♦ オーバーホール/修理について❷・・

今まで特にこの標題について説明する考えはありませんでしたが、今年に入ってから「当方のスタンスとは相容れられない依頼者」様からのオーバーホール/修理ご依頼が数件あり、中には徹底的に人格攻撃してきた人も居たほどですが、基本的にそれら数件の作業をした結果、当方は精神面で痛く傷つきました(涙)

そんな経緯から改めてここで解説しておこうと考えた次第です・・。

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当方がご依頼を受け付けている「オーバーホール/修理」は「完全解体を前提としたオーバーホール」であり、その際『DOH』を経て内部構成パーツの全てに於いて「経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを除去し、限りなく製産時点の状態に近づけてから組立工程に入る」のが一律的な前工程になります。

この根拠は、各構成パーツに生じた経年の酸化/腐食/錆びは「不必要な抵抗/負荷/摩擦」を生じさせ、本来製産時点には起きていなかった様々な齟齬を起こします。

それは連結するパーツとの間での問題かも知れませんし、そこから伝わるチカラへの影響かも知れません・・。

そのような経年から生じた抵抗/負荷/摩擦が、どのように組み上がった後の具体的な瑕疵内容に繋がるのかは、オールドレンズの内部構造や設計、或いは製品設計概念によっても異なり、千差万別です (その個体が経年してきた背景から同一の状況に至ることは、物理的に100%起こり得ません)。

先ずはその点からしてご依頼者様に認知されておらず、あたかも一般の整備会社宛に整備依頼をしているが如く受け取っている人が数人居ました。

ではその一般の整備会社の整備スタンスとはどういったモノなのかと言えば「部分的な (依頼してきた内容に限定的な) 整備作業」が主体であり、仮にその整備会社が「オーバーホールしている」と謳っていても、それは当方のスタンスとはそもそもスタートラインが異なります。

同じように完全解体していたとしても、それは溶剤洗浄して経年の油成分や塵に汚れを除去することを目的にしているだけで「その先が無い」時点で、もうそこから当方の整備スタンスとは方向性が分かれています(笑)

下手すれば完全解体せず、部位別に分解して、ご依頼内容に近い部分だけ整備している会社もあるかも知れません。

そうした時、ではそれら解体しなかった、或いは酸化/腐食/錆びが残ったパーツや部位から伝わるチカラとの整合性は、いったいどうやって問題箇所と適合させていくのか・・との課題が現れます(汗)

・・ここがポイントになります。

マニュアルフォーカスのオールドレンズは、基本的に各部位からのチカラの伝達、そしてその多くはピント合わせした結果伝わってくる「掴んでいる指からの伝達」が基本であり、それにプラスして自動絞り機構や絞り羽根開閉制御に係る部位、或いは当然ながらヘリコイド駆動等それら見合うチカラの伝達が加わり、最終的な「機能製品」としての操作性が担保されます。

ところが多くの皆さんは「距離環を回す/ピントリングを回すトルクが重ければ、ヘリコイドグリースの入れ替えで良い」と考え、或いは絞り羽根開閉異常を来している個体なら「絞り羽根の微調整だけでどうにかなる」と・・凡そ部位別的な、その時起きている瑕疵内容の現象的な問題として捉えることしかしません(汗)

従って、一般整備会社に依頼して、その問題さえ解消されればそれでOKとのスタンスで整備依頼してきます。

当方の「オーバーホール/修理」はそれら部位別的な、瑕疵内容の現象的な、個別の問題だけを解消する目的で作業していません!

もっと言うならそれらご依頼時に指摘してきた瑕疵内容「以外の全く別の部位や構成パーツすら作業対象にする」のが、当方のポリシ~です(笑)

この時点で既に全く別の次元の話になっているのに、当方宛依頼されるからおかしな方向に変化します(泣)

当方の考え方は、内部構成パーツ全ての経年に於ける酸化/腐食/錆びを除去しない限り「本当に適正なチカラの伝達には至らない」との基本概念を基にしている為、それらが担保できない環境下で整備を進めるなら「必然的に抵抗/負荷/摩擦を低減させる目的で不必要なグリースの塗布や潤滑油の注入が必要になる」のは、相手が金属である以上当たり前の話であり、それが物理的に求められる処置なのは当然な話だと考えています。

そのような処置を講じているのが一般整備会社の作業なので、本来製産時点にグリースや潤滑油を注入していなかった箇所や部位に、平気で塗っていきます・・経年の酸化/腐食/錆びが残っているのだから、それは物理的に全く以て「正しい処置」なのです。

この一点に於いて、当方の整備スタンスと一般整備会社の処置が同一ではないことが明白ではないでしょうか???

当方ではそのような処置をグリースに頼った整備と呼称し、且つそこから派生する様々な付帯的な所為をごまかしの整備と呼び、当方の整備概念から対極に位置する整備手法として捉え、このブログでも執拗に貶し続けています。

当方が完全解体している根拠もそこにあり、各部位や構成パーツ全ての酸化/腐食/錆び状況を把握し、それらを除去し、限りなく製産時点に近づけてから組み立てていくことで「グリースなど塗布せずとも (製産ラインで注入していなかったのだから) 確実にチカラの伝達が適い適切な駆動を担保できる」との認識です。

すると今度は「どうして数十年前の製産ラインの状況が分かるのだ???」と指摘してきますが、そんなのは当然ながら知る由もありません (まるで愚問の最たるモノです)(笑)

多くの皆さんは、そうやって「いつも必ず部位別、問題別で物事を言ってくる」ものの、何度も執拗に述べますが「各部位からの伝達されるチカラの制御が問題」であり、その結果そのように部位別や個別の問題案件のように「症状が現れているだけ」なのが真実です。

要は内部構造や「原理原則」を知る者相手に、知らない人があ~だこ~だ言っているような話であって、当然ながら当方の受け入れ態勢は「知らないのが当然なのだから、いちいちそれを詰めない」のは至極自然な道理です(笑)

だからこそ、事前告知して当方の整備スタンスは一般の整備会社とは全く異質なので、そういう個別的な整備を期待される方は「是非とも一般の整備会社宛ご依頼下さい」とお薦めしているのです(笑)

・・ハッキリ言って同じ感覚で依頼してこられるのは、当方にとって大変迷惑です

では、当方に依頼してくる人達の考え方はどうなのかと言えば「愛着のある個体だから、気になる問題箇所は全てチェックしてもらい、気持ちよく長く使えるようにしてほしい」であり、そもそも部位別や個別案件だけに限定した改善要求ではありません!

だからこそ完全解体して全ての酸化/腐食/錆びを除去してしまうのです。

まっさらに戻してあげてから、そこから本来の正しい組立て手順を経て各部位の微調整を施すと、組み上がってから初めて「真の経年劣化進行に伴う瑕疵内容が表れる」から、そこからがメインタイトルマッチになり、再び完全解体して「いったい何処に何を処置されてしまったのか???」と言った、本来製産時点には起きていなかった瑕疵内容を掴み、今度はそれを改善する為に、何処の部位、何の構成パーツの微調整を変更して「相殺させるのか」が求められるのです (必ずしもダイレクトに問題箇所だけで相殺しません)。

もっと言うなら、ネット上でも数多く語られている「バラした時の逆手順で組み上げれば良い」との概念は、全く以てナンセンスです(笑) 真の組み立て手順は必ずしもバラした時の手順と100%一致しません。そんな事柄は金属を相手にしている人なら百も承知です(笑)

・・詰まるところ、グリースや潤滑油を注入したりしてごまかす必要がないのです(笑)

当方が執っているあらゆる作業は、総て「製産時点」を基本に据え、可能な限りそこから逸脱しないよう配慮しながら、微調整の範疇で組み立てていくから「結果、仕上がってから別の瑕疵が残ることがある」のは「ごまかしの整備」をしていないからであり、且つその残る瑕疵内容は当初の依頼内容とは別の趣旨になり、多くの場合で大きな問題に至らないよう調整を施しています。

逆に言うなら、全ての構成パーツが製産時点に限りなく戻り、過去メンテナンス時施されてしまった処置から発生した摩耗すら残っていなければ「それは必然的に限りなく製産時点に近い操作性で組み上がるのは道理ではないのか???」と言っているのです!

・・いったいこの何処に齟齬が在るのでしょうか???

するとまた同じ愚問をしてきて「どうして製産時点に近いと断言できるのか???」と言いますが(笑)、それは当方が「原理原則」を熟知しているからです。

オールドレンズというのは、内部設計/製品設計に於いて「必要ない工作を施さない」のが道理です。不必要な箇所に穴を開けたりしません(笑) 例えば他のモデルとの共通性を追求したが為に、このモデルでは使わないのに工作されている場合も、本当に稀にありますが、多くの場合で「そのモデル固有の設計であり、必要とされる工作で製産される」からこそ、逆に言うなら「そこにそのメーカーの製品に対する思惑が如実に現れる」ワケで、どんだけこだわっていたのか、どれだけ意地をもっていたのか、などなどが見えてきます(笑)

それは光学系を最大限に優先した設計の現れかも知れませんし、ブラスして操作性の追求も見えてくるかも知れません。或いは全く別次元のように「将来的なサービスレベルを追求する」メーカーだったりする場合もあり、そういう会社は日本含め海外メーカーにもあります。

従って「原理原則」を熟知している当方相手に、あ~だこ~だ述べても仕方ない話なのだと、ここで宣言させて頂きます(笑) その証拠こそが『オーバーホール/修理ご依頼受付フォーム』のページにちゃんと記してあり、ご依頼に際し好きなだけご要望や期待感を述べまくって下さい・・と入力フォームの直前に明示しています。

・・好きなだけ入力してしまって良いのです(笑)

「原理原則」を熟知しているが故に、どんなに入力されようとも、その時点で (バラす前時点で/個体を手にする前時点で) 中の何処の何が影響している可能性が高いと、既に察知できているのです(笑) だから入力しまくってくれるご依頼者様のほうが、当方はとてもありがたいのです(笑)

・・そんな整備会社なんて、居ますか???(笑)

もっと言うなら、過去メンテナンス時に何一つ余計な処置を講じられていない個体が届けられれば、間違いなく「製産時点に近しい状態に仕上げられる」と保証できます。それが「原理原則」の重みであって、どの整備者が手を付けようと100%同じ道理が通るから原理だと言えるのです(笑)

決して当方の感覚だけで好きなように曲げられるものではないのが「原理原則」であることを
ご依頼なさる皆さんも少しは覚悟するべきですね(笑)

その結果当方が「100%瑕疵内容の因果を説明できる」と言っているのであって、過去メンテナンス時の整備者の手によって、いったい何をされてしまったのか、そしてその結果がどのように微調整の相殺範疇を超えて「組み上がった個体に具体的に残ってしまったのか」を逐一解説できるのは、至極当たり前の話ではないですか!(笑)

総ては繋がっているのです。自分に都合が悪い要素だけをごまかして作業していませんし、述べてもいません(笑) 「原理原則」に則れば、最終的に改善できない場合も多々あるのです。それこそが「一度削れて/摩耗して擦り減ってしまった箇所は元に戻せない金属材の宿命」だと言っているのです (樹脂材も同じですが)。

・・いったいこの何処に不合理な内容が含まれているのでしょうか???

逆に言うなら「原理原則」を熟知しているからこそ、全く別の部位や構成パーツでそのチカラの問題を相殺させられると言っているのです。その相殺できる範疇を超えてまで影響が顕になってしまった金属材は、残念ながらそれ以上対処できません・・そんなのは100%当たり前の話ではありませんか!!!

そういう事柄や内容全てを含んで常に作業に臨んでいるのが当方のスタンスであり、オーバーホール/修理ご依頼の作業です。

その意味で、部位別や個別案件の改善だけ期待して依頼してくるのは、マジッでお断りです!

完全解体を前提とし、経年のサビを落とし、限りなく製産時点に近づけ、その個体に於ける「本来在るべき姿」として組み上げることを期待される方だけ、ご依頼下さいませ。

場合によっては、ご依頼時の指摘内容が改善されたのに、全く別の瑕疵内容が残って帰ってくることだって十分あり得るのです。それが金属相手の話であり、そこにグリースや潤滑油などに頼った「ごまかしの整備」を一切施さないと宣言している以上「できないものはできない」と言っているのです! そしてその根拠も理由も背景も何もかも100%説明します。

従ってとても多くの方々は「一般のプロのカメラ店様や修理専門会社様宛、整備を依頼するのが最善」ですョ・・と、事前に正直に述べているのです。

・・いったいこの何処が不誠実で、偽善者なのでしょうか???

それを煽っているとか、嘘偽りで固まっているとか、請求金額を上げたいが為の伏線とか、まるで言いがかりしてくるのは甚だ人格攻撃であり、一切受け入れません!