◆ CHINON (チノン) AUTO CHINON MCM 55mm/f1.7 MULTI COATED LENS MACRO《富岡光学製》(M42)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません
今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、国産の
CHINON製標準レンズ・・・・、
『AUTO CHINON MCM 55mm/f1.7 MULTI COATED LENS MACRO《富岡光学製》(M42)』です。
このモデルは標題のとおり『富岡光学製OEMモデル』ですが、他に全く同一の内部構造と構成パーツのままレンズ銘板と光学系コーティング層蒸着を変更した輸出モデル『PORST COLOR REFLEX MCM 55mm/f1.7F MULTI COATED LENS MACRO《富岡光学製》(M42)』があります。
この2つのモデルで括ってカウントすると、今回扱う個体が累計で8本目にあたり、その中でチノン製モデルは5本目、さらに純然たるオーバーホール済でのヤフオク! 出品個体となると「僅か2本目」と言う状況で、10年間でたったの2本ですから相当手に入れるのが大変な モデルの一つです。
すると8本中の6本がオーバーホール/修理ご依頼分による個体だったワケですが、実は今回 出品する固体も合わせた「8本全てに於けるバラす前の状態」を敢えて指摘するなら、正直なところまともに「適切な微調整を経て完璧に組み上げられていた個体がゼロ!」と言う状況で何と全滅状態だったワケです!(笑)
逆に言うなら、特異な内部構造とその駆動概念から「原理原則」を熟知していない整備者の手に架かると、ハッキリ言ってまずまともに組み上げられません!(笑) もっと言うなら「バラした時の手順と位置関係で組み上げると適切に至らない」ので、無限遠位置やピント合焦など事前にチェックしていて、組み上げ後も同じなら適切と言えると反論が来ます(笑)
ところがこのモデルの最大の難関は「鏡筒の固定位置が決まっている為に光路長の微調整機能が別に用意されている点に誰も気が付かない」事であり、この点に於いて100%正しく組み上げられていた個体が今までに「ゼロ!皆無!」と言う話を言っているワケです(笑)
もっと言うなら「富岡光学製オールドレンズの意味不明な設計」の代表例の如く、どうして そんな微調整機能を設計/装備してしまったのかいまだに納得できない仕組みだからです。この微調整機能の事を正しく認識でき、且つ組み上げ工程の中で「正しくその微調整機能を使って光路長確保されていた個体がゼロ!皆無!」なのだと言っているのです。
この点について当方が意識して考察したのには理由があり、某有名処のサイトで当時コシナがスイスのピニオン社との契約で製産した「AUTO-ALPA MACROモデル」があり、そのモデルとの比較で「ボロクソにケチョンケチョンに批判」された為に、何とも不遇な現状に甘んじているからなのです。
然しながら、そのような濡れ衣/冤罪で苦しい状況に貶められてしまっているにもかかわらず「熱烈なファン」がいまだに (本当に僅かながらも) 顕在なので、その方々の為だけを想い今回のオーバーホールに臨んだ次第です(涙)
但しそうは言っても「AUTO-ALPA MACROモデル」より優れているワケではないので、どうしても最高峰の鋭さを狙うならALPAモデルを探すほうが良いかも知れません。
願わくば・・このモデルの本来あるべき姿に戻ったこの個体で、その魅惑的な使い出の良さと写りをご堪能頂ければ・・まさにそれだけで本望です!(涙)
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
1977年チノンが一眼レフ (フィルム) カメラ「CE-3 MEMOTRON」を発売したタイミングで、合わせてオプション交換レンズ群を一新 しており、今回扱うモデルはその中の標準レンズの一つです。
当時の取扱説明書をチェックすると、それ以前の1976年時点で登場していたフィルムカメラには全く記載がないので、今回扱うこのモデルの発売時期を1977年と判定しています。
また合わせて別の焦点距離「50mm/f1.7 MC MACRO」も掲載されており、おそらくこのモデルこそが「AUTO-ALPA MACROモデル」の原型ではないかと踏んでいますが、当方はアンチコシナ派なので いまだに扱っておらず不明なままです (最短撮影距離:27cm)。
左写真はその「AUTO-ALPA MACROモデル」で最短撮影距離を27cmとさらに短縮化しているので、おそらく光学系の設計も手を加えているとみています。
はたして光学系の設計までイジったのか否かは扱っていないので不明なままです。
なお当方がコシナを嫌う理由は当時のVOIGTLÄNDERやCarl Zeissの商標権利用と技術提携を執っているにもかかわらず、それら現在発売しているマニュアルフォーカスレンズに各モデルの特徴が継承されておらず「コシナ製レンズを買わされている」という企業姿勢に賛同できないからであり、且つコシナサポートの対応も融通が一切利かず、あくまでも自社製品の問題ではなく装着先カメラボディ側マウント規格の問題と突っぱねるスタンスに極度の違和感を抱くからです (自分達で設計は自由になるハズなのにそれを認めようとしない)。
このコシナサポートの問題は、以前「Nikon Sマウント規格」のコシナ製品をオーバーホール/修理した際に、そのモデルのヘリコイド (オスメス) が「僅か3列しかネジ山が存在しない」為にトルクを与えられず、ご依頼者様の要望から問い合わせた次第です。そのたったの3列しかないネジ山にトルクを与える方法は塗布するグリースの粘性を硬めにすれば良いのか、或いは何か理由があって3列のネジ山に留めているのか情報を得たかったワケです。
しかし、コシナサポート (コシナサービス) の対応は「Nikon Sマウント規格の問題」の一辺倒で全く対応せず、ヘリコイドのネジ山設計は自在なのにどうして3列なのか不明なままだったのです。もちろん対応グリースの情報も全くヒントすら得られず終始変わらず「Nikon Sマウントが悪い」と、当方にはどう考えても不条理な理由付けだったからです。
それ以来、そもそもコシナ製品の内部構造にも納得がいかない不条理な設計が多く、とても後々のメンテナンスまで考慮した/配慮した設計を採っておらず、もっと言うなら自社サービスでもサポートを次から次へと終了している始末で、もう当方では扱う気持ちが失せてしまったのが正直な気持ちです。
↑上の写真は今回の個体をバラし始めた時に撮影した、溶剤で洗浄する前の鏡筒写真です。
すると鏡筒の両サイドに1本ずつ「直進キー」という真鍮 (黄銅) 製の板状パーツがネジ止めされていますが、その「突出量が互いに異なる」点をグリーンの矢印で指し示しています。
もちろん正しくは「両サイドで直進キーの突出量は同一」であって、要は過去メンテナンス時の整備者がこの点を全く意識せずに組み立てていた事がバレてしまった次第です(笑)
逆に言うなら「直進キーが多く飛び出たほうが良いのか少ないほうが良いのかの判定すらできない」整備者だった事がバレバレです(笑)
さらに指摘するなら、実は今までに扱った8本中5本でこの「直進キーの突出ミス」が起きており、全く気がついていなかった事が明白です。この「直進キー」の突出量や表裏、或いは 向き (両サイドのどちらにいずれの直進キーを固定すれば良いのか) など、相当細かくその根拠があるのですが、それらは「原理原則」に則れば自ずと確定する話であって、当方はいちいちメモ書きなどして残していません(笑)
もちろんそれら細かい問題が適切に処置されなかった為に、では「それが因果関係となりどのようなトラブルを引き起こすのか?」まで当方は逐一指摘する事が可能ですし、実際そのように処置すれば組み上げた時に想定したトラブルが発生します(笑)
そういう問題が何一つ理解できないから「単にバラして同じ手順で組み戻す」から、いつまで経ってもオールドレンズの適切な状態「本来あるべき姿」が見えてきません(笑) 従って何本 同じこのモデルを整備したところで、そういうレベルの整備者は全く進歩しません。
そういう整備会社が・・実は今も居るワケで本当に困ったものです(笑)
↑同じく当初バラしている最中に取り出したヘリコイドの内外筒を「溶剤で洗浄する前の段階で撮影」しました。
このモデルはヘリコイド (オスメス) が「内筒/外筒」と2種類存在するダブルヘリコイド方式の設計ですがアルミ合金材削り出しです。過去メンテナンス時に「白色系グリース」が塗布され、且つ経年でアルミ合金材のネジ山が摩耗してしまった「摩耗分が混じって濃いグレー状に変質」している状態です (グリーンの矢印)。
↑上の写真は、当方の手で「磨き研磨」を施した後に溶剤で洗浄してから撮影した写真です。
本来このようにピッカピカのアルミ合金材でネジ山が切削されています。
↑この状態のままグリースなどを一切塗らずにそのまま各ヘリコイド筒をネジ込んでしまった 写真を撮りました(笑)
金属材の事を知っている方ならよ〜く心得ていますが(笑)、アルミ合金材のネジ山を互いに 潤滑油やグリースなど塗らずにネジ込むと「カジリ付現象」でネジ山が噛んでしまう懸念が 高くなります。
ところがご覧のようにスルスルとグリースなど全く必要ないほどに軽く回っていきます(笑)
正直な話、今回のオーバーホールではこのまま軽めのグリースを塗ってしまうとツルツルしたような回転になり、特にこのモデルはピントの山が「アッと言う間!」なので、前後動させる時の違和感を排除する目的から「敢えてトルクを与えた仕上がり」で組み上げています。
しかし実際は/現実は当初バラす前のトルク感は相応に重く、とてもピント合わせし易く感じる印象にはほど遠い状況でした。
↑そしてこの左側から鏡筒が内部に入りますが「鏡筒の固定位置はネジ止めで決まっている」設計なので、組み込んだ光学系の「光路長確保」が必要になるものの、それがまさに上の写真のヘリコイド (オスメス)「内筒/外筒のネジ込み位置微調整」で決まる設計概念を採っており、この点に誰も気が付かないから「重いトルク」だったり無限遠位置、或いは最短撮影距離位置が「詰まった印象で突き当て停止」下手すればまさに今回の個体のようにガチャガチャと距離環やマウント部までがガタついたままだったりします(笑)
そんな個体が今までの8本の中に何本もあります・・(笑)
もっと言えば、このモデルは距離環の固定箇所を自在に変更できるので、それで無限遠位置を合わせた仕上げ方をしている過去メンテナンス時の整備だったりするので「結果的に適切な 光路長を確保しておらず甘いピント面に至る」のが、そもそも今までの8本の状況です (8本全て!)。
従って、某有名処のサイトで貶されまくった個体も、或いはショップの個体も正しく光路長が確保できていない懸念が捨てきれませんが、いずれにしてもケチョンケチョンの評価です(笑)
↑上の写真は「基準ヘリコイド」を当方の手で「磨き研磨」した後に溶剤で二度目の洗浄を施してから「下に敷いているティッシュペーパーで拭った時のティッシュの状態」を赤丸で囲った中に示しています。ティッシュを指で掴んで拭っているので多少折れ曲がったりしていますがティッシュが切れたり裂けたりしている箇所がありません!(笑)
一方、左の写真は当方が「磨き研磨」を施す前に溶剤で古いグリースなどを洗浄した後、やはりティッシュペーパーでネジ山部分を拭った時の「切れたり裂けたりしている箇所」を撮影しています。
普通、アルミ合金材のネジ山は本格的な面取り加工を施していない為そのままティッシュペーパーでネジ山をグルッと1周拭うと100%必ず切れたり裂けたりします。
この滑らかさこそがまさに当方が拘る「DOH」の成せるワザであり、結果として必要最低限のヘリコイドグリースを塗るだけで用が足りるので「将来的に光学系内のコーティング層に影響を及ぼす懸念を低減できる」のがその目的です。要は絞り羽根の油染みも含め、コーティング層を傷める要素になり兼ねない「揮発油成分の排除」こそが、カビの発生まで防げるワケで、まだまだ使えるようにする処置と言えます。
そんなこんなで、今回は汚名挽回を賭けて誠心誠意想いを込めて「たった一人の熱烈なファンの方」の為だけに頑張りました・・(涙)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は「AUTO CHINON MCM 55mm/f1.7 MULTI COATED LENS MACRO《富岡光学製》(M42)」のページをご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました。ハッキリ言ってこのモデルでちゃんと鋭いピント面を確保したまま「軽いトルク感」で組み上げられている個体を手に入れるのは相当大変だと思います(笑)
と言うのも、海外オークションebayでもこのモデルの出現率は1年間に1〜2本なので、合わせて光学系の状態まで加味するとなかなかポチッとできなかったりします(笑)
↑残念ながら今回の個体も光学系内の状況は良くなく、届いた時点では中玉に全面に渡る薄いクモリが残り、且つご覧のような目立つキズがありました。
全面に渡る薄いクモリが生じていた中玉は光学系第3群にあたり、その薄いクモリの正体は「経年で厚塗りされ続けた締付環の反射防止黒色塗料のインク成分」だったので、不幸中の幸いでスカッとクリアになりました。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
ご覧のとおり第3群の中央付近におそらく過去メンテナンス時に付けられてしまった当てキズが1点目立つキズとして残っています。
↑光学系後群側は貼り合わせレンズのコバ端が何と「黒マジック塗り」だったので(笑)、今度は紫色のインク成分が後群側に附着しており、少々剥がすのに苦労した次第です (おそらくコーティング層と化学反応していたか?)。
またやはり後玉表面側/外側に経年相応なカビ除去痕が数箇所残り、且つ薄く微細なヘアラインキズなども数本残っています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(後群側にカビ除去痕複数あり/極微細なクモリを伴う/LED光照射で視認可能)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(極微細で薄い8mm長ヘアラインキズ数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:あり
(2mm長の目立つキズ第3群中央付近に1点あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
(特に後玉表面側にLED光照射でようやく視認できるレベルのカビ除去痕に附随する非常に薄いクモリが数点残っています)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。上の写真を見ると「歪な正六角形」に見えますが、真正面から見れば歪ではないのが分かります。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
① HAKUBA製MCレンズガード (新品)
② 本体『AUTO CHINON MCM 55mm/f1.7 MULTI COATED LENS MACRO《富岡光学製》(M42)』
③ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
④ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
↑上の写真は距離環を無限遠位置「∞」に回して突き当て停止した状態の「後玉の突出具合」を示しています。グリーンの矢印のとおり最大で「2㍉後玉が飛び出る」ので、無限遠位置のまま不用意に下向きで置いたりすると後玉の中央に当てキズを付けかねませんからご留意下さいませ。
今回出品個体はせっかく素晴らしい操作性で軽いトルク感でピント合わせできるよう仕上げましたが、残念ながら光学系内には相応に拭きキズや当てキズ、或いはカビ除去痕などが残っており手放しで喜べませんが、少なくとも透明度が高い状態を維持できているので写真にも一切影響がなくまだまだ十分に使えます。
海外オークションebayでも年に1〜2本の出現率で、市場流通価格も近年高騰し続けており3万円前後〜状態の良い光学系になると5万円後半と割高の傾向です。
さらに今までの解説のとおり本来の適切な光学系光路長の微調整をシッカリ施していない個体がほとんどである点まで勘案すると、このモデルで完璧な状態に整備された個体を期待するのは相当難しいとも考えられます。
実際、今回のオーバーホールで「どんだけ鋭いピント面に仕上がったのか」は、以下のオーバーホール後の実写でご確認頂けると思います。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい。当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません。
↑当レンズによる最短撮影距離28cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
上の写真 (2枚) で、1枚目は最短撮影距離「28cm」での開放実写で、2枚目は被写体全景が入るよう「50cm離れた位置での開放実写」です。
↑上の写真は、このオーバーホール後の実写で実際に開放f値「f1.7」のままヘッドライトの何処にピントを合わせて撮ったのかを拡大撮影で撮って説明している写真です。グリーンの矢印が指し示すとおりヘッドライトの本当に電球の球部分 (ちょうど猫の目のような縦線) に合焦させているのを示していますから、どんだけ鋭いピント面で撮影できているのかがご理解頂けると思います。
なお某有名処ではピント面の外側に色収差/色滲みが現れていると指摘していますが、確かにそれはだいぶアウトフォーカス部の周辺領域になれば開放撮影時で視認できますが、少なくともこの個体や今までに扱った7本で光路長を適切化した場合で「ピント面のすぐ外側に色滲みが出ていた事は皆無!」です。
逆に言うなら、開放撮影時に周辺領域に色収差の影響が現れるオールドレンズなどは、それこそ指摘できないほどたくさん顕在するので、そんな点まであたかも性能劣化として指摘されては、全く以てこのモデルにしてみれば「濡れ衣状態」としか受け取れません。
『転売屋/転売ヤー』であるが為に信用/信頼が皆無ですが、きっとご落札頂くたった一人の方にはご賛同頂けるのではないかと、敢えてこの場で申し上げました。
そして最後にオールドレンズを愉しむ本質を問えば・・それはそれぞれ各人の好みや感性などに訴える「収差まで含めた写り」と、そのオールドレンズが辿ってきたであろう「背景」に、実際の撮影で手順を踏むその「操作性」などに、趣味嗜好の趣が募るワケで、それを等倍鑑賞で逐一批判されては、イコールそれら「オールドレンズライクなファン層」の趣味嗜好まで 否定している事になり、当方は哀しい気持ちになります。
どのオールドレンズをどのように愉しむのか、それは個人の自由なので、そのモデルの良し 悪しを徹底的に批判するのはある意味「差別化」にも受け取れます。そのような環境や前提をヨシとする勢力には、当方は賛同できませんし加担したいとも決して思いませんね・・(涙)
どんなに酷評されようとも、そのオールドレンズに愛着が湧くなら、最大限の誠意を以て尽くしオーバーホールを完遂したいと当方は思います!
従って、某有名処のファンの皆さんから、或いは等倍鑑賞派皆さんからの批判は甘んじて受け入れます・・(涙)
↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。1枚目が最短撮影距離:28cmで、1枚目が50cm離れた位置からの全景写真です。
↑さらに回してf値「f2.8」で撮っています。1枚目「最短撮影距離:28cm」に2枚目「50cmの位置」からの撮影です。
↑f値「f11」での撮影ですが、そろそろ「回折現象」としてピント面に解像度の低下が現れ始めています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
↑こちらの写真は某有名処でボロクソだったので(笑)、同じように木製のお椀の縁にピントを合わせて「開放f値:f1.7」で撮影しています。
↑ピント位置をさらに拡大撮影しました。グリーンの矢印で指し示した「黒っぽい木目の節部分」にピントを合わせて撮っていますから、撮影時にちゃんとピント位置を鋭くチェックできている事を示しています。またこの写真をRGB別に成分合成してみれば、ピント面に色滲みが存在するのか否かもきっと判明すると思いますが、当方は「等倍鑑賞しない派」なのでやりません・・純粋に撮った写真が気に入ればそれだけで十分です!(笑)
撮った写真に一喜一憂するのが楽しいワケで、そんな写真を眺めながら酒の肴にしてロマンを膨らますのもまた愉しい一日の締めくくりになると考えるワケで・・当方は「そちら派」ですね!(笑)
・・とは言っても『転売屋/転売ヤー』の当方が言っているに過ぎないので(笑)、敢えて某有名処の批判を否定しません。
従って極少数ながらも「熱烈なファンの方」がきッといらっしゃると信じ、その方の為だけに一生懸命オーバーホールした次第です。
是非ご検討下さいませ・・。