〓 MINOLTA (ミノルタ) MC ROKKOR-PG 58mm/f1.2《前期型−II》(SR/MD)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
MINOLTA製標準レンズ・・・・、
MC ROKKOR-PG 58mm/f1.2《前期型−II》(SR/MD)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のMINOLTA製標準レンズ「58㎜/F1.2」の括りだけで捉えると17本目にあたりますが、今回扱った「前期型」だけに絞ってカウントすると僅か9本目です。

市場にはいくらでも常時流通しており特に珍しいモデルでもありませんが、その描写性は独特な特徴があり「とても優しいホケ味を伴って、トロットロに溶けた背景ボケを残す」他、さらに例えば撮影時に設定絞り値「F2.8」で撮影しただけでも十分に鋭いピント面を構成する為
特に当方宛オーバーホール/修理をご依頼頂く、現役のプロの写真家様からも、このモデルは
ポートレート撮影に外せないオールドレンズの一つ・・とご評価をお聞きしています (もちろん今ドキのデジタルなレンズを主体的に使っている中でのご評価です)。

←その「トロットロボケ」を実現している要素として、ネット上の
解説サイトなどを読むと、当時のMINOLTAが採用していた「アクロ
マチックコーティング (AC)」の話が必ず出てきますが(笑)、然し当時
MINOLTAのカタログでは「アクロマチックコーティング (AC)」層蒸着の目的は「紫外線をカットし理想的なホワイトに近づけ、どのような条件下でもより自然な色合いを忠実に再現させる技術」と記されています (1974年当時のMINOLTAレンズカタログより引用)。

話が少々反れますが「グリーン色の光彩が流行った時期が顕在した根拠」について当方の考えを解説していきます。

時は1811年1817年まで遡ります(汗) 後のドイツ人物理学者/光学レンズ製造技術者たる「Joseph Ritter von Fraunhofer
(ヨーゼフ・リッター・フォン=フラウンホーファー)
」氏が、スイス人のピエール=ルイス・ギナンに師事して光学ガラスレンズ製造を学び、1811年に「フリントガラス製造術」を発見しました。

後に英国製クラウンガラスの不規則な屈折を抑えたより優れたクラウンガラスの製造に至り、1814年までに世界で初めて「分光器を発明」し太陽光スペクトルの分光に570を超える暗線の存在を確認した「フラウンホーファー線」発見者でもあります (右図はその記念切手)。現在では数万のフラウンホーファー線 (暗線) が確認できています。

後の1817年に、このスペクトル内の暗線を活用する事で、光学ガラスレンズの屈折率を
調べる術
を世界で初めて発案した
功績は、光学ガラスレンズ史上特記すべき功績とも考えられています。

さらに天体望遠鏡に使う対物レンズに於いて、凸凹による色消し効果も含めたアクロマートなダブレット (daublet/貼り合わせる事) 開発もエディンバラ市天文台のトランジット望遠鏡用に供給されたものとも考えられており、当時の天体望遠鏡の主流を成す対物レンズの一つだったとも受け取られています。自ら精製して均質性の高い屈折率を追求したクラウンガラスとフリントガラスを使った「フラウンホーファー型光学系」もこれに含まれます。
(下の図の入射光線は波長の相違を示す為にワザと故意にズラして描いています)

逆に言えば、光学硝子材に対する屈折率の追求以前に硝子材の均質性の担保が光学系の設計面で最重要課題だった時代」とも言い替えられます・・これをクリアして初めて「光学硝子材の成分と配合に対する波長の相違を基にした屈折率追求が適う」ワケです。

従ってフラウンホーファーの光学史に於ける功績が讃えられるべきとの解説が現代のネット上にはあまりにも少なすぎると嘆かわしく感じ、このような考察は「自分自身のオールドレンズに対する臨み方とも相容れる話」とも言え、そもそも観る/捉えるべき角度からして『違う』事の表れでもあり、とても共感を覚えている次第です(涙)

するとここにヒントが隠されており、上の切手は「フラウンホーファー線」を示していますが
そもそも太陽光の光は白色に見えるワケで、それは「光の三原色」原理に従います。

例を挙げるなら今ドキのデジタルな光の世界では「 ()」を「光の三原色」と捉え、総天然色を表現しています。そしてそれら3つの基本色を混ぜ合わせて得られる混色は、右のとおり「ホワイト (白色)」に必ず到達します (中心部分)。

この時、光は「波長」なので、前述のスペクトルに於いて「長い波長の赤色の領域」に対し、その対極に位置する「短い波長の青色領域」に必ず分光します (可視光領域での話)。

するとその中間層に位置するのが「緑色の領域」で両側に「水色黄色の領域に囲まれる」のが原理です。

つまり「グリーン色の光彩を放つコーティング層を蒸着させる事で中間層たる光の領域自然な発色性の追求」を狙えるとした概念が、一時期流行ったのではないかとみています (植物のグリーンを指す話ではありません/スペクトルの分光に於けるグリーン領域を指します)。

逆に言うなら「赤色の領域青色の領域も互いに対極に位置する波長」なので、それらを追求すると「解像度の向上を狙えるものの発色性の忠実な再現性にはむしろ遠のく」事から「敢えてこだわりを以てグリーン色のコーティング層を蒸着して補強する狙い」とみています(涙)

MINOLTAの「アクロマチックコーティング (AC)」で言う処の「緑のロッコール」も、まさに当時のカタログ記載通り「より自然な色再現性の追求」と明記してあり、他にも光学メーカー各社で一時期まるで伝染病の如く流行りました(笑)

もっと言うなら、例えばオールドレンズでも「既に色ズレが起きている個体」だったりした時(汗)、撮影した写真のピント面は「エッジに青色紫色の影が纏わりつく色ズレが起きる」のを指して「ブルーフリンジ/パープルフリンジ」等と呼称します・・この時、どうしてグリーンフリンジが現れないのでしょうか??? 波長の相違なので、任意の箇所にパープルブルーも同時に表出するフリンジ現象は原理的に有り得ないので、どちらか一方が表出するものの、グリーンの帯域は視認てきていないだけです (帯域が中間域なので、可視光両端域の波長の
ほうが目立つから
)(笑)

そしてさらに一歩進み、近年の4K/8KなどHD画像には「 ()」とイエローの帯域を追加しています・・これは画の明るさ「輝度の向上」が狙いですが、パッと思いつくのは「ホワイトを使う」と考えるでしょう(笑) 然し前述のとおりホワイトは「光の三原色」で言う処の混色領域にあたり「光の彩度」が最も低い状況を指します・・逆に彩度が上がると各色の濃さがどんどん濃くなっていき上の右図に至ります。

この時「色の三原色」と捉えると、これは「光の側から捉えずに物体の色から捉える手法」とした時、使う色合いは「そして (シアン/マゼンタ/イエローそしてブラック)」になり
3つの色の混色たる中心部分は「黒色」です (光ではないのでホワイトにならない)。

だからこそ物体の色合いを明示する「印刷業界やプリンタのインク」で使う色合いの呼称が、
まさに前述「」なのです(笑)・・どうしても検証したければ、絵の具を混ぜてグリ
グリすれば良いです (最後は黒色になる)(笑)

ここで「観察と考察」が得意な人は既にパッと閃いているハズです(笑)・・そうですね「コントラストの低下で白っぽい写りに至る」のは光を相手にしているからで、且つ「各色の透過が適わずに彩度が低下しすぎている状況だから」と、まさに光学系内を透過していく時の光の状況をその原理で説明してしまっています(笑)

するとここでこの話の最後になりますが「何故、グリーン色の光彩は流行らずに廃れてしまったのか???」が見えてきます。皆さんが自然な発色性を普段当然の如く自分の瞳で見ているので「写真の発色性の忠実さよりも、むしろ解像度の向上のほうに反応してしまったから」とも指摘でき(汗)、光学設計者の企図とは裏腹に、市場の反応は「パープルアンバーブルー
マルチコーティング層蒸着
」に靡いてしまったからなのです (結果グリーンは廃れていった)(涙)

当時は、如何にもニッポン人らしい市場反応が現れた結果だったのでしょうが(笑)、詰まる処「解像度の追求こそが正義」として受け取られてしまったのだと考えています(涙)

・・では、なにゆえに今このタイミングでグリーンの光彩を囃し立てるのか???(笑)

答えはこうです・・写真や画の解像度向上を本当に欲するなら「今ドキなデジタルなレンズのままに落ち着いていたハズ」なのに、どう間違えたのか「オールドレンズ沼にドップリ浸かってしまい、もうすぐ口まで塞がりそう!」(怖) と言う状況なのは、その想いの真意は「決して解像度に非ず、それこそ喜び勇んでザイデルの5収差に一喜一憂している様」なのでは・・
ありませんかね???(笑)

だからこそ、中間域に位置するグリーン色の帯域を確保するのは、むしろ発色性に於ける収差の影響までも、より明確に認知できるからであり、皆さんが
注目する理由こそが・・そこに在るのです!!!(涙)

・・忘却の彼方に葬られたオールドレンズを、今ここに! 本当に楽しいですねぇ〜!(涙)

↑上の写真は、今回扱った「58㎜/F1.2」だけの括りで捉えた時に登場した、モデルバリ
エーションを並べています。

左端から順に「前期型−I (左)」次に「前期型−II (中)」最後「後期型 (右)」です。この後は焦点距離が「50㎜/F1.2」と変遷したので、バリエーションは収束しています。

↑実装している光学系構成図を示すと上の構成図になり、同様「前期型-I前期型−II (左)」と「後期型 (右)」です。「後期型」に於いて、製品としての仕様諸元値は変わっていませんが
光学系は再設計されているのを、以前扱った際にデジタルノギスを使い当方の手で計測して
確認しています。

↑上の写真は、今回の扱いで「完全解体」の後に取り出した光学系各群の中から、第1群前玉をピックアップして、その裏面側を撮影しています。

《オーバーホール/修理ご依頼内容》
距離環を回すトルクが重く、シャッターチャンスを逃すことが多い。
絞り羽根に僅かな油染みが生じている。
光学系内に薄いクモリが生じている他、カビの発生と疑われる箇所もある。
筐体外装が経年で汚れが酷く、キモイ
(気持ち悪い)

・・とのことです。

当方にとり、特に当時のMINOLTA製オールドレンズを扱う時「ホラ〜映画並みに恐ろしい/
怖い/恐怖
」なのが(笑)、実は冒頭で解説した「アクロマチックコーティング (AC)」層たる
『緑のロッコール』たる所以です(怖)

上の写真のように眩いほどに大変美しく光彩を放つ「アクロマチックコーティング (AC)」層は、確かに「グリーン色の光彩を放つ蒸着コーティング層」であることがご理解頂けると思います(怖)

今回の扱いモデルは「前期型−II」としてもMCタイプなのでマルチコーティングが蒸着してある製品です。従って、当時のMINOLTAにはさらに遡って「AUTO ROKKORシリーズ」のオールドレンズ製品を送り出していた時期があり、真に述べるなら「AUTO ROKKORシリーズ」のモデルのほうが早い時期に登場しており『さらに濃い緑の光彩を放つロッコールレンズ』だったことを明言しておきます(汗)

つまり当初先に登場していた「AUTO ROKKORシリーズ」から順に、MCタイプのモデルを経て次第に最後期へと向かう中で、最後に登場した「New MDシリーズ」の頃には、すっかりグリーン色の光彩を放つコーティング層蒸着は消滅していった事を知るべきです(涙)
・・最後の時期にMINOLTA自体が終焉を迎えた時、オプション交換レンズ群の多くを率いた、実質的に世界初のオートフォーカス一眼 (レフ) フィルムカメラ「MINOLTA α7000」を1985年に発売しますが、この時の多くのオプション交換レンズ群はオートフォーカス
チェンジしており、且つそこには『緑のロッコール』たる要素は
・・まさに露と消えていたのです(涙)

そのような「消えゆく運命の過程だった緑のロッコール」を、まだまだ色濃く残すこのMC
タイプのモデルは、ご覧のとおり本当に美しい光彩を放ちます(涙)

然しこの「アクロマチックコーティング (AC)」層は非常に薄膜に拠るコーティング層蒸着を実現した核心的技術の一つであり、1958年にMINOLTAが世界初として開発した技術でもあります(涙) それだけに「清掃しただけで剥がれていく」ために、結果蒸着コーティング層がヘアラインキズ状に薄く細線に剥がれるので「光学系を光に反射させて翳すとヘアラインキズに見えてしまう (光学硝子レンズ面の物理的な削れではないのでLED光照射して覗き込んでも視認できない)」清掃すら怖くて仕方ない 「手を出したくないモデルの筆頭格」と言う話に至ります(怖)

・・つまり当方が扱う時、尋常ならぬ覚悟を伴っているのです!(怖)

自分の所有物なら、単にヘアラインキズ (状) だらけに堕ちてしまったと諦めがつきますが、
他人様の所有物にキズを付けまくった」となれば、話は別でタダで済むハズがありません(怖)・・だからどうしようもなく怖いのです!(怖)

↑上の写真は驚異的な状態に陥っている光学硝子レンズにしか見えませんが(笑)、実は一つ前の掲載写真をよ〜く凝視すると「裏面側に何だか汚れのような領域が残っているのが微かに視認できる」と思います(汗)・・一つ前の写真で言うなら、大きく横方向に、左側から右側方向に向かって中央辺りを楕円状に膨らんでいる薄いクモリの領域が横切っているのが見えると思います(汗)

光学系を外から覗き込んでも、このような状況を確認することはできません(汗)・・何故なら
次の第2群など他の群が組み込まれているので、それらからの反射に影響を受けて確実に視認することが適いません(汗)

従って、このように「完全解体」に拠り取り出した光学系各群を、個別に表裏面で細かくチェックしていくのが必須になる次第です(汗)

前述した「大きく膨らみつつ横切っている楕円の非常に薄いクモリ」は、実はカビ菌の繁殖だったりします(怖)・・逆に言うなら、経年劣化進行に伴う揮発油成分の広がりならば、このように途中から膨らんで専有面積を広げていきません。蒸着コーティング層に付着した経年の揮発油成分は、局所的に円形状に広がるものの、最終的に「揮発油成分の界面原理と引張原理の働きから水分が引き留められる」ために、その水分に含まれる有機物を糧にしてオールドレンズ内部を浮遊していたカビ菌糸が根を下ろし、繁殖を始めます(怖)

カビ菌の繁殖と言っても、必ずしも菌糸を延ばした一般的に視認できるカビ除去痕と一致するカタチとは限らないのです。

上の写真は、当方のオーバーホール工程の一つで「カビ菌糸を撃退する専用のカビ除去薬を
塗布したところ
」を撮影しています・・非常に小さな渦を描くように軽く塗布して最後はス~ッと直上に摘み上げるような感じで離脱する塗布方法です (決して擦ったりジコジコ線状に
何度もこすらない
)(笑)

当然ながら「カビキラー」など市販薬の類ではありません (そのような市販化学薬品の使用は厳禁です/将来的に蒸着コーティング層に塗りつけたカタチそのままに影響が現れます)(笑)

これを数回処置してから次の工程に進みます。

↑上の写真は、一つ前のカビ除去作業を行った後「経年の汚れを除去する工程」に移っています。もちろん塗布している薬剤も市販されていない専用薬剤を使い、だいぶ大きめの渦を巻くように塗りつけながら汚れを拭いつつ、最後は直上に摘み上げです(笑)

↑工程を進めて「何度か汚れ除去作業が進んだ時の途中撮影」の写真です(笑)・・ご覧のように渦を巻く大きさがだいぶ大きくなりました(笑) これは小さい渦 → 大きめの渦 → 小さい渦、の繰り返しになるからです。何しろこの作業をしている最終目的は「汚れ成分の除去」なので
それを目指して限りなく何回も行います(涙)

上の写真は乾いた薬剤を剥ぎ取っている途中の撮影で、左半分くらいの領域で塗布した汚れ除去薬を剥ぎ取っています・・この「剥ぎ取る」と表現したのがポイントで(汗)、実はシルボン紙で拭いたところでこれら汚れ成分の浮き上がりは乾燥していてほぼ除去できません(汗)

仮にこの上から「清掃液」を塗りつけて清掃しようとしても、これらの跡は全てがそのまま残ったままで一切除去されません(汗)・・これがこの「アクロマチックコーティング (AC) 」の特徴を如実に示している話になります(汗)

つまり一般的な蒸着コーティング層に比較して「表層面の微細な凹凸が激しい」ために、これら汚れ成分が乾燥すると残ってしまうものの、洗浄液では除去できません(汗)

単に表層面を拭いているだけの話になり、これら大きい渦を巻いている汚れの成分は全く取り除けません(笑) 従って、拭き取るのではなく「剥ぎ取る」と言う表現が適していますが、
チカラ任せでゴシゴシやるとキズだらけになる」ために、当然ながらチカラ任せで処置し
ません(笑)

この手法は13年間で編み出した剥ぎ取り手法なので(汗)、ここでご案内できませんがコツが在り、普通のやり方ではありません(笑)・・もっと言うなら「アクロマチックコーティング
(AC) 層専用の剥ぎ取り方法」とも明言でき、MINOLTA製オールドレンズにはこの手法を
執らない限り、光学系の清掃は本当に怖くて手を出せません(怖)

↑一つ前の手法で「汚れ成分を剥ぎ取り完了」した光学系第1群前玉裏面を撮影しましたが、実はよ〜く見ると、まだまだ「汚れ成分」が取り切れていません(汗)

↑拡大撮影すると、赤色矢印で指し示したように、まるで銀河を写した星雲写真の如くアッチにグルグル、こっちにもグルグルと小さな渦が残っているのが分かります(汗)

実は一つ前の写真を撮影したのは「汚れ除去工程をもぅ十回以上処置した後の撮影」なので、渦が大きくなっていくものの、小さな渦と混ぜてグルグルやっているのを「何十回と続ける」次第です(汗)・・凡そ、光学硝子レンズ面の1/4の領域で、少なくとも100回は小さな渦をグルグルやっていますから、その作業を行っている時の当方の姿など、とても世の人に見せられるシロモノではありません(笑)

詰まる処、何回も何回もトライして「汚れ成分が剥ぎ取られて減っていく」過程を経て、初めて最後の「清掃工程」へと進めます(涙)

従って上の写真からまだ数セット分の「汚れ除去工程」を経る必要が残っている次第です(泣)

↑上の写真は、おそらく50回に近い回数で「汚れ成分除去作業」を繰り返して、ようやく
辿り着いた状態を撮りました(笑)・・既にここまでの工程で、この前玉1枚に対して費やした時間で「90分」を過ぎていますね(笑) どんだけ当方の技術スキルが低いのかを、まさに
物語っている醜態です
(汗)

↑最後の「清掃工程」はサクッと終わりますが(泣)、別々の2種類の薬剤を使いそれぞれ1回
ずつ合計2回行います。

ご覧のように大変キレイな仕上がりに到達できました(汗)・・良かったぁ〜(怖)
(写真に写っている汚れ状やキズの多くは表面側/露出面側のモノです)

従って前玉だけで「アクロマチックコーティング (AC) 層を蒸着しているので」凡そ2時間を優に超える作業を費やしましたが(汗)、そのほかの群の清掃作業は「同じ工程を経る」・・
つまりカビ除去作業汚れ除去作業清掃作業仕上清掃・・ものの、2時間あれば終わってしまいますから、普段のオールドレンズオーバーホール工程では「光学系の清掃で凡そ2時間の作業内容」と言う話になります。

ちょうど撮影時の影が映り込んで、当初横切っていた楕円の形に似てしまいましたが(汗)、ちゃんと除去できています。

ッて言うか、当方で使っている「カビ除去薬」も「汚れ除去薬」も、以前取材させて頂いた
工業用光学硝子レンズ精製会社様で特別に (裏で) ご案内頂いた薬剤なので(汗)、それはそれは
チョ〜強力で「カビ菌糸などは一発で破壊」する優れモノです(怖)・・本当に気持ち良いほど
に破壊できますが、それはイコール「蒸着コーティング層にまで侵食していた菌糸まで相当分
を破壊する
」ことを意味し、ゴソッと浸食領域の蒸着コーティング層が剥がれる場合もあり
ますから「あくまでも現況のカビの繁殖状況次第」とも指摘できます(怖)

なお、ここまでの掲載写真のとおり「蒸着コーティング層を光に反射さた状態でカビ菌の
繁殖/経年の汚れ/キズやクモリなどの瑕疵内容を確認
」しながら清掃作業を進めていいる
のが当方のオーバーホール工程作業です。

何処ぞのアホな何とか社団法人の如く「LED光ライトに翳して透過させて写している写真」を作業前後で撮影し掲載して「スッキリきれいになりました!」としている1万円前後の料金でオーバーホール作業している会社が在りますが(笑)・・呆れるのを通り越して笑えます(笑)

ハッキリ言って「蒸着コーティング層を様々な角度から反射させつつ確認しない限り、拭き残しや拭きムラの存在はチェックできない」ので、例えLED光照射させようとも、それらは一切視認できません(笑)

今まで載せてきた前玉裏面側の写真が「グリーン色に光彩を放っている状況下でしか清掃作業を執っていない」からこそ撮影して、その時々の状態を知らしめられるのであって、LED光照射して「ハイキレイです!」など、全く以て顧客をバカにしているとしか考えられません!(怒)

そう言う整備会社でも「何とか社団法人」との肩書が付くので (自分で設立時にそのように
申請して登記しているだけの話で、要件を満たせば誰でも設立可能
)(笑)、信用/信頼が高い為に次から次へと仕事が舞い込んでくるようです(笑)・・誠に羨ましい限りです(笑)

当方などは、アッチに向けてコッチに傾けてと、あ~だこ~だ騒ぎながら(笑)、2時間もゴシゴシやっているのがいつもの清掃作業時の話で、全く以て恥ずかしい限りです(恥) ましてや「完全解体するのが大前提」と頑なにこだわっているのも違い、そこは部位別の修理も受け
付けているようで、さすがプロのカメラ店様や修理専門会社様になると格が違います!(驚)

・・当方などは、底辺でチマチマと隠れてヤッているだけで終わっていく運命です(笑)

長々と解説しましたが、こんな感じで『緑のロッコール』たる「アクロマチックコーティング (AC) 」の清掃作業を執っている次第です(汗)

なお、すっかり忘れていましたが(汗)、ネット上で様々に語られているものの、このモデルの
光学硝子レンズに「ランタン材」などの屈折率を向上させる目的で配合したりしていません。

確かに前玉を白紙に載せて確認すると、黄色っぽく透けて見えますが、これは蒸着コーティング層の「焼け」とも言えそうで、現実に放射線量を計測すると次のようになりました。

● 光学系前群について
光学系第1群前玉0.08µSv/h
光学系第2群の構成2枚目0.06µSv/h
光学系第2群の構成3枚目0.05≦µSv/h
光学系第2群は2枚貼り合わせレンズなので、構成で2枚目と3枚目の表記。

● 光学系後群について
光学系第3群の構成4枚目0.06µSv/h
光学系第3群の構成5枚目0.08µSv/h
光学系第4群0.05≦µSv/h
光学系第5群後玉007µSv/h
同様光学系第3群も2枚貼り合わせレンズなので、構成4枚目と5枚目の表記。

・・という結果でした (いずれも直上で計測した平均値)。

ランタン材」を光学硝子材に含有させると「向上する屈折率の期待値1.13%」なので、当時から現在まで含有させることがありますが、その時の放射線量は「0.1350.255µSv/h」辺りの計測値をとるらしいので、それを勘案すると今回扱ったモデルの光学硝子レンズに「ランタン材を含有しているとは考えられない」との結論に到達します(汗)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はMC ROKKOR-PG 58mm/f1.2《前期型−II》(SR/MD)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑当初バラし始めた時のヘリコイド群の状況です(汗)

ヘリコイドオス側 (アルミ合金材)
ヘリコイドメス側 (黄銅材)
基台 (アルミ合金材)

パッと見では「黄土色のグリース色合い」に見えますが、実は過去メンテナンス時塗布されているヘリコイドグリースは「白色系グリース」で、経年劣化進行に伴い既に「濃いグレー状に変質」していますが、ヘリコイドメス側に「黄銅材」のヘリコイドを介在するので「その黄銅材までも摩耗している摩耗粉が混じっているから黄土色の色合いに変質している」と指摘できます(汗)

今回のオーバーホール/修理ご依頼内容の「 距離環を回すトルクが重く、シャッターチャンスを逃すことが多い」がありましたが、残念ながらこの当時のMINOLTA製オールドレンズの多くのモデルは「塗布したヘリコイドグリースだけで軽いトルク感に仕上げるには白色系の
グリースを使うしか手がない
」と言え、今回の当方のオーバーホール/修理作業では「黄褐色
系グリース
」を塗布する都合上、軽いトルク感に仕上げるのは難しいとしか言えません(汗)

・・申し訳ございません。

然し乍ら、その反面「当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現している」為に、ピントのピーク/山の前後動では軽い操作性に改善できていると思いますが、その一方ピーク/山に到達するまでのトルク感は「たいして変化していない重めのトルク感」との印象です(汗)

なお、上の写真の状態は「既に液化が進んでいる状況」なので、これでも相応に軽いトルク感に至っていたと認識しています(汗)・・然し今後数年で揮発が進行して今度は「異常に重めの
トルク感
」へと突き進んでいく為、最後は「ヘリコイドのカジリ付」で「製品寿命」を迎え
ます(涙)

↑当方の『磨き研磨』が終わった状態でヘリコイド群を重ねて撮影していますが、実はヘリコイドネジ山の溝で谷部分には「経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを残したまま仕上げている」のですが、これは完全に谷部分まで研磨しても、最終的にその谷部分は「空間の設計」なのが螺旋状ネジ山の概念なので、そこをキレイに研磨すると「再び経年による酸化/腐食/錆びが
始まる
」ものの、その影響が肝心な「互いが接触している螺旋状ネジ山の接触面に及ぶ」のが拙いのです(汗)

そこで「敢えて何十年ものあいだ蓄積してきた経年の酸化/腐食/錆びで保護されている部分を、そのまま残して活用する」考え方です。それは数年のレベルで (経年で) 劣化が進行して
いくワケですから、それを事前に整備作業時に想定することなどは全く以て不可能です。

そんなポリシ~なので上の写真の如く、ヘリコイドネジ山の一部分には経年劣化進行に伴う
酸化/腐食/錆びは残したままです(笑)

↑上の写真は当初バラし初めて解体の後に、溶剤で洗浄した後に撮影している「距離環」です。赤色矢印で指し示している箇所にさらに濃い黒っぽい斑模様が写っています(汗) この斑模様はほぼ全周に渡り残っていて、例え溶剤で何度も洗浄しようとも除去できません(汗)

例えば、中性洗剤を使いこの「距離環」を洗浄しても、同様この斑模様は除去できません(汗)

その理由は「この斑模様がメッキ加工面を侵食してしまったカビ菌の繁殖だから」と指摘できます(涙)・・これはウレタン塗装にしろ何にしろ塗膜面やメッキ加工面の非常に微細な凹凸面に溜まった水分に含まれる有機物を糧にしてカビ菌が繁殖していった場所なので、それら塗膜面やメッキ加工面を既に侵食している為に、その表層面だけをあ~だこ~だやっても、何ら
除去できないのです(涙)

残念ながら、これら斑模様のカビ菌の繁殖は「削り取るしか手がない」宿命です(涙)

↑上の写真は、当方の手による『磨き研磨』が終わり撮影している同じ「距離環」です(笑)・・パッと見で全ての斑模様が完全除去したが如く見えてしまいますが(汗)、実は完全除去できたワケではありません(汗)

よ〜く凝視すれば「極僅かにまだそこいら中に残っている」のが視認できますが、残念ながらこれ以上研磨を続けると「メッキ加工の塗膜面が全て剥がれていく」しか至らないのが自明の理なので、これ以上は危ないと言う一歩手前で研磨をやめた次第です(汗)

従って「製産当時のメッキ加工を残したまま」で、然し可能な限り斑模様を減ずるとなれば、ここが限界値であると明言できます(涙)・・では、何故まだ残っているハズの斑模様の菌糸が少しも見えないのかと言えば「既に研磨した後のエイジング処理済だから」と指摘でき、当方では『磨き研磨』後の「エイジング処理」も執り行う為、このように削り取られた菌糸部分は「エイジング処理」により酸化被膜が被せられるので、容易に視認できません。

・・その意味で当方は『磨き研磨』後に自然生成の酸化被膜に頼ってはいません(笑)

その理由は、いくら自然に形成される酸化被膜とは言え、せいぜい10Å (オングストローム) 程度の厚みしか無いので(汗)、それで「酸化被膜だぁ〜!」と喜び勇んで、保護されたと安心しているようではどうしようもありません(笑)

それ故、今後の10年間を乗り越えられるよう、敢えて「エイジング処理工程」を必ず取り
入れている次第です(笑)・・たった10年の耐性しか見込んでいないのか???!!!・・と
指摘されれば、残念ながら返す言葉がありません(涙) はい、当方の技術スキルは、所詮そんなレベル止まりですから、今このブログをご覧の皆様も、重々ご承知おき下さいませ

・・それ故、プロのカメラ店様や修理専門会社様宛ご依頼頂くのが最善と申し上げています。

様々な電子検査設備を駆使して厳密に微調整を施し、且つ数十年の耐性を再び与えてきっと
仕上げてくれているハズです。当方のオーバーホール/修理作業料金は「2万円台3万円台」ととても高額ですが、そんな料金を支払わずともきっちりキレイに仕上げてくれます(笑)

↑上の写真もオーバーホール/修理工程を進めている途中の撮影です。組み上げて完成した鏡筒に制御機構部をセットして、さらに光学系後群格納筒をネジ込んだところです。

光学系第4群格納筒の内部には、既に光学系第3群の2枚貼り合わせレンズが格納筒丸ごと組み込んであります。その直下に「制御系パーツ」がグルッと鏡筒周りを囲み「制御環」の途中に備わる「なだらかなカーブ」に「カム」が突き当たるので、その時の勾配に従い「絞り羽根が閉じる角度が決まる」原理です。

なだらかなカーブ」の坂を登りきった頂上部分は「開放側」にあたり、その位置でグィッと絞り羽根が一気に完全開放へと強制的に開き切るのが「その位置の勾配の凄さで分かる」と
思います(笑)

その一方で「なだらかなカーブ」の麓部分は、とてもなだらかで緩やかな勾配になり、その
位置で絞り羽根が少しずつ閉じていく様が容易に想像できます(笑)・・この緩やかな下り坂は「最小絞り値側」を意味しています。

要は、こう言う「制御系パーツ」を「観察と考察」しただけで、このモデルの絞り羽根の開閉動作が想像できるワケで、それこそが「本来在るべき姿」へと導く話を明示しているのが、
ご理解頂けけると思います。

ちなみに、左端のとおり「連携アーム」もこの同じ「制御環」に付随するので、ここが絞り環からの爪にガシッと掴まれたまま、距離環操作に従い繰り出し/収納運動を続けける原理です。

すると前述した「MINOLTA製オールドレンズの距離環操作時のトルクが重い」根拠のその一つの要素として「この連携アーム (左) を爪が掴んだままヘリコイド駆動している」点を以て、距離環を回す時のトルクが重い方向性へと転じる因果が在ります (物理的に在ると言っているのです)(涙)

さらにもう一つ申し上げるなら、上の写真のように黄銅材で切削されている光学系後群格納筒をピッカピカに仕上げた根拠もちゃんと在ります(笑)

当初バラした直後は、溶剤で洗浄しても赤サビだらけで斑模様状態でしたが(汗)、この上から被さる「光学系第5群の後玉格納筒」の光路長をキッチリ担保させる目的で磨き上げているのです(笑)

↑上の写真がその光学系後群の「光学系第5群後玉格納筒」ですが、赤色矢印で指し示している箇所が、内側で互いに接触し合うツライチ切削を採っいてます(汗)・・逆に言うなら、後玉が格納される溝が用意してある直前に「黒色の微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工が
施された遮光環
」が用意され、その遮光環が一つ前の光学系第3群の上から被さるからこそ、ピッカピカにそれぞれが平滑性を保っている必要性があるのです(笑)

実は当初バラす前の実写確認時に「いくら開放時にピント面が掴めずに甘い」としても、ピントのピーク/山くらいは視認できるレベルなのも、今回扱った個体の実写は少々甘過ぎの印象でしたので「光学系内の何処かの群で光路長が狂っている光学硝子レンズの格納時に抵抗/負荷/摩擦が起きていて適切な位置まで格納できていない」と捉えたので、光学系第1群前玉 〜 第5群までについて注意深く臨んでいた次第です(汗)

ちなみにグリーン色の矢印で指し示している穴が「固着剤注入の為に用意されている丸窓」であり、まさに製産時点もここにMINOLTA純正の固着剤が僅かに注入されています (こういうのが検証材料として蓄積されていきます)(笑)

↑話が大変長くなりましたが、完璧なオーバーホール/修理が終わっています(汗)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

但し、残念ながら光学系第1群前玉露出面と第5群後玉の、やはり露出面側に相応な経年の拭きキズや擦りキズ、点キズが複数残っています。またカビ菌の繁殖の中で芯だった部分もそのままカビ除去痕として残っているので、内部状況は大きく変化していません(汗)

↑光学系後群側もスカッとクリアに戻り、極薄いクモリも皆無ですが、上の写真のとおり経年並みの拭きキズや擦りキズ、点キズが残っています。

またおそらく過去メンテナンス時に既にこの後玉裏面側の「アクロマチックコーティング (AC) 」を清掃していると思います (根拠になる証拠はありませんが)(汗)

↑8枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正八角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」ですが、距離環を回すトルク感は当初バラす前とさして変わっていません。

その一方でピント合わせの際には、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

上の写真をよ〜く見ると分かりますが「製産時点の筐体外装メッキ塗色の基本成分は濃紺」なのがメッキ面の照り返しで分かります。

↑全ての作業が終わり、残った瑕疵内容は・・・・、

《オーバーホール/修理ご依頼内容》
距離環を回すトルクが重く、シャッターチャンスを逃すことが多い。
絞り羽根に僅かな油染みが生じている。
光学系内に薄いクモリが生じている他、カビの発生と疑われる箇所もある。
筐体外装が経年で汚れが酷く、キモイ
(気持ち悪い)

・・に対し、 の距離環を回すトルク感は重いままで変化していません(涙)

・・申し訳ございません。

はいずれも改善しています。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から短縮/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離58㎜開放F値f1.2被写体までの距離108m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度54m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、60m辺りの被写体にピント合わせしつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の110m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当レンズによる最短撮影距離60cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」での撮影です。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほぼ絞り羽根が閉じきっている状況ですが「回折現象」の影響を微塵も感じません!(驚)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。引き続き2本目の作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

  ●               

《追加整備の内容解説》
ここからは、今回のオーバーホール/修理に係る『当方の不始末の解説』になります(汗)

今回のオーバーホール/修理ご依頼者様には、既に作業が終わってここのブログに掲載したことをご連絡済みです。

しかし、残念ながら「距離環を回すトルクが重いまま改善できず」という状況でした(涙)
自分の心の中の何処かに、この点に関する「責め」が残っていたのだと思います(汗)

当方には変な特技があって(笑)「寝ている間に観ている夢の中で、続きの作業をヤッている」ことがあります・・昨夜の夢も、まさにそのマンマの夢で(笑)、心の中に残っていたわだか
まりを追求すべく、延長作業をしていたのです(汗)

↑上の写真は、一度組み上がって完成した個体を再びバラしているところの写真です(汗)・・
マウント部を取り外して、鏡筒と続く制御機構部までをゴソッと丸ごと引き抜いた状態を撮影しています。

すると残るは (上の写真に写っている部位は) ヘリコイドオスメスと基台に距離環と指標値環、そして絞り環です。

基台の内側には解説のとおり「直進キー」と「連携爪」が備わります。

昨夜の夢の中で、心の中で何処からともなく聞こえてきた声が呟いていた内容の一つは・・
オマエさぁ〜、連携爪って凝視してチェックしたんか??? 直進キーの微調整もちゃんとやったの??? 普段自分のブログで偉そうに言っていることと、ヤッていることが一致していないんじゃないの???!!!」との手厳しいご指摘(汗)

・・全く以て仰る通りで御座いまする(汗)

↑上の写真は、さらに「レンズ銘板」を距離環から取り外したところです。この「レンズ銘板」は、距離環のフチにネジ込む方式で切削されています。

そうなのです!(汗) 確かにこの「レンズ銘板」のネジ込みが途中でキツクなって、ネジ込めなくなる箇所があるのを、今回のオーバーホール工程の中で自分自身が経験していたのです(汗)

それをうっかりして「どうしてネジ込みがキツクなるのか???」をちゃんと調べずにその確認を怠り、且つ自分自身で納得していなかったのです(汗)

・・まさに、当方の為体丸出し状態です!(汗)

↑さらに再びの解体作業は続きます。まさに昨夜の夢の中でも上の写真のシ~ンが「生々しく」出てきましたが(汗)、内側に居る「直進キーと爪」の確認を怠っているのです(汗)

ヘリコイドオス側 (アルミ合金材)
ヘリコイドメス側 (黄銅材)
基台 (アルミ合金材)
指標値環 (アルミ合金材)
絞り環 (アルミ合金材)

↑そしてもう一つ、昨夜の夢の中でも罵倒されていた内容があり「ヘリコイドオス側のネジ山の1箇所に残っていた擦れ痕 (赤色矢印)」の再確認と共に、その擦れ痕がついてしまった時の
過去の経緯」をちゃんと考察したのかどうか・・です(汗)

・・全く以て、何から何まで夢の中で罵られるがままの事実です!(泣)

↑ヘリコイドオス側のネジ山該当箇所を拡大撮影するとこんな感じです (赤色で囲った領域)。

ヘリコイドのネジ山に対して「斜め方向に同じ長さで擦れた痕跡が残っている」さらに「その擦れ痕の一部が深めに削れていて、反対の端側は薄く削れている状況」且つ「このような削れている特徴が全ての段で同じように残っている」事実から考察するに「整備作業をしている
最中に直進キーが半固定状態のまま非常に強いチカラでグィッと回されてしまい、途中でネジ山同士が噛んでしまった
」光景が浮かび上がってきました(汗)

つまり「直進キーを締め付け固定するのを忘れていたまま組み上げてしまい、距離環を回して引っかかったのに、それをムリに回してしまった」所為が目の前に浮かび上がりました(汗)

どうしてそのような情景になるのかと言えば、上の写真の「擦れ痕」が深くなくてとても浅い削れだからです。もしも落下などにより打痕でヘリコイド筒が変形し「真円を維持していない状況に陥る」ならば、ムリヤリ回した時の擦れ/摩耗/削れはもっと深くなり、リアルな現実に改善不可能なトルクムラを起こしているハズだからです(汗)

・・このように13年間の経験値から、今回の個体に対する推察が浮かび上がりました。

然し、前述した「レンズ銘板の変型 (真円を維持していない問題)」もあるので、もしかしたら本当に落下打痕が因果なのかも知れません(汗)

↑そして問題の、昨夜の夢の中で徹底的に怒鳴られて罵倒されて罵られていたそのモノが上の写真「連携用の爪」です(汗)

確かにヘリコイド群の内側に飛び出ていたこの爪を、パッと見た瞬間に頭の中を過ぎった・・
ウン? 何だか曲がっている???」との印象を、そのまま放置プレイで (実はすっかり失念していた) 最後まで組み上げてしまい、距離環を回すトルクが重いのを、あ~だこ~だいろいろヤッていた次第です(汗)

・・「目の付けどころが、シャープでしょ」を地でヤッている始末です(汗)

そして驚いたことに、上の写真グリーン色の矢印のとおり「本当に夢の中のまんま、垂直を
維持しておらず、直角にも曲がっていなかった
(グリーン色の矢印方向に僅かに傾いていた)」のが判明し、これこそが距離環を回した時にトルクを重くしていた「抵抗/負荷/摩擦の原因
そのモノ
」だったのです(汗)

普段ここのブログでさんざん偉そうに罵りまくっているクセに、肝心な自分の整備作業でこのような為体であり、不始末を起こしていた次第です(涙)

・・本当に申し訳ございません!(汗)

↑鏡筒の裏側に配置してある「制御機構部」の途中に備わる「連携アーム」を、前述の「連携用の爪」がガシッと常に掴んだまま、距離環を回すと一緒に移動しているので、上の写真で
ブルー色の矢印で囲った領域こそが「鏡筒の繰り出し量/収納量に一致」している原理であり、その部位との連携時に抵抗/負荷/摩擦などが生じていないか「その確認を怠った自分が悪い」ので御座います(涙)

ここまでに追加で載せた写真は、全てが昨晩の夢の中で観た内容そのモノですが、今一度そのままを撮影して「自分の不始末をちゃんとブログで告知するように」との、夢の中の声からのお達しだったので、そのとおりに掲載致します (恐ろしや恐ろしや)(怖)

結果、距離環を回すトルク感が重い結果だったのは僅かに改善され、当方独自のヌメヌメ感もいつもと同じレベルにまで回復できました(汗)・・納得です (もう夢に観ないでしょう)。

・・以上、追加整備のご報告でした(汗)