◎ ZOOMAR MÜNCHEN (ズーマー・ミュンヘン) MACRO-KILAR 90mm/f2.8《後期型:243系》 (arri)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わってご案内するモデルは、旧西ドイツは
ZOOMAR MÜNCHEN製中望遠マクロレンズ・・・・、
『MACRO-KILAR 90mm/f2.8《後期型:243系》(arri)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回オーバーホール/修理を承りご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時の焦点距離90mmに於ける「Makro–Kilarシリーズ」で捉えると累計では13本目にあたりますが、今回扱った個体「後期型:243系」だけでカウントすると初めての扱いです。
またいわゆる「最終型」の如く米国はニューヨークに住むFrank G. Back博士に会社が買収されて「ZOOMAR MÜNCHEN (ズーマー・ミュンヘン)」社に変遷したモデルとしてとても貴重との認識にも至ります。
以下にこれら『マクロレンズの始祖たるKilarシリーズ』の詳細についてご案内しますが (Makro-Kilarの名称にて括っていない点についても後ほど解説します)、なかなか一筋縄では解説が終わらない「唯一無二の存在」である事を先ずはご認識頂くべきかと思います。
しかも当方にすれば本当に運良く「このシリーズで唯一今までに扱っていなかったモデル・バリエーションのオーバーホール/修理を賜った巡り逢わせ」についても、この場を借りてオーバーホール/修理ご依頼者様に対し感謝とお礼を申し上げます。
・・ありがとう御座います!!!(涙)
巷では「プロになれなかったド素人崩れの何処のウマの骨か分からない整備スキルが低いヤツで、仕舞にはプロではないからと逃げる始末」とのご評価に至り、誠にお恥ずかしい限りで何一つ反論できず、ただただひたすらに真摯に受け取り反省の日々を送っています。唯一褒められたのは「分解するのは上手いようだ・・」との事で、奈落の底に堕ちる寸前でなんとか救われたような感じです(涙)
それにもかかわらずこのようにとても希少で貴重なオールドレンズのオーバーホール/修理をご依頼頂き、感謝を飛び越えてその優しいお心根に心温まる想いで今回のオーバーホールに臨んだ次第です。
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ここからの解説は今まで当モデル「焦点距離90mmのMakro-Kilarシリーズ」で既にこのブログにアップした内容を転載しています。従って過去にご高覧頂いた方々は同じ内容ですので読み飛ばして下さいませ。
それらURLは・・・・、
● 『Heinz Kilfitt München Makro-Kilar 90mm/f2.8 ◉◉◉』
● 『Makro-Kilar 90mm/f2.8 C』・・・・です。
1955年に旧西ドイツの隣国リヒテンシュタイン公国で「Kamerabau-Anstalt-Vaduz (ファドゥーツカメラ写真機研究所)」頭文字を採った略「KAV」から『世界初のマクロレンズ』として登場した、焦点距離40mmのマクロレンズ「Makro-Kilar E 4cm/f3.5 C」のポートレートマクロレンズとして、翌年1956年に発売された「Makro-Kilar 90mm/f2.8 C」からの系譜になりますが、実はそのモデル・バリエーションで捉えると「マクロレンズに入らない初期に登場したモデルの存在」があるので、元来開発設計者たるHeinz Kilfitt (ハインツ・キルフィット) 氏が世に送り出した製品群として括るなら、正しくは「Kilarシリーズ」と捉えるのが順当な認識であり、焦点距離300mmと言う驚異的な超望遠レンズまで含めた「キラーシリーズ」との受け取り方が妥当でしょうか。
↑上の図は当時の最後期に「ZOOMAR MÜNCHEN」として印刷されていたカタログからの抜粋です (焦点距離1,000mmまで存在していた/おそらくミラーレンズ)。
開発設計者であると同時に創始者でもある「Heinz Kilfitt (ハインツ・キルフィット:1898-1973)」は戦前ドイツはバイエルン州München (ミュンヘン) のHöntrop (ハントロープ) と言う町で1898年に時計店を営む両親の子として生まれます。
時計職人の父親に倣い自身も時計の修理や設計などを手掛けていましたが、同時に光学製品への興味と関心からカメラの発案設計なども手掛けていました。
Kilfittは27歳の頃に想起し、5年の歳月を掛け開発したゼンマイ仕掛けによる自動巻き上げ式のフィルムカメラ (箱形筐体にCarl Zeiss Jena製Biotar 2.5cm/f1.4レンズを実装) のプロトタイプに関する案件を、31歳の時に同じドイツのHans-Heinrich Berning (ハンスハインリッヒ・ベルニング) 氏に売却しています。
このカメラは後の1935年に小型化されカメラらしい筐体となって世界で初めての自動連続撮影が可能なフィルムカメラ「robot I」型 (ゼンマイ式自動巻き上げ機構を搭載した 24x24mm フォーマット) としてオットー・ベルニング社から発売されています。
その後の戦時に入ると、これら「RoBoT」カメラはドイツ空軍仕様が供給され、例えば翼内に実装し空撮や偵察写真などに使われたようです。右写真は当時のRoBoTカメラで裏面に「Luftwaffen Eigentum (空軍備品)」刻印があるので、まさに戦時中に活躍していた自動連続撮影のフィルムカメラと指摘できます。
ネット上の解説では、このフィルムカメラ「robot I型」の設計者がHeinz Kilfittであると解説されていますが、正しくはKilfittが設計開発した小型フィルムカメラを基に、オットー・ベルニング社がフィルムの自動巻上げ機構を開発設計し組み込み製品化 (量産化) したので少々異なります (そもそもは前述の開発製品が設計概念の原型になるから)。
このパテントを基にOtto Berning氏らと共に設立した会社でKilfittはゼンマイ式巻き上げ機構を装備する前の小型フィルムカメラを幾つか開発した後に退社し、長い間温め続けていた自ら光学製品を開発設計するためにこの案件売却の資金を基にミュンヘン市の町工場を1941年に買い取り試作生産を始めています。
ちなみに当時の戦時中ドイツ軍に供給されていた「軍御用達のフィルムカメラ (光学メーカー)」はドイツ陸軍が「Leitz/Leica」であり、ドイツ海軍は「EXAKTAシリーズ」さらにドイツ空軍が「RoBoTシリーズ」なので、正直な処ドイツ陸軍がとても羨ましく見えます(笑)
大戦後1947年には隣国リヒテンシュタイン公国首都ファドゥーツ (Vaduz) にて、念願の光学製品メーカー「Kamerabau-Anstalt-Vaduz (KAV:ファドゥーツ写真機研究所)」を創業し様々な光学製品の開発・製造販売を始めました (Kilfitt 49歳)。
会社名は「Heinz Kilfitt → Kilfitt」そして後の1960年に念願の生まれ故郷、München (旧西ドイツ) に会社を移し「Heinz Kilfitt München」としたので、レンズ銘板刻印もそれに伴い変わっています。
その後1968年の70歳の時に、アメリカのニューヨーク州ロングアイランドで会社を営むFrank G. Back博士に会社を売却し引退してしまいます。Kilfitt引退後に社名は「Zoomar」(商品名もMakro-KilarからMACRO-ZOOMATARに変更) に変わり終息しています。
つまりKilfitt在籍中のみ自身の名前が会社名に使われていました。なお「Makro」はドイ語表記なのでラテン語/英語表記では「MACRO」ですね。従って自身が在籍していた時代はドイ語表記で出荷していたことになります。
Münchenに戻ったのが62歳 (1960年) だったので、戦後の混乱期を避けて人生の黄昏はやはり生まれ故郷に戻りたかったのでしょう。
意に反し写真機のほうでは、Otto Berning & CO. (オットー・ベルニング商会) の「RoBoT
カメラ (フィルム自動巻上げ/連続撮影)」への足掛かりを与え会社が存続しましたが、最後まで情熱を注ぎ込んだ光学製品のほうは残念ながらZOOMAR社のシネマ業界への傾倒から消滅していく運命でした。しかし戦前戦後を生き抜いて念願の光学製品に没頭できた人生は、まさに
栄光の日々だったのではないでしょうか・・引退してから5年後の1973年に75歳でその生涯を閉じています。
ちなみに会社売却先のFrank G. Back博士は有名な現代物理学の父とも呼ばれるノーベル物理学賞受賞のアインシュタイン博士の友人でもあり、2人はこぞってKilfittが造り出す光学機器に高い関心を抱いていたようです (特に光学顕微鏡など)。
《モデル・バリエーション》
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
Heinz Kilfitt München Kilar 90mm/f3.5 C:1952年発売
モデル系列番号:212-xxxx
光学系構成:3群4枚テッサー型
絞り羽根枚数:14枚
f値:f3.5〜f32
最短撮影距離:0.78〜∞
マウント種別:L39 (シネレンズ用途のマウント規格も多数顕在)
Heinz Kilfitt München Makro-Kilar 90mm/f2.8 C:1956年発売
モデル系列番号:219-xxxx (シングルヘリコイド)
光学系構成:3群4枚テッサー型
絞り羽根枚数:16枚
f値:f2.8〜f32
最短撮影距離:0.3〜∞
マウント種別:M39 (シルバー/ブラック)
Heinz Kilfitt München Makro-Kilar 90mm/f2.8 ◉◉◉
モデル系列番号:219-xxxx (ダブルヘリコイド) ★★★
光学系構成:3群4枚テッサー型
絞り羽根枚数:16枚
f値:f2.8〜f32
最短撮影距離:0.13〜∞
マウント種別:M39 (ブラックのみ)
ZOOMAR MÜNCHEN MACRO-ZOOMATAR 90mm/f2.8 (1968)
モデル系列番号:301-xxxx (シングル)/243-xxxx (ダブル)
光学系構成:3群4枚テッサー型
絞り羽根枚数:16枚
f値:f2.8〜f32
最短撮影距離:0.3 (0.13)〜∞
マウント種別:M39
なお、いずれのモデル・バリエーションもマウント規格は当時のシネレンズ用途向けマウント規格まで多数顕在しているので製品群は多岐に渡りますし、もっと言えばシネマ業界ではマウント規格自体が撮影機材の指向として必要なマウントに改造されて供給していたので、なかなか一筋縄で括れません。
右のカタログからの抜粋は焦点距離90mmのほうの「Makro-Kilarシリーズ」ですが、そのパーツ群は総てが略称で表記されていました。
一部の某有名サイトでズームレンズの「ズーム」と言うコトバが、このKilfittシリーズの最後の会社名「ZOOMAR」社から派生した言葉であると解説していますが、それは違います。
Zoom Lens Historyによると「ズーム」と言うコトバは、既に1932年時点で放送機材業界で使われていたようですが、数多くのサイトで間違った案内がされているとのことです。
そこで調べてみると、ズームの概念の一つである焦点距離の延伸 (延長) の考え方が1902年時点でパテント登録されており (右図)、それはもとを正せばイギリス人数学光学天文学者のPeter Barlow (ピーター・バロー) による発想「バローレンズ (焦点距離の延伸/延長)」概念で基本的な考え方が開発されていたようです。
さらに最終モデルの会社「ZOOMAR」社の創始者Frank G. Back博士は、自らズームレンズの開発設計は一度もしておらず、単にそれら光学製品のテレビ放送業界への浸透に汲みしたことから「ズームレンズの父」と呼ばれていると解説しています。
この焦点距離の延伸 (延長) と言う概念は、後にVariable focal length lens (バリフォーカル
レンズ:可変式焦点距離レンズ) の礎に繋がり、まさにズームレンズの発展へと展開していきますね。
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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
◉ 一段目
左端に巷で族に「玉ねぎボケ」と呼ばれている典型的な円形ボケの表出をピックアップしました。これは真円の円形ボケのエッジ/輪郭が二重線に表出するのを「玉ねぎのよう」とみたてて呼称しているようですが、これは「明確に光学系の設計から来る表出の傾向」なので、いわゆる二線ボケの一種として捉えるにはムリがあります。逆に言うなら様々なオールドレンズに於いて頻繁に表出が適う円形ボケの一種ではありません。
しかしその「玉ねぎボケ」もエッジとの境界が滲んでいくと単なるフツ〜の円形ボケへと変遷するので、必ずしもこのモデルで撮影した円形ボケが「総て玉ねぎボケ」に至るとは限りません。一般的な「リングボケ」或いは一番右端の如く「玉ボケ」へと変わる様は他のオールドレンズと全く同じですから、その意味で考察するなら「このモデルの場合シャボン玉ボケ→玉ねぎボケ」とご認識頂くのが打倒ではないでしょうか。
◉ 二段目
さらにそれら円形ボケが滲んでいくと最後にはご覧のようにトロットロボケに至りますから、確かに焦点距離90mmのポートレートレンズ域に含まれるとしても「その後に登場したポートレートマクロレンズにも入る」のがご理解頂けると思います。コントラストが高い傾向に現れる特徴を持ち、それはこの後に出てくる段の被写体の材質の表現性にまで大きく影響を来します。
◉ 三段目
ここでは明暗部のイントネーションの相違 (左側の2枚) と共に右側2枚ではグラデーションの表現性をチェックしています。いわゆる「黒潰れ」としても相当ギリギリまで粘ってその境界のビミョ〜な陰影を残してくれていると感じます。合わせて右側2枚の写真では例え平面的な表現性に堕ちかねないシ〜ンでも、ちゃんとそのグラデーションを階調表現として維持できているところがさすがと感じました。
詰まるところどうしてこのモデルが特にシネマ業界で人気があったのかとの疑問に対するある意味一つの答えのようにも受け取っています。それが次の段の材質を表現するチカラの大きさです。
◉ 四段目
この段では硬質な被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さとして実写からピックアップしています。左側からの3枚の写真を観ると特に金属やガラスなどの硬質面の表現性に於いて相当なポテンシャルを持つマクロレンズではないかと受け取っています。この認識は過去にオーバーホール/修理のご依頼で作業した際にも永劫関係者の方からご指摘頂いており、あくまでもドライに徹底して質感表現能力を持つ特異な描写傾向が感じられるマクロレンズとのご評価でした。プロがそのように認識して映像撮影に使うとなればこれらの表現性の印象もなまじド素人的な捉え方とも言えなさそうです(笑)
それは実は一番右端の人物撮影の描写性をチェックすると何となく理解できます。同じポートレートレンズでももっと/さらに明確に人肌表現が生々しいオールドレンズは数多くあると思いますが、その一方でこれだけインパクトの強いコクの深さを写し出せるモデルとなると、確かに少々クセが強いだけに何とも不思議な写り方で思い当たりません。
逆に言うならそのような「人工的な表現性」に於いて一種独特な写し方を魅せるマクロレンズなので、このような描写性は特に当時のヨーロッパ人にはとてもウケが良かったのが察しつきます。
◉ 五段目
左側2枚のピックアップがまるで上のモデル・バリエーションに於ける「最短撮影距離:13cmと30cmの違い」を如実に現しています。どう言うワケかネット上解説ではほとんど触れられないのですが、このモデルには最短撮影距離が2種類顕在し「13cmと30cm」になりますが、今回運良く「最短撮影距離:13cm」の個体を手に入れられたのでこの時とばかりに光学系の実寸を調べました。
ところがほとんど大きな変化がなく微々たる違いだったので、光学系知識が疎い当方には少々「???」的な印象です(笑)
上の実写で言えば明確に左端が「最短撮影距離:13cm」モデルに於ける被写界深度を示しており、その一方で2枚目のペンチの写真が「最短撮影距離:30cm」モデルでの被写界深度と受け取っています。当然ながら最短撮影距離が短いほうが被写界深度が浅くなるので「ピント面の合焦域はとても狭い領域に限られる」傾向が見てとれるのは他のオールドレンズと全く同じ話です。
するといくら焦点距離が90mmのポートレートレンズ域の範疇としても、現実的にこの「最短撮影距離:13cm」の要素は使い方によっては相当な魅力になると今回改めて新鮮な感動を覚えた次第です。実際に今回の個体でオーバーホールが終わってから撮影した「最短撮影距離での実距離」を実測してみたところ「まさにピタリと13cm」だったので思わず「おぉ〜!」と唸ってしまった次第です(笑)
ちなみに本来「最短撮影距離」とは被写体と撮像面 (フィルムカメラならフィルム印画紙面でデジカメ一眼/ミラーレス一眼なら撮像素子面) までの実距離を表す指標値なのですが、どう言うワケかこのHeinz Kilfittの製品群での表記は「本当にレンズ銘板の縁部分から被写体までの実距離」を現す概念で表記されているので注意が必要です。
例えば焦点距離40mmのほうの「Makro-Kilarシリーズ」には「タイプD」の場合僅か5cmですから、どう考えても被写体と今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼の撮像素子との実距離が5cmなどあり得ません(笑)
但しそうは言っても現実的に被写体に13cmまで近寄って撮影できると言うのは、特にこの焦点距離90mmのポートレートレンズの括りで捉えても「まるで驚異の話」なので、前述のように使い方次第でとてもオモシロイ写真が撮れそうです。
・・さすが「Kilarシリーズ」だけのことはある!(驚)
光学系はまさに簡素な「えッ?こんなんでいいの?」と感じるくらいに少ない3群4枚の典型的なテッサー型構成です。テッサーでこれだけの描写性を表現できるように仕上げてしまうのだから、この光学系の設計そのモノが凄いのかこのマクロレンズが凄いのか光学知識が疎い当方にはまるで分かりませんが、それでもオドロキの範疇に入ってしまいます(笑)
ちなみに右構成図は以前扱った際にオーバーホールで完全解体した時、光学系の清掃時に逐一当方の手でデジタルノギスを使って各群を計測したトレース図です。この時の諸元値では「最短撮影距離:30cm」のタイプだったので今回の個体のトレースと比較すると違いが分かります。
右の構成図が今回の個体をバラした際に同様光学系の清掃時に逐一当方の手でデジタルノギスを使って各群を計測したトレース図です。
各群の曲率や厚みなどはほんの僅かしか違いがなく、その中でも特に大きな相違として認識できたのは第1群 (前玉) の厚みでしょうか。
この光学系設計で「最短撮影距離:13cm」を実現してしまうのだから堪ったものではありません(笑)
なお以前扱った際に光学硝子レンズに「ランタン材」を含有していた検証を執っていますが、今回の個体の光学系は3群4枚全てに「ランタン材を確認できなかった」のでまるで無色透明です (あくまでも裸眼でのチェックで無色との意味合い)。
↑上の写真 (2枚) は、以前検証した時の写真から転載していますが「UV光の照射」で茶褐色の色付きが一切変化しなかったので「ランタン材の含有」と受け取りました。また茶褐色の色付きが硝子材全域に渡るので (各群単独でチェックしないと分からない) いわゆる経年のコーティング焼けではないと認識しています。
一方今回扱った個体には一切これらの茶褐色の色付きが認められず、まるで無色透明だったので最後に製産されていたとの違いから硝子材にも変化があったのかも知れません (証拠がないので不明なまま)。
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。今回扱った個体は今までの10年間で初めてのモデルですが、他に前述のとおり2つのモデル・バリエーションで扱っており、そのいずれも「同じ内部構造と設計を採っていた」が判明しているものの、何と今回扱ったこの最終モデルたる「ZOOMAR MÜNCHE社製」はその内部構造の一部に設計変更が認められ、今回のオーバーホールに際し完全解体する時「???」と手が止まってしまったくらいでした(笑)
最初1時間ほど「えッ? どうして完全解体できない???」とそのバラし方が「???」で、過去に扱った個体の記録データベースの写真を何度も見まくりでした!(笑)
このような経緯を当時の製品として考察すると「ZOOMAR MÜNCHEN社製品」に至り合理化されたのだと十分に受け取られる変更点だったのが「バラしてみれば判明」したものの(笑)、当初バラす際は何処も彼処も一切外れず「バラし方が判んないョ〜ぉ!」状態でした(笑)
・・さすがに焦りました!(笑)
どうせ今までに扱ったモデルと同じとたかをくくっていたので、意気揚々とオーバーホール/修理ご依頼を承ってしまったものの、マジッで1時間冷や汗モノでした(笑) 非常に理に適う設計変更を採っていたものの、それはあくまでも「今までのモデル・バリエーションのバラし方を知っているから」であって、何をどのように合理化したのかなどバラす前から分かるハズもありません(笑)
↑実装する16枚もの絞り羽根を組み込む絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。そもそも製品自体がいくら焦点距離90mmとしてもマクロレンズである以上、光学系第1群の前玉は奥まった位置に配置されます。
さらにご依頼者様からもご指摘がありましたが、このようにまるでフードの如く遮光部分を用意する理由は「光学系第1群前玉への入射光に対し乱反射の進入を防ぐ意味」から数多くの筋状に凹凸を備えて乱反射をより細かく拡散する目的もあると考えます。同様に後群側などにもこのような遮光環/リング/輪っかが備わり、今度は当時のフィルムカメラマウント内への反射光進入を阻止する意味もあったと考えます。
そしてもっと言うなら光学系内にも遮光環/リング/輪っかは存在し「光学硝子レンズの締付環」自体にも数段の細かい凹凸を伴う溝が切削されていて同じように乱反射を低減させていると考えます。
そもそも光学硝子面の表層面で「1面あたり必ず4%分の入射光が失われる」点を鑑みれば (詰まるところ光学硝子レンズ両面で都合8%減じられる計算)、コーティング層を蒸着する事でその反射率を低減させて入射光の透過を促している概念からすればこのような遮光環/リング/輪っかの存在もご納得頂けると思います。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
↑16枚の絞り羽根を組み込んで鏡筒最深部に絞りユニットをセットしたところです。ご覧のように当時としては大変珍しい「フッ素加工を施した絞り羽根」と言う先進的な設計を採っており、絞り羽根の表裏で互いが接触し擦れ合う中でその平滑性まで担保したとても素晴らしい絞り羽根です (当然ながら絞り羽根の擦れ痕なども相当少ないレベルと指摘できる)。
↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。たかが3群4枚のテッサー型でも遮光環がフードのように備わるので相当な長さ/深さを持つ鏡筒なのが分かります。
↑後から組み込むのが面倒なので先にこの工程で光学系前後群を組み込んでしまいます。上の写真では既に光学系第1群 (前玉) 〜第2群をセット済です。
↑同様光学系後群側もセットしてしまいます。後群側と言っても実際は貼り合わせレンズの後玉だけです。
◉ 貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す
◉ バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態
◉ ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態
◉ フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーやパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く
◉ コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない
◉ フレア
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す
◉ フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す
↑鏡筒にはレンズ銘板のすぐ直下に「プリセット絞り環と絞り環」が組み込まれます。ネット上の解説やプロのカメラ店様などの説明を見ているとこれら「プリセット絞り環と絞り環」を反対に捉えて説明しているパターンがありますが、そのように反対に認識してしまうと「そもそも撮影時の操作に於いてその動き方と合致しない」ので間違っているのが分かります。
と言うのも「絞り値」だけに着目して捉えようとするからまるで反対の認識に至ります(笑) 確かにこのモデルでは「絞り環側に絞り値が刻印」されているので、どうしても「刻印されている絞り値を中心に捉えがち」ですが、そのような考え方は間違っています。
「プリセット絞り環の目的」が何なのかを理解していません。撮影時に使うであろう絞り値を予めセットしておく事で開放〜設定絞り値までの間で自在に絞り羽根開閉操作が可能になる概念が「プリセット絞り環の役目」です。
従ってプリセット絞り環の主眼は「使う絞り値の範囲設定」であって絞り値を決める部位ではないことを認識できていません(笑) またその一方で「絞り環の役目」が何かと言えば、それはたった一つしかなくて「絞り羽根の開閉駆動」だけです。
要はこれら互いの役目/目的をちゃんと認識できていないからオールドレンズのモデルによって「プリセット絞り環と絞り環の認識を違えてしまう」まま気づかずに解説していたりしますから、まるでプロの写真家まで平気でそんな説明を載せているので笑ってしまいます(笑)
従ってプリセット絞り環だろうが絞り環だろうが関係なく「絞り値が刻印されている箇所の問題は一切存在しない」ワケで、その刻印されている絞り値の場所をどのように使うのかはそれぞれのオールドレンズの設計で異なるのが当然な話です。それを「刻印絞り値の場所」に注目するから話が分かりにくくなります。
◉ プリセット絞り (値) 環
撮影する前の時点で予め撮影時に使うであろう絞り値をセットしておく機構部 (その範囲内でしか絞り羽根が開閉しない)
◉ 絞り環
実装されている絞り羽根を開閉駆動させる為の機構部
するとこのモデルに関して言えば「プリセット絞り環側はカチカチとクリック感を伴って事前に絞り値に合致させておく」ので上の写真赤色矢印が指し示す環/リング/輪っかになります。その一方で絞り羽根を実際に開閉させているのは「そのプリセット絞り環直下の絞り環側」なのでまさに上の写真の解説の通りと言う話です。
プリセット絞り値がどの範囲でセットされていようが関係なく、撮影時に実際に自分の手で操作して回しているのは「最後は上の写真赤色矢印で指し示している絞り環だけ」なのは誰がイジッて操作しようとも変わりませんし、確かにその操作で絞り羽根が開閉しています(笑)
それをオールドレンズのこのモデルではこちらが絞り環で別のモデルではそっちプリセット絞り環・・の如くいちいち覚える必要があるような解説をしているから変なお話になります(笑)
プリセット絞り機構を装備した総てのオールドレンズで前述の概念で捉えれば「自ずとプリセット絞り環と絞り環の部位は確定してしまう」と指摘できますね(笑) プロの写真家ならもう少しまともな考え方を執ってほしいものです(笑)
↑鋼球ボールとスプリングを組み込んでからプリセット絞り環と絞り環をセットしたところです。何度も言いますが絞り値が刻印されているほうが「絞り環」です。
↑鏡筒が完成したので (光学系前後群も組み込みが終わっているから) ここで鏡筒を直進動する役目の「最終的なヘリコイドたる3段目のオス側筒」を組み込んでしまいます (赤色矢印)。このヘリコイド (オス側) 3段目は最終的に4つの締付ネジで鏡筒に締め付け固定されます (回転式ではない/固定されてしまう事がポイント)。
実は今回のオーバーホール/修理ご依頼ではこの点が後々問題になってくるのでとても重要な話なのです (後のほうで出てくるので覚えておいて下さい)。
逆に指摘するならこれら4つの締付ネジのネジ穴は「鏡筒に4箇所しか備わっていない」ので「向きを変更することができない」点を認識する必要があります。
つまり4箇所のネジ穴が備わるのでヘリコイド (オス側) 3段目の固定箇所は全部で4箇所の向きでセットが適いますが、その一方で最後にここにセットする「距離環の場所は1箇所しか存在しない」ので結果的にこのヘリコイド (オス側) 3段目をセットできる向きは「1箇所しかない」話になります。
もっと言うなら、例えば距離環を固定する際に使う締付ネジは「イモネジ」ですが3本あります。もしもこのヘリコイド (オス側) 3段目の4本ある締付ネジの固定箇所として4つの向きを用意するなら、距離環の固定箇所は「イモネジ用の下穴が全部で12箇所必要になる」か、例え均等配置に設計したとしても「絞り値の刻印が2箇所なので最低でも6箇所下穴が必要」と言う話です。
ところが現実に備わるイモネジ用の下穴は「3箇所だけ」なので自動的に距離環の固定箇所は「1箇所だけ」との話に落ち着くしかありません。
↑ここからはマウント部の話を説明していきます。このモデルのマウント部を上の写真で示していますが、向きを逆にして取っているので「後玉側方向が写真の上方向」の向きで撮影しています。
↑撮影する角度を変えただけですが、実はこのようにマウント部開口部の直前に「V字型の大きな溝が備わる」ものの赤色矢印の箇所に「コの字型の切り欠きが存在しない」点に於いてこのマウント規格が「arriflex STD (スタンダード) マウント規格」ではないのが明白です。
左写真は当方でも過去に一度扱った事がある「arri STDマウント規格」の写真をネット上から引っぱってきましたが、ご覧のようにちゃんと「コの字型の切り欠き」が備わります。
すると今回扱った個体のマウント規格は「arriflexマウント規格」でSTDではない別のタイプと推察できます。シネレンズのほうの知識が疎いのでよく知りませんが、STDではない事は間違いありません。
↑さらにいろいろ細かく見ていくと上の矢印のように注目箇所がある事が分かります。この「arriflexマウント規格」と鏡胴との間に赤色矢印で指し示した溝部分が確認できました。当初バラす舞うの時点ではこの溝部分に経年の汚れが詰まっていたのか分離するかどうかの判定が不明でした。さらにグリーンの矢印のようにマーキングがあります。
当初バラす際に一生懸命チカラを入れて回していたのはまさにこのマーキングのせいで「普通に外す方向で回していた」のですが、ちゃんと治具を使って回そうと試みているのに全くビクともしません (何度トライしてもダメ)。
↑同じように「arriflexマウント規格」を真正面から撮影していますが、赤色矢印で指し示している溝部分とマーキングをグリーンの矢印で指し示しました。同様何度チカラを入れて回そうにも全く緩みません。
↑凡そ1時間ほどあ〜だこ〜だ考えたところネット上の個体にこのマウント部が外れている個体写真が載っていたのを発見して「前述の赤色矢印の箇所は間違いなく分離する」と判明しましたが、どうにもこうにも回りません・・いったい何のためにローレット (滑り止め) 状に製品を仕上げたのでしょうか???
・・と眺めていて閃きました!(笑)
「コイツッ! もしかしてドイツ語???」と言うコトで調べてみたらまさにドイツ語でした。このマーキング (前述の写真でグリーンの矢印で指し示しているマーキング) は「ドイツ語でFest (締める)」の意である事が分かったのです。確かにマーキングに附随する矢印のようなカタチをみれば「F刻印」は細く尖っているので締め付ける方向なのが理解できます(笑)
・・つまり反対方向で回すことで緩むことが判明しました!
解体した各構成パーツが上の写真です(笑)
❶ 鏡胴とローレット (滑り止め)
❷ マウント用延長筒 (フランジバック合わせ部)
❸ arriflexマウント
❹ 締付用ワッシャー
❺ 締付環
従って当初バラす際にどんだけ回そうと試みてもビクともしなかったワケで(笑)、さらにarriflexマウント自体も内側からこんな太い締付環で締め付け固定されていたのでは動くハズがありません(泣)
何しろ心臓疾患者でもあるので下手にチカラを入れまくると心臓バクバクになるので怖かったりします(笑) 今回は閃きで助かりました!(笑)
↑ご覧のとおりマウント部の延長筒には1箇所にネジ穴が備わり意味不明でしたが、その先にセットされる「arriflexマウント」を見れば「スリット/切り欠き」が備わり、要はarriflexマウントをセットした時に「指標値がちゃんと真上に来るよう90度の範囲で向きを舞わせられる設計」なのが判明し、おそらくこの個体の製品版は「ちゃんと締め付けネジかツマミが存在していた」と推測できます。
↑分かり易いように前述の「向き調整用のスリット/切り欠き」部分を手前にして組み込む時の様子を撮影しましたが、本来はこの反対側にネジ穴が位置するので「スリット/切り欠きも反対側に来る」のが正しい位置関係になります。
こんな感じでマウント部の延長筒に「arriflexマウント」が組み込まれます (実際はこの後内側から締付環でカニ目レンチを使い締め付け固定する)。
↑だんだんとクライマックスに近づきつつあります(笑) 総ての組み上げが終わって当方所有のK&F CONCEPT製「Nikon F → SONY Eマウントアダプタ」に装着したところです。
今回のオーバーホール/修理ご依頼に際し、ご依頼者様に使用されるデジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着した時の「実際の無限遠合焦位置」を養生テープで事前に貼り付けをお願いしていました。その養生テープの右端が「リアルな無限遠合焦位置」で上の写真では赤色矢印で指し示している場所になります。
さらにオレンジ色矢印ではちゃんと距離環の無限遠位置∞に附随するマーキングで「縦線のライン」と鏡胴側の基準「△」マーカーがピタリと一致しているのを示しています。
またその一方で当方所有マウントアダプタ側の中心部分とちゃんとオールドレンズ側指標値がピタリと一致していることをグリーンのラインで指し示しています。
つまり鏡胴側 (距離環側も含め) 基準「△」マーカーがちゃんと「Nikon Fマウント規格としてピタリと合致している証拠写真」としてこの写真を掲示しています。
なにしろネット上では当方の信用/信頼が皆無な状況なので、逐一「証拠写真」を掲示しないと何を言われるか分かりません(怖)
なおどう言うワケか今回の個体ではプリセット絞り環/絞り環側基準「●」マーカー位置 (グリーンの矢印) が鏡胴側の指標値や基準「△」マーカーのグリーンのラインと一致していません。
↑さらに拡大撮影で問題箇所を撮っています。ご覧のとおり距離環側と鏡胴側のラインがピタリと合致しており (オレンジ色矢印)、且つご依頼者様に調べて頂いた「リアルな無限遠合焦位置」との間隔が赤色矢印で指し示した幅です。
今回のオーバーホール作業では最終的にこの幅分を詰めて「ピタリと基準「△」マーカー位置で合致させた仕上がりにする」のが命題/ご依頼内容です。
この後は無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。
ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。当方にとっては大変貴重な、Heinz Kilfitt氏が精魂込めて育て上げた会社「Kilfitt München」が買収された後に発売した最終モデルたる「ZOOMAR製品」です!(涙)
実はよ〜く調べると社名が「ZOOMAR MÜNCHEN」である事はともかく、モデル銘が「MACRO-KILAR」銘なのがオドロキでした。
ネット上をチェックすると、おそらくは会社が買収された直後に出荷していた製品は距離環の途中に「ZOOMAR MÜNCHEN」ロゴマークが刻印されているものの、レンズ銘板のモデル銘は「Makro-Kilar銘のまま出荷していた」事が判明しています。その一方で実は今回の個体のすぐ後に出荷されていたモデルは、そのモデル銘が「MACRO-ZOOMATAR」に変遷しているので真の最終モデルとしては「ZOOMATAR銘」が最終モデルなのが分かっています。
その意味でも今回扱った個体は「まさにその中間点に位置していたおそらくは出荷数が相当少ない個体の一つ」であってまだまだ引退したHeniz Kilfittの面影を漂わすままの製品だったのが判明しています。
推測の域を超えませんが、突如現れた「モデル・バリエーション:243系」として設計され製産した出荷品の初期ロットだった可能性があります (従来は冒頭モデル・バリエーションのとおり219系がダブルヘリコイドだから/301系はシングルヘリコイド)。
不思議なのはシングルヘリコイドの個体にも「最短撮影距離:13cm」が顕在するのをネット上写真で確認しているのでよく分かっていません (シングルヘリコイドのタイプはまだ扱っていないから)。
↑光学系内はご依頼者様ご指摘の通りまさに「スカッとクリアそのもの!」で当然ながらLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリも皆無です。点キズも少なめですがおそらく「非常に微細な気泡」が僅かに含まれていると判定しています。特にこのモデルで言うなら「後群側の貼り合わせレンズのバルサム切れ」が近年市場流通品で多い傾向なので今回の個体は素晴らしいです!(驚)
◉ 気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「証」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。
↑単に写真で撮っただけでは全く分かりませんが、実際に後玉単体で清掃しても極薄いクモリが皆無です。
↑実際のマウント部をセットした状態はこんな感じに仕上がっています (Nikon Fマウント規格)。
↑16枚の絞り羽根もキレイになりプリセット絞り環や絞り環ともども確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑ググ〜ッと繰り出していくとご覧のようにまるで鏡筒だけが飛び出てくるので知らない人が見ると何ともグロイ印象を覚えかねないマクロレンズです(笑) しかもその操作性が独特で「回転式ヘリコイド駆動方式む」なので距離環を回していくと一緒に「鏡筒部分まで回転していく」ために絞り値の刻印がプリセット絞り環/絞り環で両サイドに備わります。
Heint Kilfitt氏がまだ在籍していた頃の出荷品は「Makro-Kilar銘」でしたが、その後ニューヨークのFrank G. Back博士に買収された後は「ZOOMAR MÜNCHEN社」と変遷したので、合わせてモデル銘も「MACRO-ZOOMATAR銘」に変異しましたが、今回扱った個体だけはKilfitt氏の面影を漂わす・・それこそ涙が出そうなくらいに・・「MACRO-KILAR銘」で嬉しい限りです!
ちなみに会社が旧西ドイツのミュンヘンに位置していたにも関わらずモデル銘がラテン語/英語表記に変わり「ドイツ語表記のMakroがMACROに変わった」のもちゃんとレンズ銘板に刻印されています。
↑一つ不思議なのは上の写真のようにどんどん距離環を回して繰り出していくと最後に詰まって停止する方式のヘリコイド駆動 (回転式ヘリコイド駆動方式) なのですが、ご覧のとおりグリーンのラインで示すと距離環の刻印距離指標値が「0.14」に到達しない位置で停止してしまいます。
これは順番で言うと下側の刻印にあたるので「メートル表記」であり14cmを意味します。「最短撮影距離:13cm」なら「0.14の先まで回って詰まって停止 (赤色矢印)」するのが道理なのに「???」です。
この指摘についてはネット上の個体写真を観ても同じなので「製品時点でそういう造りだった」ように考えています。またそれはfeet表記でインチに切り替わる「20インチ」刻印を見ても同じ話なので (オレンジ色矢印) ちゃんとネット上の他の個体でも同一でした。
・・よく分かりません。
↑最終的に「リアルな無限遠合焦位置」でちゃんと基準「△」マーカーと距離環側刻印ラインをピタリと合わせてあります (オレンジ色矢印)。
上の写真撮影時にはミスッて距離環が炭し回ってしまっていたので僅かにズレていますが、現物はちゃんとピタリとライン上で合致してカチンと詰まって停止します。
その一方で、前述とた当初バラす前の基準「△」マーカー位置との相違の幅 (赤色矢印の幅の部分) のズレが解消したものの、今度は鏡筒の固定位置が変更できない (そもそも微調整機能を設計時点で装備していないから) ので、上の写真のとおり「その分のズレが今度はプリセット絞り環側で同一の幅/領域として現れてしまう」のを上の写真では赤色矢印で囲って示しています。
この点について、スッカリ忘れていて (内部構造面からの問題なので) 事前にご依頼者様にちゃんと正しく伝達できていません。もしもこの点についてご納得頂けない場合は「そのご納得頂けない分の金額をご請求金額より減額」可能です。
・・大変申し訳御座いません!!!
↑いよいよクライマックスに至ります。何はおいても今回の個体で最初から最後まで一貫して厄介極まりなかったマウント規格の問題です。
ちゃんとご依頼内容を執り行い「Nikon Fマウントで仕上げられた」状況です。
↑先ずは鏡胴とこのマウント延長筒部分との着脱方法を解説しています。互いにリリースキーとそれが入る穴が備わるので (赤色矢印) その位置で合わせてセットしてから (グリーンの矢印) ブルーの矢印②方向に鏡胴側締付環のローレット (滑り止め) を回せば締め付け固定できます。
その逆に外す際はブルーの矢印①方向 (一般的に環/リング/輪っかを外す時の方向とは真逆) に回せばするすると緩んで外すことが適います。
今回の個体のオーバーホールの時ほど「ドイツ語表記するなョ!」と頭に来たことはありませんね・・(笑) それくらいチカラを入れまくって心臓がバクバクだったのでマジッでヤバいと思いました(怖)
↑このソケット式のパーツを何と呼ぶのかよく知りませんが(笑)、樹脂製のフィルターやカラーガラス板をセットする目的のパーツです。ちょっと撮影をミスっていて (もぅだいぶ疲れが回っている)(笑)、ひっくり返して撮ってしまったので爪のフックのような部分が下になっています (赤色矢印)。この樹脂製パーツは爪/フック部分を僅かに持ち上げて開くことができますがフィルター板を挟む程度しか開きません。
↑いよいよNikon Fマウントの解説です。ご依頼者様の探求により必要な環/リング/輪っかがちゃんと用意されていましたが、問題なのはその固定方法でした。
何しろこのモデルは鏡胴の繰り出し量が多いので、その重量と共に繰り出しで長くなった距離環の回転操作により相当なチカラがこのNikon Fマウントの環/リング/輪っかに一極集中するのは誰が考えてもよ〜く分かります。
ところがそれに耐えているのは上の写真の「M39 → M42変換リング」で単なるアルミ合金材削り出し製品です。それほど硬い成分配合ではないと思われる製品なので、ご依頼者様も「心許ない」とのご懸念が高かった部分でもあります。
それをいったいどのようにして仕上げたのか・・がマジッで悩んで苦心した話です(笑)
まず最初に「arriflexマウント」の内側には向きを90度変更する目的で用意されているスリット/切り欠きが内側に備わりますが、合わせて「遮光目的の凹凸切削」が施されていて (赤色矢印) そこにこの「変換リング」をネジ込めるとのご指摘だったので「ネジ込めるなら螺旋状に切削されているがピッチが合わないので1/3しかネジ込めない」と捉えていました。
ところがこの遮光環部分をチェックすると「螺旋状の切削ではなく水平方向の切削」で要はまるで前玉側の直前に備わるフードのような遮光部分と同じなのが分かりました。
従ってarriflexマウント部に「加熱処置」を施し、合わせてこの「M39 → M42変換リング」をムリヤリネジ込んでから、今度はその上に「Nikon Fマウント環」をネジ込んでグイグイっと締め付けました。
従って相当荒く扱ったり (距離環を回してみたり) してみましたが全く外れないのが確認できています。それでもエポキシ系接着剤を使ったり溶接しているワケではないので「万一のズレが分かるように処置を講じた」のが次の解説です。
↑延長筒と最終的な「Nikon Fマウント環」との両方に位置合わせのマーキングを入れました (赤色矢印)。もしも撮影していてこの位置がズレ始めたら「マウント部の脱落懸念」に至るので今一度「Nikon Fマウント環」をグッと締め付けて下さいませ。
要は「M39 → M42変換リング」が単に内側の遮光部分の凹凸にネジ込まれているだけなのに対し「Nikon Fマウントアダプタ環で締め付けることで垂直方向のチカラで締め付けが加わり固定できた」と言う発想で今回仕上げています。
↑斜め横方向から撮影してみましたが、こんな感じで互いの環が「互いの材の応力を利用して固定を実現した工夫」に仕上げています。
逆に言うなら「変換リングだけを遮光部分に締め付けても指で剥がそうとチカラを加えるとすぐに外れていた」ワケで、それが一切ビクともしなくなっているのが現状です。
但しそうは言っても「マウントの着脱時に横方向にチカラが掛かる」点からして、メールでもご案内したとおり「エポキシ系接着剤は横方向からのチカラに弱い」ために当てにならず、仕方ないのでせめてもの懸念の確認として「位置マーカーを刻んだ (赤色矢印)」のでご案内しておきます (現状エポキシ系接着剤は一切塗布していません)。
《ご留意頂きたい内容》
この「位置マーカー」を刻印した最大の目的は「Nikon Fマウント環がマーカーより先にズレてもマーカー手前まで緩んでも/戻ってもどちらの状態も拙い!」事を管理/制御する狙いです。それらズレにより、例えば先まで回ると「材の応力で垂直方向の固定が破綻する」懸念があり、反対にマーカー手前まで緩めば今度は脱落の懸念に至ります。従って常に「位置マーカーは互いが同列上に位置している状況」をいつでも目で確認できるよう仕向けた工夫としてドリル切削しマーキングしました。少し緩んだからと言って「Nikon Fマウントアダプタ環をグイグイ回しすぎても非常に拙い (締め付け過ぎるのが良くない)」事をご理解下さいませ。
この点、明確に今後のご使用に際しご認識頂きご留意頂く事をお勧め申し上げます。
また最後の藁をも掴むべく思いとして「マウント延長筒の側面にあるネジ穴 (arriflexマウント内側のスリット/切り欠き部分に貫通して刺さる為に用意されているネジ穴)」に「ネジ穴を何とか貫通するくらいの少々太めの組紐を通して」arriflexマウント環内側に位置するスリット/切り欠き箇所に「その組紐を玉状に結んで組紐がネジ穴から抜け落ちないように工夫してエポキシ系接着剤で固めて頂く」のがイザッと言う時の安心材料になり「心の健康に役立つ」と思います (その際あまり大きく玉の結び目を仕上げると今度は写真に写り込む懸念が残るのでご注意下さいませ)。組紐の玉結び部分から繊維がピョ〜ンと飛び出して写真に写り込んでいる・・なんて言うのも玉結び部分をエポキシ系接着剤で固めてしまえば防げるとの小さな配慮です(汗)
その組紐の反対側を輪っか状にループにして右手首に通しておけば「万一Nikon Fマウント環の部位が破綻して脱落しても最悪手首にブラ下がって落下を防げる」との配慮をご案内しています。もちろん落下して地面に激突しない程度の長さで組紐をご用意頂く必要がありますが、お手数をお掛けする事になり大変申し訳御座いませんが、是非ご検討頂きたくお願い申し上げます。
・・それもこれもまさに当方技術スキルが低い故に完全固定できなかったのが悪いのです(涙)
このように、ご依頼内容のご指示に一切無かった所為に勝手に及びましたこと、本当に申し訳御座いません・・決してお詫びすれば良い話ではありませんが、その分是非とも減額にてご不満をご判定下さいませ。
↑以上にて今回のオーバーホール/修理ご依頼分のご依頼内容について総ての作業が完了しました。
然しながら今までの解説の通り以下の点について不備が残っている為、これらについてはご請求金額からご納得頂けない分の減額が可能です。減額頂ける最大値/MAXは「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」として、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などの対応はできません・・申し訳御座いません (オーバーホール/修理ご依頼者様皆さんにご案内しています)。
《現状残る不備の内容》
❶ リアルな無限遠合焦位置にピタリと基準「△」マーカーを合わせたが (オレンジ色矢印) その一方でプリセット絞り環/絞り環の基準「●」マーカー位置が互いにズレてしまった (事前にご依頼者様に一切告知できていません/申し訳御座いません)。
❷ 距離環を回すトルク感は「当初と同程度のトルク感」をご指示頂きましたが、当方所有ヘリコイドグリースの粘性で言うと現状よりもさらに「重いトルクの粘性」を塗布するとピント合わせ時に少々チカラが必要になり「マウント部の変換リング脱落の懸念が高まる」との考えから「敢えて普通程度のトルク感に軽く仕上げた」現状です・・申し訳御座いません! この件、確実にご指示に反しており間違いなく減額対象になりますのでご判定をお願い申し上げます。
❸ 前述変換リングのズレに伴う脱落の懸念からその目安として「位置マーカー」の刻み込みを許可なく勝手に行いました事、この点も許諾なく他人様の商品に手を加えているので100%減額対象になります。ご判定をお願い申し上げます。
・・以上これら3点の ❶ 〜 ❸ についてご納得頂けない分の減額をご判定下さいませ。ご判定頂きました内容はメールで送信後当方の承諾無しで減額した/差し引いた金額でお支払い頂くだけで今回のお取り引きが完了します (いちいち当方の承諾など必要ありません)。また「無償扱い」とのご判定時はメールの送信だけでお取り引きが完了します (同様当方の承諾が必要ありません)。
・・誠に申し訳御座いません!(涙)
なお、現状リアルな無限遠合焦位置で仕上げてありますが、実は「ヘリコイド (オスメス) のネジ山の隣同士が7mm弱の間隔がある」為に、せっかくなのに運が悪い事にまさにちょうどそのド真ん中にリアルな無限遠合焦位置が来てしまい、現実としては「極僅か/おそらく指で力を僅かに入れて1mm微動させるか否かの程度」のズレでヘリコイドがネジ込まれています (つまり現状極微かにオーバーインフ状態)。
さすがにヘリコイド (オスメス) のネジ山の間隔は微調整が一切不可能なので、せっかくリアルな無限遠合焦位置をテーピングして頂いたのにちゃんと100%活用して仕上げられていない点に於いて、本当に申し訳御座いません・・。
・・この点もご納得頂けなければ前述不備の❹として減額下さいませ。
↑全く失念しており (バラして組み立てている途中でようやく思い出した) 本当に申し訳御座いません。上の写真のように完璧にズレまくりです (赤色矢印)(涙) その因果関係は前の工程で解説したとおりですが、鏡筒の固定箇所が4本の締付ネジを使うとしても1つの向きにしか対応していない (距離環の固定箇所も変更できない) からです。特に下側の基準「●」マーカー刻印が距離環の縁にある刻印なので、こんな内容の話に至ります。
ちなみに距離環を回すトルク感を「普通程度の軽さ」に仕上げた分、逆に絞り環操作時のトルク感は「軽め」に仕上げており、距離環を回してピント合わせ後にボケ具合をイジッても、その絞り環操作で「ピント位置がズレない」ように距離環側ヘリコイドのトルクと絞り環側トルクとのバランスをとってあります。但しもちろん勢い良く絞り環操作すればピント位置がズレるので、前述のようなお詫びの内容になりました・・申し訳御座いません。
せっかく当方を信用してご依頼頂いたのにこのような状況です。どうかこのブログを今ご高覧頂いている皆様も重々ご承知おき下さいませ。「プロや匠」の仕事とはあまりにもかけ離れた仕上がり状況である事をどうかご認識下さいませ。
光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離13cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値「f22」での撮影になりますが、もう相当絞り羽根が閉じてきているもののまだまだ「回折現象」の影響は感じられません。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
↑最小絞り値「f32」での撮影です。大変長い期間に渡りお待たせし続けてしまい本当に申し訳御座いませんでした。お詫び申し上げます。
今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。