◆ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
FUJICA製標準レンズ・・・・、
『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainie! Geroyam Slava!
ご落札頂きましたぁ〜!(涙)
あまりの瞬札で (出品後僅か4分未満) てっきりヤフオク! のエラーかと思い
込んでいろいろ出品ページの所在を探しまくっていました・・(笑)
ありがとう御座います!!!
メチャクチャ嬉しいです!!!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で当時のFUJICA製標準レンズ「55mm/f2.2」の括りで捉えると累計で67本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると43本目です。
他に先日オーバーホール済でヤフオク! 出品した大変珍しい「初期型」が1本に「後期型」が23本、さらにそれらの中で「前期型」だけを筐体外装の材質を基に細かく分類すると「前期型:エンジニアリング・プラスチック製」が20本に「前期型:一部金属製」が16本という状況ですが、今回扱った個体は1年ぶりに手に入れた「前期型:総金属製」になり扱い累計本数は7本目と更新できました。
ほぼ毎日市場をチェックしているにもかかわらず「総金属製」と確かな確信を以て調達するには1年以上を要します。チェックしているのは国内市場を2箇所に海外オークションebayもあるので、単にチェックするだけでも相応の時間を要します。
ところが海外オークションebayはともかく、国内オークションでヤフオク! とは別に存在する某有名処で「金属製ではないのに金属製と謳って出品し続けている出品者」が把握しているだけでも2名居り、3万円以上の高額価格帯で出品し続けています。
実は当方のこのブログでも掲載しましたが、その2人の出品者のうちの1人から落札した個体を撮影時に落としてしまったところ「削れた箇所が銀色に削れずに黒色のままでも金属製なのか?」との問い合わせが当方宛舞い込みました。
その時の当ブログ掲載ページはこちら『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:
一部金属製》(M42) ※一部に注意喚起の内容を含む』です。
もちろんその問い合わせされた方は、当方が出品した当モデルをご落札頂いたご落札者様ではなく (前述のとおりヤフオク! とは別の某有名処で落札/入手)、一切当方と関わりがない方でしたが「まるで駆け込み寺の如く藁をも掴む思い」と受け取り、このブログに掲載する事を条件に事細かくご案内申し上げました。
詰まるところ落下してしまい距離環の一部が削れてしまったものの、その箇所が銀色にならず筐体外装と同じ色の黒色のままだとすれば、それは間違いなく「エンジニアリング・プラスチック製」です(涙)
少なくとも当方が今までの10年間で3,000本以上のオールドレンズを扱ってきた中で「削れている箇所まで黒色の金属製筐体外装」との現状だった個体は「ゼロで1本もありません!」と明言できます。
逆に言うなら金属製の筐体外装で設計されていて、その金属材自体まで筐体外装と同色の黒色に「金属材の成分/配合を意図的にこだわる必要性が見出せない」とも指摘できます。そのように金属材自体の成分と配合をイジるよりも単純にメッキ加工なり焼き付け塗装を施せば最も低コストで済みます。仮にどうしても同じ色合いで金属材を用意したいとなれば、例えば彫刻/彫像を仕上げるなどの用途なら理解できる要素はあると考えますが、オールドレンズに於いてそこまでこだわる必要性はどう考えても見出せません。
そんな経緯が過去にあったのでそれ以降注視しているワケですが、そのヤフオク!とは別の某有名処で出品され続けてきた「金属製を謳っていた個体/出品」はその後も数件落札されていったようです。似たような境遇のご落札者様が数名増えてしまったのでしょうか(涙)
何しろ3万円台という高額価格帯ですから、願わくば最後まで落としたりぶつけたりせずに (削れないままに) ご愛用頂ける事を願うばかりです(祈)
・・と言うことで、今回扱う個体はまさにその『総金属製』なのですが、その根拠となる要素が「ちゃんと構造面で顕在しており詰まるところ設計が違う」点を今回は明かしつつ解説を進めていきます。
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《 後 日 談 》
オーバーホール済でヤフオク! 出品したところ瞬札でご落札頂きました。
・・ありがとう御座います!(涙)
その後今回のご落札者様とは全く別の当方のファンの方からメールを頂戴し、ヤフオク! とは別の某有名処で「また新たな偽りを以て出品し続けている」とのご案内を頂き (その方も落札する人の気持ちを案じてメールしてきてくれています)、さっそく調べてみました。
すると確かに以前「金属製の距離環と偽って出品し続けていたおそらく2人の出品者」がまた違う謳い文句で偽った出品を始めていました。
以下このブログで詳しく解説していますが、本来「後期型」のモデル・バリエーションのタイプなら「距離環が一体成形に設計変更されたのでヒビ割れが起きるハズがないのに、それを出品個体のメリットとして謳っている」点が問題なのです。
確かにモデル・バリエーションで言うなら「前期型」タイプの場合、現在市場流通している多くの個体でヒビ割れが起きていますが、その現実を指摘しながら実は出品している個体が「後期型」なので「ヒビ割れが無いのが当たり前」なのに、如何にも稀少品のように謳いつつ出品しています。
このモデルは「前期型」に限らず「後期型」も数多く市場流通しているので、ちゃんと「前期型/後期型の見分け方」さえマスターすれば/認知できれば特に探して状態の良い個体を入手するのに困難を極める話ではありません。
出品個体がその掲載写真を見る限り「後期型」なのでヒビ割れが無いのは事実としても (ヒビ割れが起きない設計に変わったのだから当然の話)、如何にもヒビ割れが多い「前期型」との対比で希少価値が高いと捉えかねない文面/内容で出品し続けているのが問題ではないかと当方は感じました。
以前執られていた「本当はエンジニアリング・プラスチック製なのに金属製の距離環と偽って出品していた」謳い方は、どうやら現在は収まったようですが (さすがにこれはまるで民事罰としても故意か否かの別に関係なく詐欺的な行為に抵触する話なので)(笑)、そうは言ってもタイプが異なるモデル・バリエーション同士を比較しておきながら、あたかも出品個体の状態が良いからとても貴重だと思わせるような内容/表現は・・はたしてオークションでの出品者の姿勢としてどうなのでしょうか???
・・当方はそう言う部分に出品者 (2人居ます) の良心を感じ得ません!(怒)
と言うか、まるで酷い話です。
少なくともこの2人の出品者は自ら光学系を清掃したり、或いは一方の1人は分解清掃していると以前は謳っていたくらいなので (分解した写真まで載せていた)、内部構造の違いを知らない、一歩譲ったとしても「知らなかった」と言う弁明はまるで通りません。そのような要素から捉えても「オークション出品者としてそのような出品姿勢はどうなのか???」と問うているのです。
光学系を清掃するにもフィルター枠を外す必要があり、ましてや分解したのならどう考えてもフィルター枠を外しただけで設計が違うタイプが最低でも2種類存在する事をこの2人の出品者は知っています。そもそもフィルター枠の構造からして「前期型/後期型」とで違うので、それが分からなかったと言う言いワケは一切受け入れられません・・だから確信犯だと言っているのです!!!
この2人の出品者はヤフオク! とは別のその某有名処オークションでもう相当数の「FUJINON
55mm/f2.2」を高価額帯で売り捌いている常連ですが、はたしてご落札者様達はその真偽を知らぬまま、いまだに使い続けられているのでしょうか。このような内容でブログ掲載したらその真偽を逆に知らしめる事になり、むしろ逆効果ではないかとまた別の角度から批判メールが着信しそうですが(笑)、それは既に覚悟の上です。
どうかこのモデルに興味関心がある皆さんは、是非とも「前期型と後期型の見分け方」をご認識頂きつつ、そもそもヒビ割れが起きる構造なのかどうかを判定してそのような紛らわしい出品に引っかからないようご注意頂きたいと思います。
以前の「金属製の距離環」との偽り出品時は3万円台の価格帯でしたが、今現在は1万円台後半〜2万円台の価格帯で、このモデルの未整備品レベルで捉えるなら相応に割高な価格帯だとも受け取られ、後悔しないようご留意下さいませ。
・・以下、再びこのモデルについての解説に戻ります。
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まずこのモデル「FUJINON 55mm/f2.2 (M42)」をご存知ない方、或いは今回初めて当方のブログにご来訪頂いた方々を対象にいつもの解説をしていきます (何度もこのモデルに関する当ブログページをお読みの方は同じ内容ですから読み飛ばして下さい)。
当方がこのモデルに大きな魅力を感じている中の一つに「とてもキレイなシャボン玉ボケを表出できる」という要素があります。リングボケや玉ボケは他の数多くのオールドレンズでも撮影シ〜ンによって表出が適いますが、その一方で「真円で繊細なエッジを伴うキレイなシャボン玉ボケの表出」は残念ながら限られたオールドレンズでしか適わず、且つその表出を可能にする重要な前提に光学系の設計が大きく関わります。
《当方で表現してる円形ボケの定義》
※順に滲んで溶けて消えていく様子です
◉ シャボン玉ボケ
真円で明確なエッジが細く繊細なまさにシャボン玉のような美しいボケ方
◉ リングボケ
ほぼ真円に近い円形状でエッジが明確ながらも太目で輪郭が誇張的なボケ方
◉ 玉ボケ
円形状のボケが均等に中心部まで滲んでノッペリしたイルミネーションのボケ方
◉ 円形ボケ
その他歪んだりエッジが均一ではない、或いは一部が消えていく途中のボケ方
(円形状のボケ方の総称の意味もある)
↑上の写真はFlickriverで、特に「円形ボケ」の特徴的な実写をピックアップしてみました。
(Trioplan 100mm/f2.8による)
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
上に並べた4枚の実写はその撮影スキルが非常に高く写真センスも素晴らしいのでピックアップしていますが、撮影時に使っていたオールドレンズは旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製中望遠レンズ「Trioplan 100mm/f2.8」なので、そもそも表出している円形ボケの大きさが大きめに写っています。
標準レンズで撮影して表出する円形ボケの大きさはもっとこぢんまりした小さい円形ボケになりますが、しかし標準レンズでも「エクステンション」をオールドレンズとカメラボデイの間に装着して「最短撮影距離を延伸させる/もっと短くする」と似たような大きめの円形ボケ表出が叶います。但し一つだけ留意すべき話が合って「エッジの境界部分は最短撮影距離延伸に伴いより滲んでいく傾向」になるので、残念ながら「繊細なエッジのシャボン玉ボケ」表出は最短撮影距離を延伸させても実現できません。
その意味で「エクステンション」などを介在させて (或いはヘリコイド付マウントアダプタなどに装着して) 最短撮影距離を短縮化できたとしても「シャボン玉ボケだけは表出できない」と指摘できるので「シャボン玉ボケ表出可能なオールドレンズは限定される」とご案内しています。ヤフオク! などのオールドレンズ出品を見ていると如何にも表出するが如く謳う当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』が必ず居るので要注意です(笑)
↑上の写真はFlickriverで、特に「円形ボケ」の特徴的な実写をピックアップしてみました。
(FUJINON 55mm/f2.2による)
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
上に並べた4枚の実写はその撮影スキルが非常に高く写真センスも素晴らしいのでピックアップしていますが、撮影時に使ったオールドレンズは今回扱うFUJICA製標準レンズ『FUJINON 55mm/f2.2』です。
◉ シャボン玉ボケ:左端1枚目
一つ前の中望遠レンズで撮影した実写も上の「FUJINON 55mm/f2.2」による実写も共に「繊細なエッジを伴う真円のシャボン玉ボケ」が撮影できている実写をピックアップしています。この「シャボン玉ボケ」が多くのオールドレンズでの撮影で残せません。
◉ リングボケ:左端から2枚目
同様一つ前の中望遠レンズで撮影した実写も上の「FUJINON 55mm/f2.2」による実写も共に「エッジが相応に太めに変化して内側にボケ始めているリングボケ」の要素としてピックアップしました。このような「リングボケ」の標準レンズ種が適うオーバーホール。は数多く存在しますから特に珍しい話でもありませんが、そうは言っても「エッジは相応に細目の印象」に抄出できるのがシャボン玉ボケの表出が適うオールドレンズの場合のメリットとも言えます (この次の玉ボケとの間で自在にエッジの太さと内側の滲み具合をあ〜だこ〜だ試せるのがメリットとも言い替えられる)。
◉ 玉ボケ:左端から3枚目
X’masシーズンのイルミネーションや車のヘッドライトなど、多くのオールドレンズで表出が可能な一般的な円形ボケになり当方では「玉ボケ」と呼称しています。前述のとおり「そもそもシャボン玉ボケを表出できるオールドレンズならこれらリングボケ〜玉ボケとの間でその表出の趣向をより細かく制御できるのがまた楽しくて堪らない」・・とも言えそうです(笑)
◉ 円形ボケ:左端から4枚目
最後はエッジがスッカリ滲んでしまい内側も合わせて溶けていきつつもそこに収差の影響が現れ始めるので「円形のエッジが崩壊して乱れていく様を示す円形ボケ」或いは「シャボン玉ボケ〜玉ボケまでの総称」としての意味合いも込めて当方ではこのように呼称しています。
詰まるところ「シャボン玉ボケ」だけは限られたオールドレンズのモデルでしか表出を狙えないので、何もかもバブルボケや玉ボケと単純にまとめて括ってしまう捉え方/概念は期待ばかりで頭デッカチになり易いとの警告感が強い
・・「円形ボケの分類を分けて捉えるべき」であり「シャボン玉ボケ表出の有無」を見据えてオールドレンズを手に入れるべき。
もちろん「シャボン玉ボケ」に興味関心がなければ「リングボケ〜玉ボケ」は多くのオールドレンズでも表出が可能なので特にこだわる必要がありませんね。
逆に言うなら「シャボン玉ボケだけに限らずリングボケ〜玉ボケもそのエッジや内側の表現性に敢えてこだわる楽しみ感が増す」のがシャボン玉ボケを表出できるオールドレンズの魅力の一面とも指摘できそうです (繊細なエッジでのシャボン玉ボケ表出が得意なオールドレンズならリングボケや玉ボケの感じをより幅広くコントロールできるからと言う意味合い)。
従ってこのような要素をちゃんと認識していくと一般的な表現の中で謳い文句にしている当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』に引っかかってしまう懸念も相当低く抑えられます(笑)
《モデルバリエーション》
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。
初期型:
製造番号:24xxxx〜25xxxx
プラスティック製:フィルター枠台座/距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠ネジ部/マウント部
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスチック製 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
前期型-I:
製造番号:・・現在検証中・・
プラスティック製:なし
金属製:筐体外装/内部構成パーツ全て
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:金属製
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
前期型-II:
製造番号:12xxxx、13xxxx〜、34xxxx〜49xxxx
プラスティック製:距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠/マウント部
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
後期型:
製造番号:50〜59xxxx、69〜73xxxx、81〜94xxxx
プラスティック製:距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠/マウント部
距離環指標値:直接刻印
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材のみ
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製
・・少しずつ今回の本題に迫りつつあります。
↑一つ前にご案内した「モデル・バリエーション」の中で「初期型/前期型/後期型」の相違をどのように認知すれば判定が適うのかを説明したのが上の写真3枚です。
特にこのモデルが当時FUJICA製品の戦略として「廉価版モデル」の位置付けで最後のタイミング1976年に発売された事からも筐体外装をエンジニアリング・プラスチック製で設計してきた点が今現在「経年劣化で割れている個体が多い」ために「金属製にこだわる=商品価値」として注目されているのがそもそのこの問題の背景です。
上の3枚の写真で並べたいずれのバリエーションでも筐体外装の多くの部位がエンジニアリング・プラスチック製です。
ところがよ〜く観察すると「真ん中の写真の前期型だけが距離環にひび割れが目立つ」事に気づきます。
その点をここぞとばかり狙って「偽った謳い文句で出品し続けている確信犯?」なのが問題なのかも知れません。
上の3枚の写真解説のとおり以下の内容についてチェックする必要があります。
❶ 前玉が格納されている位置
❷ レンズ銘板と遮光環の材質と色合いの相違
❸ レンズ銘板と遮光環部分が一体成形で分割していない
するとこの3つのバリエーション/写真の中で「唯一初期型だけが前玉が最も奥まった位置に格納されている (❶)」と指摘できます。その他の要素たる❷は「前期型」のままです (逆に言うなら初期型も本来は前期型の範疇に含まれているとも考えられる)。
その一方で「同様唯一後期型だけがレンズ銘板と遮光環が一体成形/モールド成形 (❸)」なのでこの「後期型」の筐体外装パーツを指して「金属製」とは100%指摘できないのです (後で解説するが内部構造からして別モノなのが既に判明しているから)。
冒頭で述べたヤフオク! とは別の某有名処オークションで「金属製の距離環」と謳いつつ出品されている個体写真は「明らかに後期型そのモノ」なので上の3枚の写真解説だけでもちゃんと認知できていれば容易に見抜けます(笑)
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前段としてこのモデル「FUJINON 55mm/f2.2」に関するその描写性の魅力 (何で巷で騒いでいるのか?) と合わせて、モデル・バリエーションの存在と同時にその見分け方をラフに解説しました。
別にオークションなどで偽った謳い文句で出品されていなければこんな解説を掲載する気持ちにもならなかったのですが、如何せん「現実に駆け込み寺をやってしまった事実が今までに発生した」となれば、黙認/無視を続けるワケにもいかず解説ページを用意した次第です。
・・何故なら3万円注ぎ込んでいながらプラスチック製だと知ったら相当ガックリだから(涙)
↑上の写真は今回の解説用に「FUJINON 55mm/f2..2」の幾つかの個体から「距離環だけ」を取り出して並べた写真です。左端から「前期型を2個」に右端だけが「後期型」です。
しかし写真下に付した番号の符番ルールが異なり「左端の前期型だけが❶」に対して中央と右端は「前期型❷」と「後期型❸」に分かれています。この❶だけが「総金属製」から取り外した距離環なのです (他の2つ❷と❸はエンジニアリング・プラスチック製)。
従って冒頭で紹介したヤフオク! とは異なる某有名処に出品され続けている「金属製の距離環ではないのに金属製を謳っている」のがまさにこの❸の話なのです。そのヤフオク! とは別の某有名処の出品ページで明記されているとおり「確かに距離環にヒビ割れが無い」ものの、ただそれだけを指して「金属製の根拠にならない」事を認知するべきですね(笑)
↑中央の「前期型 ❷」だけピックアップして説明しています。芯材に金属製の環/リング/輪っかを用意して「そこにパチンッとエンジニアリング・プラスチック製の距離環/筐体外装をハメ込み式で設計」したのが今現在市場流通品で上の写真の如く「ヒビ割れ/欠損が多い」状況の因果関係です。芯材たる金属製の環/リング/輪っかが経年でも収縮しないので、収縮してしまったハメ込んだ距離環だけがヒビ割れしていく原理です。
ここでのポイントは距離環の途中に備わる「2つのネジ穴 (固定用ネジ穴)」で、これが何の為に用意されているのかと言えば「アルミ板シートに印刷した距離指標値のテープ」の固定用なのです。上の写真でちょうど「エンジニアリング・プラスチック製」の文字に附随する赤色矢印が指し示している箇所にはラバー製のローレット (滑り止め) が貼り付けられます。
↑次にこちらは「後期型 ❸」の同様距離環でラバー製ローレット (滑り止め) も貼り付けられているママにしてあります。ところがその直下の「距離指標値の箇所は刻印」なので前述のアルミ板シートによるテープではありません。
・・つまりこの後期型 ❸の距離環には固定用ネジ穴が存在しません!
これが「金属製なのかエンジニアリング・プラスチック製なのかの判定基準」なのです。従ってヤフオク! とは別の某有名処の出品ページで明記されている「ヒビ割れが無い」のが金属製の根拠になり得ません。ちなみにこのパーツには芯材として金属製の環/リング/輪っかが存在せずに「エンジニアリング・プラスチック材の一体成形/モールド工法」に設計変更しています。
↑そして問題の今回扱った『総金属製』から取り外した距離環です。同様にラバー製ローレット (滑り止め) を貼り付けてありますがレンズ銘板などの部位の仕様から「前期型 ❶」としています。金属製なのでここだけ❶と色を分けました。
やはり中央の「前期型 ❷」と同じように「固定用ネジ穴」が備わります。今までに当方が扱ったこのモデルの中で「距離環が金属製なのに距離指標値を刻印で仕上げていた個体」が一部存在しこちらのページ『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)』で解説しています。
今回の『総金属製』が累計で7本目にあたりますが、それらの中に刻印のタイプが存在しなかったので、また別の設計で用意されていましたから話が複雑です。もしかしたらそのページを見て「ヒビ割れ無しが金属製の距離環」と受け取ってしまったのかも知れませんが、それは大きな思い込みです。
ちなみに構造面/設計面での大きな相違点課せちゃんと顕在し、上の写真でオレンジ色矢印で指し示した箇所にあるネジ穴の存在です。前側にあるネジ穴が「固定用ネジ穴」なので距離指標値のアルミ板印刷テープを固定する役目ですが、反対側にももう1箇所ネジ穴が備わる設計です。
このように距離環の2箇所にネジ穴が備わるのは唯一『総金属製』だけの仕様なのが判明していますから、この点については事実なのでどうにも曲げようがありません。
ちなみにその反対側にあるもう一つのネジ穴には左写真の「停止板」と言う板状パーツが締付ネジで固定されます。
この「停止板」の役目が実は大きな問題で「距離環の駆動域を限定する役目」であり、無限遠位置と反対側の最短撮影距離位置の両方でカチンと音が聞こえて突き当て停止する役目として用意されている設計です。
↑さらに解説を進めます。上の写真は今度は「指標値環」と言う基準「●」マーカーが刻印されている距離指標値や絞り値の基準を示す役目の環/リング/輪っかを並べました。
左側の❶は「前期型」としても金属製なのですが、その一方で右側は「前期型 ❷〜後期型 ❸」の別なく使われ続けているエンジニアリング・プラスチック製の指標値環です。
その中でブルーの矢印で指し示した箇所に窪み/切り欠き/溝があります。実はこの窪み/切り欠き/溝は最短撮影距離位置で距離環を停止させる為の「制限キー」と言うパーツが組み立て工程の中で通り抜ける為に必要なので、その通り道として用意されているに過ぎません。
ところが『総金属製』から取り出した指標値環❶だけは反対側にももう1箇所同じように窪み/切り欠き/溝が用意されています (オレンジ色矢印で指し示している箇所)。
↑さらに拡大写真を載せました。「前期型 ❶」から取り出した指標値環ですが金属製です。ブルーの矢印の箇所にある窪み/切り欠き/溝の役目は前述のとおり最短撮影距離位置での距離環停止の役目ですが、その反対側のオレンジ色矢印の箇所は最短撮影距離位置で距離環を停止させる為の「制限キーが通り抜ける場所」なのです。
従って距離環と指標値環がセットで金属製になる必要があるのがここの設計で明白になります。逆に言うなら指標値環だけ金属製の設計はあっても、距離環が金属製なのに指標値環がエンジニアリング・プラスチック製にはならないのです。
・・何故なら「距離環の駆動方法が変わったから」です!
↑上の写真は既に今回の個体の完全解体から当方の手による「磨き研磨」が大和伝手組み立て工程を進めているとの途中の写真です。
右横に金属製の距離環を並べて撮影していますが、赤色矢印で指し示した位置に「停止板」が既に締付ネジで締め付け固定されています。またブルーの矢印で指し示している箇所にはアルミ板の印刷テープの距離指標値を固定しているネジ2本がちゃんと写っています。
・・従って2箇所にネジ穴が存在するその目的が明確になった。
さらに左側に並べたマウント部〜鏡筒までの写真は赤色矢印を使って両サイドに「制限キー」を指し示しています。
この「制限キー」に前述の「停止板」がカチンと突き当たるので無限遠位置と最短撮影距離いちの両方で距離環が停止します。
↑マウント部〜鏡筒までをさらに前玉側方向の真正面から撮影した写真です。ちゃんと両サイドに「制限キー」が1本ずつ飛び出ているのが分かります。ここに前述の「停止板」がカチンと突き当て停止する原理です。
従ってここまでの解説でたった一つだけ明白になったのは「総金属製は距離環の駆動方法を設計時点からして変更している」点がまさに他の「前期型〜後期型」のモデルバリエーションの中で決定的な設計の相違点なのです。
逆に言うなら「前期型〜後期型」にはこの「制限キー」が1本しか存在しません。何故なら1本だけでも距離環が駆動できるよう/ちゃんと停止するよう「距離環のほうでカタチを設計変更して制限キー用のスライド/切り欠き/溝を用意しているから」です。一方で金属製の距離環はこれら「前期型〜後期型」には組み付けできませんし、その逆にエンジニアリング・プラスチック製の距離環もこの金属製の筐体に組み込みできません (つまり何度も言いますが駆動する設計概念自体が違うので互いに転用して使用する事が適いません)。
当方はそれら全てについて既に今まで扱ってきた67本で十分に仮説を立てて検証を済ませているので「確実に相違点を指摘して明言できる」ワケで、決して憶測だけでモノ申している話ではありません(笑) もちろんオーバーホール工程の中で過去メンテナンス時に強制的に曲げられ/変形させてしまった捻りバネや爪に至るまで「本来の正しいカタチ/製産時点のカタチ」に戻してから組み上げている次第で、使うべきネジ種別の相違すら把握しているレベルである事を・・ここに告知しておきます (どうしてそのネジをその箇所で使う必要があるのかまでちゃんと案内できます)。
・・詰まるところハンパな想いで「FUJINON 55mm/f2.2」を扱っているワケではない。
過去メンテナンス時にネジを紛失して代替ネジで締め付けている事さえも突き止めてしまい、その事実を白日の下に曝せるくらいですから見損なわないでもらいたいですね(笑)
この点を指摘しない限り「距離環のヒビ割れが無い」とか「製品重量が160gだから」などと言う根拠は全く以て辻褄が合わず何の信憑性にも繋がっていきません(笑)
しかしその一方で「ならばどうして当時のFUJICAは総金属製を作ったのにエンジニアリング・プラスチック製へと変更していったのか?」と言う純粋な質問が湧き上がってきます。
しかもその過程の中であ〜だこ〜だパーツの材質を変更するハメに陥り、全く以て「廉価版との格付とは裏腹に製品に対するコストは食いまくってしまった全くの戦略ミス商品」とも指摘できそうですね(笑)
・・オールドレンズはいろいろ考察するとまた愉しくて堪りません!(笑)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。調達するのに丸っと1年維以上を要してしまいました(涙) こうやって仕上がると単に筐体外装の材質がエンジニアリング・プラスチック製ではなくて金属製との違いだけなのに「何だかとっても高級感を感じてしまう」のがまた不思議な思いです(笑)
まさにこれでもかと言わんばかりに磨き込んだので「まるで新品の如く」と下手すると妖気を放っているかも知れません(笑)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。残念ながら前玉と後玉には経年相応レベルでカビ除去痕が残りますが、マジッでラッキ〜な事にクモリがありません!(涙) 特に後玉側のカビ除去痕に一部汚れッぽく残っているもののLED光照射でも極薄いクモリが皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側は前述のとおり特に後玉に経年(涙)にカビ除去痕が数多く残っており、一部は汚れのように見えてしまいますがカビ除去痕です。また最大で11㎜長の拭きキズも1本あります。但し何しろクリアではあるので写真への影響と言えば「玉ボケの中にカビ除去痕が写れ込むか?」と問い正されれば、実は標準レンズ域なので写り込んでいたとしても人の目では視認できないでしょう。
また仮にエクステンションなどを介在させて大きめに玉ボケを表出しても、結果的にエクステンションで延伸させると言う事は「滲む率が上がる (つまりボケる)」のでやはり写り込みを視認するのは難しいでしょう。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:15点、目立つ点キズ:10点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大11mm長1本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に点状カビ除去痕複数残っています)
(前後群内に微細な経年の拭きキズ数本あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・但し後玉表面はカビ除去痕が複数残っている箇所があります。
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑上の写真解説のとおり「開放測光用の爪」がマウント面から飛び出ています (グリーンの矢印)。当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。
もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、ご使用になられるマウントアダプタによってはマウント面の「開放測光用の爪」が当たって擦れるので/最後までネジ込めないので切削する必要があります。
申し訳御座いませんが切削にはご落札者様自身で行って下さいませ (当方では切削しません)。
またK&F CONCEPT製のマウントアダプタをご使用頂ければ/手に入れればこの「開放測光用の爪」を回避するので干渉せずに正常使用が可能ですからご検討下さいませ。
↑5枚の絞り羽根もキレイになり、何しろ金属製の絞り環なのでそもそもクリック感が本当に小気味良くて「それだけで絞り値が違う写真を撮りたくなる」くらいです(笑)
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・マウント面から突出している「開放測光用の爪」を残してあります。もしもお手持ちのマウントアダプタに装着すると干渉してしまう場合は別途K&F CONCEPT製マウントアダプタをお買い求め下さいませ。当方では切削など処置を行いません。
・マウント部内部の捻りバネの経年劣化進行に伴い僅かに弱っている為鏡筒から飛び出ているアームを掴んでいる爪が擦れて「カリカリ音」が聞こえてくる事があります(特にマウントアダプタに装着すると聞こえてきます)。捻りバネの経年劣化が原因なのでこれ以上改善できません。また当問題で将来的に不具合を起こす因果関係に至ることはありません。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① marumi製MC-Nフィルター (新品)
② 本体『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』
③ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
④ 純正樹脂製被せ式前キャップ (中古品)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影していますが、絞り環の刻印は単なるドット「●」です。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もう絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めて解像度の低下が分かります。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。