♦ LEITZ WETZLAR (ライツ・ヴェッツラー) SUMMILUX (-M) 50mm/f1.4《貴婦人》2nd(LM)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
LEITZ WETZLAR製標準レンズ・・・・、
SUMMILUX (-M) 50mm/f1.4《貴婦人》2nd (LM)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時ERNST LEITZ WETZLAR製標準レンズ「50㎜/F1.4」巷で「貴婦人」の俗称を持つ「SUMMILUX (-M) シリーズ」だけで捉えると、僅か5本目という状況ですが、実はその実装光学系から捉えた時に初めて判定に至る貴婦人の第2世代」に限っては、今回が初めての扱いなのです。
(初期の筐体外装の意匠相違を1stに含んだままです)

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜り
ました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います

このようにオーバーホール/修理を賜り、実際にご依頼者様からご請求額をお支払い頂きつつ
当方のこのブログでの掲載情報の更新に漕ぎ着けられると言う、まさに「がははははッ!」と両手に華の如く(祝)「稼げるは情報の確度は上がるは」これ以上ないほどに、当方にとりご依頼者様方は『神々しい方々』であります(涙)

オーバーホール済みでヤフオク!出品した個体をご落札いただくご落札者様含め、そのような『神々しい方々』が日本含め世界中に数人居られ、毎日当方のこのブログも2千ページ以上に及び閲覧し続けられている状況で、本当に励まされるばかりで御座いまする(涙)

・・今一度、お礼申し上げます。ありがとう御座います

今回「貴婦人の第2世代」を扱う機会に恵まれ、いよいよ「光学系の実態を解明できた」点に於いて、モデルバリエーション上での「前期型中期型」を、その光学系の再設計を以て確定できたとも言えそうです (今回扱う個体の実装光学系は、以下一覧の中の5群7枚②にあたります)(汗)

↑上の一覧は当方の持論を基に「製造番号」の昇順で「貴婦人の世代交代」についてネット上で当時確認できる写真から調べたモデルバリエーション別の状況です。

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

第1世代1958年製造 (初期型1st)
光学系:5群7枚初期型構成 ①
ローレット (滑り止め) :山部分の「逆ローレット」
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

第1世代1959年〜1961年製造 (前期型1st)
光学系:5群7枚初期型構成 ①
ローレット (滑り止め) :谷部分のローレット
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー鏡胴のみ

第2世代1961年〜1989年製造 (中期型−I2nd)
光学系:5群7枚再設計 ②
ローレット (滑り止め) :谷部分のローレット/リブ形
最短撮影距離:1m
フィルター枠:⌀ 43mm
カラーリング:シルバー (山谷)/ブラック (リブ型:1968年〜)

第3世代1992年〜2006年製造 (中期型−II3rd)
光学系:5群7枚再設計 ③
ローレット (滑り止め) :リブ形
最短撮影距離:0.7m
フィルター枠:⌀ 46mm
カラーリング:シルバー/ブラック/チタン

第4世代2006年〜2015年製造 (後期型4th)
光学系:5群8枚再設計 ASPHERICAL ④
ローレット (滑り止め) :リブ形+ツマミ
最短撮影距離:0.7m
フィルター枠:⌀ 46mm
カラーリング:シルバー/ブラック/復刻版2色

問題となる光学系ですが、一つだけ未だに謎のまま課題として残ってしまっているのが光学系の設計です(涙)

ネット上で最も数多く掲載され続けている光学系構成図で、5群7枚の拡張ダブルガウス型構成であり、その掲載サイト解説でもちゃんと貴婦人の第1世代と述べられています。

←左図は、以前「ERNST LEITZ」名で凡そ2千件の特許出願申請書を漁りまくって、ようやく発見した、拡張ダブルガウス型光学系の案件DE647830 (1937-07-14)』からの抜粋です (戦前ドイツ特許)。

実に1937年申請の発案ですから、はたして1958年に登場した「貴婦人第1世代」を明示すべく特許出願申請書とは言い切れない
背景があるやもしれません。

もちろん当該の/前述の特許出願申請書記述を読んでも、その光学設計概要には「構成7枚めで球面収差の改善を狙い」且つ「同時に色収差の改善も好ましい結果を示す開放f値F1.5」と明記しています(驚)

さらに考察を進めると、上右構成図の 色付部分、第2群と第3群の2枚貼り合わせレンズをみると、左図特許出願申請書の発案構成図とは、特に第2群の硝子レンズが違います・・構成2枚めが両凸レンズですが「貴婦人第1世代」の構成2枚めは凸メニスカスです(汗)

実のところこの近辺でゃんとライツがこの光学設計を使って製品化しておりLeitz Xenon 50mm/f1.5《後期型》(L39)」や、同じくライツSummarit 5cm/f1.5《1956年製》(L39)」など、いずれも当方ブログで既に解説済ですから、これら実装光学系構成をみていくとまさに上の右構成図の如く見えてしまいますが、正直なところSchneider-Kreuznachの発案が主導だったのかライツだったのかは、その発案タイミングだけでは確証を得ませんが、少なくともDE1045120 (1957-08-24)ERNST LEITZ WETZLARによる特許出願申請書が右構成図の原版なのだと理解できます(汗)

しかしもっと根本的に「当方がどうしても疑念を拭えていない一つの事実」が粛々と残り続け未だに当方を苦しめています(涙)

それは「第2群も第3群もその貼り合わせレンズは裏面側が段々畑のカタチをしている」ワケで (前述の当方ブログページをご覧頂くと、それらリアルな現実として貼り合わせレンズの写真をご確認頂けます)、上の右構成図のカタチをした光学系をそのまま実装している個体を、当方は未だ見たことがないのです!(汗)

・・いったいどうしてプロの整備会社は数百の扱いがある中で、その解説をしないのか???

お願いです! 誰か「貴婦人第1世代初期型」の実装光学系を、露わにして下さいませ!(祈)

ツラツラと述べてきましたが、右構成図のとおり同じ5群7枚拡張
ダブルガウス型構成としても 色付した第2群と第3群の貼り合わせ
レンズは「その裏面側は階段状に切削されている」のがリアルな現実
です(汗)・・当方はこのカタチしか知りません!(涙)
(前記した当方ブログで全て『証拠写真』掲載につきご確認頂けます)

そもそも各群の曲がり率も厚みも何もかも違っているのがリアルな現実です(汗) それなのに
どうしてネット上の解説では上の右構成図ばかりが「貴婦人の第1世代初期型」なのか、納得
できないのです(涙)

そして今回扱った「第2世代 (2nd) 光学系」としてオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図が右図です。

光学系が再設計された為、配色変更し 色付して明示しています。
そもそもこのように「空気レンズ」を介在させて色収差改善を狙ったのが第2群と第3群であり、逆に後群側に2つの貼り合わせレンズを配すると言う、全く奇想天外な設計をやってのけています(驚)

この後群側の本当に限られた狭いスペースの中で「2つの貼り合わせレンズと言う塊を収めてしまう発想」に、正直作業している最中に鳥肌立ちましたねぇ〜、凄いです!(驚)

↑上の写真は今回扱った個体から取り出した光学系を前群から順に並べて撮影しています。左端から光学系第1群第3群までを赤色文字として色付し「光学系前群」であることを明示しています。また「光学系後群」も同様第4群第5群ブルー色文字で明示しています。

一方グリーン色の矢印で指し示している方向は前玉の露出面側方向を表しています。

当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話の為(笑)、「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処のコメント欄に誹謗中傷され続けている始末で(泣)、仕方ないのでちゃんと『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです(笑)

上記で 色付した右構成図が決してウソではないことを写真撮影している次第です(笑)

↑今度は各群をヒックリ返して裏面側を撮影しました。特に第3群第4群の裏面側が「階段状のカタチ」で切削されているのが分かるでしょうか???(汗)

↑上の写真も今回の個体から取り出した光学系前群第2群の構成2枚めにあたります。残念ながら赤色矢印で指し示している箇所の「裏面側がごっそり割れて欠けている」状況です(涙)

これは前玉側方向から光学系内を覗き込むと「前群の外周のフチに空気の泡のようなモノが
入っている
」ように見えますが、円形状に鋭く欠けているのでそのように見えます。

もっと正確に割れ方/欠け方を表現するなら「光学硝子レンズが割れる/欠ける時は、透過面の場合は必ず貝殻の形に扇状に複数重なって割れていく/欠けていく」欠損の状況になります。
(これ以外の割れ方/欠け方をしません)

今回の個体の場合のような「圧力に起因する割れ/欠け」の他、例えば何かの工具が強く当たってしまい、その衝撃で割れ/欠けが生じても、透過面の場合は必ずそのように割れ/欠けて
いきます。

そしてさらにその衝撃が強力だったり、そもそも格納筒内部の急激な気圧差に起因する「光学硝子レンズの破壊」が起きる場合は、衝撃の場合はその衝撃点を中心に放射状に広がる割れが起き、欠けるだけでは済みません(汗) またこの時格納筒内部の急激な気圧差による破断が起きた場合も、同じように対象となる光学硝子レンズの「最も弱っている箇所を中心に放射状に瞬時に割れてしまう」のが光学硝子レンズの透過面で起きた場合の割れ/欠け方です(怖)

例えばCarl Zeiss製広角レンズ「DIstagon 35mm/f1.4 T* (C/Y)」も以前に数本扱いましたが、その中の2本についてオーバーホール/修理ご依頼分につき届いた時の外箱を空けた時点で「既に光学系内の一部 (おそらく絞りユニット直下の第6群非球面レンズ) が放射線状に中心から完璧に割れていた」実例があり、本当に居た堪れない気持ちで塞いでしまったことがあります。さすがにこれが期間が空いていたにしても、2本も立て続けに起きた時点で「宅急便の配送に向かない」と判断し、以後の扱いを緊急中止した経験があります (それ以来扱っていません/ご依頼が来てもご辞退しています)(涙)

まさに格納筒に締付環で封入されたままの状態で、明らかに中心から放射状に完璧に割れて
いました(怖) 絞りユニット側方向の面が非球面レンズだと思いますが、バラせず破断状況を確認できていません(涙)

また一方で「入射光透過面側ではないコバ端での割れ方/欠け方」が次の写真になります(涙)

↑さらにその次の光学系前群第3群ですが、やはりコバ端部分に「2箇所欠け」があります。
(赤色矢印)

光学硝子レンズで入射光の透過面側ではない場合、いわゆるコバ端部分で割れ/欠けが生じるとこのような「円形状の不定形なカタチ」で欠損します。これらから考察する場合「光学硝子材精製に関する組成から捉えた考察が必要」になり、安易に推察が適いません (知識が皆無なのでこれ以上深掘りできません)(泣)・・実際以前取材した工業用光学硝子精製会社様での話の内容も、硝子材精製の組成に係る話はとても口で説明できるような類の内容ではないとのことでした(汗)

さらにグリーン色の矢印で指し示している箇所には「2箇所に1㎜2㎜の明確なキズが残っている」状況です(涙)

これら一つ前の写真と合わせた推察から、過去メンテナンス時にこのように割れて欠けてしまった所為が明らかになりました!(汗)

先ず大前提として「光学系前群格納筒はアルミ合金材の削り出し」で用意されていて、且つ「格納筒内壁はアルミ合金材がむき出しのまま」であるものの、各群の間である空間を埋めるのは「遮光環/リング/輪っかの切削で微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」です。

・・何を言いたいのか???

つまりライツが製産時点で「格納筒内壁にメッキ加工していなかった (アルミ合金材が丸見え状態)」のが明白なのに、そこに「反射防止黒色塗料」を塗る、或いは逆に「格納する光学硝子レンズのコバ端に反射防止黒色塗料を塗る」から、それら光学硝子レンズの格納時に「直径
方向で塗膜分の厚みが倍になり影響を来し、格納時の圧力が増す
」のが「原理原則」です(汗)

もっと言えば、多くの場合で今現在もなお「光学硝子レンズの取り出し/格納時には、加熱処置して格納筒の金属材を熱膨張させて処理している」のが、プロの整備会社での常套手段です。取り出す際にも光学硝子レンズが割れる/欠ける懸念が高いものの、格納時は上手く格納できても「その後の経年で光学硝子レンズは圧力を受け続けたままになる」のに平気でそういう処置をします。

それら「反射防止黒色塗料」を塗布しまくる最大の狙いは「光学系内の迷光を防げる」とあたかも正義の如く宣うものの、その実は「光学系内が真っ黒で見てくれの良さを訴求できる」と言う本当に低俗極まりない理由にすぎません!(怒)

・・まさに「迷光迷光!」と騒ぐ人達/勢力の思う壺です(泣)

そんな理由で『本来の光学設計者の意図を台無しにしている/貶めている』
現実を、誰も認めようとしません!(怒)

もしもそれが当方の偏重した考え方だと言うなら「ならばどうしてライカの
設計者は、格納筒内壁のアルミ合金材をむき出しに設計したのか???」
ちゃんと答えたらどうなんですか???

薄くメッキを施すくらい容易い事であり、そんな処理に工程数が左右される話になりません (どうせ仕上がった構成パーツが、提携先メッキ加工会社に全部送り届けられ、徹底的に洗浄した後に指示通りのメッキ加工が施される)

・・当方は声を大にして、そのように指摘したいです!(怒)

迷光」なんてたかが知りており (光学設計時に100%織り込み済)、且つメッキ加工よりも「光学設計で使えるスペースを最大限に確保したい」からこそ、真鍮製/ブラス製でも黄銅材でもない「アルミ合金材を使い薄い厚みで切削加工した」のがその背景であり、逆に言えばアルミ合金材の合金系統/種別の核心的進歩は、その品質の確かさの追求を時代が希求していたからではないのでしょうか???・・当方はそのように受け取っていますね。

それをあたかも「迷光」の仕業でフレアが増大するが如く大騒ぎする解説ばかりがネット上に氾濫するから、皆それに倣い、且つ販売側/整備側さえもそこを訴求点として価格反映させようと企むから、オールドレンズ界隈でこういう話に至ります(涙)

・・そろそろ足元をシッカリ見つめ『本来在るべき姿』に戻したらどうなんですか???

低俗な整備者の尻拭いの為だけに、両手を真っ黒にしながら「反射防止黒色塗料」を剥がす日々にホトホト嫌気が差しています(涙)

←左写真は以前扱った「貴婦人第1世代 (1st)」からの転載写真ですが
光学系第2群第3群はご覧のように「格納筒の下方向から第2群を先に格納後に第3群を重ねて格納し締付環で締め付け固定する」手法です (赤色矢印)。
(世代が違うので左写真で格納されるのは貼り合わせレンズですが)

つまり上の「割れて欠けてしまった時の所為」は「先に格納しようとした第2群がキツクて
なかなか入らず、ムリにチカラを加えて押し込んだ
」のが見えてきます(汗)

その時はまだ割れて欠けていいなかったのです(涙) 次に第3群を重ねての格納の為、入れ込む際やはりキツイのでチカラを加えて無理やり押し込みました(涙)

実は今回この個体から取り出した光学系各群をデジタルノギスで計測した時に「第2群外径32.59㎜」に対し次の「第3群外径32.81㎜」と「単に重ねるだけなのに直径方向で0.22㎜第3群のほうが大きい」ことが判明したのです!(驚)・・従って実際上の当方が計測してトレースした構成図も、そのように正しく図に表しています(汗)

どうしてそういう設計が必要だったのかは全く以て見当すらつきませんが(笑)、一つだけ言えるのは「第3群を格納する際はさらに格納筒の金属材に圧力/応力が発生するのは間違いない」ワケで、その時「反射防止黒色塗料」が介在すれば、前述のとおりさらに影響は深刻化してきます (塗膜の厚み分のこと)(怖)

この時「入れ込む瞬間にその圧がアルミ合金材内壁に伝わり、先に入れていた第2群の裏面側が一部円形状に割れて欠けた」さらにそれに気づかず第3群を押し込んだので「割れて欠けた破片が中央に飛んでいるのに第3群が押し込まれたので第3群の中央にキズが付いた」という情景が見えてきます(汗)

この時、おそらく「グシャッ!」と言う本当に小さな音が聞こえていたハズで(怖)、それが第2群の割れて欠けた時の音です(涙)・・さらにその後すぐに押し込んだ第3群のハメ込み時に「ズリズリ!」と言う、やはり極々微かな音が聞こえつつ、おそらく押し込んでいた指にも
その擦れる僅かな感触が伝わったハズです。

それでようやく何かがおかしいと気づき、慌てて取り出したので「今度は取り出す時のチカラで第3群のコバ端が飛んだ (欠けた)」為、第3群コバ端にまで欠けが2箇所残っています(汗)

・・このように全てが白日の下に晒されます!(涙)

これら所為の総ては「反射防止黒色塗料を不必要な箇所に塗ったのが大きな間違いだった」と明確に指摘できますが、実は今現在でもとても多くのプロの整備会社で、まるで当たり前の
如く「初期の頃のモデルは光学硝子が軟らかくて割れ/欠け易い」と平気で言います(汗)

・・とんでもない! もしもそうならどうして当時の光学設計者は「光学硝子レンズの屈折率を勘案して使う光学硝子レンズの成分配合を決めていたのか???」について答えになっていません(笑)

このように辻褄が合わない内容を平気で公然と述べています(汗) 当時から使われ続けてきた光学硝子材の一覧を辿っていけば一目瞭然ですが、その中に本当に軟らかくてすぐに割れたり欠けたりする光学硝子レンズは「1800年代に精製されていた光学硝子レンズばかり」であり、屈折率の大幅な向上に伴い光学硝子材の硬度も含め、その組成の均質性が担保されていきます (光学硝子材の均質性を担保していくとはそういう話になります)。

ちゃんと史実として例を挙げるなら、以前当方がこのブログで解説したMC ROKKOR-PG 58mm/f1.2《前期型−II》(SR/MD)』の中でフラウンホーファー線を発見した解説を試みていますが、そこで初めて「より均質性の高いフリントガラスの精製術を開発」したのが1811年の話であり、それまでは確かに軟らかい脆い光学硝子レンズばかりだったことが窺えるのです。

むしろ逆に自分達が「不必要な箇所に平気で反射防止黒色塗料を塗りまくる」から、その結果圧力が増大し、格納筒の金属材の材質如何により応力の反応が変化して「光学硝子レンズが
欠けていく
」のにそれを認めようとせず、顧みることすら行いません(怒)

そしてそれは「光学硝子レンズ格納時」に限定されず「取り出し時でさえ割れて欠けていく」ものの「その所為の違いで割れ方/欠け方は異なる」からこそ、今回の個体のように「過去メンテナンス時の整備者の所為がまるで動画のように露わになった」次第です(涙)

・・本当にロクなことをしません!!!(怒)

今回の個体を扱った過去メンテナンス時の整備者にも腹が立ちますが、それ以上に自分達が
ヤッていることを「」として、改める気持ちが一切皆無な今ドキのプロの整備者/整備会社
に対し、本当に腹が煮えくり返って仕方ありません!(怒)

そんくらい当方は「反射防止黒色塗料」を敵視しています!(怒) 今回扱ったモデルにもう
1箇所「反射防止黒色塗料に係る不条理」がある為、この点についても後で解説します。

↑上の写真は同様取り出した光学系後群側から第4群貼り合わせレンズです。貼り合わせレンズなので2枚の硝子レンズが接着されているワケですが、赤色ラインで囲った領域のバルサム剤が全周に渡り、経年劣化進行に伴い溶けて浮き始めています(汗)

その貼り合わせ面の接合箇所をグリーン色の矢印で指し示していますが、実は光学硝子レンズ面の汚れをキレイにしようと溶剤を使い拭いている最中、偶然グリーン色の矢印の箇所に溶剤が流れ込み染みました。

普通なら染みても「内部のバルサム剤にまで浸透していかない」のに、今回はヒシヒシと染みていくではありませんか!(驚) それで「???」に思い、この箇所を全周に渡り凝視したところ「マジッで本当に浮いている」のが判り、仕方なく一旦剥がしての再接着作業を執りました(涙)

↑前述の光学系後群第4群の2枚貼り合わせレンズを一旦剥がして分離させたところを撮影しています。構成4枚め5枚目です。右側の構成4枚めの表面に幾重にも同心円が映っているのは「裏面側の階段状のカタチの切削が映り込んでいる」からです(汗)

↑ヒックリ返して裏面側を撮影しました。階段状のカタチなのが分かるでしょうか(笑) ご覧のように汚かった汚れはキレイになりました(汗)

↑上の写真は光学系後群第5群後玉ですが、グリーン色の矢印で指し示している箇所には表裏面側に「反射防止黒色塗料」塗りまくりでした (後玉はご覧のとおりアルミ合金材による
モールド一体成型です
)(笑)

これらグリーン色の矢印で指し示している箇所は「本体にネジ込んだ時にその光路長に影響を与える方向が含まれる」ので、当方は問題視しています(汗)

例えば横方向に位置するコバ端は影響を及ぼしませんが、前後方向或いは直進方向は間違いなく100%の勢いで光路長を狂わします(怖) 従って今回のオーバーホール/修理では総て完全除去しています。

ちなみに赤色矢印で指し示しているように「構成6枚めは浮き上がっている/突出している」ので、冒頭光学系構成図のとおりです。

↑上の写真も今回の個体から取り出していますが「前玉とレンズ銘板の間に挟まる紙管」です(汗) 赤色のラインで囲った範囲でひっくり返って裏側が表になっています。その分レンズ銘板を締め付け固定した時に「前玉に圧力が加わる」為、将来的に破断が怖いので、ちゃんと水平に戻すべくヤッていますが、下手クソで上手く平らに戻ってくれません (スミマセン!)(汗)

↑上の写真は、左端が以前扱った「貴婦人第1世代 (1st)」の実装絞り羽根で、カタチが今回の個体と微妙に異なることが判明したので掲載しています。2枚めと3枚めが今回の個体から
取り出した絞り羽根です。

明確に膨らみも曲がりも違っているのが分かります。右端の写真赤色矢印のように1枚だけ「裏側に鋭角にメクレていた」為、平に戻しています。

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はSUMMILUX (-M) 50mm/f1.4《貴婦人》1st (LM)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

↑今回の個体から取り出した黄銅材の「空転ヘリコイド」です。赤色矢印で指し示している箇所はほぼ全面に渡り経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが進んでいる箇所です。さらにその上から過去の一時期に「潤滑剤」が注入されていたのを示す痕跡が残る部分をグリーン色の矢印で指し示しています。ブルー色の矢印は「直進キー」がスライドしていく溝です。

↑やはり黄銅材で作られている大きな「距離計連動ヘリコイド」です。ここでのポイントは赤色矢印で指し示している箇所に残る「2つの大きな穴」さらにグリーン色の矢印で指し示している箇所にある「ネジ穴の半分だけ」です。

↑こんな感じで赤色矢印の大きな穴が2つ残っています。このネジ穴は「距離環の距離指標値環を締め付け固定するイモネジ用の下穴」ですが、必要なのは1箇所だけです。つまり2個のうちの1つが過去メンテナンス時の整備でドリル穴あけされたと指摘できます。

実際よ〜く凝視するとこの2つのネジ穴が互いに水平位置で並んでいないのが分かり、どちらか一方の位置で締め付け固定すると「距離指標値が上下方向にズレる」ことを意味します(汗)

またグリーン色の矢印で指し示している箇所も、ネジ穴の半分なのが分かると思います(笑)

↑反対側を撮影しました。さらにここにもネジ穴の半分が2つ残っています (グリーン色の矢印)。このネジ穴の半分は、ここにある (直下の) ネジ山に距離環のローレット (滑り止め) がネジ込まれて、内側からイモネジで締め付け固定することで「黄銅材側とアルミ合金材側の両方にイモネジがネジ込まれるので、1本のイモネジだけで位置を確定できる」固定手法です。

いわゆる「2つのパーツに跨ってネジ穴を開けることで両方の位置を確定させつつ締め付け
固定できる
」手法ですね(笑)

これらから見えてくる事実があります。「距離指標値で∞刻印の位置がズレていた時期がこの個体にはあった」ことを前述の大きなネジ穴が物語っています。また距離環用ローレット (滑り止め) の固定位置も大きく半周分近くズレていた時期があります(汗)

・・どうして1つの個体でそんなにズレてしまうのか???

↑その答えが上の写真です(汗) 刻み込みが「距離計連動ヘリコイドの内側」に残っており、ここには「1703761」と・・要は製造番号なのが判明します(汗) しかしX印でワザワザ消しています

↑さらにもう1つ別の番号が刻まれていました。「1897358」とやはり製造番号です。

しかしこちらはX印で消さずに「反射防止黒色塗料」を塗り見えなくしてありました(汗)

↑そして3つめ・・「1884XXX」と今回の個体の製造番号が刻んであります(笑)

これら3つのマーキングから明確な答えが一つだけ示されました(汗) この個体は「同一の整備会社で扱われていた個体」なのが判ります。それは一度に別々の番号で刻むことは少ないと考えられるので、おそらくは「街の中で相応に老舗で有名で大きな整備会社」だったことが
推察できそうです(汗)

しかも今回の個体を当初バラした時に「内部に塗布されていた古いグリース/潤滑剤系には微かな芳香を含んでいた」ことから、おそらくは海外で整備されていた個体ではないかとみて
います(汗) もっと言うなら「これら3つのマーキングはその筆記書体が同一」であり、且つこのような筆記書体の数字の書き方を日本人は行いません(汗)

この事実も海外の整備会社の推測が成り立つ一因ですが、同じ距離計連動ヘリコイドの内側に刻んでいることからも「同一人物」の仕業だと考えられます。

するとそこから見えてくる流れは「一度整備後に販売された後、数年後に再びまた戻ってきた (買い取った) ことが窺え、その際に別の番号が刻まれつつ再整備された」ものの、これらの憶測は実は前述の「2つの大きな穴のズレ」と「3箇所あるネジ山の半分」という現実にズレた位置で組み上げられていたことの事実とも辻褄が合うのです。

するとX印で消した時の個体は「貴婦人第1世代 (1st)」であったハズで、実装していた鏡胴「前部」側の光学設計が違っていた可能性が捨てきれません(汗)

一方2番目の「反射防止黒色塗料」で消した番号と今回の個体番号は共に「1961年製」を示しています。

これらの事実からズレた位置で組み上げられていた期間が一定期間あったことが窺え、なかなか (何処の国だったのか分かりませんが) その遍歴に唸ったりします(涙)

・・こういう話だって、オールドレンズを辿るべくロマンに与しませんか???

ちなみに、当時のライツでは製造番号をこの位置にマーキングする製産工程を経ていなかったハズなので「真の製産時点を示す製造番号は、何処にも残っていない」のが真実であり、そこから辿ってきた遍歴は「4回も製造番号を違えてきたツワモノ」とも指摘でき、戦後と言えどもなかなかです(汗)

何故なら、製造番号は最終検査工程を経て初めて「個体別に製造番号が確定する (製品として完成する)」ワケで、製産組立工程の中では製造番号は一切把握せず、知らないまま製産ラインが進んでいたハズです。そうしないとレンズ銘板に刻印してしまった製造番号が製品検査時の良し悪しで飛んでいく/欠番していく話になり、ムダが多くなるからです。

そしてもっと言うなら当時から既に「製造番号事前割当制」が当たり前になっており、何本
造るのかを決めて、それに見合う構成パーツを用意して製産ラインを稼働させるので、そこに「需要と供給のバランス」として制御でき、且つ最も効率的な企業利潤の追求が機会喪失を
最低限レベルまで抑えつつ適うとみています。

従って巷でよく言われている「終盤期に余っていたパーツを使って組み上げた極僅かな製品」と言う表現が、ネット上の当時の様々な光学メーカー製品の解説ページで現れますが、それが意味するのは「製産ラインは概ね完了しており、製品はほぼ完成に近い状態まで組み上がっていた」と捉えられ、ではその終盤期にいったい何を造って製品化が適ったのかと言えば「それはレンズ銘板だけ」みたいな話になるのが「製造番号事前割当制」の真髄です(笑)

逆に言えば時期を違えて改めて製産ラインを稼働させ、必要とする構成パーツを逐一用意するほどお金を必要とする話はありませんから (材料ではなく人件費です)、特にその企業の終焉期に差し掛かっているタイミングとなれば、自ずと用意するのは「レンズ銘板だけ」のほうが、間違いなく僅かでも収益を残すチャンスが訪れると言うものです(笑)

↑なお冒頭で解説した「光路長を狂わす所為」が上の写真で「光学系後群固定環」であり、この締付環が光学系後群を締め付け固定する為、光学系後群の第4群第5群の2つの貼り合わせレンズは互いに重なって「落とし込みだけで格納筒に入る」ものの、最後に上の写真の締付環1つだけで締め付け固定される設計です。

ところが赤色矢印で指し示しているように「反射防止黒色塗料」が相当厚みを持って塗布されている一方で、剥がすとブルー色の矢印のとおり、ちゃんと製産時点のメッキ加工が現れます (黄銅材の黄金色)。

↑先に今回のオーバーホール/修理が終わり組み上がった個体の後群側を撮影した写真を載せますが、グリーン色の矢印で指し示している箇所が一つ前の「締付環」であり、当方の手により「反射防止黒色塗料」を完全除去しています(汗)

・・どうして除去する必要があるのか???

この締付環が突き当たって停止した位置で「無限遠位置が確定する/∞刻印の位置にピタリと
合致する
」ワケで、ここに「反射防止黒色塗料」が塗られていると「その厚み分だけ無限遠
位置はズレる
」ものの、このモデルは「直進キーの位置は微調整機能を持っていない」為に
仕方なく「ネジ止めする位置をズラすごまかしの整備を行う必要に迫られる」次第です(笑)

実際今回の個体を当初バラす前時点で実写確認すると「無限遠位置は∞刻印でピタリと正しく合っている」とのご案内でしたが、当方が見ると「極僅かにアンダーインフ状態???」ではないかと感じました(汗)

バラしてみて整備作業を進めると、確かに納得できたのが上の写真そのものです(笑)

ここに塗られていた「反射防止黒色塗料」の厚み分で極々僅かなアンダーインフに陥っていたのかもしれません (塗布されていた反射防止黒色塗料の厚み分だけもう少し鏡筒が収納される必要があった)(汗)

これが前述した「反射防止黒色塗料着色に係るもう一つの不条理」であり、まさに物理的に
光路長を逸脱する方向性の処置としか言いようがありません(汗)

↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。オーバーホール/修理のご依頼内容であった「絞り環操作が硬い」のも、下穴の位置がズレていた為で、おそらく4回の製造番号が違えていた中の何処かで、変更した位置で使われていたとみています(汗)

また内部に組み込む鋼球ボールがおそらく純正ではないと思います(汗) 少々このモデルにしてはハッキリしたクリック感の印象で、使っている「板バネ」独特な反発力感触をあまり感じません(汗) もう少し軽い反発力になれば板バネ特有の「クンクン」という感触が指に伝わるのでしょうが、残念ながら当方在庫の鋼球ボールを幾つか試しましたがダメでした(涙)・・申し訳ございません。

↑光学系内は冒頭解説のとおり、上の写真4時辺りの場所に「泡のようなモノ」が見えており、解説した欠け部分です。よっぽど大きめの玉ボケを表出させない限り「円形ボケの中に
写り込まない/映り込んでも視認できない
」とも言え、気にする必要はないと思います(汗)

後群側のバルサム切れも再接着した為、ご覧のとおり全く残っていません(笑) 浮いていたバルサム剤は溶剤で溶かすと「ツンと鼻に来るカナダバルサムの臭い」なのを確認しています。

当方が使うバルサム剤は、今現在も「分解整備済」を謳いつつ出品を続けているヤフオク出品者のバルサム剤とは全く異なるタイプを使っています。その最大の理由は「65℃以上で重合反応が現れる」為、例えば日本国内の何処でも盛夏の車内に放置されると「最大時には80℃まで上昇する」ことをJAFのデータが明示している為、とても65℃で重合反応してしまっては怖くて使えません(怖)

当然ながら当方が使うバルサム剤は「光学硝子レンズ専用の接着剤」であるものの「屈折率1.65n」の能力を持ち、当然ながらデータシートには重合反応の指摘がありません (ちゃんとデータシートを請求して確認済です/個人事業者なので取り寄せOKになりました)(笑)

まぁ〜種明かししてしまうと、以前取材させて頂いた工業用光学硝子精製会社様の伝手で特別に入手できているだけの話で、当然ながら個人宛には流してくれません(汗)

本来なら適切な硝子材の接着に際し個別にバルサム剤を用意するのが光学設計上の筋ですが、
そんなのは個人たる当方にはムリなので「ワザワザ多くのオールドレンズに使えるレベルの
バルサム剤を選定して頂いた
」次第で・・部長、本当にありがとう御座いました!(涙)

↑12枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。1枚折れ曲がっていた箇所の絞り羽根もちゃんと水平に戻したので大丈夫です(笑)

絞り環操作は、残念ながら組み込み鋼球ボールの径が違うようで、たいして軽く仕上がっていません・・申し訳ございません。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

なお極僅かなトルクムラは「再現性がとても低い」ものの、現れる場合があります(汗) その理由は前述した「3箇所あった半分のネジ穴」の1箇所で当初バラした際にイモネジで締め付け固定されていたものの「ドリル穴あけした箇所だった為に、距離計連動ヘリコイドの黄銅材が内側方向に極々僅かに撓んでいた」ことから起きていた「応力分の影響を受けて直進キーが摩耗してしまった」のではないかとみています・・いろいろ試しましたが再現性が低い分もあり改善できていません (再現性が確定しないので、どのような状況下でトルクムラに陥るのかが
???なままなのです・・スミマセン!
)。

↑ご覧のとおり「無限遠位置の∞刻印の位置合わせ」を優先したが為に、鏡胴「前部」のネジ込みが進んで一直線上に並んでいません(汗)・・申し訳ございません。

鏡胴「前部」側がレンズ銘板に支配されている部位ですから、前述した「製産時点から4つの遍歴を経てきた製造番号」の中で、最後の刻印番号こそが今回の個体の鏡胴「前部」であるものの、その鏡胴「前部/後部」のネジ山の違いからグリーン色ラインの如く一直線上に並ばずズレている話に至ります。本来の4つめの製造番号の鏡胴「後部」には何か理由があって使えないが為に「1stの頃の貴婦人鏡胴後部を転用してきた」が故のズレとも認識頂くのが「心の健康にはヨロシイ」かも知れません (当方の言い訳でしかありませんが)(汗)

もちろんグリーン色ライン上にピタリと絞り値「F1.4」とそのマーカーまで揃えて仕上げることは十分可能です。然しそうすると、再び当初バラす前のアンダーインフ状態に近づく話になるので、敢えてこのモデルの開放f値での鋭さ感たる描写を再現したいとの願いだけで、このように仕上げてしまいました (スミマセン)(涙)

この状態で無限遠位置はLMマウントで確認すると「ピタリ位置」一方α7IIにマウントアダプタ経由装着確認すると「10mと∞の中間位置辺り」のオーバーインフ状態です (LMマウント規格品の場合、このパターンが一番多いです)。当方の所有マウントアダプタはK&F CONCEPT製です。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から僅かに改善/ピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f1.4被写体までの距離69m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度34m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、40m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の70m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

以上、今回のオーバーホール/修理ご依頼内容からは以下の点について瑕疵が残ってしまいました・・お詫び申し上げます。

  ●               

《残ってしまった瑕疵内容》

絞り環のクリック感がハッキリしていて、絞り環操作が軽くなっていない
(当初よりは軽めに改善できている程度のレベルで終わっている)

絞り値マーカー●と刻印絞り値は一致したが、グリーン色ライン上に並ばない
距離感を回した時に、稀にトルクムラが起き「クッ」 と抵抗を感じることがある

・・以上3点、結局ご依頼内容は何一つ改善できていません。申し訳ございません!(涙)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮っています。

↑f値「f4」での撮影です。

↑f値は「f5.6」に上がりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状態なので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。明日厳重に梱包してクロネコヤマト宅急便にてご返送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。