〓 VOIGTLÄNDER (フォクトレンダー) COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G)(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
VOIGTLÄNDER製標準レンズ・・・・、
COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で当時のVOIGTLÄNDER製標準レンズ「50mm/f1.8」の括りで捉えると累計で60本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると37本目になり、さらに光学系のコーティング層が放つ光彩に「グリーン色」を含む個体だけでカウントすると僅か11本目です。

別に光学系内のコーティング層が放つ光彩に「グリーン色」が含まれているからと言って特にこの当時に発売されていたオールドレンズの中では珍しい話でもなく、合わせてこのモデルのシリーズの中でも何某か明確な理由を伴って当時のVOIGTLÄNDERが謳っていたワケでもありません(笑)

つまり「当時の風潮として一時期に流行っていた事がある」程度の心積もりで眺めてしまえばこのくらいの「グリーン色の光彩」など別段珍しい話ではありません(笑) しかし、特にこの「COLOR-ULTRONシリーズ」が大好きな当方とすれば「グリーン色の光彩を放つ個体」には相応の希少性を感じざるを得ず、好んで市場を探し回り手に入れてオーバーホールしている始末です(笑)

その一つの根拠として、確かに当時一時期的に「グリーン色の光彩を放つコーティング層蒸着」が流行っていたのは、例えば当時のMINOLTAのカタログなどを見ても明確に記載されており、その目的は「より自然な色表現性の追求」との事ながら、その後すぐに廃れてしまい「グリーン色」の要素は消えていってしまったのを鑑みれば、それほど重要度が高い話でもないと思います。

確かに世の中挙ってマルチコーティング化が当たり前の時代に突入し、その中で何層のコーティング層を蒸着してきたのかをまるで競っていたような話ですから、たかが蒸着コーティング層が放つ色合いに「グリーン色」が含まれる点だけに着目する意味もありません(笑)

・・が然しCOLOR-ULTRON大好き人間にとっては「グリーン色」の光彩は重要なのだ!(笑)

と言うのが詰まる処「所有欲を充たす要素」の一つなのだと頑なにこだわるワケです(笑) オールドレンズなんて所詮そんなモノですから、自分が納得できていればそれで良いのです!(笑)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCOLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》() (M42)のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。レンズ銘板に刻印されている製造番号の先頭3桁をちゃんと残したので「232xxxx」なのが分かります。

ッて言うか、ハッキリ言って「グリーン色の光彩を放つ」要素は製造番号の「〜231xxxxまで」だったハズなので、確かに最も色合いが濃かった「230xxxx〜」と比べてしまえば非常に薄い色合いしか放っていません。それでも今まで扱ってきた60本の中での「唯一の製造番号232xxxxなのにグリーン色の光彩を放つ個体」と指摘できます。

それよりも今回扱ったこの個体は「光学系内のヘアラインキズ数本以外に何も瑕疵が無い」と言うレベルに於いて、正直なところ60本の中でこれだけ仕上がりの状態が良い個体は初めてです!(驚)

ヘリコイドのトルクなどは「状態が良すぎてむしろトルクを与えているくらい」と、このモデルには大変珍しく僅かにシッカリしたトルク感を敢えて/ワザと/故意に与えています(笑)

もちろん当方独自のいつもながらの「ヌメヌメッとシットリしたピント合わせ」も実現済で、距離環のトルク感に絞り環の操作性、光学系内のスカッとクリアな状況に「グリーン色の光彩」と至れり尽くせりな個体です(笑)

・・その意味で数本のヘアラインキズがむしろ悔しいくらいの仕上がり状況!(笑)

確かに巷では凹Ultronのほうが知名度も銘玉レベルも遙かに上ですが、その端正な描写性に合わせて「むしろグラデーションの階調表現の素晴らしさは下手するとこのモデルのほうが上かも?」的な部分で、いまだに調達に専念している始末です(笑)

・・COLOR-ULTRON大好き人間なので仕方ありません(笑)

↑今回扱った個体も今までの60本と同じ状況でしたが、過去メンテナンス時に光学系前群内のピッカピカに光り輝くアルミ合金製格納筒を「反射防止黒色塗料」で塗りまくりだったので(泣)、光学系第2群の格納位置がズレていたのと合わせて、光学系後群側の後玉までシッカリ最後まで入っておらず「変なピント面の鋭さ」を感じたくらいでした(笑)

従って、今回の当方オーバーホール工程では「徹底的に過去メンテナンス時の反射防止黒色塗料の除去」を実施し、本来の鋭いピント面を再現した次第です。当然ながら光学系内の薄いクモリも完全除去でき、非常に微細なヘアラインキズが数本残っている状況です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側で「この濃さでのグリーン色の光彩」はハッキリ言って「COLOR-ULTRONシリーズ」では最初の頃の「製造番号230xxxx」以来でしょうか・・当然ながら「232xxxx」番号帯では初めてです(驚)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
後群内:18点、目立つ点キズ:12点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大12mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に極微細な経年の拭きキズ数箇所あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

装着するマウントアダプタは「K&F CONCEPT製のピン押し底面平面側/凹側いずれでもOK (正常使用可能)」ですし、もっと言うなら日本製の「Rayqual製マウントアダプタ」でさえも問題なくご使用頂けます (今まではf11〜f16で閉じない個体ばかりでしたが今回の個体は全く問題ありません)。

こうなると個体別で違う結果に至るのは「やはり内部のスプリングの経年劣化」に拠る処が大きいのかも知れませんが、具体的に比較する方法が無いので不明なままです。

ちなみにスプリングはマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」及びそのチカラを絞り羽根まで伝達する「操作爪」の2箇所に線径や長さが異なるスプリング (1本は圧縮コイルで別の1本は引張式コイル) を使っています (従ってチカラの伝達量が分からないので検査しようが無い)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL《前期型》(G) (M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製被せ式前キャップ (中古品)

まぁ〜何度観ても溜息混じりになってしまうくらい惚れ込んでいますねえ〜(笑) しかも今回は今まで扱ってきた60本の中でこれ以上無いほどにシッカリした「理想的なトルク感」を実現してしまったので、昨晩は当然ながらイジりながらで酒の肴の役目を果たしてくれました(涙)

行ったり来たり、繰り出したり収納したり(笑)、絞り羽根を閉じたり開けたり(笑)、光に翳して薄いグリーンの光彩を眺めたり・・酔いも廻った次第です(笑)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。このモデルの絞り環はクリック感を伴いますが「一段ずつの絞り値」です。

↑さらに回してf値「f4」での撮影です。ミニカー後のお城模型で左側の岩穴の背景に「背景紙の色合いがシッカリ残って写っている」のが凄いのです!(涙)

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」ですが、絞り羽根がほとんど閉じきっていながら、背景にはまだまだボケが残っています。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。さすがに「回折現象」の影響がほんの僅かに現れ始めているかどうかと言ったところです・・素晴らしい描写能力です(涙)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。