〓 VOIGTLÄNDER (フォクトレンダー) COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL (G)《前期型》(M42)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わり出品するモデルは、旧西ドイツは
VOIGTLÄNDER製標準レンズ・・・・、
『COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL (G)《前期型》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のCarl Zeiss製標準レンズ「Planar 50mm/f1.8 SL」から始まった一連の括りで捉えると62本目にあたりますが (QBMマウント規格品を含んだ場合)
今回扱ったVOIGTLÄNDER製の「前期型」だけでカウントすると39本目です (M42マウント規格品のみ)。
さらにその中から製造番号先頭3桁が「231xxxx」で始まる、蒸着コーティング層の一部に「グリーンの光彩を含むモデルバリエーション」だけに限定してカウントするともっと少なくなり、僅か13本目と言う状況です(驚)
・・このグリーンの光彩を放つタイプだけが市場流通数が少なく希少なのが分かります(汗)
どうして「グリーンの光彩」に注目するのかと言う問いに対しては、先日このブログにアップしたMINOLTA製広角レンズ『MC W.ROKKOR-SG 28mm/f3.5《1966年製》(SR/MC)』の途中で『緑のロッコール』について解説していますが、ひと言に言ってしまえば『光の波長の中で捉えた時の自然な発色性の追求』に他なりません。
そしてこの実装光学系の発明者と言えば、彼の有名な『Albrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ)』ですが、当方はトロニエのことを畏敬の念を以て『計算魔』と呼んでいます(笑)
銘玉中の銘玉と称されるCarl Zeiss製『凹 ULTRON 50mm/f1.8《oberkochenモデル》(M42)』は、まさに前玉が凹んでいるが故に「凹みウルトロン」と呼ばれていますが、今回扱ったモデルはその後継型にあたり、凹んでいた前玉を「凸メニスカス」に変更しつつ、合わせてマルチコーティング化まで進めながら、シンガポール工場 (Lens Made in Singapore) 製であることから、正当な評価をされず未だに不遇な扱いに甘んじている本当に悲哀に浸らざるを得ないモデルです(涙)
この「ULTRON銘」のモデルの源泉を辿ると1950年まで遡りますが、当時の製品や光学設計まで含めた解説は、4月にアップした『COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL (G)《前期型》(M42)』にて詳しく解説していますから、興味がある方はご参照下さいませ。
↑このモデルの光学系について、その既知の参照特許まで含め6千件を超える特許出願申請書を片っ端に漁っていた時、最終的にトロニエが発案した「US3612663A」の図面 (左) をめくっていくと、如何に計算しまくっていたのかを知ることになり『計算魔』との印象に結びつきました (右の構成図は当方の手により特許出願申請書の掲載図面からのトレースです)。
そして当方がこのモデルを特別に好んで扱う理由があり、マルチコーティング化されたが故に凹ULTRONの繊細感の世界に新たな緻密感の領域が加味され、且つ明らかに中間調からハイライトへ続くグラデーションの表現性に、圧倒的な耐性能力を持つモデルへと変遷したと評価しているからです(涙)
・・ハッキリ言って、グラデーションの表現性は凹ULTRONよりも上とみている。
特に製造番号「231xxxx」のモデルに限って放つグリーンの光彩に、その色調の確実性まで加わるとなれば放っておけません(汗) 特に近年凹ULTRON同様COLOR-ULTRONまで「光学系後群側第5群の2枚貼り合わせレンズ劣化が酷い」状況からして、まだ半世紀ちょっとの経過ながら、その耐性に限界を迎えているように見えて仕方ありません(涙)
・・それほどバルサム切れした個体の流通があまりにも多すぎる(涙)
そんな中、今回扱った個体が流れているのを発見し第5群をチェックしてみると「???」
バルサム切れにしてはその位置がズレて見え、貼り合わせ面ではなく単なる表層面の汚れのように見えたのです(汗)
バルサム切れしていない個体で「231xxxx」のグリーン色の光彩となれば放ってはおけないのです(笑)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL (G)《前期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ハッキリ言ってこのモデルを完全解体してまで適切に組み上げられる整備者は、それほど多くはありません(笑)
《各微調整位置の組立時の整合性チェック内容》
❶ ヘリコイド (オスメス) のトルク制御と無限遠位置の整合性
❷ マウント部合体時のリリースキー位置 (位置固定)
❸ 開閉アームと操作爪 (絞り連動ピン) の連携動作
❹ 絞り環と連係アーム/ガイドの噛み合わせ
❺ なだらかなカーブにカムが突き当たる時の絞り羽根開閉との整合性
❻ 抵抗/負荷/摩擦なく直進キーと直進キーガイドのスライド駆動
❼ 完全開放と最小絞り値の両方が適正か
・・7項目を挙げましたが、実はこれら❶~❼全てがマウント部をセットする工程時に「一発で完全合致」していないと、組み上がってからまともに動きません (つまり個別の項目だけを一生懸命調整して仕上げても、合体時にズレていれば最初からヤリ直し)(汗)
どうしてそうなるのかと言えば❷があるからです(汗)・・リリースキーの位置が決まっている為マウント部を合体させてから位置をズラすと他がズレていくのです(涙)
逆に言えば、❷だけ位置が決まっていて、それ以外が全て位置を変更できる/微調整できる設計なので、全ての微調整が適切で整合性が執れていないと組み上がってもちゃんと動かないワケです(笑)
↑上の写真は当初バラしている途中の撮影ですが、光学系第5群を立てて撮影しています (後玉側方向からの向き)。
調達時に「バルサム切れ」と謳われていたのは、実は赤色矢印で指し示している箇所の「反射防止黒色塗料のインク成分が、蒸着コーティング層と化学反応していた為」だったのです(汗)
・・上の写真を撮影したタイミングでは、すでに一部の「反射防止黒色塗料」を溶剤を使って剥がし始めています。
↑同じ第5群を寝かせて撮影しています。ご覧のように赤色ラインで囲った範囲・・外周全周に渡り凡そ3mm幅で汚れている・・貼り合わせ面ではなく表面で、且つ「反射防止黒色塗料」のインク成分と反応してしまっています(涙)
逆に言うなら、もしも仮にバルサム切れだとすれば「このように全周に渡りほぼ同じ幅でバルサム剤の浮きが発生することは非常に稀」とすれば、位置がズレているのを視認できずとも、大凡の判定を下せます(笑)
ここまで本格的に蒸着コーティング層と化学反応を示す「反射防止黒色塗料の成分」を知りたいのですが、未だに研究できていません(汗)・・結果、残念ながら今回の個体はこの領域 (外周全周) に清掃で除去できない汚れ状が残っています(涙)
・・不幸中の幸いは、中央部だけはクリアで入射光が透過してくれること。
ちなみに中央方向に泡状に汚れが浮き上がっているのは「反射防止黒色塗料」を剥がしている時に跳ねて飛んだ溶剤の水滴です (インク成分を含んだまま飛んだので汚れているが、光学系清掃の工程でキッチリクリアに戻しています/但し外周の汚れ状は残っています)。
↑こちらもバラしている途中の撮影です。マウント部 (左) に「反射防止黒色塗料」が着色され (グリーン色の矢印)、且つ剥がしたアルミ板には着色した塗料に「繁殖したカビ」まで残っています (赤色矢印)。またブルー色の矢印で指し示しているのは「アルミ合金材削り出しマウント部の経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビ」です。
このアルミ合金材マウント部の成分の何が反応して褐色に酸化/腐食/サビが生じるのかよく分かりません (多くの個体でこのように変質しています)。
↑こちらは光学系第1群前玉を取り出す為に「締付環に溶剤を注入した結果、反射防止黒色塗料が溶け出した」のを撮影しました (赤色矢印)。そもそもこの着色された塗料の厚み分で、この前玉が外せなかった為「加熱処置」しています(汗)
もちろん製産時点に施されたメッキ加工ではないので (メッキ加工は溶剤に溶けません) 過去メンテナンス時の整備者により塗られているのは明白ですが、どうして製産時点に施していないのに執拗にこだわるのでしょうか???
↑当初バラした直後に溶剤洗浄してから並べて撮っています・・ヘリコイドオス側 (左) にヘリコイドメス側 (中) そして基台 (右) です。
溶剤洗浄が終わっている為、これでキレイになっていると思われるでしょうが違います(笑)
↑一つ前の写真からさらに当方の手による『磨き研磨』が終わった状態での撮影です。ここでのポイントは「それぞれのネジ山は、ヘリコイドメス側だけが微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工が施されている」点です(汗)
非常に多くの整備者が「観察と考察」せず、溶剤洗浄するとすぐにヘリコイドグリースを塗ってしまいます(笑)
ところが、これら3つは「全てアルミ合金材削り出しのパーツ」なので、このままアルミ合金材同士が螺旋状にネジ込み運動すると「カジリ付」を生じかねません(怖)
・・要は「グリースに頼った整備」をしていることになります(笑)
上の写真はこれら3つ全てをネジ込んでいますが「グリースを一切塗っていない、素のままでネジ込んで回している」のです(笑)
すると例えば「ヘリコイドメス側と基台」は「基台を指で掴んで勢いよく回すと、凡そ1週半ほど回る」と言う滑らかさです。
また「ヘリコイドオス側とヘリコイドメス側」も同じように指で掴んで勢いよく回すと「ヘリコイドメス側が回りきってしまい脱落する」滑らかさです(笑)
・・この設計の凄さが分かりますか???(笑)
ヘリコイドメス側と基台のネジ山は「微細ネジ山」でとても細かく薄いネジ山なので、長さが短いものの「回転数は意外にも多い」為、ヘリコイドオス側のネジ山が普通の大きさなので「結果的に繰り出し量/格納量が大きい」原理になり、結果最短撮影距離:45cmを実現しています。
もちろん45cmを実現できたのは、あくまでも光学設計の賜物ですが、それをこのコンパクトな (一見普通にしか見えない) 筐体に収めてしまった「隠れワザ」こそがこの「微細ネジ山」なのです(汗)
さらにヘリコイドメス側の内外に「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」を施したからこそ指で掴んで勢いよく回すことができてしまい、しかも回ってメス側が脱落するほどです(笑)
・・これが「原理原則」です(笑)
従ってグリースなど塗らずとも、これだけスムーズに高速で回転するため「当方ではむしろ
トルクを与える為に適切な粘性のグリースを塗っている」始末です(笑)
例えば悪い例を挙げるなら、国産の東京光学製オールドレンズなどは「ヘリコイドのオスメスが互いにアルミ合金材削り出しのアルマイト仕上げ」なので、グリースを塗らないままネジ込むと「途中ですぐにカジリついてしまう」次第です(笑)
筐体をコンパクトに軽く造りあげて、且つ最短撮影距離も45cmまで短縮化して、凹ULTRONから受け継ぐ描写性能をさらに発展させ、マルチコーティング化へと昇華させたモデルが「COLOR-ULTRON」なのです(涙)
ネット上で誰一人この解説をしてくれませんが(笑)、ここまでちゃんと処置してあげて初めて「狙い通りのトルクに仕上げられる」のに「白色系グリース」など塗った『ごまかしの整備』ばかりが横行しています(泣)
↑光学系前群格納筒を前玉側方向から覗いて撮影しています。ご覧のとおりピッカピカのアルミ合金材削り出しです(笑)
この内壁に「反射防止黒色塗料」を塗ったくるから格納する光学硝子レンズが適切な位置まで格納されなかったり、欠けたり割れたりします(涙)
どうして製産時点でメッキ加工が施されていないのか、ちょっと考えただけでも分かるのに「反射防止黒色塗料」を塗ったくります(汗)
↑今度はヒックリ返して裏側を撮影していますが、一体モールド成型されている光学系第4群のコバ端は、ご覧のように製産時点にちゃんと処置されています・・設計者が考えて必要だと判断した箇所には処置されているのです。
↑上の写真は鏡筒の内側を撮影していますが、赤色矢印で指し示している箇所に「前述の光学系前群格納筒が斜めって入ってしまいハマっていた痕跡」がキズとして残っています(笑) もちろん慌てて一旦取り出してちゃんと格納したので、調達した時の個体は組み上げが完成していました。
↑アルミ合金材削り出しアルマイト仕上げのマウント部ですが、構成パーツを取り外して当方による『磨き研磨』を終わらせた状態で撮影しています。
このとおり経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビにより褐色に変質していたのが製産時点の近い状態まで戻っています(笑)
↑取り外していた各構成パーツも『磨き研磨』してセットしました。絞り連動ピンや操作爪に直進キーなど、全て固定する時に微調整が必須であり、これらの位置がピタリと適切に合致していなければ、このマウント部を基台に被せて組み上げても、正しく動きません(笑)
なおグリーン色の矢印で指し示している箇所の穴は絞り環を回した時にカチカチとクリック感を実化する鋼球ボール+スプリングが入る場所です。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑状態の良い個体がなかなか手に入らない、グリーン色の光彩を放つ「製造番号:231xxxx」の「COLOR-ULTRON」です
↑冒頭解説の光学系第5群貼り合わせレンズ表面に汚れが外周に残ります。但し中央が抜けているので、入射光が透過してくれます。
他の群の光学系はスカッとクリアな状態を維持していますが、一部にはヘアラインキズや点キズなども残っています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑実は赤色矢印で指し示している箇所の光学系第3群コバ端に「欠け」が残っています。
レンズ銘板刻印のVOIGTLÄNDERの「ND」辺りの位置です・・これは光学系前群格納筒の内壁に「反射防止黒色塗料」を着色していた為、当初バラしている時に欠片が中に残っていて「経年の中で欠けた」のが推測できます (反射防止黒色塗料の塗膜の厚み分で経年の中で圧力を受け続けていたから)。
結局「反射防止黒色塗料」を塗りまくるような過去メンテナンス時の整備者と言うのは「自分だけ良ければそれだけで十分」と考えているような人間なので、組み立てる際には多少光学系のハメ込みが硬くても「加熱処置」して強制的にムリヤリ格納させてしまいます(涙)
すると経年の中で季節の変化や土地柄の関係から気温差が生じる時、それに呼応して「金属材が熱膨張/収縮」を続けると光学硝子材にとっては「硝子破壊の耐性テストを試され続けている環境」のような話になってしまい、このようにコバ端に欠け/欠損/割れが生じます(涙)
よく光学硝子レンズは高温環境下では溶ける懸念があると考えている人が居ますが、オールドレンズに実装されている光学硝子レンズが溶けるのは、最低でも850℃からなので (精製時の配合成分に拠って異なる) たかが季節の移り変わりや土地柄に拠って硝子の溶融解が起きる懸念はありません。
むしろこのように光学系内の「瞬間的な気圧差」や「金属材の熱膨張/収縮作用による圧の影響」のほうが脅威だったりするのです(怖)
もっと言うなら「光学系内は締付環で各群を締め付け固定したほうが確実に格納している」と思い込んでいる人が非常に多いですが、それは「締付環で締め付けている事実を以て、人間の思考の中でそのような期待から思い込んでいるだけ」であり、むしろ今回のモデル含めこの当時のオールドレンズにとても多く採用され続けていた「格納筒への光学硝子レンズ落とし込み格納方式」のほうが、最後に締付環で締め付け固定した時「圧倒的に気圧に拠って確実に格納位置へ各群がセットされる」原理が働いていることを理解するべきです。
逆に言うならどんなに締付環で締め付け固定しても、光学硝子材が金属材の内壁に干渉していた場合、極々僅かでも斜めったまま気づかずに締付環で硬締めして安心していたりします (特に反射防止黒色塗料をコバ端に着色している場合に多い)(笑)
だからこそ、過去メンテナンス時の事実を掴む為に、締付環を少しだけ緩めてから「当初バラす際は必ず各群の光学硝子レンズを回してみる」ことで、確実に格納していたのかをチェックすることができます (格納筒の内壁に干渉していなければ、取り出す前時点で光学硝子レンズはスルスルとハマったままでも回転するから)(笑) そういう「原理原則」に基づいて一つ一つをチェックしていくから、何某かの瑕疵が発生していた際に原因究明が適うワケです(笑)
↑上の写真を見ると後玉に汚れが残っているように見えますが、その一つ奥の光学系第5群の貼り合わせレンズ表面です。
ご覧のように後玉にもグリーン色の光彩が確認できます。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
2枚めの写真のとおり、第5群の外周全周に渡り、凡そ3mm幅でコーティング層の微細点状剥がれが集中しています・・但し前群含めクモリがありません(驚)
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:18点、目立つ点キズ:12点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大5mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(特に第5群外周3mm幅で無数のコーティング微細な点状剥がれが残っています)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・光学系内に薄いクモリやバルサム切れはありません。但し,上記第5群の瑕疵内容から、入射光の角度や光量に拠ってはフレア発生懸念が残ります(事前告知済みの為クレーム対象にしません)。
・光学系第3群コバ端に欠けが1箇所あります。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・絞り羽根が閉じる際はほぼ正六角形を維持しながら閉じていきます。マウント面絞り連動ピン押し込みによる絞り羽根の挙動も正常を確認済みです。
・装着するマウントアダプタによってはピン押し底面の深さの影響で絞り羽根の開閉動作に問題が現れる懸念があります。出品商品側はK&F CONCEPT製及び日本製Rayqual製マウントアダプタに装着して絞り羽根の開閉動作に異常なく正常である事を確認済みです。マウントアダプタ装着時の絞り羽根開閉動作に係る問題はクレーム対象としません。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
❷ 本体『COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL (G)《前期型》(M42)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
❹ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
❺ クリーニング用ファイバークロス (新品)
↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し底面を「凹面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。
この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明しています。「ピン押し底面」が「平面と凹面の両面使い」可能ですが、平面側にセットすると、このモデルのネジ込みに際し少々固めになり、且つ最小絞り値:f16まで閉じないことがあります (絞り連動ピンが最後まで押し込められず、絞り羽根が適切な角度まで傾かないから)。
・・従って必ず「凹面」にセットして下さいませ。
赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:50㎜、開放F値:f1.8、被写体までの距離:54m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:27m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の60m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
被写界深度がとても狭いので、本当に手前側ヘッドライトの電球部分にしか
ピント面の合焦確認ができません。
↑最小絞り値「f16」です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっていますが「回折現象」の影響を感じない写りです。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。