♦ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Leitz Xenon 5cm/f1.5《後期型》(L39)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Schneider-Kreuznach製標準レンズ・・・・、
Leitz Xenon 5cm/f1.5《後期型》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を
始めた13年前からの累計で僅か2本目になり、前回の扱いは昨年です。

先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りま
した事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!(涙)

  ●               

昨年初めてこのモデルを扱った際は、当方に届く前時点で既に実装光学系が〇〇磨きされていた個体だったので、当方でのオーバーホール/修理に際し「光学系は触らない」との前提でご依頼を賜りました。

・・と言うのも、実は既にその時点で過去扱いのオーバーホール/修理個体の中に、同じように〇〇磨きされていた個体を累計で3本扱っており、昨年の同型モデルが4本目でした。
(しかも過去扱い品はライカ製モデルが3本だった)

ところがそれら過去扱いの3本全てに於いて「光学系内の塵や埃に汚れ状が気になる」との
ご指摘がご依頼時にあり、当方でのオーバーホール/修理に際し「光学系清掃」が入っていた
のです (但し事前に『〇〇磨き』を知らされていたのは1本だけ)。

しかし届いた個体をバラして光学系を清掃すると、それら3本全てが「蒸着コーティング層が剥がれてノンコーティングの状態に戻ってしまった」ワケです(驚)

・・清掃しただけで剥がれてしまう蒸着コーティング層って、何、なに、何なの???(汗)

もぉ〜大キライなホラ〜映画どころの騒ぎではなく、ショックは絶大で過呼吸で終わらずに
その後寝込んでしまったくらいです(涙)

それ以来事前に〇〇磨き済個体のオーバーホール/修理はご辞退する旨オーバーホール/修理受付フォームに明記して御座います・・《注意事項》❷ に記載

理由は当然ながら前述のとおり「清掃しただけで剥がれる (ノンコーティング状態に戻ってしまう) 蒸着コーティング層」である点と合わせて、どう言うワケか3人共に「光学系内の塵/埃/汚れ状が気になる」とのご指摘だったからです(泣)

当方からすれば、既に光学系内は〇〇磨き済で当然ながら清掃や汚れ除去も終わっているものと受け取っていたのですが、確かに届いた個体を確認すると「当方のオーバーホール/修理でも一般的に塵/埃/汚れ状が残っている状況」との判定しか下せない状況から、普通に光学系の清掃作業をヤッてしまったワケです(汗)

↑上の写真は、昨年承った際の同型モデルの掲載写真からの転載です。当初バラし始めた時に
取り外した「光学系第1群前玉」であり、既に事前の〇〇磨きが終わっている状況で、
大変美しいプルシアンブル〜の光彩を放っているのは、前玉裏面側に蒸着されている
シングルコーティング層」の輝きです。

この時は初めての扱いだったので「このプルシアンブル〜の光彩が正しい」と信じてやまなかったのです(汗)

・・無知ほど怖いモノはない!(笑)

↑同様昨年扱った個体からの転載写真ですが、今度はヒックリ返して前玉裏面側を撮影して
います・・赤色矢印で指し示している箇所に塵/埃/汚れ状にヘアラインキズ、そして何よりも
ショッキングな一番上に位置する「絶大なハガレ箇所」が白く写っています(涙)

当初この光学系第1群前玉を取り外した時点から、このようになっていたワケで、当方にすれば事前に〇〇磨きされているのにどうして剥がれている箇所があるのか「???」でしかありません(怖)

・・そしてこの後の清掃により、これらプルシアンブル〜の光彩は全剥離してしまった!(涙)

↑上の写真は今回扱った累計2本目にあたる、同型モデルの光学系第1群前玉を当初バラし
始めた時点で撮影しています。するとご覧のとおりどのような角度に傾けても「プルシアン
ブル〜の光彩
は放たない
」のを初めて知りました・・(汗)

・・何しろ無知ほど最強なモノはない!(笑)

↑同様ヒックリ返して裏面側を撮影していまいが、当然ながら「プルシアンブル〜の蒸着
ない
」のは、表面から眺めて自明の理です(汗)

実は昨年のご依頼者様には「再蒸着のご依頼をお願いし当方が弁償する」とご相談したのですが、ご依頼者様も実は「プルシアンブル〜の光彩???」との印象が残っていたらしく、当方の所為の結果ノンコーティング状態に戻ってしまったにもかかわらず「弁償せずにこのままで良い」との大変なご温情を頂き、大赤字を免れたので御座います(涙)

・・もう一度、ありがとう御座いました (そして本当に申し訳ございませんでした)!(涙)

謝っても謝りきれないにもかかわらず、本当にお優しい方で御座います(涙)

これら上の2枚の写真から、当然ながらこのモデルLeitz Xenon 5cm/f1.5《後期型》(L39)』は「プルシアンブル〜の光彩を放つコーティング層蒸着ではない」点が明白になったと受け取っています。

ではどうしてプルシアンブル〜の光彩を放つコーティング層を蒸着して返したのか???」になりますが(汗)、以前何処ぞの取材記事で読みましたが、当の〇〇磨きでは、シングルコーティングならこの当時はどれも似たようなモノとのお話だったのを覚えています。

つまり代表的なシングルコーティング層として蒸着したのがプルシアンブル〜の光彩」だったのかも知れませんが『光学知識皆無』な当方にはよく分かりません(汗)

  ●               

〇〇磨きに関する謎と言うか「ホラ〜体験」は前述4本だけで終わりましたが、その一方でもう一つ、どうしても「消化不良」のまま過ごし続けている与件が残されていました(泣)

・・それはLeitz Xenonの光学設計に対する系譜です(泣)

巷では、特に日本で解説されている内容の大多数が「Albrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ) 」による光学設計との案内です・・確かに某有名処での解説がまさにその総本山なのでしょう(汗)

しかし昨年初めてこのモデルを扱った際に調査した時の資料からは、一言もトロニエの名前が現れなかったのです。

・・どうしてトロニエが設計したのに、海外では誰もそれを解説しようとしないのか???

そこで今回もう一度再調査に励みました(汗)・・そしたら海外サイトの『A History of the Xenon Lens』の解説が大きなヒントになりました!(驚)

こちらのサイト主の視点と当方の「消化不良から来る視点」の角度がまさに一致をみたような錯覚です(笑)・・昨年調査した際も、実はこちらのサイトを知っていたのですが、その時点では「某有名処の案内を甘受していた」が故に当方が盲目に陥っていたのです (恥ずかしい)(汗)

・・そう、観るべき角度が違ったのです! Xenon銘に惑わされていたのです!(汗)

従って今回の調査でようやく100%の消化を迎え、スッキリした心持ちでオーバーホール/修理も仕上げられたと言う次第です(笑)

今回扱ったLeitz Xenon 5cm/f1.5《後期型》(L39)』モデルの光学系を語る時、必ず辿ら
なければイケナイ系譜がちゃんとあるのに、それを試みない為「消化不良」に陥ります(汗)

本来は光学設計の黎明期たる19世紀まで遡る必要がありますが、今回は「ダブルガウス型
光学系の発展
」から解説を試みます。

19世紀の発明を参考にしつつ20世紀に入ると、英国のTaylor, Taylor & Hobson社 (TT&H) に1913年に入社した光学設計技師「Horace William Lee (ホレス・ウィリアム・リー)」が1920年に「OPIC型光学系」を考案したのが、今回扱ったモデルの光学系開発に大きく影響します (右写真はR.キングスレイクによる写真レンズの歴史
アカデミックプレス1989より)

 

↑左図が1920年の特許出願申請書『GB157040A』であり、Horace William Lee氏により
考案された4群6枚の光学設計「OPIC型光学系」です。その特許出願申請書の掲載構成図から当方がトレースした構成図が中央になり、さらに右端が後にTT&H社から製品化し発売された「シリーズO」の光学系構成図です。

そして凡そ10年後の1930年に、同じく英国はKAPELLA Ltd.社より特許出願申請書が提出されますが、この申請会社こそが Horace William Lee氏が創設した会社であり、英国バーミンガム東方近郊に位置する「104, Stoughton Street, Leicester (レスターシャー州レスター市オード
ビー, ストットン通104番地)」という閑静な住宅街のド真ん中に、いまだに増改築を経ながら建物が残っているからオドロキです!(驚)

↑左端の図が1930年のKAPELLA Ltd.社から申請された特許出願申請書『GB373950A』ですが、実はこの時の特許出願申請書にはちゃんと前述の『GB157040A』からの発展した
考案である旨の記述がありました!(驚) 同様2つ目の構成図は当方によるトレースです。

さらに同年に今度は米国向けにKAPELLA Ltd.社より特許出願申請書『US2019985A』が申請され (3つ目の図)、やはり発展系である事が Horace William Lee氏のコトバとして記述されていました。右端の構成図は当方が掲載構成図をトレースしたものです。

・・如何ですか??? 今回のモデルの構成図にだいぶ近似してきましたョね???

そして肝心な冒頭の「消化不良」の話ですが(笑)、右構成図は今回の
オーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

光学系前群と後群の間に「変なカタチの絞り羽根が居る」のは、今回のモデルが実装しているのが『歪曲型絞り羽根』だからです(笑)

↑上の図4つが今回当方が「消化不良を解消できた根拠」です(笑)・・そもそも今回の個体を
バラして取り出した現ブツの光学系と比べれば、トロニエが当時発案した光学系構成とは異なるのが明白だからです

上の図は「当方が述べた観る角度が違う」事を示しています。左端は彼の有名な「Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ)」が1924年にZEISS IKON AG在籍時に発案した時の特許出願申請書『DE458499C』で、次の図が当方が掲載構成図からトレースした「Ernostar型光学系」です。

さらに次の特許出願申請書が1925年申請の特許出願申請書『DE439556C』で、冒頭登場の「Albrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ)」氏による発案
です (右端の構成図はその掲載図からのトレース)。

何を発案したのかと言えば、ご覧のとおり「光学系後群側の発案」であり、要は前年に特許
出願申請されてしまったBerteleの「Ernostar型光学系」後群 (両凸レンズが一つだけ) では
被写界深度の均質性が保てず、浅すぎる点を補う目的で開発したと記述しています。

↑そこでトロニエが考案して製品化されたのが上の写真左側のAdox製Adoretteに装着された例として明示した「Kleinbild-Xenon 5cm/f2」であり、右側に載せたのは1937年当時の
カタログから当方がトレースした構成図です・・まさにBertele考案の「Ernostar型光学系」を光学系前群に持つが如く「拡張型ダブルガウス型光学系」として生まれ変わったのが分かります!(驚)

当時のSchneider-Kreuznachは、当初この光学系に製品銘として「Xenar銘」を充てがいま
したが、後に「Xenon銘」として商標登録されます (Xenar銘は後の時代になると3群4枚のテッサー型光学系を表す商標へと変遷する)。

当方が犯したミスは・・つまりこうです。「単一のXenon銘に拘り過ぎたが故に見誤ってしまった」ワケで、今回扱ったモデルLeitz Xenon 5cm/f1.5《後期型》(L39)』の「Xenon」が明示するのは「単なる登録商標」であり、実装光学系がトロニエ博士の考案に拠るモノではない点について、見誤ってしまったのです(汗)

・・あぁ〜、何と恥ずかしいことか!(恥) 無知ほど最強なモノはない(汗)

詰まる処、今回扱った光学系の出発点に「OPIC型光学系」が居たのは間違いなく、当方が「Xenon銘」に惑わされたのがイケナイので御座います・・ですハイ (穴に隠れたい)(笑)

ちなみにトロニエ博士が描いた「拡張ダブルガウス型光学系」を採用して製品化してきた「開放f値f1.5」の商品は左のカタログのとおりシネレンズとしての登場が最初のようです。

  ●               






↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
昨年初めて暑かった時よりもネット上の掲載実施屋が増えている印象です(笑) まずは何は置いても一番左端の「グルグルボケ」の凄まじさが強烈です(笑)・・ピント面背景の「グルグルボケ」は少々ザワツキ感を伴うものの、意外にも「均整の摂れたザワツキ感」とも受け取れ違和感を感じません(笑)

2枚目以降もその傾向は変わらず「まぁ〜よく見積もってもギリギリの処かな???」と言うキワドイ煩さ感です(笑)・・が然し!(驚)

よ〜く観ると一番右端は「ピント面の花が彼岸花」なのは間違いなく、すると花弁の「赤色」がこのような明るい方向へと偏光する白黒写真として残るのがオドロキです!(驚)・・と言うのも、さらにその背景の影部分は明確に黒潰れの方向に向かっているからで、暗部と「赤色」の濃さの違いをこのように明示できる偏光した白黒撮影と言うのに、少々オドロキを隠せま
せん(汗)

二段目
この断では発色性の自然なナチュラル感を確認するつもりでピックアップしていますが、意外にもピント面の鋭さ感まで「限りなくナチュラル」で、やはり違和感を感じません(汗)

違和感と言うのは、誇張的にガッチガチに鋭い処まで詰めすぎず、かと言って甘い印象を伴わず、明確に鋭くも「1938年辺りの製造」のオールドレンズでこんなに表現できるのかと言う、またもオドロキです(笑)

そして極めつけは最後の右端の写真です!(驚)・・このふんわりと優しく、然し如実に鋭さ感を漂わす「滲んだ鋭さ感と光の捉え方」を花弁に含ませてしまう技術に、またまたオドロキ
です!(驚)

三段目
この段では被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています。やはり同じ傾向をどうしても感じ取ってしまうのですが、ガラス質や金属質の表現性の中に「光を取り込んでいる」様を印象として受け取ります(汗)・・ガラスも金属も「光の反射レベルに実は質感を表現しているのか???」と勘ぐりたくなるほどに生々しくリアルなのです(汗)

それでいて、この年代のオールドレンズでこれだけ人物撮影、人肌表現を熟せてしまう点にもビックリです(笑)

四段目
この段で何となくこのモデルの特殊性・・光の表現性・・に感づかざるを得なくなります(汗) 左の2枚の実写で、これだけの暗がりの中でシッカリと確実に色付きを表現して写し込んで
しまう実力に恐れ慄く印象です(汗)

そして右側の2枚を観ると、どうしても「光の表現性と合わせて受け取らざるを得ない」と
言うほどに、これでもかと光が纏わりつきます(笑)・・白黒写真でも同じに見えるので恐ろ
しきかな(汗)

五段目
左端のピ〜カン撮影での空の雲は、確かに雲の水分量まで写し込めているのが凄いのですが、それにも増して背景の青空感が素晴らしいレベルです。そしてやはり他の3枚に相通ずる光の留め方がコトバに表現できません(汗)

六段目
最後にこのモデルの特殊性として間違いなく「光の制御」を述べられるのではないかと、この明るい車内の写真を観ても感じました(汗)・・白飛びしていないのです!(驚) 電車内のホワイトト〜ンのグラデーションをそれぞれの場所でちゃんと写し込んで残せている表現性・・光の制御・・に、マジッでため息です!(涙)

1936年から発売されたオールドレンズで、いったいどうしてこのような表現が、まるで
当たり前のようにできてしまうのでしょうか???(怖)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は構成するパーツ点数が少なめの印象ですが、何しろこの当時も今までも含め、たいがいのオールドレンズ内部構造からはかけ離れている構造設計です(怖)・・が然し「原理原則」は決して逸脱していないので、何処の整備会社でもバラせるのでしょう(笑)

↑上の写真は当初バラし始めている時に撮影しましたが「光学系前群格納筒」だけを既に取り外しています (つまり次に来る絞りユニットの部位が丸見え状態)(笑)

1枚目の写真で赤色矢印で指し示しているのは「絞り環の部位に遊び/マチ/隙間が備わる設計」である点を明示しています。絞り環を持ち上げて引っ張り上げると、ご覧のように隙間が空くのです。

凡そオールドレンズの内部構造/設計概念で「不必要な構造、意味の成さない設計」などありません(汗)・・すると何故このような隙間を用意したのかが整備上のポイントになります(笑)

↑さらに解体を進めています。絞り環や距離環のローレット (滑り止め) を取り外して内部を露わにしていますが、赤色矢印で指し示しているのは「潤滑剤」で粘性を持つグリースです (液体の潤滑油ではありません)・・おそらく数十年前の整備で塗布された褐色系の「潤滑剤」です。

↑さらに鏡胴「後部」を完全解体して、溶剤で洗浄する前の段階でコピー用紙の上に並べました
・・赤色矢印で指し示している箇所には前述の古い数十年前の「褐色の潤滑剤」が塗られて
いるものの、グリーン色の矢印の箇所には「白色系グリース」が変質して「濃いグレー状」に至っています(笑)

・・この事から直近で一度バラして整備したものの、完全解体していないのが明白です(笑)

つまり「空転ヘリコイド」側をバラさずに、外側から見える「距離計連動ヘリコイド」側だけを整備したのが明白です(笑)

逆に言うなら「一度鏡胴前部を引き抜いている」ものの、その時同時に「空転ヘリコイド
までバラしていないと言う意味です (白色系グリースだけ塗って戻したから褐色の潤滑剤はそのまま残っている)。

↑さすがに手の指がベチョベチョなので(汗)、溶剤で洗浄してしまいました(笑)・・上の写真
2枚は鏡筒を取り外して取り出した「開閉環 (左)」と「鏡筒 (右)」を並べて撮影し、2枚目の写真撮影ではヒックリ返して撮っています。

グリーン色の矢印で指し示している箇所は「平滑性が必要な箇所なのに、何一つ処置を講じていないのがモロバレ」なのを明示しています(笑)

↑同じく鏡筒内部に入る「開閉環」をヒックリ返して裏側を撮影していますが、重要なのはグリーン色の矢印で指し示している箇所で、今回の個体は「グリーン色の矢印で指し示している箇所の全ての削りが均質」である事を明示しています。

つまり前回昨年扱った個体の現象の中に「絞り羽根が閉じる際に閉じていくカタチが不安定」と言う症状がありました(汗)・・その原因がこのグリーン色の矢印で指し示している箇所を、過去メンテナンス時にさらに削ってしまったからだと判明した次第です(涙)

今回の個体の上の写真のとおり「本来の製産時点は均質に削られている面取加工だった」ことが、これで100%明白になりました。

ちなみにブルー色の矢印で指し示している箇所は「絞り環と連結するキーがネジ込まれるネジ穴」ですが、逆に言うなら「ここに絞り環を回した時のチカラが集中する」のが明白です。
(反対側にもネジ穴が用意されていて両サイドで絞り環と連結)

↑同じ部位を拡大撮影しました。同様グリーン色の矢印で指し示しているのは「面取加工」であり、その均質性を明示しています。また赤色矢印で指し示している箇所は前回扱った個体で「過去メンテナンス時に故意にワザと削られてしまった箇所」を示しており、その結果絞り羽根が閉じる際にキーのスライドが変化するので「正六角形になったり歪だったりと不安定化していた」因果だったのが判明しています (今回の個体は本当にキレイな製産時点を維持しています/つまり削るなどの加工を一切加えていないオリジナルな状態を維持)。

↑上の写真は取り外した光学系前群格納筒をヒックリ返して第2群の裏面側を撮影しています。

↑ご覧のように「開閉環」がスッポリ被さり「開閉環の縁の平滑部分 (グリーン色の矢印)」と「光学系前群格納筒縁の平滑部分 (赤色矢印)」が互いに接触し合い重なる事を示しています。

そしてブルー色の矢印で指し示している両サイドに備わるネジ穴が絞り環と連結します。

・・何を言いたいのか???(笑)

冒頭で解説した「絞り環の遊び/隙間/マチ」の意味がここにあり、互いの平滑性を担保していればその遊び分が効果を発揮して「実装される絞り羽根のキーに負担を掛けない」究極の役目を担っているのです(汗)・・ちなみに、冒頭解説の絞り環の遊び分の量は、上の写真で見た時に「開閉環」裏面側のド真ん中から極僅かに突出する「光学系第2群の裏面側飛び出し量」を回避する意味合いも含みます。

・・観察と考察」に「原理原則」の重要性、ご理解頂けるでしょうか???(汗)

残念ながら、今回の個体もこれら鏡筒内部の構成パーツは「平滑性を担保されなかった」ままに数十年の時を経てしまったので(涙)、絞り羽根にプレッシングされているキー (おそらく開閉キー側) が摩耗したか、垂直を維持できていないとみています。

おそらくその開閉動作から上の写真ブルー色の矢印で指し示した箇所に来る「両サイドの2枚の絞り羽根」のキーが本当に極僅かに斜めっているのだと思いますが、当方には垂直度を検査する機械設備がないので確認しようがありません (スミマセン)(汗)

・・こういう一つ一つが疎かになっていくと、やがて「製品寿命」が突然訪れる(怖)

ワケですね(涙)・・ある日突然1枚の絞り羽根が顔出しして光学系内を塞ぐようになってしまいます(驚)・・プレッシングされているキーが脱落してしまったからです(涙) 一度脱落したキーは二度とプレッシングできません (プレッシング時の丸穴が既に広がってしまったから)(涙)

どうして「観察と考察」が必要で「原理原則」の基に組み立てていくべきなのか、ご理解頂けるでしょうか???(涙)

・・当方が「本来在るべき姿に組み上げる」と述べているのは決してウソではありません(笑)

まぁ〜、そうは言っても何処の馬の骨だから分からない、プロの整備者どころか、マニアに
すらなれなかった「整備者モドキ」たる『転売屋/転売ヤー
と揶揄され続け、そこいら中のサイトやSNSで批判の嵐です(笑)

↑オーバーホール工程を進めます。絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です (アルミ合金材)・・内側の底面にポチポチと白っぽく見えているのは「サビ」ではなくて(笑)、製産時点のメッキ加工時に付着していた不純物の痕跡です。

・・このように因果がちゃんと掴めるだけで何となく安心ですョね???(笑)

↑前出の「開閉環」も、当方の手による『DOH』でご覧のとおりピッカピカに戻りました。
・・光り輝かせるのが目的ではなく「経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを可能な限り除去し平滑性を担保する」ことで、結果的に「絞り羽根にプレッシングされている両面のキーが守られ製品寿命が延びる」のが最終目的です(笑)

・・まぁ〜、別に高い技術スキルでもなく、単にゴシゴシ磨いているだけの話です(笑)

もちろん金属材を痛めてしまう「研磨剤 (金属用研磨剤)」など使うのは天敵なので厳禁です
・・最近のヤフオク!で流行り始めていますが(笑)

・・放っておいても所詮「絶滅危惧種」なのは変わらず、単に消えていくだけの話です。

↑当然ながら接触面たる光学系前群格納筒のフチ部分も赤色矢印のとおり「磨き研磨」済です(笑)・・過去メンテナンス時に着色されていた「反射防止黒色塗料」も溶剤で溶かして剥がしています (製産時点にメッキ加工されていれば溶剤如きで溶けないのでこれで明白になる)。

↑上の写真は光学系第2群と絞りユニットを挟んだ反対側にセットされる光学系第3群、共に貼り合わせレンズを置いて撮影しています。グリーン色のラインで示したとおり「曲がり率が高いので飛び出ている状況」なのがお分かり頂けると思います。

・・これだけの曲がり率から生まれるのが、あの冒頭の写りなんですねぇ〜(涙)

なんだか、そうやって感じ取るだけで、ジワッと来てしまいます(笑)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑こんな感じで実装している6枚の絞り羽根は「歪曲型絞り羽根」なので。前後左右平面が存在しないカタチです(怖)・・さらにご覧のとおりプレッシングされている「キー (垂直状の金属棒)」も、よ〜く観察すると樽型なのが分かります。

要は摩耗したのか、垂直状を維持できなくなったのか分かりませんが、6枚のうち2枚の開閉角度が時々極僅かに (本当に僅かに) 狂います。

鏡筒に組み込んだ「開閉環」とグリーン色の矢印で指し示した処置済の「平滑面」です・・ちゃんと過去メンテナンス時にこれをヤッておいてくれれば、6枚の絞り羽根も本当に気持ち良く均質に閉じていくのにです(泣)

・・と言っても言われなければ気づかないレベルですが(汗)

↑上の写真は後の工程で光学系前群をセットした後の撮影です。後玉側方向からの向きで撮影していますが、完全開放状態であるものの、赤色矢印で指し示している箇所に絞り羽根の一部が見えています (これが正常で製産時点そのままです)(笑)

↑6枚の絞り羽根が閉じていく時は、こんな感じで閉じていきます(笑)・・意外にも重なり具合が (カタチ) 違うのがオモシロイですョね???(笑)

↑「最小絞り値f9」まで絞り羽根を閉じきるとこんな感じで閉じます・・やはりこれも意外ですが、6枚全ての絞り羽根はフチが一致しないのです(笑)

ブルー色の矢印で指し示している箇所に絞り環との連結用キーがネジ込まれているので、その影響を受けて閉じ具合が極僅かに変化します。

鏡筒を真横から見るとこんな感じです。「開閉環」が単に被さっているだけの状態なので
(オーバーホール工程を少々戻っています)「連携孔」の切り欠き/スリット/開口部の奥に
開閉環」の側面が見えて、ちゃんとブルー色の矢印で指し示した位置にネジ穴が見えて
います。

↑絞り環用ベース環がセットされたところです。ちゃんと絞り値用の「基準▲マーカー」が赤色矢印の位置に来ていますし、ベース環に「連携キー」がセットされて「開閉環」との連結も
終わっています。

↑光学系前群を組み込んだところです。

↑絞り環も入りました(笑)

↑この状態で前玉側方向から撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所に極僅かですが「絞り羽根の一部が顔出ししているのが見える」のが分かりますが、これを顔出ししないようにはできません (絞り羽根のカタチで決まるので削るワケにいきません)(笑)

さてありがたい解説を明示しましょう・・グリーン色の矢印で指し示しているのが「蒸着されているコーティング層の光彩」の反射で、全面に渡り薄いブル~シングルコーティング層が蒸着されているのが分かります。

・・プルシアンブル〜の光彩はさすがに放っていませんね(笑)

製造番号「270001270004 (1935年製造)」或いは「288001290000 (1936年
製造)」そして「275501377000 (1937年製造)」が「前期型」にあたり、距離環のローレット (滑り止め) が2列の筐体衣装で、且つノンコーティングとの話です。

逆に言えば「後期型」が距離環のローレット (滑り止め) が3列に筐体衣装が変更され、且つ「426001427000 (1938年製造)」に「490001492000 (1939年製造)」の製造番号とも指摘できます。

ちなみに前玉にポツポツと幾つも白く写っているのは点キズではなく「気泡」です。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑ちなみに上の写真は光学系後群側の第4群ですが、ブルー色の矢印で指し示している箇所には経年劣化進行に伴うカビの侵食が視認でき、且つグリーン色の矢印で指し示すとおり、やはり薄いブル~シングルコーティング層の蒸着が確認できます。

↑鏡胴「前部」が完成したので、ここからは鏡胴「後部」の組み立て作業移りますが、鏡胴「後部」は純粋にヘリコイド群だけの集合体です(笑)

距離計連動ヘリコイドガイド環
直進キー環
基台
距離環ローレット (滑り止め)
マウント部
空転ヘリコイド
空転ヘリコイド封入締付環

までの構成パーツのうち、 空転ヘリコイド だけがアルミ合金材で作られており、他の黄銅材とは違います。さらにもっと言うならこのアルミ合金材「空転ヘリコイド」は「アルマイト仕上げ」です・・何故なのでしょうか???(笑)

距離計連動ヘリコイドガイド環 直進キー環 ですが「直進キー」と「ガイド」の関係性が分かる写真であるものの、ここで重要なのは全く別の内容です(笑)

↑上の写真は 直進キー環 を拡大撮影していますが垂直状に突出している「直進キー」の幅は両サイドで同一ながら、実はブルー色の矢印で囲った「直進キーの切り欠き/スリットの幅は
微妙に違う
」のを明示しています。

もっと言うなら「どうしては互いに反対の側にスリットを用意したのか???」がポイントです(笑)・・たいていの整備者がこれの説明ができません(笑)

例えば距離環を回して鏡筒の繰り出し/収納の動作で言うなら「回転方向に対して右回りなのか左回りなのかの違いで切り欠きのスリットは反対側に来るべき」なのに、どうして一方向の側に用意したのでしょうか???

・・これだと特定の回転方向に対して負荷が加わるのに、何故なのでしょうか???(笑)

↑光学系前後群を組み込んだ状態の鏡胴「前部」を後玉が上向きになるよう置いて撮影しています。このモデルの設計概念は特殊で、赤色矢印で指し示したとおり「光学系後群の外壁が
ヘリコイドオス側のネジ山
」と言う造りです。

実は、このような設計概念を採るオールドレンズが当方の知る限り1種類しかありません・・『謎のオールドレンズ・・Leica-Sonnar 5.8cm/f1.5 (L39)』です!(驚)

モデル銘からして「???」でしかありませんが(笑)、どうしてLeicaとSonnarが繋がっているのでしょうか???(笑)

まさにこのモデルの設計概念が「鏡胴を丸ごと繰り出し/収納する方式」である事を明示する写真ですが、一般的なオールドレンズの構造とは全く別モノです (凡そ光学メーカーの設計
概念に入らない構造をしている
)。

何故なら、誰が考えてもこの径が一番細くなる後玉の外周にヘリコイドオス側のネジ山を備えてしまったら、余計に繰り出し/収納の駆動時に「鏡胴前部の全重量分を、最も小径の箇所で保持させる必要が生ずる」からこそ、その駆動に係る「空転ヘリコイド」の材質を変更してきて、さらに「アルマイト仕上げ」と言う念の入れようなのです(汗)

なお、今回の個体は「直前に整備会社に整備に出されたものの解体不可で戻ってきた」との
ご依頼者様からのご案内だったので、もしかしたらグリーン色の矢印で指し示しているカニ目溝が、両サイド共に既に潰されているのかと焦ったのですが、まるでキレイに残っているではありませんか?!(笑)

・・するといったいどうして解体できなかったのでしょうか???(笑)

何と何と、プロのカメラ店様や修理専門会社様であるにもかかわらずバラせなかったのです。
・・「複写式整備明細書」をちゃんと用意しており、そこに丸印でどのような処置を講じたのかを明示するプロのカメラ店様や修理専門会社様です(笑)

しかも左写真のように、当初バラす前の実写確認は「アンダーインフどころの騒ぎではない全く合焦しないレベルの無限遠位置」でした。

左写真は当方のアパートの窓から撮影した無限遠位置の合焦風景を
撮っていますが、このモデルの光学設計からすると・・・・、
焦点距離50mm開放f値f1.5被写体距離68m許容
錯乱円径
0.026㎜

・・・・計算すると、はじき出される無限遠位置「前方被写界深度35m後方被写界深度
∞m被写界深度∞m」の為、ピント合わせしている距離は凡そ70m位置を狙って撮っています。

すると左の写真で手前の車の屋根辺りが35mなので、それ以降無限遠方向にピントが合っているように見えるのが正しい状況です(笑)・・手前の車の屋根ですらまるでピンボケなので、要は「ヘリコイドをテキト〜にネジ込んだだけで戻してきた」と言う所為が明白に至り、それでお金を請求して取っているとなれば「どんだけ悪徳代官なのか???」と現代版仕置人の
登場をお願いするしかありません(笑)

↑もう一つ今回の個体をバラ完全解体してバラして判明した「事実」があり、それを赤色矢印で指し示しています(笑)・・この長大な長さを持つ「メチャクチャ重い鏡胴前部丸ごと」を固定していたイモネジの締め付け痕がご覧のとおり「1箇所のままでキレイ」なのです(笑)

全くズレて締め付けられた痕跡が発見できず、これから分かる事実は「製産後一度も完全解体されたことがなかった個体」であり、せいぜい光学系前群格納筒だけ取り外して、光学系清掃したつもりだったのが「後玉のカニ目溝までキレイ」に残ったままなのが判明してしまった為に、モロバレ状態です(笑)

これでお金を取れるなら、当方もこの手法にシステムを変更して稼ぐだけ稼ぐですかね???
・・何とも楽な商売をしているのですねぇ〜、本当に羨ましいです。当方などはゴシゴシ、ゴシゴシ最低でも2〜3時間は磨きまくっていますから、ちょっと考えたくなりました(汗)

プロのカメラ店様や修理専門会社様、そして「匠たるプロの称号」或いは「職人」などなど、そういう看板と名声さえあれば何でも叶ってしまう世界なのですね・・いいなぁ〜、とってもとても羨ましいです!(涙)

この後は鏡胴「前部」のヘリコイドオス側を無限遠位置の辺りをつけた正しいポジションでネジ込んで、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑本当に美しいです!(涙)・・ここから冒頭の実写のような「微妙な光を総て取り込んでしまう写り」が残されるのかと思うと、マジッで涙が出てきそうです(涙)

↑光学系内は19378年製造の「後期型」とは信じられないくらいに「スカッとクリア」で或る意味むしろ「気泡」が目に入るほどですから、とんでもない状態を維持しています(涙)

↑光学系後群も何もありません (気泡はあります)(汗)

↑6枚の分厚い絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」したまま閉じていきます。絞り環の操作は全域で均質とは言い切れませんが、滑らかで許容範囲内です・・均質に至らない理由は冒頭の遊び/マチ/隙間に関し、ちゃんと平滑性を取り戻していなかったのが影響しています(涙)

特に2枚の絞り羽根の向きが影響を受けている時に絞り環操作時の抵抗/負荷/摩擦を指が感じます (その程度の話です)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」だけを使い、ヌメヌメっとしたシットリ感漂うトルク感に仕上げたつもりですが、一つだけ瑕疵内容が残っています。

↑上の写真は無限遠位置でカチンとハマるツマミ部を拡大撮影していますが、このツマミの部位が丸ごと上方向に変形しています (赤色矢印のように先端に行くに従い広がっている)。その影響からグリーン色の矢印で指し示した方向に「応力」が働き、内側で抵抗/負荷/摩擦が起きています。

ツマミの部位をぶつけてしまったのか、バラす際にムリに強いチカラを入れてしまったのか
???・・分かりませんが、何かのチカラが及んで変形したものの、真鍮製/ブラス製なので
相当なチカラが及んでいます(涙)

水平に戻したいところですが、相応に曲げて戻したものの、これ以上はポロッといきそうで
怖いので諦めました(涙)・・もしもご納得頂けなければ減額下さいませ(汗)

ちなみに当方がヤッてしまったのではなく、既にこのように変形していた為、当初からツマミの着脱も軽すぎの印象でした (極僅かにシッカリした着脱に変化しただけです)。

↑瑕疵内容は前述だけで、他は何も御座いません。無限遠位置は前回扱った時の個体の位置を参考にして微調整しピントが合うように仕上げています

・・当たり前の話ですが(笑)

なお、当初概算見積時点で「超高難度品」の為に予想ご請求金額が「39,000円」と言う上限額に到達していましたが、全てのオーバーホール/修理工程が終わりご請求金額を計算すると「54,000円」と言う途方もない作業をヤッていました(汗)・・自分でもウケましたが(笑)
規定のとおり「ご請求上限額39,000円」とし「▲15,000円」して御座います (送料分だけ別途プラスしています)。

以下の皆様に当然の権利として顕在する「減額システム」は、そのまま適用可能ですので宜しくお願い申し上げます(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f1.6」で撮影しています。このモデルは「大陸絞り方式」を採り入れた設計の為、設定絞り値も絞り羽根開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) も違います。

↑さらに回してf値「f2.2」で撮影しています。絞り羽根が一つ前の「f1.6」に比べてだいぶ
閉じます。

↑f値は「f3.2」に上がっています。オドロキなのは、ピント面たるラジコン式ミニカーの背景のお城の模型、左下の開口部の内部がちゃんと写っている点です (数多くのオールドレンズで
この開口部は真っ暗にしか写りません
)!(驚)・・しかも背景紙の模様までちゃんと視認できるレベルなので、これはまさに単に明るい開放f値だからと言う内容の話ではなくなっています!(驚) 何故ならコントラストも低下方向に変調していませんし、何よりもミニカーの屋根が白飛びしていません(汗)

・・もの凄いオールドレンズです!(驚)

↑f値「f4.5」です。微かにフレア気味なのは蒸着コーティング層がシングルコーティングだからです(笑)・・しかしそれでこれだけ耐え凌いでコントラストを確保しているのが、まさに
脅威です!(驚)

↑f値は「f6.3」に変わっています。さすがにだいぶ絞り羽根が閉じてきているので「回折現象」の影響が現れ始めていますが、それでも言われなければ分からないレベルだと思います (つまり許容範囲内と言う意味)・・本当に素晴らしい!(驚)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f9」での撮影です。今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。どうぞよろしくお願い申し上げます。