◎ TAMRON (タムロン) 28mm/f2.5 BBAR MC 02B(ADAPTALL2)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、国産は
TAMRON製広角レンズ・・・・、
28mm/f2.5 BBAR MC 02B (ADAPTALL2)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

ご落札頂きました
ありがとう御座います!(涙)

何と出品後「僅か1分の瞬札」さすがに今まで13年間で初の快挙です!(驚)
(ッて、当方が勝手に歓喜しているだけなんですが)(笑)

本当にありがとう御座います!(涙)
本日最後に心を込めて梱包し発送申し上げます。

 

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のTAMRON製モデルだけの括りで捉えると11本目
あたりますが、今回扱った個体の「広角レンズ:28mm/f2.5」だけでカウントすると初めての扱いです。

実は普段これらTAMRON製広角レンズ域のモデルで時々扱っているのは、距離環のローレット (滑り止め) に「独特な凹凸を伴う意匠で俗に鮫肌」と巷で呼ばれているモデルのほうをメインに扱っています。その理由は光学系に蒸着されているコーティング層が同じマルチコーティングにしても、特異な「レッドグリーン系の光彩を含む」タイプだからです (しかしむしろそれよりも鮫肌のほうが気に入っている
言ったほうが、よりホンネに近い
)(笑)

・・鮫肌のラバー製ローレット (滑り止め) が何となくバタ臭くてアメリカぁ〜!ッぽい(笑)

それとやはり光学系蒸着コーティング層たる「BBARroad and nti-eflection広帯域反射防止蒸着層 (つまりマルチコーティング) を表す刻印が、ちゃんとレンズ銘板に在るからでもあります(笑)
(上の右写真は以前扱った時のBBAR MULTI C. tamron 24mm/f2.5 CW-24)

当方個人の嗜好はともかく(笑)、実のところ今回扱ったモデルは「ジャンク箱に転がっていた」のをスッカリ失念していて、たまたま今回漁っていたら発見した次第です(汗)

しかも「ジャンク箱に入れられていた理由」が悲劇で(涙)、何とマウント部の爪を締め付け
固定している締付ネジが外せなかったのです(汗)・・TAMRONのADAPTALLシリーズは、その多くのモデルでこのマウント部の爪を外せない場合「鏡胴の解体が適わない」ので完全解体
できない話に至ります(涙)

当方は中学生の頃から関節炎を患わっていたので、両膝や両肘に手首まで含め、極端にチカラを目一杯入れると関節に痛みが走り、数日機能しなくなります(涙) それで「ジャンク箱入り」に甘んじていた次第ですが、当時よりもさらに高温での「加熱処置」を施し、ようやく外せたので今回のオーバーホールに至った次第です(笑)

なおオーバーホール済でヤフオク!出品する出品ページにも記載していますが、その解体時の「加熱処置」により絞り環の縁の一部が極僅かに膨れて溶けてしまいました(汗)
(そう言われて、初めてよ〜く凝視して探さなければたぶん見つけられない)(笑)

ッて言うか、そもそも絞り環が樹脂製で造られていた事を (今回が初めての扱いだったので)
知らなかったのが拙いのですが(汗)、その根本的な因果は「過去メンテナンス時に固着剤
ガッチガチに固められていたから
」と・・例の如く何でもかんでも他人のせいにしたい性分
なので、そんなのを言い訳にしています(笑)

・・基本、技術スキルがチョ〜低いから、自分は悪くないといつも言いまくっている(笑)

他人のせいにしておけば、気分的には「いつも幸せ」で居られます・・(笑)

後のオーバーホール工程で「その怨みつらみ」に怨念を込めて語りまくりますが(笑)、今回の
個体に塗布されていた「固着剤」はブルーグリーン色だったので、或いは塗布されていたヘリコイドグリースも「めいっぱい白色系グリース」だったので、おそらく5年以内の過去メンテナンスだったのではないかとみています(恨)

それこそネジと言うネジ全てに固着剤を塗りまくっており、特にマウント部の爪を締め付け固定している締付ネジ3本はネジ山を潰しそうになってしまったくらいに「固着剤がネジ山全体に塗られていた」ので、半端な「加熱処置」ではビクともしませんでした(涙)

・・おかげでまた今回も右手首を痛めてしまい、今まさに痛いですぅ〜ぅ〜(涙)

このモデルの整備ができる過去メンテナンス時の整備者なので、ほぼ間違いなくプロの整備会社に在籍する整備者と受け取れますが、何処の会社なのか???・・ハッキリ言って頭悪いです!(笑)

←左の一覧は現在市場流通している某有名処の「固着剤」を示す仕様諸元表ですが、具体的な
製品名/型番を敢えて隠していますが、縦方向に製品別の仕様諸元が並びます。

すると上から3行目、左から2列目に「外観青緑色」との仕様があります。

この製品が巷の整備会社で頻繁に使われまくっているタイプの「固着剤」で、当然ながら現在市場流通品でもあります (当方も使っています)(笑)

この時、この仕様諸元の中で上から6行目「加熱残分 (不揮発分) 」の項目が重要になりますが、左から2列目の今回の個体に塗布されていた「固着剤」の欄は「31.0%」なのが分かります。

この数値が意味するのは「塗布した固着剤の量の僅か31%だけが固形化して機能している」事を示しています。成分の多くがメタノール/トルエンなので、凡そ70%弱の分量が塗布した後に揮発してしまうからこのような仕様になります。

さらにその下の「破壊トルク」をチェックすると、ネジ種別で破壊する際のトルクを明示していますが、これは塗布した「固着剤」が掛けられたトルクに耐えられず「破壊が始まって機能しなくなるトルク」を明示しています・・するとネジ山のピッチが1㎜になって初めて具体的な強度を持つ破壊トルクまで耐えられる数値なのが一目瞭然です(笑)

・・何を言いたいのか???

オールドレンズ内部のありとあらゆる全てのネジ種にこれら処置を施した過去メンテナンス時の整備者は「固着剤の塗りまくり」をしていますが、それらネジ種のほぼ99%が「ピッチ1㎜以下のネジ種」ばかりです(笑)・・いったい何の為に「固着剤の塗りまくり」をするのでしょうか???(笑)

もっと言うなら、地域や場所にも拠りますが、例えば車の中にオールドレンズを放置していたとします。この時、外気温27℃の真夏日に於けるダッシュボード上の温度は「65℃〜」を記録し、徐々に温度は上がっていきます (JAFデータより)。

さらに「外気温35℃の盛夏時ダッシュボード上70℃〜」或いは「外気温38℃の盛夏時ダッシュボード上80℃〜」と言う実証試験データが確認できます。

・・何を言いたいのか???(笑)

毎年訪れる季節:夏のワンシ~ンで、はたしてダッシュボード上にオールドレンズが置かれる事は100%有り得ないと断言できるのでしょうか??? (その整備会社の整備者に尋ねています)(笑)

このような状況下に至った時、オールドレンズ内部に塗りまくられていた「固着剤」は限りなく限界値に近づいていき、当然ながら成分の揮発分もさらに進行すると推察できます (何故なら固着剤が再び溶け始めているから)。

同じように氷点下の環境下でも、日本と言えどもマイナス20℃程度の場所は十分想定できますから、その際に「破壊トルク」に到達してしまう懸念すら高くなります(汗)

要はオールドレンズ内部の「ありとあらゆるネジ種に塗りまくった固着剤」は、このような環境下では再び揮発分がオールドレンズ内部を廻る事を表し、各部位への悪影響を来たすばかりか、一番の懸念事項は「光学系の蒸着コーティング層に揮発分成分が付着する」懸念が高い事を意味します(怖)

実は今回の個体を完全解体している際に、前述のとおり「加熱処置」を施したワケですが、その際光学系後群の光学硝子レンズを取り出す時に「糸を引いていた」のを目撃して、初めて「???」になったのです(笑)

少なくとも光学硝子レンズは何年経過し劣化が進行しようとも「糸を引くことは有り得ない」との認識です(笑)・・但し、もちろん貼り合わせレンズの場合は接着剤たるバルサム剤が溶け
始めて糸を引くことは考えられます (一般的に光学硝子レンズは600℃を超えると溶融解の懸念が高まる/逆に言えばそれ以前にバルサム剤が先に溶け始める)(汗)

つまり「糸引き」を目撃して初めて「何かが溶け始めている」ものの、その対象ブツは樹脂材ではないのが糸の引き方を見ればすぐに分かります・・何某かの溶剤が関わっているとすぐにピ~ンと来ました(笑) ッて言うか「固着剤だッ」と勘付いた次第です(笑)

・・このような場合でも、やはり事前に光学系構成を知っておくのは大前提になります!

特に「加熱処置」を施す場合、オールドレンズ内部に「樹脂材のパーツが含まれていないか
???
」或いは「被対象領域にバルサム剤が介在していないか???」などは、可能な限り
事前情報として掴んでおくべき内容ばかりですが、今回は絞り環が樹脂製である点を見逃してしまいました (ッて言うか、ネット上の何処にもそのような情報が載っていない)(泣)

長々と解説してきましたが、要は今回の個体の光学系後群の光学硝子レンズを取り出した際に「塗布されていた固着剤の揮発分が既に付着していた」ので、それがアルミ合金材で造られている光学硝子レンズ格納筒を伝わってきた熱の影響から推定できます (何故なら加熱処置して
いた箇所からは少し離れている為
)(汗)

・・このような点も「観察と考察」で見えてくる内容だったりします(笑)

原理原則」に照らせば「糸引きは有り得ない」のは至極当然な話なので(笑)、その因果を
推定できると言うモノです(笑)

ちなみに、今回扱っモデル28mm/f2.5 BBAR MC 02B (ADAPTALL2)』にはモデルバリエーションが顕在せず、1979年に発売されてから生産終了する1992年まで、このモデルだけで
終わりました。

左の図は現在のTAMRONホームページから参照できるこのモデルのカタログです。

仕様諸元には明記していませんが、製品の鏡胴をチェックすると「75°」の刻印が在るので、画角が判明し焦点距離:28㎜とも相俟って、特に当時のTAMRON製オールドレンズの「端正で歪になりにくいパースペクティブの良さ」とも呼応し、素晴らしい描写性能
との評価がネット上に散見しています。

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端から円形ボケの表現性を確認したくてネット上の実写をピックアップしていますが、どうも今回のモデルに対するネット上の実写は、当方の嗜好には合わず目を引く写真がピックアップできません(汗)・・一応真円を維持したシャボン玉ボケライクな円形ボケの表出も叶いそうですが、如何せん広角レンズ域のモデルなので、そもそも円形ボケの大きさ自体が小ぶりです(汗) またエッジ表現も明確に維持できないようで、すぐに溶けて滲んでしまう印象です。

一方でそれらが功を奏してなのか???、背景ボケは収差の影響を受けようともザワザワと煩く現れないので、その分安心して被写体に注力できる使い易さにも至るようです。

二段目
この段では被写体/ピント面の発色性について確認しています。特に冒頭でご紹介した「tamron BBAR MULTI C. tamron 24mm/f2.5 CW-24」辺りの蒸着コーティング層が放つ光彩との相違からも捉えてみたいと考えますが、基本的にTAMRON製オールドレンズの多くのモデルが「ナチュラル的な違和感を感じない発色性」と指摘できそうです。

ところが今回のモデルで明らかに違うなと感じたのは「紅色の発色性」であり、限りなく濃厚で色飽和ギリギリのところまでピークが上がる感の印象です(驚)

それは左から3枚目の「トマトの発色性」を見ると分かりますが、敢えて「グリーンの葉っぱを主体的にピックアップした」為に、特にコントラストが高く濃い目の色合いで発色性していないながらも「それらの中で敢えて赤色だけが発色している状況」を以てして、これにはきっとTAMRONの設計陣による作為的な光学設計の意図が隠されているように強く感じました(笑)

三段目
この当時の他社光学メーカー品含め、数多のオールドレンズ達は「黒潰れに弱い性格」ながらも、その反面「明部には俄然頑張っちゃうヤツが居る」との思いから調べてみました(笑)・・案の定、今回のモデルも頑張っちゃってます(笑)

名部の体制が非常に高く、且つグラデーションの階調も大変滑らかに出るので全く違和感を
感じず、合わせてちゃんと階調まで写し込んでいるように見えます(驚)・・素晴らしい!(涙)

四段目
最短撮影距離が25cmまで近接できるので、きっと左端のような写真が撮影できてしまうのでしょうが(笑)、如何せん「開放f値F2.5」なのに、これだけの被写界深度の狭さ感/浅さを演出できるのはたいしたモノです(驚)

またその他の3枚ではパースペクティブをチェックしていて、歪な写りになるのか否かを観ています。

五段目
最後に光源を含む場合や逆光耐性をチェックしていますが、なかなかの性能です!(驚) 但し、やはり暗部への耐性がどうしても弱いので、黒潰れが意外に早く訪れる為に、むしろそれを見越して「被写体を惹き立たせる効果の一つ」として活用してしまうのも一手なのでしょう。

光学系は典型的な独立型の7群7枚レトロフォーカス型光学系構成を採りす。

右図はネット上で公開されているこのモデルの光学系構成図を当方の手によりトレースして作図した構成図です。

また左写真のように、本来製品の化粧箱の一面にはご覧のような光学系構成図をちゃんと載せてくれているのが、今も変わらない当時から続くユーザー思いのTAMRONだったりします(涙)

左写真はその化粧箱の一面の光学系構成図に対して、当方の手により
 を着色しています。

光学系の第1群前玉と第2群、及び後群側の第5群と第6群です。

実はこの を着色した箇所には光学系の光学硝子レンズ格納筒の中に「間のスペースを埋めるスリーブ環が顕在しない」点を解説するために着色しています。

印刷されている光学系構成図を見ると如何にも各群の光学硝子レンズ同士が離れていて空間が備わるように見えますが、実は現実にこれら群の光学硝子レンズを格納していく際は「単に落とし込むだけで各群の間に一切パーツが介在しない (つまり隙間を埋めるスリーブ環が無い) 」設計を採り、第1群前玉はその直下に格納している「第2群のコバ端付近の真上に乗っかっているだけ」ですし、同様後群側の第6群も「第5群の上に覆い被さっているだけ」と指摘でき、例えば光学硝子レンズ格納筒の内壁にそのような段取りが備わる話でもありません(汗)

従って印刷図面では離れているように写っていますが、現実に計測すると右構成図のトレース図のように「第1群と第2群は端部分で接触」しており、同様「第5群と第6群も端で接触」になります。

また実際に完全解体して7つの群全てを取り出し今回のオーバーホールで光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測して光学系構成図をトレースすると、右図のようになりました・・各群の曲り率や厚みにカタチも違っています(驚)

特に光学系後群側の第5群と第6群の間/空間「空気レンズ」部分が大きく異なるのが明白です。これらを見ていくと、光学系前群側からして、高屈折率に頼らずムリなく設計されているのが伺えそうですから、これが大きく影響して描写性の素晴らしさを仕上げているのかも知れませんね(笑)

ちなみに後で光学系を光に反射させて翳している際の光彩を撮影していますが、このモデルの光学系7群7枚の光学硝子レンズを個別にチェックすると、それぞれ次のような蒸着コーティング層の光彩で見えます。

第1群 (前玉): (表面)/ (裏面)、第2群:/、第3群:/、第4群:/、第5群:/、第6群:/、第7群 (後玉): (裏面)/(表面)・・になり、それぞれ光彩はパープルアンバーパープルブルーグリーンです。

前玉側方向から覗き込むと相応にグリーン色の光彩を視認できますが、後玉側方向から覗くとあまり確認できない理由は、実は表裏面でグリーン色の光彩を放つ蒸着コーティング層なのが「光学系第3群」の前群側だからなのが一目瞭然ですね!(笑)

まぁ〜、どうって言う内容ではありませんが、当方などはグリーン色の光彩のレベルが、前後玉の相違だけで見え方が異なる分で、ちょっとだけ心配になったりしますが、こうやって
その実」を知り得ることで、ホッと一安心するアホだったりします(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。せっかく手に入れたのにバラせず、仕方なく「ジャンク箱に転がした」のが何とも悲しかったりします(笑)

実は上の写真の右端に写っている「絞り環」以外にも樹脂製パーツが顕在し、絞り環と合わせて全部で3つの構成パーツが完全なる樹脂製なので、下手に良い調子になって「加熱処置」を施すと、あっという間に溶けます(怖)

今回の完全解体工程では「加熱処置」している最中に「特異な異臭」にすぐ気づき、加熱を
やめたので助かりましたが、逆に言えば、それほど顔を近づけて作業しているので「下手すれば鼻の頭を火傷することも度々」みたいな話で、時々季節外れに真っ赤なお鼻のトナカイ
変身していたりします(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。ご覧のように内壁はもちろんのこと、外壁まで含め「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」がちゃんと施されていて「絞り羽根の油染みを防ぐ」よりも、何よりも「光学系内に経年の揮発油成分侵入を防ぐ」のが本当に狙いです・・逆に言うなら、経年での絞り羽根の油染みなどは想定内なので、それほど危機感を抱いて設計していないのでしょぅが、光学系だけは別です!(怖)

・・それだけ光学硝子レンズに蒸着しているコーティング層は守る必要がある!

もっと言うなら、光学系に蒸着しているコーティング層表層面に、経年で揮発油成分が付着すると「界面原理」が働き「水分の癒着/引き寄せ/引き留め」に至るので、結果的にその水分の中に含まれる有機物を糧として、浮遊するカビ菌糸が繁殖を始めるのが怖いのです!(怖)

よく誹謗中傷メールや某有名処などのコメント欄で批判されますが(笑)「油分は水分を弾くから揮発油成分のせいでカビ菌の繁殖も金属材の酸化/腐食/錆びも促さないのでウソを拡散しまくっている」と言われますが(笑)・・違います。

揮発油成分の付着により「界面原理」が働き「張力原理」と相まり引き留められた水分により
金属材の酸化/腐食/錆びも進行しますし、その水分を糧としてカビ菌の繁殖も促されます。

すると今度は「光学系は締付環で密閉されているからカビ菌が侵入するワケがない」と言ってきますが(笑)・・それも違います。

締付環ごときで光学系格納筒内部を「密閉状態に到達できないし維持もできていない」のが
リアルな現実で(笑)、そもそも凡そ「電子防湿庫に保管していればカビが繁殖しない」と信じ込んでいるほうが問題です(笑)

電子防湿庫のマグネット式扉などを閉めたところで密閉されていませんし、第一カビ菌はいくらでも空間に浮遊しまくっているので「電子防湿庫内部への侵入など至極当たり前の話」だったりします(笑)

電子防湿庫で「カビ菌が繁殖しにくい」と言う「しにくくなる」理由は、ちゃんと湿度管理されていれば水分量が低減できるので、内部に保管されているオールドレンズ達に既に生じている経年揮発油成分としても「カビの繁殖を低減できる (予防ではない!)」程度の話です(笑)

これらの話は以前取材した工業用光学硝子精製会社様でいろいろ知見を得たので (何と無料で新人社員教育用の一部まで拝聴できた!)、もちろんその際ご教授頂いた「光学硝子洗浄薬剤とその使用方法/手順」も認知でき、現在の当方オーバーホール工程内でも必ず「4工程」を経て光学硝子レンズが清掃されています(涙)

それは製産されてから数十年〜半世紀以上を超えて・・と言う経年の中での光学硝子レンズに対する清掃作業ですから、新たに精製された新品の光学硝子レンズを対象とした話ではありません (全く環境も条件も前提すら変わるので、同じ内容で処置したら即アウトです!)(怖)

当然ながら「カビの清掃とその除去」を施してから「汚れ分の除去」を経て「油成分の除去」→「仕上げ清掃」と言う4工程が必須になります。光学硝子レンズの状況により1〜3セット処置する為「下手すると光学系清掃だけで優に2時間はかかる」のは頻繁に起きています(笑)

また光学硝子レンズに蒸着されるコーティング層自体はその成分に鉱物由来を含むので、例えばネット上で流行っている「カビキラー」などを使って処置すると、厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」の詳しい解説のとおり「金属材に害を及ぼす」懸念が高いので、とんでもない話です(怖)・・光学硝子レンズはガラス質だからと思い込んていると痛い目を見ますね(笑)

また光学硝子レンズのクモリなど白濁の因果関係としては「人の指の油脂」はもちろんの事、前述の揮発油成分により引き留められた水分に含まれる「CO2」溶解に拠る蒸着コーティング層への攻撃なので、何にしても「光学硝子レンズには水分が天敵」である点を覚悟して認知するべきですね(怖)

逆に言えば、どんなに白濁しようともそれら劣化した蒸着コーティング層を一旦剥がして再蒸着すれば、キレイに改善できる可能性は上がります (但し劣化進行が蒸着コーティング層だけに抑えられていた場合の話)。もしも光学ガラス層にまで破壊が進んでいれば、光学硝子レンズの研磨も必要になりますから、決して経年でのキズだけの話には成り得ませんね(涙)

当方では光学硝子レンズの研磨などは処置できませんし、合わせて「光学硝子レンズを研磨
した個体のオーバーホールもご辞退
」しています。光学硝子レンズを研磨している整備会社は知る限りで2つありますが、光学硝子レンズを研磨した後の「再蒸着するコーティング層が
問題
」なので、技術スキルがチョ〜低い当方では処置できません(汗)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

ちなみに上の写真で赤色矢印で指し示している「光学系後群格納筒」の内壁がギンギラギンにシルバーなままの、アルミ合金材である点も大きなポイントです(笑)

↑絞りユニットの構成パーツをすべて並べて撮影しました。

C型環 (固定用)
絞りユニット格納筒 (表裏面側で使用)
制御環 (駆動部)
位置決め環 (締め付け固定)
開閉環 (駆動部)
操作アーム (駆動部)
開閉アーム (チカラ伝達部)
制御アーム (チカラ伝達部)

・・と、こんな感じです(笑) 当然ながら「駆動部は全て微調整が必須 (ッて言うか前提のパーツ)」ですし「チカラ伝達部はチカラの伝達レベルの担保が必須 (ッて言うか前提のパーツ)」と、それぞれの構成パーツで単に留め付け固定しただけでは正しく適切に機能しない場合があります(笑)

ちなみにのパーツには「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」が施されています(笑)

↑実際に5枚の絞り羽根を組み込んでから絞りユニットを完成させるとこんな感じになります。上の写真は後玉側方向たる向きの「位置決め環側」から撮影しています・・整備者ならすぐに分かりますが「この位置決め環は微調整箇所」になっています (赤色矢印)(笑)

が然し、実は他の部位との連携による影響が介在する設計なので、単にここだけの微調整だけで組み上げてしまうと「絞り羽根開閉異常」が起きます(笑)・・要はそこが「原理原則」を熟知しているか否かの分岐点とも言い替えらますね(笑)

当方はこういう写真を見せられただけで「例え今までに扱いがないモデルでも」ならばアッチはどうなのかしら???、コッチはどうかしら???・・と次から次へと確認したい場所が
すぐに思い浮かびます。それが「原理原則」を知っているかどうかの話です(笑)

↑同じ絞りユニットを撮影していますが、今度は反対側の前玉側方向から撮影しており、ほぼ全ての制御系パーツがこの小さなユニットの中に収まっています(笑)

制御アーム」が回ると途中に備わる「なだらかなカーブ」が移動して、そこにカツンと突き当てするブルー色の矢印で指し示している金属棒 (カム部) が接触するので、その時のなだらかなカーブの勾配に従い設定絞り値に対する「絞り羽根が閉じる角度が決まる」原理であり、その際「開閉アーム」が介在しなければご覧のとおり上の写真のように「絞り羽根は常に閉じようとするチカラが及んでいる」設計なのが、この写真を見てパッとすぐに思考回路が働かなければ「整備者の資格なし」ですね(笑)

なだらかなカーブ」の麓部分が「最小絞り値側」になり、一方その反対側の勾配を登りつめた頂上部分が「開放側」です・・上の写真では「開閉アーム」が操作されていないので、絞り羽根は閉じていますし、この時の閉じ具合は「最小絞り値」なのがブルー色の矢印グリーン色の矢印で判明します。

すると上の写真を見ただけで「この絞りユニットには全部で何箇所の微調整箇所が介在しているのか???」答えられなければ、ダメダメですねぇ〜 (数カ所あります)(笑)

↑ちょっと話して遠目で見るとこんな感じです。グリーン色の矢印の箇所に固着剤が塗られているのを除去するの忘れてしまいました(汗) 右側が「制御アーム」で絞り環と連携しますし、左側の「開閉アーム」はマウント面から飛び出ている絞り連動ピンと連携して駆動します・・同様ブルー色の矢印の金属棒/カムが「なだらかなカーブ」の麓部分に居るので、絞り羽根はちゃんと最小絞り値まで閉じきっていますね(笑)

もしも仮に「絞り羽根の開閉異常」が既に起きていた個体の場合に「これらの絞りユニット内向性パーツのいったい何処をどう微調整すれば良いのか???」すぐにパッと閃いていない限り、オールドレンズの整備は難しいでしょう(笑)

↑完成した絞りユニットを鏡筒最深部にセットしたところです。「開閉アーム (右)」と「制御アーム (左)」がブルー色の矢印のようにそれぞれ個別に行ったり来たり動くので、その時の指示に従い/決定値に従いブルー色の矢印の箇所で「絞り羽根が閉じる角度が決まる原理」です。

上の写真を見れば一目瞭然ですが、この上に光学系前群格納筒がネジ込まれてます。すると皆さんが大騒ぎする「迷光!、迷光!」は、はたしてこのような「ギンギラギンのシルバーなパーツでひしめき合っているところから反射する光迷光はどうするのですか???」とお尋ねしたいです(笑)

一生懸命に過去メンテナンス時に「反射防止黒色塗料」を塗ったくりますが、ではどうして「これらシルバーなパーツ部分も塗らないのでしょうか???」と聴いているのです!!!(笑)

・・整備者の人は是非答えてもらいたいですね!(笑)

例えばこの当時のOLYMPUS製オールドレンズも同じですが、さんざん光学系内のあらゆる箇所に「反射防止黒色塗料」を塗っておきながら、肝心な鏡筒内部の絞りユニットで使われている、このようなギンギラギンのシルバパーツは「そのまま塗らない」・・その理由を、根拠を是非ご教授下さいませ(笑)

現在も流通市場で高額な「開放f値F2シリーズのモデル」でさえ、これらの構成パーツはシルバーなままです(笑)・・それでいて光学系内はこれでもかと「反射防止黒色塗料」を塗りまくっていて、下手すればそれらシリーズモデルに必ず介在する「昇降筒 (距離環の位置に従い回転しながら前後方向で入射光の透過位置を変更する役目の機構部)」にすら塗っている始末で、どんだけ光路長を逸脱させれば気が済むのかと言う話です(笑)

↑こんな感じで鏡筒内部ですらギンギラギンのシルバーパーツが「露わなまま」です (赤色矢印)(笑)

結局「迷光」で大騒ぎするのは、せいぜい人工衛星に実装される光学機器レベルの話であり(笑)、実写で「現ブツをリアルに撮影する」のではなく「星からの波長を捉える」のが目的である以上、極々僅かな迷光すら大問題になってしまうのです(泣)・・それと「リアルに見てるがままの現ブツを撮る道具」たるオールドレンズで「迷光騒ぎするのは愚の骨頂の最たる例」と指摘できます (恥ずかしい)(笑)

↑距離環やマウント部を組み付けるための基台です。焦点距離が28㎜の広角レンズなので、そもそも距離環の駆動域が限定されていて短いハズなのに、ご覧のとおり「ネジ山の繰り出し量は相当なネジ山数が備わる」のが分かります。

↑キレイにメッキ加工が施されているヘリコイド (メス側) を無限遠位置の当たりをつけた場所までネジ込みます。無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

この時、上の写真解説のとおり「基台の一部に制限壁 (突出した壁状の部分) が備わる」のをグリーン色の矢印で指し示しており、上の写真ではその「制限壁」の「無限遠位置側の壁」を指し示しています。

↑同様、さらに今度はヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置の当たりをつけた正しいネジ込み位置でネジ込みます。このモデルでは全部で13箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ません (合焦しません)。再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

同じように「制限壁」が見えていて、こちらの側は「最短撮影距離の位置」を指し示しています・・要は距離環を回した時に無限遠位置と最短撮影距離位置の両端で、カツンと音が聞こえて突き当て停止する時に、距離環が突き当たっている壁がこれら指し示している箇所です。

・・するとこれを見ただけで整備者なら何が分かるのか???

このモデルの「無限遠位置の微調整を行う場所は、少なくともこの制限壁の場所ではムリだと言う原理」です(笑)・・何故なら、これら両端の「制限壁」の長さは切削して短くしたり削らない限りは変更できません (つまり製産時点に微調整するつもりで設計していないことの証) なのが判明しますから、だとすればいったいこのモデルは何処で無限遠位置の微調整を施せば良いのでしょうか???

ちなみに上の写真では「直進キー」も見えています (両サイドに在るので手前側は見えないから締付けネジだけグリーン色の矢印で指し示している)。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

〇  直進キーガイド
直進キーが直進動でスライドして移動するガイド/溝であり鏡筒の繰り出し量をカバーする

↑こんな感じで「直進キー」が両サイドにセットされます。

ヘリコイド (メス側) の上から距離環を被せたところです。

↑さらに距離環の直下に位置するよう「指標値環」をセットしました・・基準「|」マーカーが∞刻印のところに合致しているのが分かります。

つまり距離環の下側半分には「距離指標値が刻印されていて一体切削で用意されている」ので、この距離指標値も位置を微調整できない設計なのが判明します。

↑いよいよクライマックスに近づきます(笑) 上の写真は一旦取り外した「距離環」の解説ですが、距離環の外周には「イモネジ用のネジ穴」が全部で6箇所も均等配置で用意されています (グリーン色の矢印)。さらに途中にはブルー色の矢印で指し示している箇所に「1本だけ内側方向に突出した金属棒がプレッシングされている/打ち込まれている」のも分かります・・この金属棒は「制限キー」と呼称し「距離環が回る駆動範囲を限定する役目」になります。

つまりこの「制限キー」が前述した基台から突出している「制限壁」の両端・・「無限遠位置側」と「最短撮影距離位置側」でそれぞれカツンと音をたてて突き当たっている「まさにその張本人制限キー」なのです(笑)

するとこの「制限キー」もプレッシングされて造られているので、同様微調整機能が用意されていません(汗)

・・さて、無限遠位置はどうやって微調整すれば良いのでしょうか???

なお、上の写真で オレンジ色の矢印で指し示している箇所が実はこのモデルの最大のポイントだったりします(汗)・・どうしてこのように段々に段差が付けられているのでしょうか???

・・整備者の方、是非お答え下さいませ(笑)

たいがいこの段差 オレンジ色の矢印で指し示している箇所の意味と役目を理解しないまま組み上げるので(笑)、実は今回の個体も何と「この距離環は製産時点から一度も外されずに製産時点の褐色系固着剤で固められたままだった」のが判明しています。

ちゃんと締め付けるイモネジの「ネジ部にだけ褐色系の固着剤を塗ってある」手法なので、製産時点と明言できます・・近年市場流通している「固着剤」ではありませんし、むしろ他の部位に使われているあらゆるネジ種にはその「固着剤」が塗られまくっていました(笑)

・・どうして距離環だけ外さなかったのでしょうか???(笑)

↑恨めしい写真ですが、樹脂製の絞り環にベアリングとスプリングを組み込んでからセットします。

↑上の写真はその樹脂製の絞り環にやはりネジ止めされる「停止キー (上) 連携アーム (下)」で、特に上の「停止キー」は左側のグリーン色の矢印で指し示している箇所が「開放時の場所」を意味し、反対側のブルー色の矢印が「最小絞り値の時の場所」で、それぞれクリック感を伴いつつ駆動します。

上の写真では「開放f値f2.5」に設定している場合の撮影ですが、ご覧のように「グリーン色の矢印で指し示している箇所に隙間が残っている」のが仕様であり、このモデルの絞り環操作は「絞り環を回した時、開放側が極僅かに先まで回る」その因果を明示しています。

逆に言うならブルー色の矢印側の「最小絞り値側には隙間を用意したらイケナイ」とも言い替えられ、その根拠は「最小絞り値で絞り羽根が閉じる量は決まっているから (閉じすぎると絞り羽根が噛んでしまうから)」のが設計仕様だからです・・ちょうど刻印してある絞り値の「32AE」がそれにあたります。つまり「f32以上閉じられない」からこそ、突き当て停止するのは「最小絞り値側」なので、逆に「開放側に隙間が残る」と明言できるのです(笑)

なお、下部に写っている「連携アーム」が鏡筒から飛び出ている「制御アーム」をガシッと掴んで離さないので(笑)、言い換えるなら「この連携アームの長さこそが鏡筒の繰り出し/収納量と一致ヘリコイドオスメスの長さ/深さ」とも言えますね(笑)

・・こういう一つ一つが「原理原則」なので変えようがありませんね(笑)

何故なら「原理原則」である以上、必ずそうなるからで、別の結末には至らないからです(笑)・・だから「原理原則」とい言える。

↑クライマックスに近づきました(泣) 組み上げが進んでいますが、距離環 (の内側方向に向かって) プレッシングされている「制限キー」がブルー色の矢印が指し示しており、同時に∞刻印に対して基準「|」マーカーも合致し、開放f値「f2.5」も合わさっているのが分かります。

ところが上の写真をよ〜く観察するとある1点について明確になります。絞り環の刻印絞り値「f2.5」はピタリと中心に基準「|」マーカーが合致しているのに (グリーン色の矢印) 一方の距離環側刻印「」は中心から少し外れた位置で基準「|」マーカーが合致しています(汗)

この後の工程で光学系前後群を組み込んでから無限遠位置の確認とその微調整を行いますが、上の写真のとおり「このモデルの∞刻印位置は微調整ができない仕様の設計」であるのが、さんざん今まで解説してきた「制限壁制限キーの関係性」から明白なのです。

具体的な無限遠位置の微調整はこの後の工程で100%可能ですが、それを処置しても「上の写真の∞刻印のズレだけは物理的にズレているので微調整機能が設計上用意されていないのでズレの調整ができないのは自明の理」なのです(泣)

↑上の写真は鏡筒 (右) に対してネジ込まれる「光学系前群格納筒 (左)」を示しています。

↑実際に光学系前群格納筒を共闘にネジ込むとこんな感じです・・共に微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工で加工され設計してあります。

↑いよいよクライマックスに到達しました・・長かったぁ〜!(涙)

このように「光学系前群格納筒の縁にだけ締付ネジによってヘリコイド (オス側)締め付け固定される方式の固定方法を採る」のがこのモデルの設計なのです(汗)

・・当方ではこの手法を「懸垂式ヘリコイド駆動方式」と呼称しており、さんざん解説してきた鏡筒光学系前群格納筒も共に鏡胴の何処にも固定されていないのです(驚)

特に鏡筒に関しては「100%ブラ下がったまま!」なのが設計状の仕様です(笑)

↑今度は反対側から撮影していて、後玉側方向から撮っています (光学系はまだ組み込んでいません/仮組みしただけです)・・するとオレンジ色の矢印で指し示しているとおり、空間が空いているだけなので反対側のこのミニスタジオの背景紙の柄が写っています (この箇所は四角く切削されていて空間になっている)(笑)

いっぽうその箇所には両端に「直進キー」がヘリコイド (オス側) の「直進キーガイドと言う溝部分」に刺さっています。

また合わせて前述した「連携アーム」も絞り環と連結したまま鏡筒から飛び出ている「制御アーム」をガシッと掴んだままです。

・・然しこれら解説の何処のパーツも鏡筒を固定していません!(驚)

以前数年前に「ウソをブログに載せるな!」とメール着信しましたが(笑)、両サイドに締め付け固定している「直進キー」がヘリコイド (オス側) の「直進キーガイド」に刺さっているなら、その場所で鏡筒は固定されているではないか!・・というのです(笑)

いえ、違います(笑) もしも「直進キー」に鏡筒の固定の役目をもたせたら「ではいったいどうやって距離環を回した時に鏡筒の繰り出し/収納を実現するのですか???」と言う物理的な現象の説明ができません(笑)

すると「直進キーでスライドしながら鏡筒も固定しているからだ!」と返信してきましたが(笑)、そもそも「固定したら物理的に物体は動けない」のが「原理原則」であって、スライドしている以上「固定していない」のは明白です(笑)

少なくともこのモデルでは「ヘリコイドオス側の端っこに光学系前群格納筒の縁がネジ止めされてやっと固定されているだけ」なのが物理的な固定であり、他に何ひとつ介在していません(笑)

だからこそ「鏡筒はブラブラとブラ下がっている立場」なのだと申し上げているのです(笑)

しかも、そのブラ下がっている鏡筒を絞り環操作でチカラが伝達され絞り羽根の開閉角度が変わり、合わせて絞り連動ピンからの押し込み動作でもチカラが伝達されるので「ブラ下がっているクセに、下部方向からどんだけチカラが加わるのか???」みたいな話です(笑)

これがこのモデルでの本当のクライマックスであって、他の要素はたいした内容ではありません(笑)

↑上の写真は当初バラした直後に撮影した「マウント部のロックボタンに反発力を与えている板バネ」ですが、ご覧のように過去メンテナンス時にペンチか何かで強制的に曲げられています(笑)

↑本来製産時点のカタチは「こういう滑らかに緩くカーブを描くカタチ」なので整形した次第です(笑)・・たかが板バネと思うかも知れませんが、「ADAPTALL2規格」のマウントである以上、装着したマウント部が硬くて外せなくなることが度々起きます(汗) 「ごまかしの整備」でそういうムリなチカラを与えるのは、製産時点から大きく逸脱していると、当方は考えますね(笑)

↑いよいよ完成間近です・・この後は無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、前玉直前の遮光環をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。当初バラす前の実写確認時は「こんな程度のピント面なのか」と、今回の扱いが初めてだったので印象が残りましたが、バラしてみれば何の事はなく、あらゆるネジと言うネジ種全てに「固着剤」が塗られ、合わせて「反射防止黒色塗料」も執拗に塗られまくっていましたが(笑)、全て剥がして除去して製産時点に戻せば「何とも鋭いピント面に変わった事か」とオドロキでした(笑)

・・どうりで巷で評価が高いワケです(笑)

いったい過去メンテナンス時の整備って、何の為にヤッていたのでしょうか???(笑)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリア極薄いクモリすら皆無です。唯一瑕疵内容としてご報告するなら「光学系第6群の裏面側コーティング層に13㎜長のとても微細なコーティング層線状ハガレが1本残っている」ものの、物理的に光学ガラス面を削ってしまったヘアラインキズではないので、光学系後群を覗き込む時の角度によっては、角度で光彩を放つ反射によっては「視認できなくなる」或いはLED光照射でも視認できない状況です(笑)

ちなみにマウント部を見ると車輪が付随する絞り連動ピンが写っています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:12点
後群内:19点、目立つ点キズ:14点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大13mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑5枚の絞り羽根もキレイになり、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンや絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正五角形を維持」したまま閉じていきます。上の写真は「32AE」じの閉じ具合です。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・付属品としているK&F CONCEPT製「AD2→M42変換アダプタ」を装着している場合絞り羽根開閉は手動絞りのみに限定されています。変換アダプタを取り外してフィルムカメラなどに装着して使用した場合、マウント面の絞り連動ピンは正常に機能し、且つ絞り羽根開閉駆動も正常に動作するのを確認済です。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・絞り環の縁の一部が極僅かに膨らみ溶けている箇所があります(解体時の加熱処置で溶けてしまった為)。事前告知済なのでクレーム対象としません。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『TAMRON 28mm/f2.5 BBAR MC 02B (ADAPTALL2)』
K&F CONCEPT製「TAM→M42変換アダプタ」 (新品)
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

↑このTAMRON向け「ADAPTALL2規格」のK&F CONCEPT製「TAM-M42変換アダプタ」は、どう言うワケか市場流通品を購入すると「M42マウントに装着した時90度ズレた位置に指標値が来る」ので(汗)、当方にて一度バラして正しい位置で組み直しています(笑)・・ちゃんと赤色矢印のように指標値のリリースマーカー位置に合致しているのが分かります。

↑反対側にはロック解除ボタンが位置し、前述のとおりガッチガチに硬かったのも改善させ、ちゃんと指の腹で (痛く感じない強さで) 押し込むとロック解除するよう微調整済です (赤色矢印)。

↑また本来のマウント面に居た「絞り連動ピン」は赤色矢印で指し示しているとおり「押し込まれて見えにくくなっている」状況です(笑)

↑少々露出オーバー気味で撮影して絞り連動ピンを拡大撮影すると「ご覧のとおり車輪の頭部分だけが変換アダプタの縁により押し込まれている状況」なのが分かります (赤色矢印)。

つまりこの状態で (変換アダプタ装着時で) 絞り環操作した時「絞り羽根は手動絞り状態で開閉する」状況です。

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し
底面を「平面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明して
いるので、気になる方はご参照下さいませ。

なお、ブルー色の矢印で指し示したようにそれぞれの指標値がちゃんと真上に合致しているのが分かりますが、前述のとおり距離環刻印「∞」のみ、中心の円が交わる位置からは僅かにズレていますが、これは設計上の仕様なので改善不可能です。

また、絞り環操作時に「最小絞り値側はカツンと音が聞こえてピタリの位置で停止しクリック感も同一で感じる」ものの、反対側の「開放側は僅かに先まで回ってしまう」のも設計上の仕様で、最小絞り値側に合わせているので改善不可能です・・これを開放側で合わせてしまうと「最小絞り値側が閉じすぎてしまい絞り羽根が噛んでしまう」現象が起き、絞り羽根に噛み跡が残ってしまいます(泣)

ちなみにマウントアダプタ側の「ピン押し底面」は両面使いできますが「平面側/凹面側」どちらでも絞り環操作、或いは絞り羽根の開閉角度など「凡そ当方が気になって確認するべき事柄は全て逐一チェックし微調整が終了している状態」での、オーバーホール済ヤフオク!になっています (当たり前の話ですが)(笑)

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる
)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離25cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。f値が「f11」なのに、まだまだミニカーの背景がボケまくりです(笑)

↑f値「f16」です。

↑f値「f22」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なのに「回折現象」の影響をまだ感じられません(驚)・・素晴らしい写りです!(涙)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑最小絞り値「f332」での撮影です。