◆ RICOH (リコー) AUTO RIKENON 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、国産は
RICOH製標準レンズ・・・・、
『AUTO RIKENON 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のRICOH製標準レンズ「55mm/f1.4」の括りで捉えると16本目にあたり、前回の扱いが2019年なので本当に久しぶりです。
特に敬遠しているワケではありませんが、そもそも市場流通している数多くの富岡光学製OEMモデル含め、そろそろ光学系の耐性に限界が訪れているようで、なかなか手放しで調達できる個体に巡り会えません(泣)・・コーティング層経年劣化進行に伴うクモリの発生はもちろん
バルサム切れやカビの繁殖など、多くの個体で必ず生じているのがリアルな現実です(泣)
そんな中で今回オーバーホール済みでヤフオク!出品する個体は大変状態の良い光学系を維持できており、相当な気合を入れてゲットした次第です(笑)・・当然ながらオーバーホール工程も完全解体した上でキッチリ進めたので、相当ハイレベルな操作性として仕上げられています(笑)
実際、ほぼ毎週必ず富岡光学製OEMモデル含め市場流通品をチェックしている中、ようやく調達できたほどなので、如何に光学系の状態に問題を抱えている個体が多く流通しているのかご理解頂けるのではないでしょうか(汗)
独特なボケ味を堪能できる、焦点距離:55㎜/f1.4の富岡光学製OEMモデルをお探しの方は、ぜひこの機会にご検討下さいませ。
サクッと富岡光学の写りを楽しめる、開放f値:f1.7モデルがある一方、こちらの「f1.4」では本格的な描写性を満喫でき、その一方非常に高額な「f1.2」モデルほどの難しさがなく、日常的な撮影に十分富岡光学の味わいを試せる分、とてもお薦めの逸品です。
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1964年に当時のRICOHから発売された一眼 (レフ) フィルムカメラ「SINGLEX TLS」向けセットレンズとして用意された標準レンズが、
今回オーバーホール済でヤフオク!出品するモデルです。
マウント規格「M42マウント (プラクチカ・スクリューマウント)」の
オールドレンズの中で、当方が『富岡光学製』との結論づけをする際の根拠は以下の3点があり、いずれか1点或いは複数合致した場合に
否応なく判定を下しています。
❶ M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)。
❷ 内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)。
❸ 内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)。
上記3点は当方が今まで13年間で3,000本以上のオールドレンズを扱ってきた中で、或いは以前取材した金属加工会社の社長さんとの会話の中で、富岡光学以外の光学メーカーで採っていない特異な設計である点を以て「判定の基準」と結論づけして捉えています。
それはそもそもオールドレンズを設計する際、他社設計をそっくりそのまま真似て (模倣して) 設計図面を起こす必要性がないからです。以前取材した金属加工会社の社長さんからのご教授でも、たいていの光学メーカーは自社工場の機械設備などを勘案し、その組立工程まで含めた最も自社に都合の良い設計で図面を起こすハズだと考えられるからです (ワザワザ費用と時間を掛けてまで同じ設計で構成パーツを用意する必要性がない)。
ましてや光学ガラスの精製まで含めて製品化する一連の流れまで汲みするなら、費用対効果よりも最も重要なのは需給バランスの正確性をどのように担保できるのかが、今も昔も開発/製産する側の大前提とのお話でした (そこに営業サイドとの折衝が背中合わせになる)。
これら取材時のお話から、前述3点の要素こそが他社光学メーカーで採用すべき内容に合致しない事から『富岡光学製』たる最大の根拠に成らざるを得ないと判断するしかありません。
❶ 特異なマウント面の設計
先ずは『富岡光学製』と明言できる根拠となるモデルが必要です。
それはレンズ銘板に「TOMIOKA」銘がモデル発売会社名とは別に
刻印されている、いわゆる「ダブルネーム」モデルです。
右写真は過去にオーバーホールしたチノン製標準レンズ「AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)」からの転載写真です。
当方が『富岡光学製』と述べると「何でもかんでも全て富岡光学製にしてしまう」と批判の嵐ですが(笑)、そこまで言うなら左写真で示した『TOMIOKA KOGAKU (富岡光学) AUTO TOMINON 55mm/f1.2《初期型》(M42)』の当方ブログ掲載ページでオーバーホール工程を
確認すれば、同じ内容である点を否応なく理解せざるを得ませんからご参照下さいませ (構成パーツと工程の近似性を述べています)(笑)
「M42マウント規格 (内径:42mm x ピッチ:1mm)」の場合に、
マウント面に薄枠の「スイッチ環/飾り環/絞り環用固定環 (など呼称は様々)」を有し、その環/リング/輪っかをイモネジ3本を使い、横方向から均等配置で締め付け固定している点を指して『富岡光学製』との判定が可能な外観上の特異点と捉えています。
(外見から富岡光学製を判定できる要素はこの❶だけしかない)
◉ イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種で、
ネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。
大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。
これは、例えば他社光学メーカーでも (海外モデルでも) マウント面に薄枠環が存在している事がありますが、その薄枠環固定をイモネジ (3本) による締め付けでワザワザ設計している会社が存在しません。たいていは薄枠環自体がネジ込み式か、或いはマウント面方向から具体的な皿頭ネジなどを使って締め付け固定していることが多いです (横方向からイモネジで締め付け固定していない)。
ではどうして「横方向からイモネジ3本で締め付け固定する設計が必要なのか?」なのですが
実はこのような仕様で設計する必要性が顕在し「このスイッチ環/飾り環/絞り環用固定環の
締め付け固定位置の微調整により、A/M切替スイッチと絞り環のクリック感の適合性を合致
させている」からです。
つまりイモネジ3本による締め付け固定をミスると「A/M切替スイッチのクリック感がズレて違和感に至る」或いは「絞り環刻印絞り値とクリック感とが一致せずに、隣接する絞り値の
どちらでクリックしているのかが不明確になる」現象に至ります。
・・だからイモネジ3本を使い横方向から締め付け固定して微調整を執る工程が必須になる。
単に外観上の近似点だけを指して『富岡光学製』と判定しているワケではなく (そんな単純な話ではない)(笑)、あくまでも設計上の意図/工程手順として微調整が必要だから「イモネジ固定なのだ」と納得しているのです (逆に言えばイモネジを使った理由が理解できる事になる)。
ではその一方で、他社光学メーカーのオールドレンズはどのような設計なのかと言えば「こんな面倒な微調整を執らず、サクッとクリック位置を確定してしまったり、マウント面から皿頭ネジで締め付け固定させて終わっている」ワケで・・要は『富岡光学の意味不明な難しい工程を経る設計』がおかしいのだと、このブログでも何回も述べています(笑)
するとここに次の特異点たる『富岡光学製根拠の❷』に繋がる要素が隠れています(笑)
❷ 設計上の絞り環クリック方式の特異点
これは外観からは一切判定できる要素ではありません (バラさなければ分からない)。同様前述モデルのオーバーホール工程から転載した写真 (右) ですが、絞り環を回した時にカチカチとクリック感を伴う設計です。
この時、そのクリック感を実現するには「鋼球ボール」が必要になりますが、その鋼球ボールを組み込んでいる箇所が問題になります。
絞り環には「絞り値キー」と言う「溝」が用意され、そこに鋼球ボールがカチカチと填ることでクリック感を実現しています。
その「鋼球ボール」は絞り環の次に上から被さる❶で解説した「スイッチ環/飾り環/絞り環用固定環」の内部にスプリングと共に組み込まれます。従って❶の「スイッチ環/飾り環/絞り環用固定環」の固定位置をミスるとチグハグに至り、違和感どころか下手すれば「設定絞り値が絞り環で隣接する絞り値のどちらなのかが不明瞭に至る」から大騒ぎなのだと言っています。
だから「イモネジ (3本)」による締め付け固定位置微調整機能が設計上必要になります(汗)
従ってこのような面倒な微調整を伴う設計にしたのは『富岡光学製』オールドレンズだけだと判定しているワケで、前述のとおり『富岡光学の意味不明な難しい工程を経る設計』がおかしいのです(笑)
ちなみにこれら❶と❷の結果から導き出されるオーバーホール上の工程は、さらにこれら絞り環の設定絞り値との整合性を確実にするべく「指標値環の基準●マーカー位置との合致も担保される必要が起きる」ので、自動的に指標値環まで「イモネジ3本による締め付け固定で微調整機能を有する」設計と言う意味不明な結末なのです(笑)
❸ 設計上の絞り羽根開閉幅微調整機能の特異点
こちらも外観からは一切判定できません (バラす必要あり)。鏡筒には「絞り羽根開閉幅微調整キー」が用意されており (左写真でここと示している箇所のネジ)、鏡筒の位置調整で絞り羽根が閉じる際の開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量) を微調整する概念/設計です。
これは例えば他社光学メーカーなら組み立て工程の途中で鏡筒に光学系前後群をセットし終わった時点で、専用治具で検査して絞り羽根の開閉幅 (開口部の大きさ/カタチ/入射光量) をチェックすれば良いだけで、たいていは「絞りユニットそのものの位置調整だけで微調整」を済ませています。何故なら、絞り羽根を包括する絞りユニットは光学系の前後でサンドイッチ状態だからです。
ところが富岡光学製オールドレンズの場合は、光学系前後群をセットし終わってから、さらにヘリコイド (オス側) の内側にストンと落とし込んで鏡筒を固定しない限り検査できません。
何故なら「ここ」で示したネジとキー (円板) は「円板の中心に締付ネジが入っていない」設計なので、この円板を回した時に「鏡筒全体が大きく左右にブレる」結果、絞り羽根開閉度合いが変化する (閉じる方向に変化したり開く方向に変わったりする) と言う「鏡筒自体の固定位置微調整により絞り羽根の開閉幅が変化する設計概念」なので、全て組み込んでからでなければ検査する意味がないのです(笑)
これも❷の絞り環のクリック感を実現している方式/設計同様、当時の富岡光学製オールドレンズだけが採っていた設計概念と指摘できます。
詰まる処、これら❶~❸の必ず微調整を伴う設計概念は (今となっては製産時点の治具が存在しないので) 全ての組立工程が終わらない限り何一つ検査できず、逆に指摘するなら「富岡光学製オールドレンズは必ず組み上げては検査して適合しているか否かチェックする必要が起き、面倒極まりない厄介なモデルばかり」と言う事ができ・・まさに整備者泣かせのオールドレンズなのです(笑)
以上、特に様々なオールドレンズと異なる設計概念部分で『富岡光学製』と判定を下している根拠を解説しましたが、これらの話は全て当方だけが案内している内容ばかりであり、信用/信頼性が非常に低いことをこのブログをご覧頂いている皆様はご承知置き下さいませ。
・・何しろ当方は『転売屋/転売ヤー』なので、プロの整備者ではありませんから(笑)
↑上の写真は今回扱ったこのモデルの「モデルバリエーション」として明示していますが、実はマウント面の「スイッチ環/飾り環/絞り環用固定環」だけの相違しか無く「シルバーの環 (左) なのかブラック (右) なのかの違いしか顕在しない」と言うのが実際です (前述根拠の❶)(笑)
念の為に現在市場流通していて確認できる写真から調査した結果が左の一覧です (サンプル数50本)。
製造番号を基にその「シルバーの環 (左) なのかブラック (右) なのかの違い」を調査しています。
製造番号は「2xxxx ~」から流通していますが必ずしも先頭番号がシリアル値を執っておらず、所々で飛んでいるのが分かります。
さらに途中の製造番号からは「シルバーとブラックが混在」しているものの、製造番号「30xxxx ~」以降はブラックだけに限定しているのが判明しました。
つまり事実上シルバー環のモデルは、製造番号22xxxx ~ までで製産が終焉している事に
なります。
↑ところが今回調査していて、初めて目にするモデルを発見してしまいました!(驚) 上の左側の写真2枚が海外オークションebayで流通している出品個体の掲載写真です。
この左側写真2枚から推定して近似した筐体外装の意匠を考えると、右側2枚の写真のような「旧西ドイツ製PORST製モデル」或いは「Revue製モデル」として富岡光学がOEM生産していたタイプが顕在します (前述根拠の❶だけが合致)。
ところがそれらOEMモデルとして旧西ドイツの写真機材を取り扱う商社向けに輸出していたタイプとは異なり「レンズ銘板の幅が狭く、しかもAUTO RIKENON銘を刻印している」のがオドロキなのです!(驚)
ブツを手にしていないので何とも確定できませんが(泣)、少なくともこの左写真のレンズ銘板は現在市場流通している (今回オーバーホール済でヤフオク!出品する) 個体のレンズ銘板よりも細めなのが分かり、明らかに「レンズ銘板の挿げ替えではない」のが間違いなく改めて再設計した「AUTO RIKENON 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)」なのが確実です!(驚)
・・こんなオートリケノンも居るのですねぇ~!(驚)
すると内部構造としてこれら「PORST製/Revue製」と同一なので、特に前述根拠の❷と❸が消失した設計を採っているのが分かっていますから、だとすれば「まさに後期型たる所以」とも指摘でき、初めて「前期型/後期型が顕在していたAUTO RIKENONシリーズ」なのだと断定できます (ブツを手にせずとも判定を下せる)!(驚)
・・AUTO RIKENONシリーズもなかなか奥が深くて捨てたものではありませんね!(笑)
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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。
〇 一段目
今回久しぶりに調達したので、再びネット上の実写を確認してみました。ネット上では特に銘玉との評価ではなさそうですし(笑)、富岡光学製モデルだから何なのかと言われれば、返答に躊躇しますが(笑)、何はともあれ被写体の背景に映るシャボン玉ボケの表出を確認しています。光学設計が5群7枚の拡張ダブルガウス型構成であることから、真円を維持したシャボン玉ボケの表出が難しい点と、口径食や収差の影響から歪んだカタチで表出するものの、シッカリと繊細感漂う明確なシャボン玉ボケを表出できるのがさすがだと思います。
左端からシャボン玉ボケ~リングボケ~円形ボケへと溶けて破綻していくさまをピックアップしています。
〇 二段目
さらにそれら円形ボケは収差の影響を受け始めてワサワサと乱れた背景ボケへと変質していきます。ここでも円形ボケのエッジ表現が明確である事から二線ボケが誇張されるかと思いきや、エッジがすぐにアウトフォーカスへと溶けてしまうので、意外にも煩めの印象は減じられていますし、グルグルボケの影響も限定的ではないでしょうか。
〇 三段目
やがてそれら収差ボケも溶けていくと収差の影響は限りなく限定的になって、背景ボケがトロットロに変化していきます。被写体との背景に工夫してまるで絵画的なボケ方を誇張的に表現できそうな気もしてきます(笑)
〇 四段目
おそらくこの段のピックアップ写真では、このモデルの仕様上の最短撮影距離:50cmを超えてエクステンションなどを介在させて撮影する事でより近接撮影している実写ではないかとみています・・まるでマクロレンズの如くトロットロに溶けいく様を感じ取れますが、総じて富岡光学製モデルに多く感じられるエッジ表現の細さが影響して、被写界深度が相当狭い/浅い印象です。
〇 五段目
この段では被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さをチェックしています。そもそも富岡光学製モデルの描写性能として、巷で褒められるほどの鋭さを維持していない写りからして(笑)、特に緊迫感漂うリアルな臨場感を留めるのが難しげな印象が強いですが、その一方で中間調の耐性が高いので、キレイなグラデーション表現が得意な分、鋭さ感が少なくてもそれなりに被写体の質感表現能力の高さを示してくれます(笑)
その意味で特にガラス質や金属質、木質感などの表現性と相まり、暗部の粘りが功を奏して誇張的で違和感に至らない被写体の質感表現能力の高さを表すのではないでしょうか。
〇 六段目
ここでは特にポートレートレンズとしての能力を確認しています。焦点距離が標準レンズ域であるためなかなか難しく、合わせてトロットロに溶けていく影響から「美肌効果」ではありませんが(笑)、意外にも人肌感を残すのは難しい要求かも知れません・・但しそれを逆手にメリットとして捉えてしまえば、写真スキルを生かした実写を期待できる要素にもなり得ると考えています(笑)
〇 七段目
この段の実写を観ていて「あぁ~富岡光学の写りだなぁ~」と改めて印象を強く抱きましたが(笑)、何しろ中間調のグラデーションが大変滑らかに出て、然しピント面の鋭さ感を維持できない特徴から、特にこのような滑らかで広大な印象を留めるシ~ンには最も適したオールドレンズのように受け止められます(驚)・・この微妙なグラデーション表現の旨さ感が富岡光学製らしさとでも言えば伝わるでしょうか (下手にピント位置が誇張され過ぎない写りが、違和感なく安心して観られると言う意味合い)(笑)
〇 八段目
光源や逆光耐性について実写をピックアップしています。特に特定の人達/勢力が騒ぐ光輪やゴースト表現に特徴感を持たない、或る意味つまらない写り具合ですが(笑)、そのような写りを指してオールドレンズと騒ぐのも、どうなのかと思ってしまいますね(笑)・・まぁ~個人の嗜好の問題なのですが(笑) 詰まる処、オールドレンズに鋭さ感や緻密感、或いは画全体的な整合性を突き詰めてしまうと、最終的には今ドキのデジタルなレンズにはどうあがいても敵わない話にしか至らないので(笑)、結果的に何十本オールドレンズを手元に並べても、ただ単にデカくて取り回しにくいだけの話で、それこそサクッと今ドキのデジタルなレンズを手にしたほうが追求レベルは計り知れないものと考えます(笑)・・が然し、その一方で、ではそれらデジタルなレンズを並べた時に、いったいどのくらい明確に各モデルの違いを指摘できるのかと言われれば、どれもこれも似たような話で、リアルな臨場感の表現性を求めているだけのようなキライにも感じたりします(笑)
その意味で、オールドレンズの曖昧さや収差感、歪感、最終的なアドバンテージの欠落感などが、むしろ個性的に映り楽しめるのではないかとデジタルなレンズとの対比で最近強く感じるところです(笑)
光学系は5群7枚の拡張ダブルガウス型構成ですが、今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図が右の構成図になります。
取扱説明書やカタログに掲載されている構成図を鵜呑みにすると、
光学系後群の特に後玉が「平坦なように見える」ものの、実際の現ブツは決して平坦ではなく「非常に緩やかな両凸レンズ」だったりするので、右構成図のようなトレースに至ります。
また光学系第2群の貼り合わせレンズが意外にも厚みが薄く感じるのに比して、後群側で収束させている第3群貼り合わせレンズは相当なレベルで厚みを持ち、このモデルがまさにモノ
コーティングのオールドレンズで在ることを象徴しているが如く、それを示す構成図のよう
にも受け取れそうです(笑)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『AUTO RIKENON 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。2019年に前回扱った時以来ですから、まさに
5年ぶりになり久しぶりの扱いです・・どうしてそれほどまで時間が経ってしまったのかと
言えば「なかなか光学系の状態を担保できる個体の調達機会に恵まれなかったから」との
指摘しか残らず、本当に富岡光学製OEMモデルの扱いは、おいそれと入手できない難しさが
憑き纏います(汗)
後で出てきますが、一にも二にも調達時に必ずチェックしているのは「後玉の状況」しかなく
どんなに光学系内の透明度が高い状態を維持していても「後玉の表層面に薄いクモリが残っているだけでアウト!」なのが、これらこの当時の富岡光学製OEMモデルの宿命です(怖)
でははたしてそのような個体を手に入れてしまうとどのような写りに写真が撮れるのかと言えば「少しでも光/光源が射し込むと薄っすらと霧がかかっているような1枚レースカーテン越しのような写りに堕ちてしまうから」と指摘でき、フードを装着しようが何をしようがどうにもなりません(泣)
その意味で「キッチリとコントラストを確保したまっさらの純正な写り」を期待するなら、
後玉の状況確認は死にものぐるいで臨むしかありません(怖)
・・なので、後玉のチェックが調達時の必須項目なのです(泣)
この点を指摘すればするほど、実は当方とご同業者たる『転売屋/転売ヤー』が出品する個体の掲載写真は「限りなく後玉を直視した写真を載せなくなる (つまり角度を変えてワザと故意に見えない写真ばかり載せる)」ので大変なのです(笑)
撮影する角度を変えて出品ページに掲載写真を載せているならまだマシですが(笑)、最悪のパターンは「真っ白な背景のバックに翳して撮影されたら、光学系内どころか後玉の状況も全く真っ白で分からない」のに、掲載写真をよく見て入札して下さいと言っている始末で・・どうしようもないクソな『転売屋/転売ヤー』たる出品者ばかりです(泣)
ちなみに上の写真では、敢えてコーティング層にパープルの光彩が射し込むように角度を調整して撮影していますが(笑)、このモデルはモノコーティングなので、蒸着しているコーティング層が放つ光彩は「アンバーパープル」です(笑)・・よく「アンバーなコーティング層の輝き」とネット上で表記されてしまいますが(笑)、単層膜蒸着コーティング層たるシングルコーティングではないので、ちゃんと複層膜のモノコーティングである点を鑑みてほしいと強く申し上げますです、ハイ・・「アンバーパープル」です!(笑)
コーティング層が放つ光彩にパープルが含まれるか否かで「レッドのカラー成分の透過率が変化する」ために、結果的に中間帯域のグリーン成分の表現性が増減してしまうので、撮影写真のコントラスト確保に課題を残す因果に至りますし、合わせてこの当時の富岡光学製OEM
モデルとなれば、なおさらにピント面の鋭さ感を稼ぐ必要があり、グリーン色の光彩よりも「まずはパープル」なのです (但しこの後の時代には確かに一時期ですが、グリーン色の光彩を放つマルチコーティング化が流行った時代があります)(笑)
↑上の写真は当初バラした直後に、溶剤で洗浄する前の段階で撮影した今回扱った個体の解体写真です・・左からヘリコイドオス側にマウント部内部 (中央) そしてヘリコイドメス側を並べています。
すると赤色矢印で指し示している箇所に「執拗にビッチリと白色系グリースが塗られまくっている」のを示しています(笑)
↑こちらはマウント部をひっくり返して絞り環などがセットされる箇所の側面を撮影していますが、赤色矢印で指し示しているとおり過去メンテナンス時に塗布した「白色系グリース」が既に経年劣化進行に伴い「濃いグレー状」に変質していると共に、実はグリーン色の矢印で指し示している箇所には「塗布した白色系グリースがそのまま残っている」のが分かりますし、一部にはブルー色の矢印で指し示したように、黄銅材パーツの経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビにより生じた「緑青」まで残っている始末です(泣)
↑こちらは距離環の内側をメインに撮っていますが、赤色矢印で指し示しているように過去メンテナンス時に多量に塗布した「白色系グリース」が、経年劣化進行に伴い「濃いグレー状」に変質しているのが分かります・・さらに指摘するなら、ヘリコイドメス側の金属材は「黄銅材の黄金色」なのに、経年劣化進行に伴い変質したグリースは「濃いグレー状に至り、削れているのはアルミ合金材のほうなのが明白」と言う状況です(涙)
逆に言うなら「黄銅材が摩耗したのなら白色系グリースは茶褐色に変質しているハズ」とも
指摘できますね(笑)・・そうではなくてアルミ合金材ばかり削れて摩耗しているのです(涙)
その『証拠』が前述した「白色系グリースが残っていた箇所」なのであって、確かに塗布した当時は「白色系グリースだからホワイト色だった」のが間違いありません (グレー色のグリースではない)(笑)
↑最後はヘリコイドオス側の写真です。同様赤色矢印で「白色系グリース」の変質を示していますが、その一方でグリーン色の矢印で指し示している箇所には「直進キーガイド」と言う溝が備わりますが、そこに塗布した「白色系グリース」が全く用を成していなかったために「パーツの黄銅材が削れて褐色系にカピカピに固まってしまった」のが残っています(汗)
さらにブルー色の矢印で指し示している箇所は光学系後群格納筒の黄銅材ですが、ご覧のように経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが進んで「黒っぽく変質している中にポツポツと白色のサビが出ている」のが分かります(涙)・・メッキ加工が施されていない黄銅材ですから、製産時点の金属材としての輝きは「黄金色」のハズですし、実際今回のオーバーホール工程で完全解体し「磨き研磨」を施すと、ちゃんと「黄金色の光彩を放つ」状況に戻っています (前出の完全解体全景写真にちゃんと写っている/メッキ加工が施されている構成パーツは、ちゃんと
そのメッキ加工塗色に戻って磨き研磨が終わっている)(笑)
こんな感じで、1964年当時に富岡光学で生産されていた頃に塗布されていたであろうハズの「黄褐色系グリース」とは異なる「白色系グリース」を塗られてしまうので(涙)、様々な部位でその弊害が如実に現れているのを解説しました・・いったいこの何処に「技術革新した白色系グリースの素晴らしさ」との効果が示されているのでしょうか???(笑)
確かに「シリコーン系白色系グリース」の革新的要素は間違いないのでしょうが、問題なのは「黄褐色系グリースを塗布する前提で設計している製品に使うのが拙い!」と何度も執拗にこのブログで述べています・・白色系グリースを貶しているのではなく「白色系グリースを使う整備者が悪い」のだと指摘を続けているのです(笑)
・・その点を履き違えて批判するのはまるで低能さを示しているような話ですョ~ぉ(笑)
ちなみに以前「アルミ合金材はそう簡単に摩耗しない。車のホィールに使っている事実を全く理解していない!」と凡そ誹謗中傷的なメールを送信してきたバカが居ましたが(笑)、とんでもない・・車の車重を保持し尽くしているアルミホィールと同質扱いするのは、それこそ「全く理解していない」と指摘できる話です(笑) 同じアルミ合金材を基本にしても、その成分と配合に強度制御面の管理は全く別世界で「アルミ合金材の摩耗管理は別モノ」なのがアルミホィールの話です(笑) その一方でオールドレンズに使っているアルミ合金材の強度管理は「人の手のチカラだけと言う極低トルクのみで操作する使用環境下」に於ける「人の五感に訴えた操作性の良さ」を追求するが為に、むしろ応力反応を積極的に採り入れたアルミ合金材の成分配合と強度管理をしている点に於いて、それこそ車のアルミホィールとは全くの別世界です(笑)
・・アルミ合金材と言う金属素材でアルミニウムをバカにしたら痛い目を見るのは自分!(笑)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。光学系内の格納筒や締付環に過去メンテナンス時に執拗に厚塗りされていた「反射防止黒色塗料」も完全除去したので、ご覧のように本来の光学系内の状況に戻っています(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側もスカッとクリアで極薄いクモリが皆無です・・ちゃんと命がけで後玉の状況をチェックして入手しています(笑)・・のハズだったのですが、如何せんそれでも後玉表層面に経年劣化進行に伴う極微細な点キズが幾つか残っています (これがリアルな現実です)(泣)
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点以上、目立つ点キズ:10点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:16点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大6mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系後群貼り合わせレンズ第3群裏面側(絞りユニット側方向)に1/4程度のコーティング層劣化が極僅かにあります(微細な点状汚れに見える)。事前告知しているのでクレーム対象としません。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり、A/M切替スイッチや絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根か閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
なお、当方では「自らが納得できる状況までオーバーホール工程を進めて組み上げ仕上げている」完成度です。ヤフオク!などで出品している出品者のように (出品ページ掲載文のように)「商品の外観・程度の感じ方は主観による個人差があり、神経質な方や中古品にご理解ない方・新品同様品を期待されるコレクターの方などのご入札はお控え下さいませ」との謳い文句を掲げません(笑)
全てのチェック内容は事細かく100%出品ページ掲載文に明記しており
「その内容に齟齬がある場合は無条件で返品/キャンセル/返金が可能」ですし
その際の返金額には「当初の送料と振込手数料を含む」為、ご落札者様が一切
損をされぬよう配慮しています。「きれいな中古品でも、あくまでもUSEDなので決して「無傷」ではありません。完璧を求める方、特に神経質な方のご入札はお控え下さい」などの逃げ
口上で出品したりしません(笑)「出品ページ記載内容との齟齬を以て返品/キャンセル/返金が可能」です。
実際、ヤフオク!などのオールドレンズ出品掲載ページを観ていると、例えば出品個体で撮影した実写を複数枚載せて、それでちゃんと写っているのに細かいことを気にする人は落札するな・・と高圧な態度の当方とご同業者『転売屋/転売ヤー』が居ますが(笑)、普通に写真撮影できるのは出品している製品がオールドレンズだからであって、その個体の瑕疵内容の多少や
良し悪しなど個別の要素は「人の五感に訴える内容=人情」なのであって、それをまるッきし混同している非情な出品者です(笑)・・それは誰だって同じ金額を出すなら、少しでも状態が
良い個体を手に入れたいと考えるのが当たり前であり、それを理解できていない時点でその
出品者『転売屋/転売ヤー』の行いは「単に撮影写真を挙げて逃げ口上に使っている」だけの
卑怯なヤツにしか見えませんねぇ~(笑)・・何とも情けない人間だ(笑)
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
❷ 本体『AUTO RIKENON 55mm/f1.4《富岡光学製》(M42)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
❹ 純正金属製被せ式前キャップ (中古品)
❹の被せ式前キャップは中古品ですが、多少凸凹しています (叩き込んで修復してはいますが
整っていません)(笑)
↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し
底面を「平面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。
赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明して
いるので、気になる方はご参照下さいませ。
実際にこの時絞り羽根が最小絞り値「f16」までちゃんと閉じきっているのかを左写真のように確認しています(笑)
K&F CONCEPT製マウントアダプタの「ピン押し底面は平面側を上向きにセット」している為に「ピン押し底面の深さが縮まっている」ので、このようにちゃんと適切な閉じ幅で絞り羽根が正常に駆動して
います。
この時のA/M切替スイッチ設定は「Aの自動設定」ですが正常なのが分かりますし、当然ながら「Mの手動設定」に切り替えても全く同じように絞り羽根が開閉動作します。
↑同じように今度は日本製Rayqual製品に装着したところを撮りました。同様マウントアダプタのオールドレンズ側マウント面に「1㍉強」の突出があるので (赤色矢印) ご覧のような隙間が空きますが、ちゃんと最後までネジ込めています。
ところがA/M切替スイッチを「Aの自動設定」で絞り環操作すると、左写真のように「f8で閉じるのをやめてしまう」状況です。これは「ピン押し底面の深さが深すぎる (6㎜だから)」のが原因なので、A/M切替スイッチ設定を「Mの手動設定」にセットすれば正しく絞り羽根の開閉動作が適います(笑)
このような内容が「マウントアダプタとの相性問題」です(泣)
これは例えば仮に前出のK&F CONCEPT製マウントアダプタに装着した時「ピン押し底面を
凹面側にセットする」と同じように「深さが6㎜に変わる」為、絞り羽根は「f8で閉じるのをやめる」現象に至ります。要はオールドレンズ側の整備が悪いから起きている現象ではない事を「その証として解説している」のであって、決して日本製マウントアダプタを貶している話ではありませんね(笑)
・・まぁ~、ネット上では自分の整備が拙いので逃げていると批判されていますが(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離50cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
ちなみに開放で撮影した時、今回ヤフオク!に出品する個体のように「後玉表面がキレイ」で薄いクモリが皆無なのに、それでも上の実写のとおり被写体 (手前側ヘッドライトの電球部分にピント合焦させている) の背景は「コントラストが低めの印象」に映るのが、この当時の
富岡光学製OEMモデルの描写です(汗)
逆に言うなら、それでもしも仮に後玉が僅かでもクモリが生じていたらどうなるのか???
・・考えるとコワイ限りです(笑)
↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。
↑さらに回してf値「f2.8」で撮影しました。
↑f値は「f4」に上がっています。
↑f値「f5.6」での撮影です。
↑f値「f8」になりました。
↑f値「f11」です。
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。