♦ CORFIELD (コーフィールド) LUMAX 50mm/f1.9 (zebra)《ENNA製》(L39)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、英国は
CORFIELD製標準レンズ・・・・、
『LUMAX 50mm/f1.9 (zebra)《ENNA製》(L39)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時のCORFIELD製標準レンズ「50㎜/f1.9」だけに限定すると僅か5本目にあたり、前回の扱い2020年以来です。
もっと光学系蒸着コーティング層の品質が維持されると思い込んでいましたが、意外にもこのモデル含め当時のENNA製委託製品群たるCORFIELD製品は劣化が早く、現在市場流通品の多くが蒸着コーティング層の劣化激しい状況です(涙)
その意味で、おいそれと手を出せずに居るワケで、調達に際し徹底的に掲載写真を画像加工かけて調べ尽くして入手している次第です(汗)
結果、今回オーバーホール済みでヤフオク!出品する個体は「素晴らしい光学系の状態を維持している」とおすすめできる逸品に仕上がっています (操作性も抜群に良いです)。
そして今回のこのブログ掲載では、改めて光学設計の経緯を調べ、新たな考察に更新した為、その辺りの解説を主体に載せていきます。
● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『LUMAX 50mm/f1.9 (zebra)《ENNA製》(L39)』のページをご参照下さいませ。
↑上に挙げた光学系構成図は、全て特許出願申請書にその実施例として掲載の光学系構成図から、当方の手によりトレースしています。
今回扱ったモデルに実装しているのは「4群5枚ユニライト型光学系」であり、その開発/設計は英国のWRAY OPTICAL WORKS LTD. (レイ光学工場株式会社) であり、合わせて製品にもその特許権を明示する公示番号「575076」を刻印し、まさにWRAY所有特許に基づき光学系を設計しているとして告知しています。
確かにこのモデルの製産会社は同じく英国の「CORFIELD (コーフィールド)」社ですが、実際に製産しているのは旧西ドイツはENNA WERK (エナ工業) であり、いわゆる「委託製産」に該当するも、そもそもENNAに同じ光学設計や筐体の製品が存在しないので「決してOEM製品ではない」点について、特にネット上の解説時などには配慮が必要です・・なお、この製造元メーカーの発音はローマ字的発音の「エンナ」ではなく、ドイツ語として捉えるならその発音は「エナ」が正しいのでヨロシクお願いします(笑)
上に挙げた4つの光学系構成図は、どれも同一の系統樹に属する光学設計概念に入ることが、これらのカタチから見てとれます。
左端から順に内容を述べていくと、まさに今回扱ったモデルの光学系後群格納筒のフチに明確に刻印し明示しているパテント「PAT. 575076」の特許出願申請書掲載図面からのトレース図です (左端)。
2つめはそのWRAY OPTICAL WORKS LTD.から1950年代初頭に発売された製品の開発時に特許出願申請された掲載図面からのトレース図です (後ほど製品写真を添えて解説)。
さらに3つめは旧西ドイツはSchneider Optisch Werke (シュナイダー光学製造) から発売された、中判/大判向け製品開発時の特許出願申請書に載っていた構成図からのトレースです。
最後右端は旧東ドイツはCarl Zeiss Jenaから発売の中判向け製品発売のタイミングで申請された特許出願申請書からのトレース図です。
・・するとここで或る一つの事実が見えてきました。
いずれも巷で (今ドキは)「4群5枚のビオメター (ビオメタール)/クセノター (クセノタール) 型光学系」とネット上で頻繁に呼称されますが (当方も呼んでいた)、今回改めて特許出願申請書の記述を読み漁ったところ、その考察を更新して「4群5枚ユニライト型光学系」とまとめることに改めました(汗)
ちなみに当方は現代のドイツ語発音に倣うので「ビオメタール/クセノタール」と語尾に「ル」発音を強調して付随する呼称を使いません。そもそも製品開発国たるドイツ語として捉えるなら「ビオメター/クセノター」との発音であり、もちろん英語も同じです。
語尾に「ル」を伴いたいなら、その発音をする国を調べると有名処、且つちゃんと「ビオメタール/クセノタール」と発音する国は「アイスランド・イタリア・ウクライナ・エストニア・オランダ・クロアチア・スロバキア・セルビア・チェコ・ハンガリー・フィンランド・ポーランド・ルーマニア・ロシア」辺りで、凡そ東欧~北欧圏の国に多いのが分かります・・どうして皆さんは語尾「ル」強調発音ばかり、オールドレンズのモデル銘に当てたがるのでしょうか (当方には理解できません)???
なお蛇足ですが、ドイツの発音がこれら東欧圏の発音と異なる背景の一つには、何度もスラブ圏の国や民族と互いに侵略や略奪/虐殺を繰り返してきた永い歴史があるからで、互いにその言語領域には譲れない文化面での軋轢が残っているらしいです (或る言語文化研究者の論文を読んで納得できたから)(汗)・・元を辿れば同じゲルマン民族のようにも思うのですが、北欧とは相容れても東欧~スラブ圏は受け入れ難い要素があるやも知れません(汗)
例えば外務省も現在のロシア軍によるウクライナ侵攻を経て、ウクライナの首都「KEIV」を「キエフ (ロシア語表記)」から「キーウ (ウクライナ語表記)」へと改めていますから、なんだかんだか言って国や民族同士の争いごとには相容れられない領域があるのだと思います(涙)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ここから前出光学系構成図の列挙で、当方の考察を改めた背景となる経緯を以下に示していきます。
↑上に挙げた特許出願申請書の記述掲載図面は極一部の抜粋ですが、最も古い時代まで遡って時系列で昇順に❶→❽としています (出願日時順)。
実はここに挙げている多くの発明者は「有名なレンズ設計者ばかり」であり、しかもいずれもまるで関所の如くそれぞれの発明には互いに参照を繰り返していたことが確認できました。
逆に言うなら、最後にまるで終着駅のように到達する旧西ドイツはSchneider-Kreuznachの発明 (❼) や、旧東ドイツCarl Zeiss Jena 発明 (❽) などが、これら特許案件を順に辿ってきていたことに、今回読み漁って初めて知り得ました(驚)・・高名なSchneider-KreuznachやCarl Zeiss Jenaにしても、これら既知の発明案件を無視して独自光学系の発想には至れず、逆に言うならそれほど19世紀から脈々と続く物理学者/レンズ設計者達の情熱は、さながら的を射ていたことを如実に語っているかのようにさえ見えます(涙)
❶ 『US399499 (1889-03-12)』米国特許庁宛出願
→ Alvan Graham Clark (アルバン・グラハム・クラーク) 4群4枚ガウス型光学系
米国人天文学者が「ガウス型光学系」を絞りユニットを挟んで2枚ずつ互いに反転させて相似配置させる発明をします。これは特に当時の写真技術でその画像に歪みが多かった背景から、その探求として大きな課題でもあった「像の平面性」を追求した考案として「ダブルガウス型光学系の始祖」と当方では捉えています・・どんなに解像度や色収差を改善しようとも結像に歪みを伴っていてはその意義が薄くなります(汗)
❷ 『US583336 (1897-05-25)』米国特許庁宛出願
→ Paul Rudolph (パウル・ルドルフ) 4群6枚プラナー型光学系
ドイツ人物理学者/レンズ設計者のPaul Rudolph (パウル・ルドルフ) 博士による「4群6枚ダブルガウス型光学系」の範疇として、いわゆる「プラナー型光学系」を開発します。ザイデルの5収差 (球面収差/コマ収差/非点収差/像面収差/歪曲収差) の中で特に「非点収差改善に伴う像の平坦性を追求し、合わせて色収差の改善を狙いつつ同時に球面収差の補正を制御することで、ガウス型望遠鏡の解像度向上を成している」とその記述の中で明示しています。
ハッキリ言ってこの概念こそが後の時代、凡そ現代まで粛々と続く、特に標準レンズ域モデルの基準点の如く「起点」に据えられると当方では考察できました。それほど非常に多くの各国各レンズ設計者の特許出願申請書記述の中で、まさに参照している案件であることを知ったからに他なりません(汗)
・・或る意味、近現代に於ける光学史上の分岐点とも捉えられる偉業です。
❸ 『US660202 (1900-01-02』米国特許庁宛出願
→ Paul Rudolph (パウル・ルドルフ) 4群4枚ウナー型光学系
この発明では4群4枚の光学硝子レンズを互いに絞りユニットを挟んで対称に分離単独配置することで「比較的大口径の非点収差の改善を伴う像の平坦化に貢献し、且つ単独配置の互いの2枚の距離により空気層を介在させることで色収差の分散を生じさせつつその改善を狙える」としており、いわゆるフラウンホーファー型光学系の凹凸2枚貼り合わせダブレットに於ける色消し操作で起きる極端な制御を、むしろ回避できるとしています(驚)・・この着想が今回当方にはオドロキであり「空気層を挟むことで入射光の色消し制御に緩やかさをもたせられる」と言う次第で、まるで目から鱗です (何故なら光学硝子レンズの屈折率まで含めた成分/配合に伴う性能の限界まで捉えていることを示しているから/むしろ空気層を通過させることで自然に分散していくことを逆手に活用してしまっている発想だから)(驚)
まさにこの指摘こそが当方が以前調べ尽くして「光学史上に於ける環境整備と付随的な発明」と感嘆を覚えた、ドイツ人物理学者/光学硝子レンズ製造技術者たる「Joseph Ritter von Fraunhofer (ヨーゼフ・リッター・フォン=フラウンホーファー)」氏による功績を説明する必要に迫られます(汗)
氏はスイス人のピエール=ルイス・ギナンに師事し光学硝子レンズ製造技術を学び、1811年に「フリントガラス製造術」を発見した事実までちゃんと語る必要があります。
これは当時先進的と評された英国製クラウンガラスに対する「光学硝子精製に係る不均質性」を改善しない限り、真の研究に資さないとのフラウンホーファー自身の決心からスタートしています。
後に英国製クラウンガラスの不規則な屈折を抑えた、より優れたクラウンガラスの製造に到達し、1814年までに世界で初めて「分光器を発明」し、太陽光スペクトルの分光に570を超える暗線の存在を確認した「フラウンホーファー線」発見者でもあります (右図はその
記念切手)・・現在では数万のフラウンホーファー線 (暗線) が確認できています。
後の1817年に、このスペクトル内の暗線を活用する事で、光学ガラスレンズの屈折率を
調べる術を世界で初めて発案した功績は、光学ガラスレンズ史上特記すべき功績とも考えられています。
さらに特筆すべき功績は「フラウンホーファー型光学系の開発」であり、凹凸を2枚貼り合わせレンズとしてダブレット化することで「入射光の色消し効果を期待できる」点に着目して発明しています (右図はwikiより引用)(驚)
するとネット上では極一部の大御所様しか解説してくれませんが(涙)、少なくとも「フリントガラス精製の着目点 (光学ガラス材の品質を追求しない限り屈折率を語れない)」或いは「分光器発明に伴う屈折率検査手法の確率 (暗線の境界を利用)」そして「色消し効果を体現するフラウンホーファー型光学系の概念 (現代でも活用し続けている基礎的発明案件)」という三つ巴の発明は、もっと讃えられ崇められるべき要素だと特に強く当方は考えますが、意外にも巷で騒がれるのは「具体的な光学設計とその名称」ばかりであり、まるで観ている視線の角度が違っており本当に哀しいばかりです(涙)
・・ここでもこれら発明案件を参照していたことが明白に記述されている(驚)
❹ 『US706650 (1900-11-05)』米国特許庁宛出願
→ Emil von Hoegh (エミール=フォン・フーフ) 2群2枚ハイペルゴン型光学系
Carl Paul Görz社 (ゴルツ) に在籍していたEmil von Hoegh (エミール=フォン・フーフ) による発明で、本来の絞りユニットの位置に「風車様のモノ」が配置され、それが回転することで露光が進む仕組みだったようで、あまりにも突拍子もない発想で引いてしまいますが、広角レンズである以上、広い範囲の画角で結像を狙える発想は素晴らしいものがあると感心します。
その記述を読むと、まさに「球面収差と色収差改善の追求を完全に排除した案件である」とまで言い切ってしまうところに潔さを感じ(驚)、合わせて「その結果、非常に高い入射光の照射角度にまで対応でき、且つその照射角度に於ける非点収差のない平坦性を確保できる点で、球面対物レンズとして無制限の拡張性まで有する」との確信を持った記述で、その自信の強さに驚かされましたね(汗)
そしてそれがそっくりそのまま後世に体現されたが如く「トポゴン型光学系の始祖たる存在」なのは、誰がみても歴然ではないかとすら感動を覚えます(涙)
❺ 『US2117252 (1935-12-18)』米国特許庁宛出願
→ Horace William Lee (ホレス・ウィリアム・リー) 4群6枚オピック型光学系
いよいよ今回扱うモデルの実装光学系を語る上で、その真髄の佳境に突入していきます(笑)
戦前~戦時中のタイミングに到達すると、英国はTaylor, Taylor & Hobson社に入社したHorace William Lee (ホレス・ウィリアム・リー) が独立後、自身の会社KAPELLA Ltd.社創設後の発明であり、その記述を探ると「絞りユニットを挟んで、互いに向かい合う2つの複合凹メニスカス面を持ち、且つその前後群は互いに異なる曲がり率を有することで (つまり非対称型を意味する) 色収差・コマ収差・非点収差・歪曲収差が良好に改善され、残る球面収差は既知の発明案件よりも大幅に改善傾向に至る」としていますが、像面収差には課題を残していたようです。
そうは言ってもこの発明案件すら後々の様々な光学系発明に参照し尽くされていることから、やはり避けて通れなかった発明だったことが窺えます(汗)
❻ 『US2487749 (1944-02-25)』米国特許庁宛出願
→ Charles Gorrie Wynne (チャールズ・ゴーリエ・ウィン) 4群5枚ユニライト型光学系
今回扱ったモデルの実装光学系発明案件 (何故なら、光学系後群格納筒のフチにちゃんと刻印されているから) たる『US2499264 (1944-02-25)』米国特許庁宛出願と同じ「4群5枚ユニライト型光学系」ですが、実は光学設計自体は別モノです(笑)
この発明光学系が後の戦後に量産型として製品化したのは、唯一の完全英国製一眼 (レフ) フィルムカメラ「WRAYFLEX (レイフレックス)」向けセットレンズたる標準レンズ『”UNILITE” 50mm/f2 LONDON WRAY』になります。
(右写真は24 x 36mmフレームに変更し、40枚から36枚撮影に減じられたWRAYFLEX Ia型のモデル/他に初期オリジナルとして24 x 32mmフレームだったWRAYFLEX Iが存在する)
そのフィルムカメラはペンタプリズムではなくミラーによる反転を利用している為、ファインダーから観ると左右逆転している使い辛さが伴います(汗) 外観上はパッと見でOLYMPUS製「PEN-F」を直ぐ様思い起こしましたが、その燻銀の佇まいまで、まるで似ています(笑)
左写真はその標準レンズ『”UNILITE” 50mm/f2 LONDON WRAY』であり、後群側が突き出ているのが分かります。
この特許出願申請書の記述を読むと「大口径向けに球面収差・コマ収差・像面収差・非点収差・歪曲収差、そして色収差の改善まで成し遂げた」とし、特に蒸着するコーティング層の種別とその配合にまで言及している点に於いて、確かにおそらく直近での製品化を見据えた開発案件だったのではないかとの推測が適います(驚)
❼ 『US2683395 (1951-04-23)』米国特許庁宛出願
→ Günther Klemt (グンター・クレット) 4群5枚ユニライト型光学系
Schneider Co. Optisch Werke社 (旧西ドイツのSchneider-Kreuznach社前身) のGünther Klemt氏率いるチームによる発案で、やっとのことで有名処光学メーカー製品の中で、確かに一般民生向けとして製産され供給したSchneider-Kreuznach製「Xenotar 80mm/f2.8」に実装する光学設計へと結びつくこの4群5枚ユニライト型光学系へと繋がりました(汗)
ここまでの流れの中で「ガウス型要素を主体的に捉えてきた特許案件参照の経緯」として今回の考察で改めて認識できた事柄や、合わせて後群側での像面収差に対する課題が残っていた点も避けて通れず、結果的に当時調達可能な光学硝子レンズの性能面からユニライト型への脚光を理解したように考えます(汗)
・・何故なら、まさにWRAY発明のユニライト型光学系を参照しきっているからです(驚)
❽ 『US2968221 (1959-03-17)』米国特許庁宛出願
→ Harry Zöllner (ハリー・ツェルナー)」4群5枚ユニライト型光学系
いよいよ周知薬店を迎えます(笑) 旧東ドイツはCarl Zeiss Jena製「Biometar 80mm/f2.8」として製品に化まで進んだ発明がこの特許出願申請書になります。時系列で見た時に最後の登場であり、1959年ですから一番遅く意外だったのです(汗)
もしもSchneider-KreuznachやCarl Zeiss Jenaの発明が先に現れていたのなら、確かに「ビオメター/クセノター型」との呼称も納得の域になりますが、途中にさんざんユニライト型が鎮座しており、さらに当たり前のようにそれらを参照しているとなれば、それを無視して呼ぶワケにもいかないと今回改心した次第です(汗)
・・従って当方の考察を更新しました(汗)
大変長くなりましたが、ちゃんと特許出願申請書内で発明案件として参照している経緯を手繰ると、このようになるので仕方ありません(汗)
↑ここまでの解説でようやく、前後群が合体した構成図として完成させることができます(汗)
左の 色付したガウス型前群を流用し、且つ 色付した後群側 (中) を転用配置することで、本来の広角レンズ域のモデル (但し当時は中判/大判向けでしたが) での像面収差やその平坦性の確保から脚光を浴びたトポゴン型光学系の要素を取り入れ、バックフォーカスを考慮した一眼 (レフ) フィルムカメラ向け光学系として、今回のモデル (右) の発案が適う道筋が理解できました(汗)
特許出願申請書の記述を読み進んでいくと、これらが微妙に参照し合いながら、それぞれの発明に敬意を評しつつもその差別化に自身の発明を捧げ、さらなる改善と追求に情熱を燃やし続けていたことを知り、改めて新鮮な感覚を覚えた次第です(涙)
なお冒頭でも述べたように、委託製産先の旧西ドイツENNA WERKには、このモデルに該当する製品がありません。
一部にENNA製「Edixa COlor-Ennalyt 50mm/f1.9 (M42)」を引き合いに出し、今回扱ったモデルをその「OEM製品」と解説していますが、そもそもこのモデルは4群6枚ダブルガウス型光学系であり、絞り羽根の回転方向も逆で半自動絞り機構まで装備しています。
このモデルを扱ったことがありませんが、当方の推測では「OEM」には当たらないとみています。
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『LUMAX 50mm/f1.9 (zebra)《ENNA製》(L39)』のページをご参照下さいませ。
ご覧のとおり内部構成パーツ点数は、当時の旧西ドイツ製モデルにしては大変少なく、或いは同じENNA製品群と比較しても明らかに少ないです(汗)
そもそも当時のENNA製品群につきものの「各構成部位を締付環で締め付け固定する際、さらにイモネジを1本用意して追加で締め付けていた周到さ」が委託製産のCORFIELD製品群には僅かしか無く、その設計基本概念がENNA製品群とは別モノです(汗)
但し唯一ENNA製を語れる要素は「懸垂式ヘリコイド駆動方式」を採っており、これは当時のENNA製品群に共通項的に採用していた製品設計なので納得できます。
当方では「ヘリコイドオス側ネジ山がとても薄く、且つ基台の上部だけでぶら下がった鏡筒を支える方式を指して懸垂式と捉えている」次第です(汗)
この時、絞り羽根の開閉操作で鏡筒に伝わるチカラは、ぶら下がる鏡筒側面から鏡筒内部の絞りユニットに伝達される為「ぶら下がる鏡筒を横方向から操作し続けながら繰り出し/収納を続けける方式には負担が大きい」との懸念を当方は抱いていますし、実際の駆動状況もまさにそのままです(笑)
今回の個体調達に際しては、やはり何と言っても近年CORFIELD製品の特にオールドレンズは「光学系の蒸着コーティング層経年劣化が激しい」リスクが高く、相当念入りにチェックしつつ入手した次第です。
《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
❶ アンダーインフが酷く/多く、全く無限遠合焦しない (ボケッ放し)。
❷ 距離環を回すトルクが重く、ピント合わせ時にマウントが回るほど。
❸ 距離環を回した時にトルクムラが酷く、単なるグリース劣化だけに考えられない。
❹ 絞り環操作時に微かな引っかかりが指に必ず伝わる。
❺ プリセット絞り環操作時は、最小絞り値端f22で詰まって止まる。
❻ 光学系内に極薄いクモリあり。
《バラした後に新たに確認できた内容》
❼ ヘリコイドグリースにウレアグリースが使われている。
❽ ヘリコイドオスメスの固定位置が全く考えられていない (テキト〜固定)。
❾ 絞りユニット内部にグリースを塗っている!(驚)
❿ 絞りユニット内部の酸化/腐食/サビが激しく、抵抗/負荷/摩擦増大。
⓫ プリセット絞り機構部の固定位置がデタラメ。
・・とまぁ~だいたいCORFIELD製オールドレンズに多い症状がほぼ出揃っている感じです。
↑当初バラした直後、溶剤で洗浄しただけの状態で撮影しました。鏡筒最深部の絞りユニット直前には赤色矢印で指し示している箇所にグリースが塗られており、そのグリースが普通に残っています(汗)
↑こちらは当方の手による『磨き研磨』が終わり、組み立てている途中の撮影です。赤色矢印で指し示している箇所には当初バラした直後にグリースが残っていましたが、当然ながら当方のオーバーホール工程ではグリースなど一切塗りません(笑)
また右横に並べているのは絞りユニット構成パーツの一つ「開閉環」であり黄銅材です。するとバラして溶剤洗浄した直後は経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビにより「真っ茶色」でしたが(笑)、当方の『磨き研磨』でグリーン色の矢印で指し示している箇所の逐一に「平滑性」が戻り、まさにグリースなど塗らずとも抵抗/負荷/摩擦など生じず駆動できます。
↑「開閉環」を組み込むとこんな感じです(笑) ピッカピカに磨いて「平滑性」を取り戻したので、ご覧のように光り輝いていると、きっと多くの皆様が「こんなに光り輝いていては迷光が
・・」(汗)と仰るでしょうが、それでは次の写真をご覧下さいませ(笑)
↑光学系後群格納筒を組み込んだところを撮影しています。すると光学系第3群がググっと絞りユニット方向に落とし込まれる位置まで入るので、そもそも「開閉環」の輝きは開口部だけに限定されるのが分かります。
↑今度はそのままヒックリ返して前玉側方向から覗き込んで撮影しています。そもそも前玉側方向にはもとからメタリックグレーな「位置決め環」が備わるので、この構成パーツをメーカーが黒色メッキ加工を施していない点で、たいして影響が起きないのが明白です (鏡筒内外の濃い紫色のメッキ塗色と比較すればよく分かる)(笑)
↑左端が完成した鏡筒であり、その外回り上部に限定して「ヘリコイドオス側のネジ山が切削されている」のをグリーン色のラインで囲っています。一方中央はヘリコイドメス側環ですが、ネジ山領域は短く/薄くなります (グリーン色のライン)。
そして基台 (右) は相当な深さを伴うものの、ネジ山領域は「上部の一部に限定」なのを、同じようにグリーン色ラインで囲っています。
このようにヘリコイド群のネジ山領域は浅く/薄く、且つ集中的に上部に備わっているのが分かると思います。すると左端の鏡筒は「凡そ3/4の長さ分がぶら下がる」ことになり、且つブルー色の矢印で指し示している箇所は、絞り環とプリセット絞り環操作により伝達するチカラが常に伝わり続ける為「鏡筒は横方向から常に抵抗を受け続けている」ことを意味します(汗)
このような構造を指して、当方では「懸垂式ヘリコイド駆動方式」と呼称しています。
このような構造設計であるが為に、市場流通する非常に多くのCORFIELD製オールドレンズ達の距離環を回すトルクが重く、或いは極端なトルクムラを伴いつつ流通しています(汗)
なお上の写真を見ても一目瞭然ですが、ヘリコイドネジ山の条ネジ部分は「ネジ山の頂上たる先端ではなく、その直ぐ直下の斜面側を平滑メッキ加工して仕上げてある」のが分かります。これがトルク制御で大きなポイントになりますね(笑)
・・従って軽く仕上げるのでなく、むしろ心地良くトルクを与えて仕上げている次第です(笑)
このように、そもそも距離環を回すトルク制御に際し、非常に多くの整備者が執る所為とはまるで正反対の概念でトルク制御しています(笑)
↑実際に組み込んでいくとこんな感じになります(笑) ヘリコイドオス側を極端に長く設計して繰り出し/収納時のチカラが必要になる概念とせず「ヘリコイドのオスメス両方で必要な繰り出し/収納量を互いに補いつつ、その時の勾配を利用して決めている」絶妙な製品設計なのが伝わります(驚)
これが当時のENNA製オールドレンズ達に共通項的に採用され続けていた「懸垂式ヘリコイド駆動方式」の設計概念の基本であり、距離環を回す時の掴んでいる指のチカラを最小限に抑えつつも、その一方で絶大な繰り出し/収納量を誇る独特な製品設計であり、そこに加わる要素には「ネジ山の平滑メッキ加工」の他「抵抗/負荷/摩擦を減じる理想的な勾配」もとても重要な手法になっているのが掴めます(驚)
ハッキリ言って、これら旧西ドイツ製オールドレンズに数多く採用されている「懸垂式ヘリコイド駆動方式」の設計概念を知って、当方のヘリコイド駆動時に於けるトルク制御面でとても参考になったのが正直なところです(汗)
「真にグリースに頼らない整備」を追求するなら、先ずは旧西ドイツのオールドレンズ達を納得行くトルク感と操作性で仕上げられるスキルを鍛錬する必要があると直言致します(笑)
↑組み上がるとこんなふうにセットされます。上の写真撮影時は当然ながらまだグリースを塗布していないものの「平滑性が担保された」からこそ、このように齧り付くこともなくスルスルと大変滑らかに、スムーズに抵抗/負荷/摩擦なくネジ込みが適います (当たり前ですが)(笑)
・・結果、当方のオーバーホールではグリースによって粘性/トルクを与えている次第です(笑)
これがまさにオーバーホール/修理などでも受付の際にご入力頂いた「仕上がり時の距離環を回すトルクのご希望」を叶える根底を支える手法であり、届いた個体のトルクよりも「軽く仕上げてほしいのか、重くしてほしいのか、或いは同じままで良いのか」の三択の中で「ご依頼者様の感覚と当方との感覚の齟齬を排除していく」からこそ、ご依頼者様にとってとても気持ちの良いトルク感として仕上げられる次第です(笑)
そんなのは当たり前の話で、人の感覚でいくらでも「重い/軽い/ちょうど良い」が変わるので、その齟齬をどうやって排除して一致させていくのか詰めていけば「自ずとトルクは与えて然るべき」というのが、当方の結論だったりします(笑)
・・その意味で「軽く仕上げる方向ばかりの整備手法」とは、当方の概念は相容れません(笑)
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わりました(涙) 2020年来の扱いですが、久しぶりに状態の良い光学系の個体に巡り会えました (それだけ念入りに調達時にチェックしたので)(笑)
その描写性は決してコッテリ系ではなく (パッと見での蒸着コーティング層が放つパープルアンバーブル~な光彩が、まるでコッテリ系の如く印象に繋がりますが) 意外にもあっさりめのナチュラル派です。
それでいて解像感のカチッとした印象からインパクト強く感じる写りなので、いわゆる「Biometar系の繊細感で押す派」とは対極に位置するように受け取れます。
その一方で白黒撮影になるとまるでグラデーションの階調表現が素晴らしく激変するようで、もしかしたらカラー印画紙よりも白黒印画紙のほうを主体的に光学設計していたのかも知れないと、勘ぐりたくなるほどに滑らかです(笑)
なおこのモデルは設計上も仕様上も「距離計連動ヘリコイド」を内包していない為、ご注意下さいませ。また組み上がり後のミニスタジオでの実写時に計測した最短撮影距離は「41cm」だったので (α7IIの撮像素子面迄の距離)、被写体とフィルター枠端までは距離は「凡そ35cm少々の実測」と、相当な近接撮影が得意だったりします(笑)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
コバ端の浮きが多いのがCORFIELD製オールドレンズの宿命だったりしますが、今回の個体は全て一旦剥がして再着色したので最低限のレベルを維持しています(汗)
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:12点
後群内:19点、目立つ点キズ:15点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に点状の微細カビ除去痕数点あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大14mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(但し第3群中央に円形状の非常に薄い拭きキズが微かに残っています)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系前群内コバ端に僅かな浮きがあります。撮影した写真に影響は現れません。
(覗き込むとポツポツと白い点状が視認できます)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑7枚の絞り羽根もキレイになり、確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正七角形を維持」したまま閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・絞り羽根が閉じる際完璧に正七角形を維持しながら閉じていきます。
・プリセット絞り機構のセットは設計上少々キツメです。確実にハマるのを確認後にご使用下さい。
(柵状の溝に金属棒がハマる設計だから)
・無段階式(実絞り)方式なので、絞り環操作時にはクリック感がありません。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「実用品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・無償提供のレンジファインダーカメラはご落札者様より希望する旨、取引メッセージなければ同梱しません。ご注意下さい。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
❷ 本体『LUMAX 50mm/f1.9 (zebra)《ENNA製》(L39)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
❹ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
❺ クリーニング用ファイバークロス (新品)
ハッキリ言って、相当素晴らしい操作性に仕上がっています。特に距離環を回すトルク感は、当方が整備したオールドレンズを知っている人ならすぐに思い当たる「絶妙な微かな擦れ感を伴う軽い操作性のヌメヌメ感」と言えば、ご理解頂けると思います (もちろん光学系はスカッとクリアです)(笑)
↑上の写真は距離環が「無限遠位置:∞刻印位置」の時の前玉の位置を撮影しています。だいぶ奥まった位置に居ます(笑)
↑一つ前の写真撮影後、距離環を回して最短撮影距離まで鏡筒を繰り出した時の終端で突き当て停止した撮影です。既に付属品のフィルターを装着している為、その直下に迫っているのが分かります(笑)
ほぼ「インナーフォーカスに近い設計」の為、製品全高は繰り出し/収納操作で「凡そ1.7mm程度」しか変化せず、最短撮影距離:60cmを超えて近接撮影できる分、使い勝手が良いです(驚)
↑鏡胴真横から撮影しています。赤色矢印で指し示している箇所は無限遠位置:∞刻印を意味する「Inf (infinityの略)」です。
↑この状態のまま距離環を回して最短撮影距離位置まで到達すると、ご覧のようにほぼ11時くらいの位置でようやく突き当て停止し「凡そ350度回っている感じ」です (赤色矢印)(笑)
↑無限遠位置調整は、当方所有のRICOH製GXRに「LMマウント規格」のA12レンズユニットを装着して、且つRAYQUAL製変換リングを装着し「ほぼピタリの位置」で調整済みです。但しこのモデルは設計上「距離計連動ヘリコイドが存在しない」為、ご留意下さいませ。
※上の写真のRICOH製GXR、及びA12レンズユニットとRAYQUAL製変換リングは今回のオーバーホール済ヤフオク!出品の付属品ではありません。
無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:50㎜、開放F値:f1.9、被写体までの距離:51m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:26m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の60m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑当方の手元にはCORFIELD製一眼 (レフ) フィルムカメラ「periflex Gold Star」が1台あります。
↑「periflex」銘の由来たる「periscope (潜望鏡)」たるミラーがマウント部奥に見えています(笑) シャッターチャージすると、ご覧のようにスルスルと自動的に降りてきますが、シャッターボタン押し下げ動作に連携して勢い良く引っ込みます(笑)
↑出品オールドレンズを装着すると、こんなふうになります(笑)
このフィルムカメラは「シャッター巻き上げレバーの戻りが少々緩慢」なのと「低速シャッタースピード:1秒機能せず」であるものの「2秒~300秒」まて順に速度が変化していきます (その精度は不明)。
また潜望鏡もちゃんと瞬時に引っ込んでくれますが、ハッキリ言ってその際の振動は驚異的です (こんなに反動が大きくては潜っていてもその音で敵に発見されてしまうくらい)(笑)
・・しかしそんなのはギミック感に感動してそっちのけです(笑)
「シャッタースピードノブの操作が非常に硬く、掴む指が痛いほど」なのと、筐体外装のモルトは一部剥がれています。軽く清掃しただけですが、もしもご落札者様のご希望があれば同梱しますから、必ず一番最初の取引メッセージでその旨、ご指示下さいませ (後から同梱をご指示頂いても対応しません)。
↑当レンズによる最短撮影距離41cm (実測) 付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値「f11」です。インなフォーカスに近くともも対応しませんもうだいぶ鏡筒が迫り出してきているので多少フレアの影響が現れ始めていますから、是非フードを装着下さいませ。
↑f値「f16」での撮影です。「回折現象」の影響はまだ現れていませんが、フード未装着なので中心部にフレアの影響が視認できます (コントラスト低下)。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。