〓 FUJICA (富士フイルム) EBC FUJINON 50mm/f1.4《後期型》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク!出品するモデルは、国産は
FUJICA製標準レンズ・・・・、
 『EBC FUJINON 50mm/f1.4《後期型》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のFUJICA製標準レンズ「50mm/f1.4」の括りで捉えると26本目にあたりますが、今回扱った個体「後期型」だけカウントすると僅か3本目です。

逆に言うなら、今までの13年間で中心的に扱い続けてきたのは「前期型」であり、その光学系の光学硝子材に「酸化トリウム」を含有した、俗に言う「アトムレンズ (放射線レンズ)」ばかりでした。

・・実は、今回扱った「後期型」を長い間敬遠していたのです(泣)

その最大の理由は「光学系前後群を外せない」と言う完全固着と言う問題から避けていた次第です。その一方で「前期型」はほとんどの個体で、他のオールドレンズ同様ちゃんと取り外せます (中期型は同じアトムレンズながら内部構造面でその微調整が神経質すぎて避けていた)。

今回扱った個体も全く外せず「加熱処置」を繰り返す事6回目で、ようやく「光学系後群だけが回り始めて外せた」と言う状況です(涙)

ところがリアルな現実は、今までの13年間で扱った本当の個体数は・・前述の3本ではなく「5本」だったのです(涙)

ではそれら他の2本はいったいどうしたのかと言えば・・やはり「加熱処置」を数回繰り返すもののビクともせず(涙)、プラスして治具を使い外そうと試した時に「何と開閉アーム折って
しまった
」ためにジャンク箱に転がる運命を辿ったのです(涙)

・・さすがに同じモデルを同じ理由で壊してしまうとメッチャ凹みます(涙)

それ以来スッカリ懲りてしまい「専ら前期型ばかりを追いかけていた」故に「後期型」は避けまくりだったワケです(笑)

なお、以下解説の内容から「過去メンテナンス時の不備が多いモデル」との
認識に至り、スッカリ懲りてしまったので今回の扱いで最後にする予定です。

 

【 モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元値の要素を示しています。

前期型:1970年発売 (ST701用)
コーティング:モノコーティング
光学硝子レンズ:酸化トリウム含有
開放測光用の爪:無
距離環ローレット:金属製
レンズ銘板:金属製

中期型1972年発売 (ST801用)
コーティング:マルチコーティングEBC
光学硝子レンズ:酸化トリウム含有
開放測光用の爪:
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製

後期型1974年発売 (ST901用)
コーティング:マルチコーティング「EBC
光学硝子レンズ:酸化トリウム含有せず
開放測光用の爪:有
距離環ローレット:ラバー製
レンズ銘板:プラスティック製 (一部に金属製)

     

↑上の写真は、前述した「光学硝子レンズに酸化トリウムを含有したアトムレンズ (放射線レンズ)」から取り出した光学系前後群の中から「第1群第2群第4群第6群」を並べて撮影しており、そのモデル自体は「前期型」になります (第3群だけ酸化トリウムを含有していないので含まれない/写っていない:写真左)。

左写真を見ると分かりますが「5つの光学硝子レンズ全てが黄ばんでいる」ワケで、これは
経年劣化進行に伴い光学硝子材が変質してしまい「赤褐色化するブラウニング現象」を表し
俗に言う「黄変化」になります。

ブラウニング現象 (browning phenomenon):
光学硝子材に酸化トリウムを含有していた場合、硝子材の分子配列欠陥部に放射線によって
生じた電子/正孔がトラップされ、特に紫外〜青色帯域に光吸収を生じるようになる現象を指し、見た目で経年の時間経過に伴い光学硝子材が変質し赤褐色化する現象を指す (但し、石英ガラスに於いてはこの現象は生じない)。従って石英ガラスだけを使用することにより光学硝子レンズに於ける透過率の向上を期待できる。
(参照:次期太陽観測衛星用光学ガラスの放射線耐性試験,国立天文台報3 (1998) 145-150)

これらのことから逆転発想で「UV光照射」によりそのトラップで引き起こされた赤褐色化ブラウニング現象を、紫外線域で補填することで一時的に改善が期待できます (然しその後の経年で再び赤褐色化が進む)。

従って上の写真2枚は、「前期型」から光学硝子レンズを取り出した直後 (左写真) と「UV光照射 (24h)」によりほぼ無色に近い状況まで低減した状態 (右写真) を表す、その検証結果を示す写真になります。

・・ここで皆さんが大きな思い違いをしている点について、さらに深く解説していきます。

ネット上を検索しても数多くヒットしますが「ブラウニング現象により光学硝子レンズの透過率低下を招く」とあります(汗) そもそも「光学硝子レンズの屈折率向上 (1.22) を狙った処置」として、1950年代後半辺りから光学硝子材への酸化トリウム含有が流行り始めたようですが、1970年代になると経年劣化進行に伴い「赤褐色化」の変質が起きるので、光学
硝子材への酸化トリウム含有をやめています。

ここがポイントで「狙っていたのは屈折率」なので、経年劣化進行に伴い「赤褐色化」が起きようとも、UV光照射でほぼ無色に改善できようが「肝心な屈折率は大きく劣化していない」とも考えられます。

するとネット上で数多くの光学機器の会社が「透過率の低下を招く」と指摘しているのは何故でしょうか???

このブログで執拗に何度も申し上げている「観察と考察」が必要です(笑)・・UV光照射
より「赤褐色化ほぼ無色化」と改善しているのは、光学硝子材の変質であり「皆さんが気にしているのは光学硝子材の色」です(笑)

この光学硝子材の色は、今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラに100%備わる「AWB (オート・ホワイト・バランス) 設定」を処置してあげれば、写った写真が黄色っぽく写る、俗に言う「黄変化」の影響を低減して、キレイなホワイトを基準としたカラーバランスに戻すことが適います。

ところが、確かに光学系を透過してきた入射光を記録した写真の色合いはホワイト色に改善されようとも「そもそもの屈折率まで改善したワケではありません」・・つまり入射光は波長なので、屈折率により可変された入射光は変わらず写真として記録されるワケで「黄色っぽい色合いはホワイト系に戻ってもコントラストは変わらずにそのまま残っている」からこそ、アトムレンズ (放射線レンズ) を通して撮影した写真は、記録先がフィルム印画紙だろうが、撮像
素子経由だろうが関係なく「コントラストが高い/濃いままに写る」のが物理的な原理です。

それは白黒写真の254階調の世界たるグレースケールだろうが、総天然色のフルカラーだろうが関係なく全く同じです・・屈折率なので変化しようがありません(笑) 白黒写真もカラーも同じように高い/濃いコントラストのまま写真が記録されます。

従ってアトムレンズ (放射線レンズ) を使う時に「必ず覚悟するべき内容は高コントラストに
写る
」点である事を認知するべきですね(笑)・・よくネット上やヤフオク!でも、UV光照射により普通の写真が撮れるように変わったと (黄色っぽく写らないとの意味合いで) 謳い文句の如く語られますが(笑)、コントラストまで普通のオールドレンズのように、違和感なく写るよう低減できた話ではない事を知るべきですね(笑)

特に近年のプロの写真家や某有名処で、このような物理的な高コントラスト傾向の写り具合
までちゃんと解説してくれないので、いったいプロの写真家にしても専門知識が在るのにどうして知らん顔なのか「???」だったりします(笑) 下手すると前述した「デジカメのAWBでホワイトに戻るから大丈夫/気にしなくて良い」とまで明言している始末で困惑します(汗)

・・話が大変長くなりましたが、思い違いが非常に多いので敢えて解説しました(汗)

その意味では白黒写真にしてもカラー写真でも関係なく「高コントラストに写真が映る点を
覚悟した上で手に入れるべきオールドレンズがアトムレンズ
(放射線レンズ)」と受け取るのが良さそうですし、逆に言うなら「むしろ逆手に受け取り、その高コントラストを狙うがために入手する」のも、特に白黒写真の256階調しか存在しないグレースケール世界には「嗜好的背景をも隠されている」と言う要素に繋がり、それはそれでまたとてもオモシロイ結末を期待できそうです(笑)

・・要は「物は考えよう」みたいな話!(笑)

裏を返せば、今回扱ったモデルもその辺りで折り合いをつけて「敢えてアトムレンズ (放射線レンズ) 狙いで前期型中期型」もアリでしょうし、その一方で「いや、カラー写真で高コントラストで違和感に繋がるのは好きではない」との嗜好の人は「後期型のほうが自分に合って
いる
」と言う・・モデルバリエーションの捉え方・・も或る意味一つの手法ですね(笑)

ちなみにネット上で光学機器の会社が「透過率の低下」に言及するのは「赤褐色化」による
波長の変化から、光学設計を逸脱した記録に至るからで、屈折率の話を言ってませんから混同しないようお願い申し上げます (あくまでも時代の流れの中で捉えれば酸化トリウム材を光学硝子レンズの配合に採り入れてきたのは、革新的研究成果から見るなら至極道理的な結末とも言える/新種硝子の登場以前のモ・ノ・ガ・タ・リみたいな話です)(笑)

そのような波長面での光学設計逸脱を問題視してくる世界は「工業用光学硝子レンズの世界」だったり、或いは最も良い例なのは「衛星に搭載する光学製品で使われる光学硝子レンズ」に於ける波長の偏位は致命的欠陥だったりします(怖)

そんなワケで「アトムレンズ (放射線レンズ) たる前期型 (や中期型) に手を出さず後期型を狙いたい」からこそ、今回のモデルを調達している次第ですが (あぁ〜話が長い)(汗)、せっかく手に入れても光学系をバラせないのでは意味がなく、合わせて開閉アームを折ってしまうなど以ての外です (どうしても光学系を回そうと目いっぱいのチカラをいれるので、隣接する開閉アームの金属棒を折ってしまう)(凹)

  ●               

↑上の写真は今回扱った個体から取り外した「光学系後群格納筒の締付環」ですが、外壁が露出します。するとバラしていてフッと気づいたのですが、赤色矢印で指し示したように「反射防止黒色塗料」が塗られていたのが判明しました。

上の写真はワザと故意に途中まで「反射防止黒色塗料」を溶剤で剥がしたところで一旦
撮影しているので、まだ剥がしていない「反射防止黒色塗料」が左方向に残っています。

本来の製産時点は赤色矢印で指し示している箇所のとおり「ちゃんとメッキ加工した光沢の
ある黒色
」なのが分かります・・逆に言うならメッキ塗色は決して溶剤などで溶けて剥がれ
ません(笑)

↑さらに上の写真も取り外した光学系後群の一部で第4群の貼り合わせレンズです。同様赤色矢印で指し示した箇所は溶剤ですぐに溶けて「反射防止黒色塗料」が厚塗されていました。

その一方でグリーン色の矢印で指し示した場所には「固着剤」が多量に残っていましたが、現在市場流通している「固着剤」ではなく褐色系です。

↑同じ光学系第4群の貼り合わせレンズをひっくり返して後玉側方向を上に向けて撮影しています。するとやはり内壁の赤色矢印で指し示した箇所も「反射防止黒色塗料」が塗られており、さらにグリーン色の矢印の箇所にも「固着剤」が、やはり多量に付着していました。

ちなみにブルー色の矢印で指し示しているのは、裏面側の剥がし終わっている「反射防止黒色塗料」が塗られていた箇所が、反射して白色に写っているだけの話なのを示しています。

↑こちらは最初に掲載した「光学系後群側の締付環」ですが、赤色矢印の箇所の「反射防止黒色塗料」を全て完全除去しました。「反射防止黒色塗料」は、それこそ後玉直前まで塗られている状況でした(汗)

またグリーン色の矢印の指し示したネジ山部分にも「固着剤」が、ほぼ全周に渡り塗られ
ていたので「加熱処置」を数回施したところで全く回りませんでした(涙)

↑さて、いよいよクライマックスです(涙)・・同じ締付環をひっくり返していますが、赤色矢印で指し示している箇所は「ちょうど後玉が突き当たる箇所」であり、後玉を抑え込むのでこの環/リング/輪っかが「光学系後群用締付環」なのが歴然です。

一方グリーン色の矢印で指し示した箇所は「固着剤」ですが、ネジ山はともかく「締付環の
フチ部分にまで塗られまくっていた
」次第です。

・・何を言いたいのか???

当初バラす前の実写確認時点で「このモデルのピント面って、こんな甘い印象だったかしら
???
」と感じたその原因がこれらの解説なのです(汗)

つまりこうです・・赤色矢印で指し示した一部の「反射防止黒色塗料」或いは、グリーン色の矢印で指し示した一部の「固着剤」は、よ〜く観察するとすぐに分かりますが「前後方向/
直進方向/つまり光路長の方向
」でそれぞれが塗られていたのです(泣)

・・もうお分かりですョね???(笑)

製産時点に一切着色されたり、固着剤で塗られていないのに「光路長を狂わす方向の箇所に
まで塗られていた
」からこそ、当初バラす前の実写確認でピント面の鋭さ感が足りないような
印象を覚えたのです(涙)

・・そしてこれらの「観察と考察」から重大な側面が見えてきたのです(涙)

製産時点で光路長を狂わすような前後方向/直進方向に「反射防止黒色塗料」や「固着剤」を塗布するハズがないのにガッチガチに固着していたと言う事は「製産後の一度目の過去メンテナンス時にこれら処置が施された」事になります!(驚)

↑上の写真はマウント部内部に使う「2本備わる捻りバネのうちの1本」ですが、赤色矢印で指し示した箇所をペンチか何かで強制的に曲げているのが分かります・・本来の製産時点は「グリーン色のラインで示したような直線状」なのを曲げることで反発力を強めた「ごまかしの整備」であるのが分かります。

しかもブルー色の矢印で指し示している箇所にまで「固着剤」が固められていました(涙)

右側のL字型に曲がっている箇所は確かにネジに突き当たるので固着剤で固めても構いませんが、一方左側の強制的に曲げられている箇所は「ブルー色のラインで囲った部分でパーツ同士が擦れる必要がある」ので、製産時点にL字型に曲げずに敢えて真っ直ぐにして設計しているのです。

それは実際今回のオーバーホールで取り出して「固着剤」を溶かして/剥がした後に、オーバーホール工程の中で組み上げていった時「マウント部内部構成パーツの駆動を確認すると、この捻りバネ左側でパーツが互いに擦れ合っている事を自分の目で確認できた」からこそ、このように明言し、且つ上の写真でもブルー色のラインで囲って解説しています。

だからこそ、この捻りバネの左側は「敢えて真っ直ぐに伸ばして設計した」ワケで、捻りバネの反発力を正しく適切に伝達する目的があってそのように設計したのが分かるのです。

ところが過去メンテナンス時にこの捻りバネの左右両端を「固着剤」で固めてしまったので、結果この捻りバネが持つ反発力は逆方向に伝わり「中央の丸巻き部分にチカラが溜まり、設計時に狙った反発力とは異なる想定外のチカラを産んでいた」ために、端的に言えば「反発するチカラが足りなくなり、最小絞り値まで絞り羽根が閉じない不具合に至り」再び強制的に曲げて同じように捻りバネの左右両端で「固着剤」により固めてしまったのです(汗)

つまり一度組み上げたものの、正しく絞り羽根が閉じないので (左右両方固めてしまったから)
捻りバネの反発力を強くする「ごまかしの整備」を講じて仕上げた・・と言う流れが見えて
きました(泣)

・・完全解体し「観察と考察」する事で「ごまかしの整備」が白日のもとに晒されます(笑)

組み上げてしまえば外から見ても、あるいはこのオールドレンズの動きを知っても「それら
ごまかしの整備内容を知る由はない
」から、平気でこのような所為を行います・・本当は、
そもそもの「絞り羽根開閉異常」の因果は「自分が執った処置が間違っていた (捻りバネの
左右両端を固めてしまった処置)」にもかかわらず、このようにごまかそうとするのです(泣)

ちなみに、後でオーバーホール後の出品個体写真撮影でちゃんと明示しますが、光学系前群格納筒を外せなかったので「絞りユニットを解体できていない (取り出せていない)」為に「過去メンテナンス時に絞り羽根の閉じ具合を強く微調整してしまった所為を正せない」状況です。

・・つまり最小絞り値が閉じすぎているまま組み上がっており、改善できません(泣)

全く以てロクな事をしません(汗) そもそも製産時点とは全くかけ離れた所為を平気で講じている時点で「一体何の為に整備しているのか???」その過去メンテナンス時の整備者の思考回路を疑わざるを得ません!(怒)・・そのように指摘すると必ず決まって「経年劣化進行に伴い構成パーツが変質してしまったのだから、改善処置を講じ正しく機能するよう戻しているだけだ」と言いますが「ならばどうして当方が再び製産時点に戻してもなお、適切に正しく機能
するよう組み上げられるのか
???
」と言いたいです。

今回のオーバーホール工程で言うなら、上記で解説してきた捻りバネのカタチを戻して組み込むと「どうしてちゃんと適切なチカラで伝達が適う」のですか、と問うているのです。それを光学系前群格納筒の全周に「固着剤」を塗布してしまったが為に、回せなくなり「適切な絞り羽根の開閉度合いに戻せない」よう仕向けてしまったのも・・アンタら過去メンテナンス時の整備者の仕業なのではありませんか???・・と言っているのです!(怒)

何にしても、これら解説してきた「光学系後群格納筒」には、上に載せた写真のとおり「光学系第4群貼り合わせレンズ」がモールド一体成型されているので、下手に「加熱処置」を続けるとバルサム剤が剥離し始めてしまい「白濁するバルサム切れを招きかねない」のが怖いの
です(怖)

余計な処置を講じたが為に、このように手を出せなくなってしまい「限りなく製品寿命へと
突き進むしかなくなる
」から問題だと、このブログで何度も何度も執拗に指摘を続けている
のです!(怒)

  ●               

以上、これらの過去メンテナンス時の所為から「おそらくこれらFUJICA製オールドレンズを
専門に整備していた会社が何処か在る
」とみています(泣) 確かな根拠はありませんが、凡そFUJICA製オールドレンズの多くで同じ所為が必ず執られています (執られていない個体の数のほうが圧倒的に少ない)(笑)

また今回扱った個体でハッキリしたのは褐色の「固着剤」を使っている整備なので、近年ではない数十年前から相変わらず続いている整備手法 (続いていると言えるのは現在流通している
固着剤が使われている個体も在るから
) とも指摘できます。

そこから見えてきたのは「おそらく父子二世代に渡り整備を続けている会社」だからこそ、同じ「ごまかしの整備」の所為が引き継がれつつ執られているとみています(汗)・・特に例えば「FUJINON 55mm/f2.2 (M42)」などをバラしていても、マウント部内部のパーツの使い方を頻繁にミスっているのは「固着剤」になってからなので、息子のほうのミスであるとも指摘できます(笑) その一方で父親の頃には「光路長を狂わす方向でも気にせずに反射防止黒色塗料や固着剤を塗布しまくっていた」とも指摘でき、今現在も相変わらずその手法が延々と続くという・・当方にすれば悪循環のスパイラルにハマっている次第です(涙)

・・何故なら、それら「ごまかしの整備」を正して直しているのは当方だから(汗)

全く世知辛い世の中です(涙) それにしても今回の発見は大きかったです。てっきり製産時点から「固着剤」が塗られていたのだと、思い込んでいましたが「反射防止黒色塗料」がその「固着剤」で固められていた格納筒の、さらに内部から現れたので判明した次第です(泣)

ようやく納得できました。いくら当時のFUJICA (富士フイルム) としても、どうして将来的な
サービス (整備) を阻害するような「全周に渡る固着剤の塗布で外せなくする処置」を製産時点に執っていたのか不思議で仕方なかったのです (今までその概念を説明できなかった)。

・・今回のオーバーホールでその謎が溶け、その意味で大変良い機会を得たことになります。

 

 

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はEBC FUJINON 50mm/f1.4《後期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。

上の写真を見ると分かりますが「鏡筒を解体できなかった」ので絞りユニットを外せていません(泣) 後玉側方向から清掃しています。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。このモデルの扱いは今回の個体が3本目ですが、光学系内にクモリが残っていない点と蒸着コーティング層のハガレや汚れが少ない点で良い部類です。その一方でほぼ全ての群の光学系な「目立つ微細な点キズ」が数点残っています。

逆に言うなら、これでそれら「目立つ微細な点キズ」すら残っていなかったら、大変なレベルの光学系になっていたほどです(笑)

その意味で言うなら、このモデルは特に「経年劣化進行に伴う薄いクモリが残ってしまう確率が高い」とも指摘でき、調達に際し光学系のチェックは必須になります(汗)

なお今回オーバーホール済でヤフオク!出品する個体は「完全解体ができず鏡筒がバラせて
いない
」為に、絞りユニットを取り出せていません(泣)

その結果、おそらくは過去メンテナンス時の「絞り羽根開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) 微調整ミス」と推測できますが、絞り羽根が閉じすぎている状況です。

その詳細としては「開放f値:f1.4のみ完全開放で適正値」であるものの、絞り環を回した時の次の段「f2」から徐々に「絞り羽根が閉じすぎの状況」であり「最小絞り値:f16に至った際は簡易検査具で調べるとf22を超えている状況」と指摘できます。
(絞り羽根がほぼ閉じきっている状況)

この現象は、現在市場流通品の個体の中にも幾つか見られる現象で、おそらくは過去の一時期に「FUJICA製オールドレンズを専門に整備していた整備会社が居る (もちろん他光学メーカー製品も含めての話)」とみていますが、具体的な証拠を掴んでいる話ではありません (あくまでも内部の状況から察して近似した所為が講じられている点から、同一の整備会社による過去
メンテナンスではないかと、当方が勝手に受け取っているだけの話です
)。

・・この件、事前告知済なのでクレーム対象としません。

従って完全解体できていない以上、これらの瑕疵内容についての改善は不可能ですし、おそらく今までの経験から「光学系前群格納筒の全周に渡り固着剤が塗られてしまった為」に回す事ができず、外せないとみています (つまり製産時点ではなく過去メンテナンス時の不備)。

それは実際に今までに扱った「前期型」のほうで近似した状況ながらも「加熱処置」で外せた個体も数本あった事から「全周での固着剤塗布」が確認できており、且つ近年流通している「固着剤」ではなく、数十年前まで流通していた「固着剤 (ゴム系の硬質嫌気性樹脂材)」と
捉えています。

これらの検証から「過去の一時期に専門に扱っていた整備会社の (プロの整備者による) 仕業」と受け取っており、合わせて近年は別のオールドレンズで「固着剤」を使い、近似した整備が執られている個体も流通しているので「父子二世代による運営の整備会社」との憶測に至り
ますし (あくまでも当方の臆測の範疇にとどまる話)、特に近年の整備個体は「マウント部内部の一部パーツの使い方をミスったまま組み上げている」のを、他のFUJINONモデルで検証済
なので、その結果引き起こされてしまった「絞り羽根開閉異常」を捻りバネを強制的に (ペンチなどの工具を使い) 曲げる事で対処している「ごまかしの整備」が横行している始末です(涙)

・・それらの不始末を当方が正して再び組み直し、正常駆動に仕上げている始末(笑)

オールドレンズの延命を狙った整備」とは言え、当方はいったい何をヤッているのか、誠に低俗なレベルの整備しかできておりません (だからこのブログでも何度も執拗に当方の技術
スキルは低い
と明言している
)(汗)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリすら皆無です。その一方で前述のとおり、ほぼ全ての各群に「目立つ微細な点キズ」が必ず数点残っています。

特に前群の第3群の表側中央には微細ながら3㎜ほどの擦りキズもあります。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリア極薄いクモリすら皆無です。前述の前群側同様、後群側も各群に「目立つ微細な点キズ」が数点残っています。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大8mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
光学系のほぼ全ての群に目立つ微細な点キズ数点が残っています。これらの一部はパッと見で塵や埃に見えるものもありますが、清掃しても除去できません。また第3群表側方向のの中央付近には少々目立つ3mm径くらいの薄い擦りキズが残っており光学系内を前玉側方向から覗き込むと、見る時の角度によっては視認できないことがあります。
(そのくらい薄い印象の擦りキズと言う意味合い)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑マウント面に「開放測光用の爪」が残っています。K&F CONCEPT製マウントアダプタ、或いは日本製マウントアダプタであればこの爪との接触を避けたまま装着し使うことができます。

↑鏡筒を解体できていないので、光学系後群を取り外して後ろ方向から清掃しています (絞り羽根をバラせていないので、綿棒を入れて表裏面を洗浄液で拭っただけです)。

またご覧のように「絞り羽根が閉じすきでいる状況」ですが、前述のとおりバラせていないので改善のしようがありません (クレーム対象としません)。

従って開放f値「f1.4」のみ正確で、次の「f2」以降次第に閉じすぎている状況に至り、特に「f8f16」はほぼ一段ずつ閉じすぎている状況です (つまり仕様上の最小絞り値f16で簡易検査具で調べるとf22を優に超えています)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡りほぼ均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・距離環を回すとトルク戦域で均一であるものの、擦れ感を感じる箇所があり、そこで極僅かに掴んでいる指に擦れの抵抗/負荷/摩擦を感じるため、極僅かなトルクムラが残っているように感じる人も居るかも知れません(神経質な人はそのように受け取るかも知れません)。事前告知済なのでクレーム対象としません。
・絞り羽根が閉じすぎている状況に設定されたままですが、鏡筒を解体できないので絞り羽根の開閉を微調整できません。事前告知済なのでクレーム対象としません。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

↑筐体外装のメッキと食をチェックすると、上の写真で赤色矢印で指し示した箇所のメッキ塗色は黒色ですが (濃い紫色の基本色)、ブルー色の矢印で指し示した箇所のメッキ塗色は濃紺が基本色です (光に反射させると上の写真のように微妙にメッキ塗色の違いが浮かび上がる)。

このように製品に仕上がってから外見を眺めると「如何にも完璧な黒色のメッキ塗色」に見えるものの、実はメッキ塗色の基本色は「赤色系だったり青色系、或いは緑系メッキ塗色」など
凡そ色成分の濃い色合いを基本成分としているのです・・逆に言うなら、完璧な黒色のメッキ塗色は存在しません(笑)

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体EBC FUJINON 50mm/f1.4《後期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し
底面を「凹面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。

ピン押し底面を「平面」側に入れ替えると、絞り環操作時に少々重く感じます (ピン押し底面の深さが0.4㎜分短くなったから、その分マウント面から飛び出ている絞り連動ピンが強く押し込まれている影響)。「凹面」側を上に向けて/オールドレンズ側方向に向けてセットされるのをお奨めします。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明して
いるので、気になる方はご参照下さいませ。

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる
)。

↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。俄然ピント面の鋭さ感が立ち上がりました!(驚)

↑さらに回してf値「f2.8」で撮影しています。

↑f値は「f4」に上がっていますが、簡易検査具で調べると「f5.6」辺りです。

↑f値は「f5.6」に上がりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので「回折現象」の影響が現れ始めています。しかしその一方で、ミニカーの背景のお城の模型は、左側の穴部分が背景紙までちゃんと写っており、暗部の耐性もそこそこ性能評価できそうです。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。