◎ ALPA-SWISS ( アルパ・スイス) AUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA SWISS MULTI-COATED(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、スイスは
ALPA-SWISS製標準レンズ・・・・、
AUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)』です。


なんだか上手く解説できておらず申し訳ない限りですが・・(泣)
このモデルAUTO-ALPAも別に解説しているPORSTのほうも両方とも発売元はCHINONでありCHINON製標準レンズをその原型としていますが、これら3種類のモデルを設計/製産していたのはコシナだと当方はみています。
この3種類のモデルに富岡光学は一切関わっていません。PORSTモデルのほうも富岡光学製ではありません!
一部の方に認識の違いがあるようなので補足させて頂きました・・。

例えば同じCHINON製の標準レンズでも他のモデルの中には登場時期を別にしてCHINON内製品もあるようですし非常に種類が多くて設計/製造元が入り乱れている印象です。
あくまでも筐体外装の意匠が近似している今回扱ったモデル3種類のモデルについての考察としてご認識頂くと助かります。



↑上の写真は一段目〜二段目ともに左から順にCHINON製標準レンズ、AUTO-ALPAモデルにPORSTモデルです。これら3種類のモデルに関し筐体外装意匠も仕様諸元値もさらに最短撮影距離27cmまで全て同一仕様ですが光学系の設計だけはそれぞれで全く異なります。
(つまりレンズ銘板をすげ替えただけではない/その描写性もそれぞれで違うと考察しています)

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当方がオーバーホールを始めて10年が経ちましたが今までに一度も扱ったことがない初めてのモデルです。

なおこれらCHINON製標準レンズで最短撮影距離27cmまで近接撮影できるモデルを集中的に扱っているその理由はこの後にアップしている「PORST製モデル」の解説ページで冒頭に掲示しています。ある方から届いたたった一通のメールが引き金だったのです・・(涙)

元来ALPA-SWISS (アルパ・スイス) はスイスのヴォー州Ballaigues
(バレーグ) で1918年創業の時計部品メーカー「Pignons S.A. (ピニ
ヨン)」社により1952年に発売され一眼レフ (フィルム) カメラ「ALPA ALNEA Model 4」から始まる高級一眼レフ (フィルム)
カメラのシリーズ銘です。

採用したマウント規格はスピゴット式「ALPAマウント規格」で同じくスイスのシネレンズで 有名なKern-AARAU社から1951年に発売された標準レンズ「Kern Aarau SWITAR 50mm/
f1.8 AR
(ALPA)」から始まるレンズ群があり、いまだに銘玉中の銘玉と揶揄され続けています (右写真はALPA ALNEA Model 6)。

その魅力は何といっても標準レンズでありながら1/3倍撮影が可能な最短撮影距離28cm まで寄った時のトロットロなボケ味が今もなお溜息混じりで語られ続けています (初期モデルは最短撮影距離55cmだった)。

モデル銘も1958年には「KERN-MACRO-SWITAR」へと変わり「MACRO (マクロ)」銘が 附随し、その後に日本の光学メーカーでも一時期は標準レンズの最短撮影距離を延伸させた「MACRO表記を伴う標準レンズ」が流行ったりしました。

1970年代に入ると日本光学メーカーの台頭が著しくなり1976年にはCHINONとの委託製産を契約して一眼レフ (フィルム) カメラ「ALPA Si2000」を発売し1980年発売のSi3000を最後に撤退していきます (右写真はSi2000)。

原型モデルはCHINON製「CE-II MEMOTRON」ですが専用モデルとして再設計しているようです。またこの時用意された標準レンズは 従前の「KERN-MACRO-SWITAR」光学系をCHINON製標準レンズの鏡胴に実装した「KERN MACRO-SWITAR 50mm/f1.9 AR (ALPA)」だったりします。

今回オーバーホール済でヤフオク! に出品する『AUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)』は初めての扱いですが、実は2016年にこのモデルの原型 モデルと思しきCHINON製品の標準レンズをオーバーホールしました。

CHINON 50mm/f1.7MACRO multi coated (M42)」ですが「最短撮影距離27cm」と同一で鏡胴意匠から諸元値まで含め仕様が同じな為ネット上の様々な解説でも原型モデル、或いは下手するとレンズ銘板をすげ替えただけと解説されることが多いようです(笑)

しかし当方は以前からこれらモデルの実写を観ていて今ひとつ納得できていませんでした。

それは原型モデル、或いは下手すれば同一製品にはどうしても受け取れない「ボケ味の違い」と「円形ボケのエッジ表現の相違」ひいては「ピント面のエッジの表現性」に違いを見出していた為に、おそらくは「光学系の設計は別モノ」と踏んでいました。

何故なら今回扱うモデルの海外オークションebayでの流通価格が6万円台11万円台と高額である一方、仮に原型モデルだとすればCHINON製標準レンズのほうはせいぜい3万円台がいいところです(笑)

もしも仮に単にレンズ銘板をすげ替えただけなのだとすれば「ALPA銘が入るだけで倍額以上に高騰したまま流通している」話になり、さすがにそのような理由に倍額を払うのも人情とは納得できませんでした(笑)

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上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケが滲んで円形ボケへと変わり背景ボケに溶けていく様をピックアップしています。これら実写はAUTO-ALPAモデルほうになりますが、CHINON製モデルに比べて圧倒的にシャボン玉ボケのエッジ表現が明確に残っています (但し標準レンズ域の焦点距離なのでシャボン玉ボケの大きさ自体は小振りなまま)。

当方が注目したのはそれらシャボン玉ボケなどの円形ボケのエッジ表現で「明確にエッジが 精鋭化している」点に光学設計の相違を見出しました。さらに言うならその鋭く表現された円形ボケのエッジがすぐにトロットロに溶けていく感じがCHINON製モデルには見出せません (CHINON製モデルのほうは滲み方が雑っぽく感じる)。

これらの印象は150枚以上の実写を観ていく中で感じた印象です。

二段目
さらに収差ボケを左側2枚でピックアップしています。乱れた収差の影響を多分に残した背景ボケですが、それにしては素直に滲んでいくのがAUTO-ALPAモデルの特徴です。一方CHINON製モデルは極端に収差ボケの印象が拭えません。

さらに特徴的だと強く感じたのが右側2枚の実写でこれほどまでにトロットロに溶けてしまうと「まるで水彩画の如く」とも見えてしまいそうな何とも溜息しかでない素晴らしい滲み方です。

三段目
ところが左側2枚の実写のとおりピント面のエッジ表現には誇張感が全く感じられず違和感がありません! ピント面のエッジ表現を徹底的に自然に出るよう (違和感に至らないよう) 何某かの意図が働いているようにしか見えません。さらに3枚目とのハスの花のピンク色の表現性の素晴らしさ! これはもぉ〜溜息しかありません!(涙)

最後の右端のコントラストが高い描写と比較しても非常によ〜く分かりますがグラデーションがあまりにも美しすぎます。残念ながらこれらのベタ褒め要素は(笑)、CHINON製モデルには どうしても見出せなかったのです。

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上の写真はFlickriverで、CHINON製モデルのほうの特徴的な実写をピックアップしました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
背景ボケの滲み方で前述のAUTO-ALPAモデルの表現性に近似した実写をピックアップしましたが、実はこれ以外にトロットロの滲み方で溶けていった実写がありませんでした。つまり収差ボケの現れ方は似ていてもシロットロに溶けていく要素はCHINON製モデルには見出せなかったという判定です。

二段目
ピント面のエッジが鋭くでてくる傾向はこちらのCHINON製モデルでも踏襲しますが、やはり背景ボケのトロットロ感が垂れないような印象を受けます。もっと水彩画の如く淡く溶けるように滲んでくれないと納得できません。またコントラスト比が高いのは理解できるのですが暗部の潰れ方が雑なようにも受け取れます。それは逆光耐性で観ても右端の実写の如く極端さが拭えません。

これらの実写の印象から当方は「光学系の設計が違う」とみて今回扱う気持ちに至りました

そして決定的な証拠をこれから解説していきます・・。

光学系は5群6枚の拡張ダブルガウス型構成でダブルガウス型構成の第2群貼り合わせレンズを敢えて故意に分割させてしまうことで先鋭化と滲み方の両方をコントロールしているように見えます。

右構成図はCHINON製モデルたる「CHINON 50mm/f1.7MACRO multi coated (M42)」のほうの光学硝子レンズを計測したトレース図になりますが2016年時点での計測値なので大凡と受け取って頂いたほうが良いです (今現在ほど複数計測して平均値をとっていなかったから)。

するともう既に気がつかれた方もいらっしゃると思いますが(笑)、ネット上の解説でAUTO-ALPAモデルのほうの光学系構成図として頻繁に掲載され解説されている構成図とも言えます。

実際某有名処のサイトでもこの構成図がAUTO-ALPAモデルのトレース図として載せられて いるように見えます (その真偽は不明)。

こちらは今回扱った個体を完全解体してオーバーホールした際にバラした光学系の光学硝子レンズ清掃時に当方の手によりデジタルノギスを使って逐一計測したトレース図です。

おそらくこの光学系構成図はネット上を探しても何処にも載っていないと思います(笑)

全ての群の厚みも曲率も外径サイズさえもビミョ〜に違っており、ハッキリ言ってCHINON製モデルとは全くの別モノです!(驚)

さらに今回デジタルノギスで逐一計測して分かったのはCHINON製モデルのほうにある第1群前玉と第2群との間の隙間がほぼない状態、或いは第4群貼り合わせレンズと第5群後玉との間の隙間もありません。もうほとんど互いの光学硝子レンズが接触しているかの如く近い位置で格納される設計を採っていました (CHINON製構成図を見ると微かに隙間があるのが分かる/実際に僅かな隙間が生じる設計でスリーブ環の厚みも違っていた)。

その反面今回のAUTO-ALPAモデルでは第2群と第3群の間の空間で曲率が異なる点も印象的でした。より屈折率を上げていることが分かりますし、もっと言うならCHINON製モデルに あったグリーン色のコーティング層蒸着が今回のAUTO-ALPAでは極僅かで、逆に何と「濃いオレンジ色のコーティング層を蒸着していた」と言うまず以てほとんど見かけない色合いの コーティング層でした!(驚)

特に大きな相違点は光学系第4群の貼り合わせレンズにそのカタチからして別モノなのが一目 瞭然です。また当方がこのように指摘するとウソを載せているとSNSで批判されるので以下に証拠となる写真を載せます(笑)

↑上の写真は今回扱うオーバーホール済でヤフオク! 出品する個体AUTO-ALPA 52⌀ 50mm
/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED
(M42)』光学系を左端から順に第1群 (前玉) 〜 第5群 (後玉) まで並べて撮影した写真です。

特に第2群の光学硝子レンズにニュートンリング/ニュートン環状に虹色が写っているのは硝子レンズの剥離などではなく(笑)、そもそも貼り合わせレンズではないので (単独の一枚の硝子 レンズ) たまたまそのように写っているだけです。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤/バルサム剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

バルサム切れ
貼り合わせレンズの接着剤/バルサムが経年劣化で剥離し始めて白濁化し薄いクモリ、或いは反射が生じている状態

ニュートンリング/ニュートン環
互いに接触している2枚の凸平レンズに生じる同心円状の複数のリングが視認できる状況

↑上の写真は光学系の第4群だけを表裏でひっくり返しつつ撮影しました。前述光学系構成図で最初にご案内した構成図の第4群のカタチとは全く違うのがご理解頂けると思います。特に貼り合わせ面の箇所の設計自体がそもそもネット上に数多く掲載されている構成図の第4群とは別モノなのが明白です (CHINONモデルの構成図では貼り合わせレンズ面が二重ではない)。

もちろん第4群に限らず他の全ての群の光学硝子レンズでサイズや厚み曲率が異なります。

ちなみに上の写真で光学硝子レンズのコバ部分 (光学硝子レンズの切削面/外周) の黒色着色は過去メンテナンス時に整備者により着色された「反射防止黒色塗料」なので今回のオーバー ホール時には溶剤で除去しています。

何故なら製産時点に着色されているならこのように剥がれたりしないからです (もちろん溶剤にも溶けない)。

どうして今回のオーバーホールで溶剤を使ってワザワザ剥がすのかと言えば正しい位置で光学硝子レンズが格納筒の中にセットする為です。結局過去メンテナンス時に着色されたこれら「反射防止黒色塗料」のせいで抵抗/負荷/摩擦に至り正しく確実に格納筒の中にセットされ ない事が多いからとも言えます。

当方は今まで10年間で3,000本を超えるオールドレンズをバラして整備してきましたが、そのような因果関係で「甘いピント面に堕ちてしまった個体」を数多く見てきたからに他なりません。

逆に言えば「製産時点の光学硝子レンズ格納筒の内壁の処置で明確になる」とも言い替えられます。

これらの写真から前述のネット上で数多く掲載されている構成図がCHINON製モデルのほうの構成図でありAUTO-ALPAモデルとは別モノなのがご理解頂けると思います。

詰まるところ「CHINON製モデルとAUTO-ALPAモデルとではその描写性が異なるとしても 至極当然な話」と言えないでしょうか・・少なくとも当方はそのように結論しました。

実際当時「ALPA-SWISS Control」と謳われていたくらいなのでCHINONに対し具体的な技術指導が成されていたことは推測できます。そして実際に光学系の各群の諸元に相違があるとなれば真実味が増すとも考えられるワケで・・ロマンが膨らみますね!(笑)

オールドレンズは本当に楽しいです!(笑)

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。当初バラす前の チェック時点で鏡胴意匠からCHINON製モデルを原型にしていると予測できますが実際に完全解体でバラしてみると内部構造や各構成パーツの仕様がほぼ同一である事が判明しました。

但しそうは言っても光学系に関するパーツは別モノで再設計されている事が分かります (つまり鏡筒内部と光学系がビミョ〜に異なる)。この点からも冒頭解説を補強する要素に至ると考えます。

そしてCHINON製モデル同様にハッキリ言ってこのモデルも「超高難易度モデル」で当初バラした時の手順とは全く異なる順序で組み上げ工程を進めていく必要がありますし、もっと言うなら微調整機能を有する箇所が複数ありますが、他の部位との関係性で微調整を執る必要が ありすぎるので一筋縄ではいきません(笑)

おそらくプロレベルの整備者でなければバラしたはいいが正しく適切に組み上げが適わないという結末に至るくらいのどうしようもない難しさです(笑)

もちろん推測の域を出ませんがおそらく製産時点には治具が用意されていて他の部位との関係性をその工程でしっかり執れる (予測できる) 組み立てをしていたのだと考えます。そうでなければ他の部位との関係性からその都度再びバラして微調整しなければならず、とても合理的な設計ではありません。

逆に言うならある意味このような不条理な設計を好んで採っていたのが当時のコシナ製オールドレンズの特徴であり(笑)、まさに整備者スキルが試されるような印象です(笑)

ちなみにこの当時の富岡光学製オールドレンズの設計も「意味不明な設計」が出てきたりしますが(笑)、コシナ製モデルはそれを遙かに凌ぐほどに部位別の関係性を無視した行き当たりばったりな構造です。

こう言う点はハッキリ言って光学メーカーには一切見出せない要素なので、もちろんNikonやCanon、或いは当時のMINOLTAやKONICA、PENTAXなどなどの数多くのオールドレンズにはこんな不条理な設計は見つけること自体できません(笑)

如何にどうしようもない設計を採っていたのか、下手すればいまだに似たようなことをヤリ 続けているワケで「当方では基本的にコシナ製品は扱わない」のがポリシーです(笑)

今回はALPA向けの製品として当時発売されたモデルなので仕方なく手を出した次第ですが・・正直もう二度と扱いたくないくらいの難しさです(笑)

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。鏡筒の外回りにヘリコイド (オス側) の ネジ山が切削されています。

ちょうど上の写真で内部を見ると切削箇所が分かりますが「一部に繋がっていない切削」が あります (赤色矢印)。それぞれの切削切り欠き箇所はちゃんと意味があるので別にこのような切削であっても良いのですが、実は前述のように鏡筒外回りにヘリコイド (オス側) のネジ山を備えているので「アルミ合金材の応力」から考えるとこのような繋がらない切り欠き部分は 影響を受け易く大手光学メーカーはあまりヤラない手法です(笑)

逆に言うならこれら切り欠き箇所に附随する構成パーツの設計 (大きさやカタチなど) をほんの僅かに変更すれば済む話であって敢えて好んでこのような切削手法を採る必要性が見出せませんね(笑)

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑上の写真は光学系の各群の光学硝子がセットされる「格納筒」で前群用と後群用の2種類が 用意されています (赤色矢印)。するとご覧頂くと分かりますが特に前群用の格納筒は「内側が段々に階段状」なのが分かります。

光学系前群側には全部で3枚の光学硝子がセットされ後群側は2つの光学硝子が入ります。

附随する「締め付け環用のネジ山」をそれぞれの格納筒でチェックすると「互いに1箇所しか存在しない」のが明白であり、要は「光学硝子レンズの落とし込み方式」を採った設計なのが一目瞭然です。

つまり光学系前群は前玉を締め付け固定する締付環が1個しか存在せず、同様に後群側も後玉を締め付ける締付環が1個だけなので、このオールドレンズの光学系には「光学硝子の締付環がたったの2個しか存在しない」話になります(笑)

例えばこの当時も含め現代まで続くロシアンレンズにはこの「落とし込み方式」による光学系の設計がまるで当たり前の如く数多く存在しますが(笑)、一方国産のオールドレンズとりわけ 大手光学メーカーの製品となればたいていの場合で「締付環を用意して格納箇所を確定させる設計を採る」のが定説です。

従ってこのような与件一つをとっても甚だこれがALPA向け製品なのかと信じられない印象が 拭えませんが(笑)、現実としてこんな設計を採っているので仕方ありません(笑)

ちなみに上の写真を見ると分かりますが格納筒内外は全てが「マットな黒色梨地仕上げメッキ加工」であり、落とし込んでいく格納方法としても可能な限り格納位置を確定させたい想いが伝わってきます。

逆に指摘するなら今回の個体をバラした直後の光学硝子レンズはコバ端に過去メンテナンス時の「反射防止黒色塗料の着色」があり、ハッキリ言ってバラす前の実写確認時点で「こんな 程度なのか?」的なピント面の鋭さを感じていた因果関係がハッキリした感じです(笑)

もうこのブログでも何度も何度も指摘し続けていますが「過去メンテナンス時整備者の自己 満足大会」というお話です(笑)

↑さらに光学系の前後群には上の写真のとおり「スリーブ環」という環/リング/輪っかがそれぞれ存在します。この環/リング/輪っかは光学硝子レンズと光学硝子レンズの間の空間を埋める役目を持ち「確実な光路長を確定させる役目と反射防止目的」を兼ね備えた設計概念です。

↑従って実際に光学系前群を仮組みで積み上げていくとこんな感じで「前群用格納筒に収納 される」イメージが掴めると思います(笑)

段々に階段状に格納されていくのがおわかり頂けると思いますがちゃんとスリーブ環も前玉の次に格納されて適切な光路長が確定されます。そして前述のとおりこの前玉の上にようやく「締付環」がネジ込まれて光学系前群の格納が完成する概念です。

↑今度は同様に光学系後群側を積み上げました(笑) 考え方は同じですが、実は第4群の貼り 合わせレンズだけは「厚みの半分以上が外に飛び出てくる仕様」を採っており剥き出しになるのでその箇所の反射防止は鏡筒が担っている設計です。従って光学系後群格納筒に収納されるのはちょうど上の写真で第4群を指し示している赤色矢印の箇所辺りから格納筒の中に収まっているイメージです。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

↑光学硝子レンズの「落とし込み格納方式」のイメージを解説してきましたが、ここで再び工程に戻ります。上の写真ではこのコシナ製モデル (発売元はCHINONだが設計製造はコシナと みている) に備わる特異な設計概念を説明しています。

何と鏡筒内側の両サイドに「直進キーガイド」という溝が備わりそこを「直進キー」が行ったり来たりスライドする (ブルーの矢印) 為鏡筒が繰り出されたり/収納したりする仕組みです。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

ここで今一度写真をチェックすると分かりますが「鏡筒内外は全てマットな梨地仕上げメッキ加工」が施されており経年でオールドレンズ内部に廻る揮発油成分の附着を極端に嫌っていることが分かります。

ところが当初バラした直後にはこの「直進キーガイド (溝)」部分には過去メンテナンス時に 塗られてしまったグリースがビッチリ残っていました(笑)

この個体は当初調達する際に「絞り羽根が一切出てこない絞り羽根開閉異常の個体」だった ワケですが、その因果関係は「過去メンテナンス時に塗られてしまったグリースのせいで絞り羽根が油染みで癒着しまくっていた」次第です(笑)

いったい何の為に設計者が敢えてワザワザ鏡筒内外を「マットな梨地仕上げメッキ加工」したのか「観察と考察」が全くできておらず、且つ「原理原則」にも至らないどうしようもない 整備者のスキルです(笑)

しかしこのモデルは「超高難易度モデル」なのでシロウト整備ではなくプロの手による整備 なのにこんなレベルです!(笑)

そもそも前述の「直進キーガイド」の箇所でさえ「マットな梨地仕上げメッキ加工」が施されているのにどうしてそこにグリースを塗りたくなるのですかねぇ〜!(笑)

↑今度は鏡筒最深部にセットされる絞りユニットを構成する「開閉環位置決め環」を並べて写しました。開閉環には「長い開閉アーム」が備わります。ここに絞り羽根の各キーが刺さって具体的に開いたり閉じたりの動きをします。

写真を見れば一目瞭然ですが、これらのパーツも同様「マットな梨地仕上げメッキ加工」ですから揮発油成分を嫌っているのが分かると思います。

↑長々と解説してきましたが、要は上の写真のとおり絞りユニットをセットしてもなお「あらゆる箇所がマットな梨地仕上げメッキ加工」である点が最大のポイントです。

当然ながら今回の当方のオーバーホールではこれら設計者が揮発油成分を嫌う箇所に当方は 一切グリースを塗りません (当たり前の話しをしているのです)(笑) それでもちゃんとブルーの矢印のように全く抵抗/負荷/摩擦を感じずに「開閉アームが動く」からこそ適切な絞り羽根の開閉駆動が適う次第です。

ここまでの解説の中のいったい何処にグリースが必要な箇所があったでしょうか???(笑)

世の中の整備者は十分に反省してもらいたいです・・!!!(怒)

↑完成した鏡筒をひっくり返して裏側にある制御系機構を撮影しました。「制御環」と言う 名称の環/リング/輪っかがあってそこに「伝達カム」に備わる「キー」がカチンと突き当たることで設定絞り値が決まり絞り羽根の開閉角度が伝達されます。

制御環」に附随するなだらかなカーブの窪んだ箇所が「最小絞り値側」になり、反対の突き出している箇所が「開放側」です (ブルーの矢印)。

従ってこの「制御環」が絞り環に連結すれば絞り環操作で絞り羽根開閉が適う原理ですね(笑)

ところが前述してきた絞りユニット内部にもこの「制御環」にも、或いは絞り環との連携時にも三つ巴で「絞り羽根開閉角度の微調整機能」がそれぞれに備わりチョ〜面倒クサいったりゃありゃしない!(泣)

何故に3箇所を使ってたった一つの微調整たる「絞り羽根の開閉度合いの調整」をさせるのかマジッで頭に来るくらいに「???」です。

フツ〜のオールドレンズならこれら絞り羽根開閉角度の微調整機能は「1つしか存在しない」ワケで、せいぜい多くても富岡光学製オールドレンズでの「2箇所」程度ですから、いったい何の根拠があって執拗に微調整させるのか本当に理解に苦しみます!(怒)

しかもこのような話がコシナ製オールドレンズではまるで当たり前のように設計されている から当方はいまだにコシナ製モデルに関わりたくないのです!(怒)

↑チョ〜面倒くさい工程を終わらせてようやくここまで辿り着きました(笑) 距離環やマウント部を組み付ける為の基台です。

↑この基台にはそれぞれヘリコイド
(オスメス) が順にネジ込まれます。ちなみにヘリコイド (オス側) は鏡筒ですね(笑)

ちなみにそれぞれのネジ山を見ると何となく地が剥き出しになっているような印象の箇所が斑模様で複数ありますが、これはアルミ合金材の切削加工時に配慮が成されていないだけの話ですから経年の酸化/腐食/錆びなどではありません。

要は丁寧な切削に仕上げる気持ちがないのです・・(笑)

この当時のオールドレンズで言えば東京光学や栗林写真工業、或いは三協光機などなどが似たような印象の仕上げ方で、一方大手光学メーカーは必ずキレイな面取り加工までキッチリ仕上げているのでこんな事になりません(笑)

↑まずは無限遠位置のアタリを付けた正しい位置までヘリコイド (メス側) をネジ込みます。
最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

↑同様に無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションで鏡筒 (ヘリコイドオス側) をネジ込みます。このモデルでは全部で19箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると 最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑ようやく無限遠位置が確定したのでここで「制限キー」と言うパーツをセットします。赤色矢印で指し示した側が「無限遠位置」になり、他方グリーンの矢印で示したほうが「最短撮影距離の位置」です。

従ってこの2つの位置で距離環がカツンカツンと突き当て停止するので無限遠位置と最短撮影距離で止まる話です。

↑距離環をセットしました。

↑この状態でひっくり返して鏡筒裏側部分を撮りましたがちゃんと両サイドに「直進キー」が刺さっています。しかしもちろんグリースは塗っていません(笑)

それでもちゃんと軽〜いトルク感で本当に気持ちよく繰り出し/収納ができる仕上がりです。

要はグリースを塗ったくるだけが脳ではないと言う話です!(笑)

↑ベアリングとスプリングを組み込んでから絞り環をセットして「連係アーム」がやっと接続されます。これで絞り環を回せば「制御環」が移動してなだらかなカーブの位置が変化するので「カムのキー」がカツンと突き当たり設定絞り値が伝達される原理です。

上の写真では開放状態になっていますね(笑)

↑上の写真はマウント部内部を写していますが本来セットされるべき各構成パーツを全部取り外して当方の手で「磨き研磨」した後での撮影です。

すると赤色矢印で指し示していますがちょっと撮影が下手クソなので分かりにくいですが(笑)、一部に「鏡面仕上げの平滑面」が備わるのに過去メンテナンス時にはここにもグリースを塗ったくってくれました(笑)

↑A/M切替スイッチ部が締め付け固定されるのが前述の平滑面なのですが「スイッチ環」と言う感/リング/輪っかにベアリングとスプリングが組み込まれてカチカチと切り替え動作が適います。

一方マウント面から飛び出る「絞り連動ピン」とその伝達機構部もセットされたのが上の写真でマウント部の完成形です。

マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルーの矢印①) そのチカラが伝達されて「開閉レバー」が動きます (ブルーの矢印②)。或いは同様にA/M切替スイッチの動作で (ブルーの矢印①) やはり「開閉レバー」が動きます (ブルーの矢印②)。

以前扱ったCHINON製モデルの時も同じでしたが過去メンテナンス時の整備者の手によって「ペンチなどを使って故意に強制的に曲げられて角度が変わっていた開閉レバー」だったので、再び当方の手により「正しく適切なカタチに戻した開閉レバー」が上の写真です(笑)

本当に毎度ながら面倒くさいです・・(泣)

この「開閉レバー」の傾きや角度がズレると鏡筒内部の「開閉アーム」をちゃんと設定絞り値の分に見合う位置まで動かすことができなくなり結果的に「絞り羽根開閉異常」に至ります。

全く以てロクなことをしません・・!(怒)

↑ようやくマウント部をセットしてこの後は光学系前後群をバラバラと落とし込んで格納し無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

ハッキリ言ってほとんどの工程で手を焼いたのは過去メンテナンス時に施された「ごまかしの整備を正す作業」ばかりで(笑)、この「超高難易度モデル」たる理由の微調整を制覇する難しさ以外に面倒な作業までヤラされる始末で(笑)、詰まるところ過去メンテナンス時の尻拭いをさせられているのは当方と言う結末です(笑)

オールドレンズとは実際いつもこんな話なのですがね・・(笑)

本来あるべき姿」で佇み機能する仕上がりに正している次第です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。これでもかと言わんばかりにスカッとクリア!な光学系に「マジッでこんなに軽くていいの?!」みたいな話のトルク感に仕上がったこの個体は、今までさんざん解説してきたとおり必要最低限のグリースしか塗らなくてもこのように仕上がるのだと言うまさに見本みたいな話です(笑)

グリースを塗られてしまい酸化/腐食/錆びが進んで抵抗/負荷/摩擦が発生してしまい (マウント部内部のスイッチ環の話) 必要以上のチカラがかかったことで折れてしまった「A/M切替スイッチのツマミ」だけは接着しましたが、他には何一つ問題箇所はありません (皆無です)(笑)

少なくとも光学系の設計が異なることを掴めたので当方としては当初の目的は完遂になりますが、正直な話やはりコシナ製モデルは扱いたくないのでいくらALPA向けモデルとしても今回が 最初で最後かも知れません(泣)

逆に言うならコシナ製オールドレンズはそれほど酷い設計です。この当時も今ドキのデジタル向けマニュアルなモデルも数多くオーバーホールしましたが当方には向いていません!!!

関わりたくないです・・(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

当初バラす前のチェック時点では光学系内第2群か第3群に全面に渡る薄いクモリが生じていましたが完璧に完全除去できています。経年の揮発油成分だったようです (それもそのハズで前述のとおり直進キーガイドにグリースが塗ったくられていたので)。

こんなに「スカッとクリア」なら海外オークションebayでの市場流通価格帯で言うところの11万円台に匹敵します!(驚)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も前群同様LED光照射で極薄いクモリが皆無です。極微細で薄い点キズやヘアラインキズなども幾つか残っていますが全て写真には一切影響しません。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:19点、目立つ点キズ:14点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:17点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前群内に複数あり)
(前後群内極微細で薄い6mm長ヘアラインキズあり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内の透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です)
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

左写真のとおり装備しているA/M切替スイッチのツマミが一部折れており接着しています (赤色矢印)。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環やA/M切替スイッチ共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:軽めと超軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人によって「軽め」に感じ「全域に渡って完璧に均一」です。
・距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が伝わる箇所があります。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。
・絞り環操作も確実で軽い操作性で回せます。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・A/M切替スイッチのツマミ部分が折れており接着して修復しています。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-Nフィルター (新品)
本体『AUTO-ALPA 52⌀ 50mm/f1.7 FOR ALPA-SWISS MULTI-COATED (M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (中古品)
純正樹脂製スナップ式前キャップ (中古品)

パッと見で「/」に見えてしまう極微細な点キズが光学系内に残っていますし微細な塵も数点ありますが「スカッとクリア」な透明度を維持した光学系は海外オークションebayをチェックしていても市場流通価格帯が10万円11万円台ですからたいしたものです。

また合わせて距離環を回すトルク感はこのモデルのピントの山がアッと言う間なのを考慮して「軽め」に仕上げてあるので、ジックリとピントのピークを前後動して合わせられる操作性の良さを追求してあります。

もちろん絞り連動ピンからの絞り羽根開閉動作も俊敏で絞り環操作時のクリック感も適切な範疇です。

総じてよく仕上がっているレベルの個体になりました。是非ご検討下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑念の為に当方所有M42マウント規格のマウントアダプタに装着して絞り羽根の挙動をチェック済です。このK&F CONCEPT製マウントアダプタにはオールドレンズ側マウント面に「1㍉弱の突出」がありますがマウントアダプタ側の仕様です (赤色矢印)。

この時に絞り環を回して最小絞り値「f16」にセットした時の絞り羽根の閉じ具合を撮影したのが左写真で、確実に最小絞り値「f16」まで ちゃんと閉じています (簡易検査具で確認済)。

またこの時のマウントアダプタ側ピン押し底面は「凹面側を上に向けてセット」で正しく適切に駆動できていることを確認しています。

↑合わせて日本製のM42マウント規格マウントアダプタ「Rayqual製品」も装着確認しています。同様やはりオールドレンズ側マウント面に「1㍉弱の突出」がありますがマウントアダプタ側の仕様です。

このマウントアダプタも内側に「ピン押し底面」が備わっており、オールドレンズをネジ込んでいくと強制的にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」を最後まで押し込んでいきます。

その時に絞り環操作して最小絞り値「f16」に設定するとちゃんと正しく「f16」まで絞り羽根が閉じきっています (簡易検査具で確認済)。

↑当レンズによる最短撮影距離27cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

ちなみに開放f値「f1.7」ですが絞り環の刻印では停止位置が「●」刻印されている箇所になります (f1.7の位置で停止しない仕様です)。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」での撮影です。

↑f値「f11」です。フード未装着なのでフレアが現れています。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。さらに「回折現象」の影響も現れました。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。