♦ Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク!出品するのは、旧西ドイツは
oberkochenのCarl Zeiss製広角レンズ・・・・、
CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

ありがとう御座います!(涙)
ご落札頂きましたぁ〜!(涙)
ちょっと手の甲を痛めてしまうくらい大変なオーバーホール工程だったので、時間もかかりましたが整備した甲斐があったと言うものです(涙)

・・ただただ、ありがとう御座います!(涙)

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧西ドイツはoberkochen市に位置するCarl Zeiss製
オールドレンズ群の括りで捉えると45本目の扱いですが、その中でCONTAREX版広角レンズ「35mm/f4」だけでカウントすると僅か3本目にあたり1年ぶりの扱いです。

ところが実際に完全解体してバラしてみると、今回扱った個体がまさに「前期型」として判定を下せる特徴・・・「光学設計の相違点」と「総重量の大きな違い」・・・との2点から、CONTAREX版Distagon 35mm/f4のシルバー鏡胴モデルに初めて「モデルバリエーションの存在」を確信するに至りました(驚)

以前も標準レンズのCONTAREX版Planar 50mm/f2《all black version》(CRX)」など、実際に現ブツを手に取り確認できる機会に恵まれ、なかなか市場流通品の個体写真を観るだけでは判定を下せない細かい要素を把握でき・・本当に楽しくて仕方ありません!(笑)

↑たった1枚の上の写真を2016年に偶然に目にしてしまい、その瞬間から「CONTAREX版シリーズの虜に堕ちた」記念すべき写真です(涙)

この実写を投稿した撮影者の写真スキルの高さにも惚れ込んでしまいますが(涙)、ご使用の
ミラーレス一眼はSONY α7Rです。装着しているオールドレンズは「CONTAREX版Planar 50mm/f2」ですから、標準レンズの画角です。他の投稿写真なども鑑賞すると、おそらくは風雨が過ぎ去った直後の晴れ間が現れたタイミングでの撮影ではないかと、勝手に推測していますが(笑)、その「湿気を多分に含んだままの雲行き」或いは落ち葉の状況なども含め、特に教会の屋根材と壁材の質感表現能力の高さ、そのリアル感、生々しさ、情景の圧倒感に鳥肌
立ったのを今でもハッキリ覚えています(涙)

まさに見た途端に「このオールドレンズって、いったい何なの??? モデルは???」と調べまくり、片っ端にモデル別の描写を確認していった、それこそ数時間に及んだものの、本当に至福の時間を過ごしました(涙)

当方自身の琴線に触れまくったと言うか、ツボにハマリまくったとも言い代えられるほどに
アッと言う間の時間でした(笑)

確かに孤高の存在たるライカ製オールドレンズも、どのモデルも全て凄まじいのですが、入手時の高額レベルを別にしても、むしろ当方にとって近い価格帯で手に入れるにしても「何処となく自分の目で眺めている感覚に安心感と平和を感じられる優しい写り、繊細感、生々しさ」に「CONTAREX版シリーズ」に惚れ込んだ次第です(涙)

・・その意味で何は置いても先に手に入れたいオールドレンズです (モデル別に外れが無い)。

↑上の写真は以前扱ったCONTAREX版Planar 50mm/f2《all black version》(CRX)」を解説する際に使った写真の転用です・・左端からシルバー鏡胴モデル (左)、ブラック鏡胴モデル (中)、”Blitz” モデル (右) になります。

一般的に巷では、右端の Blitz モデルを指してブラツクモデルと解説される事が多いですが仕様諸元が全く異なる別モデルであり、単なる鏡胴色の違いをその要素の一つとして捉えた、バリエーション相違の特定にはあたりません。

その意味で「鏡胴色の違い」として捉えるべきは、シルバー鏡胴モデル (左) とブラック鏡胴
モデル (中) のみであり、この2つは仕様諸元上全く同一の製品です。

一方右端のモデルは、別名「Blitz (ブリッツ)」と呼び「Flashmatic (フラッシュ・マチック)」機構を実装したモデルで、ストロボ/フラッシュ撮影時に鏡胴のプリセット値環に刻印されているガイドナンバーを合わせてセットすると、自動的に「距離環の駆動範囲と適切な絞り羽根の開閉幅が限定される仕組み」であり、失敗しないフラッシュ撮影を実現してしまった当時としては先進的な仕組みでした。

そもそもこれらのオールドレンズは、1959年に旧西ドイツのZEISS IKONから発売された一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAREX (コンタレックス)」向けの交換レンズ群であり、後に「CONTAREX I型」と呼ぶようになり巷での俗称「Bullseye (ブルズアイ)」の愛称と共に今もなお憧れの的であり続ける僅か約32,000台しか製産されなかったフィルムカメラです。

大きな円形窓が軍艦部に備わりますが、絞り羽根開閉動作とシャッタースピードの両方に連動する、世界初のクィックリターン式ミラーを装備した一眼レフ (フィルム) カメラになり、この円形窓を指して「Bullseye」と呼ばれています。

この丸窓はセレン光電池式連動露出計であり俗称の由来「bulls (雄牛) のeye (目) を射貫く」から来ており「射る的」転じて最近では軍用語でもある「攻撃目標地点 (ブルズアイ)」に至っています (攻撃目標を無線などで傍受されても分からないようする暗号として使われた)。

上の左図「Flashmatic (フラッシュ・マチック)」機構の引用図を読むと記載されていますが、実は標準レンズの「Planar 50mm/f2」の他にもう1つ広角レンズ「Distagon 35mm/f4」も用意されました・・共に区別を明瞭化する目的で、当時の取扱説明書やカタログにはそれ
ぞれ「B-Planar 50mm/f2」或いは「B-Distagon 35mm/f4」と明記されています (接頭語 “B” は “Blitz” の頭文字を表す)・・”Blitz” はドイツ語で「稲妻」を意味します。

・・同じモデル銘を冠しながらも実はこの2つは全くの別モノです (製品化の目的が違う)。

従ってCONTAREX版焦点距離35mmの広角レンズ「Distagon銘」は当時全部で4種類揃っていた事になります (右写真は以下の)。

Distagon 35mm/f4 silver (1959年発売:最短撮影距離19cm)
Distagon 35mm/f4 black (1960年発売:最短撮影距離19cm)
B-Distagon 35mm/f4 (1960年発売:最短撮影距離38cm)
Distagon 35mm/f2 silver (1960年発売:最短撮影距離22cm)

右写真は以前海外オークションebayから拾ってきた写真ですが、大変珍しい「黒色鏡胴のほうのPlanar 50mm/f2」を装着した写真であり「距離環ローレット (滑り止め) 部分までが鈍い光沢を放つメタリックブラック」なのが分かります(驚)

このことから「 Distagon 35mm/f2 (black)」も同様距離環ローレット (滑り止め) がメタリックブラックではないかと推測できます。

は互いに発売年度が異なりますが、純粋に鏡胴の色違いのタイプであるものの、最後に登場している明るい開放f値「f2モデル」が上位格なのに対し、の “Blitz” モデルだけは
同じ開放f値「f4」でも仕様が全く異なるワケです。

なお特に海外オークションebayで注意が必要ですが「筐体外装を黒色塗装してしまった個体」が「希少なブラックバージョン」を謳って平気で市場流通し続けています (黒色に塗装しただけでボロ儲け)(怖)・・他の機種でも同じように流れているようなので注意が必要です。


↑パッと見では上の写真全てがブラック鏡胴モデルに見えますが「偽物」が混ざっています(笑)

上段左端から順に・・・・、
CONTAREX Distagon 25mm/f2.8 (black) (CRX)
CONTAREX Sonnar 85mm/f2 (black) (CRX)
CONTAREX Planar 50mm/f2 (black) (CRX)
CONTAREX Planar 50mm/f2 (black) (CRX)

下段左端に移って・・・・、
CONTAREX Planar 50mm/f2 (black) (CRX)
CONTAREX Planar 50mm/f2 (black) (CRX)
CONTAREX Planar 50mm/f2 (black) (CRX)
CONTAREX Planar 50mm/f2 (black) (CRX)

・・・・です(汗) 以下にその「偽物」の見分け方を解説していきます(笑)

モノホン個体は、 だけです (おそらく)(笑) 見分け方たる「真贋方法」がたったの一つだけ存在します。その解説用に掲載した写真が です。

赤色矢印で指し示しているとおり、これらCONTAREX版シリーズの筐体外装には「アルミ合金材のヘアライン仕上げ処理」が施されて造られている為に、製産時点を残すオリジナルの状態は「必ず水平方向に微細なヘアライン状の金属質を伴う (だからヘアライン仕上げと呼ぶ)」のです・・これは当時ZEISS IKONが「最高級品」を謳う戦略上の狙いから、敢えてそのような切削で当時最先端だったNC旋盤機を使い造っている事が窺えます (当時の1960年以前の時期に工場工作機械設備でNC旋盤機を導入できたのは西側陣営だけだった為/東欧圏には軍事上の理由から輸出が禁止されていた為=例:1987年の東芝機械ココム違反事件など)。

その一方で、例えば距離環ローレット (滑り止め) のギザギザに切削されている箇所には、そのヘアライン仕上げが施されていないのが明白です (もちろんマウント部のクロームメッキ仕上の真鍮製/ブラス製も違う)・・この箇所は「アルミ合金材のアルマイト仕上げ」です。

従って、 は「後から粉体焼付け塗装した偽物」なのが、その筐体外装表層面に浮かび上がる微細な凹凸面でバレます(笑) また は光沢感が伴うので、おそらく塗装した「偽物」のように見えます (写真解像度が低く不明瞭)。ちなみに の拡大写真です。さらに も写真を拡大すると外装がちゃんとヘアライン仕上げなのが明確に分かります。

このように金属材の「質感」を細かくちゃんと観察していくと「本物との区別が明白に至る」のに合わせて、実は「金属材筐体外装の磨き入れ手法も製産時の仕上げ方次第で全く異なる」ので、当方が昔勤めていた家具専門店での職人からの「磨き技術」伝播で知り得た確認方法
です(笑) 従ってヤフオク!などで「整備済」が流行っていて(笑)、且つ「金属用の研磨剤」を使って磨いている出品者が居ますが(汗)、とんでもない話だと述べている理由がこう言う要素にも現れてしまうのです (設計者の意図を逸脱した所為を施すのは忸怩たる思い/悔しい)(涙)

  ●               

長々とブラックバージョンについて解説しましたが、要は今回扱った広角レンズ「CONTAREX版 Distagon 35mm/f4」のモデルバリエーションをしっかりと正しく掴む必要性から述べてきました (今回新たな発見を伴ったから)。

↑1959年の発売と同時に用意されたオプション交換レンズ群は実に多彩で、発売当初は
焦点距離21mm〜1,000mmまで揃えており、本気度の違いすら感じてしまいます。

↑1959年に発売された一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTAREX I型」の取扱説明書からの抜粋を載せました。

英文を読むと明白ですが、戦後に登場した「クィックリターンミラーを装備した一眼 (レフ) フィルムカメラに合わせてバックフォーカスを稼ぐ必要性から、独自光学設計で標準レンズ域の50㎜が実現できなかった最短撮影距離19cmに到達した」点を強調しています。

右写真はBullseyeに「CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)」の装着例です。

もっとちゃんと、この取扱説明書に明記されている「言い分」を認知するべきだと当方は強く感じます(涙)

そもそも戦前〜戦後を通し当時主流だったのは、オールドレンズの後玉すぐ背後に「レンズ
シャッター、或いはビハインドシャッター、一部にシャッター羽根形状からリーフシャッターと呼ばれることもある」機構を装備したレンジファインダーカメラや一眼フィルムカメラが、主流であり続けていたという背景があります (つまりバックフォーカスが短い)。

従って当時はまだ標準レンズ域の光学設計のまま広角レンズ域まで延伸させて対応できていたワケですが、戦後主流になるクィックリターンミラーを装備した一眼 (レフ) フィルムカメラの登場により、世界規模での危急課題として「広角レンズ域専用の光学設計開発」が求められ、1950年にフランスは老舗の光学メーカー、P. ANGENIEUX PARIS社による広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」の登場を待つ必要がありました(汗)

いわゆる「レトロフォーカス型光学設計」たる所以ですが、この世界初として登場した広角レンズ域専用5群6枚のレトロフォーカス型
構成は、今回のモデル「CONTAREX版 Distagon 35mm/f4」に
実装している光学設計とは全く異なります。
(要は旧西ドイツのCarl Zeissブランドでの光学設計を探したい)(笑)

純粋に「Carl ZeissのDistagon発案者」をネット上で探索すると、ヒットするのは「Distagon考案者のErhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル)」氏の情報
ばかりが解説されています(汗)

しかし氏が考案して製品化が適うのはさらに数年後の話で、1959年に登場していた今回のモデルの光学設計「4群7枚のレトロフォーカス型光学系」とはかけ離れています (どうしても4群7枚にこだわりたいと言う頑固者です)(笑)

・・調べまくりました!(涙)、凡そ3千枚強の特許出願申請書の中から!(涙)

←左の図は1958年に旧西ドイツのCarl Zeissに在籍する光学設計者「Helmut Eismann (ヘルムート・アイスマン) 氏とDr. Günther Lange (グンター・ラング) 博士」の2人による合作だった事が判明しました(涙)

左の特許出願申請書は「DE1073767B」で、1958年に申請され1959年に受理された後、1960年に正式に登録されています。

つまり「Distagonの発案者:Erhard Glatzel (エアハルト
・グラッツェル)
」氏との捉え方には、当方は少々抵抗感を
覚えざるを得ません(涙)・・さらに「Distagon銘」も
もっと早い時期に考案されていたハズです。

↑上の構成図は今までに当方が扱った「CONTAREX版 Distagon 35mm/f4」の実装光学系を、それぞれの個体のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手により
デジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

左端が今回扱いの「前期型」にあたり、中央が「中期型」そして右端が「後期型」です。

↑上の一覧は、今回のブログ掲載に際し、現在のネット上でチェックできる掲載写真 (サンプル数65本) から調査した、製造番号を基にしたモデルバリエーションの変遷を表します。

シルバー鏡胴モデルには「前期型中期型」が顕在し、一方「後期型」が Blitz モデルだけに変わったのが明白です (但しこの中の何処かに冒頭解説のall black versionが隠れている)。

さらに「前期型と中期型の相違点」が明確になりました・・最も分かり易い確認方法は「製品の総重量」です。鏡筒を黄鋼材で製産していたのが判明したので「前期型の総重量320g」に到達します。一方「中期型240g」になり「アルミ合金材の鏡筒」への設計変更に伴い減量化されているのが分かります(汗)

但し、このように金属材の変遷を指摘するとすぐに「アルミ合金材でコスト削減に走った」と言う人達/勢力が必ず居ますが(笑)、以前の金属加工会社社長さんからご教授頂いた会話の内容から察するに、黄鋼材→アルミ合金材でのコスト削減には至らないとのお話です(汗)・・つまりここがポイントで「前期型では黄鋼材を使わざるを得ない理由があった」のがポイントであり、逆に「中期型」以降でアルミ合金材に変遷した理由も「黄鋼材を使わずとも対応できる
旋盤機械設備が更新できたから
」と指摘できそうです(笑)

・・まさにこう言う内容がオーバーホール工程にも直結する「観察と考察」そのモノです(笑)

そして前述のとおり「前期型と中期型では光学設計も僅かに変更していた」ことまで今回初めて確認できました!(驚)

前期型」は光学系第1群貼り合わせレンズの構成1枚目「前玉」の厚みが「中期型」よりも薄く「限りなく取扱説明書掲載の構成図に近似した厚み」だったのが分かりました (両方とも
計測して判明/説明書掲載構成図はトレースしてから逆算計測
)(驚)

合わせて「前期型」は光学系第2群の「鼓形のカタチの光学系」に於いても「曲がり率が高い設計」である点も判明しましたし、しかも何と光学系第4群の後玉に至っては、今までに扱った中で「最も薄い厚みの計測値」である点も判明しました。

しかも上の光学系構成図で示した「 色着色している光学系第3群の3枚貼り合わせレンズ
に纏わる「ランタン材の光学硝子材への含有値 (実際どのモデルバリエーションも光学ガラス
レンズが薄く黄色に視認できる
)」も確認しています。

↑それぞれのモデルバリエーションで計測してきた放射線量の平均値を一覧にしています (当方の記録データベースより)。

この光学系第3群に対する「光学硝子材へのランタン材含有」については、前にご案内した
特許出願申請書には具体的な記述がありませんでしたが、その一方で屈折率の点を指摘した
記載があったので、当方自身は納得できています(笑)・・実際クラウンガラスやフリント
ガラスに係る光学硝子精製の試行錯誤を繰り返していたのが窺える印象です。

さらにもう1つ、上記一覧から見えてくる事実があります。光学系第2群の「鼓形光学硝子
レンズ
」は単独の群で、2枚〜複数枚を接着した貼り合わせレンズではありません。ところが上の一覧を見ると、明らかに3つのバリエーションで「表裏面で放射線量が異なる」のが分かります。

単独の光学硝子材で精製しているにもかかわらず、とうして表裏面で放射線量が変化するのでしょうか???

答えは・・おそらくですが、光学硝子材からの放射線量の他に「蒸着コーティング層が放つ
鉱物資料の放射線量の違い
(ここで言う資料とは蒸着しているコーティング層の原材料=鉱物を意味します)」も勘案する必要が厳密に指摘するなら在るのではないかとみています(汗)
この点については以前工業用光学硝子精製会社様で取材した時にはまだ気づいておらず、お話をお聞きする機会がありませんでした(涙)

しかし、リアルに実際の計測値が示す値から「何かしらの因果関係が在る」のは間違いが
なく、考察の途中と言う感じです(汗)

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』のページをご参照下さいませ。

上の全景写真で赤色矢印で指し示している箇所が「前期型の証拠」を示す要素の一つです。
黄鋼材を切削されて用意した鏡筒 (左) と光学系後群格納筒 (右) です。逆に言うなら「この2つ以外の構成パーツは全て同じ」とも指摘でき、どうして他のアルミ合金材と同じように造らなかったのがポイントです。

↑上の写真は以前扱った際の完全解体全景写真からの転載ですが、今回のモデルバリエーション更新に於ける「中期型」を指します。同様赤色矢印で指し示している鏡筒 (左) と光学系後群格納筒 (右) ですが、他の構成パーツと同じアルミ合金材で切削してきています。

特に「前期型」或いはこの「中期型」共にヘリコイドのオスメスは相変わらずアルミ合金材同士なのに、何故「前期型」では黄鋼材で切削していたのか、この点に着目できるか否かがこのモデルの組み立て作業でのポイントになります。

なお当初バラす前のチェック時点で「光学系内にクモリがある」個体であったものの、その因果関係は「過去メンテナンス時に着色された反射防止黒色塗料のインク成分」だった為、今回のオーバーホール工程で完全除去しています・・つまりスカッとクリアです!(笑)

また絞り羽根も当初バラす前の時点で「閉じすぎ」だったので(汗)、当然ながらそれも適正値を執るよう調整済みです。

逆に言えば、今まで「CONTAREX版シリーズ」のオールドレンズは45本扱ってきましたが、1本たりともまともに「本来在るべき姿」として組み上げられていた個体がありません(笑)
・・市場流通価格帯はどのモデルもみんな割高なのにもかかわらず、どうしてそのような現状に甘んずるべきなのか「???」しか残りません(涙)

・・素晴らしいオールドレンズなのに、もっとちゃんと整備してほしいです!(涙)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました(涙) オーバーホール工程の中で作業していても印象を抱いていましたが「前回扱った時の中期型よりも、光学系前群のコーティング層が放つ光彩、パープルアンバーがさらに濃く感じる」と強く思いました(汗)

それは今までに海外オークションebayなどをチェックしていても、心のなかで何となく抱いていた個体別の違いだったので、今回のモデルバリエーションの調査で逆に納得してしまった程です(汗)

実際前回扱った時のCONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』ページをご参照頂ければ、例えば後群側の後玉が放つコーティング層光彩が同じように見えるものの
前玉側はどう見ても、どのような角度で眺めても「前期型のほうが圧倒的に濃い目」に見え
ます(汗)

これは特に「DIstagon 35mm/f4」のシルバー鏡胴の個体を今まで数多く観ていて、何と
なく感じ取っていた印象だったので、今回完全解体して初めて光学系の設計に相違を見出し、
とても納得できた次第です!(驚)

そのような結果として現れた要素の中には、もしかしたら冒頭解説のとおり「曲がり率や厚みの違い」が関わっているのかも知れませんが、その事実は当方には分かりません(汗)

↑上の写真は今回のオーバーホールに際し、取り出した光学系第1群〜第4群の全てを並べて撮影しています。1枚目が写真上方向に前玉の露出面側を向けて撮影しています (グリーン色の矢印の向きが前玉の露出面側方向を意味します)。

従って第3群と第4群が後群側に位置する為、絞りユニットを挟んで向きが逆転しているので「グリーン色の矢印の向きが反対になる」次第です(笑)

また2枚目はヒックリ返して今度は裏面側を撮影していますが、向きは同じくグリーン色の
矢印
で指し示している方向が「前玉の露出面側を示す」同じままでの撮影です。

↑上の写真2枚は、同じく以前扱った際の「中期型」のオー工程で取り出した光学系を並べた写真です。すると特に光学系第2群の「鼓形のカタチの相違で裏面側の勾配が異なる」或いは光学系第3群の「裏面側突出のカタチも異なる」のが明白です・・何しろ当方は信用/信頼が皆無なので(汗)、このようにいちいち証拠写真を載せないと、某有名処のコメント欄に「公然と平気でウソを拡散し続けている」との誹謗中傷コメントが載る次第です(怖)

↑今回扱いの「前期型」の光学系ですが、ブルー色の矢印で指し示している箇所には、矢印が指し示していないコバ端まで含め、当初バラした直後は過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」が厚塗されている状況でした(涙)

当然ながら光学硝子レンズ格納筒たる鏡筒や後群格納筒から取り出せずに (ガッチガチに入っていたから) 仕方なく「加熱処置」が必要だったほどです(汗)

しかし上の写真は「それら厚塗されていた反射防止黒色塗料を全て完全除去した後の撮影」です(汗)・・つまり上の写真のとおり「製産時点で既にちゃんと着色されていた」のが一目瞭然であり、さらに指摘するなら「コバ端には着色の必要がない」のもこれら写真から明白な
事実です。

・・何故なら、まるッきしこのままに鏡筒と後群格納筒に収めて今回仕上げているから(汗)

後で掲載しますが、光学系内を覗き込んで撮影した写真は「まさに製産時点の状況」なのが
分かります(笑)

どうして当方がこのような内容にこだわるのかと言えば、それは「適切な光路長確保を阻害している要因が、過去メンテナンス時の反射防止黒色塗料の着色だから」と述べているのです。

どうして製産時点にちゃんと着色されているのに、ワザワザ敢えて塗りまくるのでしょうか?

従って今回仕上がった出品個体で最後実写確認すると「驚くほどに鋭いピント面を構成する」のに、今一度新鮮な気持ちになったほどです(笑)

↑上の写真は同じく取り出した光学系第3群ですが、オレンジ色の矢印で指し示している表裏面で「曲がり率が異なる」事を示しています (中期型よりもさらに曲がり率が高い)。

↑上の写真はオーバーホール工程の中で組み上げている最中の撮影です。既に鏡筒をセットして撮っていますが、赤色矢印で指し示しているように「黄鋼材で切削されている鏡筒が剥き出しのまま」です(笑)

ところが当初バラした直後は、この赤色矢印で指し示している箇所にまで「反射防止黒色塗料が厚塗り」されていました(汗)・・すると何がイケナイのか???(笑)

要は着色した塗料の厚み分だけ光路長が延伸するので (光学系前群の格納位置がズレる)(怖) ものの、格納している光学硝子レンズのコバ端まで着色しているので気づかないワケです(笑)

・・いったいこの何処に適正な光路長を担保できる要素が在るのか???(怒)

と何度も何度も執拗にこのブログで述べている次第です(笑) たかが塗布した塗料の厚み分でどうしてそんなに大騒ぎするのかと言われますが(汗)、この当時の光学系設計時の許容誤差は「±0.02」です。例えば光学系第1群2枚貼り合わせレンズの厚みは「12.96㎜」が実測値でしたが、その許容誤差を計算すると「±0.25㎜以内」です(汗)

・・はたして厚塗りで着色した塗料の厚みは関係ないのでしょうか???(笑)

もっと言うなら、光学系第2群の鼓形のカタチをした光学硝子レンズの格納さえ、光路長に
大きく影響します(汗)・・そういう各群の格納位置のズレが加算されていって最終的に「適正な光路長を逸脱してしまう」と、どうして考えないのでしょうか???

・・迷光迷光!と大騒ぎする人達/勢力や整備者に対して問うているのです!(怒)

そう言う感覚だけで物事を受け取る概念は、本当に迷惑千万です!(怒)・・何故なら、確実に実写確認でピント面の鋭さ感が変化しているワケで、それをどう説明するのでしょうか???

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリが皆無です。

後玉の外周寄りに1箇所残っている薄く微細な擦りキズの領域以外に、瑕疵がありません。また「気泡」が1点だけ確認できていますが、おそらく焦点距離から撮影した写真の玉ボケでさえ視認できないと思います(笑)

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリア極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(光学系内に極微細な薄い6mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前後玉に複数の順光目視できる微細な点キズや薄い擦りキズが残っています)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・無限遠位置は指標値で1目盛り分オーバーインフに設定してあります。
・光学系内に微細な点状の「気泡」混入しています。当時は光学硝子精製時に一定時間高温度帯を維持し続けた証として気泡を捉えており、正常品としそのまま出荷していたので現在も市場流通し続けています。

↑上の写真は後玉の外周寄りに1箇所残っている極微細で薄い擦りキズの領域を明示しています。上の写真では目立って視認できませんが、順光目視で覗き込むと明確に視認できるレベルです (但し写真には写り込まない)。

↑8枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は、上の写真のとおり「最終的に正四角形へと変異していく設計」です (途中は円形絞りのように閉じることもある)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・付属のCRX→LMマウントアダプタは設計上装着するCONTAREX版オールドレンズの開放f値にて自動でセットされません。どんなモデルを装着しても必ず絞り環に刻印してあるf1.4からの操作になります。これは製品上の仕様なのでクレームの対象としません。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』
汎用樹脂製バヨネット式CONTAREX規格後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
サードパーティ製絞り環付CRX→LMマウントアダプタ (新品)
FOTOFOX製マクロヘリコイド付LM→SONY Eマウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ (新品)

↑上の写真は付属した絞り環付の「 CRX→LMマウントアダプタ」の装着方法を解説しています。赤色矢印で指し示した箇所にあるリリースマーカー「」を互いに重ね合わせて (グリーン色の矢印) ハメ込んでから時計方向にマウントアダプタを回すとカチッと音が聞こえて固定され停止します。

この時、これら「CONTAREX版シリーズ」では必ず「バチン!」と少々大きめの音が聞こえますが、ブルー色の矢印で指し示している板状の突出部分がオールドレンズ側マウント部に
備わる「開閉環のコの字型切り欠き」にハマる時の音です。

さらにその際、オレンジ色の矢印で指し示している「絞り羽根の開閉状況」は一切気にせずに装着してしまって構いません・・何故なら「CONTAREX版シリーズ」のマウント部に備わる「開閉環」は「板バネ方式」なので、どの位置に来ていても必ず板バネが反応して「バチン」と勝手にハマるからです(笑)

↑上の写真では、さらに付属の「 マクロヘリコイド付LM→SONY Eマウントアダプタ」を
前述の「 CRX→LMマウントアダプタ」に装着する方法を解説していますが、同じように
リリースマーカー」を重ねて (グリーン色の矢印) 回すだけでカチンとハマり固定されます。

↑上の写真は「CONTAREX版シリーズ」のオールドレンズマウント部に必ず備わる「開閉環」を指し示しています。途中に用意される「コの字型の切り欠き」部分は、板バネ状の勾配が
在るので、噛み合う際に勝手に板バネが反応して「バチン」と音が聞こえてハマります。

外す際も時にこの噛み合わせを全く気にせずに外せばよく「開閉環は回転するので着脱時に
その位置を考えなくて良い
」構造です・・当然ながらその回転している時に「絞り羽根が開閉動作している」ワケですね(笑) 従ってこの「開閉環機構部」内部に実装しているベアリングの平滑性が大きく影響してくる次第です (だからちゃんとオーバーホール工程の中で必ずバラ
して、72個全てのベアリングの平滑性をチェックして組み上げています
)(笑)

↑付属のマウントアダプタ2つが装着されるとこんな感じになります(笑)

↑上の写真2枚は付属マウントアダプタの使い方を説明しています。「 CRX→LMマウントアダプタ」に備わる「絞り環」は単に普通にクリック感を伴いつつ回すだけで絞り羽根の開閉
動作が行われます (カチカチととても小気味良く回ります)(笑)

またその下部に重ねて装着している「 マクロヘリコイド付LM→SONY Eマウントアダプタ」は、赤色矢印で指し示して位置にある小さいツマミが「ロック解除ボタン」なので、外す際に押し下げますが、小さいので操作し辛い印象です(汗)

緩やかなギザギザが刻んであるローレット (滑り止め) は、ブルー色の矢印の範囲で回せるようになっており「ロック解除ボタン」の方向に向かって回すと「繰り出し操作」になり、全体が最大で5㎜まで繰り出します (この時マクロ撮影になります)。

ツマミ位置から戻して回していくと繰り出しが収納されていくので元に位置まで回せば繰り
出し前の「仕様状態」に戻ります。

つまり「直感的にもっと近接撮影したい時、拡大撮影したい時にマクロヘリコイドを操作して繰り出せば良いだけ」の話です(笑)

この時、オールドレンズ側の距離環の位置は関係ありません。単に撮りたい時に、拡大したい時に、近寄りたい時にマクロヘリコイドを回せば良いので「直感的」と言う表現になります。

その意味でマクロヘリコイドを戻して停止した時が「オールドレンズ側のオリジナルな仕様状態」を意味し、今回のモテルで言えば無限遠位置は∞刻印位置を意味し、一方反対側の最短
撮影距離も「19cm」のままです。

しかしマクロヘリコイドを操作すると無限遠位置でも無限遠合唱しなくなりますし、反対に
最短撮影距離は「17cm」と2cm短縮化されます。

何だ、たったの2cmか!」と思われるでしょうが(笑)、それは最短撮影距離位置に於ける「2cm」なので、画角的には大きく拡大され「必然的に光量が増大しボケ量も増えピント面の解像度感も被写界深度がより狭くなる」のが原理ですね(笑)

・・後で実際の写り具合の違いが比較できるよう掲載します。

↑マクロヘリコイドの繰り出しと収納でどんな感じに全体が伸びるのかをマウントアダプタ側の位置で比べた写真です(笑)・・マクロヘリコイドの位置で「最大で5㎜まで繰り出し/収納が
起きている
」のが分かると思います。

なお距離環を回すトルクは「普通」人により「軽め」に感じられる重さで、且つ「全域に渡り完璧に均一」です。ピント合わせの際は、掴んでいる指の腹にごく僅かなチカラを伝えるだけで、ピントのピーク/山での前後微動が適います。

特にこのモデルのピントのピーク/山は突然迎えてアッと言う間にに超えますから、このような軽い操作性が大変ありがたく感じられると思います(笑)

・・完全解体してオーバーホールする醍醐味がこういう部分にありますね(笑)

無限遠位置はこのようにマウントアダプタをダブル装着する関係から「敢えて1目盛り分のオーバーインフ」に仕上げています・・その主旨は、装着するマウントアダプタが別のマウント規格に代わる可能性も否定できないからです(汗)

装着マウントアダプタが変化しても1目盛り分のオーバーインフ量なら対応できる範囲内に収まります (つまりアンダーインフ状況に追い込まれて無限遠合焦しない不具合には至らないと言う意味)。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離19cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

1枚目の実写がこのモデルの「オリジナルな仕様状態」での撮影になり、最短撮影距離19cmです。2枚目がそのまま最短撮影距離の位置でマクロヘリコイドを操作して最大の5㎜分
繰り出しを行い「最短撮影距離17cm」まで2cm分短縮化した時の撮影です。

たったの2cmですが、このように撮影画角が拡大し光量が増えるので (同じ位置での撮影でも2cm近接しただけで光量が圧倒的に増大する) ボケ量も増え、且つピント面の被写界深度も
より狭くトロットロに変化してきます・・マクロレンズの原理そのものですね(笑)

・・その意味で当方では敢えてこのような操作手法を『疑似マクロ化』と呼称している(笑)

例えば、このマクロヘリコイド操作を無限遠位置側の距離環位置で行っても、ここまで画角が拡大しません(笑)・・それは最短撮影距離側ではないからです (無限遠位置に近づけば近づくほど拡大画角はどんどん狭く/少なく変化する)。レンズを通した結像の原理そのモノの話です(笑)

・・だからこそ最短撮影距離側の位置で劇的に変化させるのが楽しい『疑似マクロ化』(笑)

↑絞り環を回して設定絞り値「f5.6」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f8」での撮影です。

↑f値は「f11」に上がっていますが、一般的なオールドレンズのf値感覚と異なり、オリジナルの仕様状態 (1枚目の実写) でさえ、まだまだボケボケです(笑)

↑f値「f16」での撮影です。

↑オリジナルな仕様状の最小絞り値たる「f22」での撮影ですが、ご覧のとおり1枚目の実写でも全く「回折現象」の影響が現れません。

なお冒頭で解説していますが、付属の「 CRX→LMマウントアダプタ」に備わる絞り環の
刻印絞り値は目安になりません (スタートがf1.4なので合っていないから)。その為、撮影時にどの絞り値なのかは自分で考える/カウントするしかありません(汗)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

・・どんだけ「CONTAREX版シリーズ」の光学設計が優れているのか?!(驚)

↑f値は「f32」へと進みます!(驚)

↑驚異的なf値たる「f45」の実写です(笑)

↑おそらくは今までに目にしたことが無いハズの別次元たる撮影f値「f64」の世界です!(笑)