◎ MIRANDA CAMERA (ミランダカメラ) AUTO MIRANDA 28mm/f2.8《初期型》(MB)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、国産は
MIRANDA CAMERA製広角レンズ・・・・、
AUTO MIRANDA 28mm/f2.8《初期型》(MB)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時のMIRANDA CAMERA製広角レンズ「28㎜/f2.8」の括りだけで捉えると初めての扱いです。

しかし正直に打ち明けると、実は今回バラした個体は3本目にあたり、既に2本をバラしているもののその2本は「光学系に酷いクモリがあり、その影響から低コントラストな写りに陥り易い」瑕疵内容により「ジャンク箱行き」になってしまい、今も転がっている始末です(涙)

今回扱った3本目の調達に際して、相当神経質に掲載写真をチェックして入手した為、ようやく光学系の状態に満足いくものが手に入ったのに、今度はオーバーホール後の仕上がり状況に納得いきません(涙)

・・仕方なく『ジャンク扱い出品』とする為、お好きな価格でご検討下さいませ(涙)

なお、光学系の状態が悪い個体の流通数が非常に多く、またモデルの把握も
独特で難しい為、残念ながらこのモデルは今回の扱いを最初で最後にします。

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当方は基本的にこの当時のミランダカメラ製オールドレンズの写りが大好きです。さらに言うなら当方は『極度のカメラ音痴』ながらも、そもそもフィルムカメラに興味関心が薄いのにも関わらず、意外にもこのミランダカメラはとても美しく見え、実際に現ブツを手にしてもその工業製品としての造りの仕上がりの良さ、造形の芸術性に惚れ込んだくらいです(汗)

ギミック感張りで希少性の方面から価値観的に触りたくなる、Zeiss Ikon製CONTAREXカメラよりも、実は触ってみて真に手に馴染むと言うか、しっくり来る感覚面に「自分の中での希少性として惚れる」くらいが『極度のカメラ音痴』な当方にはむしろちょうど良さげです(笑)

そんな中で今回扱ったAUTO MIRANDA 28mm/f2.8《初期型》(MB)』は、実は扱う前時点で既に「何だか得体の知れない惹かれる滲み方をする写り具合」に惚れ込んだワケで(笑)、とても楽しみにしつつ調達に臨みましたが、結果的にジャンク箱を騒がせるだけになってしまい(涙)、今回意を決して3本目に突進した次第です(汗)

・・はたしてその一昔前のシネマ画の如く滲む写り具合とは如何に???(汗)

この後のほうでネット上の実写を幾つかピックアップして載せるので、是非ご参考頂ければ良いと思いますが、今回バラしてみて初めて発見した光学系内の妙故の滲みなのか否かは終ぞ掴めませんが(笑)、如何せんそれでも語り尽くすには十分なほどの真実を手に入れ、それはそれでロマンが充たされて自分的には満足でき、嬉しがったりしていますね(祝)

↑上の一覧は、ネット上でフィルムカメラのほうは相当真剣に解説が多いのに、オールドレンズのほうは「何処ぞの研究会」含め、誰もちゃんと解説してくれない為、仕方なく今現在ネット上で確認できる掲載写真をサンプルにして、52本ほどチェックしまくってまとめたモデルバリエーションを示す一覧です。

全て「AUTO MIRANDA銘の28mm/f2.8だけ」を対象にしたピックアップからのまとめになりますが、そのモデルバリエーションを区分けする際に参考にした根拠は「内部構造の違いと何よりも光学系の設計の違いからまとめた」為、自分的にはだいぶ信憑性を込めて作り上げた一覧表になっていますが、そもそも信用/信頼が皆無な『転売屋/転売ヤー』たる当方の為、全く当てになりませんから読み飛ばすべきかなのも知れませんね(笑)

逐一解説していくと、先ず「製造番号の全てをシリアル値として認識していない」のが大前提です。特にミランダカメラ内製になってもなお「製造番号先頭3桁は管理番号として暗号化して使われている」と捉えられるので、上の一覧表でまとめる際の基準に据えていません(汗)

その中で「構造面から捉えているから」と根拠的に指摘できる内容が二つあり、例えば一覧表で製造番号をチェックした時「で ( ) で囲っている (120xxxx)」或いはの「120xxxx / 121xxxx」などは下手すると「フィルター枠だけをニコイチして別の個体から転用している」可能性が捨てきれません(汗)・・何故なら、フィルター枠はネジ込み式だけなので (外から見えない内部でイモネジなどで一切締め付け固定していないから) 知ってさえいれば容易に転用が適います(汗)

そう考えた時、一覧表で「初期型は224xxxxだけ」に括られ、且つ「前期型も120xxxxと121xxxxで明確に分かれる」のかも知れません (分かりませんが)(汗)

ところがそのように捉えようとした時、実は最後の「後期型の❻に含まれていた120xxxxにはE刻印があった!」為に、こればかりはニコイチによる転用が不可能です(汗)・・すると前述の話が瓦解してしまい、まさしくそれらの製造番号先頭3桁が混ざっているのが正しいのかもしません (要は確証がまだない)(汗)

2つ目の内部構造からの根拠は、内部構造と言うよりも「光学設計の違いから明確に判明した真実」として今回判定した内容です・・それはそのまま「鏡胴の長さの違いに現れている」が故に「初期型だけが別になる根拠」とも指摘できます(汗)

つまり同じ6群8枚レトロフォーカス型光学系ながら製造番号224xxxx」と「製造番号120xxxx/121xxxx」の光学系設計は、互いに全くの別モノと判明したからです(驚)
※但し、その後のモデルバリエーションたるタイプとECタイプの光学系は未扱いなので不明。

その結果、何と「距離環の長さが違っていた」ワケで、それ故「初期型が区分けされる」のが間違いありません(汗)

このような光学設計の相違点は、実は「後玉の締付環のカニ目穴/カニ目溝の違い」にも現れており、それは当然ながら「そもそも光学硝子レンズの外形サイズ/厚み/曲がり率まで違う」ことから納得できるとの判定です (但し溝の幅が後期型❼では狭く変わっている為、基本的に幅広/溝タイプの後玉締付環の存在は初期型だけと判定を下した)(汗)

但し、実際には「初期型」の途中から「224xxxx」でありながらも再設計されたタイプの光学系を実装していた結果、一部に「丸穴」の締付環が存在するのかも知れません (扱い数が少なすぎてやはり不明なまま)。

ネット上では「レンズ銘板のモデル銘刻印フォント (書体) が違う」との指摘があり、確かに
例えばも同じ「製造場号224xxxx」ながらも「大文字だけのAUTO MIRANDA銘の刻印」と「Auto Miranda銘刻印」の2つが確認できます・・特に小文字を含むモデル銘は、一眼 (レフ) フィルムカメラの取扱説明書で言うと「MIRANDA Automex III」や「MIRANDA F//FV」或いは「MIRANDA SENSOREX」などに写っているので確認できます。

また当然ながら外見上の相違として「筐体外装の違い」や装備も明確にモデルバリエーションの区分けとして使えます・・その例を挙げるなら「絞り環とフィルムカメラ側の連携アームの装備有無」は、実は各モデルバリエーションの中でバラバに混在して出現しています(汗)

これは特に「MIRANDA automex III (1964年発売)」或いは「MIRANDA SENSOREX (1966年発売)」に「MIRANDA SENSOREX-C (1970年発売)」や「MIRANDA SENSOREX II (1972年発売)」など、発売年度を違えて登場した絞り環連携モデル一眼 (レフ) フィルムカメラの登場に合わせて、その都度用意していたと指摘できます。

↑さらに途中から「後期型」に向かいつつ「タイプ/ECタイプ」マウント面に仕様変更として上の写真解説のように追加装備されています。

初期型」から一貫して全モデルバリエーションで必ず装備していたのは「開閉操作レバー」ですが、それすら「後期型」ではカタチを設計変更しています (未扱いなので何の目的で設計変更してきたのか不明)。

また「開放f値伝達ピン」は開放f値ですから、モデルとして固有のため駆動する必要がなく「単なる突出した金属棒」で用を足せます (フィルムカメラ側マウント部への装着時に伝達されるから)。但し当然ながら対応しているフィルムカメラへの装着が前提になり、未対応モデルに装着を試みると壊します(怖)

同様「絞り値伝達レバー」も絞り環操作に連動して移動するので、現ブツさえ手にしていれば容易に把握できます (やはりフィルムカメラ側を選ぶ)(笑)

ネット上でもちゃんと解説してくれませんが(汗)「タイプ」は「Electric Eye」の略になり、絞り環には「EE」と刻印されています・・被写体の明るさに応じて絞り値とシャッタースピードを自動設定してくれるありがたい機能であり「TTL (Through the Lens) 測光方式」のレンズ内を透過してきた入射光で光量を測定してくれる機能との連携で、撮影時の精度が上がりとても助かります。

するとこの「TTL測光方式」の発展系として、クィックリターンミラーのミラー積層内にCdS電子回路を埋設し「IC Circuitry Comparator (電子比較回路)」によるゾーン測定手法 (ミラーの中央下部領域) を指して、このタイプでは「EE機能と相俟りECタイプと命名している」のが分かります (このComparatorの文字はちゃんと英語版取扱説明書の中に明記されている)。

それ故「後期型」の「タイプ」と「ECタイプ」では、マウント部の仕様が追加される道理が成り立ちますね (ここまで解説して初めて当方のようなカメラ音痴でも理解が進む)(笑)

ちなみに上の写真で明確な根拠として明示できるのは「開閉操作レバーは位置的に基準或いはマーカー (グリーン色の矢印) の同じ直線上に必ず位置する」のが内部構造上明白なので、その位置にある板状パーツが「開閉操作レバーなのは自明の理 (どうにも覆せない事実)」と言う話になります(笑)

これは例を挙げるなら「M42マウント規格」と同じで、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンの存在、及びその位置は「マウント規格としてどのメーカーのフィルムカメラでも同じ位置に存在する必要性がある」から勝手に位置を変更できません(笑) 従ってミランダバヨネットマウント (MBマウントMIRANDA BAYONET MOUNT) も全く同じ道理に繋がります。

またブルー色矢印で指し示している箇所の「後玉締付環のカニ目穴/溝」も光学設計上から明確に分かれる為、判定材料になっています(笑)

←左写真はネット上の掲載写真から拾ってきた「初期型 (224xxxx)」で左側のタイプになり「前期型 (120xxxx / 121xxxx)」が右です・・ご覧の通り「距離環の長さが違う」点で判別できますが、このように並べれば分かるものの、単独の掲載写真だけを見て区別するのは相当難しいと思います(汗)

↑上の写真は今回のオーバーホールで完全解体した際、ジャンク箱に転がっていた「前期型 (120xxxx)」もバラして横に並べて撮影しています(笑)・・そもそも事前にこの違いを把握してから、今回扱った個体を調達していない為「まさにたまたま (偶然に) 距離環の相違が判明し、初期型/前期型の区分け材料の一つとなった」のが本当のところだったりします(恥)

そしてもちろん当然ながら「このように距離環の長さが違うのは、そもそも内部に格納している光学設計が違うから」とも指摘でき、ようやくここにきて真実たる決定的な根拠へと話が進みます (話が長いんだって!)(汗)

↑上の写真は今回扱った個体から完全解体の際に取り出した光学系第1群前玉 (左端) ~第6群後玉 (右端) 写真で、光学系全群を赤色文字で表記し後群側をブルー色文字で表記しています
・・またグリーン色の矢印が指し示している方向は、前玉の露出面側方向を表すので、後群側は絞りユニットを挟んで必然的に反転します。

↑同様光学系全群を赤色文字で、後群側をブルー色文字で表記しつつヒックリ返して裏側を撮っています。なにしろ当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話なので(笑)「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処でのコメント欄に誹謗中傷され続けている始末で(泣)、仕方ないのでちゃんと『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです (面倒くさい)(笑)

↑モデルバリエーションの判定材料になる光学系第2群の2枚貼り合わせレンズと、後群側第6群後玉の貼り合わせレンズです。

↑同じようにひっくり返しました。

↑特に「初期型 (224xxxx)」だけに限定して、後群側第6群後玉の2枚貼り合わせレンズは、ご覧の通り厳密には「外形サイズが互いに微妙に違っていた」のを今回確認しました・・その外形サイズ:⌀16.98㎜ (構成7枚目 vs ⌀16.82㎜ (構成8枚目) となり「▲0.16㎜」の違いになります (デジタルノギスを使った計測値の平均値)。

↑今度は「前期型 (120xxxx)」もジャンク箱から引っ張り出してきて、完全解体で取り出した光学系を並べました・・もうこの時点で一目瞭然ですが(汗)「光学系第2群の2枚貼り合わせレンズの外形サイズが全く別モノ」なのが分かり、実際計測すると「初期型⌀ 30.46㎜」vs「前期型⌀ 24.44㎜」と明らかに違います(汗)

↑同様ひっくり返しました。

↑すると明確な光学設計の相違点は、実は前群側ではなく「集光の役目を担う後群側」こそがその設計概念上重要になり、ご覧のように第6群の2枚貼り合わせレンズのカタチも外形サイズも厚みまで何もかも別モノです。

そして決定的な光学設計概念の変更を確定付けてしまったのが「第5群のカタチ」であり、何と「凹メニスカス」に変わったのです。

↑やはりヒックリ返して撮影していますが「第5群赤色矢印で指し示している箇所の中央部分が緩やかに突出している曲がり率の凹メニスカス」なのが明白です!(驚)

取扱説明書の掲載図面と「初期型」では両面の曲がり率こそ違えども「両凹レンズ」だったのが「前期型」では「凹メニスカスレンズ」へと設計概念を変更していたことが判明したと述べているのです。

↑ようやく光学系構成図の説明へと進むことができました(汗)・・いちいち『証拠写真』を載せないと信じてもらえないと言うのは、本当に辛いところがあったりします(涙)

上の光学系構成図を順に説明すると、一眼 (レフ) フィルムカメラ「MIRANDA SENSOMAT (1968年発売)」取扱説明書に印刷されているオプション交換レンズ群図面から当方がトレースした構成図がです。

一方「初期型 (224xxxx)」であり今回扱った個体をオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。「前期型 (120xxxx)」で同じようにジャンク箱に転がっていた個体から取り出した光学系の各群を計測してトレースしました。

すると1963年発売時点を以て「初期型」とのモデルバリエーション区分けに設定し、その根拠として完全解体した個体「製造番号224xxxx」をデジタルノギスで計測したのが中央の光学系構成図にしても、そもそも左端の取扱説明書印刷図面からしてほぼ近似しているのが分かりました(汗)

・・その根拠が色付している光学系の群で明確になります。

先ず、 色付の光学系第3群の向きが光学設計上で問題になります。取扱説明書の左端と中央の「224xxxx」は「絞りユニット側方向 (上の図で右方向を意味する) の曲がり率が高い両凸レンズ」なのに対し、右端「120xxxx」はその曲がり率が反転して「前玉側方向の曲がり率が高い両凸レンズ」に変化しています(汗)

これが意味するのは必然的にその前後「光学系第2群と第4群との関係性の中で、互いの曲がり率/屈折率が異なる」ことを明確に表しており、この一点だけをとっても明らかに光学系の設計概念すらひっくり返ってしまいます(汗)

実はこの点について、そもそも取扱説明書を見た時点で気がついており、拡大トレースしたところ絞りユニット側方向の曲がり率が高いことを把握していました (左端の構成図)。

そして今回調達した個体をバラす前の実写確認時点で「ピント面の解像が浮いているのと収差が酷い」ことから「光学系の何処かの群で向きをミスッて格納してる」とすぐ気づいており、おそらくは間違いやすい「光学系第3群の向きが違っている」と推測しバラしたところ、まるでそのとおりでした (つまり過去メンテナンス時に格納の向きをミスっている)(笑)

それはそうです。一般的にレトロフォーカス型光学系の設計概念に倣うなら「絞りユニットの直前拡散の役目の両凸レンズ (或いは凸平レンズなど) は、前玉側方向の曲がり率が高いのが多いのが普通」だからです(笑)

ところが今回のモデルAUTO MIRANDA 28mm/f2.8《初期型》(MB)』は「光学系第2群に2枚貼り合わせレンズを内包している」が故に、もしかしたら第3群の向きと曲がり率は違うかも知れないと事前に妄想していたのが的中しました(笑)

・・「光学知識皆無な当方」の妄想も、たまには当たるもんです (1%くらい)(笑)

またその妄想を補強する材料があって「後群側第4群の両凹レンズの向きも一般的な光学設計とは真逆」なのも、そもそも取扱説明書で確認しており 色付で明示しています・・そこから光学系第3群の向きの相違を取扱説明書の図面上で妄想できていた次第です(恥)

結果、最終的に集光の仕上げたる後群側第6群後玉の2枚貼り合わせレンズ、 色付で全てが決まります(汗)

右端の「120xxxx」では、 色付が左端と中央の光学設計と同じ曲がり具合のままなので、前群側の 色付の向きが反転してしまった以上、最後の後玉 色付で厚みを持たせて結像位置を確保する必要性に迫られるのは自明の理だからです(笑)

このように「光学系構成図」から光学設計の流れを読み取るのも、特に最近ハマっている分、楽しくて仕方ありません (もちろんあくまでも妄想の範疇を超えませんが)(笑)

このような光学設計の相違点を事前把握し、且つバラしてから現ブツ (光学硝子レンズ) を確認して考察するに、特に今回のモデルの描写性に於ける魅力として捉えた「独特な滲み方」は、おそらく「初期型 (224xxxx)」に多く現れる写り具合と推測でき、その改善に向けて光学系を再設計したのが「前期型 (120xxxx / 121xxxx)」との憶測に到達せざるを得ません(汗)

但しその「前期型 (120xxxx / 121xxxx)」もやはりジャンク箱に転がっている為、写り具合の確認ができておらず (クモリが酷くて判定できない)、必ずしも憶測の域を超えられる話ではありません(汗)

一つだけ敢えて付け足すなら、「前期型 (120xxxx / 121xxxx)」の再設計された光学系は (鏡胴を短くしたが為もあり)「各群で相当屈折率を上げている」ことからも、何某かの収差の改善、或いは解像度の向上を狙っていたとの妄想にも繋がっています (少なくとも再設計してから、さらに収差が酷くなることはあり得ない)(汗)

↑なお上の図は「球面レンズのカタチ」を解説しており、光学系内の光学硝子レンズのカタチは凡そこれらのどれかに該当します (もちろん外形サイズや厚みに曲がり率などは任意です)・・
ちなみに入射光の透過する方向を黒色矢印で示しています (左から右に向かう方向)。

すると例えば❶ 両凸レンズは、表裏面の曲がり率 (膨らみ具合) を別にして、垂直方向での中心から左右に互いに突出している時点で「両凸レンズ」と呼称します。その表裏面での突出の度合いから一方が「平坦」の場合にの呼称になります。

また「メニスカス (meniscus)」はレンズのコバ端 (上の図では上下方向の端部分を指す) とレンズの中心部分の厚みを比較した時の度合いを基に「中心>端凸メニスカス」と呼称し()
その反対を意味する「端>中心凹メニスカス」と呼びます () (メニスカスの詳説はこちらwikiに説明されています)。

そして 色付のグループを指して「凸レンズ系」を表し、一方 色付が「凹レンズ系」を意味します。

・・いずれも曲がり率が任意であることを前提にすれば、分かり易いと思います(笑)

従って入射光の方向性に対して「左から右に向かう透過」なら、その時に「凸平レンズ」と言われれば「前玉側方向が凸で後玉側方向の面が平坦」だと、すぐにレンズの向きが確定し理解が進むワケです(笑)

なお一部には「両平レンズ」と言う、要はまるで両面のガラス板のような光学硝子レンズが存在しますが、これは入射光/波長の分散を逆手に活用した概念で、実際に前後玉として使っていたりする光学設計があります (球面レンズではないので上の一覧には載らない)。

  ●               





↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
先ずは円形ボケの状況を確認しようと思い探しましたが、あまり載っていません(汗) 数少ない円形ボケをひだの2枚の写真でチェックしましが、意外にもまともに真円っぽい円形ボケが写っていることにちょっとビックリです(笑)

滲むのはピント面から少しだけ周辺域へと外れる領域での「収差ボケ」の時に、独特な滲み方を伴うのが分かります。特に3枚めの写真の葉脈のボケ方や、やはり何と言っても右端の白黒写真の滲み方が「まるで幻想世界」の撮影のように見えます(笑)

二段目
ピント面からのボケ具合を背景ボケの中で絞り値を挙げてしまうと、このように解像感が増したままを維持してくれるようで、この断では「発色性」についてピックアップしています。決して色飽和しないながらも、コントラスト高く、然し違和感なく鮮やかさを演出してくれます。こういうところが当方はモラン惰性オールドレンズの光学系として好きですね(笑)

・・なにしろ他社光学メーカー品よりも僅かに近接できる25cm最短撮影距離です。

三段目
被写体の材質感や素材感を写し込む質感表現能力の高さをチェックするつもりでピックアップしています。背景ボケが生じようがない近接撮影の場合は、滲みも少ないもののもう少しピント面の光の捉え方をしっかりしてくれないと「立体感/リアル感/緊迫感」に繋がらず、少々平面的な印象に写ってしまいます(汗) 右端の人物撮影がまさに冒頭で紹介した「シネマ画のようなソフト感/滲み感/軟らかさ感」の一つにも見えますが、如何でしょうか。

四段目
景色ばかりピックアップしていますが、実はどうしてこんなにビビットな色合いになるのかよく分かりません・・撮影時に使うフィルム印画紙の効果が絶大なのでしょうか、よく分かりません(笑) 然し円形の霞がかった印象をちゃんと残せるのがさすがだと思います。

五段目
最後は左側2枚で広角レンズなのでパースペクティブをチェックしています。相応に樽型の歪が大きいように映りますが、それにも増してグレースケール世界での階調表現の耐性の高さにうなずきます(驚) また光源を含む右側2枚では、やはり階調表現が残るので白潰れしきらずに残せているのが納得です。こういう部分にまだまだミランダカメラ製オールドレンズへの好みが保たれているように思います(汗)

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元値の要素を示しています。

初期型 1963年発売
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成
モデル銘:AUTO MIRNADA
装備:絞り環連携アーム無し
マウント部仕様:開閉操作レバーのみ
製造番号:224xxxx

初期型 1964年発売
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成
モデル銘:Auto Miranda
装備:絞り環連携アーム無し
マウント部仕様:開閉操作レバーのみ
製造番号:224xxxx

初期型 1964年発売
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成
モデル銘:AUTO MIRNADA
装備:絞り環連携アームあり
マウント部仕様:開閉操作レバーのみ
製造番号:224xxxx

前期型 ❸1970年発売 (?)
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成再設計タイプ
モデル銘:AUTO MIRNADA
装備:絞り環連携アーム無し
マウント部仕様:開閉操作レバーのみ
製造番号:120xxxx / 121xxxx

前期型 ❹1970年発売 (?)
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成最設計タイプ
モデル銘:AUTO MIRNADA
装備:絞り環連携アームあり
マウント部仕様:開閉操作レバーのみ
製造番号:120xxxx / 121xxxx

後期型 ❻1972年発売
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成最設計タイプ
モデル銘:AUTO MIRNADA
装備:絞り環連携アーム無し
マウント部仕様:開閉操作レバー/開放f値伝達ピン/絞り値伝達レバー
製造番号:120xxxx / 125xxxx

後期型 ❼1975年発売
光学系:6群8枚レトロフォーカス型構成最設計タイプ
モデル銘:AUTO MIRNADA EC
装備:絞り環連携アーム無し
マウント部仕様:開閉操作レバー/開放f値伝達ピン/絞り値伝達レバー
製造番号:188xxxx

なにしろ扱い数が少ないので、モデルバリエーションの考察も不完全です(汗)

なおミランダカメラ倒産後に登場の「PKマウント規格」や他マウント規格品の「MIRANDA MC 28mm/f2.8」などは亜種との認識なので、今回のモデルバリエーション対象外としています。また「初期型」との区分けは、そもそものミランダカメラ創設時のタイミングを指しておらず (いわゆる世田谷光機製の委託製産品の頃のモデルを指しておらず) あくまでも今回扱ったモデルの登場時期 (ミランダカメラ内製になってからの時期) に限定した特定手法ですから、その点での疑義を受け付けません(汗)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑今回のオーバーホール個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。内部構造はこの当時としては意外にも簡素なレベルで、おそらくは相当熟考の上で「他の焦点距離含めた融通性/共通性まで勘案した優れた内部設計」とも指摘できるほど考え尽くされた設計が窺えます(驚)

・・そもそもダブルマウント規格である時点で、その革新性はダントツです!(驚)

例を挙げるなら、後で出てきますが、マウント部は真鍮製/ブラス製であるものの「たった1箇所しか用意していない (普通は両サイドの2箇所に用意するのが一般的) 直進キーまで一体切削で仕上げる設計を採用」しており、相当この当時の他社光学メーカーと比較しても珍しい・・と言うか、ハッキリ言ってよほど自信が無ければできない話であり、この一点だけを捉えても「さすが工業技術面で既に戦時中に実積を積み上げていた経験値がモノを言うレベル」とオドロキを隠せません!(驚)

特にアルミ合金材削り出しについては既に高い加工レベルに到達しており、黄銅材と同レベルであるのも素晴らしいです(驚)

それこそマウント部の真鍮製/ブラス製側面/外壁に微かに設けられている隙間の切削レベルを見るだけで惚れ惚れしてしまいました(涙) 要はマウント部の「」が噛み合う際に発生する「瞬間的な撓りを一瞬で相殺させる仕組みとしての切込み/スリットを用意してある」のは、金属加工会社なら当たり前の話なのでしょうが、その切削レベルがこの当時の海外光学メーカーとは雲泥の差であり、まさにこの一点だけに着目しても戦時中含め、どんだけ資材/資料/鉱物
或いは石油/重油/ガスなどの調達ルートさえしっかり確保できていれば、優れた技術をちゃんと維持できていたのが当時のニッポンだったのだと、今さらながらに感心した次第です・・
その意味で、やはり当時の欧米による (いわゆる連合国陣営による) 日本孤立化政策の酷さに、いくら歴史の1ページにすぎない話とは言え、改めて悔しさを感じる処で御座いまする(涙)

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

直進キーガイド
直進キーが直進動でスライドして移動するガイド/溝であり鏡筒の繰り出し量をカバーする

その意味で「金属相手」では既に完成の域に到達しており、アルミ合金材含めこれ以上研鑽を積み上げる必要がないとすら印象を受けるほどです(驚) その一方残念ながら「メッキ加工」についてはこの当時のレベル止まりであり、まだまだ改善の余地が残っていることを感じる各構成パーツの仕上がり状況です。

然しこの点については工場の機械設備更新が進めば解決するだけの話なので、問題にならないのが普通ですが、残念ながらミランダカメラにはそのチャンスが訪れないまま1976年12月に黒字倒産してしまいます(涙)

・・戦時中も戦後も、米国にしてヤラれたと言う宿命に、なんとも忸怩たる思いです(涙)

まもなく戦後80年を経過するにもなお、未だに米国に依存しなければイケナイ運命に、はたしてどうして海の向こうの国に手綱を握られまくるのか、いったいいつになれば真のニッポン独立が訪れるのでしょうか(涙)・・確かに平和であるのが総てですが、然しその平和は「籠の中での話」となれば、そこに「真の自由」は残っていないのは自明の理であり、何だか違うように思えてなりませんね(涙)

↑上の写真は当初バラしている最中の撮影ですが、絞りユニットから取り出した「開閉環」と言うパーツです。表層面に被せてあった「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」が既に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びが進行していた為、剥がしているところです (要はメッキ加工の質があまりヨロシクない)(汗)

↑こちらの写真もバラしている途中の撮影です。鏡筒から取り外した「光学系前群格納筒 (アルミ合金材)」を前玉側方向から覗き込んで撮影している角度です。

このパーツはご覧のようにピッカピカのアルミ合金材削り出しなのですが、過去メンテナンス時に底部分に「反射防止黒色塗料」を着色しています。プライマー込みで塗布されている為、溶剤でも容易に剥がせずそのままにしました(汗)

実際この上から格納していく光学硝子レンズはコバ端着色されるので、このように「反射防止黒色塗料」で着色する必要がありませんし、光路長にも影響が出ません(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒ですが、外回りはヘリコイドオス側条ネジが切削されています。

驚いたことに「鏡筒内側は、ちょうどヘリコイドオス側ネジ山に当たる位置の領域がゴッソリちゃんと切削されており、肉厚を工夫することでヘリコイド駆動時の応力分を計算している (金属材をよく熟知した) 切削構造」を採っていました(驚)

こう言う要素は、例えば最近整備したMINOLTAKONICA含め、当時のNikonCanonOLYMPUSなども同じで、ヘリコイド駆動時のオスメスネジ山からの応力反応をどのように相殺させるのか、ちゃんと真摯に金属材に向き合って製品設計しているのが窺え、さすがだと感じ入ります。

その一方でカメラメーカーのほうになると、大概オールドレンズに関してまで同じ姿勢で製品設計に臨むので、いわゆる光学メーカーとは全く違う設計なのを数多くバラしていると知ることになります(汗)

確かにフィルムカメラのボディ側のほうが注目され易いのでしょうが(笑)、実のところどんなに優れたフィルムカメラも「写真撮影の道具であることは変わりなく、その写される写真と言えば、被写体からの入射光はオールドレンズからこそ入ってくる」ワケで(笑)、何だか本末転倒のような気にもなります(笑)

↑鏡筒最深部に組み込まれる絞りユニットの構成パーツ「位置決め環 (左)」と「開閉環 (右)」に「開閉アーム (赤色矢印)」です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

←ちなみに、左写真は同じAUTO MIRANDA 28mm/f2.8 (MB)』であるものの、製造番号「120xxxx」のほうの「前期型」に組み込まれている絞り羽根で、他の焦点距離モデルとも共通仕様で設計されています。

ご覧のようにカタチがまるで違うことが分かりますね(笑)

↑鏡筒最深部に絞りユニットをセットしたところです。

↑ヒックリ返して鏡筒裏側を撮影しています (後玉側方向からの角度)。すると「開閉環から飛び出てきている開閉アーム (赤色矢印)」が分かり、ブルー色の矢印のようにスライドすることで、絞り羽根が開いたり閉じたりする原理です。

↑同じ鏡筒ですが、撮影する角度を変えています。ヘリコイドオス側ネジ山の途中には「直進キーガイド」と言う溝が刻まれています (赤色矢印)。マウント部にたった1箇所だけ用意される真鍮製/ブラス製の「直進キー」がここに刺さり、距離環を回すことでそのチカラが伝わり鏡筒の繰り出し/収納する原理です。

するとご覧のようにちゃんと直進方向に当たりの凹凸が切削されている気の配りようであり、こういう細かな配慮は当時のNikonCanonでも数多く見られます。

また鏡筒の一部には「」が備わり、ブルー色の矢印の「直進キーガイド直近」から「開閉アームの端直近」までのグリーン色の矢印までをグルっと囲っています。

この「」の存在こそが「マウント部内部にたった1箇所だけ用意された真鍮製/ブラス製の直進キーとの応力反応に係る相殺設計」の要素を示し、これはアルミ合金材削り出しの鏡筒側に配慮した構造設計なのが分かります。

直進キーガイド」に刺さる「直進キー」からのチカラの伝達や、一方の「開閉アームの操作に伝わってくるチカラ」に対し、鏡筒の一部がこのように削られていることに起因する「アルミ合金材の応力反応をこの壁を用意することで相殺させている」と考えられ、素晴らしい限りです(驚)

まさにこのような配慮こそが「真鍮製/ブラス製マウント部内部にたった1箇所だけ用意された直進キーの意義自信」に繋がっているのだと感心やみません(汗)

↑その問題の真鍮製/ブラス製マウント部です。「絞り値キー (溝)」に絞り環に組み込まれている鋼球ボール+スプリングによる反発からカチカチとクリック感が実現されます。さらにその場所に「たった1箇所用意されている直進キー」が備わり、要はここに一極集中するチカラの伝達を担保するべく、まさに真鍮材/ブラス材の特性、或いはその相手先のアルミ合金材の特徴などを勘案した「金属材を知り尽くした配慮」から、全ての配置が決まっていると考えられます(驚)

逆に言うなら、だからこそ全ての焦点距離モデルに共通項的に同じ設計のマウント部が用意されてる道理が成り立ちます (結果コスト削減は確実に手中に収まる)(驚)

要はモデル別に、或いは部位別にあ~だこ~だその都度設計を更新せず、徹底的に追求しまくって勘案し尽くしていれば、どんなモデルが来ても共通項的に採用し続けられ、それこそが結果的にコスト削減に繋がっていると言う、まさにムダな時間と労力をシンプルに省く合理的な思想と指摘できると思うのです(涙)

このような構造設計概念の素晴らしさがミランダカメラには歴然として認められ、その意味でも「カメラ音痴な当方」ですらフィルムカメラ側にまで惚れ込んでいる始末です(笑)

・・必要にして最低限、且つ適材適所を徹底的に追求した素晴らしい製品設計です!

いくら黎明期とは言え、ミランダカメラ技術者 (創業者) の前身は、大日本帝国海軍に於ける
ロケット推進技術 () だったワケで、その対象相手は金属材のみならず地球の自転まで勘案し尽くして制御するべく研究していたハズで、視ている角度が全く別モノとしか言いようがありません(涙)

・・本当にため息混じりです(汗)

↑取り外していた各構成パーツも『磨き研磨』が終わりセットしたところです。やはり一部パーツのメッキ加工の質感が悪く、経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びが酷かったので、磨いて平滑性を取り戻しています (つまりグリースなど一切塗布しません)。

マウント装着時の「ロック解除ボタン (右上)」や「プレビューボタン (下)」或いは絞り環操作や、マウント部から飛び出ている開閉操作棒によるチカラの伝達で「コの字型の開閉アーム」に刺さる「開閉操作レバー (左上)」など、あまりにもシンプルに見えるのはよくよく熟考していたからこその結果だと当方では考察しています。

↑鋼球ボール+スプリングを組み込んでから絞り環をセットしたところです。絞り環からはマウント部内部に向かって「絞り値制御キー」と言うなだらかなカーブ状のパーツが備わり、その勾配/坂の麓部分が「最小絞り値側」にあたり、一方坂を登りきった頂上部分が「開放側」を意味し、そこに金属棒が突き当たることで絞り羽根の開閉角度 (移動量) が決まる原理です。

↑実は一つ前までの写真でセットしていたトーションバネ (捻りバネ) の装着向きは「当初バラした時の向きのまま組み付けた」ものの、そのままでは絞り羽根開閉に関する自動絞り機能が働きません(笑)

どうして過去メンテナンス時に自動絞り機能を無効化させていたのか分かりませんが(汗)、そのままではいちいちプレビューボタンを押し込まなければ絞り羽根が閉じず、面倒くさいったらありゃしません(笑)

ちゃんと絞り環操作に連動して絞り羽根が閉じるよう正規の自動絞り方式に戻します (当たり前ですが)(笑)

しかしはたして上の写真の向きで正しいのでしょうか???(笑)・・ちゃんと「原理原則」が理解できるている整備者なら、上の写真をパッと見てすぐに分かるでしょう(笑)

↑黄銅材の立派なヘリコイドメス側を、無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で10箇所のネジ込み位置がある為、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

この後は完成している鏡筒 (ヘリコイドオス側) をネジ込みますが、その前に光学系前後群を清掃してからセットする必要があります。

↑光学系の格納筒はこんな感じで用意されています。すると広角レンズであるがゆえに「前群延長格納筒 (左端)」が必要になり、要はここに「光学系第1群前玉第2群貼り合わせレンズ」の2つが組み込まれます。

・・はたしてどうしてワザワザ分割して延長筒を用意したのでしょうか???

↑その分割して用意されている「前群延長格納筒」を拡大撮影していますが、ご覧のようにネジ込みのネジ山には全部で14箇所ものイモネジ締め付け痕が残っています (赤色矢印)(笑)

当然ながら、これらのイモネジ痕の中で製産時点のイモネジ痕は「たったの一つだけ (均等配置で3本のイモネジをネジ込むので全部で3箇所になる)」ですね(笑)

するとこのイモネジ痕から「過去メンテナンス時に光路長の確保で相当難儀していた痕跡」が見えてきます(笑)

・・ではどうしてそんなに光路長がズレまくっていたのか???(笑)

要は6群ある光学硝子レズのコバ端着色で「反射防止黒色塗料」を塗りまくっていたからこそ確実に格納できていなかったことが見えてきます(笑)

もちろん今回の個体に関してのみ指摘するなら、もしかしたらこれら14箇所 (全部で42箇所) のイモネジ締付痕が残った最大の要因は「過去メンテナンス時の整備者が光学系第3群の向きをミスッて格納したから???」とも言えますが、そうは言っても14回も実写確認する中で、もっと早いタイミングで気づけョ!・・と言いたいです (結局気づけずにそのまま組み上げてしまうところが、変に潔い)(笑)

皆さんは光学系内がシッカリ真っ黒になっていることに執拗にこだわり続けますが(笑)、如何せんその結果「光路長を逸脱した写り」に至っていたのなら、何だか本末転倒なのではありまんか???・・と思うのは、きっと当方だけなのでしょう (クソな転売屋/転売ヤーのひとりごとです)(涙)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑今回は残念ながら『ジャンク扱い出品』ですが、オーバーホール作業自体はちゃんと完了しています(汗)

当初バラす前時点の実写確認でピント面が浮いていてフワフワ写り、収差しまくりの写りだったのに反し、なかなかの端正な写り具合に戻りました(笑)

市場流通品の光学系の状態があまりにも酷すぎるので、今後の調達を諦めました。従って今回の扱いが最初で最後になる為「独特な滲み方をする写り」にもしもご活用頂けけるなら、是非ご検討下さいませ。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

中を覗き込むとご覧のようにコバ端の浮きがポツポツと白っぽい点状に見えますが、この多くは光学系第2群貼り合わせレンズの貼り合わせ面に存在する浮きなので、一旦剥がして再接着でもしない限り解消しません(汗)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後群側もスカッとキレイになり、LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:11点
後群内:13点、目立つ点キズ:9点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大18mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
光学系前群内コバ端に僅かな浮きがあります。撮影した写真に影響は現れません。
(覗き込むとポツポツと白い点状が視認できます)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
絞り羽根が閉じる際ほぼ正六角形を維持しながら閉じていきますが僅かに歪です
距離環操作時に再現性が非常に低いものの稀にトルクムラが現れますが、操作しているうちに解消します(内部見えないので原因不明)
絞り環操作時に開放側が少々硬めの操作性でその際しっかり確実に操作しないとかちっとクリックして、ハマりません
付属Fotodiox製MB→SONY Eマウントアダプタは新品を付属していますがバヨネットマウント爪の切削の関係からオールドレンズを装着すると極僅かな遊びが現れます。具体的には距離環操作時に左右方向に極僅かな遊びが現れます
(製造メーカーの問題の為クレーム対象にしません)

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「実用品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
純正金属製被せ式前キャップ (中古品)
本体『AUTO MIRANDA 28mm/f2.8《初期型》(MB)』
Fotodiox製MB→SONY Eマウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製SONY Eマウント後キャップ (新品)
クリーニング用ファイバークロス (新品)

付属した専用マウントアダプタ (SONY Eマウント規格品) は、米国のFotodiox製ですが、以前の製品は「オールドレンズを装着する際、ロックするのがとても硬かった」ものの、今回の製品はそれが改善されています。

・・と喜んだのですが、実は「設計上、マウントの爪の切削が不適切だったのを削っただけ」である為に、今度は削りすぎて「ピント合わせの前後微動時に (左右微動時に) ピント面が僅かにガタつく/振らつく」始末で、何ともアメリカ人らしい対処方法です(涙)

以前の製品なら、当方がいちいち個別に問題の爪を削って対応していたので、このようなガタつきが少なかったのですが・・残念です(涙)

もちろん製造メーカーの問題なので、長さが足りない金属材を伸ばすことは不可能なのでクレーム対象にしません (当たり前です)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離28㎜開放F値f2.8被写体までの距離11m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度6m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、10m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の20m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離25cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

広角レンズなので画角が広いですが、撮影に使っているミニスタジオの背景紙が歪んでいる為、模型のお城の背景紙が一律に (端正に) 写っていません。しかしこれはオールドレンズ側光学系の格納や組立工程の問題ではありません。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。