◎ PORST (ポルスト) COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7 Macro ⌀52 F(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
PORST製標準レンズ・・・・、
PORST COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7 Macro ⌀52 F(M42)』です。


なんだか上手く解説できておらず申し訳ない限りですが・・(泣)
このモデルAUTO-ALPAも別に解説しているPORSTのほうも両方とも発売元はCHINONでありCHINON製標準レンズをその原型としていますが、これら3種類のモデルを設計/製産していたのはコシナだと当方はみています。
この3種類のモデルに富岡光学は一切関わっていません。コシナモデルのほう (AUTO-ALPA) も富岡光学製ではありません!
一部の方に認識の違いがあるようなので補足させて頂きました・・。

例えば同じCHINON製の標準レンズでも他のモデルの中には登場時期を別にしてCHINON内製品もあるようですし非常に種類が多くて設計/製造元が入り乱れている印象です。
あくまでも筐体外装の意匠が近似している今回扱ったモデル3種類のモデルについての考察としてご認識頂くと助かります。

  

↑上の写真は一段目〜二段目ともに左から順にCHINON製標準レンズ、AUTO-ALPAモデルにPORSTモデルです。これら3種類のモデルに関し筐体外装意匠も仕様諸元値もさらに最短撮影距離27cmまで全て同一仕様ですが光学系の設計だけはそれぞれで全く異なります。
(つまりレンズ銘板をすげ替えただけではない/その描写性もそれぞれで違うと考察しています)

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いよいよクライマックスに近づきつつあります・・(涙)

思えばこの企画と言うか命題を与えられたのは昨年の春でした。いつも当方を懇意にして頂くファンの方から「哀しいです・・」と一通のメールが着信したのが始まりだったのです。

そのメールには自分が所有しているCHINON製標準レンズ「MCM」がとあるサイトでボロクソに評価されていて哀しい気持ちになっているとの訴えでした。そのモデルに対する当方の評価に如何ばかりの期待と希望を込めてそんなメールが届いたのだとすぐに察しました(涙)

頂いたメールの参照先URLをクリックすると確かに某有名処サイトでALPA-SWISSの「AUTO-ALPA」と「MCM」が比較されその描写性について評価されていました。どちらのモデルも「マクロレンズ対決」と謳いつつ細かく検証が成されているものの、メール送信者の認識では 1/3倍撮影は決してマクロレンズに該当しないとしつつも標準レンズとしての利便性の中に「イザッとなれば近寄って撮れる有難味が強い」と受け取っていたようです。

まさに仰るとおり当方認識もそのような利便性の良さをメインとして然し決してマクロレンズの範疇には入らない (ある意味中途半端な) 立ち位置と受け取っていた為至極納得できるメール内容との印象を持ちました。

それはそもそもそれらモデルも含めた1/3倍撮影が叶う標準レンズは「あくまでもその装着先対象向けセットレンズの立場で登場していた」点を発売元、ひいては設計陣の狙いとして正しく認識すべきとの思い入れから考察していた次第です。

従ってそれら一眼レフ (フィルム) カメラに「敢えてマクロレンズをセット化して発売しない」との考えから当方自身も「マクロレンズ対決」と括られてしまったことに大きな違和感を覚えたのは事実です。

それはもしも仮に「マクロレンズ」と捉えるなら一にも二にも最優先は「マクロ撮影時の描写性」が重要なワケですが、その方も当方も共に考えは同じで「決してマクロレンズではないから標準レンズ域での描写性も同時に重要なハズ!」との認識から最短撮影距離位置での写り方でボロクソに評価されてしまったことに大きく落胆されたのだと当方も察しが付きました。

そもそも当方は基本的にどんなオールドレンズも自分のお気にとして愛着を以て大事にして いる方がいらっしゃるとの想いから「計測データを基に徹底検証して何某かの評価を確定させてしまう」行為自体に「オールドレンズ愛好家としての違和感」を強く抱きます。

従って当方はこのブログでも何度もコメントしていますが「等倍鑑賞しない派」或いは「等倍でチェックする意義を見出さない」とでも言いましょうか、オールドレンズの描写などはその程度でありむしろ自らの思い入れを強く抱きつつ愉しむモノとの考え方が強いです (そんなに描写性能を徹底的に計測して評価したいなら今ドキのデジタルなレンズを使えば良い!)。

その意味でオールドレンズを計測値を基に徹底検証する意義が当方には理解できていません (基本的に頭良くないので・・)(笑)

もっと言うならもしかするとその対象となるオールドレンズはご両親が愛用していたモデルで自分が子どもの頃にたくさんの写真を撮ってもらった想い出が詰まっているオールドレンズ なのかも知れません (実際現実的にそのような背景をオーバーホール/修理で受け付けたオールドレンズでご案内頂く方々も数多く今までにいらっしゃいました)。そんな思い出が詰まった モデルが徹底的な評価を下されれば確かに「哀しい・・」と感じるのは人情なのではないかと思う次第です。

このような当方の考え方・・間違っているのでしょうか?
そんなに徹底して写りの良し悪しを決めなければ納得しないのですか?
写りの良し悪しはそんな計測値 (鋭さ/コントラスト比など) で表すべきなのですか?

そもそも数学的な思考回路を持たない当方のような頭の悪い人間にとってはオールドレンズの写り方などは写真全体から観て愉しめれば良いくらいの認識です(笑)

どうしても何某か指摘して結論付けする必要があると言うなら、せいぜい数学的/物理的に追求して設計された製品が人間の感性に訴えて楽しむ道具に変化しているくらいに受け取れば良いような気がするのですが・・当方がおかしいのでしょうかね?(泣)

もしもそのように決めつけるならそもそも設計者だってそのオールドレンズの光学系に「何を活かして何を殺すか」葛藤の中で製品化してきたハズなので、その経路さえもおかしいと言っているようなものに聞こえます (そのような考えを当方は承服したくないです)!

今の世の中似たような話が巷にゴロゴロしていますが被害者なのに勇気を出して声を上げたが故に却って誹謗中傷の的に曝され自らの命を絶つ人も居るワケで・・それって間違っていると当方は心に痛みを感じます。一般的に正しいと考える事柄や正直な想いや真面目一筋が気が付けば仇となり周りから非難されるのを目の当たりにする環境/世界を・・はたして生きやすい 世の中なのだとは当方にはどうしても思えませんね(涙) 何故なら本当にマジッで真剣に正直に徹したらその結末は当方のこのオーバーホールでも同じで「むしろ収入が減るばかり」みたいな話になって、意外にもごまかしている人のほうが利幅が多かったりします (どんなに頑張っても当方は一日に1本しか仕上げられない)(笑)

だから渡る世間は鬼ばかり・・当方にはこの言葉が身に凍みます(涙)

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前置きが長くなりましたが、そんな背景があって以下の如く扱った次第です。

《昨年来からの命題》※左から順に以下の
AUTO CHINON MCM 55mm/f1.7 MULTI COATED LENS MACRO (M42)
PORST COLOR REFLEX MCM 55mm/f1.7 ⌀52 F(M42)
AUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)
PORST COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7 ⌀52 F(M42)』☜今回のこのページ

一部モデルは既に扱っていて昨年来にはなりませんが、いずれにしても対象となるオールド レンズを全て完全解体でバラした上で考察し初めて語ることが適うとのポリシーからです。

と言うのも実は冒頭から「MCM」と記しているモデルは上の一覧でになりますがレンズ銘板に刻印されている発売元メーカー名が違えでも実際に設計し製産していたのは両方とも『富岡光学』だからです。この二つのモデルは共に光学系の設計が100%同一なのを自分の手でデジタルノギスを使って逐一計測し確認済なので判明しています。

その意味で「まさにレンズ銘板をすげ替えただけ」とも言い替えられるのでCHINON製が好きなのかPORST製が好きなのかにその描写性の相違は影響しませんし、もちろん内部構造も使っている各構成パーツに至るまで100%同一です。

すると先日出品した (このブログで解説した)「AUTO-ALPA (上の)」と今回扱う「PORST製」も同じように光学系の設計が同一で内部構造も各構成パーツも同一だとすれば「ALPA銘の為だけに倍額以上のお金を払ってでも市場流通している高額商品」みたいな話になり、いくらオールドレンズ沼に浸かりきっているとは言えども「人情としてどうなのか?」と疑心暗鬼だったワケです(笑)

ちなみにの「MCM」のほうは光学系の設計と共にコーティング層の蒸着まで同一なので上の写真で光彩の濃い薄いが異なるのはあくまでも当方の撮影スキルがド下手だからの話でしかありません(笑)

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PORST (ポルスト)」はレンズやフィルムカメラなど光学製品に対するブランド銘で、会社は1919年にHanns Porst (ハンス・ポルスト) 氏により旧ドイツのバイエルン州ニュルンベルク市で創業した「PHOTO PORST」になり光学製品専門の通信販売会社です。

PORSTは旧東ドイツの会社だとよく間違われますが、そもそもバイエルン州は東西ドイツ分断時期に於いてアメリカ統治領だったので旧西ドイツになり、別に存在する「Porst市 (旧東ドイツ)」とは違います。

ブランド銘としては当初1930年〜1950年代にかけては、自身の名前の頭文字を採って「HAPO」ブランドを展開していました。
その後「PORST」になりますが、自社での開発や製造を一切せずにすべての商品を光学メーカーのOEM供給に頼っていた通販専門商社になります(最後期にはcarenaブランドも追加されている)。
(左写真は1960年当時の500世帯分の従業員社宅も含めた本社屋)

いくら戦前とは言え500人もの従業員向けに居住用建物 (社宅) まで用意してしまう太っ腹に 恐れ入ってしまいました!(驚)

大戦により社屋も含め全て破壊されましたが、幸運なことに13万人もの顧客台帳が焼け跡から回収でき、それを基に戦後PORSTの再建をします。1960年には長男のHannsheinz Porst氏に会社を譲渡し最盛期を迎えます。

この時に「carena (カリーナ)」ブランドが商標登録されています (carenaはHanns Porst氏の末娘の名前/会計事務所を創設)。しかしHannsheinz Porst氏は1964年に脱税容疑で逮捕され1,860万円の追徴課税と共に罰金490万円を払い釈放されました。さらに1968年にはスパイ容疑をかけられ有罪になり実刑となりました。2年9カ月服役し釈放されましたが既に会社の勢いは失せており、1978年に社長を退任します。その後従業員の為に用意した500世帯分の社宅も含め、1981年から会社の売却を試みますが失敗します (翌年1982年に社長復帰)。

なお、carenaブランド銘についてはドイツ語サイトの「こちらのページ」にモデル一覧があるので信憑性が高いです。

1996年にはベルギーの投資会社に買収されますが2002年に倒産しPixelnetを経てRingfotoに商標権が移譲されました。

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すると特に1970年代後半辺りから、PORSTと富岡光学の関係は希薄になっていく事が予測できます (おそらく富岡光学はOEM生産に余裕が無くなっている時期ではないかと推察)。つまり1970年代後半〜ヤシカが倒産して京セラに吸収合併する1983年までの間、富岡光学は単発で造りきりの海外向けOEM製品よりも、国内で継続的にOEM生産が続けられる方向へとシフト
していた事が覗えます (国内メーカー向けOEM品を主体に変更)。

従ってこの間隙を縫ってすかさず海外向けOEMモデルの契約を取ったのがコシナだったのではないでしょうか。それはコシナの沿革を調べていくと見えてきます。1960年代はまだフィルムカメラの製産工場設備が主体であり、一眼レフ (フィルム) カメラ用オプション交換レンズ群の光学設計/開発、及びその光学硝子の精製/製産設備は一切整っていませんでした。それは1970年代に入ってもCCTV/TVカメラ用レンズ群の製産にシフトしていたので、本格的にオールド レンズ用の光学系を製産できる体制が整ったのは富岡光学に比べると遙かに遅い1970年代後半辺りからだと推察します。

そしてこの考察にブラスして当時のCHINONの状況をやはり沿革などの資料から考えていくと1960年代は一眼レフ (フィルム) カメラよりもむしろ「8mmカメラ」の開発と製造に余念が なくズームレンズなど設計を手掛けていたようですが「動画撮影用とスチル撮影用とでは光学設計のノウハウが全く異なる」とのお話を以前取材した工業用光学硝子レンズ製造会社で伺いました。

詰まるところCHINONにはスチル撮影用光学硝子製造の為の溶融解設備/建屋とその蓄積されたノウハウが無かったことが容易に推察できます (CHINONがスチル撮影用カメラに触手を伸ばし始めたのは1970年代に入ってからの話だから)。

ここが大きなポイントになりました。つまりALPA-SWISSにしてもPORSTにしてもコシナに 目を向ける以前に仲介していたのはCHINONだった懸念が捨てきれません(笑)

そこで当方にとっては昨年来より派生した命題について「MCMは両方とも同一としてもALPAとPORSTの製品は互いが別モノ」との仮説をその描写性から抱き始めたのです (もちろん人情としても倍額以上払って手に入れるALPA銘の優位性が納得できていない)。

これが比較対象を「KERN-MACRO-SWITAR」に据えるなら話の内容は全く以てヒックリ 返りますが(笑)、いくら何でもALPA銘だからと言いいつつも実のところ日本のコシナ製じゃ ないかと海外の金持ち風情は受け取っていたに間違いありません (1970年代辺りの日本製光学製品の立場とはそんな程度)(笑)

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

ここに来てようやく今回扱うモデルの描写性と前述ALPAモデルとの相違点を見出していく事に至ります。

一段目
左端から明確でほぼ真円に近いエッジを伴うシャボン玉ボケが破綻して滲んで溶けていく様をピックアップしていますが、溶けつつも然しハッキリしたエッジを残していく性格が分かり、この点に於いてAUTO-ALPAモデルとは性質が違うように印象を受けました。

要はAUTO-ALPAのほうはトロットロにボケ始めてしまうのでシャボン玉ボケのエッジをこれだけ残しながら滲む性質ではないと受け取りました。

二段目
さらにその破綻したシャボン玉ボケが次第に溶けて円形ボケへと変わり背景ボケに至までをピックアップしていますが、やはりここでもAUTO-ALPA(涙)のトロットロなボケ方とはまだまたせ程遠い印象しか残りません。

特に左から2番目の写真などをAUTO-ALPAで同じシ〜ンを写せば「まるで水彩画の如くトロットロ」に溶けていたと推測できそうです。

三段目
左端のピント面の鋭さに画の周辺域まで観ると収差の影響が何だか少ないように感じます。収差の影響はどちらかと言うとAUTO-ALPAのほうが多分に残っていたように感じます。ある意味PORST製のほうが「端正に整った鋭さと写り方」のように見えます。逆に言うならAUTO-ALPAのような乱れていく印象がだいぶ少ないように受け取りました。但しこの乱れていく要素は決して悪い評価としての話ではなく「良くも悪くも個性としての乱れ方」と捉えているのでAUTO-ALPAならではの乱れ方とも言いましょうか。

そのような乱れ方や残存収差の影響をあまりこのPORST製には見出せないような気がします。そして何よりも決定打だったのが右から2枚目の被写界深度です。AUTO-ALPAに比べるとだいぶ広めの光学設定に設計しているように見えます。

これらの話はあくまでも当方が観た実写の印象であって昨年来からの取っ掛かりとしての動機のような内容です。

それではここからさらに踏み込んでいきます・・。

右図はCHINON製モデルの標準レンズの光学系構成図で以前扱ったCHINON 50mm/f1.7 MACRO multi coated (M42)オーバー ホールの際に光学硝子清掃時に当方の手でデジタルノギスを使って 逐一計測したトレース図です (2016年なのであまり正確ではない)。

モデルとしては標準レンズですが最短撮影距離27cmまで近接撮影できるので仕様諸元値からしてAUTO-ALPAと全く同一であって、もっと言うならカタログ上でも「標準レンズ」の括りでありCHINONのカタログからして決して
マクロレンズとして記載していません
!(以下英文カタログ抜粋ですがよく読んでみて下さい)

左図はCHINON製オールドレンズ群カタログからの抜粋で光学系の構成図が掲載されており見るととても近似している印象を受けます。

少なくとも当方にはこの構成図をしてAUTO-ALPAの構成図とは掲載できません (CHINON 製品と似ているから)。

↑同様に英文のCHINON製オプション交換レンズ群一覧を示したカタログからの抜粋です。焦点距離域括りの目安として色分けされており、 色部分のモデルが広角レンズ域になり 部分が標準レンズ域、さらに 部分は中望遠レンズ域で最後 色はズームレンズです。

もしも仮にマクロレンズ域のモデルだけを抽出するなら中望遠レンズやズームレンズ域の欄に 含まれる「MACRO」表記モデルも一緒に括ったほうが分かり易いカタログ掲示になりますがそうしていません (MACRO表記モデルの3本を一緒に色分けしていない)。

つまり上のカタログで紹介しているCHINON製標準レンズは確かにモデル銘にもレンズ銘板にも「MACRO」刻印を伴いますがCHINON社内での認識として標準レンズ扱いだったのが一目瞭然です。それなのに着信したメールの参照先某有名処サイトでは最短撮影距離27cmを以て「マクロレンズだ!」と括ってしまったからこんな話になっています(泣)

たかが受け取り方の違いだけの話で何でこんなに大騒ぎするのかと言われれば元も子もありませんが、然しメールを送信してこられた方の想いとしては納得がいかず、合わせて当方も同じ気持ちだったのでここまで拘っているのです。逆に言えばおそらく最短撮影距離27cmで検証し評価していなければこんな大きな話には膨らんでいなかったとも推察できます (つまり標準レンズ域モデルとしての受け取り方)。

一方こちらの右図は先日オーバーホール済でヤフオク! 出品したAUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)』のほうの構成図で、やはりオーバーホール工程の 中で光学硝子レンズ清掃時に当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測したトレース図です。

先日解説したとおり光学系の設計が一つ上のCHINON製モデル (標準 レンズ) とは全く異なります。

そしていよいよ右図が今回扱ったPORST製品のほうの構成図で、同様オーバーホール工程の中で光学硝子レンズ清掃時に当方の手でデジ タルノギスを使って逐一計測したトレース図です。

例えば第1群前玉の外径サイズはピタリとAUTO-ALPAと同一ですがそれ以外の厚みや曲率に光路長など、或いはスリーブ環の厚みまで 含め全てが別モノの計測値になりました。

つまりこれら3つのモデルに実装されている光学系は「全てが別モノでいちいち再設計して 作られていた光学系」と評価できます。

↑そして決定的な相違点の写真が上の1枚です。光学硝子レンズの第1群前玉を撮りましたが、ご覧のとおり薄く褐色系の色合いが光学硝子材についています。これは経年で焼けてしまった「コーティング焼け」ではなく光学硝子のどの部分を拡大撮影しようとも全て同一の色合いなのが確認でき「クラウン系光学硝子 (つまりランタン材)」を含有させていると推測できます。

ランタン材を光学硝子材に含有させることで一般的に最大で10% (1.13) 屈折率を向上させる事が叶うのでこの当時他社光学メーカー含め世界中で活用されました (実際このモデルでの 屈折率は不明)。

またそれ以前 (特に1950年代19660年代) には「酸化トリウム」を光学硝子材に含有させた俗に「アトムレンズ (放射線レンズ)」と呼称される設計も採られましたが経年でブラウニング現象が起きてしまい「赤褐色化」する為1970年代に入ると世界中で含有を取りやめる傾向になりました。

もちろん今回放射線量を量ってみても特に一般的な数値しか示さないので「ランタン材含有」と結論した次第です。但し第2群以降は全て無色透明なので第1群前玉にだけ光学硝子材に ランタン材を含有させたとみました (その根拠が以下の解説です)。

するとここで初めて前述の光学系構成図 (3つ目に掲載した構成図) を見た時に辻褄が合います。光学系第2群と第3群の曲率がAUTO-ALPAモデルよりもさらに変化してより互いの間に空間がとられ「屈折率を稼いだ」設計に変更したのが分かります。もちろん絞りユニットを 挟んで後群側の光学系第4群貼り合わせレンズも絞りユニット側面の曲率がさらに大きくなっている計測値 (より大きくカーブしている) で「全てが理に適う」方向に結論付けできると考えた次第です。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

もう一度言います。先日扱ったAUTO-ALPAモデルのほうはランタン材を含有していません。

↑上の写真は今回扱ったPORST製品のほうの鏡筒です。実は先日のAUTO-ALPAのオーバーホール工程の中で同じように赤色矢印で指し示して切削が切れている箇所を指摘しましたが、こちらのモデルでは切削が切れていません!(驚)

それがどうしたのか・・と言う話なのですが(笑)

実はこのページの後のほうで仕上がった出品個体の最小絞り値まで閉じた時「f16の閉じ具合」写真を掲載していますが「AUTO-ALPAモデルと全く異なる絞り羽根制御をしている」事が判明したのです。

AUTO-ALPAのほうは相当絞り羽根が閉じきっている「f16」の閉じ具合なのですが、今回のPORST製品はそんなに閉じきりません。つまり先日ご案内したオーバーホール工程の中で出てきた「伝達カムの駆動範囲がPORST製品のほうが狭い」からこそ上の写真で赤色矢印で指し 示したように切削箇所が切れていないのです (設計時点での誤差±0.02mmなので切削工程でのズレではない)!(驚)

ここで全ての辻褄が合ってしまい前述の前玉にランタン材を含有させた話と何もかも整合性が執れてしまいました。

そしてグリーンの矢印で指し示した箇所がもう一つの重要ポイント (製品発売時期のタイミングを推定するポイント) になりました。

鏡筒内外に「マットな梨地仕上げメッキ加工を施していない」のです。写真撮影がド下手なので(笑)上手く撮れていませんが、普通のメッキ加工だけしか施されず「艶消し梨地仕上げ」ではないのです!(驚)

これがいったい何を意味するのか・・???

そこで先日AUTO-ALPAのほうで「ALPA-SWISS control」と当時ALPA-SWISSが謳って宣伝していたのを思い出したのです。

要はALPA-SWISSがCHINONに対して技術指導して作らせた製品である事を一生懸命謳っていたワケですが、そんな謳い文句が必要なくらいに「状況が追い詰められていた」とも受け取れると改めて考えた次第です。

つまり「一番最初に登場したのはもちろんCHINON製標準レンズ」だとしても其の二番手で契約を取ったのは旧西ドイツのPORSTだった事がこれらの事実から浮かび上がってきたのです。

とは言ってもこれら製品が登場した時期は全てCHINON製一眼レフ (フィルム) カメラ「CE II MEMOTRON」の発売タイミングですから非常に近い時期でそれぞれが出揃ってきた話になります。

左写真は当時1975年〜1976年に旧西ドイツのPORSTで発売されたCHINON製一眼レフ (フィルム) カメラ「CE II MEMOTRON」を原型モデルとして海外輸出専用OEMモデル「PORST reflex M-CE」で、この時同じタイミングで発売されたオプション交換レンズ群は全てのモデルが距離環ローレット (滑り止め) に合皮製のプクプクしたクッションを伴う独特な意匠でした。

ここで今一度考えてみてください・・。

もしも仮にAUTO-ALPAモデルが先にCHINONと契約して先発で発売していたのならはたしてALPA-SWISSは旧西ドイツのPORST製品発売を許可したでしょうか???

とても近似した光学系の設計を踏襲されたまま送り出されたらALPA-SWISS側の優位性はだいぶ低くなっていたと考えます (タダでさえ日本製で用意してきた時点で当時相当なバッシングを受けたらしいので)。

おそらくはCHINON純正モデルのほうのレンズ銘板すげ替え策で対応するよう要請してきた ハズです。

逆に言うならそこに「ALPA-SWISS control」と謳わざるを得なかった背景が隠されている のではないかと当方はみました。

つまりCHINON製純正の標準レンズ登場の後、それに目を付けて先発で契約を取ったのは旧西ドイツのPORSTであり、その後にALPA-SWISSが既に自社内製に限界を感じておりCHINONに契約話を持ってきたとすれば「ALPA-SWISS control」謳い文句の必要性に駆られていた現実感が強くなりますし、実際に絞り羽根の開閉角度を再設計させて、且つ光学系の設計も逐一 注文を付けてきたとなればこれらの話の全てが辻褄が合い納得できます。

そんな背景がたかが鏡筒内外の「マットな梨地仕上げメッキ加工の有無」をチェックしただけで浮かび上がってきた次第です。

観察と考察』に努めることでこんな時代背景が推測できロマンが広がっていきます・・(涙)

ちなみにALPA-SWISSが差別化にこだわり絞り羽根の開閉角度をイジった設計に変更したが為に「絞り羽根油染みの脅威が増した」が故に「マットな梨地仕上げのメッキ加工の必要性が 高くなった」のは理に適うワケです (最小絞り値の時に絞り羽根の閉じる量が増大した分経年で揮発油成分による絞り羽根同士の癒着度合いが増大するのでマットな梨地仕上げの加工に 効果がもてる)(笑)

オールドレンズ・・本当にオモシロイです!(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

オーバーホール工程や内部構造、或いは各構成パーツなど詳しい解説は先日アップしたAUTO-ALPA製品と全く同一なのでAUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。先日のAUTO-ALPAに引き続き今回扱ったこの個体も「とんでもなくスカッとクリア」な光学系に「マジッでこんなに軽くていいの?」みたいな距離環を回すトルク感でピントの山がアッと言う間のこのモデルに非常に適した操作性を実現した仕上がりに至っています。

もちろんさんざんこの前のオーバーホールで指摘したとおり「必要最低限のグリースしか塗布していない」ですし、当然ながら鏡筒内部の両サイドにある「直進キーガイドの溝部分には
グリースなど一切塗っていない!
」のは当たり前の話です (基本的に当方のオーバーホールでは毎回必ず同じですが直進キーガイドの溝部分には一切グリースを塗りません!)(笑)

逆に言えば過去メンテナンス時に必ず直進キーガイドの溝にグリースがビッチリ塗られているのが当たり前の状況なので、まず以て製産時点とは異なる所為が罷り通っていると言わざるを得ません (今現在も数多くの整備会社でグリースを塗ったくって仕上げています)。

どうして経年の揮発油成分流入を嫌うが如くマットな梨地仕上げでメッキ加工されている箇所にまでグリースを平気で塗る気持ちになるのか当方には皆目見当が付きません!(怒)

もしも例を挙げて指摘するなら、では光学系内の光学硝子レンズの間にグリースを塗っても 良いとこのブログ記事をご覧頂いている貴方は思いますか???

いくらド素人だとしてもそんな処置を施したらありがた迷惑だと誰だって言いますョ!(怒)

そういう事を平気で今もなお数多くの整備会社の整備者が (プロらしいですョ?!) 処置して いるのです!(怒)

当方は自らを決してプロとは自称しませんが (実際プロじゃないので!)(笑)、はたしてそのようなプロの整備者の方々は恥ずかしいとは思わないのですかねぇ〜!(笑)

冷やかしや誹謗中傷メールは年間に数十件も送信してくるくせに、現場的な技術スキルの話として語り合うメールを一切送ってこない現実に何の恥ずかしさも感じ得ないと言う、全く以て感覚が麻痺しまくっているプロの整備者ばかりです!

合わせて過去メンテナンスが一度だけ施されているのを確認しましたが、その際に処置されてしまった整備者による「ごまかし整備」も全て正し「本来あるべき姿に戻した逸品」として 完成しています。

ちなみにこのモデルの海外オークションebayでの流通価格帯は通年通して6万円台後半7万円台後半でおそらくAUTO-ALPAモデル高騰の影響を受けて年々市場価格が上がりつつあると考えられます。

↑ハッキリ言って指摘する事が無いくらいに「マジッで透明感もの凄ッ!」レベルです(笑) LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑もちろん光学系後群側も「スカッとクリア」で極薄いクモリが皆無なのは当たり前です。

なお光学系は前群側も後群側も全ての光学硝子レンズでそのほとんどがアンバーパープル色ブル〜色のコーティング層蒸着でAUTO-ALPAのような大変珍しいオレンジ色のコーティング層蒸着はありませんでした。またグリーン色の蒸着も無いので前玉の硝子材にランタン材を含有させて光学設計を再設計しただけで済んでいるようです。

左写真で赤色矢印で指し示したようにこのモデルの構造を知らない過去メンテナンス時の整備者の手でマウント面にマーキングされてしまい線引きされています (当方がやったのではありません/削れているので消せません)(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:11点、目立つ点キズ:7点
後群内:14点、目立つ点キズ:7点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前群内に複数あり)
(前後群内極微細で薄い4mm長ヘアラインキズあり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

なお当方では一部の『転売屋/転売ヤー』が処置している鏡胴や筐体外装を 抗菌剤や洗浄剤などで拭いたりしていませんから、それら薬剤の成分により
近い将来的にメッキ加工が剥がれたり酸化/腐食/錆びする事はあり得ません。

当方が施しているのはDOHであり何某かの薬剤を使ってピッカピカに仕上げているだけではありません。その目的も処置内容も何もかも違いますし全く以て別次元の話です(笑)

しかしそうは言っても・・当方も同じ穴の狢『転売屋/転売ヤー』なのは間違いありません(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・距離環を回している時カリカリ音が聞こえる場合がありますが絞り連動ピンからの操作アームが鏡筒内で開閉アームを擦っている音なので問題ありません(クレーム対象とせず)。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・距離環の合皮製ローレット(滑り止め)は一部に亀裂や割れが生じていますが接着しています。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『PORST COLOR REFLEX MC 50mm/f1.7 Macro ⌀52 F(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑念の為に当方所有M42マウント規格のマウントアダプタに装着して絞り羽根の挙動をチェック済です。このK&F CONCEPT製マウントアダプタにはオールドレンズ側マウント面に「1㍉弱の突出」がありますがマウントアダプタ側の仕様です (赤色矢印)。

この時に絞り環を回して最小絞り値「f16」にセットした時の絞り羽根の閉じ具合を撮影したのが左写真で、確実に最小絞り値「f16」まで ちゃんと閉じています (簡易検査具で確認済)。

またこの時のマウントアダプタ側ピン押し底面は「凹面側を上に向けてセット」で正しく適切に駆動できていることを確認しています。

↑合わせて日本製のM42マウント規格マウントアダプタ「Rayqual製品」も装着確認しています。同様やはりオールドレンズ側マウント面に「1㍉弱の突出」がありますがマウントアダプタ側の仕様です。

このマウントアダプタも内側に「ピン押し底面」が備わっており、オールドレンズをネジ込んでいくと強制的にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を最後まで押し込んでいきます。

その時に絞り環操作して最小絞り値「f16」に設定するとちゃんと正しく「f16」まで絞り羽根が閉じきっています (簡易検査具で確認済)。

↑当レンズによる最短撮影距離27cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

ちなみに開放f値「f1.7」ですが絞り環の刻印では停止位置が「●」刻印されている箇所になります (f1.7の位置で停止しない仕様です)。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。極僅かですが「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。