ページ (特に右側の欄) をご確認頂き、現状の個体の状況を把握した上でご落札をご検討下さいませ。
↑それぞれ同じ順番で撮影して並べた光学系内の状況を撮った写真です。並び順は同じで以下のままです。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
いずれもこのように撮影するとまるで「スカッとクリア」のように見えますが、実は前後玉には相応の瑕疵が残り「特に後玉は3つの個体全てでLED光照射時に極薄いクモリが視認できる状況」です。その一方で光学系内はとてもクリアです。
但しそうは言ってもこのモデル「FUJINON 55mm/f2.2シリーズ」の括りの中で判定を下すなら「後玉の極薄いクモリのレベルはまるで軽い程度に留まる貴重な個体」と指摘できそうです (しかしLED光照射では非常に薄いクモリが視認できる)。
逆に言うならこのブログページの最後で仕上がったそれぞれの個体で撮影した実写を載せているので、それをご覧頂ければまさにヤフオク! 出品ページ記載のとおり「光源や逆光撮影時以外は全く影響しないレベルに留まっている」事がご理解頂けると思います。
↑ここからはいつも掲載している光学系前群の前玉側方向から撮影した写真をそれぞれの角度で掲載していきます。今回の個体は3本全てで「前玉にはLED光照射で視認できる極薄いクモリが皆無」なのが不幸中の幸いでしょうか(笑)
↑一番左端の総金属製と右端のプラスチック製のコーティング層が放つ色合いが似ているように見えますが、よ〜く観察するとビミョ〜に違うのも分かります(笑)
↑左端から順に以下の並びのままです。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
↑後群側は全部で3枚の光学硝子レンズがセットされていますが、その中で一番最後の「後玉だけにLED光照射で視認できる極薄いクモリが残る」状況で、それさえ無ければ「スカッとクリアな個体の本数が更新できたレベル」です。撮影している角度がビミョ〜に違うので分かりにくいですが、後玉の蒸着コーティング層が放つ光彩の色合いはどれも同じように見えます。
↑このように写真で撮られた写真を見せられて (ヤフオク! などで)「見た限りはとてもキレイです」と謳うのが当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』の常套手段なので、決して惑わされてはイケマセン(笑)
前述で何度も指摘していますが「LED光照射すれば極薄いクモリが後玉表面に新できるレベル」です。逆に言うとこれら個体を調達する際は「当方も掲載の写真だけで判断するしかない」ので同じ穴の狢どうし「騙し合いしている始末」と言うお話です(笑)
・・当方含めこう言う輩は煮ても焼いても食えませんね!(笑)
↑角度を変えてもまるでスカッとクリアなように見えてしまいますが、LED光照射すれば歴然です(笑)
↑並び順は同じで以下の通りです。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
↑マウント面には「開放測光用の爪」が凡そ1mm弱で突出しますが、正しくは「開放測光用の爪は絞り環に備わる」ので、一番左端の総金属製だけが「開放測光用の爪も金属製」なのでカッターで削るにしても少々大変です。他はエンジニアリング・プラスチック製なのでカッターでも削れますね。
当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。
もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、ご使用になられるマウントアダプタによってはマウント面の「開放測光用の爪」が当たって擦れるので/最後までネジ込めないので切削する必要があります。
申し訳御座いませんが切削にはご落札者様自身で行って下さいませ (当方では切削しません)。
またK&F CONCEPT製のマウントアダプタをご使用頂ければ/手に入れればこの「開放測光用の爪」を回避するので干渉せずに正常使用が可能ですからご検討下さいませ。
↑いずれの個体も絞り環共々絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したままキレイに閉じていきます。このように3本の個体の最小絞り値「f16」を並べて掲載すると、撮影時の距離がビミョ〜に違うので正誤角形の開口部の大きさが違うように見えてしまいますが、簡易検査具でちゃんと確認しながら微調整済なので適正です。
いずれもここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑ここから鏡胴を横向きにして最短撮影距離まで繰り出した時の状況で撮影していますから「筐体外装の材質の相違で一番製品としての質感の違いが分かる」でしょうか?
↑同じ順番で並べているのでやはり一番日取りは氏が高級感があるように見えるでしょうか?
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
↑もちろん実際に手に取れば明らかに一番左端の総金属製の質感が素晴らしく感じられるでしょうが、実は「総金属製の距離環は指標値を印刷したアルミテープをネジ止め」に対して、他の2本は「エンジニアリング・プラスチック製距離環に指標値が刻印」なので、下手すると総金属製の距離環のほうがチープに見えてしまう人も居るかも知れません(笑)
・・人の感性の問題なのでなかなか特定できませんね(笑)
↑当然ながら今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際し即決価格もそれぞれで異なり左端の総金属製から順に「39,500円/29,500円/19,500円」なので如何でしょうか(笑)
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① marumi製MC-Nフィルター (新品)
② 本体『FUJINON 55mm/f2.2《前期型》(M42)』
③ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
④ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
並び順は同じままで以下の通りです。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑オーバーホール後のそれぞれの個体の状況を判定した一覧表示も同じで、いずれの個体でも項目別の判定評価は同一レベルです。その意味ではこの後に掲載するオーバーホール後の個体による各絞り値での実写をチェック頂ければ、どの程度後玉の極薄いクモリが実写に影響を及ぼすのか見て分かると思います。
↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影していますが、絞り環の刻印は単なるドット「●」だけです。
↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。
↑f値は「f5.6」に上がっています。
↑f値「f8」での撮影です。
↑f値「f11」です。絞り羽根が相応に閉じてきているので、そろそろ「回折現象」の影響が現れそうですが、意外に廉価版のくせに頑張ってしまうのがなかなかの健気で思わずニンマリしてしまいます(笑)
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。なら蛇順は相変わらず以下のままです。
🅰 総金属製:フィルター枠/距離環/指標値環/絞り環/マウント部の全てが金属製
🅱 一部金属製:フィルター枠/指標値環/マウント部が金属製で他プラスチック製
🅲 プラスチック製:フィルター枠/マウント部だけが金属製で他プラスチック製
※プラスチック製とはエンジニアリング・プラスチック製を指します。
《FUJINON 55mm/f2.2の在庫は今回で完了です》
残念ながらこのモデル「FUJINON 55mm/f2.2シリーズ」に於ける当方の手持ち在庫分は今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品が最後です。大変希少な総金属製も然ることながら一部金属製 (指標値環が金属製) も珍しく、合わせてプラスチック製もクモリの程度が低いレベルを維持した個体です。是非ご検討下さいませ。