♦ FUJITA (藤田光学工業) H.C FUJITA 35mm/f2.5 (zebra)《初期型:FT26xxx》(exakta)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク出品するモデルは、国産は
藤田光学工業製広角レンズ・・・・、
『H.C FUJITA 35mm/f2.5 (zebra)《初期型:FT26xxx》(exakta)』
・・です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
年明けに非常に辛い思いをした為、近いうちの引退を見据えて、非常に神経質な構造や微調整が難しいモデルなど、本年より扱い数を大幅に減じていく為、このモデルも今回の扱いが最後になります・・申し訳ございません。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、藤田光学工業製広角レンズ「35㎜/f2.5」だけで捉えると15本目にあたりますが、今回扱った「製造番号:FT26xxx」でカウントすると2本目の扱いです。
実は年明け早々に同型モデルで、且つ同じ「初期型 (FT26xxx)」で初めての扱いとして、カウント1本目のオーバーホール/修理ご依頼を承りました。しかしその個体はご依頼時に「改造品」とご案内頂いた為、事前の概算見積で「改造品は何をどう改造したのかは改造者本人しか分からず、外見から見ただけでは掴めない」旨当方より説明し、その上で「しかも完全解体するので、その段階で元の状態には戻せなくなる懸念もある」結果、適切な状態に仕上げられない場合もあることを告知しましたが、仕上がったオールドレンズには瑕疵が残り、その瑕疵について減額されました(涙)
昨年末の似たような減額に続きの事案に年明け早々大変なショックを受け、その時載せたこのブログの記事を削除しました。ちゃんと事前概算見積で細かく説明していたつもりでしたが、結果的に減額され、そのような仕打ちは非常に不条理と考え、相当に傷つきました(涙)
当方的にはどうしても内部構造面から捉えた時に、物理的にその改造者が施した研削が納得できないままだったので「もう一度、自分で調達して内部構造を確認する」ことにしました・・改造者はどのような考えで肝心な部位を削り取ってしまったのか、それを確認する目的で今回のオーバーホール済ヤフオク出品に再挑戦です。
なお、今回のオーバーホール作業で自身の疑念が全て晴れ、納得できたので、冒頭のとおりこのモデルの扱いはこれを以て最後にします。
今後オーバーホール/修理ご依頼やオーバーホール済でのヤフオク出品にも、
このモデルは二度と現れません (思い出すので、もう見たくありません)。
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先ず一番最初にひと言申し上げておきますが、このモデルの実装光学系は「3群4枚エルマー型光学系」をその基本成分にしながらも、それにプラスして広角レンズたる理由から生じた像面歪曲などの補正を試みた「日本の戦後に於ける黎明期を代表する広角レンズの一つ」であると宣言したい気持ちでいっぱいです!
・・そのモデルの有終の美を飾るべく、徹底的なオーバーホール作業に臨みました!(涙)
当方での14年間の中でこの「藤田光学工業製広角レンズ:35㎜/F2.5」に着目すると、実は海外向けOEM製品が多数顕在する結果「FUJITA銘」だけで探すと少なめになります(汗)
《製造番号先頭2桁にみるモデル銘、絞り羽根とその格納》
❶ FT25xxx:(但し、絞り羽根の収納方法が2方式に分かれる)
羽根式の代用キー方式 → UNEEDA、FUJITA、FUJITAR、TOWER
金属製キー (棒状) のプレッシング方式 → ACCURA、RENOIT ETOILE
❷ FT26xxx:
羽根式の代用キー方式 → FUJITA、FUJITAR、TOWER
❸ FT27xxx:
羽根式の代用キー方式 → FUJITA、TOWER、ROTAR
❹ FT35xxx:
羽根式の代用キー方式 → FUJITA、FUJITA RETROFOCUS、JUPLEN、VOTAR
この検証については複数の考察が混在します。
◉ 1つ目:このモデルに符番されている製造番号先頭2桁の把握
◉ 2つ目:使われていたモデル銘の確定
◉ 3つ目:実装絞り羽根のキーの方式を確定
◉ 4つ目:その絞り羽根のキーの格納方法を確定
・・これらの結果から必然的に導き出される
◉ 5つ目:モデルバリエーションの推定
・・以上について探索していきます。
先ずここに上げたモデル銘の一部は海外向け輸出品たるOEM製品です。指向先は米国の他、ヨーロッパ向けも含まれています。それらモデル銘と製造番号先頭2桁との関係性については上の羅列を見れば一目瞭然です(汗)
しかし例えば「FUJITA銘」は複数の製造番号先頭2桁を跨いでおり、全ての製造番号帯に現れているのが分かります。またそれに近い性質として「TOWER銘」も3つの番号帯に跨いでいるのが間違いありません。
ところがこの時に一つの発見がありました。「TOWER銘」はFT25xxxの中では「羽根式の代用キー方式」のタイプにのみ顕在する点です(汗)
逆に言うなら「金属製キー採用の絞り羽根を実装したモデル銘はとても限られる」ことが指摘できます(汗)
最初にこのような内容について調べていく必要性が高くなりました。そこで最初に「絞り羽根のキーについて案内する必要がある」ことに至ります(汗)
このモデルのモデル銘にかかわらず、多くの個体に上の写真のような絞り羽根が組み込まれています。絞り羽根の両端には「絞り羽根の位置を確定させる穴に刺さるほうの位置決めキー」と「絞り環操作時に連動して動いて絞り羽根の角度を変えていく目的と役目の開閉キー」との2種類が必ず物理的に存在します・・要は「軸になる側とその反対側に位置する回転させる側の2種類」と言う原理です。
従って通常のオールドレンズで考えると「絞り環と連結するのは絞り羽根の開閉キーが入っている開閉環が対象パーツになる」ワケですが、もちろんその概念が逆転してしまっている設計もあったりします。
通常のオールドレンズではほぼ9割方以上のモデルで、これらのキーの目的と役目と役目を果たすのは「金属製の円柱棒」であり、その棒が製産工程の中の絞り羽根のプレッシング時に、カット切断されると同時にプレスされます。
上の写真で赤色矢印で指し示している箇所が「プレッシング時に十字の切込みを入れてプレスした (折り曲げた) 時の状態」を示しています。この絞り羽根をヒックリ返して「十字の切込みを入れてプレスした後の開口部」を指し示しているのがグリーン色の矢印です。
絞り羽根のカタチにプレッシングでカット切断する際に「羽根式の代用キー」を十字の切込みで切り起こしている様が分かります。一方が「開閉キー」であり、反対側が「位置決めキー」です。
ここでのポイントは「十字に切り込みを入れても垂直状に折り曲げられて切り立つ羽根式の
キーは三角形のカタチ」である点です (当たり前ですが)。
しかし意外にも多くの整備者にこの基本原則「垂直状に切り立つ (折り曲げられてしまった)
三角形のカタチ」が忘れ去られ、蔑ろにされ、そもそも同じ絞り羽根の金属材を「単にプレスして垂直状に曲げてしまっただけと言う簡素な構造」と言う非常にキワドイ要素に誰も着目しようとしません(涙)
・・このキーの方式は、一度外れると二度と組み上げられないから外さない。
などと、平気でプロの整備者が自身のブログで述べている始末で(泣)、どういう構造/概念で造られたのか、どのように使うつもりで設計したのか、そしてどうしたら再び組み込めるのか、或いはもしも折れてしまったときは「何か別の代替手法が在るのか」について、真摯に向き合って考えようとしません(涙)
要は面倒くさいから、触らずに「せいぜいアルコールで拭くだけでオシマイ」と言う、為体を飛び越してまるで『製品寿命』すら一切鑑みない姿勢に、プロの整備者としての良識すら感じ得ないとしか当方には指摘できません!(怒)
・・そういうプロの整備者がプロのカメラ店様 (カメラの〇〇〇〇) に在籍していたりする(驚)
当方はこれらの要素について全てちゃんと真摯に向き合い「観察と考察」を繰り返し、考え抜いて既に「キーが折れた時の代替手法まで考案」済です(笑)
従って当方はぜ〜んぜんこの方式の絞り羽根が怖くありませんが、いかんせん確かに組み込んでいくのは相当大変な作業です (羽根が不可抗力で簡単に折れるので、普通の組み込み作業の数倍の時間が必要)(泣)・・もちろん今回仕上げた個体も、12枚の絞り羽根全てを取り外した上で、ちゃんと清浄してから組み込んでいます (ワザワザ整備するのだから、当たり前です)(笑)
同じモデルの同じ絞り羽根の形状設計なのが一目瞭然ですが「金属棒のキーをプレッシングしている」点が大きな相違店です。
これこそが上の羅列で❶ FT25xxxで採用している「金属製キー (棒状) のプレッシング方式」を採用した絞り羽根です。
するとこのような検証に至った時の考察として「必然的に羽根式から金属棒へと進化したのは至極同理に適った進化」に至るのは自然な話です。何故なら、十字切込みによる羽根式代用のキー方式では「折り曲げ箇所の経年耐性が極度に弱い」にもかかわらず、それら4枚の羽根式キーは「ひたすらに絞り環操作で、日常的に回転運動させられている」のに耐え続けなければイケナイ為、その耐性改善が求められるのはまるで道理に適うと言えるのです。
結果見えてくる進化の流れは「羽根式代用キー → 金属棒のキーへと進化した」になりるものの「羽根式代用キー → 金属棒のキー → 再び羽根式に戻る」とのこの図式「退化」には成り得ないと考えざるを得ません(汗)
従って上の羅列で最初に明確になるのは「金属棒のキーを採用したタイプが最終期の設計」との結論に到達します。
これらのことから「FT25xxx」の中で、金属棒のキーをプレッシング
していた個体だけが、終盤に製造されていた個体だったとの憶測に相当な
信憑性が増す。
・・ことになります(汗)
するとここでもう一つ見えてきた考察があり「だとすれば製造番号先頭2桁にはシリアル値の概念が存在しない」事になってしまいます(汗)・・つまり「FT25xxx」の中でも「羽根式の代用キー方式」のタイプが混在して顕在する以上、必ずしも「FT25xxx」が最終期の製造番号帯とは指定できないことになります(汗)
つまりFTに続く2桁の数値には、シリアル値としての前後関係が成り
立っていない
・・と確定することになります(汗) もちろん他の焦点距離モデルは別の数値を割り当てられて製産出荷されていたので、それらFT付随番号には何等法則性が認められないとの結論に到達します。
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
◉ 絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている
このような解説に接すると「羽根式の代用キーが刺さる先の穴の形状はどうなのか???」との疑念が湧いてきます(汗)
「開閉キー (羽根式の代用キー)」のほうは、その上に「開閉環」が被さるものの、その被さった「開閉環」が絞り環に連結して、絞り環の回転操作に従って回り「絞り羽根を開いたり閉じたり角度を変えていく動きをする」ことが理解できるので、するとこの時「丸穴に刺さってしまったら回転運動の軸側になってしまう」原理になります (角度を変えられない)(汗)
一方「位置決めキー (やはり羽根式の代用キー)」は間違いなく「位置決め環」と言う回転したり移動しない「完全固定の環/リング/輪っかパーツ」の為、その原理からして「位置決めキーの刺さる先が穴であり、それは軸そのものの目的と役目」と断定できます。
結果、見えてくるのは「開閉キー側が穴ではなくスライド運動が可能な溝/スリット/切り欠きになる」との道理に至り、ここで初めて「開閉キーと位置決めキーそれぞれの刺さる先/格納手法が確定する」ことになります(汗)
・・このように「観察と考察」するからこそ『本来在るべき姿』に導かれる(汗)
ワケで、サービスマニュアルなど手元に一切存在せずとも、例え初めて扱うオールドレンズのモデルでも完全解体から完璧な組み上げへと作業を進められるのです(笑)
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ここで今回扱った個体の話に変わっていきます。
◉ 4つ目:その絞り羽根のキーの格納方法を確定
◉ 5つ目:モデルバリエーションの推定
・・この2つについて考察を進めていきます。
「位置決めキー (羽根式の代用キー)」側が刺さる先が「穴」だとハッキリしたものの、実は
その穴の反対側/裏面側 (つまり後玉側方向から光学系内を覗き込んだ時に見えるほうの側) のカタチがどうなっているのかがモデルバリエーションを確定する上で最も核心的な根拠になりました(汗)
結論から言えば「穴の裏側が切削されていないタイプ (つまり単なる円筒状の穴) が初期型と特定できた」と判明しました(汗)
それはこのモデルの非常に多くの個体 (今までに扱った15本中の11本) で「穴の反対側は
研削されていて、キーを折り曲げて外れないようにとめられるよう工夫してあった」ことが判明しているからです(汗)・・残りの4本のうち2本が「金属製キー」になる為、そこから導き出された結論は「2本だけが単なる円筒状のシンプルな穴だけに仕上げられていて、羽根式の代用キーが刺さってもヒックリ返しただけで外れる」ことが、ちゃんと実験して確かめられたからです(汗)
穴の裏側がちゃんと削られていて、且つキーが折り曲げれるなら「ヒックリ返しても絞り羽根が外れなかった」ワケで、それを以て「単に刺すだけのシンプルな穴から、絞り羽根脱落を防ぐ工夫に進化した」と自然に考えられる為、この結論を以て「シンプルな単なる穴だけの個体こそが初期型」と確定した次第で、今回扱う個体の製造番号先頭2桁「FT26xxx」に合致したのです(汗)
それこそが一番最初の羅列で案内したモデル銘の中で「赤色文字」で表記したモデル銘・・
FT26xxxのFUJITAと、FT35xxxのFUJITA RETROFOCUSの2つ・・と発表できます (つまり❷と❹に混在している)(汗)
このようにモデルバリエーションを限定しそうな要素に対して調べていくと、そのような個体が製造番号帯を跨いで混在している様が明らかになり「先頭2桁にシリアル値の概念が存在しない」ことが確定してしまい、且つモデル銘すらその番号帯に集約しないことも分かった為、結果的にこれら番号帯には何の意味も割り当てられていなかったことになります(汗)
・・単なる製造番号事前割当の概念でしかない。
従ってネット上であ~だこ~だ騒がれているこの製造番号のまつわる話は、ここまでの考察で一応の結末を迎えたと当方的には受け取っています(汗)
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ここからはこのモデルの光学系に関する探索の結果を解説していきます。このモデルの登場時期やその背景などは最後のほうで解説しますが、先ずは光学系です (最近ハマっている)!(笑)
←左の図は、現在「特許情報プラットフォームJ-PlatPat」でも検索して調べられる特許出願申請書からの抜粋ですが、今回のモデルとはまるで関係ありません(汗)
しかしこの情報から手に入れられた貴重な情報は「当時藤田光学工業に光学硝子レンズを供給していた企業の名前を知ることができた」点です!(驚)
↑上の図は前述特許出願申請書からの抜粋です。見てください!(驚)
出願人「藤田光学工業株式会社」に対し考案者「株式会社三協精機製作所」在籍「伊藤富夫」氏になっているのです!(驚)
←例えば左に示す特許出願申請書も同じように「三協精機製作所」の発明案件になりますが、確かに「5群7枚拡張ダブルガウスガタ光学系」を使った「短波長の透過率の良い写真用対物レンズ」との標題で赤外線方式カメラのレンズなのかも知れません (記述を読んでいないので分かりませんが)。
このように光学硝子レンズを発明していることが確認できます。
もちろん上の左図は藤田光学工業宛に供給している内容ではありませんが、少なくとも藤田光学工業が必ずしも自ら内製していたとは限らない (つまり光学硝子レンズを自社内で溶融解して精製し光学設計を発明していたとは限らないとの意味合い)『証拠』が、一つ発見できたのではないかと考えています(汗)
ちなみに当時は「三協精機製作所」ですが、現在は「ニデックインスツルメンツ株式会社」と社名が変わっており、旧日本電産の完全子会社であることが分かります・・特に戦後のオルゴール界隈ではトップのシェア率を誇り、今現在も日本国内で製産を続けていると言うのですから、本当に素晴らしい限りです!(涙) もちろん会社自体は日本を代表するような大企業の
一つですから、オールドレンズ云々の話どころではありませんね(笑)
←当時発売されていた8㎜カメラ「PHOTO-METER」で、ゼンマイ仕掛けで巻き上げて動画撮影する「SANKYO 8T」であり、1957年発売です。
装着するDマウント規格のシネレンズは「KINO-SANKYOレンズ」銘だったようです (もちろん他のDマウント規格品も装着可能)。
いずれもこの当時のオールドレンズ界隈で有名な「三協光機製KOMURA銘モデル」とは一切
関わりがありません(汗)
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光学系は前回の扱い時に完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図が右構成図です。
「5群7枚レトロフォーカスガタ光学系」ですが、基本成分は
色付した部分を含んだ 色付した第3群〜第5群までであり「3群4枚エルマー型構成」です。
すると「3群4枚テッサー型光学系」を連想するような光学設計ですが、当方の今までの考察から「エルマー型のほうが絞りユニットを挟んだ前後群でのパワー配置がテッサー型とは異なり、入射光を限定しながらもその収差補正レベルはむしろ高い」との評価です。
その意味で同じ3群4枚でもテッサー型のほうがコントラストの獲得や光量の確保には有利ですが、その反面収差補正には限界があり、特に近距離撮影時の非点収差とコマ収差、或いは
歪曲収差面で非常に有利になると捉えています。
特にこのような結果がこの当時のマクロレンズの多くのモデルに、その基本成分として「3群4枚エルマー型の光学系」を含む点からも、当方的には納得感を得ている次第です(汗)
そしてさらに今回扱うモデルに付け加える要素は何と言っても「光学系第4群に配置される2枚貼り合わせレンズの特異性」と指摘でき、右構成図の中で 色付した光学系第4群の2枚貼り合わせレンズの存在です。
例えば第5群の後玉が2枚貼り合わせレンズなのは、まるで「3群4枚エルマー型光学系構成」で言うところの後玉たる第3群そのままの要素ですが、この時 エルマー型の中では第2群は「純粋な両凹レンズ」です。
ところが今回のモデルでは、そこにもう1枚追加で張り合わせているものの、よ〜く観ると「2枚共に凹メニスカスレンズ」なのが分かります。これはリアルな現実にこの第4群が黄銅材にモールド一体成型ですが、覗き込んで光に翳してコバ端を確認すれば「絞りユニット側の厚みは第4群全体の凡そ1/3程度」と解釈でき、構成4枚目の 色付凹メニスカスレンズの厚みが薄いことが確認できます。
そしてもちろん張り合わせているもう1枚の 色付たる構成5枚目も凹メニスカスレンズなのが一目瞭然なので「このモデルの光学系第4群で狙っいるのは、色消し効果ではなく別の収差補正を狙っている」光学設計なのが妄想できます(汗)
逆に言うなら、もしも仮に「色消し効果を狙っている」なら、その次の 色付第5群2枚貼り合わせレンズのように「凹メニスカスレンズ+両凸レンズ」になるハズだからです(汗)
これは「フラウンホーファー型光学系」の発明原理に基づいて入射光の色消し効果を狙う効果的な一例ですが「凸系レンズ+凹系レンズ」と言う、左図のような色分けによる2枚貼り合わせレンズ化にすることで色収差の補正効果を期待できます。
この原理に習うなら、今回のモデルの光学系第4群も同じような要素で光学硝子レンズのカタチが決まるのに・・そうなっていません(汗)
2枚の貼り合わせレンズが共に「凹メニスカスレンズ同士の接着」との光学設計から、その狙いは色消しではなく別の理由になります。
それが右構成図で 色付している光学系第1群前玉の凹メニスカスレンズと第2群両凸レンズの存在です(汗)
つまり広角レンズであるが故にバックフォーカスを稼ぐ必要性から「レトロフォーカス」名の如く「焦点を後退させる」目的と役目とすれば、基本成分たる 色付部分よりも前衛に配置した 色付の第1群と第2群によって発生する「像面歪曲や斜方束収差などの歪曲収差」改善の目的と役目で、第4群の2枚貼り合わせレンズが登場したと受け取るほうが、より自然な経緯のように考えるのです(汗)
本当はやはり特許出願申請書の記述をちゃんと読んで考察を進めるのが筋なのですが、どう探しても発見できません(涙)・・もしもご存知の方がいらしたら、是非ご教授ください。どうか宜しくお願い申し上げます。
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戦後日本国内で一番最初に一眼レフ (フィルム) カメラが登場したのは1952年で国産初/自社初でもある旭光学工業製「Asahiflex I型」になりますが「M37マウント規格」を採用したネジ込み式マウント規格であるものの、当時はまだ広角レンズ域のオプション交換レンズ群は用意されていませんでした (右写真はその後1954年に発売されたクィックリターンミラーを実装したAsahiflex IIb)。
クィックリターンミラー装備の一眼レフ (フィルム) カメラ登場が1954年ながらもその時点での広角レンズ群供給は無く、そこで登場するのが藤田光学工業であり、日本初/自社初の広角レンズ「H.C FUJITA 35mm/f2.5 (zebra)」が1957年に発売されます。
←左写真は「Asahiflex IIA/IIB」向け刻印がマウント面に刻まれている「FUJITA銘モデル」であり、まさに前述の交換レンズとして供給されていた事実を示しているように考えます。
(引用元:BURNT EMBERSのFujitar P.C 35mm F2.5 Asahiflex Lens Testより)
素晴らしい観察力で調査しているサイトです。
また右写真は同じ頃1957年辺りに製産出荷されたOEM輸出仕様モデル「TOWER銘モデル」になり、距離環の刻印距離指標値が二段になっており「フィート表記とメートル表記のダブル刻印」なのが分かります。この写真の個体の製造番号は「FT27xxx」です。
SERASは1886年創業のカタログ通販を主体とした小売業で、時計/宝飾品の扱いからスタートしています。後には百貨店系列も傘下に収め有名になりました。
創業当初から展開していたブランド銘は「Seroco」と「TOWER」ですが、特に1950年代
〜1960年代は旧東西ドイツの光学製品 (ZEISS IKON、Polaroid、Bolseyの他Kodakなど) 以外に日本の光学メーカー製品を独自の「TOWER銘」ブランドとして製品に銘打ってOEM製品として調達し積極的にブランド展開していたようです (この時点で当初創業時から併走していたSerocoブランド銘は衰退し消滅)。
従って前述の旭光学工業製「Asahiflex IIa〜IIb」もご多分に漏れず「TOWER 22型から始まるシリーズ製品」として展開していました。この時のオプション交換レンズ群の中に組み入れられたのが、前出の藤田光学工業性OEMモデル「H.C TOWER 35mm/f2.5 (zebra)」になります。
(右写真はそのTOWER 22に装着したH.C TOWER 35mm/f2.5)
←左の当時の広告を見ると、確かに左下辺りに「H.C TOWER 35mm/f2.5 (zebra)」が掲載されているのが確認できます(汗)
また広告の「TOWER 22」には旭光学工業性標準レンズ「Asahi-Kogaku Takumar 58mm/f2.4」を装着しており、そのレンズ銘板が微かに視認できます。
《OEMモデル含むモデルバリエーション》
※当方で過去に扱った個体について羅列 (未扱い品を含まず)。
原型モデル:藤田光学工業製 (1957年発売)
H.C FUJITA 35mm/f2.5 (zebra)
あくまでも、このモデルが原型であり、それ以外のブランドモデルはすべてOEMモデルとの認識です。
出現頻度は海外オークションでも1年に2〜3本レベルですから希少品の一つです。
OEMモデル:アメリカ向け輸出仕様
H.C JUPLEN 35mm/f2.5 (zebra)
海外オークションでも1年に5〜6本レベルで流通しているので、このモデルの中では最も出現数が多いタイプでしょうか。近年はヤフオク! でも出回っています (feet表記のみ)。
OEMモデル:アメリカ向け輸出仕様
P.C UNEEDA 35mm/f2.5 (zebra)
14年間で1本しか出回っていない珍品です。当方が入手したのはアメリカ向けの輸出仕様品でした。レンズ銘板を見るとモノコーティングの名称刻印が「P.C」になっており少々異なります (feet表記のみ)。
OEMモデル:欧米向け輸出仕様
P.C ACCURAR 35mm/f2.5 (zebra)
14年間で1本しか見つけていない超稀少品 (珍品) です。やはりレンズ銘板のモノコーティング刻印が「P.C」になっています (feet/meter併記)。
OEMモデル:フランス向け輸出仕様
P.C RENOIT ETOILE 35mm/f2.5 (zebra)
こちらも14年間で1本しか見つけていない超稀少品 (珍品) になります。やはりレンズ銘板のモノコーティング刻印が「P.C」になっています (feet/meter併記)。
原型モデル:藤田光学工業製 (1957年発売)(?)
FUJITA RETROFOCUS f/EXAKTA 35mm/f2.5 (zebra)
今までの14年間で1本しか見つけていない超稀少品 (珍品) です。この時初めてレンズ銘板にモノコーティング刻印が無いタイプを扱いました (feet表記のみ)。
他にネット上を探索すると「P.C TOWER 35mm/f2.5 (zebra)」或いは「H.C TOWER 35mm/f2.5 (zebra)」そして「P.C FUJITAR 35mm/f2.5 (zebra)」他「P.C OPTINAR 35mm/f2.5 (zebra)」などというブランド銘の刻印もあったりしますが、おそらく違うのは
モデル銘だけ (レンズ銘板だけ) と推測できます。
ちなみに未だにレンズ銘板に刻印されているモノコーティングの「H.C」と「P.C」の原語が掴めません(汗)・・これらの2文字目「C」が「コーティング (COATING)」を指しているとの考察も確かにありますが、するとどうしてピリオドが無いのかが納得できていません(汗)
穿った推測で「H.C」は「High Anti-reflection Coating」とすれば「高反射防止コーティング」との意味合いにも受け取れますが、やはり「P.C」の「P」が掴めません(汗)
・・英語に詳しい方、当て字でも良いので是非ともヒントをご教授下さいませ(笑)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『FUJITA RETROFOCUS f/EXAKTA 35mm/f2.5 (zebra)《初期型》(exakta)』のページをご参照下さいませ(当方の考察はその都度新たな情報を基に更新しています)。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。ご覧のとおり製造番号先頭2桁「FT26xxx」になり、今までの14年間で都合2本目の扱いになる「初期型」です。
《オーバーホール後残ってしまった瑕疵内容》
❶ 光学系後群側の後玉中央に微かな薄いスレ痕が残っています。
→ これは距離環を無限遠位置「∞」まで回しきった時に「マウント部から極僅かに後玉が飛び出る」ために、マウントを下に向けたまま置いたりすると、その時に当てキズや擦れ痕が残ってしまう事象の一つです。これらのキズは物理的に光学硝子レンズに残る為、光学清掃では除去できません。キャップなど装着せずにそのまま置く際は、ご留意下さいませ。
❷ 鏡胴の絞り環〜距離環〜マウント部までの中で直視方向の極僅かなガタつきが残ります。
→ 絞り環に付随するプリセット絞り機構部の制限感の固定位置に対するマチ/隙間や、距離環のヘリコイド (メス側) の回転運動に対する黄銅材同士のマチ (空間/隙間) 或いはマウント部と基台との関係性から必ずとても僅かなガタつきが生じます。
製品設計上の問題なので改善不能であり、クレーム対象にしません。
❸ exaktaマウントの着脱に少々癖があります。
→ この問題も製品設計上の問題なので改善不能ですが、一方でマウントアダプタとの相性問題でもあります。
◉ K&F CONCEPT製マウントアダプタに装着する場合:
装着時は、だいぶキツメで確実に入るまで硬い印象ですが、一旦入ると水平移動は軽く最後までセットできます。またロック用のノブのロック操作も硬めで、下手すれば強制的にコの字型の爪部分を噛ませる必要があります。
但し、撮影時の水平方向でのガタつきなど発生せず、最も安心して撮影に臨めます。
◉ Rayqual製マウントアダプタに装着する場合:
装着時はキツクなく容易に装着可能ですが (ロック用ノブも軽くセットできる)、装着後に水平方向でのガタつきが生じてしまい、ピント合わせ時に左右方向に画面ブレします (ライブビュー撮影時の話)。例えばフィルムカメラに装着していた場合など、撮影画像を確認しながら撮影できない場合、意図した被写体位置とは左右方向にズレた位置で写真が撮られてしまう懸念が残ります (左右が反転する為、その事前把握も慣れが必要)。
↑当初完全解体した後に、当方の手による『磨き研磨』を施している時の撮影写真です。赤色矢印で指し示しているように「フィルター枠外周を過去メンテナンス時に着色している」のが分かります。
上の写真はその着色を溶剤を使いゴシゴシと擦って剥がし落としている最中の撮影です。塗膜を剥がして落とした下から現れたのは「オリジナルなメッキ加工」であり、鏡筒の他の部分と全く同一のメッキ加工「濃い緑色の塗り重ね」なので、どうしてこの上からワザワザ再び着色する必要があるのか「???」です(汗)
↑こちらの写真は当方の手による『磨き研磨』が終わった状態での、同じ鏡筒を写した撮影写真です。
赤色矢印で指し示している箇所に残る「3つのイモネジ締め付け痕」が確認できますが、この中の1つだけが製産時点を示します。
◉ イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種で
ネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。
大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。
この赤色矢印で指し示している箇所には「プリセット絞り環用制限環」と言う円形パーツがセットされ、このパーツの固定位置次第で「プリセット絞り環の駆動範囲が限定される」仕組みなので制限環と呼ぶことになります。
従って制限環の固定位置をミスると「絞り環に刻印されている絞り値の数値似た対して、設定できる範囲がズレる → 結果、絞り環操作に影響が現れる」との因果に至り、特に絞り羽根の重なりが最大値をとる最小絞り値側方向で固くなります(汗)
それを過去メンテナンス時の整備者が微調整する目的でイモネジの締め付け位置をワザと故意にズラしていた「ごまかしの整備」がバレバレです(笑)
逆に言うなら、上の写真を観ればまさに一目瞭然ですが「イモネジの締め付け痕は水平方向だけで3つ残っているのが確認できる」ことから、前後方向/直進動方向での高低差が無い為「ここの部位で生じた極僅かなガタつきは、製品設計上のマチ/隙間/空間と判定を下せる」ことになり、リアルな現実にその微調整は物理的に不可能です。
ちなみに水平方向でイモネジの締め付け痕が残る理由も判明しましまい(笑)「開放側の先まで僅かに回るように仕上げた」或いは「最小絞り値側の先まで回るように仕向けた」をしたかったのが明らかになってしまいます(笑)・・何故なら、3つの中の1つだけが製産時点のイモネジ締め付け痕だからです(笑)
なおグリーン色の矢印で指し示している箇所に残る複数のヘアラインキズは「絞り環が擦れていた痕跡」であり、絞り環自体の操作位置すらミスっていたことがバレてしまいます(笑)・・何故なら、絞り環はネジ込み式だからです。ネジ込みが足りなかった為に、プリセット絞り環の操作時のチカラが影響して絞り環が撓ってキズとして残った「証拠」でもあります(泣)
↑冒頭でさんざん解説した「位置決め環」であり、この環 (リング/輪っか) の穴に「位置決めキーの羽根式代用キー」が刺さるものの、裏側もまるで同じような研削なので「12枚の絞り羽根セット後にヒックリ返すと絞り羽根がバラけて落下してしまう」ことになります(汗)
逆に言うなら上の写真の「穴」の周囲がすり鉢状に研削しているのがすぐ後の時代に登場した「前期型」であり、絞り羽根の落下を防ぐ工夫を施したことを意味する「モデルバリエーションの確定材料」だと判定している話を冒頭で述べているのです。
上の写真で説明しているのはその話ではなく、赤色矢印で指し示している箇所に残る4つのイモネジ締め付け痕です。この中の1つだけが製産時点を示します(汗)
最低でも2つの大きなイモネジ締め付け痕が視認できるので、製産後に1回は過去メンテナンスされていることが掴めます(汗)・・但し、まるでズレていたことがバレバレです(笑)
↑こちらは黄銅材のヘリコイドメス側です。この環/リング/輪っかの外壁に距離環ローレット (滑り止め) がイモネジ3本を使い均等配置で締め付け固定されます。
製産時点を示す正しいイモネジ締め付け位置は赤色矢印で指し示している箇所の大きな下穴ですが (ちゃんとその中心にイモネジ締め付け痕が残っているのが分かる)(笑)、その周囲の水平方向位置に複数のイモネジ締め付け痕が確認できます(笑)
これらの複数残るイモネジ締め付け痕をよ〜く観察すると「2つの点が互いに近接してそれぞれ残っている」のが分かります。このことから過去メンテナンス時の整備者の所為が浮かび上がります(笑)
過去メンテナンス時の整備者は、ヘリコイドメス側のネジ込み位置をミスっていたものの、5〜6回そのネジ込み位置を変更して組み込んで試していたことが分かります・・何故なら、ヘリコイドネジ山の数が6箇所だからです。
するとそれぞれのネジ山でヘリコイドをネジ込んで最後まで組み立ててから「無限遠合焦位置を確認していた」結果、その時の距離環ローレット (滑り止め) 固定位置が僅かにズレていく話になります (それで2点ずつ近接して残っている)(笑)
これらの事柄から、この過去メンテナンス時の整備者は「原理原則」が全く理解できていない整備者で、手当たり次第に全てのネジ山で組み上げていちいち無限遠位置をチェックしていたことが白日の下に晒されます(笑)
・・まるで恥ずかしい整備状況です!(笑)
例えば確かに当方自身も扱うのが初めてなオールドレンズのモデルがありますが「原理原則」を熟知しているなら、手当たり次第に全てのネジ込み位置でヘリコイドオスメスを組み上げていく作業はしません(笑)
それは無限遠位置の時の鏡筒の格納位置、合わせてその鏡筒の固定位置が見えているからです(笑)
当方がヘリコイドのネジ込みを変更しながら/ズラしながら組み立てていく作業を行う時は限られていて「ヘリコイドの回転が原因で瑕疵が現れていた場合」にヘリコイドのネジ山を違えてネジ込むことで、その位置を確定させよう、或いは近づこうとと挑戦することはあります(笑)
しかしさすがに無限遠位置を当てずっぽでチェックしていく作業は・・執りませんねぇ〜(恥)
このことから見えてきたのは「このモデルの製品設計の道理が全く見えていなかった整備者」が過去メンテナンスしていたことが明白になります(笑)
逆に言うなら、このモデルは一般的なオールドレンズの鏡筒駆動とは少しだけ異なった概念で製品設計しており、マウント部に対してそれ以外を全繰り出し方式で操作していく手法を採った設計だからです(汗)
・・その結果、レトロフォーカス型光学系も相俟り頭デッカチに仕上がった(笑)
と言うのが、当方の最終結論です。
従って、このモデルの組み立て工程は一般的なオールドレンズの組み立て工程から逸脱しており、その違いを全く理解できなかった過去メンテナンス時の整備者なのが確定します(笑)
↑ここからの解説が年明け早々にイヤな思いをした「改造品」整備時の確認作業になっていきます(涙)
その「改造品」は上の写真のグリーン色の矢印で指し示しているいちでこの基台を切り離していました(涙)・・結果、ブルー色ラインの箇所でこの基台が2分割していたことになります(汗)
ところがこの基台は「直進キー+ヘリコイドメス側を固定する目的と役目がある」のに、それを分離させてしまったが為に、赤色矢印で指し示している箇所両サイドに備わる締付ネジ用の穴が「その効力を喪失する」結果に至ったのです(涙)
・・どうして1つだった基台を2分割させてしまったのか???
その答えは年明けに整備した「改造品」がM42マウント規格品だったものの、このモデルのM42マウントは「マウントのネジ山からさらに2㎜弱の突出がある」のを嫌い、その分の厚みを切削して相殺させようと試みたのだと思います(涙)
結果その改造者が施した処置は、上の写真ブルー色ラインの下側を2㎜弱を削って薄く仕上げ、それで組み立てたのですが、今度は本来一体化していた基台なので組み立てるにもまるで赤色矢印のネジ止めが機能しません(泣)
・・つまりヘリコイド群を固定できなくなってしまったのです(怖)
結果、エポキシ系瞬間接着剤による接着へと走り、最終的にヤフオクで売り飛ばしたのだとその所為が白日の下に晒されました(笑)
・・まるでバカなヤツです!(笑)
こういう単細胞に何も考察しないバカな整備者がよけいな所為を施すから希少なオールドレンズすら『絶滅危惧種』へと変化していってしまいます(涙)
↑上の写真は「直進キー環」と言う環/リング/輪っかで、1つ前の基台にネジ止め固定されます (赤色矢印)。この「直進キー環」がヘリコイドオス側と鏡筒を保持してくれるから、マウント部からスッポ抜けずにちゃんと繰り出し運動をしてくれますが、この「直進キー環」が基台に固定されないなら「必然的にオールドレンズを下に向けたらスッポ抜ける (何故なら基台に固定されないから=マウント部にも固定されていないから)」のはまるで明らかです(泣)
・・こんな簡単な事柄すら理解できずに、イキナシ削ってしまうと言う本当に低能なヤツ!
いくら三協精機製作所に依頼して光学設計と光学硝子レンズを手に入れたにしても (当方の妄想ですが)、そこから先の製品設計は、当時の藤田光学工業設計陣の苦心と苦労に工夫の賜物だったのに・・それを平気で台無しにします!!!(怒)
またその年明けのオーバーホール/修理ご依頼者様も同類で、このような内容の説明を細かく伝えたにも関わらず「減額する」と言う行為が平気でできてしまう、その人間性にとても恐れを感じました!(怖)
・・それでショックを受けた(涙)
まるで当然の如くひと言で減額を言ってきましたから、そういう人間って本当に人情を理解しない冷徹なヤツなのだと、マジッで怖くなりました!(怖)
↑「直進キー環 (右)」と「ヘリコイドオス側 (左)」です。「直進キー環 (右)」は1つ前の写真からヒックリ返して撮影しています。するとグリーン色の矢印で指し示している箇所両サイドに「板状の直進キー」が垂直状に切り立ち、それが左側「ヘリコイドオス側の両サイドの溝部分に刺さる (グリーン色の矢印)」のを説明しています。
従って距離環がイモネジ3本で締め付け固定されている先がヘリコイドメス側なので、回転することでこの「直進キーによって回転運動が直進動に即座に変換されて繰り出し/収納駆動する」原理がご理解頂けると思います(汗)
これが意味するのは「この直進キー環は間違いなく基台に固定されなければイケナイ」のだと、普通なら誰でも理解するのだと思うのです(汗)
・・さらにショッキングな事実が露わになりました!(驚)
過去メンテナンス時の整備者は、電気ドリル切削して垂直状に穴を2つ開けていたのです!(驚) 上の写真ブルー色の矢印で指し示している箇所に3つの穴がありますが、この中の1つだけが「製産時点」であり、その目的と役目は「鏡筒の固定位置の確定」です。
・・つまりワザと故意に鏡筒の向きを変更していた事実が露わになりました!(驚)
どうしてそんな所為の為に、ワザワザ電気ドリルを使って穴あけするのか???・・その理由の全ては「ヘリコイドネジ込み位置のミス」であり、その結果招いた不都合が「無限遠∞刻印位置のズレ+基準△マーカーのズレ」であり、何でもかんでも研削して「ごまかしの整備」を行う、そういう良識がまるで信じられません!(驚)
もっと言うなら「電気ドリルを使い垂直状に穴あけできる」或いは「間違いなく的確な位置に穴あけできる」スキルを持つ金属加工に長けている整備者なのに、肝心な「オールドレンズに存在する原理原則をまるだ分かっていない」と言う、本当に恥ずかしいスキルレベルです(恥)
・・どうしてこういう加工を施すことが恥ずかしいと思わないのでしょうか???
逆に言うなら、どうして製品として組み上がっていたのですか???(怒) その一度は適切に組み上がって発売されていた工業製品だったモノを「自分の勝手だけで研削してしまうその人間性」がまるで低能すぎます!(怒)
・・ちゃんと徹底的に考えまくって、当初の状態まで戻すだけの話じゃないですか!(怒)
それを面倒がって安直に研削するのは、どんなに金属加工スキルがあっても「それを自ら台無しにして活かしきっていない行為」とすら気づいておらず、まるで人間的にダメなヤツです!!!(怒)
今ドキのYouTubeやSN含め「・・やってみた!」シリーズではありませんが、ちょっとコツを噛じると、まるでそれこそがベストの如く拡散しようするバカなヤツばかりで、マジッに頭にきます!
しかもそれを正当化するべく「自分の理論に適った論説ばかり集めて再び拡散している」始末で、どうしても自分の主張が正しいと周囲に理解させようと、それしか考えていません。
ならば「どうして理路整然にその道理を説かないのか???」と言いたいです(笑) どんなに無限遠位置の確定の為に自作コリメーターを作って用意しても、最終的に電子検査機械設備には適いません(笑)
その意味で言うなら、当方が利用しているプロ向け簡易検査器具ですら「人の操作が介在するが故の精度誤差が残る」為に、その信憑性は低いのです!(泣) 何十万円もする電子検査機械設備の代替には「一切ならない」のです!(泣)
この前提に立てば、どんな簡易検査具を使っても所詮同じ土俵の話であり、検査精度を担保するが如く「当時造られていたフィルムカメラだけが正」と宣う姿勢は「では今ドキのデジタル一眼レフカメラ/ミラーレス一眼レフカメラ所有者はどうすれば良いのか???」との答えにまるでなっていません!(笑)
フィルムカメラ使用者が圧倒的大多数を占めるなら、まだ納得する方向性の妥協案も見えてきますが、まるでその反対の状況なのに「自分の主張だけを押し付ける姿勢」には道理が通る説明を尽くしているとは受け取られません。
・・それが当方の言い分です。
↑「直進キー環」はこんな感じでヘリコイドオス側に刺さります。刺さっただけなので、ヘリコイドが回転していくと次第にこのヘリコイドオス側だけが上下動して繰り出し/収納動作に至る原理です。
従ってこの「直進キー環」が何処かに固定されていない限り「ヘリコイドオス側を含む鏡筒が丸ごと抜けてスッ飛ぶ!」のは自明の理ではありませんか???(汗)
逆に言うなら、もしもヘリコイドオス側を何処かに固定してしまったら、そもそも鏡筒の繰り出し/収納動作ができません(汗)
・・どうしてこんな簡単なことが分からないのでしょうか???(汗)
↑問題の基台の赤色矢印で指し示している箇所に備わるネジ穴は、前述の「直進キー環」を締め付け固定する為の貫通用のネジ穴なのです (反対側にももう1つあり)。
↑このように「直進キー環」が基台に固定されるものの、グリーン色の矢印で指し示している箇所の空間には「ヘリコイドメス側が入る」からこそ、距離環を回したらこのヘリコイドメス側にネジ込まれている「ヘリコイドオス側=鏡筒」だけが繰り出し/収納動作する原理なのです・・まるで鏡筒を下から押し出しているような駆動原理です(汗)
・・この説明読んでも分かりませんか???(汗)
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ここまでの解説で皆様には一切関係ない話ではありましたが、年明けの不条理な仕打ちで「当方の考え方に落ち度はなかった」ことが、現ブツを今一度確認して理解し納得できました(涙)
・・もうこのオールドレンズは二度と見たくあません(涙)
↑ここからは仕上がったオーバーホール済でのヤフオク出品個体の解説に移ります。
ご覧のとおり、赤色矢印で指し示している箇所がミスタイプしたまま製品出荷していたとても珍しい個体です(汗)
正しくは「1:2.5」の刻印であり、製品諸元値としての開放f値を刻印しています。点が
1つありません(汗)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
コバ端の浮きや剥がれも一旦剥がしまくって再着色したので、キレイに仕上がっています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側もスカッとクリアで、極薄いクモリすら皆無です。冒頭瑕疵内容❶のとおり、後玉中央には非常に薄い微かな擦れ痕が残っています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
当方は「キレイな部位ばかりを撮影して謳わない」主義なので、むしろ撮影して告知すべきは「瑕疵内容が残っている部分であるべき」スタンスであり、そのように傾けて視認できる位置で撮影しています。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:9点
後群内:18点、目立つ点キズ:11点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(光学系内は薄い極微細な最大9mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(後玉中央に微かな当て痕1点あり)
※但し撮影写真に影響するレベルではありません。
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑12枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正十二角形を維持」しながら閉じていきます (途中カタチが変わります)。
なお絞り環操作やプリセット絞り環の操作性は、どちらかと言うと非常に軽めの印象です。塗布するグリースの粘性を最も硬いタイプに変更すれば、必然的に適度なトルクが与えられシッカリした操作性に変えられますが「それを敢えて行いません!」と告知しておきます。
その理由は、冒頭でさんざん説明した「羽根式代用キー方式」の絞り羽根だからです。「キー」自体が非常に弱いので『製品寿命』を見据えて、敢えてワザと故意に軽めのトルク感に仕上げています。
また絞り環やプリセット絞り環にまつわる極僅かなガタつきも、シム環などを造って挟み込めば改善は期待できますが、やはり「羽根式代用キー方式」の絞り羽根であることが今後の将来に於ける活躍の可能性を酷く限定している為、一にも二にも三にもその負担を限り無く軽減することだけが主眼だったりします(涙)
・・ご理解下さいませ。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・付属マウントアダプタのヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・exaktaマウント規格品ですが装着するマウントアダプタにより着脱時に硬かったりガタついたりの違いが確認できています。
※K&F CONCEPT製の場合
→装着時キツメですが(ノブ硬め)ガタつき無し
※Rayqual製の場合
→装着が楽ですがガタつきが生じピント合わせ時に左右ブレ起こし影響します。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・付属品の一部には新品でも微細なキズや擦れが袋/ケースから取り出した時点で残っていたりします(おそらく中国/東南アジア製とみていますが不明)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
❷ 本体『H.C FUJITA 35mm/f2.5 (zebra)《初期型:FT26xxx》(exakta)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (輸送時保護の役目だけ)(新品)
❹ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
❺ クリーニング用ファイバークロス (新品)
無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:35㎜、開放F値:f2.5、被写体までの距離:19m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:10m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、10m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の20m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
何故なら、相当な遠方だけで無限遠位置を確定させても、肝心な理論値としての被写界深度の前後がズレていれば、それは「光学系の格納位置のズレが残ったまま」だからです(笑)・・その意味で理論値たる被写界深度の前後値を基に実写確認の上、無限遠位置の適正化を判定しています (遠方だけではない)。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑マウントアダプタに関する相性問題ではありますが、当方ではちゃんと確認しています。K&F CONCEPT正マウントアダプタが「exaktaマウント規格」品にはヨロシイように印象しますが、赤色矢印で指し示している箇所のロック用ノブも硬いので、強制的に噛ませるような操作をしないとイケマセン(汗)
・・その代わりとは言ってはなんですが、ピント合わせ時の左右ブレは生じません(汗)
↑当レンズによる最短撮影距離50cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れ始めています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。