◎ Aurgus (アーガス) Auto-Cintar 55mm/f1.7《富岡光学製》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、アメリカの
Argus製標準レンズ・・・・、
Auto-Cintar 55mm/f1.7《富岡光学製》(M42)』です。


このモデルの扱いは今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体が累計で31本目に当たりますが、販売会社はアメリカの写真機材を扱っていた商社「Argus (アーガス)」であるもののレンズ銘板には「Japan」刻印があるので日本製です。このモデルを当方が扱い始めたのは2014年からになりますが、好んでこのモデルを扱っているのが当方だけなので(笑) 未だに市場価格が底値のままで人気がありません。

この当時の富岡光学製OEMモデルのオールドレンズは数多く存在しますが、開放f値「f1.4」モデルと比較して、開放近辺での撮影時に被写界深度の浅さ (狭さ) やピント面の扱いにくさをそれほど強く感じないまま「サクッと富岡光学製の良さを楽しめる」モデルとして、頻繁に 扱っています。

しかしそうは言っても調達時には以下の点に注意を払って入手しています。

【調達時の注意点】
後玉の突出により当てキズ/擦りキズが後玉に無いかどうか。
光学系のカビ発生率がワリと高めなのでカビ除去痕を含めた状況。
経年により設計の問題から「絞り羽根の開閉が緩慢」に陥りやすい。

これらをチェックしつつ調達しないと、特にカビ除去痕は清掃しても除去できないのでクモリを伴っていた場合に写真撮影に支障を来す場合があります。また設計の問題から「絞り羽根開閉の異常」が発生している個体も、その改善は整備しても保証がありません。

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今回扱うモデルも『富岡光学製』と当方は捉えているのですが、そのように案内すると「何でもかんでも富岡光学製にしてしまう」とSNSなどで批判対象になるようです(笑)

その根拠の基になるモデルがあり、レンズ銘板に刻印されている発売メーカー刻印以外に「TOMIOKA」銘を刻んでいるいわゆる「ダブルネーム」のオールドレンズが存在します。

AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)」の特異的な構造要素から判定しています (右写真は過去オーバーホールした際の写真)。

具体的には『富岡光学製』の構造的な要素 (特徴) として大きく3点あり、いずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。

上記3点は今までに2,000本以上のオールドレンズを扱ってきて、富岡光学以外の光学メーカーで採っていない設計なので『富岡光学製』判定の基準としています。

今回のモデル『Auto-Cinatr 55mm/f1.7《富岡光学製》(M42)』は、上記判定ののみ適合しており、発売時期としてはマウント規格としての「M42マウント」が終焉期を迎えつつある時期に、特に海外向けOEM製品として単発で (作りきりで) 契約を取っていたようです。従って同じ「M42マウント」モデルでも、初期の頃のような煩雑な微調整を伴う設計から合理化を進めて簡素化した内部構造へと変わっていますが、一部には初期の頃の名残が残っている設計を採り続けています。

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Argus (アーガス) と言う会社はアメリカの会社で、その前身は戦前の1931年にミシガン州アナーバーにて創業の「IRC (International Radio Corporation)」になりラジオ製品の製造販売会社でした。後に創業者のチャールズ・バーシャー氏がヨーロッパを旅行した際ライカカメラに魅入られ、帰国後に安価なライカ判フィルムカメラ製造販売に専念するために子会社として「Argus Camera Company」を1936年に創設したのが始まりです。

アールデコスタイルのベークライトカメラ「モデルA」の発売は大成功し1938年には「C2」翌1939年に「C3」と立て続けに発売していきます。しかし戦争に至り否応なく軍需光学製品の生産に切り替えざるを得なくなり軍用カメラや弾着測距器、或いは照準機から潜望鏡まで幅広く生産したようです。戦後1949年時点ではもはや戦前の勢いは無く、最終モデルの「モデルC3」のみを引き継ぎ「Argus Camera」と社名を変更します。しかし戦後台頭してきたドイツ製光学製品そしてその後の日本製光学製品に淘汰され、ついに1959年には会社がシルバニア
・コーポレーションに売却されブランド銘だけが引き継がれていったようです。

その後1972年にはCHINONからのOEM製品であるフィルムカメラ「CR-1」を発売しセットレンズとして用意されたレンズ群「広角28mm・標準55mm・中望遠135mm」の3本には「Cintar (シンター)」と言うブランド銘が付けられました。このフィルムカメラ「CR-1」或いはレンズ群もすべて「MADE IN JAPAN」のOEM製品に頼った製品戦略を展開していたようです。通信販売では、堅牢な専用アタッシュケースにストロボやアクセサリなどすべてを一式セットして販売していたようです。1976年に発売のやはりCHINONのOEM製品「CR-3E」を最後にシリーズは終末を迎えます。ちなみに「Cintar」を「チンター」と解説しているページやオークションがありますが「シンター」ですね(笑)

なおargusの総レンガ造りのビルは今もアナーバーに現存しており雑居事務所になっていますが、ちゃんと2階には「Argus Museum」を開設しているようです。静かでのどかな住宅街の一角ですが歴史を大事に残していく地域の方々の気持ちが伝わってきますね。

【同一モデル (OEM製品) の他社製モデル】

CHINON製:AUTO CHINON 55mm/f1.7《後期型》(M42)

GAF製:AUTO GAF 55mm/f1.7 (M42)

PORST製:AUTO REFLECTA 55mm/f1.7《前期型》(M42)

Revue製:AUTO REVUENON 55mm/f1.7 《前期型》(M42)

Revue製:AUTO REVUENON 55mm/f1.7《後期型》(M42)

上の写真のように、同一モデルが他社製品としてOEM生産され出荷されていました。上の写真の距離環ローレット (滑り止め) をご覧頂くと分かりますが同じラバー製でも幾つかのデザインがあり、一般的なエンボス調のローレット (滑り止め) だったり幾何学模様だったりです。今回のモデルと同じ「円形エンボス加工」のラバー製を巻いてきたモデルは「argus製/revue製」の2社製品のみになりますね。

なお「CHINON製」も同型品ですから富岡光学製なのですがチノン製オールドレンズを指して「すべて富岡光学製」と思い込んでいらっしゃる方を時々見かけます (特にヤフオク! での謳い文句に使われていることが多い)。しかし富岡光学製モデルはCHINON製品の中では極一部だけです。

左写真は今回出品モデルと同時に併売されていた交換レンズ群です。

左:Argus Cintar 28mm/f2.8 (M42)
右:argus CINTAR 135mm/f2.8 (M42)

この2本は残念ながら富岡光学製ではないので、最近ヤフオク! でも富岡光学製を謳って出品していますがお間違いなきよう (過去にバラしているので検証済です)。

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。枚数が少ないので一部は他のOEMモデルの実写も混在しています。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して単なる円形ボケへと変わっていく様をピックアップしています。光学系がウルトロン型構成なので、本来なら真円の明確で繊細なエッジを伴うシャボン玉ボケの表出が苦手なハズなのですが、標準レンズと言うこともあり小振りながらもちゃんとシャボン玉ボケを表出できています。またエッジが破綻してアウトフォーカス部が滲んでいく際はワリと滑らかに溶けていきます。

二段目
さらにその円形ボケに収差の影響が濃く現れている実写をピックアップしてみました。決して二線ボケではないのですが、まるでそのような乱れた滲み方をしたり、周辺域への流れを伴う滲み方、或いはピント面のすぐ外側であるにも拘わらず二線ボケのようにエッジが纏わり付く独特な滲み方など、凡そ「オールドレンズの味」として捉えられるなら活用できそうな「背景効果」にも成り得ます。

三段目
今度はピント面をピックアップ (左からの3枚) しましたが、基本的に富岡光学製OEMモデルはそのほとんどのモデルでとても繊細なエッジを伴いつつピント面を構成します。このモデルの同様非常に細いエッジのピント面なのですが、ご覧のようにシ〜ンによっては微細にハロを伴うのでよりインパクトのある写真を残せます (ソフトタッチな印象にもなる)。みだ右写真のとおり明暗部の粘りがギリギリまで堪え凌ぐのでダイナミックレンジがワリと広めです。

四段目
被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力に優れ、距離感や空気感まで漂わす立体的なインパクトのある写真も得意です。人物撮影は何とか使えるかどうかと言う印象の残り方ですし光源/逆光時にはハロやゴーストの出現率も相応に高めです。

光学系は5群6枚の典型的なウルトロン型構成で、今回のモデルはモノコーティングのタイプです。

今回バラして清掃時にデジタルノギスで計測しほぼ正確にトレースした構成図です。
当方が計測したトレース図なので信憑性が低い為、ネット上で確認できる大多数の構成図のほうが「」です (つまり右図は参考程度の価値もない)。
(各硝子レンズのサイズ/厚み/凹凸/曲率/間隔など計測)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
(以下オーバーホール工程では過去オーバーホール時に掲載していた写真を転用しています)

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

【注 意】
ここから先のオーバーホール工程で使っている掲載写真は全て過去の別の個体を組み立てた際の写真になります (今回出品する個体の写真ではありません)。当ブログ契約サーバーの容量の問題から毎回写真掲載するのをやめています。
(上の全景写真のみ今回出品個体の構成パーツを撮影した写真になります)

内部構造や基本的な構成パーツは冒頭のモデルバリエーション中全てで共通であり、相違点は距離環のデザインやレンズ銘板など凡そ筐体意匠くらいです。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。このモデルはヘリコイド (オス側) が独立しており別に存在します。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑6枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます (上の写真は完成した絞りユニットを鏡筒最深部にセットしたところ)。

↑こちらは距離環やマウント部が組み付けられる基台です。

↑真鍮製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑同じようにヘリコイド (オス側) を、無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑完成した鏡筒はヘリコイド (オス側) の内側にストンと落とし込まれ、前玉側方向から「締付環」で締め付け固定される鏡筒の格納方式を採っています (グリーンの矢印の順番)。この工程の設計要素は実は「初期型」から引き継いでいる要素で、もともとは鏡筒の固定位置を微調整する事で「絞り羽根の開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量)」を微調整していた名残であり、その意味では冒頭「富岡光学製判定基準の」の名残とも言えます (本来なら鏡筒を締付環固定にせず締付ネジによる締め付け固定にしてしまえばもっと工程を簡素化できていた要素)。

↑このような感じで鏡筒がヘリコイド (オス側) 内部にセットされます。

↑こちらはマウント部内部の写真ですが、既に構成パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。

↑取り外していた構成パーツも個別に「磨き研磨」を施し、グリースなどを一切塗らないまま組み付けます。

マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①)、その「押し込まれた量の分だけ開閉アームが移動」します ()。この「開閉アーム」が鏡筒内部の絞りユニットに刺さって具体的に絞り羽根の開閉動作をしている為、絞り連動ピンの押し込み量が足りなければ絞り羽根が途中で停止してしまい設定絞り値まで閉じない現象になりますし、逆に絞り連動ピンの押し込みが強すぎると (最後まで押し込まれると) 内部の捻りバネが反応して必要以上のチカラを相殺してしまいます (逃がしてしまう)。ところがその際にチカラを伝達している「伝達板」部分がマウント部内壁に突き当たるので、下手すれば開放状態に戻りにくくなります。

上の写真ブルーの矢印①の箇所に「捻りバネ」が附随し、の場所に「スプリング」がセットされています。それぞれ「絞り羽根を開こうとするチカラ/閉じようとするチカラ」の相反するチカラのバランスで成り立っている為、どちらか一方のチカラが経年劣化などで弱まると「絞り羽根開閉異常」に繋がります。

↑後から指標値環を入れられないので先に差し込んでから完成したマウント部をセットします。この時前述の「開閉アーム」が鏡筒に刺さり、正しく絞り羽根が開閉することをチェックしておきます。

↑指標値環をイモネジ (3本) で締め付け固定します。

↑鋼球ボールを組み込んでから絞り環をセットします。

↑スイッチ切り替え用の鋼球ボールをセットしてからツマミが附随する「スイッチ環」を組み付けます。このスイッチで「自動/手動 (A/M) 切り替え」をするので、その切り替え動作に伴う絞り羽根の駆動も確認します。

↑全ての調整が終わったところで「マウントカバー」をセットしてイモネジ (3本) で締め付け固定します (グリーンの矢印)。

ここの工程が冒頭の「富岡光学製判定基準の」であり、マウント面の特異な固定方法を指しています。例えばこのマウントカバーをネジ込み方式で設計している光学メーカーは幾つかありますが、ワザワザ「イモネジ」を用意して締め付け固定させる方式に拘っていた光学メーカーは富岡光学だけです。

↑距離環を仮止めしてから光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

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ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
(ここからは今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体の写真になります)

↑完璧なオーバーホールが終わりました。今までに扱った同型モデルの個体「30本」中で考えても、最上位のレベルに位置するくらいのベストな仕上がりになりました。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射してもコーティング層の経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。ご落札者様1名様だけが実感できますが「まるで新古品のよう」な透明感です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もLED光照射で極薄いクモリが皆無です。特に後玉は突出していますが経年の「当てキズ/擦りキズ」がありません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:8点、目立つ点キズ:4点
後群内:16点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根も綺麗になり絞り環共々確実に駆動しています。上の写真はちょっと絞り値をミスッて撮影してしまいf値「f11」の閉じ具合で撮られています。実際は (現物は) ちゃんともう一段分小さく閉じて「最小絞り値f16」まで適正な開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量) で閉じます。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度と軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「重め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑距離環のラバー製ローレット (滑り止め) は、そのデザインの好き嫌いが分かれそうですが(笑)、ちゃんと中性洗剤で洗浄済なのでシットリ感が残っていてホールディング性の良さは認めてあげるべきですね(笑)

A/M切替スイッチ」もシャコンシャコンと小気味良く絞り羽根の切り替えが反応し、もちろん絞り羽根の開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量) も検査具で適正をチェック済です。絞り環の操作だけが少々「軽めのクリック感」ですが、クリック感を感じないレベルでは決してありません。

特にこのモデルのピントの山が掴みにくい性質なので、ピント合わせの際は距離環の微動で前後に操作する時、この軽い操作性が大変有難く感じるハズです。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

距離環が無限遠位置「∞」で停止している時、前述のとおり後玉はご覧のような突出があります (グリーンの矢印)。

後玉を下向きにしたまま不用意に置いたりしないようご注意下さいませ (当てキズ/擦りキズを付けかねません)。

↑当レンズによる最短撮影距離50cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

この実写はミニスタジオで撮影していますが上方と右側方向からライティングしています。その関係でフードを装着していない為に絞り値の設定によりハレ切りが不完全なまま撮影しています。一応手を翳していますがハレの影響から一部にコントラスト低下が出てしまうことがあります (簡易検査具による光学系検査を実施済で偏心まで含め光軸確認は適正/正常)。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に変わっています。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。そろそろ「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。