〓 Heinz Kilfitt München (ハインツ・キルフィット・ミュンヘン) Makro-Kilar E 4cm/f2.8 ●●● black《後期型》(M42)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Heinz Kilfitt München製マクロレンズ・・・・、
『Makro-Kilar E 4cm/f2.8 ●●● black《後期型》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
ご落札頂きました!・・ありがとう御座います!(涙)
即決価格の値段が高すぎだと当方自身も自覚していますが (それでも今までは即決価格:79,500円でしたが) きっと品物が届いて手に取ってイジって頂ければ「分かる人には分かる」・・との一念で、実はオーバーホール工程の中でも納得いくまで繰り返し微調整して仕上げた次第です。
自分の想いが在るのと無いのとでは・・気づけば組み直し回数もいつの間にか増え、然しそれも苦にならずに斜陽と共に時を費やしつつも実は充足感だけは増していく・・不思議な感覚です(笑)
何をおいてもご活用頂ければ誉れで御座います・・ありがとう御座います!
今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた11年前からの累計で、当時のHeinz Kilfitt氏が世に送り出したマクロレンズの中から「後期型」たる開放f値が明るくなった「4cm/f2.8」の括りで捉えると累計で72本目にあたりますが、今回扱ったハーフマクロ「タイプE」に絞ってカウントすると24本目です。
他に等倍撮影が可能な「タイプD」があり40本のまま変わらず、或いは最後期に一部登場したハーフマクロ「タイプA」に至っては8本のままと言う状況です。
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【モデル・バリエーション】※それぞれのタイプ別はレンズ銘板の中に刻印されている
(1) 撮影倍率で分ける場合 (全2分類)
● 1/2倍撮影 (ハーフマクロ)
タイプEとタイプAの2種類
鏡胴が一段だけで繰り出し/収納するタイプ
回転式ヘリコイド駆動のシングルヘリコイド
(タイプAのみ二段階のダブルヘリコイド駆動)
鏡胴が二段で繰り出し/収納するタイプ
回転式ヘリコイド駆動のダブルヘリコイド
(2) 開放f値で分ける場合 (全2分類)
● 開放f値:f3.5 (1955年発売モデル)「前期型」
タイプEとタイプDの2種類
ヘリコイド繰り出しが一段と二段の2種類ある
筐体外装の意匠は角張った印象のモデル
● 開放f値:f2.8 (1958年発売モデル)「後期型」
タイプEとタイプD、及びタイプAの3種類
ヘリコイド繰り出しが一段と二段の2種類ある
筐体外装の意匠は丸まったイメージ
(3) 筐体の厚みで分ける場合 (全3分類)
● 最も厚みがあるタイプ (1955年発売モデル)「前期型」
タイプEとタイプDの2種類
ヘリコイド繰り出しが一段と二段の2種類ある
筐体外装の意匠は丸まったイメージ
● 厚みが中程度のタイプ (1958年発売モデル)「後期型」
タイプEとタイプDの2種類
ヘリコイド繰り出しが一段と二段の2種類ある
筐体外装の意匠は丸まったイメージ
● 厚みが最も薄いタイプ (1960年発売モデル)「最後期型」
タイプAのみ
ヘリコイド繰り出しが二段階 (但し1/2倍撮影)
筐体外装の意匠は丸まったイメージ
・・とこんな感じで少々複雑です。特に最後に登場した「タイプA」のハーフマクロは非常に出荷本数が少ないので滅多に市場に現れません(泣)
またこのモデルに限っての話ですが「最短撮影距離」とはレンズ銘板から被写体までの実距離を意味し、一般的なオールドレンズに於ける「撮像面と被写体との距離」ではありません。
逆に言うなら筐体サイズはもとより最短撮影距離の位置まで繰り出すと、優に5cmをオーバーしている為「最短撮影距離:5cm」は成り立ちませんョね?!(笑)
光学系は典型的な3群4枚の単なるエルマー型ですが(笑)、実は
「アポクロマートレンズ」なのでこのブログの最後に掲載している
オーバーホール後の実写をご覧頂いても分かるとおり「色ズレ」が ありません!
光学系内に入射してくる光を厳密に「三原色」に分けて、それぞれで適切な角度で結像するよう「光学硝子レンズの成分を調整している」オールドレンズが当時「アポクロマートレンズ」と呼ばれ、非常に 高額だったようです。
例えば現代では総天然色を表現するために使う「色の三原色」はデジタル処理で表現される為「RGB」であり、要は「レッド/グリーン/ブルー」を基本としていますが、最近では「四原色」として「RGBY」としています。
どうして「イエローのY」を混ぜたのかご存知でしょうか???(笑)
輝度を上げて明るくしたいと考えるなら、パッと考えて「ホワイト」が必要だと考えますが、実は白色を加算してもコントラストは逆に低下して霧がかかったような写り方になってしまいます。そこで画全体を明るくしつつもコントラストも維持させる概念として「Y」を附加したのが最近の4Kや8Kの概念ですね(笑)
従って光学レンズの世界では必ずしも「RGB」の順序になる必要が無く、その光学メーカーやモデルの設計思想として追求する色バランスから優先順位を変えて設計すれば良い話です。
実際今回扱う「Makro-Kilarシリーズ」も当初は「●●●」とレンズ銘板に刻印されているアポクロマート表記が「RBY」だったワケですが、今回の「後期型」では「●●●」と「BRY」と刻印が変化して「入射光制御の優先順位が途中から変化した」事が明白です。
必然的に各成分で波長が異なるので結像する際の色ズレを修正する事を設計時点で考えるなら自ずと使うべき光学硝子材の成分も変化していったと推察できます。
例えば絵の具で実験すると分かりますが、全ての色を混ぜ合わせると「黒色」になるので、その反対色が「白色」で画の明るさの高低で白色が使えない理由もこれで納得できますね。
ちなみに上の構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際、光学系の清掃時に各群の光学硝子レンズを逐一当方の手でデジタルノギスを使って計測したトレース図です。
すると 色で着色した光学系第1群 (前玉) は「パープルブル〜」のモノコーティング層が蒸着されているのが光に反射させると視認できます。「パープル成分」で入射光の色成分/波長で言うところの「RY」の反射率低減を狙え (つまり透過率が上がる)、且つもう一つの「ブル〜成分」で「B」の透過率向上を狙っていますが「ブル〜成分」は波長が短い分、透過率を維持させるだけでも大変です。従って光学系第3群 (後玉) に至るまでの透過率低減を防ぐ意味合いからも「ブル〜成分」を個別に光学系構成の中で優先的に配置しているとの考え方もあるのかも知れません (光学知識が疎いのでよく分かりません)。特にこの時代のオールドレンズを完全解体してその実装光学系を各群個別に調べていくと「ブル〜のコーティング層蒸着だけの群が必ず在る」などはその当時として透過率を維持させる狙いが強かったのかも知れません。
なお今回放射線量を測定すると「第1群 (前玉):1.13μ㏜/h」との高い計測値を示しました。逆に言うと「第2群:0.08μ㏜/h」或いは「第3群 (後玉):≦0.05μ㏜/h」からも一つ明確になったのは「第1群 (前玉) を白紙の上に置くと褐色系の色付きをしているのが視認できる」点に於いて、その放射線量の高さから光学硝子材に「酸化ランタン材」を含有させて屈折率の向上 (10%代まで向上/1.13%) を狙っているのかも知れません (第2群〜第3群は一般的な計測値を示していたから)。
いずれにしても僅か3群4枚のエルマー型光学系で、しかも「第1群 (前玉) 径:⌀ 15.6mm」さらに「第3群 (後玉) 径:⌀ 13.4mm」と言う本当に小さな光学硝子レンズのくせに、よくもまぁ〜ここまでこだわりを以て「世界初のマクロレンズ」として製品化してしまったものだと今さらながらに感銘を受けます。
聞くところによると出荷時にはちゃんと個体別に「検査パラフィン・プレート (MTF曲線値)」まで附属させていたらしく、その複製を自社管理で保管しており将来的なサービスに対応できるよう考えていたとの事で、今ドキのレベルで考えても相当厳格化していたのが分かります。
それ故、彼のアインシュタイン博士やその友人のFrank G. Back博士との親交も深く、特にFrank G. Back博士は後にHeinz Kilfitt氏が70歳で勇退した後、会社を買い取り (ZOOMAR社と改名) ニューヨークに拠点を移したらしいので (製産工場の一部はミュンヘンに置いたまま) その後のシネレンズの発展にも十分寄与したのではないでしょうか。
・・オールドレンズにロマンは尽きないものですね(涙)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『Makro-Kilar E 4cm/f2.8 ●●● black《後期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。自分で言うのも何ですが(笑)・・・・、
一世風靡した世界初のマクロレンズ「Makro-Kilarシリーズ」で、ここまで
完成度の高い仕上がりはいくら整備済と言えどもなかなかお目にかかれない
・・と言っちゃいます!(笑)
さすがに72本も扱っているとなればオーバーホールのコツも完成の域に到達している為(笑)、最近仕上げる個体は大凡完璧な状態です。そもそも近年は特に光学系第3群の後玉が貼り合わせレンズなので、そのバルサム切れが生じている個体の流通数も増大しており、なかなか手放しでサクッと調達できない難しさが在りますが、そんな中でも当方では全てバルサム剤を剥がして再接着して仕上げているので、重要なのはコーティング層の経年劣化状況のみといったところです。
発売が1958年の「後期型」に入るので凡そ半世紀以上の時間を経ており、さすがに「アポクロマート」レンズとしても蒸着コーティング層の経年劣化には耐えられません。その意味でカビの繁殖含め経年劣化に伴う白濁などはどうにも対処できず「一旦コーティング層を剥がしてからの再蒸着が必要」になり、大事な話になってしまいますから調達するには必ずコーティング層の状態確認が必須です(泣)
◉ 貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す
◉ バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態
◉ ニュートンリング/ニュートン環
貼り合わせレンズの接着剤/バルサム剤が完全剥離して浮いてしまい虹色に同心円が視認できる状態
◉ フリンジ
光学系の格納が適切でない場合に光軸ズレを招き同じ位置で放射状ではない色ズレ (ブルーやパープルなど) が現れてエッジに纏わり付く
◉ コーティングハガレ
蒸着コーティング層が剥がれた場合光に翳して見る角度によりキズ状に見えるが光学系内を透過して確かめると物理的な光学硝子面のキズではない為に視認できない
◉ フレア
光源からの強い入射光が光学系内に直接透過し画の一部分がボヤけて透けているような結像に至る事を指す
◉ フレア
光源からの強い入射光が光学系内で反射し乱反射に至り画の一部や画全体のコントラストが 全体的に低下し「霧の中での撮影」のように一枚ベールがかったような写り方を指す
↑一つ前の写真はこのモデルの附属品の一つ「フロントベゼル」に今回の附属品として添付した「HAKUBA製MCレンズガード」をセットした状態で撮影していますが、上の写真はその「フロントベゼル」を取り外して撮っています (カチャッと着脱式になっている)。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射してもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリなども皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
見る角度によってポツポツと微細な点が写っているように見えますが、これらのほとんどは光学系第3群 (後玉) の表面側に残る微細な点状カビ除去痕であり、さらに指摘するなら「全てコーティング層のハガレ (カビ除去時にコーティング層が剥がれている)」なので、LED光照射で透過して光学系を翳しても視認できません (コーティング層なので透過するので写真にも影響しない)。
その意味で、このブログでも何回も指摘していますが、当方は敢えて恣意的に光学系内をLED光照射した写真を掲載していません。例えば上の3枚の写真で一部にポツポツと写って見えている前述の「点状カビ除去痕」はコーティング層の蒸着レベルとしては確かにデメリット (経年劣化) ですが、光を透過した時に視認できないモノは「例えば玉ボケの内側にも写り込まない」と言うか、視認できないモノは写り込みようが在りませんョね?(笑)
おそらく近い将来には「光学硝子レンズを介して記録していた時代が終わる」為に平面的な金属板の撮像面を持つ単なる箱形の「波長カメラ」みたいな道具が現れるのでしょうが (スマホの裏側の平面でも良いが)(笑)、その時に初めて「波長を基に撮像記録した時にその記録制御が適う」話しに至って、例えばシステム (ソフト) 的にフィルター処理の如くこのようなコーティング層のカビ除去痕まで記録してしまう事ができる時代が来るのでしょう (もちろん今でもやろうと思えばできるのでしょうが)(笑)
・・要は気にしても仕方ないレベルの話と言いたいのです(笑)
↑光学系後群側は光学系第2群と第3群の「後群」と言う構成ですが、後玉だけが貼り合わせレンズです。ありがたい事にバルサム切れは一切生じておらず、然し前述のとおり後玉表面側にポツポツと残っていたのは全てが微細なカビの繁殖でした。当方の薬剤で完全除去しているので今後繁殖が増大する事はありませんが、その分コーティング層を侵食していたカビ除去痕はコーティング層のハガレとしてこのように見る角度によって視認できます (が写真には写り込まない)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:17点、目立つ点キズ:11点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:18点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大2mm長複数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・特に光に反射させてチェックすると後玉など表面に微細な点状が集まって見えますがLED光照射透過して確認すると視認できません。経年劣化に伴うコーティング層のハガレなどは透過する為に点状キズとして視認できず写真にも影響を来しません。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑10枚のフッ素加工を施した絞り羽根もキレイになりプリセット絞り環や絞り環ともども確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。
特にこの時代はまだまだ「カーボン仕上げ」の絞り羽根実装が主体だった時代なので、フッ素加工を施して経年に伴う酸化/腐食/錆びから開放してしまうと言う先見の明在りと感銘を受けざるを得ません。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・当モデルは回転式ヘリコイド駆動方式の為距離環を回して鏡筒を繰り出すと(ピント合わせすると)その回転に伴い絞り環側も(鏡筒側も)一緒に回転していく駆動系の設計です。距離環側と絞り環側とのトルクバランスをちゃんと考慮してオーバーホールを仕上げていますが、ピント合わせ後の絞り環操作で必ずしもピント位置がズレない話ではありません。絞り環側を勢い良く回さなければ、多くの場合でピント合わせ後にボケ具合をイジッて撮影が適います。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・距離環のラバー製ローレット (滑り止め) は純正の状態で経年劣化が酷く、一部収縮/変形など起きていた為に当方で代替品を用意し貼り替えています。パッと見た目ではそのように指摘されないと純正状態に見えてしまうほどに代替品ながら純正品の雰囲気に近いイメージに仕上げています。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① 本体『Makro-Kilar E 4cm/f2.8 ●●● black《後期型》(M42)』
② 純正金属製フロントベゼル (純正附属品:中古品)
③ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
④ 社外品樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (中古品)
⑤ 純正樹脂製被せ式前キャップ (中古品)
↑ここからは少しだけですが附属品に関する解説やこのマクロレンズの使い方などを解説していきます。
まず上の写真の左側に並べた附属品は「フロントベゼル」と英語圏で呼称されるモノですが、国内のプロのライター (執筆者) の中にはこの左側の附属品を指して「金属製フード」と案内している人が居ます・・それは見誤りですョね?(笑)
そもそも製品自体がマクロレンズとして設計し世に送り出されたのですから「光学系第1群の前玉は奥まった位置に配置される」のは必然ではありませんか? すると既にその前玉の直前までが「臼状に窄まった遮光環部分」なのであり「僅か3ミリしかレンズ銘板の先に突出しない金属製フードをセットして、いったいどんな効果を狙えるのか?」と質問したくなります(笑)
英語圏で「フロントベゼル」と呼称されるのは「Front Bezel (前カバー)」ですから決してフードの類ではなく「何か目的をもつ道具」なのは歴然です(笑)
これは設計開発者たるHeinz Kilfitt氏が「前玉の直前にしかフィルターの類を配置する設計しか認めなかった」らしいです (以前そのような話を聞きました)。
それは至極納得できる話しで、遮光環で乱反射してくる皆さんが嫌ういわゆる「迷光」を最初から入射光として取り扱う必要はありません(笑) それ故できるだけ最短距離でフィルターの類を前玉に配置したいと考えるのはとても理に適った話です。
↑フロントベゼルをひっくり返すと裏側はこんな感じになっています。ここに「外径:⌀ 30mm/厚さ:4mm以内」のフィルター類をセットできる仕組みです。
この附属品はアルミ合金製なので両サイドに配置される「押さえ板」は指で摘まんで容易に曲げられる強度です。従って装着するフィルターの類が外れて落下しないように適度な「押さえ込みが適うよう板状に設計されている」のが分かりますね (赤色矢印)(笑)
またグリーンの矢印で指し示した箇所の切り欠き部分は、ちょっと小さめですが「指が入る指掛かりの切り欠き部分」であり、親指と人差し指で装着するフィルターの類を摘まむようなイメージの目的です。
さらにブルーの矢印で指し示している箇所は実は「くびれたカタチになっている」場所で、ここにカチャッと音が聞こえて着脱するロック機構が前玉直前の遮光環に用意されているので、そこに填まる場所です。
↑前の写真で右横に並べて撮っていた「HAKUBA製MCレンズガード (⌀ 28mm)」をセットしたところです。注意が必要なのは「装着可能なフィルターの類は外径サイズが問題」なのであって、フィルターなど製品の「ネジ込み径のサイズではない!」ので思い違いしないようご留意下さいませ。「外径サイズ:⌀ 30mm」が必要なので (それ以下だと押さえ板で保持しても外れる懸念が高くなる)、お気をつけ下さいませ (既に出品商品にはフィルターを附属品にしてあるので問題ありませんが)(笑)
↑「HAKUBA製MCレンズガード」を装着した状態で前側方向からの撮影です。詳しい方はこの写真を見ただけですぐにピ〜ンと来ますが(笑)、実はこのフロントベゼルの遮光環部分に「経年の整備で厚塗りされていた反射防止黒色塗料を全て完全除去している」のです(笑)
マジッでこれでもかと何層にも厚塗りされていたので、なかなか簡単には溶剤で除去できませんでした(泣)
実際にオリジナルな製産時点の状態に戻ったら・・何と逞しくも美しい輝きを放つのか!・・
などと言うとまた批判対象になりますが(笑)、ここで問題視するような「迷光」の話ではないので気にしても意味がありません。
当方などはむしろこの製産時点の鈍い/濃いめのパ〜プルな (鏡胴と同じ) メッキ加工のほうが高級感を感じてしまい堪らないです!(笑)
・・せっかくオールドレンズ沼の住人ならこう言う部分にも拘ってほしいなぁ〜(笑)
↑前玉直前の遮光環の部分に「ダボ」と言う金属製の突起が3箇所均等配置 (赤色矢印) されているので、そこにブルーの矢印で指し示したクビレ箇所がカチャッと填まる次第です。ちょっと強めにチカラを入れてカチャッやらないとダメですし、外す際も「僅か3mmしか突出していない縁部分を摘まんでチカラを入れて外す」ので面倒くさいかも知れませんが・・(笑)
・・当方などはそう言う面倒な要素まで愛着沸いちゃいます!(笑)
↑以前撮影した写真からの転載ですが、こんなサイズです。フロントベゼルの中にセットできるフィルターの類は「外径サイズ:⌀ 30mm/厚み:4mm以内」です。特に厚みが多すぎると (4mmを少しでも越えると) 前玉の枠に当たってしまい「このフロントベゼル自体がカチャッとハメ込めなくなる」ので要注意なのです (実際に厚みがあるフィルターを購入して実験して確認済です)(汗)
・・自社製品なのにアクセサリー会社はフィルターの厚みを表示してくれない!(怒)
↑ここからはこのマクロレンズの「後玉の突出」について解説していきます。鏡胴の距離指標値が「無限遠位置:∞」の時、ご覧のように「M42マウント」のネジ山部分からさらに突出が在ります。カメラボデイによっては干渉するのでサイズを計測して告知しています。
↑特に「後玉」について間違って受け取っている方が居るので要注意ですが、この後玉部分を見る角度によっては上の写真のように「後玉の最も飛び出ている場所が周囲のガイド部分から低い位置にある」と思い込んでしまいます (赤色矢印)。
↑ところが現実はそうではなくて上の写真のとおり「後玉の最も突出している場所と周囲のガイドはほとんど面一状態」なので、例えばヤフオク! などのオークション出品ページを見ていても「出品商品自体を平気で後玉を下向きにして置いて撮影しているバカな出品者」が居るから堪ったモノではありません!(泣)(怖)(涙)
・・特に後玉中心部にキズが付けば玉ボケに写り込みます!(怖)
だから執拗にこのようにブログで告知していますが「鬼の首を取ったが如く自慢げに何回も解説していて煩わしい」とメール送信してくる人が居るからオドロキです (そう言う類に限って本人のメールアドレスはエラーになる)(笑)
このブログのどのページを開くのかは分からないので、仕方なくそれぞれのページで可能な限り同じ内容でも告知して「犠牲者を減らす算段」の意味合いだけですが、それを貶されるなら仕方ないですね(涙)
・・煩わしいと思うなら見なければ良いのに内部構造知りたさにアクセスしてくる(笑)
まぁ〜誹謗中傷メール送信するのは「無料」ですからねぇ〜(笑) それで送信者のストレス発散に貢献してると受け取るべきなんでしょうかね(涙)
・・世知辛い世の中です(涙)
↑ここからも毎度同じ内容の連続ですが(汗)、このモデルの「プリセット絞り方式の操作方法」を解説していきます。いちいち解説している理由はプロの写真家が違う説明をしており、それを読んだ人が過去に質問してきた事からこうなっている次第です(泣)
つまり「プリセット絞り方式の操作方法を覚えるのが苦になる」とのクレームに近い話しでしたが、少なくともその説明をしているのは当方ではなくて「プロの写真家」なので、できればそちらへクレームしてほしいですね(涙)
何一つ難しくも面倒でも覚えられない話でもなくて「極フツ〜に撮影している時の挙動に従った操作方法」なのに、その「プロの写真家」が「プリセット絞り環と絞り環をあべこべに捉えているから」記憶するしかなくなるだけの話です(笑)
・・はい、悪いのは当方ではありません(泣)
ネット上を観ていても似たように解説している人が居るので厄介です。
あくまでも個別のオールドレンズによってその配置は異なりますが、世界初のマクロレンズたるこのモデルに限定して解説するなら「プリセット絞り環は絞り値が刻印されている環/リング/輪っか」のほうです (赤色矢印)。さらにその直下に配されている「薄いギザギザのローレット (滑り止め) だけの環/リング/輪っかが絞り環」なので (赤色矢印) これらを逆に捉えてしまうから変な話になります。
オールドレンズには必ず基準マーカー「△」や「●」が刻印されているので、それを目安に操作するのが常です。
すると「絞り環に対してプリセット絞り値を何処に設定しているのか?」がこのような「プリセット絞り機構を装備したオールドレンズ (達)」の扱いに於いて問題になってきます。
そうしないと撮影の度にいちいち「絞り羽根が閉じたのか開いたのかチェックするのでチョ〜面倒くさいからプリセット絞り方式大キライ!」になります(笑)
それではここから「実際にカメラに装着して写真を撮る時を想定した解説」としてご案内していきます。
撮影する前に「プリセット絞り値を決める (ボケ具合を決める)」設定からスタートしますが、面倒な人は (と言うか今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならば) 撮影時にファインダーでボケ量を確認しながら撮れるので「最小絞り値までプリセット絞り値を設定してしまえば良い」話になります。
しかしここでも「覚えている人達/勢力」にすれば面倒くさいようで批判対象にされてしまいます(泣)
取り敢えず「プリセット絞り機構を装備しているオールドレンズはプリセット絞り値を設定する」が前提です。
従って「絞り環」側を指で保持したまま (一切動かさずに) 「プリセット絞り環側だけを回す」と刻印絞り値がカチカチとクリック感を伴いつつ移動していきます。その時の「移動」とは絞り環に刻印されている基準「●」マーカーの真上を刻印絞り値が通過していくと言う意味合いです。
・・やっている操作は上の写真ブルーの矢印❶を解説しています。
↑今回は例として「プリセット絞り値をf5.6に設定」とすると、指で保持したままの「絞り環」基準「●」マーカー位置に「プリセット絞り環側のf5.6刻印」が来た時点で狙うボケ具合の絞り値が設定された事になります。
この時上の写真のように赤色矢印は「f5.6」を指し示し、且つブルーの矢印の基準「●」マーカーに「絞り環側基準●マーカーまで一致」しています (グリーンの矢印)。
ここが「記憶で覚えるのか原理で覚えるのかで挙動が変わる」話しの真髄なのです(笑)
「プリセット絞り値をf5.6に設定したのだから、絞り値が絞り環側の基準●マーカーに合致している以上、絞り羽根は今まさにf5.6に閉じている」と言うのが原理として認識されていないから覚える必要が生じます(笑)
・・要はプリセット絞り環と絞り環をあべこべに覚えているからそう言う話しに至る(笑)
設定絞り値にセットした時点で絞り環に「f5.6」が合致しているなら当然ながら絞り羽根が「f5.6まで閉じている状況」と明言でき、実際に光学系内を覗き込まなくても確実に絞り羽根は「f5.6まで閉じている」ワケです(笑)
次はピント合わせして撮影でシャッターボタンを押したいワケですから、閉じてしまった絞り羽根を「一旦完全開放まで開きたい」のが人情ではありませんか?(笑)
・・ブルーの矢印❷方向に絞り環を回します。
どうして「絞り環だけを回すのか?」と言えば、既に「プリセット絞り値は一番最初のところで設定済だから操作する必要がありません」との答えです(笑)
詰まるところ「絞り環を回して完全開放したいだけ」なので、絞り環を回して開放f値「f2.8」をブルーの矢印で指し示している鏡胴側の基準「●」マーカーに合致させます。
↑こんな感じで鏡胴側基準「●」マーカーに (ブルーの矢印) ちゃんと「f2.8」が来たので (赤色矢印) 当然ながら光学系内の絞り羽根は完全開放状態になっていて覗き込む必要がありません(笑)
さらに上の写真のように「プリセット絞り環側の設定値もちゃんとf5.6と撮影者本人に対して伝わる」ので間違いがありません (グリーンの矢印)(笑)
・・この後にピント合わせを行いいよいよシャッターボタン押し込みの撮影に入ります。
つまり「絞り環」を回してブルーの矢印❸方向に回しますね。
↑再び鏡胴基準「●」マーカー位置 (ブルーの矢印) に「プリセット絞り値 (グリーンの矢印) たるf5.6が来ます」します (赤色矢印)。
何度も言いますがこの時「絞り羽根はいちいち光学系を覗き込まなくてもちゃんとf5.6まで閉じている」ワケです(笑)
・・いよいよシャッターボタン押し下げで狙った写真が撮れました!(笑)
これで撮影は終わりますが、また次の設定の為に敢えてこの解説では「再び開放f値に設定プリセット絞り値を戻す」操作を行います。
絞り環側基準●マーカー (ブルーの矢印) を指で保持したまま「絞り値 (グリーンの矢印) が刻印されているプリセット絞り環側を回す」ワケですが、そもそも最初に「f5.6」を設定しているのが見ただけで明白なので (赤色矢印)、要は開放f値「f2.8」に戻したいだけです(笑)
・・ブルー矢印❹方向にプリセット絞り環だけをカチカチとクリック感を伴い回す。
↑ちゃんと鏡胴基準「●」マーカー (ブルーの矢印) にプリセット絞り値たる「f2.8」が重なり (グリーンの矢印) 絞り値刻印が見えています (赤色矢印)。
つまり一番最初の状態に戻っただけの話ですが、この時「実は現在のこの状況はプリセット絞り環も絞り環も開放f値f2.8から一切動かない状態になっている (つまり完全開放状態を維持する設定)」ことを撮影者自身が説明できないから難しい話になるのです (プリセット絞り環と絞り環を違えて認識している場合の話)(笑)
現実に上のようにセットすればプリセット絞り環も絞り環も全く微動だにしません(笑)
ここまでの解説で「撮影に係る自分の挙動に沿った操作方法」だったのがご理解頂けると思います。何一つ記憶する要素はありません(笑) ボケ具合を設定してシャッターボタン押し下げまでのカラダの動きをそのままこのオールドレンズにヤラせただけの話しですね(笑)
・・以上が正しい本来のプリセット絞り方式の解説です。
ちなみに上の写真で示しているとおり前述した「フロントベゼルの突出量:3mmだけ」です (オレンジ色矢印)(笑)
なおこのモデルは一般的なオールドレンズの設計のように「直進式ヘリコイド駆動」ではなくて「回転式ヘリコイド駆動方式」の設計ですから、距離環を回してヘリコイド (オスメス) を回転させていくと「鏡筒まで一緒に回転しながら繰り出し/収納する方式」です。
すると前述のようにプリセット絞り環でちゃんとプリセット絞り値をセットしていても「ピント合わせした後に絞り環操作するとピント面がズレる」ことになります。
その意味でこのような「回転式ヘリコイド駆動方式」のオールドレンズの場合は「先に絞り値を決めておきピント合わせした後に絞り環操作しない」使い方のほうが無難です。
しかしそれでは使い辛さを感じられる方もいらっしゃるので、今回のオーバーホールでは「ヘリコイド側のトルクを多少重めに設定」し、且つ「絞り環側トルクは相応に軽め」に設定する事でピント合わせ後の絞り環操作時にもピント面がズレにくいよう配慮して仕上げています。但しそうは言っても絶対にピント面がズレない話ではありませんからご留意下さいませ。
当然ながら軽めのトルクに仕上げた「絞り環の操作性」は、それでもちゃんとトルクを与えてあるので決してスカスカ感を感じるレベルではありません(笑) こう言う細かい微調整が適うのもオーバーホールの良さの一つですね(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズでミニスタジオの全景が入る撮影距離で撮った写真が上になります。完全開放「f2.8」で撮影しています。実際の最短撮影距離は「10cm」なので最短撮影距離位置で撮ると以下のように各絞り値でボケ具合が変化していきます。
↑当レンズによる最短撮影距離10cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
一般的にはそう言う話しですが、このオールドレンズは「マクロレンズ」なので遮光環が前玉直前に在るのでフードの心配はあまり必要ありません。
↑f値「f16」での撮影ですが、もぉ〜ほとんど絞り羽根が閉じきり状態です!(笑) まだまだ背景ボケが出ていますね。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。ようやく「回折現象」の影響が現れているのか何なのか見当が着きませんが(笑)、一応絞り羽根は閉じきりです。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。