◎ Canon Camera Co. (キヤノン) CANON LENS 50mm/f1.4《Sレンズ:第1世代》(L39)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、国産は
Canon製標準レンズ・・・・、
CANON LENS 50mm/f1.4《Sレンズ:第1世代》(L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のCanon製標準レンズ域でライカ判スクリューマウント
規格品「50㎜/f1.4」だけで捉えると初めての扱いです。

つい先日オーバーホール/修理のほうのご依頼分でCANON LENS 50mm/f1.8《Sレンズ:第2世代》(L39)』の作業をしたところ、痛く気に入ってしまいさっそく明るいほうのモデルを調達していました (隠れてゴメンナサイ)(笑)

・・その意味で先日のご依頼者様、当方に気づきの機会を与えて頂き感謝しています

今回は第1世代と少々古い世代のほうのタイプになりますが、バラしてみると内部構造の設計概念は全く同一であり、実装光学系の設計者が「伊藤 宏」氏と同一であるものの、おそらくは製品設計者も同一人物ではないかと推察されるほどに同じ構造でした(汗)

もちろんオールドレンズである以上、何よりも重要なのは「光学設計でありその描写性能」なのは間違いありませんが、バラすの大好き人間たる当方にとって、その内部構造/設計にも興味関心が尽きず、如何に当時のキヤノン設計陣 (光学設計者と製品設計者などなど) が自身 (企業) 成長への気概と追求心を以て、徹底してその情熱に邁進していたのか絆されてしまったような感じです(笑)

まさに昭和の戦後ニッポンを支えてきた先達のまっしぐらな想いに畏敬の念すら覚え、皆が
一直線に同じ方向を見ていたが如く、あの時代はきっと良かったのだなぁ~と思い馳せる気持ちで御座います(涙)

今のニッポン「右へ倣え!」ではありませんが(笑)、そのくらいの勢いと言うか、気概と言うべきか、国民みんなが或る一つの方向を向くのを厭わないほどの「何か」を、すっかり見失っているように思えてなりません (もちろん良心的に捉えられる内容としてのお話ですが)(涙)

3人居る子供達には「少しは昭和を見習ってほしい、忘れないでほしい」と機会あるごとに話しますが、きっとまた始まったと言わんばかりに聞いているのでしょう(笑)

  ●               

↑上の図はキヤノンのカメラミュージアムからの引用ですが、当方により構成図など手を加えています。

上の光学系構成図は、今回のオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図なので、まさに実装しているその実態を正確に表しています (ネット上に多く掲載されている構成図を引用しての、そのままのトレースとは別モノです)。

その『証拠』はまた後で写真掲載しますが(笑)、例えば上の構成図で光学系第4群の後玉をみたとき「両凸レンズ」であるものの、後玉の露出面側の曲がり率は「ほぼ平坦に近い程に緩い曲がり率」であり、ネット上掲載構成図の曲がり率とは (実際に同じようにトレースしてみると) 違っていました(汗) それはそのまま同じことが第1群前玉裏面側にも当てはまり、ネット上に掲載されている構成図ほどキツメの曲がり率ではありませんでした (やはりほぼ平坦に見えるくらいで、その曲がり率/凹み度合いは▲1.17㎜といった計測値だったりします)(笑) からまさに上の構成図のカタチに仕上がった次第です(汗)

巷では、日本国内のみならず、海外でさえ「和製ズミクロン」或いは「貧者ズミクロン」との評価を恣にしているらしく(笑)、実際ネット上で確認できる写真をみていくと、まるで息を呑むリアル感と共に「空気が写っている」と、その臨場感の凄まじさに圧倒される印象です(驚)

ライカ製オールドレンズで空気が写るのは、或る意味至極当然な話ですが(笑)、まさかキャノンSレンズもそうなのかと、改めて感動した次第です(汗)

するとその実態を探りたくなるのが人情であって(笑)、勢い余ってバラして光学系を取り出してみたものの「へ? 普通の4群6枚???」とそのカタチのあまりにもありきたりな印象に、肩透かしを食らったような感じでした(笑)

何か特別なカタチや発見があると勝手に期待するからイケナイのであって(笑)、設計している本人にしてみれば、マジッで貴重な自分の人生の時間を賭して造り上げていたワケで、或る意味「真っ当な発展系としての、あくまでも正統ダブルガウス型光学系」と言う結末に、却って恐れ入ってしまい平伏す思いだったりしました(汗)

こういう真面目さ、勤勉さと言うものは、古来ニッポン人が古に受け継ぐ資質であり、確かに設計者「伊藤 宏」氏はキヤノン入社時こそ、敗戦時のドイツは「Ludwig Jakob Bertele
(ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ)」氏の剥奪特許権 (占領統治国たる連合国による戦時賠償の一環として、戦前にまで遡り凡そ70%の特許権が剥奪されたことを指す) などを参照し、その設計技術を参考にしていったのではないかと、勝手に妄想したりしますが (wikiの情報を鵜呑みにすればそんな処)、はたして本当にベルテレの発案を参照していたのでしょうか???

そんな純な疑念が湧いてしまったから堪りません(汗)・・さっそく今回扱うモデルの特許出願申請書を漁りまくりますが、肝心な該当する発明が特許出願されていません!(汗)

↑上に挙げた特許出願申請書は全て発案者が「伊藤 宏」氏であり、当然ながらキヤノンに帰属しているモノばかりです (決して個人ではない)。純然たる光学系の発明に関して検索にヒットしたのはこれだけで、他は例えば「4群6枚4群7枚ゾナー型」だったり「5群7枚の拡張ダブルガウス型」だったりと、今回扱ったモデルの実装光学系「4群6枚ダブルガウス型」とは別モノなのです(汗)

以降、伊東氏は別部署に転属になり、純粋な光学設計の特許出願申請書が現れません・・(涙)

US2645975 (1950-07-14)』米国特許庁宛出願

US2681594 (1950-11-07)』米国特許庁宛出願

DE1018235 (1955-01-03)』ドイツ特許省宛出願

DE1102434 (1955-01-03)』ドイツ特許省宛出願

いずれも4群6枚ダブルガウス型光学系として発案した特許出願申請書のヒットを掲示しています。

ところがこれら4つの特許出願申請書内の記述を読んでいった時、実はは「4群6枚ダブルガウス型光学系」の発明は多くの焦点距離と開放f値の発明に即して使える旨の実施案件たる特許として出願しただけで、特定の実施案件ではないことを明記していました(驚)

さらにも同様、基本成分に「既知の・・・」f1.4と言う明るい開放f値を持つ4群6枚ダブルガウス型を配置する (掲載図面のFig.1のほう) ことで、望遠レンズの画質向上を十分狙えるとの発想に基づく実施案件であり、やはり特定の案件ではないことを記しています(汗)

つまり特許出願申請書に掲載する図面の中に載せている光学系構成図は、いずれも特定案件の発明を示さず「あくまでも一つの例」だと言うのです(汗)

ここで一つカチンと気になったのは・・既知の・・・」f1.4と言う明るい開放f値を持つ4群
6枚ダブルガウス型
を配置する・・との下りで(笑)、実は「既知」と明記しながら、その前に該当する特許出願申請書が存在しないのです!(驚)

何故なら、も共にその記述を読むと「開放f値f1.8」を対象に実施案件として発明していると記してあるからです(汗)

・・はたして、f1.4モデルの発明案件はどうしたのでしょうか???(汗)

すると確かにの時点で既に「f1.4」を発明済みと言いたげですが、もしかしたらキヤノン社内での話ではないのかも知れません(汗)

そこで今度は特にの特許出願申請書について、その発明に際し参照している特許出願案件を探ってみました。

US1786916A (1927-09-27)』米国特許庁
→ Willy Walter Merte (ヴィリー・ヴァルター・メルティ) 4群6枚ダブルガウス型

US2117252 (1935-12-18)』米国特許庁宛出願
→ Horace William Lee (ホレス・ウィリアム・リー) 4群6枚オピック

US2391209A (1941-07-14)』米国特許庁宛出願
→ Arthur Warmisham (アーサー・ウォーミィシャム) 4群6ダブルガウス

US2455808A (1944-06-30)』米国特許庁宛出願
→ Max Reiss (マックス・リース) 4群6ダブルガウス

・・何と、キヤノン社内の発明案件は一つも出てきませんでした(汗) いずれも古い時代の案件ばかりで、しかもいわゆる必ず皆が参照する関門の案件ばかりだったりします(汗) この中でせいぜい開放f値が明るくても「f1.57」の計算値を執っているだけの話で、具体的な発明として明示しているモノはついに発見できませんでした(涙)

・・謎の「f1.4」特許出願申請書!

↑今度はネット上で騒がれている「第1世代の発売時期1957年は本当なのか???」についても、当時の取扱説明書に示されているオプション交換レンズ群一覧でチェックしてみました(汗)

先ずは左端の「CANON VL/VL2 (1958年3月発売)」取扱説明書に印刷されている、オプション交換レンズ群一覧をチェックすると「50mm/f1.8 II」と第2世代が載っているのに「f1.4」がありません(汗)

次に2つめは「CANON VI T/VI L (1958年9月発売)」取扱説明書にも「f1.4」はありません。3つめ「CANON P (1959年3月発売)」も同じです。ネット上では一部の取扱説明書に掲載があると言いますが、分かりません。

最後右端の「CANON 7 (1961年9月発売)」でようやく「f1.4」の掲載を発見しますが、残念ながら「重量246g」なので、ここに載せられているのは「第2世代のほうのタイプ」です。

・・消されてしまった「f1.4」第1世代の特許出願申請書は何処???(涙)

もしもご存知の方が居ましたら、是非ご教授下さいませ(涙)・・消化不良状態です(汗)

キヤノンミュージアムで「1957年発売」と告知しているですから、間違いなくそうなのでしょうが、どうして当時のフィルムカメラ取扱説明書に掲載されないのか、確かに僅か1年で「第2世代」へとチェンジしたものの、間違いなく「製造番号1000029390」まで出荷されているようですし、第2世代に至っては「製造番号:29681120705」らしいので、第1世代で2万本近く出荷していたのなら、少なくとも量産したと言えるのではないかと考えますが、どうなのでしょぅか??? (こちらのページを参照しました)(汗)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCANON LENS 50mm/f1.8《Sレンズ:第2世代》(L39)』のページをご参照下さいませ。内部構造や使っている各構成パーツは一部を除きほぼ同じです (もちん光学系は別モノです)。

↑ショック極まりないですが、赤色矢印で指し示している箇所に使われている「固着剤」は、何とエポキシ系瞬間接着剤でした(驚) 加熱しようが何しようが回らず、チカラ任せでようやく回ったものの、取り出してみればこのように白く固まっている次第で、マイナスドライバを使ってガシガシと削り落とした次第です (溶剤で溶けないし瞬間接着剤剥がしを使うとメッキまで剥がれるから)(涙)

至る箇所の締め付け固定にエポキシ系瞬間接着剤を使っており、こういう「自分だけ良ければいい」と言う整備姿勢って、本当にどうなのでしょうか???

・・腹が立って仕方がありません!(怒)

ちなみにエポキシ系瞬間接着剤は垂直方向には接着力を発揮しますが、せん断性には弱い特性があるので、それを利用します(汗) 以前鹿島建設の橋梁に掛かる接着に顧問として関わる先生に話を聞いた時、接着対象物の素材とその成分/配合に着目する必要があると教えて頂き、例として樹脂製のお箸を目の前で折ってしまい(驚)、熱いお湯 (決して熱湯ではない) に浸しながら接着させて仕上がったら、何と何と普通にお箸として使えてしまったと言う「なんちゃって実験」を試して頂きました(驚)・・しかもそのお箸は「折れる前の強度と比較して、計算上3倍に上がる」らしく、確かに今度は同じように折ろうとしても全く歯が立ちませんでした(汗)

その意味で、このようにオールドレンズの締付環にエポキシ系などの瞬間接着剤を使うのは、全く以て理に適っていません!(怒)

何故なら、日本には「四季」があり、国土内が十分に湿潤な気候帯なので、その季節差による温度変化・・ひいては「気圧変化」に対処すべく、実は「光学硝子レンズ締付環は本来ズレてナンボのもん」と言っても過言ではないほど「光学系内の気圧変化に対処しなければ、光学硝子レンズはいとも簡単にコバ端、或いは硝子中心部から破壊が進む」懸念が高くなります(怖)

もちろん光学系内は、たかが締付環で締め付け固定したところで決して「密閉状態」には至らず、もっと言うなら平気でカビ菌糸すら自在に行き来し浮遊しまくっている始末です(笑)

するとではどうして「気圧差」が生ずるのかと言えば、それは「金属材がイケナイ」ワケで(笑)、黄銅材やアルミ合金材が多用されている分、気温の変化や直射日光などの影響で「熱膨張/収縮」を繰り返すから、その中に締め付け固定されている光学硝子レンズにしてみれば、堪ったものではありません!(怖)

例えば「M42マウント規格」のオールドレンズに後キャップをきっちりネジ込んだまま、距離環操作すると「途端に重いトルクに変わるモデルがある」ワケですが(笑)、これは後キャップで塞がれているが故に、距離環を回して鏡筒の繰り出し/収納の際に「空気の移動に抵抗/負荷が増える」からこそ、トルクが重く変わります(笑)

この時でさえ、光学家硝子レンズは影響を受けまくっているワケで、本当に怖いったらありゃしません(怖)

光学硝子レンズ自体は気温変化による「熱膨張/収縮」をほとんどしませんが、その周りの金属材がするからイケナイのです(涙) するとその外圧で破壊するよりも先に極僅かな気圧差の影響を受けて、まず先に蒸着コーティング層の非常に微細なクラックから破壊が始まり、その中の一部が極度に進行すると、そこから破壊がアッと言う間に (瞬時に) 進む原理らしいです。

例えば「コバ端欠け/欠損/割れ」と言う事象を頻繁に目撃しますが、その時の割れ方には大きく2種類あり「貝殻状に幾重にも層を跨いで割れていく/欠けていく」場合と(涙)「ガツンと任意の場所から直線的に (三角形状に) 欠ける場合」があります(怖)

この時の「貝殻状」が蒸着コーティング層のクラックから始まった、長い時間を経ての「経年劣化進行」を意味し、或る意味実装光学硝子レンズの成分/配合から捉えた『製品寿命』とも認識できます(涙)

一方同じコバ端でも直線的に「三角状」に欠けていた時、それはまさに格納筒の金属材による「熱膨張/収縮の繰り返し」から影響を受けた、まさに「破壊」と指摘できそうです(怖)

従ってこれらを防御する意味合いで「例えば富岡光学などは粘性を持つ (朱色の) 固着剤を敢えてワザと故意に使っていた」ほどで、決して硬化しないのです (今でも粘性を持っている)(驚)

そこから見えてきた妄想は「決して締付環は固着剤でガッチガチに固めるだけが脳ではない」と言う、まさに『製品寿命』を見据えたサービスレベルの必要性すら思い至る次第ですから、皆様も是非今一度熟考頂ければ、また1本延命できる個体が増えるやも知れません・・(涙)

↑当初バラしている途中の写真ですが、取り出した鏡筒を下向きに於いて撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所は「絞りユニット」なのに、ウレアグリースが塗られています(涙)・・本来絞り羽根への油染みは天敵なので、このようにグリースを塗布するなど以ての外です。

例えば「ロシアンレンズ」の絞りユニットがグリースでグチョグチョなのは、全く別の意味があり、国土内に氷点下40℃以下の極寒地が多い為、金属凍結を防ぐ目的からワザと故意にグリースを (製産時点からして) 塗布しています。

そのような目的とはまるで違う理由なのが上の写真であり、それはこの後に「証拠」が出てきます(涙)

ちなみに絞り環が被さる位置にもウレアグリースが塗られています (グリーン色の矢印)。

↑同様バラしている途中の撮影です。取り出した光学系前群格納筒をヒックリ返して、前玉を下に向けて撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所には、前述と同じエポキシ系瞬間接着剤が塗られており、完璧に固定してありました(涙)

またグリーン色の矢印で指し示している箇所に挟まっているのは、前回の「50mm/f1.8」モデルにも使われていた金属製の被せ環/リング/輪っかですが、どうしてこのように締付環の内側に「光学ガラス材との間に挟む/被せる必要があるのか」不明です(汗)

↑エポキシ系瞬間接着剤を破壊して締付環を外すとこんな感じです(涙)・・同様赤色矢印はエポキシ系瞬間接着剤です。

このようにエポキシ系瞬間接着剤で接着するくらいなので「どんだけ光路長確保に自信があるのか???」と思いますが、実は全く以て光路長を逸脱する所為が成されていのです(涙)

・・酷いモノです(涙)

なおグリーン色の矢印で指し示している箇所箇所に前述の黄銅製被せ環/リング/輪っかがハマっていました。

この被せ環は前回の「50mm/f1.8」モデルにも使っていた為、その仕様100%同一なのでキヤノンの設計として用意されているモノと十分に推測できますが、その必要性について「???」なのです(汗)

・・どうしてこの第2群だけに必要なのかが掴めません (他の群には無し)(汗)

↑上の写真は光学硝子レンズを取り外して露わになった「光学系前群格納筒」の内側であり、グリーン色の矢印で指し示している箇所には「反射防止黒色塗料」が結構厚塗されています(汗) 「反射防止黒色塗料」ながら、既に経年劣化進行に伴い変色していて「黒色と言うよりも濃いグレーに見える」のが正直な印象です(汗)

↑溶剤で一生懸命剥がしている途中の撮影です(涙) おそらくちゃんとプライマーを下地塗りして着色しているようで、執拗に固着しています。赤色矢印で指し示している箇所を観ると分かりますが、この「反射防止黒色塗料」の下から現れたのは「鏡筒と同じ濃い紫色のメッキ加工」であり、どうしてこの製産時点を示すメッキ加工ではイケナイのでしょうか???

しかも下の赤色矢印が指し示している箇所は「裏側」であり、そこまで着色している為「塗膜の厚み分だけ、光学系第2群の格納位置がズレている」のは100%間違いありません(汗)

いったいこのどこに光路長を担保しつつ、エポキシ系瞬間接着剤で固める意義があるのでしょうか???・・意味が分かりません!(怒)

↑前回の「50mm/f1.8」モデルに続き、今回も出てきました!(驚) 絞りユニット内部の構成パーツの一つ「位置決め環」で、その側面に「イモネジ用の下穴」が製産時点に切削して用意してあるものの、そこを「固着剤」で固めています (赤色矢印)(汗)

またグリーン色の矢印で指し示している箇所は「開閉環の回転に伴い削れてしまった箇所」です(涙)

↑こちらもバラしている途中の写真ですが、鏡筒です。内側奥まった位置、イモネジ用の下穴が来る箇所に「固着剤」が相応の厚みを伴って残っています (赤色矢印)。

↑こちらは取り出した光学系第2群の2枚貼り合わせレンズです。コバ端に結構な数でコバ端着色の浮きを確認できます。

↑その子場たん着色を、やはり溶剤を使い溶かしつつ剥がしているところです。ご覧のように「2種類の反射防止黒色塗料で着色されている」のが判明し、且つ相応に厚みがあります。仕方ないので「水性溶剤と油性溶剤の両方を使い」剥がしているところです(汗)

↑こちらは既に完全解体が終わり、当方の手による『磨き研磨』が終わって組立工程に入っているところです。赤色矢印で指し示している箇所の2箇所にこの「位置決め環」が締め付け固定される際に使う「イモネジの締め付け痕」が確認でき、複数痕跡が残っていたりしないので、過去メンテナンス時にここまでバラしていないか分かりませんが、製産時点を維持しているのが判明します (ありがたいです)(涙)

またグリーン色の矢印で指し示している箇所は前述のとおり「開閉環が絞り環操作時に回って削れてしまった箇所」ですが、実は絞り環そのモノや、絞り環との連結自体が一切関係なく「そもそもこの位置決め環の固定手法が悪かった」ことを明示する「証拠」としてブルー色の矢印で指し示している箇所の削れが残っています。

つまり、もしも絞り環との連携時に削れていたのなら「絞り環側も疑う必要がある」ものの、このブルー色の矢印 (削れ) の存在で話は変わり、グリーン色の矢印のように削れてしまった問題は、この「位置決め環だけで完結している問題」と判明します。

するとこの「位置決め環」を締め付け固定している唯一のモノと言えば「イモネジ」であり、左写真のようなネジ種です。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種で
ネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。

大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。

・・何を言いたいのか???

すると先日の「50mm/f1.8」モデル同様、同じ箇所に、同じ手法で「固着剤」を使っていることから、個体が違い、しかもその世代が異なるのに手法が同一となれば、もしかしたら過去メンテナンス時の整備者の仕業ではなく「製産時点から固着剤で固められていた」とも考えられます。

つまりキヤノンの製品設計として、このように「固着剤」で固める前提で設計していたのかも知れません(汗)

するとまだ2つの個体しかバラしていませんが、同じように「位置決め環の一部が削れて絞り環操作が以上に重くなっている」因果は、下手すれば設計ミスかも知れません(汗)

円形パーツに対して、1箇所だけ下穴を用意しイモネジ締め付け固定するなら、その時締め付けるチカラは硬締めできません(汗)

逆に言うなら、硬締めしないが為に下穴をわざわざ用意しているのです。その結果、硬締めできないが故に「固着剤」で追加的に、補強的に固める必要性があったのかも知れません。

ところがこのアルミ合金材の応力反応分で経年の中で削れていったのは間違いなく、しかもその痕跡が「グリーン色の矢印で指し示している箇所開口部を超えて、その両脇のブルー色の矢印まで達している」となれば、絞り環の設計も、経年の中での所有者による絞り環操作も、一切関係なくなります。

総てはブルー色の矢印で指し示している箇所の削れが「設計ミスの可能性を大きくしている」かのように、今回初めて受け取りました(涙)

・・それほどイモネジの締め付け固定が独特なのです(汗)

通常は「円形パーツに対しては均等配置で3方向からイモネジ締め付け固定する」のが定石であり、多くの光学メーカーのオールドレンズがその手法を採っているからです。

↑当方による『磨き研磨』が終わった状態で、問題の絞りユニットをセットして、完成した鏡筒を立てて撮影しました (写真上方向が前玉側方向)。

赤色矢印で指し示している箇所がご覧のように階段状なので、ここに絞り環が被さっても (グリースを塗っても) 接触せず意味がないのが分かると思います。しかもこの鏡筒は「内外全てが微細な凹凸を伴うマットな梨地アルマイトメッキ加工」です (つまりグリースを塗る想定ではない)。

↑こちらは絞り環の内側を拡大撮影しています。同様赤色矢印で指し示している箇所は窪んでいるので/凹んでいるので、ここにグリースを塗っても意味がないのにバラした直後は過去メンテナンス時に塗布したウレアグリースがまるでそのまま残っていました(笑)・・同様、絞り環も内外ともに微細な凹凸を伴うマットな梨地アルマイトメッキ加工です。

・・何を言いたいのか???

つまり今回のオーバーホール工程では、この鏡筒外壁と絞り環との組み込みに際し「グリースを一切塗っていない」組み立てをしています(笑)・・その根拠は今まで解説してきたカタチとメッキ加工の問題であり、グリースを塗る前提ではないからです(笑)

実際組み上がった絞り環操作は、非常に軽い操作性に戻り、板バネによるクリック感も心地良く変わっています(笑)

↑上の写真はヘリコイド群を組み立てている途中の撮影ですが「空転ヘリコイド」が入る場所 (空転ヘリコイドが接触する箇所) を赤色矢印で指し示しています。

↑ところがその一部にご覧のようにマーキングが施されています・・「ス 227」と読めます・・はたして平滑性が求められる箇所たる「空転ヘリコイドの封入部の内部」に、どうしてこういうマーキングが必要なのでしょうか???(怒)

↑上の写真はヘリコイド群の「空転ヘリコイド」を封入したところを撮っています。するとこの「空転ヘリコイド自体にもス227のマーキングが刻んである」ワケで、いったいどうしてここまでマーキングにこだわる必要があるのでしょうか (赤色矢印)???

カタカナなので日本人の仕業だと分かりますし、そもそも「」の書き方が、ニッポン人の筆順と書き方なので間違いありません。外国人なら「7の縦線に横棒が1本入る」のが一般的だったりします(汗)

↑ようやく出てきました(笑) 冒頭の当方がトレースした光学系構成図がウソではない『証拠写真』です(笑) 光学系前群を赤色文字で表記し、光学系後群をブルー色文字にしています。またグリーン色の矢印の向きは、前玉の露出面の方向を意味します (光学系後群は絞りユニットを挟んで反転する為、矢印の向きが逆になる)。

↑同様、今度はヒックリ返して裏側を撮っています。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。確かにこの調達した個体も光学系の状態が良く、クモリも無くキズも無くスカッとクリアで素晴らしいです。

正直なところ、前述してきた「絞りユニット内位置決め環の固定手法 (赤色矢印)」と、その結果起きている「経年の削れ (グリーン色の矢印ブルー色の矢印の両方)」に呆気にとられている次第で、ちょっと今後の扱いを考え直しているところです(涙)

おそらく市場流通の多くの個体で「絞り環操作が重い」現象が起きていて、その因果が同じではないかと容易に考えられるからです(汗)・・もしも本当に同じなら、まさしく「設計ミス」しかあり得ません(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も前群同様スカッとクリアで、極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:7点
後群内:17点、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に点状の微細カビ除去痕数点あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大4mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
光学系前群内コバ端に僅かな浮きがあります。撮影した写真に影響は現れません。
(覗き込むとポツポツと白い点状が視認できます)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑9枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正九角形を維持」しながら閉じていきます (途中カタチが変わります)。

絞り環操作時の操作性は「一般的な普通の硬さ」でしっかりした操作性に戻り、そのクリック感も小気味良く確実です (決して軽すぎす硬すぎす)。いわゆる「重い操作性」ではなくなり改善済です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・絞り羽根が閉じる際完璧に正九角形を維持しながら閉じていきます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「実用品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
マウント面の一部に目立つ傷が残っています (オールドレンズ着脱に支障なし)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・後キャップを装着したまま距離環操作すると非常に重いトルクに変わるのでご注意下さい。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-1Bフィルター (新品)
本体『CANON LENS 50mm/f1.4《Sレンズ:第1世代》(L39)』
純正金属製ネジ込み式L39後キャップ (中古品)
純正樹脂製被せ式前キャップ (中古品)
 クリーニング用ファイバークロス (新品)

↑当方所有RICOH製GXRにLMマウント規格のA12レンズユニットを装着し、ライブビューで無限遠位置の確認等行い、微調整の上仕上げています。その際使っているのは「Rayqual製変換リング (赤色矢印)」です。無限遠位置は「∞」刻印ピタリの位置でセットしています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f1.4被写体までの距離69m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度34m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、40m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の70m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

なお上の写真に写っているRICOH製GXRとA12レンズユニット、さらにRayqual製変換リングは、今回のオーバーホール済みヤフオク!出品には付属しません (当方の所有物であり、無限遠位置の調整時に使っていることを示す撮影だけの意味合いです)。

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。ピント面の解像感の引き締まり方が半端なく、突然キリキリっと立ち上がる印象です(驚)

↑さらに回してf値「f2.8」で撮影しています。

↑f値は「f4」に上がりました。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑f値「f16」になりました。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきているので「回折現象」の影響が極々僅かに現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。