♦ VOIGTLÄNDER (フォクトレンダー) COLOR-SKOPAREX 35mm/f2.8 SL (G)《前期型》(M42)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク!出品するのは、旧西ドイツは
VOIGTLÄNDER製広角レンズ・・・・、
『COLOR-SKOPAREX 35mm/f2.8 SL (G)《前期型》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のVOIGTLÄNDER製広角レンズ「35㎜/f2.8」だけで捉えると7本目にあたり、前回の扱いが2019年です。
このモデルは決して普段から敬遠していませんが、やはり光学系の状態が良い個体がなかなか流通しない問題と、何よりも「絞り羽根開閉異常があまりにも多すぎる」リスクの高さが影響しており、なかなか手を出せずにいます(怖)
これは決して単純な話ではなく、相当に複雑な瑕疵内容です(汗) 絞り環操作した時に「絞り羽根が正常に動かない」レベルの話ではなく「過去メンテナンス時の整備者がどうやってごまかして組み上げたのか???」と言う方向性の問題なのでハイリスクなんて言う次元のレベルではありません!(怖)
逆に言えば、今回入手した個体も「まるで絞り羽根が正常に動いているように見える」のが、当初バラす前に確認した時の「シロウト的な印象」ですが(笑)、当方がチェックすれば次から次へといろいろ出てきます(笑)
その意味でこのモデルシリーズの中心的な焦点距離製品に関し「完全解体してオーバーホールできるスキルを持つ」だけでは全くダメで(笑)、今回扱った個体の仕上がりに際して当方が執った細かいチェック作業や微調整などがまさに良い例ですが「どれだけ組み上げてから確認できた気になる点 (決して瑕疵内容だけを指して述べていない) の全てに対し、個別に逐一その因果を捉えているか???」であり、要は原因と影響から見据えた結果の「見える化」が、まさに頭の中にちゃんと浮かんでいるのかが問われる「数多いオールドレンズの中でも特異な整備を求められるモデルの一つ」との認識です。
例えば距離環を回して∞刻印の位置で「f2.8~f22」が正常駆動するのに、最短撮影距離
:40cmまで鏡筒を繰り出すと「f11で絞り羽根が閉じるのをやめてしまう」といった現象を一度でも目にした時、それが「正常ではない」と判定できるか否かであり、合わせてその時瞬時に「内部の〇〇箇所の動きが適切になっていない」と頭の中に浮かび上がり、再びバラしていくとまさに100%その通りの部位とパーツが関わっていて、追加の微調整が必要になった・・などと言う事柄が幾つも起きます(汗)
それは裏を返せば「部位別にどんなに微調整して仕上げても、他との連携で足元からひっくり返る」のがこのモデルの設計であり、内部構造だからでり、当方が妄想するに・・「おそらくVOIGTLÄNDERのシンガポール工場の製産ラインでは、専用治具を使い組み立て工程が進められていた」とまで勘ぐりたくなるほどに、ほんの僅かなズレだけで全てが影響を受けます(笑)
例を挙げるなら、鏡筒最深部に絞りユニットをセットする際、絞り羽根が完全開放しているかどうかは見ただけで判定を下せます。ところが製品仕様上の最小絞り値までちゃんと正しく絞り羽根が (各絞り値で) 順番に閉じていっているのかのチェックは、その都度最後まで組み上げ実写確認で検査していたのでは効率が悪すぎて話になりません(笑)
すると専用治具がその工程担当者の作業台に備わり、各絞り値でどこまで絞り羽根が閉じれば良いのかを明確に確認できる工具がセットされており、そこまで絞り羽根を閉じてみてその場で確認できていたハズです(笑)
現在のようにレーザー光線で厳密にチェックできる検査機械設備がまだ無かった頃の時代の話なので(笑)、それでも最終検査で戻される個体が幾つも在ったのではないかと容易に妄想できます(笑)
このブログでこのように述べていると「あたかも大変なように煽って自分の価値を持ち上げている」かの如く、まるで欺いていると言いたそうに貶されたことがつい最近ありましたが(涙)
ここまで罵ってくる人格というのにも、またある種の恐怖感を抱いたりもしました(笑)
・・世知辛い世の中です、マジッで(涙)
当方が述べているのは「製産時点のラインの中で、専用治具が用意されている中で組み立てできていた環境とは、全くの別世界であることを認知すべき」と申し上げているのです。
逆に言うなら、まさに最後まで組み上げてからイジってみて気になる点を探している始末で(笑)、効率が悪い云々以前にそもそも専用治具も検査器具も何も存在しない中で、完全解体からスタートしてオーバーホール工程を進めている身の上にしてみれば「それがどんなに大変な作業なのか???」を指摘しているのであって、煽るもクソもありません(笑)
・・そんな事すら理解できない低俗/低能なレベルなのも、マジッで情けない話(笑)
整備作業のことを何一つ知らない以前に、そもそも頭の回転が鈍すぎるのではないかと思いますね(笑) それでいて人を徹底的に罵る術だけは長けているので、言われているほうは堪ったものではありません(涙)
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2019年来の扱いですが、いつもの如く光学系の特許出願申請書を漁ってみました・・(笑)
但しあくまでも「光学知識が皆無」な当方の妄想範疇に留まることをご承知おき下さいませ。
なおこの当時の背景や詳しい解説は『COLOR-SKOPAREX 35mm/f2.8 SL《前期型》(M42)』をご参照下さいませ。
↑その前に先ずは当時紹介されていたレンジファインダーカメラなどのカタログに掲載されている光学系の構成図を探ってみました。
左側2つのカタログは、レンジファインダーカメラ「PROMINENT (プロミネント)」の製品紹介カタログです (当方にて紙面を編集しています)。
これら2つのカタログをチェックすると、当然ながらレンジファインダーカメラなので「紹介しているオールドレンズの光学系は、どれも標準レンズ域の光学設計ばかり」であり、つまり標準レンズ域の光学設計でも広角レンズ域の焦点距離まで対応できていたことを示す目的で、これらカタログを掲載しました。
ちなみに一番右端だけは、この後のほうで解説します。
↑するとこれらカタログ掲載の構成図が標準レンズ域の光学設計を採っているものの、その祖となる特許出願申請書からの流れなのが見てとれます。
◉ 左端: 『GB189322607 (1893-11-25)』英国内務省宛出願
→ Harold Dennis Taylor (ハロルド・デニス・テイラー) 3群3枚トリプレット型光学系
何はともあれ、全てのスタートがこの3枚玉トリプレットから始まっているのがまさに凄いところです。その後もまるで半世紀にも渡り現役を続けた優れた光学設計ですが、当然ながら数多くの欠点も内包したままだったようです。
◉ 左から2つめ:『GB190213061A (1902-06-09)』英国内務省宛出願
→ Paul Rudolph (パウル・ルドルフ) 3群4枚テッサー型光学系
3枚玉トリプレットの良いところだけ引き継ぎながらも、第3群後玉を凹凸で接着して貼り合わせレンズ化してしまい「色消し効果」を加えて解像度の向上を狙った光学設計として、未だに活用され続けている素晴らしい光学系です。
◉ 左から3つめ:『GB190022962A (1900-12-15)』英国内務省宛出願
→ Carl August Johannes “Hans” Harting (カール・アウグスト・ハンス・ハーティング)
3群5枚ヘリアー型光学系
発明者の名前が何とも長すぎる印象を拭えませんが(笑)、歴としたドイツ人ながらも時節柄ユダヤ系ドイツ人だったが為に、改名せざるを得なかった背景が隠されている名前です(涙)
この発明光学系も3枚玉トリプレット型からの発展系で、両凹レンズを挟んで前後玉を2枚貼り合わせレンズ化することで「色ズレの低減を狙った画期的な案件」ながらも、解像度向上に課題を抱えていたようにも捉えられる、テッサー型同様にまさにこの当時の優れた光学設計の一つです。
◉ 右端:『CH313413A (1952-07-22)』スイス特許庁宛出願
→ Günther Lange (グンター・ランゲ) 3群5枚ヘリアー型光学系
この後で出てくる光学設計者のGünther Lange (グンター・ランゲ)ですが、ランゲも半世紀を経てもなお3群5枚ヘリアー型に魅力を感じていたことがこの発案から窺えます(驚)
ところがカメラボディ側に革新的変革が起き、クィックリターンミラーを実装する一眼 (レフ) フィルムカメラが登場すると、オールドレンズ側の後玉端からフィルム印画紙との間に空間が現れ (そこにクィックリターンミラーが位置するから)、その分後玉からの結像点を後方に延伸させる必要性に迫られます(汗)
標準レンズ域の焦点距離ならまだしも、広角レンズ域のモデルは画角が広い分、堪ったものではありません(泣)
そのような時代の希求から「結像点を後方にズラす必要性」に駆られて登場したのが「レトロフォーカス型光学系」であり、その発想の起点からして従前の様々な光学設計とは背景の次元が全く違うことを認知する必要があります。
・・それは単に結像点を後方に延伸させる為の発想という要素への着目を指します。
まさにそれを体現させたのが世界的に有名になってしまった1950年にフランス屈指の老舗光学メーカーP. ANGENIEUX PARIS社から発売された広角レンズ「RETROFOCUS TYPE R1 35mm/f2.5」だったので、本来モデル名として商標登録した「RETROFOCUS (レトロフォーカス)」だったものの、あまりにもその後の広角レンズ域の光学設計に多用されていった為に、いちいち商標権裁判を提訴せずに黙認していった背景がある点も、前述の「次元が異なる着目点」であることの左証です。
それはまさにそのモデル銘がフランス語「RÉTRO (後退)」と「FOCUS (焦点)」の造語であり
あらゆる広角レンズ域光学設計にそのまま当てはまるからです。その意味で従前の「〇群〇枚~型光学系」との発明概念とはまるで方向性が異なり異質であることをご理解頂けたでしょうか???・・だからこそ全ての広角レンズ域光学設計がまるでひと言に「レトロフォーカス型光学系」にまとめられてしまいます (その上で今度は基本成分を探る必要性が生ずる)(汗)
そこでようやく今回扱うモデルの光学系発明へと話が繋がります(汗)
↑1950年代からのレトロフォーカス型構成に関する特許出願申請書の状況です。
◉ 左端: 『DE947750C (1953-07-09)』ドイツ特許省宛出願
→ Günther Lange (グンター・ランゲ) 4群6枚レトロフォーカス光学系
前述の光学系解説とその流れからの繋がりで、この特許出願申請書も見ることが適います。光学系第1群前玉が「単なる結像点後退の役目」と捉えれば、基本成分は光学系第2群~第4群までと言うのが理解できます。すると集光の役目を担わせた第2群の前衛配置により、本来はヘリアー型で絞りユニットの直前に位置していた両凹レンズの集光能力が必要なくなり、その一方で強力な色消し効果から対象型配置で2枚貼り合わせレンズを絞りユニット前後に挟んできた「3群5枚変形ヘリアー型」なのが分かります。
◉ 左から2つめ:『US2922337A (1957-11-12)』米国特許庁宛出願
→ Erhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル) 5群6枚レトロフォーカス型光学系
同様に光学系第1群前玉は後退の役目とみれば、基本成分は第2群~第4群になり、その中で第2群が集光の役目を持つとすれば絞りユニットを挟んだ基本成分は「3群4枚テッサー型」と捉えることができ、左端のランゲが発明した基本成分とは別の方向性を採っていることが窺えます。
◉ 左から3つめ:『DE1187393B (1959-11-25)』ドイツ特許省宛出願
→ Erhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル) 5群6枚レトロフォーカス型光学系
このグラッツェル氏は後にコンピューターを活用した光学設計分野で「グラッツェル法」発案者としてその歴史に名を残しますが、この発明でも第2群~第5群を基本成分としながらも、第2群でイキナシ2枚貼り合わせレンズによる強力な色消し効果の上に集光を行い、さらに
絞りユニットを挟んで後群側でもやはり強制的な入射光の料理を行うテッサー型を単独分割した「4群5枚の変形テッサー型」が窺えます。
◉ 右端:今回扱った個体の光学系トレース図
→ Erhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル) 5群5枚レトロフォーカス型光学系
VOIGTLÄNDER社での光学設計ですが、グラッツェル氏の発案光学系をCarl Zeissから踏襲しているとみています。 色付が「後退の役目 (バックフォーカスを稼ぐ役目)」を担うレトロフォーカス型を表し、 色付の第2群~第5群が基本成分になり「4群4枚の変形テッサー型」とみています。
その根拠は 色付第3群の両凹レンズで、特にその性格上「絞りユニット側方向 (前玉側方向) の曲がり率を高く採っている」点を以て、高屈折率の光学硝子レンズを組み込んでいると推測できます。また本来テッサー型で2枚貼り合わせていた要素を単独に分割して空間を介在させることで「色消し効果を可能な限り与えている」のは、前述両凹レンズが後群側に入ったからとも言えます。
ちなみに冒頭のほうで挙げたカタログの図の中で一番右端に載せたVOIGTLÄNDER製「SKOPARON 35mm/f3.5」の光学系も、まさにレトロフォーカス型を採るものの、その基本成分がまるで3群4枚テッサー型光学系であるのもオモシロイところですし(笑)、右から2つめのカタログに掲載されている「SKOPARET 35mm/f3.4」も同様テッサー型を基本成分としながら、集光に1枚直前に前衛配置させている5群6枚なのが分かります。
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『COLOR-SKOPAREX 35mm/f2.8 SL《前期型》(M42)』のページをご参照下さいませ。
当初バラす前時点の実写確認では「全く近接しか合焦しない完全なアンダーインフ状態」だった為、無限遠位置の確認実写では「全てがとても大きな玉ボケの世界」と言う始末でした(汗)
つまり今回のオーバーホール作業は「無限遠位置の適合性が全く掴めない中でのスタート」であり、各部位の無限遠位置調整は「今まで扱ってきた勘だけを頼りに組み上げるしかない」状況でした(汗)
↑バラした後に溶剤洗浄している時のマウント部 (左) とそれに付随するメクラ (右) です。共に赤色矢印で指し示している箇所に「反射防止黒色塗料」が着色されていました。特に右のメクラは着色塗料にカビが繁殖している始末で、キモいです(笑)
また当時の「アルミ合金材向けの陽極アルマイト処理が弱かった」証として、何の配合金属成分が反応しているのか分かりませんが、経年劣化進行に伴い酸化/腐食/錆びを帯「褐変」しています。
↑取り出した光学系を並べて撮影していますが、既に「反射防止黒色塗料」を溶剤除去終わっています。光学系前群を赤色文字表記し、後群側をブルー色文字で表しています。またグリーン色の矢印で指し示している方向は、前玉の露出面方向を表しています。
今回の個体は特に光学系第4群の「黄銅材モールド一体成型」の内外に「反射防止黒色塗料」が着色されていた為に、おそらく確実に第3群格納筒の内部に入っていなかったとみています (もちろん取り出す際もそのままでは全く動かなかった/加熱処置により取り出した)(汗)
↑取り出した光学系第1群前玉の拡大撮影ですが、溶剤で「反射防止黒色塗料」ょ完全除去すると「その下から現れたのは、何と製産時点の焼付塗膜」であり、非常に薄い塗膜で焼き付けられているのが分かります。
確かに前玉の表方向から覗くと「コバ端の浮きによりポツポツと微細な点状剥がれが無数に見える」ものの、大変貴重との考えから敢えてそのまま残しています (削り取らないと剥がせません/水性&油性含め、いずれの溶剤でも一切溶けない為、製産時点を維持と判定しました)。
この当時の広角レンズで、前玉の状態がここまで維持できている個体も、近年はあまり目にしません(涙)
↑先日オーバーホール済みでヤフオク!出品した標準レンズ『COLOR-ULTRON 50mm/f1.8 SL (G)《前期型》(M42)』同様、やはり当方の手による『磨き研磨』が終わった状態のまま「ヘリコイドグリースを一切塗らずに素のままでヘリコイドオス側 (上) +ヘリコイドメス側 (中) +基台 (下) を指で掴んで勢いよく回す」と、それぞれが勢い良く回転しながら、スルスルと1周半~数回回り続けます(笑)
・・これこそがグリースに頼らない整備の真髄です!(笑)
そもそも互いが「微細ヘリコイドのネジ山」なのを以て、トルクに負荷がかかると勝手に思い込んでグリースを塗るから大きなミスを招きます(汗)
ヘリコイドオス側がアルミ合金材削り出しの平滑アルマイト仕上げ (上の写真を見ても一般的なアルマイト仕上げと違うのが明白) であるのに対し、中間に位置するヘリコイドメス側は「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」と、それぞれに被せられているメッキ加工が意図的に処置されているのが明白であり、こういう部分に「製品設計者の意図をちゃんと汲み取って組み上げられない」点を以て、過去メンテナンス時の整備者がまるで低俗だと申し上げているのです(笑)
実際今回扱った個体は「ヘリコイドグリースに芳香が確認できた」ことから、間違いなく海外で実施された過去メンテナンスだったことが判明しますが(汗)、塗布されていた古いグリースはウレアグリースが使われていたものの、既に経年劣化進行に伴い平滑性を失いつつあり、バラす前の距離環を回すトルクは「相応に重い印象、且つ酷いトルクムラの印象」でした(汗)
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。この角度からでは「グリーンの光彩」が見えませんが、光学系内部の蒸着コーティング層は、パッと見で以下のように見えます。
〇 第1群前玉:パープル (表) レッドパープル (裏)
〇 第2群:グリーン (表) グリーン (裏)
〇 第3群:パープル (表) レッドパープル (裏)
〇 第4群:パープルブル~ (表) パープルアンバー (裏)
〇 第5群:グリーン (表) グリーン (裏)
※ (表) は前玉側の露出方向を指し (裏) は後玉露出方向を意味します。
この蒸着コーティング層の配置から「解像度重視型」なのが分かり、そもそもこのモデルのレンズ銘板に刻印されている製造番号が「238xxxx」しか市場流通していないことから、僅か1万台以内の製産数との憶測が湧くものの、前回扱った個体とは凡そ5千本近く後に出荷された個体が今回の扱い品となれば、時勢から「解像度重視指向」へと偏重しているのは察しがつきます。
その根拠は今回の個体に蒸着されている、非常に濃い「レッドパープル」の蒸着コーティング層が放つ光彩で、2019年扱い品が強力に集光する光学系第3群に「パープルアンバー」を配置したのに対し、今回の個体「レッドパープル」なのが解像度を求めているとの根拠に繋がっています (前玉裏面も同様)。その意味で以前の個体が「自然な発色性重視型の前半製産分」だったのに対し、今回の個体は「解像度重視型の後半分」との憶測が生まれます(汗)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。
冒頭解説のとおり、敢えてワザと故意に前玉コバ端を剥がして再着色していない為、ご覧のようにコバ端着色の浮きが無数に残ります (逆に言うなら製産時点の塗膜が生き残っている個体であり、当方はそれに対しての価値を認めました)。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
光学系前群内に「強力なブル~の蒸着コーティング層を確認できない」ものの、逆に「レッドパープルの光彩が相当強い」のが分かります (グリーン色の光彩は光学系第2群の表裏面です)。
↑後群側もスカッとクリアで極薄いクモリが皆無です。前後群内には非常に微細な拭きキズやヘアラインキズが数本残っていますし、後玉中央には明確に視認できる円形状のカビ除去痕が1点残っています。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:9点
後群内:17点、目立つ点キズ:10点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に点状の微細カビ除去痕数点あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大7mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズなし)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。
・・絞り環操作時のクリック感はだいぶ軽めの印象です。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・絞り羽根が閉じる際完璧に正六角形を維持しながら閉じていきます。マウント面絞り連動ピン押し込みによる絞り羽根の挙動も正常を確認済みです。
・装着するマウントアダプタによってはピン押し底面の深さの影響で絞り羽根の開閉動作に問題が現れる懸念があります。出品の商品はK&F CONCEPT製(凹面セット)、及び日本製Rayqual製マウントアダプタに装着して絞り羽根の開閉動作に異常なく正常である事を確認済みです。マウントアダプタ装着時の絞り羽根開閉動作に係る問題はクレーム対象としません。
・絞り環操作時内部から微かな金属音(金属が擦れる音)が聞こえてきます。内部構成パーツの何が干渉しているのか調べられず、解消できません(事前に告知済みなのでクレーム対象としません)。また絞り環操作時のクリック感はだいぶ軽めの印象です。
・絞り環操作時開放「f2.8」側が少々詰まった印象で停止します。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「実用品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・フィルター枠の両サイド側面に2箇所打痕修復箇所があり着色しています。フィルター装着時は一度反時計方向に回しながらネジ山が確実に入る位置を探ってからネジ込んで下さい。問題なく/抵抗なく最後までネジ込めますし、着脱時固くなり回らなくなることもありません。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
❷ 本体『COLOR-SKOPAREX 35mm/f2.8 SL (G)《前期型》(M42)』
❸ 純正樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (中古品)
❹ 汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)
❺ クリーニング用ファイバークロス (新品)
特に光学系内がとても良い状態を維持した後半の製産個体である点に合わせ、距離環を回すトルクは当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:35㎜、開放F値:f2.8、被写体までの距離:17m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:8.5m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、10m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の20m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑赤色矢印で指し示している箇所に凹みがあったので、当方で修復し着色しています。
↑同様反対側にも凹みと修復、及び着色があります (赤色矢印)。フィルター装着時は「必ず反時計方向に回してネジ山が確実に噛み合うのを掴んでいる指が感じ取ってからネジ込み方向に回してき装着する」点をご留意下さいませ。ちゃんと最後までスルスルとネジ込めるよう叩き込んで真円に近づけてありますが、ネジ山自体は既に変形摩耗している為、ムリにネジ込もうと試みるとフィルターがカジリつき外せなくなります (このモデルはフィルター枠がネジ込み式なので、一緒に回って外れてしまいます/内部パーツ直進キーの変形を防御する意味から、敢えてワザと故意に固着剤で固めていません)。
・・もしも一緒に回って外れてしまった時は、当方宛メール連絡の上で対応致します。
↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し
底面を「凹面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。
赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
ちなみに「ピン押し底面」は「平面側/凹面側」と両面使いできますが「平面側」でセットして今回のオールドレンズを装着すると、ネジ込みが徐々に重くなっていきます。最後までネジ込むには相応のチカラが必要なレベルです。それでも絞り羽根開閉は星条旗に駆動するのを確認済みです。
この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明しています。
↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
↑当レンズによる最短撮影距離40cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。絞り羽根が閉じきっていますが「回折現象」の影響を感じません。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。