◎ Carl Zeiss (カールツァイス) 旧CONTAX 用 Sonnar 50mm/f1.5《oberkochen》(CRF)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク出品するモデルは、旧西ドイツ
Carl Zeiss製標準レンズ・・・・、
『旧CONTAX 用 Sonnar 50mm/f1.5《oberkochen》(CRF)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
ご落札頂きました・・ありがとう御座います!(涙)
確かにこのモデルは距離環を装備しておらず、トルク感を味わえませんが、
しかし絞り環操作と絞り羽根の開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) は
間違いなく製産時点を執ります。彼のBerteleヨロシク・・是非各絞り値の写りの違いをご堪能下さいませ。
ありがとう御座いました。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のZeiss Ikon製レンジファインダーカメラ「CONTAX
シリーズ」向け標準レンズ「50㎜/F1.5」に絞ってカウントすると初めての扱いです。
今までに他の焦点距離や開放f値モデルを扱ったことは数本あるのですが、基本「信用を置けるマウントアダプタが手元になかった」ことから、完全解体して整備するにも無限遠位置の確認など、今ひとつも二つも信憑性が薄く、相性が悪かったのが正直なところです(汗)
←そんな中、ネット上で評判と教えて頂き、やっと精度を担保できるマウントアダプタを入手できたので、勢い「旧CONTAX向けオールドレンズ」に触手が伸びているところです (amedeo.m_ebay)(笑)
評判の精度と操作性に至極納得ですが「トルク感が素晴らしい」との評価なるも・・このヌメヌメ感って、何処かで (いつも) イジっているトルク感のような気がしないでも、ないような???(汗)
当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感は、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけで、ピント面の前後微動が適うトルク感を目指して仕上げていますが、このamedeo製マウントアダプタのトルク感を「ツルツルした印象の感触」と捉えるなら、当方が仕上げるトルク感は・・「敢えてヘリコイドを回していることを指から脳に伝えさせるが為に、摩擦を加えている印象のトルク感」なので、ヤフオク!の出品ページにも神経質な方向けに「擦れ感あり」と明記しています(笑)
実際この「微かな摩擦感」がヌメヌメ感/シットリ感と相俟り、絶妙な操作性の印象に繋がるみたいで (確かにそれを狙って仕上げているのですが)(汗)、ピント合わせするのが気持ち良い/楽しい・・と、オーバーホール/修理ご依頼分のオールドレンズをお届けすると歓びのメールが着信したりします (ありがとう御座います!)(汗)
特にこの数年は「いつものトルク感に仕上げほしい」と言う理由だけで、オーバーホール/修理ご依頼が来る次第で(笑)、やはり当方の狙い通り「ピント合わせのシ~ンには、確かに撮った写真の写りにも感動が伴うものの、その時の楽しさや気分と (これだ!という写真を撮る) 達成感なども脳裏に焼き付いている」との方程式がある事に、今更ながら自信を持つところです。
するとその撮影時に、当方が施したオーバーホールのことなどスッカリ忘却の彼方に忘れ去られているのは、至極当然な話だと言っているのです。それだけ本能の赴くままに、シャッターチャンスに興じた時、初めて (あくまでも総ては事後談でしかありませんが) 撮影時の楽しさ感こそが深い印象として残るのが「人情」ではないのかと・・強く思いますね(笑)
これは昔ライカショップでライカ製レンズをイジッた際に当方自身が感じ取った印象そのものであり「ツルツルよりも、むしろ脳に伝わる “回してる感” が堪らない」とのピント合わせ時の感動を再現したく、常日頃精進に努めています (精進するだけで未だ到達できず情けない)(汗)
そこから学んだ教訓は「目で捉えてピントの鋭さ感とボケ味を本能の赴くままに (一瞬息を止めて) 合わせる時、図らずも指から伝わる感触に五感の一部まで反応するが如く錯覚を覚える」のが、感動の増幅に奏効しているのです(涙)
このような非常に細かい要素にまで頑なに追求の想いを執拗に抱くのは、今に始まったことではなく、実は、遥か彼方青春時代に弾いていたギターでの「音間の繋がり (一音と一音の間がまるで繋がっているかのように、できるだけ短く分からないように滑らかに切り替える)」に
ひたすらにこだわって弾いていた経験が出発点だったりします (当時はフォークソング黎明期の時代だったので)(汗)
聴いている人は特にそれを認知せずとも、しかしとても自然にス~ッと入ってくる「音」と
いうモノに、憧れていたのだと思います(笑)・・そういう「自己主張してないのにめいっぱい主張しまくっている」みたいな、意識しないうちに脳裏に焼き付かせているような、そんな
何かを未練がましく、未だに心の中の何処かで追っているのかも知れません (そういうのって今ドキ、キモイかも???)(汗) 確かに息子の切り替えの速さには、未だにオドロキしか残りませんが(笑)
・・娘達にも言われますが(汗)、やっぱり昭和生まれの男は諦めが悪いのかも知れませんね(笑)
詰まるところ、オールドレンズなるモノは「チカラの伝達だけが命」なので、十数時間掛けて仕上げたオールドレンズを操作した時「せめて (悔し紛れに) 脳にまで伝えてしまう」くらいの操作性を目指していると言うのがホンネの如く・・結局性格が悪いだけの話だったりします。
(スミマセン!)(汗)
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1932年に戦前ドイツのZeiss IKonから発売されたレンジファインダーカメラ「CONTAX I型」向けに供給された標準レンズの中の一つが今回扱うモデル『Sonnar 50mm/f1.5《oberkochen》(CRF)』ですが、そのモデルバリエーションを捉えようと調べ始めたら、とんでもなく奥が深く、丸一日要してしまったと言うほどに凄いです(驚)
←左図は「CONTAX I型」発売時の取扱説明書からの抜粋で、オプ
ション交換レンズ群を紹介しているページです。
標準レンズ域のモデルだけでみても「Biotarあり、Tessarあり、Sonnarあり」と、本当に生唾ゴックンな1ページだったりします(笑) しかもその筐体外装と言ったら「Black & Nickel」と、どうしてこれをそのまま続けて製産しなかったのかと、本当に悔しい限りです(笑)
当時はまだ黎明期だったアルミ合金材も、特にその旋盤機のアルミ合金材に対する精度がまだ途上だった (或いは当時の陽極アルマイト仕上げの歩留まりの悪さ) が為に、僅かな期間で真鍮製/ブラス製にバトンタッチしてしまったのが本当のところなのかも知れませんが、実のところ「🇩🇪 Black & Nickelというドイツライクなデザイン性と金属質のバランスに、相当にドイツ南部の匂いを漂わせており 🇩🇪 」この上なく惹きつけられます。
・・まさにZeiss Ikonの工場があったStuttgart (シュトゥットガルト) の趣を妄想します(笑)
《モデルバリエーション》
※ネット上のサンプル数60本チョイスし、その中から代表例15本で変遷を辿っています。
※赤色文字が旧東ドイツCarl Zeiss Jena製/青色文字が旧西ドイツCarl Zeiss製
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった仕様諸元値の要素を示しています。
◉ 戦前ドイツ〜旧東ドイツ:Carl Zeiss Jena製
❶ Black & Nickel Sonnar 5cm/f1.5:1459959 (1933年製?)
❷ Black & Nickel Sonnar 5cm/f1.5:1628682 (1935年製/筐体意匠の変更/耳付絞り環)
❸ Sonnar 5cm/f1.5:1661271 (1935年製/真鍮ブラス製/耳付絞り環/f11)
❹ Sonnar 5cm/f1.5:1661271 (構造)
❺ Sonnar 5cm/f1.5 T:2520106 (1939年製/T刻印)
❻ Sonnar 5cm/f1.5 T:2676272 (1940年製/T刻印/f22)
❼ Sonnar 5cm/f1.5 T:3051351 (1946年製/戦後/T刻印/筐体意匠変更/構造)
❽ Sonnar 5cm/f1.5 T:3088719 (1946年製/戦後/T刻印/筐体意匠変更) 最終型か?
◉ 旧西ドイツ:Zeiss-Opton → Carl Zeiss製
❶ Zeiss-Opton Sonnar 50mm/f1.5 T:88040 (1946年製/T刻印/銀フィルター枠)
❷ Zeiss-Opton Sonnar 50mm/f1.5 T:576615 (1951年製/T刻印/黒フィルター枠)
❸ Zeiss-Opton Sonnar 50mm/f1.5 T:714564 (1951年製/T刻印/黒フィルター枠)
❹ Carl Zeiss Sonnar 50mm/f1.5:1016943 (1952年製/Carl Zeiss銘/T刻印省略/構造)
❺ Zeiss-Opton Sonnar 50mm/f1.5 T:1053950 (1952年製/T刻印/黒フィルター枠)
❻ Zeiss-Opton Sonnar 50mm/f1.5:1127572 (1953年製/黒フィルター枠)
❼ Carl Zeiss Sonnar 50mm/f1.5:1606051 (1955年製/黒フィルター枠)
❽ Carl Zeiss Sonnar 50mm/f1.5:1979153 (1955年製/黒フィルター枠/構造)
調べるまではあまり大事に考えていなかったのですが、調べ始めたらとんでもなく奥が深くて唖然(笑) 何が気になってしまったのかについて、順に説明していきます。
先ず基本的なことですが、戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaからの変遷になります。1945年の敗戦以降、東西ドイツに分断された中で互いに製品を供給し始めた為に、同一モデル銘で市場流通しています(汗)
初期の「Black & Nickel」の頃 (❶〜❷) の内容は1932年前後の話なので、大御所様たる「滲みレンズのこちらのページ辺り」をご参照頂ければとても詳しく出ています。特に最小
絞り値について、当初のf8から後にf11に変更された点が説明されています。
当方が気になったのは、さらにその後に登場した一般的なモデルです。
戦前Carl Zeiss Jenaのモデルとして一つの一貫した構造設計をみてとれます (但しまだ一度もバラしていません)。❸と❹でそれをチェックしています (2つ同一個体を載せた理由です)。
後でもっと詳しく解説しますが、筐体外装が真鍮製/ブラス製であるものの「絞り環とフィル
ター枠だけはアルミ合金材削り出し (特に絞り環の耳/ツマミ)」なのが、その金属質の違いで
明白です。また絞り環に備わる「耳/ツマミ」については、以前扱った「Black & Nickel Te-
ssar」モデルで確認済なので、アルミ合金材削り出しの肉厚なのが歴然です (真鍮材/ブラス材のまま薄くするとすぐに撓る為)。
さらに戦後旧西ドイツ側Zeiss-Optonモデルとの大きな構造面の違いが、❹の写真だけで判明します(汗) 前玉側から真正面に見た時、光学系内側から順に「レンズ銘板→格納筒→フィルター枠」との3重のパーツ構成で組み上げられる設計を採っているのが100%の勢いで判明です。
・・当方はモデルバリエーションをみる時、どうしても内部構造から捉えようとします(汗)
↑上の写真は❸の個体写真ですが、グリーン色の矢印で指し示している筐体外装のローレット (滑り止め) は、真鍮製/ブラス製です。一方赤色矢印で指し示している絞り環は、肉厚が薄く「耳/ツマミ」まで削り出しで用意しておりアルミ合金材削り出しです。前述のとおり、真鍮製/ブラス製でこの薄い肉厚のまま「耳/ツマミ」まで用意してしまうと、絞り環操作しているだけで撓ってしまい変形の原因になります(怖)・・そもそも上の写真を見ても、表層面のメッキ加工が直下の筐体外装クロームメッキと違うのが歴然です (つまり金属質が異なる)。
クロームメッキは表層面が平滑面に近くなりますが、アルミ合金材削り出しはアルマイト仕上げが多いので、どうしても金属質が露わになります。
さらにブルー色矢印で指し示している箇所のフィルター枠も同じアルミ合金材削り出しです。例えば絞り環にローレット (滑り止め) が刻まれていれば、肉厚を確保できる為真鍮製/ブラス製で造れないこともありません。
↑同じ❹の写真を使いますが、赤色矢印で指し示している「耳/ツマミ」箇所の肉厚がわかると思います。問題なのは「光学系前群の格納方法/設計」であり、グリーン色の矢印で指し示している箇所に僅かに顔出しして見えているのが「光学系前群格納筒の縁」であり、おそらく鏡筒から続いている設計ではないかとみています (未だ未扱いなので不明)。するとブルー色の矢印で指し示しているレンズ銘板は「光学系第1群前玉を締め付け固定する役目を兼ねている」或いは内部に締付環が別にあって、既に前玉を締め付け終わっている上から「レンズ銘板だけが締め付けられている」場合も考えられます。
・・いずれにしても、光学系前群格納筒の縁が露出しているのが大きな構造面の特徴です。
↑さらに筐体を横方向からチェックすると、赤色矢印で指し示しているように「光学系後群側の格納筒にパーツ番号が刻印されている」のが一目瞭然です (この刻印番号は製造番号では
ありません)。つまり光学系後群の3枚貼り合わせレンズが丸ごとこの光学系後群格納筒の中に収納したまま、この格納筒をネジ込んで固定する設計です・・この点が後で解説する旧西ドイツ側Zeiss-Opton製品とは、まるで設計概念が違います。
グリーン色の矢印で囲った範囲はローレット (滑り止め) まで含め真鍮製/ブラス製です。それに反して前述のとおりブルー色の矢印の絞り環と、オレンジ色の矢印のフィルター枠もアルミ合金材です (金属質が違う)。
以降❺〜❻、及び筐体意匠が変更になった、おそらく最終形態と思しき❼〜❽も同じで、絞りユニットとフィルター枠はアルミ合金材削り出しです。
なお❶〜❺までは最小絞り値:f11だったのが、❻〜❽ではf22に変わっています。
これは絞り羽根の駆動域を内部で広げて閉じる量を増やしただけなのか、或いは絞り羽根のカタチまで変更して最小絞り値までの閉じ具合から変更してきたのかは、バラしてみないと分かりませんが、おそらく光学系の設計変更は必要なかったハズと推測しています。
さらに「???」なのが大きな問題なのですが、❼〜❽では前述の「レンズ銘板だけが見えていて、光学系前群格納筒の縁が隠れてしまった」点に於いて、むしろこの問題のほうが光学系再設計の懸念を大きくしています (バラさないと分からない)(汗)
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ドイツ敗戦後に東西ドイツに分断されると、いよいよ旧西ドイツ側Zeiss-Opton製品の市場投入がスタートします(汗)
Carl Zeiss Jena側製品のレンズ銘板が「T刻印が後から付随するように変わった」のに反し、旧西ドイツ側Zeiss-Opton製品は「当初よりT刻印が付随し途中から省かれた」ため、逆の動きになりますが「T刻印が省かれただけで蒸着コーティング層は変更なくモノコーティングのまま」です。
ちなみに、戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaで「モノコーティングのZeissのT」が特許出願申請されたのは1939年なので、必然的にその近辺の製産品からのコーティング層の蒸着が始まります (シングルコーティング層の特許出願申請は1935年)。
一番最初に出荷されていた頃の❶辺りは、シルバーなフィルター枠だったことが分かります。
また旧東ドイツ側Carl Zeiss Jenaとは違い「光学系前群格納筒の縁が露出せず、レンズ銘板が直接フィルター枠にネジ込み」です。このレンズ銘板の肉厚と「カニ目溝の溝幅」が初期の頃の光学設計を明示する「判定基準の一つ」になり、光学系前群全てを封入している設計です。
(後のオーバーホール工程で解説しています)
・・これがZeiss-Opton製のモデルバリエーション上で、一つめのポイントです。
❷以降、フィルター枠はブラックにメッキ加工が変更されます。旧西ドイツ側Zeiss-Opton製の標準レンズは、全て時期的に50㎜表記刻印しかありません。❷の頃では、既に月産能力が25,000台/月レベルまで向上しているので、製造番号の桁が一桁繰り上がっています。
❸の1951年辺りから様子が変わってきます(汗) ❹の1952年製産品には「Carl Zeiss Jena製品と同じ3重構造の格納筒露出」個体が現れます(驚)
これが意味するのは「光学系前群格納の設計が変わった」ことを示し、下手すれば光学設計を変更する必要性があったのかも知れません (未扱いなので不明)。
このタイミング1952年に、レンズ銘板は「Carl Zeiss銘」に変わり「T刻印も省かれた」のが分かります (但し蒸着コーティング層は同じモノコーティングのまま変更なし)。
ところが不思議なことに、その後製造番号❺〜❼では、再び従来のZeiss-Opton時代の仕様たる「レンズ銘板は直接フィルター枠にネジ込み」に戻ります。しかも❺だけに「T刻印」がみとめられます (❻〜❼には刻印無し)。
一番右端おそらくは最終形態と思しき❽で、やはり「3重構造の格納筒の縁露出」に変わっています。
↑再び現ブツの構造解説をしていきます。今度は戦後に登場した旧西ドイツはZeiss-Opton製個体の状況です。赤色矢印で指し示している箇所に「筐体締付固定環」が存在するので、そもそも戦前から続くCarl Zeiss Jena側製品とは内部設計が全くの別モノです・・これが意味
するのは「筐体外装の転用が互いに不可能である」ことが100%確定します (内側を削って接着でもすれば可能ではある)(汗)
すると光学系後群はどうやって固定しているのかと言えば、ブルー色の矢印で指し示している箇所「丸窓が一つだけ備わる環/リング/輪っかが締付環」であり、この用意されている丸窓は「内側のネジ山に固着剤を注入する目的で備わる丸窓」であり、締付環が経年で緩まないように念を入れている設計です。
同様グリーン色のラインで囲った領域は真鍮製/ブラス製の筐体外装ローレット (滑り止め) であり、合わせて絞り環にもローレット (滑り止め) が備わり肉厚が確保できているので同じ真鍮製/ブラス製です (グリーン色の矢印)。その一方でオレンジ色の矢印で指し示している箇所の
フィルター枠はアルミ合金材削り出しです。
↑ご覧のように赤色矢印で指し示しているフィルター枠に対し、ダイレクトにグリーン色の矢印で指し示しているレンズ銘板がネジ込まれる設計です。そしてブルー色の矢印で指し示している箇所にある「カニ目溝」の仕様が細く狭い溝である点も、後に登場する❺〜❼の僅かに幅広なカニ目溝とは違います。
なお、上に挙げた16枚の写真の中で「レンズ銘板〜フィルター枠までが3重に見える」ものの、正しくは「フィルター枠のネジ山が2重めとして見えてしまい3重に見えている」写真の角度もあるので注意が必要です (実際はレンズ銘板とフィルター枠だけ)(笑)
以上より、なかなか年を追うごとに細かい仕様に変遷が認められ、内部構造設計の明確な違いをその根拠に据えられそうな気がしています (未だ扱いがなく確証がないまま)。
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←1932年に発売された「CONTAX I型」の取扱説明書28ページを見ると、左図のように光学系構成図が示されています。
本当に美しい図で、何回も眺めてしまいます(涙) オモシロイことに、この「Black & Nickel」モデルは光学系前群の格納手法が、後に登場した戦後のZeiss-Opton製品と同一なのが分かります(汗)
また戦前Carl Zeiss Jenaの時点から「光学系後群側は、丸ごとネジ山での締め付け固定」なのが一目瞭然です。
↑上の図は今回扱う『旧CONTAX 用 Sonnar 50mm/f1.5《oberkochen》(CRF)』の光学系を語る上で、どうしても避けて通れない「ゾナー型光学系誕生の変遷」及びその後を辿らなければイケマセン。
上の挙げた図は全て特許出願申請書からの抜粋です。一番左端から以下のようになります。
❶ Harold Dennis Taylor (ハロルド・デニス・テイラー) 発明3群3枚トリプレット型 (英国)
『GB189322607 (1893-11-25)』グレートブリテン (つまり英国) 内務省登録
当方は光学知識皆無ですが、近代はまるでこのたった3枚のガラス玉から全てが始まったかの如く、至るところでトリプレット型が語られています (実際の史実と、その発明の変遷は違いますが)(驚)
今回扱うモデルの「ゾナー型光学系」も、そのルーツを遡ればこの3枚玉トリプレット型に
突き当たります(汗)
❷ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) 発明トリプレット改良型 (独国)
『DE401274 (1922-01-14)』ドイツ特許省・・4群4枚エルノスター型構成の始祖
もうすぐにいつでも何処でも登場してしまいますが(笑)、うら若き戦前ドイツ青年のBertele様による、自身が21歳になってすぐの発明案件です。
(左写真をクリックするとamazonの「幾何光学の先駆者」書籍ページが表示されます)。
Ernemman Werke AG (エルネマン工房AG) 在籍時発明で、3群3枚トリプレット型構成の色収差改善の為に2枚貼り合わせレンズを介在させた案件です。この発明はリアルな現実に「Ernostar 10cm/f2」の製品化に至り、装着先「Ernemann Ermanox」リジーカメラ向けに1923年に用意されています。
巷では後に登場する1924年特許出願申請の「4群4枚エルノスター型
構成」を以て認知されてばかりいますが、真実は21歳時点で先に改良型を発明し、Ernemannより「Ernostar」と命名されているのが分かります。
左の図は当時のErnemann Werk AGの建屋に今も据え付けられている「Lichtgöttin (光の女神)」壁画を表すロゴです。
❸ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) 発明トリプレット改良型 (独国)
『DE401275 (1922-02-19)』ドイツ特許省・・4群4枚エルノスター型構成の始祖
こちらはさらに同時進行で開発していた「Ernostar 12.5cm/f1.8」の開発案件です。
同様「Ernemann Ermanox」リジーカメラ向けに供給されていましたが、この時点で既にノブ巻きでフィルム印画紙を巻き上げチャージする方式としてリジーカメラが定着していたのが分かります。
(後に戦時中、連続撮影可能な航空撮影用としても活用された)
❹ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) 発明エルノスター型 (独国)
『DE458499 (1924-07-22)』ドイツ特許省・・4群4枚エルノスター型構成
3枚玉トリプレットの改良について、その方向性が明確化したが為に、Bertele様がいよいよ
ここから本格的にゾナー型構成の発明に入り浸りになっていきます(笑)
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↑当方の妄想ですが、おそらく「Ernostar 12.5cm/f1.8」開発に到達し、Bertele様は、相当強力にエルノスター型構成の欠点克服へと没入していったのではないかと思います(汗)
❺ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) エルノスター改良型 (独国)
『US1708863 (1924-12-09)』米国特許庁・・ゾナー型構成への通過点
或る意味、当方の受け取り方では、この特許出願申請時の発明こそがゾナー型光学系の始祖にあたるのではないかとみているくらい、相当気合入りの発明です(汗)
「ERNOSTAR 8.5cm/f1.8」製品化に向けた発明であり、1928年に製品化して発売しています。左写真はその装着写真です。
❻ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) エルノスター改良型 (独国)
『DE436260 (1924-12-06)』ドイツ特許省・・ゾナー型構成への通過点
❼ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) エルノスター改良型 (独国)
『DE441594 (1925-03-12)』ドイツ特許省・・ゾナー型構成への通過点
これら❺〜❼の 発明案件は、もしかするとこのどちらかが「ERNOSTAR 8.5cm/f1.8」の発明案件なのかも知れませんし、或いは「ERNOSTAR 10.5cm/f1.8」かも知れません。同じタイミングで複数発明しているのでよく分かりません。
❽ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) 発明ゾナー型 (独国)
『US1998704 (1931-09-01)』米国特許庁・・ゾナー型の完成その1
1931年になっていよいよゾナー型光学系構成が完成の域に到達します(涙) 当方の受け
取りではおそらく「Sonnar 5cm/f2」の原型を成す発明案件ではないかとみています。
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↑ついにゾナー型光学系構成の幅を広げる段階にまで登りつめ、それでも飽くなき探究心の
情熱は消えることなく多くの特許出願申請書を出していきます(驚)
この当時の良き競合相手たる光学設計者や数学者は本当に数多く各国に顕在し、まるで黄金期の様相を呈していましたが(汗)、その中で例えばAlbrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ) 氏が地味に静かに「計算魔」の如く片っ端に改良型を生み出していく傍ら、こちらBertele様は専ら「発明家」の如く着眼点をあの手この手替えながら攻めていく積極派だったように印象を受けます(笑)
・・当然ながら人柄と性格が、その発明案件の推移にまで現れるのでオモシロイです(笑)
❾ Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) 発明ゾナー型 (独国)
『US1975678 (1932-07-08)』米国特許庁・・ゾナー型の完成その2
こちらが今回扱うモデルの原型たる発明ですが、それはあくまでも戦前ドイツでのCarl Zeiss Jenaに於ける「Black & Nickel」対象の話なので、またその後の発明案件を追跡する必要が
あります(汗)
一番最初のエルノスター型光学系を発明してから、僅か8年足らずで「開放f値:f1.5」を成し得てしまったのだから、本当に凄まじく早い開発スピードです(驚)
但し、実際にはこの時期に発明されていく光学硝子材精製技術の深度、或いはフリントガラスの成分/配合の変遷から生み出された、より屈折率の高い光学硝子レンズの登場も、決して蔑ろにはできません(汗)
❿ Ernemann Werk AG (エルネマン工房AG) 発明エルノスター型 (独国)
『GB186917 (1921-10-04)』英国内務省・・エルノスター型の前衛???
戦前ドイツのDresden市にある映像機材会社「SCHAFT (シャフト)」にて発明された、同じ
3枚玉トリプレット型構成からの改良光学系です。発明は発明なので(笑)、Bertele様よりも
ちょっとだけ早くに似たような光学系を発明している人が居たようです(汗)
但し絞りユニットが第2群背後に来ているので、必ずしも1924年に発明されたBertele様のエルノスター型構成に競合する話ではありませんが (そもそも映像機器向けの発明)。ちなみにドレスデンの会社なのに、どうして戦前英国 (しかも第一次世界大戦直後の) で特許出願申請しているのか謎です (ドイツでの登録が見つからない)(笑)
⓫ Zeiss Ikon AG (ツァイス・イコンAG) 発明ゾナー型 (独国)
『DE570983 (1933-02-21)』ドイツ特許省・・Bertele様発明の取り上げ???
どうしてなのか知りませんが/分かりませんが、Bertele様本人が既に特許出願申請している案件なのに、別にZeiss-Ikon AGが申請している事実に、ちょっと焦ります(笑)
⓬ Zeiss Ikon AG (ツァイス・イコンAG) 発明ゾナー型 (独国)
『US2254511 (1939-02-28)』米国特許庁・・いよいよ開放f値:f1.4ゾナー
戦前ギリギリのタイミングたる1939年時点で「f1.4ゾナー」を発明してしまうのですから、本当天才にしか見えませんね(驚)・・凄いです!
やっていることがあまりにもハッキリしすぎていて、やはり本人の性格なのだと思いますが「隙がない」のをヒシヒシとその光学設計に感じ取れます(怖)・・ここでのポイントは「後群側で対物側 (被写体側) 方向に向けた曲がり率の処=構成7枚目の4枚貼り合わせレンズの中で、直前にその前衛として構成5枚め〜6枚めで色消ししてしまっているところ」です(驚)・・あまりにもその着眼点が凄まじく、この構成図を見て、おぉ〜ッと鳥肌立ちました!(驚)
・・4枚貼り合わせの3群8枚ゾナー型って、一度でいいから覗いてみたいッス!(祈)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。そもそも「旧CONTAXシリーズ」向けオールドレンズには、距離環が存在しないので、ご覧のように内部構造は非常に簡素です(笑)
しかしその組立工程になると「絞り羽根の開閉での微調整が1つ目のポイント」である他に、当然ながら「旧CONTAXマウントでの正確な無限遠位置の設定微調整=光学系のピント精度の正確さ」と言う、当たり前と言われれば何一つ返すコトバがありませんが(汗)、このモデルの生命線でもあります。
逆に言うなら「それほど光学系前後群の格納には最新の注意が必須になるモデル」と指摘できるオールドレンズの一つです。いわゆる無限遠位置合わせの為に薄い環/リング/輪っかを挟んで微調整を施す「シム環調整」が一切適いません(汗)
さらには「絞り環との連携も製産時点を継承しない限り適切なトルクで絞り環操作が不可能」と言う、なかなかのツワモノ設計です(笑)
↑光学系前後群と絞りユニットを格納する鏡筒であり、アルミ合金材削り出しパーツです。赤色矢印で指し示している箇所、シルバーなアルミ合金材むきだし部分が光学系前群格納スペースの一部です。
またグリーン色の矢印で指し示している箇所し光学系後群格納筒であり、やはりアルミ合金材のむきだしです。
要はこれら格納筒の内壁部分に「反射防止黒色塗料」の類や、経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビなどが残っていたらアウトなのです!(泣)
・・そんくらい厳密に光路長を担保するくらいの気持ちで臨むモデルです!
上の写真は既に当方の手による、徹底的な『磨き研磨』が終わった状態での撮影です(笑)
↑上の写真は一つ前の鏡筒最深部に組み込まれる絞りユニットの構成パーツで「開閉環 (左)」と「位置決め環 (右)」です。この2つの環/リング/輪っかに絞り羽根が挟まれて、それぞれの穴に絞り羽根にプレッシングされている「キー」と言う金属棒が刺さり「開閉環が回ることで絞り羽根が角度を変えて開閉動作する」原理です。
その際、手前側に居る「開閉キー」が「開閉環 (左)」にネジ止めされつつ、一方が絞り環に
刺さるので「絞り環操作で絞り羽根が開閉する」ワケです(笑)
ところがその際にグリーン色の矢印で指し示しているように「位置決め環 (右) には外周に壁が備わり、その一部が開口部になっている」ので、その開口部の範囲内で「開閉キーが左右に移動する時、絞り羽根が角度を変える」原理なので、必然的にこの開口部の何処から何処までが使える領域なのかが重要になります(汗)
さらにこのモデルの設計は「絞り環との連結時にたったの4箇所しか連結しない」特殊な設計の為、それゆえここの微調整が大変重要になります。最後組み上がってから、適切な絞り羽根の開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) にセットされていない場合、再びここまでバラして戻る必要が生じます(汗)。
↑こんな感じで「位置決め環」のうえに「開閉環」が被さり「開閉キー」が締め付け固定される設計です。
↑上の写真は「開閉キー」を拡大撮影していますが、ご覧のとおり製産時点に赤色矢印で指し示している箇所の突出が削られているのが分かります。これが意味するのは「完全開放位置を基準にして絞りユニットの微調整を組み込んでいた製産工程だった」ことが、たったこれだけで決まってしまい、そのとおり (同じように) 組み上げないと「適切な絞り値の絞り羽根開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) を担保できない」ことを意味しています。
・・はたしてどれだけの整備者がこのパーツを見ただけで気づくのでしょうか???(笑)
それは、おそらく製産工程の中では専用の治具がちゃんと用意されていたと推察できますが、検査用の光学系を組み込みつつ「絞り羽根の開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) で、開放側だけを検査する治具」に個別に装着して、少しずつ赤色矢印で指し示している箇所の切削/研磨を、ピタリに合致させていったのだと考えられます(驚)
逆に言えば、だからこそとも言えますが、反対側の左側突出だけが削られていないワケで、
(その説明がつく) 全ての組み込む光学系の基準が「検査も含め開放側からスタートしていた」ことを如実に物語っています。
それはそうです(笑) そもそも特許出願申請書の記述を読んでいても、最小絞り値側から述べている発明案件など一つもありませんね(笑) 19世紀の頃から総ては開放f値からの発明に係り、その時に最も最先端の光学硝子レンズを使って計算した時の (組み上げた時の) 導き出された結果として、最小絞り値が決まっていったように考えています。
今見ているこのブログの最後にも、今回扱った個体で撮影した実写を各絞り値で載せていますが、最小絞り値側では「回折現象」の影響が現れ、確かにピント面の解像度不足、或いは
「焦点移動」などさえ起きています。それを見た時、はたして当時は「いったいどの絞り値の時に (どれだけ絞り羽根を閉じた時に) どのくらいの/何%の回析が生じるのか、どうやって
掴んでいたのか???」と下手に考え始めると、眠れなくなりそうな気持ちになります(笑)
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
◉ 絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている
↑今回の個体は戦後1954年製産なのが製造番号から判明しますが、実装している絞り羽根には「本格的なフッ素加工仕上げ処理」が施されており、ツルッツルのスベスベです!(驚)
赤色矢印で指し示している箇所は「位置決め環の外周にある外壁の一部を折り曲げて、開閉環を抑え込んでいる箇所」であり、そもそもこの位置決め環が黄銅材なので「外周の壁はワザと故意に薄い肉厚で切削されており非常に軟らかい」ものの、この手法は絶妙な設計概念を採用しており「開閉環を抑え込みすぎたら絞り環操作が重くなる」ので、逆に弱めに抑え込むと「オールドレンズを下向きにしただけで絞り羽根が脱落して外れる」或いは上手く外れずとも「絞り環操作した際に絞り羽根の一部が噛んでしまう」懸念すら高くなります。
つまり単に抑え込むだけですが、強く抑え込んでも弱くてもダメで、プラスして「抑え込む
長さ/幅にも注意が必要 (要は3箇所同じ長さではない)」と言う、大変神経質な微調整を強いられる設計概念です。
なお今回のこの個体もそうでしたが、調達した際当初バラす前の確認時点で絞り羽根は油染みしていました(汗) また市場流通品にも数多く油染みした個体が流れています。
しかしこのモデルに「距離環は存在しません」つまりヘリコイドグリースは内部に塗られて
いないものの、唯一塗布される可能性があるのは「絞り環だけ」です。
・・それなのに、どうして絞り羽根に油染みが起きるのでしょうか???
誰もこの点を真剣に考えていません(笑) 上の写真のこの絞りユニットで、特に赤色矢印で
指し示している箇所の「位置決め環と開閉環辺りにグリースを塗っている」のが過去メンテナンス時の所為です。
もっと言えば、過去メンテナンス時にはこの位置決め環を取り外して、絞りユニットを解体していないのが明白で(笑)、要はグリースを塗ってスムーズに絞り環操作できるよう「ごまかし
の整備」で仕上げられていたのが、今回のオーバーホールに際し完全解体した際に判明して
います。
それは位置決め環の酸化/腐食/サビの状況をチェックすれば分かりますし、もっと言うなら
「位置決め環を締め付け固定しているイモネジ痕」を調べれば一目瞭然なのです(笑)
そういう細かい要素を一つずつ確認していって、最終的に「製産時点」であろう固定位置で
キッチリ組み上げたので、結果的に最後まで仕上がり実写確認してみれば、このブログページ最後のスタジオ撮影の如く「鋭いピント面」に仕上がっている次第です(笑)
・・各工程を納得ずくで組み上げれば、自ずと『本来在るべき姿』に仕上がりますね(笑)
↑いよいよ冒頭でさんざん解説した「戦後旧西ドイツ側Zeiss-Optonモデルバリエーションの根拠」について説明する工程に差し掛かりました(汗)
ご覧のとおり、光学系は全ての群で「黄銅材によるモールド一体成型」のように見えますが、実は左端第1群前玉も締付環が存在するのに、残念ながら固着していて外れません (仕方ないのでそのまま表裏面から清掃実施したので問題はない)(汗)
また第2群もおそらく裏面側の焦げ茶色の環/リング/輪っかがアルミ合金材なので、本来外れると推測しますが、やはり固着が酷く外せません(汗) 後群側第3群は完璧なモールド一体成型です。
ちなみに赤色文字が光学系前群を意味し、ブルー色文字が光学系後群、グリーン色の矢印は
前玉の露出面側方向を表します。従って右端の光学系後群だけは向きが反転しているので、
グリーン色の矢印も反対側を向いています(笑)
↑ヒックリ返してそれぞれ裏面側を撮影しています。同様グリーン色の矢印の向きは前玉側の露出面側方向を意味します。
↑当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話なので(笑)、「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処のコメント欄に誹謗中傷され続けている始末で(泣)、仕方ないのでちゃんと『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです(笑)
1924年にBertele様が特許出願申請した記述から、当方の手によりトレースした構成図が右図になります。
3群7枚ゾナー型構成なのですが、各群のカタチは当然ながら今回
扱った個体が1954年製産個体なので、さすがに30年後となれば
同じ設計を採っているハズがありません(笑)
右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い、逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
ちゃんと上の写真のとおり、階段状になっている裏面側をデジタル
ノギスを使い計測したので、それを反映したトレース図になっているので、決してウソではありません(笑)
↑念のために光学系後群側の裏面側も階段状なのを「証拠写真」として乗せておきます(汗)
これら3つの群の格納筒はいずれも黄銅材ですが、当方の手により「磨き研磨」が終わり平滑性を取り戻しています。上の写真見ても僅かに残っていますが、一部には酸化/腐食/サビしたままの焦げ茶色が残りますが、当初は全体がその色合いに酸化/腐食/サビが進んでいました。
するとその色合いが問題なのではなく「酸化/腐食/サビの進行に拠る表層面の抵抗/負荷/摩擦増大が問題」なのです。確かに格納筒たる相手はアルミ合金材ですが、金属材が異なっても
互いの抵抗/負荷/摩擦が相互に悪影響を来し「適切な位置までキッチリ格納されない」のが
光路長確保を担保できない因果に繋がる為、ご覧のようにピッカピカに磨き上げている次第
です(笑)
↑ここからが冒頭解説のZeiss-Optonの設計を確定させる根拠の解説です。グリーン色の矢印で指し示している箇所が光学系第2群になり、赤色矢印が光学系第1群前玉です。
それぞれ指し示している箇所が「最大径の箇所」の為、この直径を基に格納筒の内部にストンと「落とし込み方式で格納される」必要があり、光学系前群側は「レンズ銘板によって締め
付け固定」し、その一方で後群側も「鏡筒締付環で締め付け固定」になり、詰まるところ光学系の前後群で「落とし込み格納手法」を採る設計なので、ご覧のようにピッカピカに磨き上げて「光路長を担保する」必要があるのです(汗)
その意味でこれら光学系格納筒や鏡筒内壁に「反射防止黒色塗料」を着色するなど以ての外であり、そもそも経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びによる抵抗/負荷/摩擦でさえ「適切で正確な光路長確保からすれば致命的」である点が、意外にも多くのメンテナンス時に今も昔も蔑ろにされ続けているのが実情だったりします(涙)
このような話の内容が意味するところは、光学系の「光路長=前玉〜後玉までの前後方向での直線距離」と捉えるので、その前後方向ばかりに気が向きますが、実は「横方向/直径方向」にもその誤差を生む要素が存在することが蔑ろにされていると言っているのです。それがこのような「落とし込み方式による格納」時には、経年の酸化による摩擦が生じて、確実に最後まで格納されないままに締付環で締め付け固定されてしまうことを指して述べています。
これはなにも今回の個体だけに限定した話ではなく、一般的な非常に多くのオールドレンズが「そもそも格納筒の中に光学硝子レンズを落とし込ん/入れ込んで格納する手法を採る (その上から締付環で締め付け固定する)」設計である以上、光路長の面から捉えるなら「前後方向のみならず、横方向/直径方向の水平度すらしっかり担保される必要がある」ことを、執拗に何度も何度もこのブログで述べ続けている次第です(汗)
・・それにこだわるからこそ、徹底的な『磨き研磨』に執着するのです!(汗)
↑実際に鏡筒に第2群を落とし込んだところです (右側)。この上から左横の第1群前玉が上に被さるだけ (置くだけ) の収納方法です。
ところがグリーン色のラインで互いに囲っているように、格納場所の残りのスペースと第1群前玉の外周の長さは違っていて倍以上あります。これがこのモデルでの、光路長を狂わせる
一つの要素になる為「反射防止黒色塗料」の塗布は当然ながら「経年劣化進行に伴う酸化/
腐食/サビの進行」も一切認められないのです(汗)
鏡筒内壁のアルミ合金材も、光学系各群の黄銅材も全て徹底的にピッカピカに磨き上げ、平滑性をキッチリ確保したので「当初の開放撮影時の甘いピント面から大幅に鋭く改善」した次第です (整備したので当たり前の話ですが)(笑)
↑上の写真は絞り環 (左) とそのベース環 (右) で、互いはブルー色の矢印で指し示している箇所でイモネジを使い締め付け固定されます。
一方グリーン色の矢印で指し示している箇所4箇所に用意されている四角い溝が「前述した絞りユニットからの開閉キーが入る箇所」なので、絞り環との連携で「適切な絞り羽根開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) を担保できるチャンスは4回だけ」と言う狭き門です(笑)
↑こんな感じで絞り環がベース環にセットされます。グリーン色の矢印で指し示している箇所に開閉キーが刺さる場所が備わります。
↑さらにこのベース環もご覧のように赤色矢印で指し示している箇所の「隙間」にちゃんと意味があり、この微調整をミスると絞り環操作が固くなったり重くなります。当然ながらその抵抗/負荷/摩擦の全てが「位置決め環の軟らかい外壁に一極集中する」結果、このモデルでの絞り環の操作性の悪さは意外と怖い話だったりします (ムリに絞り環操作していると最後は絞り羽根が脱落するか、噛んでしまう)(怖)
↑適切な位置で (間違いなく製産時点の位置で) 絞り環が組み込み完了しました。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。当初僅かに甘い印象だった開放時「f1.5」の写り具合も、とても鋭いピント面に改善しています(笑)
残念ながら光学系第2群の3枚貼り合わせレンズにバルサム切れが生じています。
↑光学系第2群のバルサム切れは外周部分から内側方向に向かって伸びているので、中心領域のみがクリアな印象のイメージです。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
ご覧のように拡大撮影しても光学系内第2群のバルサム切れ部分は「クモリが薄いため」写りません。しかしLED光照射したり光に翳したりして内部を覗き込めば「バルサム切れの領域とそれに付随する薄いクモリ」が視認できます。
一般撮影時は問題になりませんが、逆光撮影時や光の入射角度によってはフレアの発生率が
高くなる懸念が残りますから「フードの装着」をお薦めします。
↑光学系後群内はスカッとクリアで極薄いクモリすら皆無です。光学系第2群のバルサム切れに付随する薄いクモリが残るのに、普通に撮影できる理由が、この光学系後群がクリアな状態を維持していることにあります。その意味で先ず確認スべきは光学系後群で、次に前群側というのがオールドレンズ入手時の確認事項基本です。
上の写真で薄いクモリがあるように見えているのは撮影時の光加減です。実際の現物はスカッとクリアです。
この個体には光学系内に複数の「微細な気泡」が残っています。撮影していて大きめの玉ボケなどを写した時には、その内側にポツポツと、これら「微細な気泡」が影となって写り込み
ますが、そもそも焦点距離が標準レンズ域のオールドレンズなので、視認できるほどの大きさに円形ボケが表出しないと考えられますから、さほど気にするべき要素でもありませんね(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:なし、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前玉に微細な薄い円形状12mm1本あり)
・バルサム切れ:あり (貼り合わせレンズあり)
(光学系第2群外周から内側に向かい、薄いクモリ伴うバルサム切れ生じています)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(前述光学系第2群のバルサム切れのみ)
・光学系内に微細な「気泡」が数点残っています。当時光学硝子材精製時に一定時間規定の高温度帯を維持した「証」として捉えており、正常品扱いで出荷されていました。
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑11枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正十一角形を維持」しながら閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・当モデルはヘリコイドや距離環が備わっていません。
・絞り羽根の開閉幅(開口部面積/カタチ/入射光量)と光路長の適正化やピント面解像度の向上含め簡易検査具でキッチリ検査しつつ微調整を施し本来在るべき姿として組み上げ終わっています。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・付属の汎用金属製被せ式後キャップには、当方で不織布を一部貼り付けましたが、確実に嵌る仕様ではなく、あくまでも無いよりはマシ程度の代用品レベルです(クレーム対象としません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ marumi製MC-UVフィルター (新品)
❷ 本体『旧CONTAX 用 Sonnar 50mm/f1.5《oberkochen》(CRF)』
❸ 汎用金属製被せ式後キャップ (新品/代用品/嵌っているだけ)
❹ 汎用金属製ネジ込み式前キャップ (新古品)
❺ クリーニング用マイクロファイバークロス (新品)
今回のオーバーホール済ヤフオク!出品に際し、告知すべき瑕疵内容は以下になります。
❶ 光学系第2群貼り合わせレンズの外周から内側方向に向かいバルサム切れが
生じており、薄いクモリが付随する。
※この影響は一般撮影時はありませんが、逆光撮影時や光の入射角度によって
フレアの発生率が高くなる懸念が残ります。
・・以上、1点になります。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/ピタリの位置)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:50㎜、開放F値:f1.5、被写体までの距離:65m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:32m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、40m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の70m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑冒頭で説明した有名な「amedeoマウントアダプタ」を使い微調整しています。無限遠位置はピタリの位置で内部調整し組み上げたので、微調整が適切に仕上がっているレンジファインダーカメラ「旧CONTAXシリーズ」に装着して使えば、正確に厳密なピント合わせができます (但し当方ではフィルムカメラ装着での確認は一切行っていません)。
なお、上の写真のマウントアダプタは今回のオーバーホール済ヤフオク!出品に際し付属しません。旧CONYAXマウントでの、唯一無二の正確性を担保した「amedeoマウントアダプタ」に装着して微調整を施し仕上げたことを示す「証拠写真」として掲示しています。
↑ヤフオク!の出品ページ記載のとおり、当方の手元に残る上の写真のレンジファインダーカメラ「CONTAX IIIa」をご落札者様のご希望があれば同梱してお届けします。必ず一番最初の取引メッセージで、その旨ご申告下さいませ (ご申告なき場合同梱しません)。
レンジファインダーカメラの状態は、シャッターボタンが押し込めないことが時々起き、合わせてシャッタースピードも不安定だったりします。ファインダーはクモリや汚れがあります。
また距離計連動マウントの操作性は少々重い印象です。その他、確認していません。
↑当レンズによる最短撮影距離86cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので「回折現象」などの影響が現れています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。