〓 argus (アーガス) Auto-Cintar 55mm/f1.7《後期型:富岡光学製》(M42)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、アメリカは
argus製標準レンズ・・・・、
Auto-Cintar 55mm/f1.7《後期型:富岡光学製》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Украине!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計でカウントすると36本目にあたります。

他に旧西ドイツのRevue (レビュー) 社向けOEM製品として輸出して いた「Revuenon (レビュノン)」ブランドが全く同一の意匠で顕在しまさにレンズ銘板だけをすげ替えたようなオールドレンズです。

今回の個体はその「後期型」にあたりますが「前期型」との違いは 単に距離環ローレット (滑り止め) がエンボス加工の「合皮革」だっただけです (内部構造/構成パーツもほぼ同一)。

そもそも1972年に輸出し始めたモデルの一つですが、既に1968年時点で富岡光学は経営難から最大手の顧客だったYASHICAに吸収合併されていた時期でもあり、OEMのみならず積極的に輸出に頼っていた時期とも言えます。

当時1972年旧西ドイツのCarl Zeiss (oberkochen) と提携しさらに1975年には旧西ドイツZeiss Ikonとの提携により一眼レフ (フィルム) カメラ「CONTAX RTS」の発売に漕ぎ着け数多くのオプション交換レンズ群含めカメラ事業も多品種を展開していきます。

その母体YASHICAも実は同じ時期既に経営難に陥っておりついに1983年には京セラグループに引き取られ富岡光学だけが残りました。後に1991年「京セラオプテック」と社名を改めながらも惜しいかな2018年にとうとう京セラに吸収され解散を迎えて、1932年に創業者であり光学技術者でもあった富岡正重氏から辿られた86年にも及ぶ長い歴史の幕を閉じました(涙)

一方、旧西ドイツのZeiss Ikonは1971年時点でカメラ光学事業から撤退しておりYASHICAに引き継ぐもののYASHICAの倒産に合わせて京セラに移行しました。そして京セラも2005年にはカメラ事業から撤退してしまい「CONTAX」ブランドは現在も休眠状態です。

なお今回扱うオールドレンズが『富岡光学製』との判定に至る根拠があり以下明示する根拠のが該当します。

その根拠の基になるモデル「AUTO CHINON 55mm/f1.4 TOMIOKA (M42)をご覧頂ければそのオーバーホール工程を逐一確認できますが、そこから判明した『富岡光学製たるその根拠を 示す共通事項』を以下にちゃんと示します(笑)

以下の3項目だけが当時流通していたオールド レンズの中で他社に同一の設計をみないまさに『』そのものです。

具体的には『富岡光学製』の構造的な要素 (特徴) として大きく3点あり、いずれか1点、或いは複数合致した時に判定しています。

M42マウントの場合に特異なマウント面の設計をしている (外観だけで判断できる)
内部構造の設計として特異な絞り環のクリック方式を採っている (外観だけでは不明)
内部構造の設計として特異な絞り羽根開閉幅調整方式を採っている (外観だけでは不明)

上記3点は今までに3,000本以上のオールドレンズを扱ってきて富岡光学以外の光学メーカーで採っていない設計なので『富岡光学製』判定の基準としています。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はAuto-Cintar 55mm/f1.7《後期型:富岡光学製》(M42)』のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。サクッと低価格で『富岡光学の味』を堪能したければまさにベストチョイス的なオールドレンズなのが今回のモデルです(笑)

それこそ冒頭で失言しまくった「臭いくらいにトミオカの匂い」とでも言いましょうか(笑)、そんな写り具合を十分に愉しめるモデルの一つです(笑)

別に当方自身が好きなモデルでは決してないのですが意に反して頻繁に見かけるのでついつい手を出してしまいます (要は堪え性が無い!)(笑)

↑光学系内の透明度が高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

何しろ光学系内のクモリは例え薄くてもその生じている光学系の群に拠っては盛大に写真に影響が現れるのでコントラスト低下の因果関係になります。

まずはそれが一つのポイントですが (その意味でヤフオク! で多くの出品者が謳うほどに写真に影響がないとは言えない)、それにプラスして今回の個体は少々微細な点キズが多めです。その多くはカビ除去痕なのですがパッと見では「/」に見えます (もちろん何回清掃しても除去できず)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群内もLED光照射で極薄いクモリが皆無ですが後玉中央におそらくカビ除去痕なのだと思いますが判定が難しいとても微細で薄い擦りキズ状のヘアラインキズと共に極々薄いクモリを伴う箇所があります (直径5mmほど)。但し中央なのでもしかしたら当てキズにまで至らなかった擦りキズで過去に下向きにレンズを置いてしまった時に残ったキズなのかも知れません。とても薄いので不明です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かなカビ除去痕が計7箇所あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い3mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
(但し前後群内に非常に薄い微かな点状のカビ除去痕数点あります/パッと見で汚れに見えます)
(後玉中央に円形状の薄い擦りキズがあります)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになりA/M切替スイッチや絞り環と共に確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」dながら閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
HAKUBA製MCレンズガード (新品)
本体『Auto-Cintar 55mm/f1.7《後期型:富岡光学製》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

オーバーホール後の状況として当方としてはもう少し距離環を回す時のトルクを軽くしたかった気持ちが残っていますが特に不具合箇所も存在しないので個体差の範疇なのかも知れません。何となく釈然としないので当方の即決価格としては低めの価格設定で今回出品します。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離50cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」での撮影です。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。ほぼ絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。