◆ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Edixa-Xenar 50mm/f2.8 (zebra)《中期型−II》(M42)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、旧西ドイツは
Schneider-Kreuznach製標準レンズ・・・・、
『Edixa-Xenar 50mm/f2.8 (zebra)《中期型−II》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、当時のSchneider-Kreuznach製標準レンズ「50mm/f2.8」の括りで捉えると26本目にあたりますが、今回扱った個体と同じ「ゼブラ柄」だけでカウント
すると僅か19本目です。
但し、他にもシルバー鏡胴時代の「戦前型」や戦後でも「Paxette向け」のタイプなど含めると、さらに多くなります。一般的なこの当時 (ゼブラ柄最盛期の頃) のオールドレンズの捉え方で言うなら「Xenarと来たらテッサー型」みたいな印象が強いですが(笑)、確かにその後黒色鏡胴モデル含め3群4枚のテッサー型主体であるものの、実は戦前~戦後でみると初期の頃は4群5枚の拡張ダブルガウス型のような光学系構成だったりする為「Xenar銘=テッサー型」と受け取ってしまうと、ちょっと可哀想かも知れません(笑)
また当方の立場からすれば整備する側から見た時、この当時のSchneider-Kreuznach製ゼブラ柄モデルの多くに「懸垂式ヘリコイド駆動方式」の設計概念が多用されている為、手に入れる際には特に要注意でもあります(怖)
大抵の場合で多くの方々の認識として「ヘリコイド駆動が重ければヘリコイドグリースを入れ替えれば軽くなる」なので(泣)、距離環を回すトルクを軽くしてほしいとオーバーホール/修理ご依頼が着信しますが、実は結構多くのご依頼でご辞退しています(笑)
オールドレンズについて、皆さん肝心な事柄を見誤っています。確かに多くのオールドレンズで「鏡筒を繰り出したり収納させる直進動はヘリコイドオスメスの役目」が主体的であるのは間違いありませんが、実はそれに連携して「鏡筒内部の絞りユニットと絞り環との連結機構」
或いは「マウント部の絞り連動ピンからのチカラ伝達経路」と言う、ヘリコイド機構部の他に2つの部位からチカラの伝達が必ず関わっている事をすっかり忘れています(笑)
従って、どんなにヘリコイドのトルクが軽く仕上がっても、絞りユニットとの連携で、或いはマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」からのチカラの伝達で、せっかく軽く仕上がった鏡筒の繰り出し/収納動作が重く変わってしまう与件も非常に多いのが・・この「懸垂式ヘリコイド駆動方式」の難点なのです(涙)
そのような与件が在るために、今までに幾つかのオーバーホール/修理ご依頼をご辞退せざるを得ず、ご依頼者様に対しご依頼を賜る以前に既にご迷惑やご不快感すらきっと与えています
・・そんな恐怖心からも、実はあまり関わりたくないモデルの一つでもあったりします(涙)
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
今回扱った個体のマウント規格は「M42マウント」だったので、現在のマウントアダプタによる世界観からすればとてもポピュラーな存在でしょう。然し実装されている光学系「3群4枚のテッサー型ありき」のXenarシリーズとの受け取り方は前述した通り、少々抵抗感が強い為
今回はその辺りの解説からスタートしていきたいと思います。
Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) は戦前ドイツに於ける老舗の光学メーカーですが (1890年創業)、戦前まではレンジファインダーカメラ向け製品の供給よりも、むしろ大判/中判向け製品のほうを積極的に開発/生産していたようです。戦前直前辺りから戦中~戦後にかけてレンジファインダーカメラ向け製品の開発/生産に舵を切り始めたようにも
見えます。
特に戦後に業界標準のフィルム印画紙フォーマット「24 x 36㎜
ライカ判サイズ:フルサイズ」の括りとして捉えるなら、1934年に戦前Kodakが開発/発売したレンジファインダーカメラへの供給で
登場した「Xenar 5cm/f3.5」からがスタート地点のようです。
この時の実装ボディは「Kodak Retina type 117」と言う右写真の
レンジファインダーカメラでした。
しかしその後の1937年のライプツィヒ見本市でIhagee Dresdenの前身でもあるIhagee Kamerawerk Steenbergen&Coから発表された「Kine-Exakta I型 (キネ・エキザクタ)」のセットレンズとして供給されたモデルが「Xenar 5cm/f2.8 S2.8 (exakta)」であり、開放f値「f2.8」版クセナーとしては初めての登場と言えます。
(右写真のフィルムカメラが丸形ルーペ装備の初期型Kine-Exkata I型モデルですが、装着標準レンズはMeyer-Optik Görlitz製Primotar 5.4cm/f3.5になっています)
この「S2.8」モデルも含め戦前からの捉え方で見た以外に、合わせて戦後の状況をチェックしていくと意外にも「Xenar銘は4群5枚の拡張ダブルガウス型構成」として扱われていた事実に遭遇します。
(つまり3群4枚テッサー型が主体的に変化するのはもっと後の時期になる)
左の広告はおそらく1949年に当時戦後にまだ主流であり続けていたドイツKodak製レンジファインダーカメラ「Retinaシリーズ」のリーフシャッター式フィルムカメラ向けに、Schneider-Kreuznachから供給されていた標準レンズではないかと推察できます (戦前戦中はXenar 50mm/f3.5が主流)。
しかし現実には戦後すぐの混乱期に残っていた部品から組み上げられて発売されていたりもするようなので、数が多すぎて背景や経緯などはよく分かりません。
そこで現実的に戦前Schneider-Kreuznachで開発されていた「3群4枚のテッサー型光学系の特許出願状況」を見ていかない限りは、その登場時期との齟齬が生まれかねません(汗)
↑上の図は署名を見ても分かるとおり、戦前ドイツでSchneider-Kreuznachに在籍していた
当時に「Albrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ)」氏による特許出願状況を、時系列的に左から順に5つ並べた図です。
すると左から順にドイツ特許庁「DE581472C (1929年8月2日申請/1933年8月18日承認)」に米国特許省「US2084714A (1935年10月25日申請/1937年6月22日承認)」で、まさに
3群4枚テッサー型について開発とその発明経緯を述べています (しかもちゃんと記載内容に3群3枚のトリプレット型から派生の記載も在る)。
例えば左側に囲った出願書ではFig.1~Fig.5まで焦点距離100㎜を例にとって発明を説明していますが、最終的に一番下の構成図を以て「最終スキーム」と記載しています・・さらに
オモシロイ事に後に米国にて全く同一のスキームにてちゃんと出願していたのが分かります(笑)
(仕事の流れとして当然なのでしょうが、何だかちゃっかりしていてオモシロイです)
今度は右側の3つの特許出願状況を見ていきます。同様左端は米国特許省「US2076686A (1935年8月31日申請/1937年4月13日承認)」の同じく焦点距離100㎜を例として3群4枚テッサー型構成から、さらに適正な非点収差を狙い球面収差/色収差/コマ収差の改善についての発案として意見具申しています。次に中央は米国特許省「US2105799A (1935年8月31日申請/1938年1月18日承認)」にて意見具申した発案案件を基に、それが認められた事からさらに発展させた発明として、中心部のみならずアウトフォーカス部まで考慮した収差改善に努めた発案である事を力説しています・・いよいよ現れましたね! 4群5枚の拡張ダブルガウス型光学系構成の収差改善度合いを特許出願しています。戦前ドイツでは既に1935年に出願が済んでいる発明として相当気合が入っているふうに読めてしまいます(笑)
最後の右端はとうとうその発展系なのか、初めて見る光学系構成ですが、米国特許省への「US2106077A (1936年5月7日申請/1938年1月18日承認)」で5群7枚と後群側に3枚貼り合わせレンズを配置してきています・・いわゆる「3群6枚のゾナー型光学系構成」への布石としての発案なのか、さらに研究したいところです (今回は時間がないのでこの辺で)(笑)
当然ながら当方は光学系知識皆無のドシロウトですが(汗)、それでも記載内容に目を通すと
如何にもトロニエ博士の鼻息荒い意気込みが伝わってきそうで、思わず微笑んでしまいます(笑)
これらの特許出願状況から見えてきた当時の背景は、戦前ドイツにてSchneider-Kreuznachで3枚玉トリプレット型光学系構成から発展させて、5群6枚の拡張ダブルガウス型光学系構成にまで到達していた、その流れが見えてきました。この辺りに当初の「S2.8」モデル含めた5群6枚構成の光学設計に到達していった経緯が楽しめたように思います。
この後、トロニエ博士はSchneider-Kreuznachを去ってVOIGTLÄNDER社に移籍し、これら
開発済の内容に磨きをかけて、再び今度はVOIGTLÄNDER銘として特許出願攻勢に打って出て
いきます。
なお、右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
前出の特許出願時は事例として掲載していた構成図諸元が、焦点距離100㎜だったので、当然ながら右構成図とは細かい部分が別モノです・・さらに述べるなら、そもそも特許出願時と量産品との光学系の設計は100%同一にはなり得ません。その最大の理由は、特許出願時には生産工程や工場設備や機械との整合性まで含めていないからです。それらは出願特許が認可されて初めて進む先の話なので、必然的に様々な与件が関わり量産品の光学設計は更新されるべきものです(笑)
従って当方宛、ネット上で公開されている様々なサイトの掲載構成図と、あまりにもかけ離れているカタチや構成図なのは、いくら現物を測定したと言っても嘘偽りが在るのではないかとの誹謗中傷メールが頻繁に着信しますが(笑)、1回限りではなく数回測定した平均値でトレース図を作成している関係で、100%正確なのか保証がないと追求されれば、当然ながら返す言葉がありませんが(笑)、少なくとも当方自身は納得しています・・そう言う性格の光学系構成図と捉えて頂ければ幸いです(笑)
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
【モデルバリエーション】
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元値の要素を示しています。
初期型−Ⅰ:1935年〜
絞り機構:手動絞り (実絞り)
絞り値:f2.8〜f16
最短撮影距離:75cm
絞り連動ピン:無し
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無し (実絞り)
戦前型−I:1937年~
絞り機構:手動絞り (実絞り)
絞り値:f2.8〜f16
最短撮影距離:75cm、S2.8刻印付
絞り連動ピン:無し
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無し (実絞り)
戦後型−I:1953年~1957年
絞り機構:手動絞り (実絞り)
絞り値:f2.8〜f16
最短撮影距離:75cm、S2.8刻印無
絞り連動ピン:無し
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無し (実絞り)
戦後型−II:1957年〜1958年
絞り機構:プリセット絞り
絞り値:f2.8〜f22
最短撮影距離:75cm
絞り連動ピン:無し
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無し (実絞り)
中期型−Ⅰ:1958年〜
絞り機構:半自動絞り
絞り値:f2.8〜f22
最短撮影距離:50cm
絞り連動ピン:有り
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無し
中期型−Ⅱ:1960年〜1967年
絞り機構:自動絞り
絞り値:f2.8〜f22
最短撮影距離:50cm
絞り連動ピン:有り
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有り
中期型−Ⅲ:1965年〜1967年
絞り機構:手動絞り (実絞り)
絞り値:f2.8〜f22
最短撮影距離:40cm
絞り連動ピン:有り
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無し
後期型:1967年〜
絞り機構:自動絞り
絞り値:f2.8〜f22
最短撮影距離:50cm
絞り連動ピン:有り
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有り (ツマミ/小を装備)
・・とこんな感じですが、実はこの他にも「???」なモデル情報があります。
例えば左写真はレンズ銘板に刻印されている製造番号から捉えれば「戦後型−II」の派生型のようにも見えますが (プリセット絞り装備だから) モデル銘たる「Edixa-Laudar 50mm/f2.8 (M42)」なのが初耳なのと、一番のオドロキは「最短撮影距離:80cm」なのです!
・・ッて事は当然ながら光学系を再設計しています (再設計せずして
済むハズがない!)(驚)
また右写真は、1960年当時のSchneider-Kreuznachが用意していた「レンズカタログ
(諸元含む)」なのですが、オモシロイ事に、実はこの写真に載っている黒色鏡胴モデルは「いずれも距離環のカタチがすぼまっていて、今目にする市場流通品とは異なる」のです!(驚)
発売のタイミングからすれば上のモデルバリエーションで言うところの「後期型」直前辺りなのでしょうが、結局未発売にしてしまったのでしょうか???(驚)・・それにしてはちゃんと仕様諸元が載ってるように見えますし、 このカタログ用写真撮影するのにもう造っていたワケですから。
ッて言うか、そもそもここに掲載している装着対象フィルムカメラのマウント規格一覧 (カタログ下のほうの一覧表) に「Xenar載ってないじゃん!」と鼻息荒いです・・(笑) M42マウント向けにEDIXA-MAT/PENTAX/PRAKITCA、exaktaマウントはEXAKTA VX/Varex/EXA、そして最後PRAKTINAマウントまで載っているですョ (右端)!
市場用流通品を見る限り「Xenonシリーズ」のほうには右カタログ写真のカタチが流通していますが、Xenarは居ないので・・未発売ですね (残念!)(涙) 然し仕様諸元一覧にはちゃんとXenar銘は全ての諸元項目が埋まって載っており、何とも消化不良で悔しいです(笑)
まぁ~しかし、意外とこの意匠の距離環は突起部分で掴んでいる指が痛くて・・と難癖つけてしまいます(笑)
なお、上のモデルバリエーションでゼブラ柄の最後に登場した平べったい「中期型−III」は、何と絞り羽根制御の構造が「退化」してしまい(笑)、実絞りに戻っています (つまりクリック感消えたモデルです)!(驚) パッと見でゼブラ柄の品が良くて意外と注目をあびるのですが、絞り連動ピンは手動絞りだけです(涙)・・しかも最短撮影距離:40㎝とさらに短縮化しているので、これもまた「光学系再設計」でしょ!、凄いなぁ~。
毎年のように、よく絞り環のクリック感が消えていて、自動絞りではなくなっているとオーバーホール/修理のご依頼が着信しますが・・それって正常です (んなの修理できません!)(笑)
特にヤフオク!の当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』が知らん顔して出品しているので要注意です(笑)
ちなみにこれらSchneider-Kreuznach製モデル「Xenarシリーズ」でのお勧めは「戦前型−Iと戦後型−I」の2タイプで、ここはやはり何と言っても「4群5枚の拡張ダブルガウス型構成」でしょう!(笑)・・吐き出す画に非常に優しい雰囲気が纏わりつくのが「Schneiderらしい」ので大好きなんです。
その意味では、例えば旧東ドイツ側のCarl Zeiss Jena製Tessarシリーズのような、ギラギラした誇張的な違和感が伴わないので、今回のゼブラ柄Xenarだって頑張っていますョ!(笑)
↑今回の個体を完全解体した時のパーツ全景写真撮影をすっかり失念してしまいました(笑) オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『Edixa-Xenar 50mm/f2.8 (zebra)《中期型−II》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。
↑完璧なオーバーホール/修理が終わっています。先ずフィルター枠の打痕に伴う変形ですが、赤色矢印の箇所で矢印方向に凹んでいたのでそれを修復しました・・しかし既にネジ山が潰れているので「フィルターがすんなりネジ込めない」問題が残っています(泣)
もしもフィルターを外した場合は、次に装着する際「必ずネジ山が噛み合ってネジ込めるようになった」のを確認しつつ、少しずつ回してネジ込んでいって下さいませ。1周ほど回ってしまえば、その潰れているネジ山をクリアできているので、その後はすんなりネジ込めます。最後のほうで少々硬くなってきますが、フィルター側ネジ山端との干渉により硬くなっているだけなので、ギッチギチにネジ込まない限りは噛んで外れなくなる事には至りません。
一方でグリーン色矢印方向には外側方向に膨れている為、おそらく過去メンテナンス時に治具を使って広げすぎてしまったのだと思います。フィルター枠のネジ山部分については、今回のオーバーホール工程の中でこの点も解消しましたが、既に鏡筒側の真円度が歪に変わっているようです(涙)
実は、この「膨らみ分」が影響して「ヘリコイドメス側の回転駆動に支障を来している」のが実情です(泣) おそらく既に「ヘリコイドメス側が格納される先の鏡筒が極僅かに歪に変形している」と考えられ、過去メンテナンス時にちゃんと凹んでいたフィルター枠部分を取り外してから、治具で修復作業をすれば良かったのに、外さずに鏡胴についているまま治具で広げたのだと推測します。
それはそうです・・フィルター枠の直径方向で一つの箇所で、打痕により内側に凹んていたのを外側に広げて修復する時 (赤色矢印の箇所)、治具で必要以上にチカラを加え続ければ、その応力分で90度ズレた位置の直径方向は「逆に内側方向に戻ろうとするチカラが伝わり、結果的に楕円に変形してしまいます (グリーン色矢印の箇所)」・・つまり、せっかく赤色矢印の箇所を広げてカタチを戻したのに、グリーン色矢印の位置で全くそのかけたチカラの分だけ引っ張られるのは当然の話しです(泣)
その時の加えたチカラの影響で鏡筒の真円度が極僅かですが歪になっています(涙)・・但し、本当に歪なのか否かは、当方に検査機械設備が無いために調べる事はできません (スミマセン!)(汗)
なお、ブルー色矢印で指し示したレンズ銘板についてもフィルター枠打痕時の影響を受けていて、やはりネジ山が変形しています・・ネジ込む際にキ~キ~音が酷かったので、いろいろ影響が現れています(泣)
↑さらにお詫びの話です!(涙)・・先日のISCO-GÖTTINGEN製WESTRON 35mm/f3.5に続いて、今回も当方のミスです(涙)・・申し訳ございません!
当初バラし始める前の実写確認時に、当方所有マウントアダプタに装着して、距離環を回すトルクにムラが現れたり、絞り環操作含め鏡胴がガチャガチャしていたり、それでいて絞り羽根の開閉動作がとても不安定だったりと、様々な問題点の与件が現れていた際、当方もそれらの感触を確認する為に、いろいろ操作していたのですが、最後外そうとしたら「オールドレンズが空転して外れない!!!」(汗)
M42マウントのネジ部 (シルバーの真鍮製) 部分はハメ込んでから、その上にグリーン色矢印で指し示している「マウントネジ部締付固定環」と言うジャギーなローレット (滑り止め) を含む環/リング/輪っかにより硬締めしているのですが、さらにそれを固定しているイモネジも外れず、やっとの事でイモネジを外しても今度はこの環/リング/輪っか自体が完全固着。
ところが肝心なM42マウントネジ部はスルスルと空転している始末で、マウントアダプタが
そもそも外れなくなりました!(涙)
結局、マウントアダプタのネジ部を外しましたが、治具を使っても加熱処理しても何をやっても空転するばかりで、仕方なく「切削して切断/破壊」し、ようやく外れました(泣)
ところが、その際に赤色矢印で指し示した箇所にキズを付けてしまいました・・申し訳ございません!!!(涙)
↑こちらは完全解体の後に溶剤で洗浄後、オーバーホール工程を進めている途中で撮影しています。取り出した光学系の3群4枚テッサー型です。左端から第1群前玉に第2群は「前群格納筒 (黄銅製) にモールド一体成型」されています。また第3群も2枚の光学硝子レンズによる貼り合わせレンズですが、本来締付環が外せるのですが、やはり完全固着していて外せません。ここは貼り合わせレンズなので、下手に加熱処置を施すとバルサム切れの懸念も高く、そのままにしました (光学系の清掃には支障がないので)。
バラした直後は、こんなピッカピカではありませんが (焦げ茶色です)(笑)、特に第2群も第3群もこのモデルの場合「絞りユニット内部に接触しかねない」ので、敢えて「平滑処理」を施しています (だからピッカピカに変わっている)。
これら「平滑処理」の最大の理由は「このモデルの絞りユニット内部絞り羽根の駆動方法」が特殊だからです。
↑このモデルは絞りユニット内に組み込まれる5枚の絞り羽根のうち「1枚に制御用カムをプレッシングして動かす駆動方式」の為、どうしても経年で適切にメンテナンスが施されていない場合「絞り環操作で必要以上のチカラが伝わり絞り羽根のカムが微妙に傾く」因果関係があります。
実際今回の個体も5枚の絞り羽根を組み込んだ時、本来なら5枚全てが水平に重なるべきところ「このカムの絞り羽根1枚だけが斜め上方に必ず浮き上がる」次第です(涙)
つまりこのカムがプレッシングされている絞り羽根1枚だけが、絞り環操作で設定した絞り値の角度で「正しく開閉動作してくれない」のです(涙)
従って、このモデルの場合絞りユニットの仕上げ方には最大限神経を遣い、特に不必要な抵抗/負荷/摩擦が生じないようにちゃんと整備する必要があります(泣)
↑光学系前後群と絞りユニットが格納される鏡筒を後玉側方向を上に向けて撮影しています。
するとグリーン色矢印で指し示したように全周に渡り均等配置で5個の鋼球ボールが入るよう収納穴が用意されています。一方赤色矢印で指し示した箇所には外側に「鋼球ボール固定用締付環」がネジ込まれますが、固着剤で固まっていました。
↑鏡筒最深部に組み込まれる絞りユニットには、上の写真「制御環 (左)」と「開閉環 (右)」の2つの構成パーツが用意されていますが、一般的なオールドレンズが「位置決め環側は固定」であるのに対し、このモデルは「位置決め環に相当する制御環も、もう一方の開閉環も両方共に回転する」設計です。
従ってブルー色矢印で指し示した箇所に過去メンテナンス時にグリースが塗布されていて、既にアルミ合金材が酸化/腐食/錆びで変質し抵抗/負荷/摩擦が増大していました・・全ての酸化/腐食/錆びを完全除去しています。
ちなみに「絞り値環」と言うなだらかなカーブが備わる環/リング/輪っかがありますが、このカーブに合わせてマーキングしてあるのは当方の仕業ではありません(笑)・・バラした時点でこうなっていましたが、このカーブは微調整する箇所ではないので「そもそもマーキングする必要すらない」のに、それが理解できなかったようです (見れば直ぐに分かる)。
この「絞り値環のなだらかなカーブ」に前述のカムがプレッシングされている絞り羽根1枚に垂直状に立ち上がる「金属棒」が突き当たり、その時の「なだらかなカーブの勾配」に拠り絞り羽根の開閉角度が決定する原理です。
従ってカム付絞り羽根が水平を維持できなくなると、途端に開放時に絞り羽根の顔出し (つまり5枚の絞り羽根が完全開放状態に揃わない) や、絞り羽根が閉じていく際に「正五角形としての開口部の面積/カタチ/入射光量」に至らず、歪なカタチに閉じていったりします(涙)
このモデルに於ける絞りユニットの整備には、最大限の神経を遣うべきなのです(涙)
↑開閉環を拡大撮影していますが、ブルー色矢印で指し示している「くの字型の溝部分」こそが鋼球ボールの通り道なので、ここにグリースを塗られてサビが出ていては堪ったものではありません(涙)
全て「磨き研磨」を行い、合わせて「平滑処理」済です。そもそも「絞りユニット内部にグリースを塗る考え方」自体が、整備者としてどうかと思います (何故なら絞り羽根の油染みを嫌うから)・・当然な話だと思うのですが???(笑)
↑このモデルは「懸垂式ヘリコイド駆動方式」なので、鏡筒の駆動域が長い/深いので、ご覧のように基台も深さがある設計です。赤色矢印で指し示している箇所には過去メンテナンス時に外す際、ムリに回してしまった締付固定用イモネジが削った痕跡がシルバーに残っています(泣)
↑当初バラす前の時点で既に割れてガチャガチャしていた、距離環直下に組み込まれるリング状の「樹脂製透明環」です(泣) 汚れて茶色くなっていましたが、経年劣化で変色したのではなく (そのように弁明する整備会社があるらしいですが)(笑)、ちゃんと清掃してあげればこのようにキレイな透明度に戻ります(笑)
↑そもそも過去メンテナンス時の整備者は、このモデルの「懸垂式ヘリコイド駆動方式」も、この「絞り環連携インジケーター機構部」も、全く理解しないまま組み上げていたようです。上の写真はその「絞り環連携インジケーター機構部」を構成するパーツ群を並べています。
↑アルミ材削り出しのアルマイト仕上げである「制御環 (左)」には、右横に裏返して並べた「インジケーター板」が入ります。その互いに入る場所はグリーン色矢印で指し示した位置が、これら溝部分を行ったり来たりする仕組みですが・・この部位/機構部で「一番重要なのは絞り環操作に対する抵抗/負荷/摩擦増大になってはイケナイ」点です。
それを、おそらく過去メンテナンス時の整備者は「単なる被写界深度の目安でしかない」程度にしか考えておらず、ここの整備状況如何では「距離環を回すトルクが相当重く変わってしまう」問題を引き起こす重要な部位である事を一切理解できていないと思います。
グリースを塗ったくッて済ませていましたが、適切な組立工程を経るにはそんな話ではありません(笑)・・正直、呆れましたねぇ~ (塗布したグリースが適合しておらずカピカピに固まっていた)(笑) その一方でヘリコイドグリースは「白色系グリース」を塗ってトルクを軽くしようと試みていたのが、よ~く分かります(笑)
↑赤色で被写界深度の領域が印刷されているインジケーター板は、こんな感じに「制御環」にセットされます。赤色の帯に囲まれた中央のシルバーな領域が「被写界深度」を表します。
従って開放時は中央のシルバーな領域が最も狭く (被写界深度が狭い/浅い)、絞り値を上げて絞り羽根が閉じていくと赤色帯が左右に均等に広がり、シルバーな領域が拡張して「被写界深度が広くなる/深くなる」原理ですね(笑)・・つまりピント面の前後方向でどの程度鋭く写るのかを示す「目安のガイド」です (だから被写界深度インジケーター)。
↑絞り環操作して「制御環が回転するとインジケーター板がブルー色矢印で指し示したように上下に移動」します。従って、この時に絞り環の操作性が滑らかであると同時に、適度なクリック感も指に伝わり、然し「ヘリコイドの駆動には一切抵抗/負荷/摩擦に至らない」事が最大課題なのです(笑)
↑ではどうして抵抗/負荷/摩擦が増大するのかと言えば、ご覧のようにグリーン色矢印で指し示した「インジケーターの被写界深度を示すスリット/切り欠きがある深度環 (黒色)」でスッポリ囲ってしまいますから、絞り環操作時に「インジケーターの上下運動 (ブルー色矢印) が滑らか」であるのは必須事項です(笑)
プラスして、それを実現するポイントは「背面側に入っている黄銅製のガイド環 (C型のカタチをした環/リング/輪っか) がちゃんと平滑処理されているのか否か」なのに、グリースを塗って誤魔化していました(笑)
当然ながら経年劣化で「焦げ茶色」変質したままだったので、グリースを塗ったところで「ヘリコイド駆動時の重いルクを改善できない」のに、経年で増大してしまった抵抗/負荷/摩擦に対し、何ら処置しなかったのです(泣)
↑絞り環操作によりインジケーターが上下動し (ブルー色矢印)、被写界深度が変化 (赤色矢印) すると「こんなふうに上方向に突出してくる」仕組みです。
この時、この孤を描いたインジケーター板の上下動を支えているのは「黄銅製のガイド環」なので、その「平滑処理」がどんだけ重要な話なのかを全く理解できていません(笑)
「観察と考察」によって導き出された各パーツの必要性や存在理由、或いは駆動原理など「原理原則」から「何をどう微調整するべきなのか???」を見出さなければ、いったいサービスマニュアルが手元にないのに、どうやって適切に組み立てるのですか???・・そう思いますねぇ~(笑)
なお、最後のほうで「A/M切り替えスイッチ」を「M手動絞り」にセットした時だけ「f4~f2.8」及び「f11~f16」間が絞り環が固くなります。完全開放させる為に、一度絞り環を強く回す必要が起きるのですが(泣)、この部位の (インジケーター機構の) 問題ではない事を確認済です。
↑結局、前述のインジケーター機構部が「インジケーターの上下動の高さ分」スペースが必要 (グリーン色矢印で指し示した領域) なのに、それすら分かっていなかったからこそ「ガチャガチャのまま知らん顔」だったりします(笑)
もっと言うなら「当初バラし始めて絞り環を締め付け固定している4本の締付ネジ全てがユルユルだった」ので、すぐにピ~ンと来ましたね(笑) 何ひとつ理解していなかったのです。結果的に距離環を回すトルクが重く変わったのも因果関係が分からず、最終的に最も最短距離の解決方法「絞り環の締め付けを緩くするゴマカシの整備」に逃げたのが、走馬灯のように見えました(笑) 当初バラす前の時点で鏡胴がガチャガチャしていたのは、そういう逃げの一手だったのです(笑)
・・ロクなことをしません(笑)
ちなみに赤色矢印で指し示した穴がカチカチとクリック感を伴う「絞り値キー」であり、均等に穴が用意されています・・例えば、オールドレンズの中には各絞り値の間隔が均等ではないモデルもたくんあります。どうしてこのモデルでは「均等」なのでしょうか???(笑)
・・そう言う事柄にもちゃんと根拠が在るのに、それが全く分かっていません(笑)
ちなみにブルー色矢印の箇所に相当な厚みがある黄銅製のヘリコイドメス側かセットされて、クルクルとどこまでも回転を続ける「空転ヘリコイド」なので、この基台の「平滑処理」も必須作業だったりしますが、そんなの知らないですョねぇ~(笑)
↑鏡筒をひっくり返して後玉側方向を上に向けて撮影していますが、既に4個の鋼球ボールを封入済みです。実はバラしたところ「5個分の穴が用意されているのに4個しか鋼球ボールが入っていない」ので、そのまま組み上げています。容易に手に入る鋼球ボール径ではないので(泣)、ここは「平滑処理」に徹して、1個少ない分を他の4個と絞りユニット内構成パーツで補ってもらいます (ガンバレXenar)!
この鋼球ボール封入環 (赤色矢印) を固着剤でガチガチに接着しつつ、グリースも塗りまくりなので、いったいどういう感覚をしているのか「???」です(笑)
↑赤色矢印で指し示した位置に鋼球ボールが顔を覗かせています (可愛い)。グリーン色矢印の箇所には当初バラした直後にはグリースが入っていましたが、今回のオーバーホール工程では一切塗りません (塗らずとも平滑だから)(笑) もちろんブルー色矢印で指し示した箇所にも固着剤を塗りまくりません(笑)
↑左横に並べた光学系第2群の格納筒は黄銅製ですが、こちらもちゃんと「平滑処理」済みです。この鏡筒の外周にはグリーン色矢印で指し示したように「ヘリコイドオス側のネジ山」があるものの、ブルー色のラインで囲っているとおり「ヘリコイドのネジ山が極僅かしか無い/しかも急勾配」である事実こそが「懸垂式ヘリコイド駆動方式」の所以です。
深さが在る (このオス側ネジ山の厚みの凡そ2.5倍) の道のりを、このオス側ネジ山がグルグル回っていくものの、急勾配なので「光学系前後群と鏡筒の重さにプラスしてマウント部からの絞り連動ピンのチカラ (開閉アームの操作) を受け続ける」と言う、とんでもない設計です。
旧西ドイツのSchneider-Kreuznachだけに限らず、どう言うワケか、他のSteinheil MünchenもA.Schacht UlmもISCO-GÖTTINGENまでが同じように「懸垂式ヘリコイド駆動方式」を採り入れています。Schneider-Kreuznachの100%出資の子会社たる位置づけだったISCO-GÖTTINGEN社は理解できますが、どうして他の競合他社まで同じ「懸垂式ヘリコイド駆動方式」にこだわっていたのか「???」です(泣)
このように単にヘリコイドオスメスの滑らかさだけで距離環を回すトルクが決まるのではなく
同時に絞りユニットとの連携も影響し、合わせてマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を押し込んだ時のチカラが、ダイレクトに伝達していく点に思い至れば「ヘリコイドグリースだけ入れ替えても他の部位の経年劣化は放置プレイ」では拙い・・のが皆さん分かりますかね???(泣)
下手すると「ヘリコイドグリース入れ替えれば軽くなりますョ~ぉ」と低俗な事を真剣な顔をして言っている整備会社も在るらしいので、恐れ入ってしまいます(笑)
なお、前述したとおり、このブログ最後のほうでもう一度解説しますが「A/M切り替えスイッチ」の設定が「M手動絞り」の時、上の写真の赤色矢印で指し示している「開閉アーム」の押し込み/操作が適正ではなくなり、ちゃんと最後までアームを押し込んで移動させてくれません・・結果「f4停止」したり「f16停止」したりしますが、この「開閉アーム部分の不具合ではない事を確認済」ですから、不具合を引き起こしているのはこの直後に解説する「マウント部内部の絞り連動ピン機構部の経年摩耗」です(泣)
↑A/M切り替えスイッチの機構部はマウント部内部に組み込まれています。ここで問題だったのは「レリーズ機構」と連携した絞り連動ピンの動き方なので、既にアームなどの一部パーツが摩耗してしまい「正しく絞り連動ピンからのチカラを伝達できない状況」に陥っています(泣)
「A/M切り替えスイッチ」のツマミを操作してブルー色矢印のように動かすと、連動して絞り連動ピンも動きます。
↑この時の動く方向は「全てがブルー色矢印」であり、同じ量だけ動く必要があるのに、バラバラです (この時絞り連動ピンはオレンジ色矢印方向に同時に動いている)(泣)
ブルー色矢印のチカラの量が3方向とも同一なのに対して、絞り連動ピンが動く範囲のオレンジ色矢印の移動量は短めです。どうして同じ量だけ伝達しないのでしょうか???(笑)
そういう事柄にもちゃんと理由があるのを整備者なら理解していなければイケマセンね(笑)
・・ちゃんとヒントを事前に/既に前のほうのオーバーホール工程の中で述べています(笑)
だからこそ、ヘリコイド部も絞り環もマウント部も、何もかも「どうやって適切なチカラを伝達させていくのか?」がオールドレンズの命題なのです。
↑マウント面から飛び出ている絞り連動ピンは、この当時のSchneider-Kreuznach製ゼブラ柄モデルでは「車輪」を採用していました (ブルー色矢印のように出たり引っ込んだりする)。
↑解説が長くなりました(汗)・・オーバーホールの工程を進めます。光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。「気泡」が極僅かに残っています。
◉ 気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「証」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。
↑5枚在る絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていく・・のがベストですが、実は前述したとおり「カム付絞り羽根1枚だけ開閉角度が微妙に狂うことがある」ので、再現性がありませんが歪なカタチに閉じる時もあります(泣)
カムのプレッシング状況なので、経年でムリなチカラが及んでしまいプレッシング角度が変化してしまったのを調べる機械設備が無いので、確認もその状況改善も何もできません・・申し訳ございません!(涙)
今回のオーバーホール/修理では、これら絞り羽根の駆動について「可能な限り適切に動くこと」及び「できるだけ正五角形を維持すること」さらに「5枚の絞り羽根が均等に俊敏に駆動すること」・・これら3つの要素について徹底的に微調整を施し仕上げました。
結局、これら3つの要素こそが「距離環を回す時のトルクにムラが生じたり、或いは重くなる因果関係に繋がる」ので、それがこの当時のSchneider-Kreuznach製ゼブラ柄モデルの宿命
とも言い替えられます(涙)
逆に言うなら、これらこの当時のSchneider-Kreuznach製ゼブラ柄モデルを手に入れる際は「絞り羽根の動き方は要チェック項目の一つ」です・・その駆動状況如何では「距離環のトルクムラや重い現象すら現れかねない」懸念が高いです。何故なら何度も執拗に述べますが「懸垂式ヘリコイド駆動方式」だからです(泣)
このような長大で執拗な解説に皆さん本当にお疲れ様かれでしょうが (いつもスミマセン!)(汗)、事前に手に入れる際に注意すべき事柄も数多く出てくるので、そのような不具合や問題点に遭遇しないよう心配りしている次第です。
・・いつも超長文で本当に申し訳ございません!!!(涙)
なお、ヤフオク!のほうでこれらSchneider-Kreuznach製オールドレンズのゼブラ柄を整備済で出品している出品者が居ますが(笑)、確かに解体してヘリコイドグリースや他の部位に対するグリース塗布など施し、とても操作性のよう状態に仕上げて出品しています・・当方とご同業の『転売屋/転売ヤー』ですが(笑)・・その出品者の出品ページ掲載写真を見ると「完全解体していません!」(笑)
ちゃんとその理由まで述べていて「完全解体する必要がない」或いは「完全解体だけが整備ではない」らしいです。実際掲載写真を見れば確かに「マウント部を解体していない」のがすぐに分かります(笑) するとマウント面から飛び出ている絞り連動ピンの機構部 (オールドレンズによっては絞り連動レバーやアームだったりする) の経年劣化に伴う酸化/腐食/サビなどは・・いったいどうするのでしょうか???(泣)
その事実に対する理由と根拠をちゃんと明記していません(笑)・・それって、いわゆる「説明責任の放棄???」ではないかと思いますが。
しかし確かに距離環の駆動 (つまりヘリコイドオスメスの駆動) や鏡筒の絞りユニットとの連係に於いて、マウント部だけ解体せずにそのまま (バラす前の状態のまま) 組み上げてしまえば「最もトラブルが起きる確率が低く仕上げられる」ワケで、それを『告知』したらどうなの?・・と思ったりします(笑)
グリースだけ入れ替えて組み上げれば当分の間はとても良好な操作性を維持できるでしょう・・しかし内部に「白色系グリース」を塗布している以上、早ければ数年内~遅くとも5~6年で「白色系グリース」からの揮発油成分がオールドレンズ内部に廻ります(泣) はたしてその時、解体せず済ませたマウント部内部の絞り連動ピン機構部の経年劣化進行はどのくらい促されてしまうのでしょうか???(涙)
いったい何の為の整備なのか???・・操作性よく整備した分を上乗せして (見ているとだいたい1万円~2万円台の上乗せ/3万円は乗せていないか?) 設ける魂胆が丸見えです(笑) 確かに当方と同じご同業者『転売屋/転売ヤー』ですが、その立ち位置が全く対極であり、とても当方と同じ「オールドレンズの延命処置」との使命感からはあまりにもかけ離れています。
その出品者が整備した個体を、今まで何本か「オーバーホール/修理ご依頼受けて」(ご依頼者様が落札して実際に手にして操作してから最終的にご依頼された) 実際に内部の整備状況を確認しましたが (当方ブログ内「解体新書」に含んでいます)(笑)、はたして「オールドレンズの延命処置」との使命感たる立ち位置から捉えるとどうなのか???・・なかなか悩ましい状況でした(笑)
要は整備済なのに触っていて/操作していて気になる要素があり、それが納得できなかったから当方宛オーバーホール/修理を依頼してきたのだと推察しました (実際ご依頼者様がそのように述べられていた)。塗布した「白色系グリースと黄褐色系グリースの違い」或いはマウント部内部の状況とその結果など、いろいろご納得頂ける部分があったようです(泣)
実際に何処までバラしてどう仕上がったのか??? 自ら納得できた仕上がりなのか??? ご落札者様に伝えるべき内容は無いのか???・・そのような与件についてご落札者様に対し無神経で、何ら配慮を感じえませんね(涙)
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を塗り、いつものとおり当方独特なヌメヌメっとしたしっとりしたトルク感で全域に渡り操作できるよう仕上げています(笑)
但し前述のとおり、カム付絞り羽根の動き方次第で「開閉アームの駆動時に抵抗/負荷/摩擦が生ずる」影響から、時にトルクムラが現れますが、前後に繰り出したり/収納したりを極僅かで良いので繰り返していると解消されます。
おそらくカム付絞り羽根が浮き始めて水平を維持しなくなると、鏡筒横から飛び出ている「開閉アーム」が引っかかり、すぐに俊敏にチカラを伝達できない状況に至るのではないかと推察しますが、残念ながら駆動時の内部状況を見ているワケではないので正確な状況は不明です
・・申し訳ございません!(涙)
また上の写真で赤色矢印で指し示したように「フィルター枠部分はちゃんと最後までネジ込んでいない」仕上がりです(泣) このフィルター枠もおそらく極僅かですが変形が残っており、フィルター枠を最後までキッチリネジ込むと「その結果として距離環のトルクが異常に重く変わる」次第です(涙)・・凡そ1.5㎜ほど、ワザと故意に隙間を開けてネジ込みをやめています。
ご依頼内容に従い「フィルター枠修復」を済ませ、ちゃんとフィルターがネジ込めるように処置しましたが、その一方でこのような為体な整備状況です・・本当にスミマセン!!!(涙)
・・いつも偉そうなことばかり述べますが、歴とした「ゴマカシの整備」そのものです(恥)
・・ちゃんと本来在るべき姿に仕上がっていない!!!
今、このブログを読んでいる皆様も、どうか当方の整備技術スキルはこの程度に低いので、買いかぶらないようくれぐれもお願い申し上げます。是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑距離環を回すトルク感も前述のとおりですが(泣)、時々忘れた頃に突然トルクムラが現れます
・・その際はムラを感じる箇所で前後動させて下さいませ。将来的にそれが引き金になり不具合を引き起こす懸念は残っていません。
上の写真では、当初バラした際に確認できた過去メンテナンス時の整備状況から捉えた「不適切な所為」が残る箇所を順番に示しています。
◉ 赤色矢印:
距離環ローレット (滑り止め) 用の「飾り環 (単なる黒色の環/リング/輪っか)」も理由が不明ですが、極僅かに歪です(泣) 距離環のローレット (滑り止め) 側は内径をデジタルノギスで計測すると「どの位置でもほぼピタリ」ですが、この飾り環は内径をチェックした時、極僅かに誤差が出ます。
◉ グリーン色矢印:
当初バラす前の時点でガチャガチャしていた距離環用指標値環/リング/輪っかは完全に締め付け固定して、ガタつきを解消できています。また∞刻印位置がズレていたのも適切位置に変更済です。
◉ ブルー色矢印:
当初バラバラに割れまくっていた透明環も接着し組み込みましたが、破断面のカタチが削れているのか、3箇所のうちの1箇所だけ僅かに突出してしまいます。これを削ったりすると固定ネジで締め付け固定する場所なので (つまりネジ穴部分で割れている) 締付ネジに抵抗/負荷/摩擦がかかり、その影響として「絞り環操作に微妙な抵抗/負荷/摩擦増大を起因する」事から、とにかく「可能な限り絞り羽根開閉異常を避けたい」考えから、敢えてカタチを整えずそのままに仕上げています・・絞り環操作していると、おそらく掴んでいる指の腹に突起を感じると思いますが、強く押し込んだりしないで下さいませ。ガチャガチャだった頃には断面が僅かに欠けたのか、変形したのか不明ですが、接合させると僅かに突出する形状にしか仕上がりません (強く押し込むとまた割れる)。
◉ オレンジ色矢印:
当初バラす前の時点で締め付け固定用の締付ネジ4本がユルユルになったままだったのを確実に硬締めしています。現状絞り環操作時にガタつきなど発生しませんが、その代わり「Mの手動絞り設定時は開放側と最小絞り値側の両端で絞り環操作が詰まる」状況です(涙)・・申し訳ございません!!!
この不具合、問題点もおそらく前のオーバーホール工程で解説したとおり、マウント部内部でマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」押し込みのチカラ伝達が適切に行われていない事に起因して、影響が現れていると考えられます(泣)
関係する構成パーツすべてを完全解体した上で、いろいろ確認したのですが「磨き研磨」しても改善には至らず、特に「Mの手動絞り」の時だけ起こる現象なので、絞りユニット内の例のカム付絞り羽根が水平にならない事が起きる問題よりも、逆に別のパーツ箇所でその影響が起きているのではないかと考えますが、正確な因果関係は掴めていません・・申し訳ございません!!!
◉ ブルー色矢印:
マウント部を締め付け固定する締付ネジ4本も、当初バラした時にはちゃんと最後まで硬締めされていませんでした。おそらく絞り環をユルユルにしていた事に起因しているのだと思いますが不明です・・現状キッチリ硬締めで完全固定終わっています。
以上、こんな感じで数多くの為体な整備状況に仕上がり、本当に申し訳ございません・・お詫び申し上げます!!! つきましては以下減額についてご検討をお願い申し上げます。
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
↑そもそも冒頭解説のとおり、当方がミスッてマウントアダプタを外せなくしてしまったのが悪いので (マウント面とネジ部にキズをつけてしまった)、そのお詫びの印として当初の付属品以外に精一杯の気持ちをプラスして付属させました(涙)・・申し訳ございません!!!
《今回のオーバーホール/修理に際し附属しているもの》
❶ Konko製PRO1Dレンズプロテクター (中古品)
❷ 本体『Edixa-Xenar 50mm/f2.8 (zebra)《中期型−II》(M42)』
❸ 社外品手指製ネジ込み式後キャップ (M42マウント) (当初付属品)
❹ マウントアダプタ用ヘクスレンチ棒 (新品)
❺ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (当初付属品)
❻ K&F CONCEPT製M42 → SONY Eマウントアダプタ (新品)
❼ K&F CONCEPT製マウントアダプタ付属品のピン押し底面 (新品)
これらの中で、❻のK&F CONCEPT製マウントアダプタは、冒頭のオーバーホール工程で出てきた切削して破壊したネジ部のマウントアダプタではなく「新たに注文して取り寄せた新品製品」です。そのマウントアダプタの「ピン押し底面」を取り外して、このモデルのマウント面から飛び出ている「車輪の絞り連動ピン」が干渉しないよう処置を施しています。
従って、当初の付属品たる「ピン押し底面」もちゃんと付属するので、この付属の「ピン押し底面」は「両面使いができる」優れモノですから、上の写真のように「0.4㎜分の凹みが在る凹面」を組み込むことで、一般的な他の絞り連動ピンを装備したM42マウントオールドレンズでの「絞り羽根開閉異常」を改善できる期待が高まります。
逆に「凹面のピン押し底面の向きで絞り羽根開閉異常が起きるM42マウントのオールドレンズ」の場合は、反対側の「平面側」で組み込んでこのマウントアダプタを使えば「多くのトラブルで絞り羽根開閉以上が正常に戻る」両面使いができるピン押し底面です(涙)
今回はそれにフラスして「ピン押し底面自体を取り外して絞り連動ピンの干渉自体を防いでしまう使い方」と言う三つ巴の使い方ができるマウントアダプタとして仕上げています。
ちゃんとM42マウントネジ部の裏側を「反射防止黒色塗料」で着色してあり、可能な限り入射光に影響を与えないよう配慮したつもりです(泣)・・但しそれでもM42ネジ部の一部は見えてしまいますが(汗)
またマウントアダプタのM42マウントネジ部には「指標値が真上に来る位置でマーキングしてある」ので、もしも装着したオールドレンズの指標値が真上に来ない個体だった場合は、付属した「ヘクスレンチ棒」を使いM42マウントネジ部の位置調整をお願い申し上げます。・・細くて短くて使い辛いレンチ棒で申し訳ございません!!!
・・もちろん前述のピン押し底面の着脱作業時にも使います。
↑実際本来の製品では内側にセットされている「ピン押し底面」を取り外した状態で、今回の個体をネジ込んでいくと赤色矢印で指し示したように「ご覧のように車輪の絞り連動ピンがM42マウントネジ部のさらに内側に飛び出てくる」ワケですが、ここにピン押し底面が組み込まれていると車輪の突出が多すぎるために抵抗/負荷/摩擦が増大し「絞り羽根開閉異常」に至るばかりか、最悪「製品寿命を短命化する因果関係に至る」ので、本当はとてもコワイ話なのです(怖)・・ちなみにこの撮影は「A/M切り替えスイッチ」を「Aの自動絞りに設定した状態」で、鏡胴のマウント部直前に配置されている「丸窓にAが表示されている状態」です (つまり自動絞りの設定)。
またグリーン色矢印で指し示しているように、M42マウントのネジ部の一部がシルバーに見えてしまっています(泣)
↑今度はそのままの装着状態で「A/M切り替えスイッチをMの手動絞りにセット」すると、赤色矢印で指し示しているように「車輪の絞り連動ピンが強制的に内部に収納される」ものの、実は「最後まで完璧に収納されない設計」なので、本来はここにピン押し底面が居て押し込んでくれるのが良いのですが、残念ながらそれを行わせると「必要以上のチカラが及んでしまい絞り羽根開閉以上を誘発する→製品寿命を短命化させてしまう」結果にしか至らないので (必ずそうなります/設計上の機構部の問題なのでどうにもなりません)、それを可能な限り避けたい思いから「ピン押し底面を取り外す処置」を考案した次第です。
この説明が何を意味するのかと言えば・・車輪タイプの絞り連動ピンを装備した他のSchneider-Kreuznach製ゼブラ柄モデルも、全てピン押し底面を取り外した上の写真の状態で装着し「A/M切り替えスイッチをM手動絞り」に設定してご使用下さい・・と述べています
逆に言うなら前のオーバーホール工程解説でも述べましたが、この車輪タイプの絞り連動ピンを「最後まで強制的に押し込んでしまうのは製品寿命を短命化するだけ」にしか到達しません・・そういう内部構造/設計なので、この車輪を強く押し込むのは「ゼッタイ禁止!!!」
です。市場流通個体を見ていると、今現在も流れていますが(笑)、この車輪の角度が既に僅かに斜めってしまっている (そう言う角度で突出している) 個体写真が確認できたりします(泣)・・間違いなくそれをバラせば最終的にカム付絞り羽根にその影響が到達しているハズです(怖)
本当にどうしてこんな無理強いする制御設計をしてしまったのか???・・当時のSchneider
-Kreuznach設計陣を恨みたくなりますが、そうは言っても、正直当時も今も相変わらず「M42マウント規格にはそれだけの責任が載っていない」ままなので(泣)、技師達を恨むのもお門違いですね(涙)・・何故なら「絞り連動ピンの配置箇所は規格として何一つ決まっていない/含まれていない」との本当に為体なマウント規格です。決めたのは単にネジ内径とピッチだけですから(笑) フランジバックに係る規格なのに、それすら曖昧にしてしまったのは、時流とは言えあまりにも配慮がなさすぎるのではないかと強く思いますね(泣)
むしろ当方にとっては、例えハードルが高くても決して挫けずに、果敢に挑んで完成させた「懸垂式ヘリコイド駆動方式」に対し、それら設計陣に称賛のエールを贈りたいです(涙)・・
だからこそ実現した「インナーフォーカスシステム」の最たる工業製品ではないかと言いた
気持ちでいっぱいです (誰もネット上で褒め称えてくれませんが)!(涙) この他に類を見ない完成の域に到達した発想のスタート地点があの1枚「カム付絞り羽根」なのは間違いありませんから(笑)、恨めしい思いが残るものの、今となってはそれすら「歴史の中のロマンのひとつ」でしかありませんね(笑)
・・そんな別の角度から思い馳せるなら、それもまた愛おしく感じられると言うものです(笑)
今回付属のマウントアダプタは特に切削したり何か加工を施していないので、ちゃんと付属した (取り出した) ピン押し底面を元に戻せば「正しい製品状態に戻せる」のでご安心下さいませ。
万一、お手持ちのデジタル一眼カメラ/ミラーレスカメラのマウント規格が「SONY Eマウント規格以外」の場合は、大変申し訳ございませんが、このマウントアダプタがムダになってしまうものの、内部の加工部分はそのまま「本来の正しいマウントアダプタ内部に組み込める」ので、そのままピン押し底面を取り出して入れ替えてご使用下さいませ・・但し、当然ながら「同じK&F CONCEPT製品の適切なマウント規格品マウントアダプタ」でのお話です。
なお、当方は特にK&F CONCEPT社からお金など貰っていないので「宣伝しているのだから中国の手先だ!」などと言う誹謗中傷メールを送信するのはご勘弁下さいませ(泣) 当方はK&F CONCEPT社とは一切関わりありません(泣)
従って、もしも仮に製品状態のままピン押し底面が組み込まれていると「例えM手動絞りに設定しても、この車輪の絞り連動ピンがピン押し底面の縁に干渉してしまい、ブルー色矢印のような内側へのチカラが及び続ける事で、不具合を誘発する因果関係に至る」のでコワイのです(怖)
↑ここからは「A/M切り替えスイッチの設定状況で絞り環が詰まる現象」について解説していきます(泣) 上の写真のとおり鏡胴の「丸窓にA表示」されている (グリーン色矢印) なら「Aの自動絞り」にセットされているので、絞り羽根はマウント面から飛び出ている車輪の絞り連動ピン押し込み動作で「適切に瞬時に反応して設定絞り値までちゃんと絞り羽根が閉じる」正しい駆動を行います。
その時、上の写真赤色矢印で指し示した位置が基準「|」マーカーの白線ですが、ちゃんと開放値「f2.8」が到達して軽い操作でセットできます (絞り羽根は完全開放している)・・当たり前の話ですが(泣) 最小絞り値側「f22」にも軽い操作性のままカチカチとクリック感を感じつつ操作できますが、実際の絞り羽根がちゃんと正しく「f22まで極僅かに閉じきっている/動いている」のかどうか・・については、残念ながら不安定です。閉じたり閉じなかったり (f16のまま動かない) と再現性がありません(泣)
↑ところが「A/M切り替えスイッチ」を「M手動絞り」に切り替えると「丸窓にM」か現れ (グリーン色矢印) 実絞りに変わるものの、実は「f4から先が詰まっていて抵抗/負荷/摩擦がある状況」です (ブルー色矢印の範囲)(泣)
従って手動絞りの時に絞り環操作で開放側にセットする場合は「強めにf2.8まで絞り環を回して下さい」・・それで絞り環が壊れたり、絞り羽根の動きに不具合が起きないよう「内部で処置を施してあります」から大丈夫です(泣)
↑同様、同じ「M手動絞り」の時に (グリーン色矢印) 絞り環操作して「最小絞り値方向に回すと、やはりf16~f22間で詰まる」状況です (ブルー色矢印の範囲)(泣)
この時も同じように強めに絞り環操作して「f16~f22」に到達するよう回しても大丈夫ですが、絞り羽根の動き方は不安定で「f16で止まったままf22まで閉じない」或いは「ちゃんとf22まで極僅かに閉じる (極僅かに閉じるのは正常です)」かが不安定です(泣)
但し、f16にはちゃんと閉じるので、その先の「f22まで」の絞り環操作が重たい/硬めと言う話です・・申し訳ございません!!!
これらの現象は全て「M手動絞り」の絞り環操作に付随して発生する絞り羽根開閉異常と絞り環の操作性の問題ですが、その因果関係は「前のオーバーホール工程で解説したマウント部内部のレバー機構部の問題 (摩耗して変形している/僅かに斜めっている)」ためで、その原因に至った理由が当初バラす前のガチャガチャした絞り環操作だったのか否かは不明なままです(泣)
・・従っていろいろイジりましたが原因不明とともに改善もできません(涙)
極僅かに斜めっている要素を「ちゃんと垂直状に戻せば正しくA自動絞りのときと同じように絞り羽根が開閉動作して絞り環操作も軽い」のに、それはたったの一度だけの話で、次にスイッチ操作した時は「やはり極僅かに斜め状に戻ってしまいます」どんなに締め付け用のイモネジを硬締めしても同じなので、そもそも軸側が内部で摩耗しているのか、或いは軸が入っているトンネルの内壁が摩耗しているのか???・・因果関係が掴めていません(涙)
絞り環操作に連動してマウント部内部が直視できているなら、原因が掴め改善方法も分かるかも知れませんが、物理的に不可能です(泣)・・申し訳ございません!!!
↑このモデルはインナーフォーカス方式を採った鏡筒の直進動なので、上の写真のように無限遠位置では最も奥まった位置に居ます (赤色矢印)。
↑最短撮影距離位置まで距離環を回すと、上の写真のように内部で迫り出してきて赤色矢印の位置まで到達します・・つまり距離環を回しても一切製品全高が変化しない「完璧なインナーフォーカスシステムの設計」であり、それを実現している駆動設計が「懸垂式ヘリコイド駆動方式」なのです。
なお、上の写真でたまたま撮影した際に不安定な絞り羽根の顔出しが撮れていたのでグリーン色矢印で指し示しています。絞り環の設定で開放時に限って、このように絞り羽根の1枚が顔出ししますが、この絞り羽根は「カム付の絞り羽根」です (斜めに浮き上がるので再現性なく改善不可能)(泣)・・但しこの時「A/M切り替えスイッチ」が「M手動絞り」になっているので (A自動絞りのときは顔出ししない) 絞り環を確認すると「f4~f2.8の半段分間」或いは「f4」だったりします。
従って、その時は強制的に絞り環を「f2.8に強く回して到達させるとちゃんとクリック感を感じて完全開放する」次第です (但し絞り環を回す時相当硬い/大丈夫なので回して下さい)。同様最小絞り値側も普通の操作で絞り環が停止した時「f16」だったりするので、その時「もう一度強めにf22に向かって回すと僅かに閉じる」です。
マウント部内部のブルー色矢印で同じ量の分だけ移動しているハズなのに「M手動絞り」にセットした途端にこうなります。
(一番最初A→Mにセットした時に完全開放していればそのまま完全開放しているが、一度f4~f16に回すと次にf2.8方向には強く回さないと完全開放しない)
見ていると、絞り連動ピン機構部のレバーが最後開放側に押し込んだ時に「極僅かに斜めっている」ので、おそらく軸が摩耗してしまっているのだと思いますが、いろいろヤッても改善できなかったので「絞り環操作で強く回しても大丈夫なように内部の伝達機構を変更しました」・・そんな感じです(泣)
・・以上、数多くの不具合が残ったままで仕上がっており、本当に申し訳ございません!!!
一応ご請求はしますが「無償扱い」覚悟の上です・・スミマセン(涙)・・当方の技術スキル
では限界です(涙)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離50cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値は「f8」に上がっています。おそらく別件のISCO-GÖTTINGEN製WESTRONに付属してある金属製フードを、こちらで使えばもっと引き締まった写り具合に変化します。
↑f値「f16」です。背景のコントラスト低下が始まり「回折現象」の影響が現れ始めていますが、最短撮影距離側で撮影している為に、一部はハレ切りの問題です (前玉が奥まって位置に居るのに最短撮影距離側ではフードが必要かも?)。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。この度のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き3本目の作業に移ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。