◎ CHINON (チノン) AUTO CHINON MILTI−COATED 55mm/f1.7《後期型》(M42)

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今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、CHINON製
標準レンズ『AUTO CHINON MULTI−COATED 55mm/f1.7《後期型》(M42)』です。


当時『富岡光学』が手掛け非常に多くのブランド銘で世界中にOEM輸出していた標準レンズ「55mm/f1.7」シリーズです。当方がこのモデルに目を付けたのは2014年からですが、いまだに市場の評価が低く当時の流通価格帯のまま底値で這いずり回っている不遇なオールドレンズです(笑)

富岡光学製』としての画造りをサクッとバランス良く堪能できる「トミオカの味」を凝縮したモデルとして当方では評価していますが、なかなか皆様には認識されず哀しい限りです。


↑上の写真は今までに当方で扱った同じ「富岡光学製OEMモデル」を列挙してみました。
(いずれもM42マウントのモデルでA/M切替スイッチ装備)

上段左端「AUTO REFLECTA 55mm/f1.7 (M42)」だけが内部構造から判定できる「前期型」であり、その他のモノコーティング (コーティング層の光彩がアンバーパープルの) モデルは
すべて「中期型後期型」です。

また下段右の2本だけが光学系を覗き込んだ時に見る角度によって「濃いグリーン色の光彩を放つマルチコーティングです。

従って、どういうワケか『富岡光学製』のこの焦点距離「55mm/f1.7」だけは、マルチコーティングとなるとこのCHINON製しか存在しません (開放f値f1.4モデルには海外ブランド品が富岡光学製OEMモデルとしてマルチコーティングのモデルが供給されていた)。

なお、日本国内のヤフオク! に於ける市場評価とは異なり、海外オークションebayでは評価されていてモノコーティングのモデルの市場価格は相応ながら、マルチコーティングとなると価格が高騰しており1万円台〜2万円台後半辺りまで推移しています。

まるで宝石箱を見ているが如くコーティング層の放つ光彩が綺麗ですが、モノコーティングならアンバーパープルに光り輝きますし、マルチコーティングならパープルアンバーです。
つまりモノコーティングだとアンバーが主体でマルチコーティングパープルですが、一部のマルチコーティングには見る角度によりブル〜グリーンの光彩を放つモデルがあります。

今までに扱ってきてこのブル〜グリーンの光彩を放つマルチコーティングのモデルは、ハッキリ言って希少です (つまり市場に流れているのは圧倒的にアンバーパープル/パープルアンバーが多い)。

たかがコーティング層が放つ光彩の色合いですが、このブル〜グリーンの光彩は、当時MINOLTA製オールドレンズが「緑のロッコール」と俗に呼ばれていたように、或いは実際のミノルタのカタログに記載されているように「アクロマチックコーティング (AC) 」の効果を狙った設計なのではないかと考察しています。当時のMINOLTAでは「人の目で見た自然な色再現性の追求」とも案内されていました (左赤色ライン)。

もちろん『富岡光学製』とすればMINOLTAの「アクロマチックコーティング (AC) 」が蒸着されている事はあり得ませんが、それに近い目的で蒸着してきた「第三のコーティング層」なのがこのブル〜グリーンの光彩の正体 (狙い) ではないかと考えています (そのように考えないと3色目の光彩をワザワザ蒸着してきた理由が説明できない)。

MINOLTAの「アクロマチックコーティング (AC) 」との相違は「薄膜コーティング層」ではない点です。MINOLTAの場合は経年劣化の進行により「グリーン色のコーティング層」だけが清掃時に剥がれ、その下から普通のパープルアンバーマルチコーティング層が出現しますが富岡光学も含めて他社光学メーカー品では「グリーン色のコーティング層蒸着そのモノ」です (つまり仮に剥がれたら下は無色透明)。今まで実際に光学系を清掃してきて検証済です。

従って、当時MINOLTAの「アクロマチックコーティング (AC) 」技術が世界初の「薄膜コーティング層技術」であった点を考慮すればライカが技術提携してまで協業したのも納得できますし、CONTAX版CARL ZEISS製オールドレンズに多く見られるグリーン色のコーティング層も理に適っています。

つまりマルチコーティング化により解像度の向上と諸収差の改善を狙いつつも、同時に「自然な色合いの発色性」を追求した考え方だったのかも知れません。それは裏を返せば「違和感を感じないカラーコントロール (色表現性)」とも言えます。

何故なら、コーティング層技術そのものが光学硝子レンズの表面反射で失われる4%分 (片面) の入射光減衰を防ぐ目的で発展した技術 (面数 x 4%が減衰) であり、光学系内に入ってきた入射光を総天然色で写真に記録しようとした時、光を「 () の三原色」として「」成分でコーティング層を蒸着し、光学硝子レンズ表面で反射せずにそのまま透過させる概念だからです (だからその成分の混ぜ合わせとしてアンバーパープル/パープルアンバーの比率になる)。

これは例えば現在のデジタルでは「RGB ()」或いは最新技術で「RGBY ()」による総天然色の表現/発色になりますね(笑) 最新技術で「Y ()」を4色目として採り入れた理由は「輝度の確保」です (4K/8K技術で既に利用されている)。絵の具で実験すると分かりますが、全ての色を混ぜ合わせると黒色になります。黒色の反対色は白色なので明るさを上げようとした時、白色を強くすると彩度が下がりコントラストが低下します (黒色の反対色だから)。コントラストや色再現性を低下させずに明るさだけ増幅させる考え方が「Y ()」を使う概念ですね。

すると、今でこそ「RGBY ()」ですが、この当時の一部マルチコーティング化されたオールドレンズにも同じ「RGBY ()」の考え方が (ある意味共通概念として) 使われていたとしても至極納得できる話ではないでしょうか (自然な色再現性の追求と言う意味)。

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今回扱うモデルも『富岡光学製』と当方は捉えているのですが、そのように案内すると「何でもかんでも富岡光学製にしてしまう」とSNS等で批判対象になるようです(笑)

その根拠の基になるモデルがあり、レンズ銘板に刻印されている発売メーカー刻印以外に「TOMIOKA」銘を刻んでいるいわゆる「ダブルネーム」のオールドレンズが存在します。

AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)」の特異的な構造要素から判定しています (右写真は過去オーバーホールした際の写真)。

具体的には『富岡光学製』の構造的な要素 (特徴) として大きく3点あり、いずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。

上記3点は今までに2,000本以上のオールドレンズを扱ってきて、富岡光学以外の光学メーカーで採っていない設計なので『富岡光学製』判定の基準としています。

今回のモデル『AUTO CHINON MULTI-COATED 55mm/f1.7《後期型》(M42)』は、上記判定ののみ適合しており、当時のM42マウント規格のオールドレンズ中で同一の設計仕様品は存在しません (外観だけではなくバラした上での内部構造面から判断)。

【チノン製一眼レフカメラ】(M42マウントモデルの発売年度別時系列)
CHINON M-1:1972年発売 (GAF L-17)
CHINON CM:1974年発売 (GAF L-CM/aurgus CR-1)
CHINON CE MEMOTRON:1974年発売 (GAF L-ES/SEARS 2000)
CHINON CX:1974年発売 (GAF L-CX/argus CR-2)
CHINON CXII:1976年発売
CHINON CS:1976年発売 (?)
CHINON CEII MEMOTRON:1976年発売 (GAF L-ESII/argus CR-3)
CHINON CE-3 MEMOTRON:1977年発売
CHINON CM-1:1978年発売 (?)
CHINON CM-3:1979年発売
CHINON CS-4:1980年発売

ネット上を検索しても当時チノンが発売していたフィルムカメラのwikiがありません。主要のモデル発売時期などを調べて時系列でまとめたのが上の列記です。

発売されていた各フィルムカメラの取扱説明書を調べて、そのオプション交換レンズ群の一覧に今回のモデルが載っていれば、そのタイミングが発売時期だと判明します。

右写真はの「CEII MEMOTRON」で1976年時点で発売されていた
フィルムカメラです。

すると取扱説明書のオプション交換レンズ群は左写真のとおり、一世代前の合皮製/ラバー製が距離環ローレット (滑り止め) に巻かれていた「銀枠飾り環」の頃のモデルばかりです。

今回のモデルの一世代前がセット用標準レンズとして販売されていた事が分かります (実際に取扱説明書は一世代前のモデルを使って説明が記載されている)。

一方翌年の1977年に発売された「CE-3 MEMOTRON」の時点では、取扱説明書をチェックすると距離環のローレット (滑り止め) がラバー製に変わっています。

実際に印刷されている当時のカタログから抜粋した標準レンズ群のオプション交換レンズ一覧が左です (ちゃんと「55mm/f1.7 MC」が記載されている)。この事からから今回のモデルの発売時期は1976年時点だと結論できますし、もっと言えばマルチコーティングだけではなくモノコーティングのモデルも併売されていたとも言えます (f1.7の記載が別にあるから)。

さらにこのカタログ抜粋の中で興味を引かれるモデルがあります。「50mm/f1.7 MACRO」が併記されています。

左写真がそのモデルで「CHINON 50mm/f1.7 MACRO multi coated (M42)」です。

一見すると『富岡光学製』のように見えますが(笑)、実は過去にバラしており「コシナ製」である事を確認しています。
(富岡光学製を示す内部構造や構成パーツが皆無)

このモデルは「最短撮影距離27cm」でありレンズ銘板に「MACRO」刻印があるとおり、1/3倍撮影が可能なまさに「疑似マクロレンズ」と言えます。

するとここで思い浮かぶオールドレンズがあります。

左写真はスイスのPignons S.A. (ピニオン) 社が発売していたフィルムカメラ「ALPAシリーズ」用に同じくスイスのKern-ARRAUが供給していた「MACRO-SWITAR」の後継モデルの一つで「AUTO-ALPA MULTI-COATED 50mm/f1.7 FOR ALPA SWISS (M42)」です。

一方左写真も同じ諸元値の「最短撮影距離27cm」でありレンズ銘板に「MACRO」刻印がある、1/3倍撮影が可能なまさに「疑似マクロレンズ」ですが旧西ドイツのPHOTO PORST製です。

この2本はまだ扱った事がありませんが、どうもコシナ製の臭いが
プンプンするので扱う気持ちになれません (当方はコシナ内製モデルが構造面で大嫌いだから)(笑)

前述のAUTO-ALPAが50万円越えでヤフオク! に出品されていたりしますが、全く同じカタチ (諸元値) のPORST製は海外オークションebayでは3万円前後だったりします。バラしたことが無いので内部構造を知りませんが、はたしてALPAである事に50万円の差の価値があるのでしょうか・・???(笑)

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型1972年発売 (?)
A/M切替スイッチ:基準「」マーカー右奥
距離環ローレット:幾何学模様
銀枠飾り環:有
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

中期型-I1974年発売 (?)
A/M切替スイッチ:基準「」マーカー左端
距離環ローレット:エンボス加工/薄型
銀枠飾り環:有
コーティング:モノコーティング
コーティング層光彩:アンバーパープル

中期型-II1976年発売 (?)
A/M切替スイッチ:基準「」マーカー左端
距離環ローレット:幾何学模様ラバー製/薄型
銀枠飾り環:有
コーティング:マルチコーティング
コーティング層光彩:グリーン含む3色

後期型1977年発売
A/M切替スイッチ:基準「」マーカー左端
距離環ローレット:幾何学模様ラバー製/薄型
銀枠飾り環:
コーティング:マルチコーティング
コーティング層光彩:グリーン含む3色

上記モデルバリエーションで発売年度の検証がまだできていません。パッと見の外観上で距離環のローレット (滑り止め) だけを見てしまうと「前期型」が「中期型」以降に受け取られがちなのですが、実は内部構造に一部相違があり「A/Mスイッチ機構」の設計が全く違います。
そもそもA/Mスイッチ位置が「中期型後期型」とは反対位置であり、且つ内部設計が異なり上位格の開放f値「f1.4」モデルの内部構造から検証すると、まさに「前期型」の構造と一致する為に上のようなバリエーションとしています (外観上の特徴はマウント部カバーがシルバーな梨地仕上げなのですぐに分かる)。

マウント部カバーをシルバーな梨地仕上げにするか鏡胴と同じ黒色にするかは容易に変更できるので、バリエーションを違えるには説得力がありません。ところが内部構造が異なるとパーツ点数のみならず最も影響度が高い「工程数の管理」に相違が顕れるので、それはむしろバリエーションの相違と捉えなければ逆に説明のしようがありません。

なお、ネット上を見るとレンズ銘板と光学系第1群 (前玉) 締付環との間に隙間が空いているモデルを別のモデルバリエーションと捉えている場合がありますが、これは「単に組み上げ手順をミスっただけ」であり、正しいのは隙間が空かずに砂やチリの侵入を防ぐようピタリと互いが接触している (面一の) 状態です。



上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して円形ボケや背景ボケへと変わっていく様をピックアップしていますが、上位格の開放f値「f1.4」モデルが5群7枚のビオター/クセノン型光学系構成に対し、下位格である開放f値「f1.7」モデルは5群6枚ウルトロン型構成です。すると真円でキレイで明確なエッジを伴うシャボン玉ボケの表出が苦手なのですが、意外にもまともに表出させられます。但し開放ではピント面のエッジに微細なハロが伴いやすいので、それをむしろメリットとして活用するのが今ドキのインスタ映えには良いのかも知れません(笑)

二段目
その微細なハロを伴うピント面のエッジにプラスして富岡光学製OEMモデルの描写特徴が重なると左端のようなオドロキの1枚になります。まるで内部から光り輝いているが如く浮き立つ赤色の発色性が素晴らしいです。ピント面に対して被写界深度が浅い (狭い) ので、アウトフォーカス部がすぐに破綻して収差の影響を受け汚く滲んでいきます。これを上手くコントロールすると絶妙なボケ方のオモシロイ1枚が撮れるかも知れませんね(笑)

その意味で、収差ボケは何でもかんでも悪者扱いしてはせっかくのオールドレンズの味が (醍醐味が) 魅力半減です。

三段目
開放f値「f1.7」の廉価版モデルでこれだけ人物/人肌をリアル感タップリに表現できる事がまたオドロキです (少なくも当方は感心してみています)。それもそのハズで海の写真のようにダイナミックレンジが相当広いので、且つ被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力に長けている『富岡光学製』OEMモデルの特徴が相まり、様々なシ〜ンをそつなくバランス良くまとめてくれます。

光学系は5群6枚のウルトロン型構成で、当初のモノコーティングモデルの構成図が右になります。上位格の開放f値「f1.4」モデルと比べると後群側で屈折率を上げる必要性が低いので (f1.7だから)、前群側を分割したウルトロン型構成で設計してきたとも考えられますが、単なる4群6枚のダブルガウス型にしてこなかったところが拘りなのでしょうか。

マルチコーティングになると解像度の向上と共に諸収差の改善度合いが増すので必然的に光学系は再設計されます。各群のサイズも厚み/曲率など全てがビミョ〜に異なります。

例えば第1群 (前玉) の外径サイズは⌀33.5mmから⌀33.48mmに変わりますし、もっと言えば第4群の貼り合わせレンズが全く別モノです。

今回バラして清掃時にデジタルノギスで計測しほぼ正確にトレースした構成図です。
当方が計測したトレース図なので信憑性が低い為、ネット上で確認できる大多数の構成図のほうが「」です (つまり右図は参考程度の価値もない)。
(各硝子レンズのサイズ/厚み/凹凸/曲率/間隔など計測)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。バラしたパーツを洗浄した後、当方による「磨き研磨」を施し再び洗浄してから撮影で使っている小道具の楢材のお盆に並べて撮影しています。

ご覧のようにピッカピカに磨き上げていますが、これは「ピッカピカにする」のが目的ではなく経年劣化で生じてしまったパーツ表層面の酸化/腐食/錆びを除去する事で「平滑性を確保する」のが目的です。

それによって「不必要なグリースを排除できる」ことになり、逆に言えば今後の使用で将来的にオールドレンズ内部に廻ってしまう「揮発油成分」の光学系内への侵入量を、可能な限り低く抑える事が最大の目的です。

それは経年の揮発油成分が原因で「光学系内のカビ発生」或いは「コーティング層の経年劣化進行」を極力避けるためでもあり、今後さらに数十年〜半世紀に渡り使う「延命処置」と当方では受け留めています。

このような処置を当方では「DOH」と命名し処置しています。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。鏡筒側面には「微調整キー」と言うパーツが備わっていますが、これは「絞り羽根の最小絞り値側」の開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量) を広げたり小さくしたり微調整する役目になります。

この説明だけですぐに理解した方は相当な技術スキルをお持ちです(笑) このモデルは「開放側の絞り羽根位置を微調整できない」ことになります。つまり開放f値「f1.7」に絞り環を回してセットしてある時、絞り羽根が極僅かに顔出ししていたらそれを修復する事ができません。

では、どうして顔出ししない個体、或いは顔出しする個体があったりするのでしょうか?

その原因は、過去メンテナンス時の整備ミスや調整の不適切ではなく「絞り羽根のキーの変形」です。本来絞り羽根に対して垂直状に打ち込まれて、それを維持しなければイケナイ「キー」が垂直状態を維持できずに「絞り羽根の開閉角度が変化してしまった」為に開放時に極僅かな絞り羽根顔出しに至ります。

その微調整機能が用意されていないとなれば、このモデルの場合開放時に絞り羽根が顔出しした個体が流通するのも納得と言うことになりますね(笑)

要は内部構造 (設計) を基に判断しなければイケナイので、何でもかんでも整備ミスとは限りません。

ちなみに「キー」が垂直状態を維持できなる原因は「経年の油染み放置」しかあり得ません。絞り羽根に油じみが生じていても問題なく絞り羽根が開閉していれば気にしない人が多いですが(笑)、実はその状況が続くと「キーが変形」する為に (垂直状態を維持しなくなる為に) 絞り羽根の開閉角度が変わってしまい、一部/全部の向きに変化が現れて開放時の顔出しに至ります。製産時にプレッシングで打ち込んでいる以上、それを手 (指) のチカラでムリに垂直状態に戻そうとすると「下手すれば脱落してしまう」ワケで、それはそのまま「製品寿命」に至ります (一度脱落したキーは二度と戻せない)。

そんな恐ろしい結末に至る因果関係が「絞り羽根の油染み」なのですが、意外と無視している人が多いですね(笑) 下手すれば整備でさえも絞りユニットを解体せずに「溶剤漬け」或いは「綿棒で拭くだけ」の整備者がいまだに居ますから、恐れ入ってしまいます (この場合界面原理で必ず油成分が残ったままになる)(笑)

よく整備で必要ない箇所は完全解体しないと誇らしげに謳っている場合がありますが(笑)、そういう整備者に限って「界面原理」を全く知りません(笑)

↑距離環やマウント部を組み付ける為の基台です。

↑真鍮製 (黄銅) のヘリコイド (メス側) を、無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑ヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑完成したヘリコイド部 (基台) に鏡筒をストンと落とし込み「締付環」で前玉側方向から締め付け固定すれば鏡筒のセットが終わります (グリーンの矢印)。

なお上の写真ブルーの矢印のとおり、当方の「DOH」では「直進キーや直進キーガイド (溝) にグリースを塗らない」事がほとんどです。距離環を回すことでこの「直進キーガイド (溝)」部分を「直進キー」がスライドして行ったり来たりしますが (それによって鏡筒が繰り出されたり収納したりしている仕組み)「原理原則」に則って考察すれば自ずとその理由が明白です。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

つまり、距離環を回した時のチカラが「直進キー」に伝達され、その伝達されたチカラで鏡筒が繰り出したり収納したり前後動していますが、その伝達されたチカラを「直進キーの部位に留めてしまう」とそれは「距離環を回す時の抵抗/負荷/摩擦になる」ことが分かります。

それはそのまま「距離環を回すトルクが重い」と言う印象を伴うので、軽い操作性を実現しようと考えれば「直進キーの部位にはチカラを留めてはイケナイ」ことになります。

それゆえ、たいていの過去メンテナンス時はこの「直進キー」にビッチリグリースを塗ってしまうのですが、経年で酸化/腐食/錆びが生じて「直進キーの抵抗/負荷/摩擦が増大する」因果関係を用意しているようなものです (ほぼ間違いなくたいていの真鍮材は酸化/腐食/錆びが生じてしまう)。

しかしよ〜く考えると「直進キー」によってチカラの方向性が変化するので、距離環を回した時のチカラは「直進キーに留まらずそのままヘリコイド (オス側) が直進動するチカラへとすぐに伝わってしまう」事になります (つまり鏡筒が前後動する)。

と言うことは、単に平滑性を確保してあげればグリースを塗る必要性すらないと言えますね (実際当方はグリースを一切塗らない)(笑)

左写真は実際に「締付環」で鏡筒を締め付け固定したところです。

このように1工程を使ってワザワザ「締付環」による締め付け固定にせずとも、鏡筒をダイレクトにネジ止めしてしまえば楽なように考えますが(笑)、どうしてこのような設計にしたのかよく分かりません。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮っています。当初バラした直後はこのマウント部内部にも過去メンテナンス時の「白色系グリース」が塗られており、一部パーツは揮発油成分で酸化/腐食/錆びが生じていました。

↑取り外していた構成パーツも個別に「磨き研磨」を施しセットします。マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①)、その押し込まれた量の分だけ「開閉アーム」が移動します ()。

重要なのは「絞り連動ピンが押し込まれた量の分だけしか開閉アームは動かない」点です。これを非常に多くの方々が勘違いしています (理解していません)。

絞り羽根の開閉に不具合があると、たいていの人は絞り環をガチャガチャ操作しますが、その時に変化しているのは「開閉アーム移動範囲の設定」だけであり、そもそも設定絞り値まで絞り羽根の角度を変化させる量のチカラの伝達が成されていなければ、どんなに絞り環を回しても絞り羽根は期待通りに閉じません。

何を言いたいのか?

多くのオールドレンズで絞り羽根は「常時開こうとするチカラ」と「閉じようとするチカラ」の2つのチカラバランスの中で適正な開閉動作をする概念です。すると、上の写真で言えば絞り連動ピン機構部に附随する「捻りバネ」と、一方「開閉アームに附随するスプリング」の
2つのチカラバランスで絞り羽根の開閉が行われている事になります (グリーンの矢印)。

この種別の異なる「捻りバネ/スプリング」の一方、或いは両方が弱ってしまうと途端にチカラバランスが崩れて「絞り羽根の開閉異常」に繋がります。

従って、このマウント部内部の各構成パーツの動きを滑らかにしようとグリース塗布するのは「禁じ手」であり、経年による各パーツの酸化/腐食/錆びは特に「捻りバネ/スプリング」のサビと経年劣化による弱りを防ぐ意味からもゼッタイにしてはイケマセン (と言ってもまず過去メンテナンス時に塗られていない事がありませんが)。

その意味で、いわゆるその場限りの「グリースに頼った整備」が罷り通っているのが現状です (組み上げてしまえば外から分からない)。

↑完成したマウント部を組み付けますが、後からセットできないので「指標値環」を入れておきます。

↑鋼球ボールを埋め込んでから絞り環をセットします。このモデルは絞り環の駆動域微調整機能が無いので、単にセットするだけです。

やはり鋼球ボールをセットしてから「スイッチ環」を組み付けます。

A/Mツマミを動かすと小気味良く確実に「自動 (A)/手動 (M)」が切り替わり、同時にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」も格納されたり飛び出てきたりします。

↑ようやく出てきました。冒頭の解説で『富岡光学製』の証と判定したの解説です。マウント部のスイッチ環用「メクラ (カバー)」を横方向からイモネジ (3本) を使って締め付け固定する方式を採っていたのが富岡光学だけだからです (グリーンの矢印)。

例えばこのように「メクラ (カバー)」が存在するオールドレンズは他にもたくさんありますが、それらはイモネジで締め付け固定せずにダイレクトに「メクラ (カバー)」がネジ込み式でセットされます (つまりネジ山が備わっている)。或いはマウント面側に締め付け用のネジが3本入るモデルも数多く存在しますし、締付環 (リング/輪っか) で締め付けて固定する方法を採っている場合もあります。

↑ここでやっと「指標値環」をイモネジ (3本) で締め付け固定できます。この時、固定位置をミスると絞り環を回した時のクリック感と設定絞り値とがチグハグになったりします(笑)

↑距離環を仮止めしてから光学系前後群を組み込んで無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑撮影した写真が僅かにマイルド感を帯びるモノコーティングのタイプも良いですが、解像度が向上し諸収差の改善度も上がったマルチコーティングのタイプを使うのも被写界深度が浅い (狭い) 分、扱い易さにも繋がります。すると撮影時に絞り値や (つまりボケ味や) 撮影距離 (つまり画角の相違) などにトライする心の余裕が生まれるワケで、単なるコーティング層が放つ光彩の違いだけで片付けられる話でもありません。

もちろん上位格の開放f値「f1.4」モデルの光学系構成とも異なるので、また違う写りを愉しめるワケで「f1.4/f1.7」の2本を入手する方もいらっしゃいますね。

特にこのモデルは先日オーバーホール/修理で承った『疑似マクロレンズ』たる、最短撮影距離28cmまで近接が可能な1/3倍撮影ができる『AUTO CHINON MCM 55mm/f1.7 MULTI COATED LENS MACRO (M42)』の原型モデルでもありますから、例えば「マクロヘリコイド (ヘリコイド付マウントアダプタ)」に装着してしまって『なんちゃってマクロ』を堪能するのも、それもまた一つの魅力です。

上の写真 (4枚) は、具体的に前述の原型モデルたる標準レンズ「AUTO CHINON 55mm/
f1.7」にヘリコイド式マウントアダプタを装着して撮影した実写を、その撮影者のサイトからピックアップしました (クリックすると投稿者のページを別ページで表示します)。
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

すると、左の2枚はヘリコイド式マウントアダプタの「任意の位置 (必ずしも最大に繰り出した位置とは限らない)」の時に被写体に近づいてピタリと合焦した時の写真です (本来の最短撮影距離50cmよりもさらに短い距離まで近寄って撮影)。ところが次の右2枚はそのヘリコイド式マウントアダプタの繰り出し量 (任意の位置) が適合せず、且つ同時に光学系の諸収差の影響が最大限に現れてしまった時の写真です。

つまり『なんちゃってマクロ』と言う表現をしている理由は、撮影距離や絞り値によっては光学性能が合致して左の2枚の写真のように本当のマクロレンズ撮影のような美しい写真を残せますが、必ずしもそうなる保証は無く(笑)、下手すると右2枚の写真のように光学系性能を逸脱した汚い写真に堕ちたりします。

これもオールドレンズの味の一つであり愉しみ方の一つ」と捉えられる方には堪らない話になり、決して貶すばかりのお話でもありません。要は仕様諸元値から外れた光学性能の写り方になることさえちゃんと理解していれば、そのオールドレンズをどのように使っても誰からも咎められないワケで、それがまた愉しいとも言えるのではないでしょうか。

なお「マクロヘリコイド (ヘリコイド付マウントアダプタ)」に装着して別の焦点距離のオールドレンズと同じ写真が撮れるとか、オリジナルの光学性能のまま最短撮影距離だけを短縮化できるなどと謳って整備済でヤフオク! 出品している出品者が居ますが「その説明が成り立つ光学系の解説」をキッチリ行ってほしいものです。どうして設計時点のオリジナルな描写性能を維持したまま最短撮影距離だけを短縮化できるのか、納得できる説明がない限り「ウソ (誇張が過ぎる)」だと言われても仕方ないと考えますがね?(笑)

あくまでもマクロヘリコイド (ヘリコイド式マウントアダプタ) 装着時は本来の光学性能から逸脱した描写でしかない
(オリジナルの描写性能まま最短撮影距離を短縮化できるワケではない)

↑光学系内の透明度が驚異的に高いクリアな状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群もこのレベルですから相当な透明度です。もちろんLED光照射で極薄いクモリは皆無です。

このモデルは距離環を無限遠位置「∞」にした時、左写真のとおり後玉が飛び出てきているので、不用意に下向きに置いたりすると後玉中央に当てキズを付けかねません (グリーンのライン)。

しかし、今回の個体はそれすら皆無なので相当にラッキ〜な個体だと言えます (保管状態が良かったのか?)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:8点、目立つ点キズ:4点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
・バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
光学系内の透明度が非常に高い個体です
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根か閉じる際は「完璧に正六角形を維持」します。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「重め」人によって「重め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・フィルター枠に1箇所打痕の修復箇所があります。
(過去メンテナンス時に修復されたと推察)フィルターの着脱は支障ないことを当方で確認済です。

↑『富岡光学製』OEMモデルに共通して言えますが、そろそろ光学系の経年劣化が限界に到達しているようで、光学系内にカビが発生する率が高く (光学硝子材のバリウム含有率が高いのかも知れません)、且つコーティング層の経年劣化も進んでしまった個体が市場には多く流れているので調達には神経を遣います。特に「中期型-II後期型」のグリーン色の光彩を放つマルチコーティングモデルは市場での出現頻度が少なく、海外オークションebayでの流通価格帯も2万円台後半辺りまで高騰している為、なかなか入手できません。

A/M切替スイッチ操作も確実でシッカリ絞り羽根開閉がチェンジでき、シャコンシャコンととても小気味良く切り替わります。もちろんフィルムカメラでご使用頂いても正しく駆動するのでご安心下さいませ (マウントアダプタ経由装着時も全く問題無し)。

サクッと『富岡光学製』の写りを堪能できるバランスの良さが魅力のモデルです。是非ご検討下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

なお、フィルター枠に1箇所打痕を修復した痕が残っています (過去メンテナンス時に修復したものと推察)。それでもまだ僅かに変形が残っており当初はフィルターの着脱がし辛かったので、当方にてさらに専用工具を使って修復し問題なくフィルター着脱できるよう改善させています。
(実際にフィルター着脱を確認済)

↑当レンズによる最短撮影距離50cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に変わっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響が低いので光学系の設計の良さが顕れていると考えます。

回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像力やコントラストの低下が発生し、ねむい画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞りの径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。