〓 WEIST FOTO AB (ヴァイスト・フォトAB) AUTO WEISTAR 55mm/f1.7《前期型:富岡光学製》(M42)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、スウェーデンは
WEIST FOTO AB社製標準レンズ・・・・、
『AUTO WEISTAR 55mm/f1.7《前期型:富岡光学製》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
つい先日同じモデルをオーバーホール済でヤフオク! 出品しましたが、実は手に入れた際の前オーナー様よりもう1本手に入れる事ができました。この場を借りて感謝致します・・ありがとう御座います!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計で当時CHINONが供給した標準レンズ「AUTO CHINON 55mm/f1.7 (M42)」を筆頭とする括りで捉えると累計で40本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」の中で
、且つレンズ銘板に刻印されている「WEISTAR銘」だけでカウントすると2本目の扱いです。
このオールドレンズのレンズ銘板に刻印されているブランド銘「WEISTAR (ヴァイスター)」の由来や (一部サイトで説明されているウェイスターの発音でもヴェイスターでもありません)、このモデルの輸出先国たるスウェーデンで当時扱っていた会社名の経緯など、或いはいったいどの会社が生産した (原型に当たる) オールドレンズのOEMモデルなのか、さらにそれに基づくこのモデルの描写性などなど、詳細は先日同型モデルをオーバーホール済でヤフオク! 出品した際の『AUTO WEISTAR 55mm/f1.7《前期型:富岡光学製》(M42)』のページをご参照下さいませ。
当方では前述のとおり当時のチノン製標準レンズ「AUTO CHINON 55mm/f1.7 (M42)」を原型としたOEMモデルを今までに数多く扱っていますが、特にこのオールドレンズの描写が優れているからず〜ッと扱い続けているワケではありません。むしろ今では「富岡光学製」と語ると銘玉の如く聞こえるのかもしれないとの懸念も多分に感じつつも(笑)、そんな事柄はどうでも良くて「サクッと富岡光学製オールドレンズの特徴的な写り方を楽しめるモデルだから」と言うがホンネです。
開放f値「f1.2」や「f1.4」の富岡光学製モデルも数多く扱いましたし、確かに市場流通していますが当方自身の感想として「それら明るい高速オールドレンズ達の使用に於いて敢えて使い難さ感を指摘するなら被写界深度が薄すぎて神経質に感じる」事があり、だからこそこのモデル「f1.7」が意外にも使いやすく感じたのが一番最初の印象でした。
この話についてはその後も当方のファンの方々から数人同じような感想を頂き、当方も自分の受け取り方が補強されたとありがたく思った事がありました。開放で撮影する事にこだわり過ぎるから使いにくく感じるのだと言われれば元も子もありませんが(笑)、オールドレンズの愉しみの一つはやはり「開放で撮ること」も重要な要素の一つとして認めてあげるべきではないかとの思いが強いので、敢えてこのような指摘をしているところです(笑)
また市場流通している原型モデルたるチノン製を手に入れれば良いではないかとの考え方もありますが、OEM先の指向により光学系コーティング層の蒸着レベルに相違がある点を別にしても、むしろ特にチノン製にこだわりがありません(笑) どちらかと言えばいろいろなOEM先ブランド銘のほうがオモシロイという感覚も確かにあるので、筐体外装が同じで単にすげ替えただけのレンズ銘板 (とその刻印ブランド銘) が違うだけの話と言うのも、ある意味「所有欲を充たす一つの要素」にもなり得ると捉えています。
距離環ローレット (滑り止め) が合皮革なのかラバー製なのかのこだわりが在っても良いと思いますし、要はオールドレンズの何に、何処に魅力を見出しても良いと思うのです。その意味で必ずしもその描写性だけに重点的に着目しすぎるのも如何なものかとのひねくれた思いが、むしろ強かったりしますね(笑)
なお前回扱った個体と比較して今回の個体は「光学系内のコーティング層蒸着に違いがあった」ことを後で解説します。
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『AUTO WEISTAR 55mm/f1.7《前期型:富岡光学製》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。前回に続き「富岡光学製」のスウェーデン向けOEMモデルですが、手持ちの2台がこれで終わります。なかなかスウェーデン向けの個体だけを狙い撃ちするのも大変なので、改めてご提供者様にお礼申し上げます!
逆に指摘するなら、市場流通品の多くの個体で「特に富岡光学製オールドレンズは光学系内に致命的なカビの発生が多い傾向」でもあるので、これら手に入れられた2本は本当にありがたかったです。
また数人の方々から感想を頂きました「富岡光学製オールドレンズの写りを楽しめる」或いは「初期の頃の合皮革ローレット (滑り止め) が欲しかった」さらに「このモデルは後玉に当てキズ/擦りキズが多い」のも間違いない事実なので (何故なら後玉が突出しているから∞のままで下置きするとアッと言う間にキズが付く) やはり気に入って探していらっしゃる方々の「所有欲を充たす内容とはいろいろあって然るべき」との思いが強くなります。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う「極薄いクモリすら皆無」です。
そして冒頭でお話したように今回のこの個体だけが「光学系内の一部の群の蒸着コーティング層が違っていた」事実を掴んだのでここで解説しておきます。
このモデルの光学系は5群6枚のウルトロン型ですが (原型のチノン製モデルと同一の光学設計)、そもそもはたしてチノン製モデルが本当に「原型」と謳って良いのかが当方の中ではいまだに疑念を抱いたままです (右図は以前完全解体した際に当方の手でデジタルノギスを使い光学系各群を逐一計測してトレースした構成図です)。
と言うのも以前ですがチノンの工場設備を調べていた時に富岡光学がOEMモデルを製産していた時期に「チノンでは8mmカメラのほうがむしろメインで製産していた」時期に重なっていたのを掴んだからです。
つまりチノンの工場に「オールドレンズの製産に適うべく相応の規模の光学硝子溶融解設備が整った時期」が富岡光学よりももっともっと後だったからです。
そこから当方の捉え方としては「当時のチノンでは8mm向け製品のほうが圧倒的に中心的で一般向けフィルムカメラ用オールドレンズはOEM品を手に入れていた」との考え方に集約したのです。さらにチノンではその後8mm向け製品のブームが極端に低下し始めると今度はコンピューター向け製品や磁気記録装置関係の製産に多角化していったので、当方の捉え方としては「チノン製オールドレンズの多くはOEM製品だった」としか考えていません (純粋にゼロから起こした純正品のオールドレンズは当時なかったのではないか?)。
従って今回のモデルも確かに「富岡光学製OEMモデルの一つ」なのですが、チノンのオールドレンズが原型なのだとする一部サイトの捉え方には少々疑念が残ったままなのです。
さて、それを踏まえた上で考察すると「今回の個体は光学系第2群のコーティング層蒸着が前回の個体と違っていた」のを掴んでいます。ところが前回扱った個体とは「レンズ銘板刻印の製造番号が僅か600番ちょっと前の個体」でしかなく、例えばこれが1万台も番号が若ければコーティング層蒸着の相違も素直に納得できるのですが、わずか600本程度での相違となれば正直なところ「???」です(笑)
しかし明らかに光学系第2群の蒸着コーティング層はこの同型品の中では珍しい「 マリンブル〜 」に近い反射でした。確か過去にも2〜3本同じ色合いのコーティング層蒸着が施してあった個体があったと思います。全部で5つの群で光学硝子レンズが格納されているのにこの第2群だけにブル〜系の蒸着を施しているので、実際に外から観ると「角度によって微かにブル〜の反射が外周附近に見え隠れする程度」ですからなかなか言われないと気づけないかも知れません。
またさらに時代が下ると「原型モデル」と揶揄され続けているチノン製モデルもコーティング層蒸着の変化が起きて「マルチコーティング化したモデル」へと変遷し (富岡光学製OEM品であることには変化なし/既に根拠をちゃんと掴んでいるから明言できる)、その時のマルチコーティング層蒸着の色合いが「前期はブル〜系に対し後期はグリーン系」に変化したのもそれら個体をバラしているので同じ光学設計のままの5群6枚ウルトロン型だと知っています (それぞれクリック/タップするとそれら前期/後期モデルの過去解説ページが別ページで開きます)。もちろん光学系各群のデジタルノギスによる計測値もほぼ同一です (但し現実には計測誤差なのか本当はその誤差分が光学硝子レンズの設計変更なのかの非常に厳密な計測値の判定は検査機械設備を使わなければ判定できない)。
すると仮に光学系の各群の光学設計に変化が起きていなかったとしても (つまり同じ設計のまま造り続けていたとしても) 蒸着するコーティング層の変化だけで光学系内に入ってきた入射光の料理ができていたのではないか・・との憶測にまで及んでしまいます。もちろんその時「いやモノコーティングとマルチコーティングでは必ず光学設計の変化が必須だったハズ」との疑念も抑えきれず、光学知識が皆無な当方にはやはり消化不良のままが続いています(笑)
或いは当然ながらOEM指向先メーカーの趣旨に沿うなら「コストを掛けて光学設計のヤリ直しなど執らずに蒸着コーティング層の変更だけで収めていた」などと言う話も浮かんできます
・・要は光学系内に入ってきた入射光の「何を利用して何を捨てるのかの鬩ぎ合いだけ」に留めて、コストを掛けてまで入射光の料理と蒸着コーティング層の変化を追求しなかった・・とも考えられ、必ずしもモノコーティングモデルとマルチコーティング化モデルとの間に於いて「光学設計の変更は必須」とも断言できないとの思いが強いです。
・・この辺の話しは当時の担当者レベルの話しなので考えるだけ不毛かも知れません(笑)
ではいったいこの「ブル〜の反射」が撮影する写真の何に影響するのかと問われれば、おそらく第2群だけの話しなので全体の描写性を左右するほどの変化を及ぼさないと考えられるものの「特に白黒写真に於いて明部のグラデーション/階調表現を細かく残すことが適う」と期待でき、そもそも「ブル〜の反射」によって入射光の波長を延伸できるとなればグレースケール写真の世界で「明るいグレー部分の滑らかな濃淡の違いをシッカリ記録できる」との考察にも至り、詰まるところ白黒写真を好んで撮っている人には相当有利な話しになると思います。
一世代昔の古い時代/初期の頃の特に日本製オールドレンズの多くのモデルが「プルシアンブル〜のコーティング層蒸着」だった事を思い起こせば、入射光の波長を延伸させてできる限り後玉まで明るさを保ちたかった (光学設計者の) 強い意志の表れなのが納得できると言うものです。
もちろん別に白黒写真だけの利点ではなくカラー写真でもその効果は同じく期待できますが、カラー成分になるとどのように影響するのかを特定するのが難しいので写真を観て判断できる違いほど顕著に表れないと思います。これは総天然色のカラー成分が白黒写真のグレースケールの世界になると「カラー成分を256階調のグレースケールに強制的に振り分けるから」と指摘でき、なかなかの難しさです。さらに指摘するなら「セピアカラー含めそれらグレースケールの成分に赤色 (赤っぽいグレー)/青色 (青っぽいグレー) を加減する」としても暗部方向にはなかなか明確に影響を来さないので、やはり明部だけのメリットになります。
本当は厳密に考察するなら今ドキのデジタルな記録方式が主体の時代に於けるグレースケール世界の白黒写真 (としての) カメラボデイ内記録 (256階調への振り分け) も、或いは当時のフィルムカメラに装着していた白黒フィルム印画紙に於ける256階調への振り分けについて、同じ想定の下考察するにしてもそもそもその256階調の振り分けは記録されるオールドレンズ後玉から射出した入射光の成分について「いったい何をそれら階調の境界として振り分けできていたのか?」に最終的に集約してしまいます。
もっと言うなら、今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼でもそのカメラボディ内システムでどのような入射光成分の振り分けを行っているのかがある一つの特定ルールに則っているとは限らず、各社各様なのが当然の話でしょう。
同じように当時の白黒フィルム印画紙の記録層の厚み (層の数) や記録する時のその射出入射光成分の「振り分け記録の結果」も各社各様だったハズで、詰まるところ或る会社のフィルム印画紙には明るいグレ〜として記録されて写真にそのように焼かれるのに対し、別のフィルム印画紙のブランドや種別では少々暗めのグレ〜に記録されるなど、同じグレースケール写真の世界の中でもその記録される結果 (振り分け結果) には相違が表れていたハズだからです。
蒸着されるコーティング層の色合いや、具体的に光学系内のどの群に蒸着されているのかなどからこのような考察も適うので、オールドレンズは本当にオモシロイですね(笑) 当方のような面倒くさがり屋で短気な性格だと、今ドキのデジタルなレンズの何枚も組み込まれている数多くの光学硝子レンズの説明を読んでも「???」は晴れず、むしろ消化不良に陥ります(笑)
その点オールドレンズのほうは「実装される光学硝子レンズの枚数が少ないし精製された硝子材の成分による違いも少ない」のが助かります。あ〜だこ〜だ考えて (楽しんで) 辻褄合わせにこじつけて納得したつもりになっている分には十分だと言うのが当方の捉え方です(笑)
従って光学知識が疎い分、結局のところflickriver.comなどの実写サイトで検索して、あ〜だこ〜だ感想を抱きつつ対象となるオールドレンズについて収差や発色性にグラデーションの階調表現やピント面の質感表現能力などなど、いろいろこじつけては「扱いたい気持ちが増幅される」中で勢いで手に入れてバラしてしまうほうが性に合っているのです・・(笑)
・・オールドレンズ、楽しいです!!!(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑後群側も透明度が高くLED光照射でやはり「極薄いクモリが皆無」です。後群側のコーティング層蒸着には変化がなく、前回扱った個体と同じ状況でした。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:10点
後群内:18点、目立つ点キズ:12点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大3mm長複数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチや絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① HAKUBA製MCレンズガード (新品)
② 本体『AUTO WEISTAR 55mm/f1.7《前期型:富岡光学製》(M42)』
③ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
④ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
一応附属品の前後キャップは新品をちゃんと手に入れて附属していますが、そもそも生産国が「中国」なので初めて開封したにしては意外と汚れていたり削れていたりなどいろいろあります。そもそも附属しているHAKUBA製フィルターからして、やはり初めて開封したにもかかわらず「フィルターの光学硝子面には微細な塵/埃が複数附着」しているのが現実ですから (やはり中国製) 新品とは言ってもなかなか期待ハズレだったりします(笑)
その分距離環のローレット (滑り止め) など凹凸の合皮革も一度剥がしてから再貼り付けし、その時にちゃんと中性洗剤で洗浄しているので経年の手垢なども残っていません。
内部は過去メンテナンスが2回施されていて、一番最初は数十年前で「赤色の固着剤を使っていた時代」その後の「ブル〜色の固着剤の時代」と2回施されているのが分かります。また塗布されているグリースは「白色系グリース」だったので近年2回目を施したのも間違いなさそうです。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
ご覧のように手前ミニカーのさらに手前側ヘッドライトの電球部分にシッカリピント合わせてしているのですが、被写界深度が狭すぎるのでまるでボケボケにしか見えません(笑)
ピントが合う瞬間は「スパッと瞬時に合焦しすぐにボケ始める」特徴があるオールドレンズなので、ちゃんと簡易検査具ですが検査しながら光学系の組込も終わらせているので、そのような特徴が仕上がり後でも操作していて掴めます。
↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。ほとんど被写界深度も変化がないので相変わらずボケボケに見えますが、ピント面はちゃんと合焦状態です(笑)
↑さらに回してf値「f4」で撮影しました。この段になるといきなしキリキリッとピント面の鋭さが上がってきます。
↑f値は「f5.6」に上がっています。相当ピント面の鋭さが増して被写界深度も広がってきています。
↑f値「f8」です。このモデルの一番美味しいf値ですね(笑)
↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が現れ始めていてそろそろピント面の解像度低下が現れています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。