◎ Revue (レビュ) AUTO REVUENON MC 50mm/f1.4(PK)
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今回の掲載はオーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズに関する、ご依頼者様へのご案内ですのでヤフオク! に出品している商品ではありません。写真付の解説のほうが分かり易いこともありますが、今回に関しては当方での扱いが初めてのモデルでしたので、当方の記録としての意味合いもあり掲載しています (オーバーホール/修理の全工程の写真掲載/解説は有料です)。
過去に「Revue」ブランドの焦点距離「55mm/f1.4」は数本扱ったことがあるのですが、この「50mm/f1.4」に関しては今回が初めてでした。ちなみに「Revue」は「レビュ」と発音するのでネット上でもいろいろと呼ばれていますが「レフエ」ではないようです。
旧西ドイツのバイエルン州フュルトで1927年に創業した通信販売専門商社「Quelle (クウェレ)」の写真機材部門が発行していた100ページ以上に及ぶ専門誌「Foto-Quelle」にて、オリジナル・ブランド銘として用意された「Revue (レビュ)」ブランドによる商品群の中のひとつで、フィルムカメラや交換用レンズ、或いはアクセサリなど多数販売していました。
Quelleはすべての商品を自社開発せずにOEM生産に頼った商品戦略を執っており、レンズに関しては日本製レンズや韓国製、或いはドイツ製などで製品群を揃えていたようです。今までにオーバーホールした「55mm/f1.4」に関しては富岡光学製の原型モデルが存在するので富岡光学製なのですが、今回のモデルに関しては瓜二つの富岡光学製原型モデルが思い浮かびません。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。
すべて解体したパーツの全景写真です。
ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。
構成パーツの中で「駆動系」や「連動系」のパーツ、或いはそれらのパーツが直接接する部分は、すでに当方にて「磨き研磨」を施しています (上の写真の一部構成パーツが光り輝いているのは「磨き研磨」を施したからです)。「磨き研磨」を施すことにより必用無い「グリースの塗布」を排除でき、同時に将来的な揮発油分による各処への「油染み」を防ぐことにもなります。また各部の連係は最低限の負荷で確実に駆動させることが実現でき、今後も含めて経年使用に於ける「摩耗」の進行も抑制できますね・・。
バラしていきなりビックリです。絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒 (ヘリコイド:オス側) が硬質樹脂製 (硬質プラスティック製) でした。しかもヘリコイドのネジ山が4箇所に分断された状態で用意されています。
8枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。絞り羽根には「キー」と言って、絞り羽根の位置を確定したり向きを制御する役目の「金属製の突起」が2本打ち込まれています。この「キー」に中心が空洞の「円筒」を使っているのが富岡光学製モデルの特徴でもあります。今回のモデルは「円筒のキー」を打ち込んであるのですが、まだ富岡光学製と確信できたワケではありません。その理由のひとつはこの絞りユニットの固定方法です。ネジで直接締め付け固定する方式を採っていました。富岡光学製だとすると少々珍しいです。固定ネジはたったの2本で、しかも絞り羽根の開閉幅 (開口部の大きさ) 調整ができないようになっています。
距離環やマウント部を組み付けるための基台です。だいぶ薄い (深さがない) 基台です・・。
ヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。このモデルには「無限遠位置調整機能」が備わっているので、ここでは大凡のアタリ付けで構いません。
硬質樹脂製の鏡筒 (ヘリコイド:オス側) を、やきり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルには全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず)、再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。
このモデルには当然ながらマウント部があるのですが、それとは別に「連動系・連係系パーツ」を格納している専用の部分が存在していました。このような構造も富岡光学製モデルではまだ見たことがありません・・つまりは富岡光学製ではないと考えています。
今回の個体をバラしていくと基台から後の部分が全く外れませんでした。基台が外れなければヘリコイドも抜くことができず、ヘリコイド・グリースの入れ替えもできません。それでだいぶ長い時間を掛けるハメに陥りました。
実は、この個体は距離環に1箇所「打痕」があり、恐らく過去に落下させたことがある個体のようです。しかし凹んでいたのはその距離環の1箇所だけではなく、基台に附随していたこの部位にも「ほんの僅かな変形 (凹み)」が生じていたようです。そのためにネジを外してもどうしてもこの凹んだ箇所が引っ掛かって外れませんでした。
上の写真は変形しているかも知れないと気がついて、その変形箇所を発見し修復後に当方による「磨き研磨」を施した状態の写真です。
大抵のオールドレンズではマウント部の内側にこれらの連動系・連係系パーツがセットされるのですが、このモデルではわざわざ独立させています。絞り羽根開閉アームが「円形」のアーム状に打ち込まれているのも富岡光学製モデルには存在しません。
距離環を仮止めして光学系前後群を組み付け、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。
硬質樹脂製の構成パーツは鏡筒だけではなく、光学系前群の硝子レンズ格納筒も硬質プラスティック製でした。このモデルの光学系は恐らく4群6枚のビオター型構成だと思うのですが、第2群がモールド一体成形されており外せません。また第3群は金属製の固定環なのですが、完全に固着しており外れません。従って、今回は前玉の表裏と第2群〜第3群の表裏を清掃しただけになりますのでご承知置き下さいませ (一部が清掃できていません)。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
あまり見かけないRevueブランドの「AUTO REVUENON MC 50mm/f1.4」です。富岡光学製かどうかは残念ながら半信半疑です・・恐らく違うと思いますが。
光学系内の透明度は高いのですが、前述のように一部清掃できていません。当初バラした時点では、この光学系の周囲まで「経年の揮発油成分」が廻っていたので、相応にコーティング層の劣化も進んでいると思います。しかしLED光照射でもほんの僅かなクモリしか確認できないので問題はありません。
光学系後群はすべてバラして清掃ができましたが、極微細な点キズやヘアラインキズ、或いは拭きキズなどは相応に残っています。
ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感があまり感じられないキレイな状態でしたが、清掃時に白色指標値がすべて褪色してしまったので当方にて着色しています (白色のみ)。
使用したヘリコイド・グリースは「粘性:中程度」を塗布しました。しかし、鏡筒 (ヘリコイド・グリース:オス側) が硬質樹脂製であることから相応に「軽め」のトルク感に仕上がっています。
元々キレイでしたが、筐体はすべて当方による「磨き」をいれてあるので均一で落ち着いた美しさに仕上がっています。
ちなみに、写真では分かりにくいですが、このモデルの距離環のローレット部分はラバー製で絞り環のほうは金属製です。
珍しいモデル「AUTO REVUENON MC 50mm/f1.4」です。「REVUENON」は「レビュノン」と呼びますね・・富岡光学製ではないとすると、何処の光学メーカー製なのでしょうか?