〓 Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) Tessar 5cm/f2.8 (nickel)《旧CONTAX RF版:collapsible》(C)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、戦前ドイツは
Carl Zeiss Jena製標準レンズ・・・・、
Tessar 5cm/f2.8 (nickel)《旧CONTAX RF版:沈胴式》(C)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で捉えても僅か2本目です。

そもそも当方は、当時Zeiss Ikonが作っていた「旧CONTAXレンジファインダーカメラ」向けオールドレンズとの相性が悪く、今までに納得づくで仕上げられた試しがありません(汗)

その理由は大きく2つあり、1つめは今までに扱った全ての個体が完全解体できず、内部構造が「???」だった為に、そもそも扱いたいと思わないのです(笑) 完全解体できないと、何処でどう微調整をすれば良いのかが今ひとつ確信を持てず、結果的に消化不良のまま仕上げるしかなく、それが手を出したくない気持ちを増幅させています(笑)

2つめは、何は置いても「確認環境に据えるべきマウントアダプタを持っていない」問題でした(汗)・・旧CONTAXのレンジファインダーカメラを手に入れて、それに装着し無限遠位置など確認すれば良いのにと思われるでしょうが、老眼が酷くなかなか思うようにファインダー
確認できなかったりします。

そこで市場流通しているマウントアダプタを手に入れようとするのですが、今までに入手した海外オークションebayでの自作品やKIPON製など、その精度と品質に「???」だったりして、これもなかなか確信を持てないのがネックでした(汗)

今回、いつも懇意にお付き合い頂いている方からお薦めの「amedeo adapter」を手に入れたので、さっそく『練習用』に1本調達しバラしてみた次第です(笑)

本人的には、取り敢えず完全解体も叶い、完璧なオーバーホールが完了し、ようやく納得づくでヤフオク!出品できると思っていますが、そうは言っても巷では、当方は「プロにもなれず
マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー
」との話ですから(笑)、信用/信頼が皆無なので『ジャンク扱い』出品になります(笑)

・・どうぞお好きな価格でご落札、ご検討下さいませ(笑)

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戦前の1932年にZeiss Ikonから発売され世界規模で一世風靡した
レンジファインダーカメラ『CONTAX I』のオプション交換レンズ群の中から、今回扱うのは標準レンズTessar 5cm/f2.8 (nickel)
《沈胴式》
(C)』
で、巷で「Black & Nickel Tessar」と呼ばれているタイプのニッケルのほうです。
(右写真はCONTAX IIaに装着している状態の写真)

戦前の時点で既に用意されていたオプション交換レンズ群には、最も明るいモデルで「Sonnar 5cm/f1.5」があるくらいなので、当時では相当なインパクトがあったのではないでしょうか(汗)

それでいてレンジファインダーカメラ側と言えば、1/1,000秒のシャッタースピードすら用意していたのですから、戦前ドイツ恐るべしです(笑)

今回のモデルはそのモデル銘の如く3群4枚テッサー型光学系を実装していますが、このテッサー型が発明されたのは相当昔の話です。

↑上の特許出願申請書は、戦前ドイツの物理学者/光学レンズ設計者たるPaul Rudolph (パウル・ルドルフ) 氏が発明していった順に並べていますが、左端から「ブラナー型光学系 (1896年)(左)」当初1890年に発明していたプロター型光学系を改良した「ウナー型光学系 (1899年)(中央)」そしてそこからさらに発展させた「テッサー型光学系 (1902年)(右)」になります。

そこからさらに発展させて開放f値を「f2.8」と、当時としては相当に明るく採ってきたモデルが今回の1937年発売製品になります (当時一般的になりつつあった開放f値:f3.5モデルも同時発売しています)。

ノンコーティングながら、よくぞここまで量産化に仕上げて発売してきたものだと、その意気込みの凄さに今更ながらに感服します(笑)

ちなみに、今現在も巷では「鷹の眼テッサー」との呼称が多いですが
当時の戦前Carl Zeiss Jena広告掲載を見ると「鷲の眼テッサー」だった事が分かります。

左の広告はドイツ語ですが、翻訳すれば「Das Adlerauge Ihrer Kamera」との記載があり「あなたのカメラの鷲の眼」なのが分かりますね (転じて鋭い目の意味合い)(笑)

当時の日本で「鷹の目」をカタログなどに明記して謳っていたのはMINOLTAなので、その辺も勘案したほうが良いのかも知れません(笑) 特に海外では至高の存在は「イーグル (鷲)」なので
ブログ解説などにいい調子になって記載し続けると「ホーク (鷹)」と翻訳される点からすれば
海外勢には違和感にしか映りかねませんね (貴族の紋章や国旗にも鷲を頻繁に使います)(汗)

右構成図は、3群4枚テッサー型を今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系を取り出し、その清掃時に当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

製品仕様として最短撮影距離:90cmなので、それを勘案すると前出のPaul Rudolph (パウル・ルドルフ) 氏発明の光学系と比較しても、だいぶ変わっているようです。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造は簡素に見えますが、何しろ今までは、ここまで完全解体できなかったので、今回は感無量と言った感じです(汗) バラし工程も組立工程も簡単に見えますが、意外と大変だったりします(笑)

↑黄銅製で造られている絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。当初バラした直後に溶剤で洗浄した際は、上の写真で一番濃い「焦げ茶色」の色合いのように、鏡筒全体は経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進んでいました(汗)・・当方の手による『磨き研磨』により、ここまで仕上げています。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

↑13枚の絞り羽根もキレイに洗浄してから、鏡筒最深部に組み付けて絞りユニットを完成させたところです。絞り羽根の上に被さる「開閉環」をセットしてありますが、上の写真の状態は「絞りユニットが一切固定されていない状態のまま」なので、このままヒックリ返すと途端に絞り羽根がバラけてしまいます(汗)

要は一つ前の工程で「鏡筒」の内外をピッカピカに『磨き研磨』したのには、ちゃんと理由があり、前出の掲載写真のとおり「絞り羽根の厚みが薄いから」であり、且つ絞り羽根の表裏面に製産時点にプレッシングされている「キー (金属製の円柱)」の脱落/欠落を防ぐ意味合いもあります。

これはキーが経年劣化進行に伴い勝手に外れてしまうのではなく「絞り羽根の酸化/腐食/サビ進行に伴い抵抗/負荷/摩擦が増大し膨れ上がるから」と言うのが真の理由です。

・・この点を多くの整備者が全く理解しきっていません (整備者なのに)(笑)

↑上の写真は光学系第2群の光学硝子レンズ格納筒をヒックリ返して、裏面側を上に向けて撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所が「平滑仕上げ」になっており、ここが前出の「開閉環に接触して開閉環の脱落を防ぐ」原理です。

つまり光学系第2群を一体モールド成形で格納すると同時に、絞りユニットに組み込まれている絞り羽根の脱落も防御する役目を兼ねている設計です。ちなみに上の写真で光学硝子レンズ面に写っている模様は、撮影で使っているミニスタジオの背景紙の柄ですから、菌糸状のカビ除去痕ではありません(笑)

↑ここで前述の『磨き研磨』がどうして必要なのかを説明します。上の写真は絞りユニットを組み込んでいる状態 (未固定) を前玉側方向から撮影していますが、ご覧のとおり「完全開放状態」に設定しています。従って絞り羽根は開ききっている為、手前に見えている「開閉環」だけになります (絞り羽根は開閉環の下に収納されている状態)。

実は、以前メール着信があり、当方がこのブログで頻繁に「最小絞り値まで絞り羽根を閉じている時、膨れ上がる現象が起きる」との解説に対し、それはおかしいとの指摘がありました。絞り羽根が最も重なり合っているのは「完全開放状態の時で、最小絞り値の時は一部しか接触し合っていない」との事で、説明が間違っているとの指摘でした(汗)

そこで今回はその検証を行っています。前述したとおり、このモデルは「光学系第2群格納筒の締め付け固定で初めて絞りユニットが固定される設計」なので、もしも当方が述べている
持論が正しいなら、この「まだ光学系第2群がネジ込まれていないフリーの状態で最小絞り値方向まで絞り羽根を閉じれば、絞り羽根が膨れ上がる現象が明確に確認できる (視認できる)」との課題に対する検証です(笑)

↑この状態で完成した「鏡筒」を立てて撮影しています。写真上方向が前玉の方向にあたります。すると鏡筒の横に「連携孔」と言うスリット/切り欠き/開口部が用意されており、そこに絞りユニット内部の (絞り羽根に被さっている)「開閉環」の側面が見えていて、且つグリーン色の矢印で指し示している絞り環と連結する為のネジ穴も見えています。

シリンダーネジ
円柱の反対側にネジ部が備わり、ネジ部が締め付け固定される事で円柱部分が他のパーツと連携させる能力を持ち、互いにチカラの伝達が実現できる役目として使う特殊ネジ (単なる連結のみに限らず多くの
場合でチカラの伝達がその役目に含まれる
)。

ここでは、左写真のシリンダーネジのネジ部がグリーン色の矢印で指し示しているネジ穴に
ネジ込まれ、円柱部分が絞り環と連結します (だから絞り環を回すと開閉環が回って絞り羽根が開閉動作する原理)。

確かに上の写真を見ると各絞り羽根同士が互いに重なり合っているのが、ちゃんと写っています。念の為に重なり合っている箇所の (上の写真で見えている開口部の) 絞り羽根枚数を数えると「6枚」です(笑)

↑今度は「開閉環」を回して、最小絞り値:f22の位置まで絞り羽根を閉じた時の状態にセットしました。

↑同じように「鏡筒」の横方向から開口部を覗き込んで「開閉環の側面」を見ようとして撮影していますが、ご覧のとおり「開閉環の側面」が全く見えていません(汗)

↑さらに拡大撮影して撮影しています。ご覧のように絞り羽根は最小絞り値:f22まで閉じきっている状態ですが、開放時と同じ6枚の重なりが見えているものの「膨れ上がっていてやはり開閉環は上に追いやられて開口部には見えていない」のが歴然です(笑)

上の写真で見えている絞り羽根のキーは「位置決めキー」なので、絞り羽根の端部分なのが明白です。それに対して反対側の「開閉キー」側が「開閉環」に刺さっており、絞り環操作した時に最小絞り値:f22まで回すとこのように「膨れ上がるチカラが生じる」のを、その原理として明示しています(笑)

最小絞り値まで絞り羽根が閉じきってしまったので、その上に被さっていた「開閉環」は、絞り羽根の膨れ上がり現象により上方向に (前玉側方向に) 持ち上げられてしまい、上の写真のとおり「鏡筒」側面の開口部に見えなくなってしまったのです。実際、一つ前の写真をみれば、絞り羽根の上に被さっている「開閉環」がちゃんと見えています (撮影のために外したりして
細工していない
)(笑)

もっと言えば、さらに前の掲載写真で、開放状態にセットしている時の「鏡筒を横方向から撮影した写真の内部に写っている開閉環の位置」をみれば更に明白で「開閉環が最も低い位置に被さっているのが分かる」次第です(汗)

・・決して嘘偽りを述べているワケでは御座いません(笑)

たかが転売屋/転売ヤー如きが何を偉そうに言うのかと、それこそ当方が述べる事すべてがきっと気に入らないのだと思います(笑) 「公然と平気で嘘を拡散し続けている」とコメントされるので、検証写真を載せてみました(笑)

そんな次第で「絞り羽根の膨れ上がり絞り環操作が重くなる」なので、その影響を最小限に抑えたいのと、合わせてやはり絞り羽根の表裏面にプレッシングされている「キー」脱落の耐性を、少しでも延ばしたいとの思いから『磨き研磨』により、可能な限り抵抗/負荷/摩擦を低減させている「」です (客観的に物理的な検証値を明示するデータなど持っていません)(笑)

↑光学系前後群を清掃した後に組み込んだところです。この状態でようやく絞りユニットが固定されたので、ヒックリ返そうが何をしようが絞り羽根が一切脱落しません。

↑絞り環を組み込んだところです (赤色矢印)。またグリーン色の矢印で指し示しているのは、
絞り値用の基準●マーカー」刻印箇所です。つまりこのモデルは前玉の周りに絞り環が組み
込まれています。前述したシリンダーネジも、ちゃんと絞り環に刺さっていて、連結しているのが分かりますね(笑) これにより絞り環を回すと絞り羽根が開閉動作する原理をご理解頂けたでしょうか???(笑)

ウソだ何だと、あ~だこ~だ指摘されるので(笑)、いちいち細かく解説しないとイケナイみたいで面倒くさくて仕方ありません(汗)

ヤフオク!の出品ページにも、ちゃんと正直に明記してありますが(笑)、ここまで説明してきた「光学系第2群格納筒の締め付け固定で絞りユニットが固定される設計」なので、最小絞り値方向に絞り羽根が閉じていくに従い「絞り羽根が膨れ上がるので、その時に絞り環操作に抵抗
/負荷/摩擦が増大していく
」因果になっています (開放側の時に抵抗/負荷/摩擦が増大しない原理もそれで説明が成り立ちますし、リアルな現実にそのとおりに動いています)。

決して当方のオーバーホールや整備内容の不始末の結果などではなく(笑)、ちゃんとこのように「原理原則」が働いて、その結果として具体的な/物理的な現象が現れ、それを操作する際に
指が感じ取るから「ご落札者様に対しての配慮として事前告知している」にすぎません(笑)

それを「自分の整備の不始末を隠す為にあ~だこ~だ理由付けして辻褄合わせを解説しているブログだ」とまで指摘されているらしく、ここまでくるとさすがにその奇想天外な発想力に、むしろ恐れ入ってしまいます(笑)

↑沈胴筒をセットして (赤色矢印) この後はマウント部と爪を組み込み、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっていますが、ヤフオク!への出品は『ジャンク扱い』ですので、是非ともご留意下さいませ。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でも極薄いクモリすら皆無が皆無です。上の写真下の方に写っている3〜4点の少々目立つキズが集まっている箇所が「5㎜長の目立つキズ」として出品ページに記載している箇所です。

また実際は前玉の中央辺りに集中的に微細な点状キズが集まっていて、パッと見で薄いクモリに見える人も居るかも知れません (当方の判定では微細なキズの集まりでクモリではありません)(汗) 一応神経質な方向けに、ヤフオク!出品ページ内では「薄いクモリ」と表記しています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑肝心な後群側に2枚貼り合わせレンズが後玉として格納してあるので、ここが一番重要な光学硝子レンズと言う話になります。総じてスカッとクリアで目立つキズもありません(汗)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。光学系内には微細な「気泡」が複数残っています。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(前後玉に複数の順光目視できる微細な点キズや薄い擦りキズが残っています)
(光学系第2群に目立つ深いキズ5mm長1本あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(前玉にごく薄いクモリが僅かに残っています)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内に微細な点状の「気泡」混入しています。当時は光学硝子精製時に一定時間高温度帯を維持し続けた証として気泡を捉えており、正常品としそのまま出荷していたので現在も市場流通し続けています。
・当方にはライカカメラや旧CONTAXカメラがありません。従って距離計連動ヘリコイドとそれらのカメラ等ファインダーにて二重画像一致について確認/検査する術がありません。距離計連動ヘリコイドの組付けとその仕上げは当初バラす前の位置のまま組み上げているので、事前告知済みにつきクレーム対象としません。レンジファインダーカメラも含めミラーレス一眼或いはライカカメラでの使用に際し距離計連動に係るファインダー二重像に関するクレームの一切を受け付けません。マウントアダプタ経由でデジタル一眼レフカメラ/ミラーレス一眼レフカメラ装着でご使用頂く事を前提としオーバーホールを行い組み上げています。距離計連動ヘリコイドの正確性を重視する方はご落札頂かぬようにお願い申し上げます。

↑13枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑このモデルは「距離環 (ヘリコイドオスメス)」を装備していません。上の写真に写っている長い部分の鏡胴は「沈胴筒」と言って、マウント部の下に沈み込んで収納できる設計になっています。

↑無限遠位置は次に示すマウントアダプタを使い「ピタリと無限遠合焦位置で光学系を組み込んである」ので、一応ファインダー画像でも正常に適切に合焦確認できると思いますが、レンジファインダーカメラのファインダーで確認しているワケではありません(汗)

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離50㎜開放F値f2.8被写体までの距離35m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度17m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、20m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の35m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭です(笑)

↑マウント部から横方向に突出している「リリースキー」をロックボタンの上に載るように入れ込むと、ちゃんとマウント部がストンと差し込み/落とし込みができます。

↑そのまま鏡胴を回すと「リリースキー」がロックボタンの溝にカチンとハマッてロックされます。外す際はこのロックボタンを押し込みながら元の方向に回すと外せます。ロックボタンはクッション式になっています。

  ●               

以下はアメリカはフロリダ州在住「Amedeo Muscelli」氏作成マウントアダプタの写真です。今回のオーバーホール工程の際に、この「amedeoマウントアダプタ」を使って無限遠位置などの微調整を施し確認しています。

今回のヤフオク!出品に付属していないのでご注意下さいませ!
ヤフオク!出品はオールドレンズ本体だけです。

↑当レンズによる最短撮影距離90cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。

・・代用のフードを翳して各絞り値で撮影しています

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。代用フードが無いと、もうこの絞り値の段階でもフレアの影響が僅かに現れます。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。もう絞り羽根がほとんど閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。