◆ FUJI PHOTO FILM CO. (富士フイルム) FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産は
FUJICA製標準レンズ・・・・、
FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

出品したところ今一つ人気がないと言うか、おそらくどうしても光学系の状態 (カビ除去痕や薄いクモリなど) が気になってご落札頂けないのではないかと推察し、改めて「光学系がキレイな個体を手に入れ入れ替えて再出品」しました (今まで距離環が金属製だとアッと言う間にご落札頂いていたから)・・・是非ご検討下さいませ。

まぁ〜そう言うのも人情だと思うので致し方ないのですが、しかし現実は厳しくこのモデルの光学系で「キレイな個体を探す」ことがどんなに難しくて大変な作業なのかも、きっと当方のような転売屋/転売ヤーでなければご理解頂けないのだろうと少々恨み節です(笑)

正直な話し、手元には15本近くの個体がジャンク箱の中に転がっているワケで「光学系をキレイな個体のモノに入れ替える/転用する 〓 他の部位はジャンクに堕ちて単に数を増やしているだけの話し」なのが恨み節の理由でもあります(泣)

・・ブツブツ文句垂れたところで現実は厳しいので諦めて再出品!

そのような経緯から出品個体の一部の写真も入れ替えています。当ブログ掲載写真、及びヤフオク! 出品ページ掲載写真が光学系全てを入れ替えた後の個体写真になります。

なお、これらの都合から本来「距離環だけが金属製」或いは「指標値環だけが金属製」の場合は今まで「即決価格29,500円」で出品していましたが、今回調達したキレイな光学系の個体分費用が加算されますので、必然的に出品価格が値上がりしていますので事前告知しておきます。

  ●               

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計で当時のFUJICA製標準レンズの中から「M42マウント規格品」だけに絞り (当時最後に登場したバヨネットマウント規格品のAXマウントを除外)、さらに「55mm/f2.2」の括りだけで捉えると累計で71本目にあたりますが、今回扱った個体「前期型」だけでカウントすると47本目の個体です。

さらに年間で市場に数本しか出回らない稀少品「一部金属製」だけでカウントしても今回の個体が僅か18本目で、且つ今回の個体はまた仕様が異なるモデルバリエーションだった事が完全解体して初めて判明しました (外見からは判定不可能)。

正直な処、後期に登場した1978年発売の一眼レフ (フィルム) カメラ「ST605N」のセット用標準レンズとして「廉価版格付」で登場したもののあまりにもモデルバリエーションが多く且つパーツの仕様変更が続いて「何の為に廉価版の格付にしたのか全く理解できない」ほどに後の1983年にとうとう民生向け写真機市場から撤退してしまうまでの僅か5年間で捉えるなら「到底これだけ頻繁に仕様変更していてはコスト超過で赤字なのは火を見るより明らか」と言いたくなるほどに多様です。

・・あまりのバリエーションの多さにさすがに全体像が掴めず再びまとめました。

また実はヤフオク! や某有名処のオークション出品状況などをチェックしていると (ほぼ毎日必ずチェック) 例えば「前期型/後期型」の区分けや、酷い場合は「後期型」の構造なのに「貴重で個体数が少ない初期型」など謳って出品している輩が居る始末で(笑)、さすが当方と同業者たる転売屋/転売ヤーは恥も外聞もないと恐れ入ってしまいます (当方と同じ穴の狢)(笑)

だいたい光学系の状態の説明も「◉◉◉はありますが視認性は高いです」などとデメリットの要素が如何にも問題にならないような印象づけで謳っていて、本当に毎度ながら歯が浮くような表現に吐き気を催しますね(笑) そのような表現で出品ページを載せても、むしろ落札率を落とす材料にしか至っていない事に気づけないと言うか、当然のように出品ページを使い回ししている状況につけ「マジッで低脳な出品者」と呆れてしまいます(笑)

当方が11年前にオーバーホール済でヤフオク! への出品をスタートした頃などは、出品個体たるオールドレンズの状態説明を「外観/光学系/動作」と分けて説明している出品者など一人も居らず、筐体外観をちゃんと複数枚の写真掲載で説明している転売屋/転売ヤーもまだまだ極少数派だったと記憶しています。

近年掲載写真枚数も多くなってきたと思っていたところ、再びこの半年くらいで「僅か3枚の写真しか載せない出品者」がどんどん増えており、本当に頭が悪いヤツばかりだとさすがに笑うしかありません(笑) 酷い場合は「公然とストア表示」していながらその出品掲載写真がたったの3枚と、もうその時点でお客様をお客と思っていない営業姿勢を広めているだけの話で笑うのを通り越してよくもまぁ〜恥ずかしくないものだと、むしろ感心しています(笑)

  ●               

まず大まかにこのモデルFUJINON 55mm/f2.2 (M42)』のモデルバリエーションを捉えるなら「前期型と後期型に二分される」と認識するのが最も簡単です。現実は「初期型」から顕在し「前期型」を経て最終モデルたる「後期型」へと変遷し消滅します。当方が2016年辺りからこのモデルを完全解体してオーバーホールしていくと、その総数71本の中で本当に数多くのモデルバリエーションに分かれていた事が判明しました。

↑上の写真 (3枚) は、左から「初期型/前期型/後期型」のモデルバリエーションをパッと見で判定するための「最も簡単な目安」を明示している解説写真です。分類上はレンズ銘板と遮光環との材質の違い (レンズ銘板がエンジニアリング・プラスチック製で遮光環が金属製) として捉えるのが大分類になるとすれば「初期型も前期型の一つ」で同じパターンになります。

ところが「後期型」だけはレンズ銘板と遮光環部分がモールド一体成形のエンジニアリング・プラスチック製なので (金属製パーツが一つも介在しない) 外見上一つのモデルバリエーションにしか見えません。ところがこのタイプの (内部で使っている) 鏡筒は「金属製とエンジニアリング・プラスチック製の2種類が顕在している」ことを掴んでいるので外見から判定を下す事ができません。

そして何よりも内部で使っているグリースが「白色系グリース」だった場合、或いは潤滑油が注入されていたりするとこの「後期型」は下手すれば「前玉がハメ込み式 (ネジ込み式ではない)」だったりするので、当然ながら1年〜数年で揮発油成分が生じてヒタヒタ状態に陥りアッと言う間に光学系光学硝子レンズのコーティング層が劣化します (白濁が進行していくので薄いクモリが生じて清掃しても除去できない)。

従って先ず以て市場流通している個体の本当に多くに「光学硝子レンズに薄いクモリが生じているのが当たり前の状況」です。さらに筐体外装の特に「距離環ローレット (滑り止め)」と「指標値環のイモネジ用の穴部分」にヒビ割れや破断/欠損が生じてしまっている個体も意外に多く流通しています。例えばヒビ割れ箇所をエポキシ系接着剤などで固定すると、今度は別の箇所が収縮の影響で再びヒビ割れする為、結果的に次から次へとボロボロに割れていきます。

↑上の写真は過去に扱った個体からの転載写真ですが、グリーンの矢印で指し示した箇所をムリヤリペンチを使って強制的に曲げてしまい「絞り羽根の開閉異常が起きていたのを改善させようとごまかしの整備を実施」している証拠写真です。左端の爪などは「爪の向きが斜めに曲げられている」のが分かりますし、中央の捻りバネもグリーンの矢印の箇所で曲げられて反発するチカラを強くしています。

さらに特にマウント部内部のパーツの使い方をミスっている過去メンテナンス時の整備者が居るようで、今までに扱った個体数71本の中で相当な数の個体で一部パーツをペンチでムリヤリ曲げたり変形させたりして「絞り羽根の開閉異常を強制的に修復していた」事実を掴んでいます。結局パーツの使い方をミスっているのが原因なので、当方が正しい使い方に戻し、且つ変形させてごまかしたパーツを「再び正しいカタチに戻して絞り羽根の開閉異常を修理しているのは当方」と言う何とも本末転倒な状況です(泣)

そもそも「製産時点にこんな処置を施していないのにどうしてペンチで曲げるような行為が正しいと考えられるのか?」そういう整備者をはたしてプロと呼称すべきなのか・・と自分の心の中で恥に思わないのが本当に不思議です(笑)

このように言うとたいていの整備者は「そんなのは製産してから数十年経っていれば劣化するのは当然だから曲げて正しく動くようにするのが当然の話」などと宣いますが(笑)、実際はマウント部内部のパーツをミスッて使っているから「その影響で絞り羽根の開閉に問題が起きているだけ」なのに気づいていないのです。

相当な数の個体で同じ状況 (パーツの使い方が違う) なので、おそらくFUJINONモデルを専門に整備している整備会社があり、或いはFUJINONモデルを専門に整備している部署があるのか、とにかく「特定の整備者が手を加えている」のはほぼ間違いありません。

従って (今回の個体も同じでしたが) 結局当方がミスっていたパーツを正しい使い方に戻してから曲げられてしまったパーツの変形を正し、本来の正しい絞り羽根の駆動に戻している始末です(涙)

・・マジッでアホらしい!!!(怒)

左の一覧表はこのモデルFUJINON 55mm/f2.2 (M42)』の製造番号をネット上で調べられる写真などから可能な限りチェックして240本のサンプルから集計してまとめた一覧です。

当時の富士フイルムはオールドレンズの製造番号先頭2桁に何かの暗号を割り当てていたようで、製造番号がシリアル値で増えていく法則を執っていません。逆に言うなら本来のシリアル値は下4桁だけなので、必然的に先頭2桁に何らかの意味合いを持たせないと「9999」の下4桁で (つまり0000〜9999の1万本) MAXに到達してしまいます。

例えば上の一覧の中で 色で塗りつぶしてある「後期型−I後期型−II」の製造番号先頭2桁をみると、84番以降はある程度かたまって集中的に生産出荷していたのが伺えますが、その一方で50番〜73番までは相当バラバラに製造番号先頭2桁を割り当てていた事が (憶測レベルを脱しませんが) 推測できます。

そして現実的にこれら「後期型−I後期型−II」を完全解体でバラしていくと「金属製の鏡筒 (つまり金属製のヘリコイドオス側)」の個体もあれば「エンジニアリング・プラスチック製の樹脂製鏡筒 (同様樹脂製のヘリコイドオス側ネジ山)」と言う、大きく2種類の鏡筒が現れます。

この時、前出の金属製鏡筒はそれまでの「数多くの前期型モデルバリエーションと同じ金属製鏡筒」を使っているのが掴めているので、そのヘリコイド (オスメス) のネジ山数、及び勾配は100%同一になります。

ところが同じ「後期型」の括りなのに「樹脂製鏡筒」になるとそもそも前玉の固定方式が別次元で「単にハメ込んでフィルター枠で上から押して固定しているだけの設計」なので、経年でどうしても内部に「揮発油成分が侵入してしまう」因果関係に至ります。実際数多くの「後期型モデルバリエーション個体」をバラしましたが「後期型−II」のほうは100%の率で間違いなく前玉裏面側はヒタヒタ状態で経年の揮発油成分が附着しています。

そして同時にそれら個体のヘリコイド (オスメス) を完全解体した際にチェックすると「やはり99%の率で白色系グリースが過去メンテナンス時に塗布されている」と言う高確率の整備状況でした。当然ながら塗布しているグリースが「白色系グリース」なので経年による揮発油成分の発生状況は「黄褐色系グリース」を使っている場合の比になりません。

例えば以前取材させて頂いた金属加工会社の社長さんから伺った話では「白色系グリースの場合下手すれば経年劣化に伴う揮発油成分の量は黄褐色系グリースの経年劣化に比べて2倍〜3倍の量に至る」との事なので、確かに成分や基剤に添加剤などの違いにも拠りますが、概ね「白色系グリースの場合のほうが圧倒的にヒタヒタの揮発油成分が多く生じる状況」なのをご教授頂きました。

従って当方がオーバーホール済でヤフオク! 出品する場合の「後期型−I後期型−II」モデルバリエーションは必ず「黄褐色系グリース」で仕上げており、特に経年による光学系鏡筒内部への揮発油成分侵入を可能な限り防いで組み上げている/仕上げている次第です (当方から後期型タイプをご落札頂いた皆様はご安心下さいませ)。

↑さらに一つ前の一覧の色分け/着色と、今までに判明している個別のモデルバリエーションに沿った製造番号先頭2桁の本数を「00番〜99番までの間で概要をまとめた一覧」が上の表になります。

例として見方を説明すると、例えば製造番号先頭2桁が「24番25番は初期型の区分け」でモデルバリエーションを括っており、上の概要一覧で「 初期型」の着色で分かるように説明しています (ちゃんと一つ前の一覧にも同じ着色で色分けしている)。

またその他のモデルバリエーション「前期型−I」或いは「後期型−I後期型−II」はそれぞれの着色の中で製造番号先頭2桁が当てはまりますが、実は一部に「重複/混在」が顕在しました。

この「重複/混在」の意味とは、例えば「前期型−Iの製造番号先頭2桁なのにその番号で後期型−Iが存在していた」或いはその逆も在ったりと法則に則っていない番号が顕在したのです (完全解体して構造の相違を見て知っているので辻褄が合わない)。

そのような「重複/混在」が100個ある製造番号先頭2桁の中で上記一覧のとおり「9個の番号で起きていた」ワケで、且つまだ空白の着色していない製造番号先頭2桁が「34個も残っている」状況からしてどう考えてもシリアル値として製産符番管理していなかった事が明白になった次第です。

なおそれら「重複/混在」の番号については当方と同業者たる『転売屋/転売ヤー』による狙い撃ちを回避する意味から敢えて一切の告知をしません (メールで問い合わせしてきても誰一人ご案内できません)。

《モデルバリエーション》
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

初期型
製造番号:24xxxx〜25xxxx
プラスティック製:フィルター枠台座/距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠ネジ部/マウント部
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスチック製 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製

前期型-I
製造番号:12xxxx〜49xxxx
プラスティック製:レンズ銘板/距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠/マウント部
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製

前期型−II 〜 前期型−VI:
製造番号:現在検証中
プラスティック製:距離環/指標値環/絞り環など様々
金属製:フィルター枠/マウント部など様々
距離環指標値:印刷 (アルミプレート板に印刷)/刻印もあり
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材 (金属製芯材)
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製

後期型−I後期型−II
製造番号:50xxxx〜97xxxx
プラスティック製:距離環/指標値環/絞り環
金属製:フィルター枠/マウント部
距離環指標値:直接刻印
距離環成形材質:エンジニアリング・プラスティック材のみ
鏡筒及びヘリコイド (オス側):金属製

《モデルバリエーション概要説明》

初期型
初期型」はマウント部だけが金属製で他の筐体外装パーツは全てがエンジニアリング・プラスチック製です。大分類で分けると「初期型は前期型の一つ」になり、要は「前期型−I」の区分たる「レンズ銘板がエンジニアリング・プラスチック製/遮光環が金属製」に沿っています。

前期型−I
このタイプが市場流通数が最も多い「ヒビ割れが起きている個体」です。全部で47種類の製造番号先頭2桁が顕在するのを確認済です。

前期型−II
今回のモデルバリエーション区分けで唯一の「総金属製」であり、製造番号の割り当てが一つしかありませんが当方の同業者たる転売屋/転売ヤーの狙い撃ちに合うので敢えてワザと故意に具体的な番号を一切告知しません。市場出現率はほぼ年間数本レベルです (多くても4本)。

前期型−III
距離環」が金属製になるタイプでやはり年間で数本しか出回りません。合わせてフィルター枠やマウント部も金属製ですが、レンズ銘板に指標値環や絞り環はエンジニアリング・プラスチック製です。

前期型−IV
こちらは「指標値環」が金属製で、一つ前と同様やはり年間で数本しか出回りません。合わせてフィルター枠やマウント部も金属製ですが、レンズ銘板と距離環に絞り環がエンジニアリング・プラスチック製です。

前期型−V
距離環と指標値環が金属製」と言うタイプで年間の出現率は「ほぼ1本レベル」で下手すると「総金属製」よりも少ないです。合わせてフィルター枠やマウント部も金属製ですが、レンズ銘板と絞り環はエンジニアリング・プラスチック製です。

前期型−VI
さらに上記に今度は「レンズ銘板まで金属製」に変わっているタイプで、こちらは今までに1本しか手に入れられていません。逆に言うと「金属製のレンズ銘板をセットしているタイプはこのモデルしか顕在しない」或いは「総金属製ですらレンズ銘板だけはエンジニアリング・プラスチック製」なので、厳密には総金属製とは呼べないかも知れませんが、レンズ銘板にこだわる方がほぼ居ないので「総金属製」と分かり易く区分けしています。

後期型−I
ここからのタイプがモデルバリエーション上の純然たる「後期型」分類に入り、その外見上の見分け方は前述のとおり「レンズ銘板と遮光環が一体成形」のエンジニアリング・プラスティック製です。但し鏡筒が金属製のタイプを「後期型-I」としており、完全解体しなければ判明しませんが (外見だけで判定不可能)「前玉がネジ込み式で固定される」ので光学硝子レンズの経年劣化面に於いて安心です。但し個体数はやはり年間で数本レベルですが判定のしようがないのでなかなか手に入れられません。

後期型−II
このタイプが「後期型」の分類上は最も市場流通数が多く前述の「後期型-I」と共に見分ける事ができずに流通しています。このタイプが初めて「鏡筒をエンジニアリング・プラスチック製に変更」している為、合わせてヘリコイドオス側ネジ山も勾配から使用まで全て変わってしまい特異なグリースの塗布が必須になります。但し現実には市場流通個体で「白色系グリース」以外が塗布されていた個体をまだ発見していませんから、多くの個体で内部は揮発油成分で相当液化が進んでいます。

なお一覧最下行に記載のとおり「現実には製造番号先頭2桁の中で9種類の分類が混在している状況」であり、全て加算すると本来ピタリと合うべき「00番〜99番までの100種類に入りきらない」という状況です。どれがどの番号と混在しているのかなどはやはり狙い撃ちされるので敢えて告知しませんが当方は完全解体しているので全てを把握しています(笑)

さらにもう一つ指摘するなら、これらの分類にモデルバリエーションが細分化してしまった最大のポイントは「バリエーションを跨いで内部パーツの転用ができない仕様変更の設計変更が行われているから」です。

例えばバリエーションを跨いで「金属製の距離環が存在するが指標値環を転用できないのでどのタイプも個別のパーツが専用の設計」です。唯一転用可能なパーツは「エンジニアリング・プラスチック製の絞り環と金属製のマウント部だけ」だったりするので、例えばフィルター枠すら転用ができません。

この個別のパーツが転用できるか否かを基に全て調査している要素もあるので、過去メンテナンス時の「ごまかしの整備」で本来転用できないパーツを転用している為に正しく機能せずに変形させていたりします (むしろそのような確認をしているのでモロバレする)。

従って上の概要一覧 (大きいほうの一覧表) でご案内している9つのモデルバリエーションは、互いが相互に個別の部位の転用ができない「設計上の相違が在る」と言う話です。但しそうは言っても例えば絞り環とマウント部だけは転用が適うのでニコイチしようと考えれば不可能ではありません。しかし仮にそれら絞り環とマウント部を敢えてニコイチしたとしても、そもそもそれで筐体外装の見た目に変化が起きるワケでもなく、ほとんど転用して使うべき意味がありませんョね?(笑)

↑例えば上の写真も過去のオーバーホール個体からの転載ですが上下2つの重ねた「指標値環のイモネジの位置が異なる仕様」なのを赤色矢印で指し示しています。さらによ〜く観察すると実は「指標値環の高さも違う」ので、これらを転用して使い回す事が不可能です。

これらの仕様の違いは実は「距離環が金属製なのかエンジニアリング・プラスチック製なのかの相違で指標値環側の仕様も異なる」ので、詰まるところ「距離環だけ金属製を持ってきても (転用しても) 最後まで組み上げられない」ワケで、だからこそ前述の数多いモデルバリエーションの区分けでまとめる以外に方法がないのです。同じ事がフィルター枠にも当てはまり、或いはレンズ銘板や距離環の内側の設計の違いなど数多くの仕様が混在しています (但し前述のとおりニコイチ/サンコイチなどは一切不可能)。

そしてさらに指摘するなら、上の概要一覧 (大きい一覧表のほう) を見ると「特に金属製パーツの使っている特異仕様モデルが圧倒的に製産数が少ない状況」なのが一番右端の割り当て製造番号先頭2桁の台数を見ただけで把握できます。

このような事実から「もしかしたら様々なパーツを金属製に戻したりしつつ問題の改善を狙っていた?」のかも知れませんが、だとすれば最初から総金属製で作っていれば良かった話で、途中で設計変更しエンジニアリング・プラスチック製の製品として仕上げた時点で何某かの問題点を抱えていたとしても「総金属製には二度と戻せないコスト計算の理由があったのかも知れない」との憶測にも繋がっていきます。

このような廉価版モデルにこれだけの仕様変更を繰り返してしまった富士フイルムは、当時いったい何を狙っていたのでしょうか?・・赤字続きで結果的に市場から撤退せざるを得なかったにせよ・・ロマンは募るばかりです(涙)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はFUJINON 55mm/f2.2《前期型:総金属製》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりましたが、残念ながら「前玉と後玉の状態が良くない」のでせっかく「距離環が金属製」なのに何とも惜しい限りです。これで光学系の問題が軽微なら「即決価格39,500円」間違いなしだったのですが悔しいです。

逆に言うなら、それほど「金属製の距離環は年間で1本しか出回らない」レベルなのでどんだけ貴重なのかと言う話です。さらにその因果関係まで今回完全解体してモロバレしています。

今回の個体は当初バラす前の時点で「距離環固着で全く動かない個体」でした。本来距離環が回らない個体は「そもそも完全解体すらできないのがこのモデルの設計」ですが、そこは内部構造をこれでもかと知っている身の上にはヤリようがあると言うものです(笑)

結局その距離環の固着が起きていた理由が光学系の状態悪化を招いていました。「過去メンテナンス時に白色系グリースが塗布されていたのにそこに潤滑油を注入してしまった」ので、おそらく1年以内に距離環を回すトルクがどんどん重くなり/固くなり、ついにヘリコイドのオスメスネジ山がカジリ付いて固着してしまいました。

さらにその際、注入された潤滑油により揮発油成分が増大しその界面原理からひき留められてしまった水分が光学系内に附着し、それを糧として浮遊していたカビ菌糸が繁殖を始めてとうとうコーティング層の劣化を致命的にしてしまいました。

つまり「潤滑油さえ注入しなければ後玉にカビ菌が繁殖しなかった」とも言い替えられ、過去メンテナンス時に「白色系グリース」を塗布したが為に余計に悪化する結果になりました。

黄褐色系グリース」を使ってさえいれば仮にその後に「潤滑油」を注入されたとしてもここまで悪化しません (既に検証済なので明言できます)。詰まるところ過去メンテナンス時に「白色系グリース」を塗ってしまったのがそもそもの間違いの始まりだったとも言えるでしょう(泣)

↑光学系内は状態が良い個体の光学系と総取り替えしたのでご覧のように「スカッとクリア」です。LED光照射で視認できるのも微細なカビ除去痕が数点レベルなので (他に点キズもありますが) 総じてこのモデルの範疇で捉えても「非常に良い状態の光学系」です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

これら写真もパッと見ではキレイに見えますがLED光照射して確認すると非常に微細なカビ除去痕が浮き上がります。但し光学系をキレイな個体のモノに入れ替えたので前回出品とは異なり写真には一切影響しません。

↑光学系後群側も合わせてキレイな個体のモノに入れ替えているので (つまり総取り換え) ご覧のように前回出品時のカビ除去痕や薄いクモリがある状況とはまるで替わっています。極僅かに拭きキズや微細な点キズが散見しますが (当てキズだと思いますが点キズも中央に1点あります)、いずれも写真には影響しません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:19点、目立つ点キズ:13点
後群内:20点、目立つ点キズ:15点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大6mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後玉に点状カビ除去痕複数残っています)
(前後玉に極微細な経年の拭きキズ数箇所あり)
(後玉中央に微細な点状当てキズ1点あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
※神経質な人を考慮して瑕疵内容は少々誇張的にワザと表現しています(以下同様)。
※光学系内の点キズなどのカウント数はオーバーホール工程の中で個別に各群の光学硝子レンズ清掃時にカウントしている為、鏡筒に組み込み後の見え方はまた変わります/光学系構成により多少が変化します。

↑上の写真解説のとおり「開放測光用の爪」がマウント面から飛び出ています (グリーンの矢印)。当時のFUJICA製フィルムカメラ「ST-801/901/AZ/1」などに装着すると開放測光機能がご使用頂けます。

もしもマウントアダプタ (ピン押し底面タイプ) 経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着される場合は、ご使用になられるマウントアダプタによってはマウント面の「開放測光用の爪」が当たって擦れるので/最後までネジ込めないので切削する必要があります

申し訳御座いませんが切削にはご落札者様自身で行って下さいませ (当方では切削しません)。

またK&F CONCEPT製のマウントアダプタをご使用頂ければ/手に入れればこの「開放測光用の爪」を回避するので干渉せずに正常使用が可能ですからご検討下さいませ。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」しながら閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・マウント部内部の捻りバネの経年劣化進行に伴い僅かに弱っている為鏡筒から飛び出ているアームを掴んでいる爪が擦れて「カリカリ音」が聞こえてくる事があります(特にマウントアダプタに装着すると聞こえてきます)。捻りバネの経年劣化が原因なのでこれ以上改善できません。また当問題で将来的に不具合を起こす因果関係に至ることはありません。
・マウント面に「開放測光用の爪」が1mm程突出しています。一般的なM42マウントのフィルムカメラやマウントアダプタ経由デジカメ一眼/ミラーレス一眼に装着する際は、ご落札者様ご自身で「開放測光用の爪」を切削して対応をお願い申し上げます(当方で切削しません)。或いはK&F CONCEPT製マウントアダプタをご使用頂ければ避けて使えるので切削の必要もありません。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『FUJINON 55mm/f2.2《前期型:一部金属製》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

当初バラす前の時点で距離環が完全固着していたものの、オーバーホールにより距離環を回すトルクは完璧に改善し滑らかで軽い操作性でピント合わせできる使い易さに戻っています。

また距離環が金属製なので今後将来的にヒビ割れの心配などありません。同様に指標値環部分の耐性も確認済なのでエンジニアリング・プラスチック製ですがヒビ割れしません (ちゃんとイモネジを正しいネジ込みで使ってあるから)。合わせて冒頭解説のとおりマウント部内部のパーツを過去メンテナンス時にミスッて使っていた要素も正してあり、ペンとで変形させていたパーツも正しいカタチに戻したので絞り羽根の開閉も適正に戻っています (簡易検査具で確認済)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離60cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影していますが、絞り環の刻印は単なるドットで「●」になっています。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。

↑f値は「f5.6」に上がりました。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めて極僅かにピント面の解像度が低下しています。

なおこれら各絞り値での実写は全て「光学系をキレイなモノに総取り替えした後の撮影」ですが (但し実際は入れ替える前と何ら変わっていないようにしか見えませんが)、まぁ〜人情として「キレイな光学系に入れ替わった」事実と見栄えだけで胡麻家族頂けるのだと思います。

・・世知辛い世の中です(笑)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。