♦ Meyer-Optik Görlitz (マイヤーオプティック・ゲルリッツ) Pentaflex Auto-Color 50mm/f1.8 (zebra)《中期型》(M42)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、旧東ドイツは
Meyer-Optik Görlitz製標準レンズ・・・・、
『Pentaflex Auto-Color 50mm/f1.8 (zebra)《中期型》(M42)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製の標準レンズ
「50㎜/F1.8」の系譜で捉えると69本目にあたりますが、今回扱った「Pentaflex銘」のモデルだけでカウントすると初めての扱いです。
ッて言うか今回のモデル銘「Pentaflex Auto-Color」の存在自体を知らず、今まで13年間死角に入っており、Meyer-Optik Görlitz製「Oreston 50mm/f1.8 zebra」から続く系譜の中で、全く認知していませんでした (恥ずかしい!)(汗)
そんな状況ですが、何しろ原型モデルたるMeyer-Optik Görlitz製「Oreston 50mm/f1.8 zebra」同様、その内部構造の神経質さと微調整の難しさは、そっくりそのままハイリスクとしてPENTACONモデルにも受け継がれていったので、このモデルの扱いも残念ながら今回の
扱いが最初で最後です (今回は存在自体知らなかったので少々ムリして扱いました)(汗)
今回完全解体に拠るオーバーホール作業を行い、内部構造とその構成パーツの状況を把握できたので、このモデルのバリエーションを更新したいと思いますが、然し少々複雑で明確にスパッと切り替わりません(汗)・・これらを把握し読み解いていくためには、残念ながらオールドレンズだけの情報に依拠していては正しく捉えられず、さらに超越して「当時の時代背景まで考察を及ばせる必要がある」覚悟を伴います(汗)
↑上の一覧は、今回このモデルのバリエーションを更新するにあたり、その内部構造と構成
パーツの相違などを基に、どのようなタイミングで切り替わっていったのかを調べました。
現在ネット上で確認できる126本の掲載写真をサンプルとし、その製造番号を基に仕様諸元の変化を捉えていった内容を一覧にしています。このモデルのスタート地点は、旧東ドイツはMeyer-Optik Görlitz製標準レンズ「Oreston 50mm/f1.8 zebra (1961年発売)」から続く系譜になります。
従って、上の一覧が捉えている対象期間は「1961年〜1969年」と言う、とても限定
した短い期間内の変遷を対象としている点に勘案する必要があります(汗)
ところがここで単に製造番号だけを基にして、筐体外装の仕様諸元から捉えようと考えた時、
実は個体別の状況が「製造番号帯を跨ぐ」と言うリアルな現実から、その信憑性を著しく低下
させてしまいます(汗)
どうして製造番号が互いに混在し跨いでしまうのかと言えば、それは当時の旧東ドイツの管理体制である社会主義体制の中で「産業工業経済五カ年計画」という、統治国/宗主国たる旧ソビエト連邦の社会主義体制が大きく関わるからです (旧ソビエト連邦の産業工業経済五カ年計画の改定に従い、旧東ドイツ側の計画も同時進行で改定され追従していたのを確認済)。
この問題に関し最も皆さんが理解し易い実例が、現在も市場流通を続ける「ロシアンレンズ」を充てがえば分かり易いでしょう(笑)・・増産体制の一例としてリアルな現実に「複数工場で
同一製品を製造していた」からとも指摘でき、合わせてそれを明確化する為「ロシアンレンズのレンズ銘板には、製産工場のロゴマークが刻印されている (その設計まで一任されていた)」のを参照すれば、ご理解頂けると思います(笑)
もっと言えば、その一例たる「ロシアンレンズ」の複数工場での同一製品製造に際し「どうして設計まで一任していたのか???」は、まさに各工場の製産設備に違いが顕在し、同一設計に固執する限り結果的に非合理的/非効率的なので、その設計まで委託していた/移管していたことがリアルな現実として今ドキの流通個体「ロシアンレンズ」に該当するからです(笑)・・例:同じ「HELIOSシリーズ」でも幾つかの種類が顕在するなど。
これを以て「製造番号事前割当制」と共に「複数工場による増産体制の強化」により、その合理化と収益化の追求が最優先課題として挙げられていたことが大きく影響します。それは民主主義国家、資本主義体制とは異なり「私企業の概念を持たない」社会主義体制にあって、国民一人ひとりの収入は、イコール国家の収益でもあり、旧ソビエト連邦が掲げる「国営企業」の概念の下、旧東ドイツも「人民所有企業 (VEB:Volks-Eigener Betrieb)」として管理されていたことを知る必要があります・・某有名処サイトで呼称される「人民公社」との捉え方は、当時の共産主義体制国家たる中国に於ける、共産党隷下の地方組織管理体 (手法) のひとつであり「社会主義体制≠共産主義体制」なので、残念ながら全く該当しません (旧東ドイツの
統治国は旧ソビエト連邦であり、当時は社会主義体制国家だから/現在は全体主義体制国家)。
ここで最も基礎的な概念を認識する必要があります・・どうして敗戦国ドイツは戦後分断されたのか???・・その根本概念は「連合国による敗戦国ドイツに対する戦時賠償の一貫」だからです。つまり旧東西ドイツを連合国が分割統治することで戦時賠償に充てがい、且つ統治国にその収益が戦時賠償として吸い上げられていった (搾取とも言い替えられる) との捉え方が重要になり、そこに「絶対命題の根拠が存在する」ことを自覚するべきです(汗)
話が違いますが、まさに今現在欧米諸国が据えている狙いがそこに在り、現在のウクライナ戦争に於けるロシアの敗北は、そのままイコール「戦時賠償」へと流れるので、当然ながら単に支援だけに留まらず現ロシア連邦の解体をも意味し、日本として俯瞰的に近い将来を見据えるなら「現ロシア連邦極東管区の国家としての独立 (何故ならウクライナ侵攻で損耗し続けている現ロシア兵の凡そ6割が極東管区からの徴集兵だから)」こそが北方四島の返還まで見据えた大きな流れと知るべきです (国 vs 国の平和友好条約締結)(怖)・・日本は今一度
先の大戦に続いて再び、今度は極東国を独立させる必要があるのです(泣)逆に言えば、ロシア連邦が解体されない限り、後継ロシアとの条約締結は何ら安全保障の担保に至らず、ゼレンスキー大統領の言い分は、まさにそこに在り
欧米諸国は自国の現況を天秤にかけながら、苦しい支援を強いられているの
です(涙) その時、戦後ウクライナの復興に巨額のお金を投じる日本は、いったい何を天秤にかけるのでしょうか??? 北方四島の返還はそのような価値を持ち、合わせて中国を迂回し、独立した極東国から天然資源を調達できる
メリットは、将来日本にとり非常に大きいと考えます。プーチン大統領のせいで、日本だけに留まらず、世界に示すべき真の戦後は
未だ終焉を迎えておらず、本当の21世紀はこれからなのです(涙)
そこで写真だけで確認できる筐体外装の相違点と言う方向性だけに頼らず、既に今までに扱った「完全解体に拠る内部構造とその構成パーツの相違点」をも加味し、モデルバリエーションの変遷を辿る必要性が生じました(汗)・・ここでポイントになるのが「どうして内部構造が変わり、その構成パーツが変化していったのか???」との根拠に「当時の時代背景」が大きな要素として関わっていると指摘できます (つまり合理化と収益拡大の絶対命題)。
従って1990年の「東西ドイツの再統一」は、その反面「連合国による敗戦国ドイツの戦時賠償終焉」を位置づける必要があり、それこそが各産業工業に於ける様々な製品分野の絶対的帰結をも意味します。
それはドイツ敗戦後に国が東西に分断され、それぞれが連合国に分割統治されていった時代背景を伴い、且つそこから続く戦後旧東西ドイツの経済格差深刻化と、その先に位置する「東西ドイツの再統一」との流れに則らなければ「内部構造の変化とその構成パーツの違い」の根拠に当てられないからです・・このように単なるオールドレンズと言えども、当時の製産品である以上、俯瞰的に、且つマクロ的に捉えていかなければ見えてきません(汗)
1961年と言う時代背景として、最もその基準に捉え易い当時の事件は「ベルリンの壁敷設開始時期」になり、旧東西ドイツの経済格差深刻化に拠り、旧東ドイツから旧西ドイツ側への逃亡者/亡命者増大に伴い、当時の旧東ドイツ政府が敗戦後から続く「中立地帯に隣接する有刺鉄線と監視塔のみ」による国境管理だったベルリン市に対し、その管理体制を強化せざるを得ない状況に至り、国民の逃亡者 (亡命者) 削減を目的に「西ベルリンの一部を壁で囲った」その敷設作業が始まった事件が1961年11月からになり、1989年11月9日に起きた「ベルリンの壁崩壊事件」までの凡そ28年間について、旧東西ドイツの象徴的な体制の違いを表す位置づけとして捉えられるからです。
右図について補足するなら、そもそも「ベルリン市」は旧東ドイツの首都であるものの (旧西ドイツの首都はボン市/現在ドイツの首都はベルリン)、旧東ドイツ国内に位置していた為に (左図参照)、旧東ドイツ国民が国境を跨いで旧西ドイツ側に侵入するだけで亡命が実現できていたからです・・今現在も「外交関係に対するウィーン条約」により大使館や公館/機関などに外交特権が認められています。
《 モデルバリエーション》
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元値の要素を示しています。
※モデルバリエーションの直前に附した❶ 〜 ❻ は、上の一覧の番号を表します。
【ORESTON 50mm/f1.8 zebra】(Meyer-Optik Görlitz製)
❶ 前期型:1961年発売
コーティング:モノコーティング
プレビューボタン:有
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無
筐体の意匠:ゼブラ柄 (細かいストライプ)
絞り羽根形状:Meyer-Optikのカタチ (右回転)
❺ 中期型:1967年発売 (Pentaflex銘)
コーティング:モノコーティング
プレビューボタン:有
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無
筐体の意匠:黒色+ゼブラ柄 (細かいストライプ)
絞り羽根形状:Meyer-Optikのカタチ (右回転)
❷ 〜 ❸ 後期型:1967年〜1968年発売
コーティング:モノコーティング
プレビューボタン:有
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無
筐体の意匠:黒色+ゼブラ柄 (大柄なストライプ)
絞り羽根形状:Meyer-Optikのカタチ (右回転)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【PENTACON auto 50mm/f1.8】(PENTACON製:但しMeyer-Optik Görlitzまま)
★ ❹ 前期型−I:1969年発売
コーティング:モノコーティング
プレビューボタン:有
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無
筐体の意匠:ゼブラ柄 (大柄なストライプ) レンズ銘板入り替えのみ
絞り羽根形状:Meyer-Optikのカタチ (右回転)
❻ 前期型−II:1969年発売
コーティング:モノコーティング
プレビューボタン:有
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :無
筐体の意匠:細かいローレットの絞り環に変更 (ゼブラ柄廃止)
絞り羽根形状:Meyer-Optikのカタチ (右回転)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★中期型−I:1969年発売 (新設計になり一新)
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環)
レンズ銘板:MC (赤色刻印)
絞り羽根形状:新形状に設計変更 (PENTACONのカタチ/左回転)
中期型−II:1975年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環)
レンズ銘板:MULTI COATING (赤色刻印)
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
★中期型−III:1976年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環)
レンズ銘板:MULTI COATING(赤色刻印)
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
後期型−I:1977年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環)
レンズ銘板:MULTI COATING (白色刻印) プラスティック製
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
後期型−II:1978年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環) 廃止
レンズ銘板:MULTI COATING (白色刻印) プラスティック製
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
★後期型−III:1979年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環)
レンズ銘板:MULTI COATING (白色刻印) プラスティック製
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【AUTO REVUENON 50mm/f1.8】(PENTACON製/OEMモデル)
後期型−I:1977年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環)
レンズ銘板:MULTI COATING (白色刻印) プラスティック製
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
後期型−II:1978年発売
コーティング:マルチコーティング
プレビューボタン:無
自動/手動スイッチ (A/Mスイッチ) :有
筐体の意匠:銀枠飾り環 (距離環) 廃止
レンズ銘板:MULTI COATING (白色刻印) プラスティック製
絞り羽根形状:PENTACONのカタチ (左回転)
↑上の写真は、以前に扱ったそれぞれのモデル (標準レンズ) での絞り羽根の状況を撮影した写真です。左側がMeyer-Optik Görlitz製「Oreston 50mm/f1.8 zebra (M42)」の流れを
汲むタイプの写真で「右回り回転の絞り羽根開閉動作でL字型のカタチ (キーは片面に2個)」に対し、右側は「PENTACON auto 50mm/f1.8 Multi Coating (M42)」で「左回りで弧を描いたカタチ (キーは両面に1個ずつ)」です・・当然ながら左側はモノコーティングのモデルで、右側がマルチコーティングですね。
↑実際に過去扱った際に取り出した絞り羽根を表裏面に並べて撮影しています。左側が「Oreston 50mm/f1.8の系統」で、右側が「PENTACON auto 50mm/f1.8の系統」なので、互いのカタチが違い、且つ絞り羽根の駆動時回転方向も互いが逆転しているのが、一つ前の写真で一目瞭然です(笑)
するとここで一つの大きな基準として据えられる要素が在り「PENTACON auto 50mm/f1.8への変遷が境になる」とも捉えられ、実際に完全解体すると内部構造含め、構成パーツの相違が顕在するものの「設計の基本概念はMeyer-Optik Görlitz製モデルからの準拠/継承に限定される」ことも確認済なので、その点に於いて「PENTACONと言うVEBは当時カメラメーカーだった」との結論づけが適いそうです(汗)
つまりMeyer-Optik Görlitzがドイツ敗戦後数年して、戦前には競合相手だったハズのCarl Zeiss Jenaに自社工場を売却してしまい、果てはPENTACON傘下に成り下がり(涙)、最後には1968年に吸収合併により消滅していった大きな流れと言うのは「PENTACONへのオールドレンズ供給が課題だった」ことが窺い知れ、それこそCarl Zeiss Jenaの姑息な罠にハマっていった運命だったとも受け取れそうです(涙)
・・詳細は『PENTACON auto 50mm/f1.8《後期型−II》(M42)』で解説しています。
結局のところ、前出の一覧で❶ 〜 ❸までのモデルタイプは、レンズ銘板の刻印モデル銘が「Oreston銘」なので、流れとして1967年にPENTACONから発売された一眼 (レフ) フィルムカメラ「PENTAFLEX SL」の登場直前までに製産され、市場に流されていたMeyer-Optik Görlitzのまさに原型モデルそのモノだと受け取れますが、それが意味するのは「Meyer-Optik GörlitzがPENTACONに吸収合併される直前までの最後の時期」と受け取れ、1968年の合併進行に合わせて、❹ 〜 ❻までのモデルタイプが製産され「PENTACON銘への流れが加速していった1968年だった」との考察です。
従って、上のモデルバリエーションの如く1969年からの製産品は、全て「PENTACON銘のみ」に代わり、その内部構造もやがて再設計されていったのだと考えられます。
・・Meyer-Optik Görlitz最後の終焉、断末魔を見せられたようで、哀しい思いです(涙)
例え中判・大判向けとしても、戦前には目標だったCarl Zeiss Jenaと肩を並べるにまで登り
つめたのに、戦争により運命を弄ばれ翻弄の末に消滅への道を選ぶしか残されていなかった、
まさに『悲劇の光学メーカー』との思いです(涙)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『Oreston 50mm/f1.8 zebra《後期型》(M42)』のページを
ご参照下さいませ。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑上の写真は今回扱った個体から取り出した「位置決め環 (絞りユニット内の構成パーツの
一つ:左)」と「連携アーム (絞り環との連結専用パーツ:右)」ですが、実はこのモデルバリ
エーションだけが「唯一無二の樹脂製パーツに変わっていた」ワケで、他のバリエーション「冒頭の一覧で言う処の❶ 〜 ❻ (❺を除く) は金属製」なのを以て、樹脂製に変更したパーツを、いちいち都度金属製に戻して使わないとの考察から「唯一無二であると同時にユニークな存在」として❺に位置づけました。
従って冒頭の一覧で「❶ 純正Orestonモデル」からスタートした為に相応の本数が造られ流通しているのが納得できますし、次の変遷たる「❷ Oreston銘モデル」も出荷台数が多く、純正からの流れを汲む「筐体外装の意匠変更に合わせて、一部内部構造設計の変更」の結果と結論できます。
これは❷ に於いて「距離環を回す回転するチカラを直進動に変換する直進キーの設計変更」が核心的であり、以降PENTACONに吸収合併後まで継承される駆動構造へと、大きく設計変更しているからです (つまりそれ以降1989年の最後まで変わらなかった設計部分)。
するとここから見えてくる核心は、冒頭の一覧で「❸ 〜 ❻までが極短期間に変遷した」とも考えられ、ほぼ同時進行的に製産ラインの単位で数週間おきに構成パーツを違えて出荷していたとの「当時の工場内の慌ただしさ」が垣間見えますが(汗)、そのような状況の中でも一貫して変化しなかったのが「上の写真のパーツは❷ 〜 ❻ (❺を除く) の中で全てが金属製だった」点です(汗)
逆に指摘するなら、金属製パーツを用意しながら、樹脂製パーツまで同時に用意していたとは考えられないので、この樹脂製パーツの登場自体が「PENTACONへの吸収合併最終段階」と結論づけできます。
ちなみに、これら最終段階に用意してきた樹脂製パーツは、絞り羽根のカタチと回転が反転してしまった「PENTACON仕様の内部構造と構成パーツ」に変更後は、二度と姿を表さなかったのも辻褄が合い合点がいくものと捉えています(汗)
ちなみに一覧最後の❻ 絞り環ローレット (滑り止め) が細かい黒色なのは、その翌年にPENTACON仕様で登場するモデル (絞り羽根のカタチと回転が逆転してしまった以降の仕様) の絞り環ローレット (滑り止め) のしようと同じ方向性であり (PENTACON仕様とはまた違う
Meyer-Optik Görlitzの仕様のまま)、それが意味するのは「ゼブラ柄の廃止→黒色鏡胴への変遷」となり、どうしても一覧の中にあって「最後に位置付けとして ❻ に成らざるを得ない」との結論です(汗)
いずれにしても「製造番号を基に追跡しても、❸ 〜 ❻ (❺ を含む) は互いがバラバラに混在し
塊をみせないのは、極短期間に変わっていった要素だから」とも推定できそうです(汗)
↑上の写真は、今回のオーバーホール工程で「マウント部」を組み立てている途中の撮影です。左側に位置する「連携アーム」が樹脂製に変わっており、絞り環との連携に関し設計変更が
伴い「内部構造の一部が変わった」要素の証拠でもあります。
ちなみに、このマウント部からマウント面に飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれると (ブルー色の矢印❶)、その押し込まれた時のチカラの分だけブルー色の矢印❷ のトーションバネ (捻りバネ) が反応し、そのチカラが伝達されてブルー色の矢印❸ の「なだらかなカーブ」により、絞り羽根が閉じる角度が決まり、その移動量だけ「ブルー色の矢印❹の操作爪が動く」ので、絞り羽根が設定絞り値まで閉じる原理です。
この時の「なだらかなカーブ」の頂上部分は開放側を意味し「絞り羽根は微動だにしない/
動かない」一方、麓部分は最小絞り値側にあたり「最小絞り値:f16まで一気に絞り羽根が
閉じる」仕組みです。
↑同じ「マウント部」の写真ですが、上の写真は過去に扱った際の「❷ 〜 ❻ (❺を除く) モデルのマウント部共通構造」を表し、オレンジ色の矢印で指し示している位置の「絞り環連携
ガイド (溝)」が金属製、且つ「溝の設計」である点が大きなポイントです。
逆に言うなら、一つ前の写真:今回のモデル ❺ に於いて「連携アーム」が樹脂製パーツに変化すると同時に「溝ではなく突出したアーム状に変わるには、絞り環側も設計変更する必要が
ある」ために、これらのパーツを同じタイミングで用意する道理がとおらないのです(汗)
従って上に挙げた2つの写真がまさに『証拠』で「樹脂製パーツのモデルこそが最終仕様」との結論づけに到達しました。
今回の個体はこのマウント部内部の状態に瑕疵が残り、凡そ2時間がかりで改善処置を執りました(汗)・・特にマウント面から飛び出ている「絞り連動ピンの押し込み量=トーションバネ (捻りバネ) の反応」に到達させるのに、時間を要した次第です(涙)
逆に言うと、今現在もヤフオク!に「分解整備済」を謳うPENTACON製モデルが流れていますが、これらマウント部の構成パーツを一切バラさずにそのまま使いまわしています(笑)
↑そしてもっと言うなら、上の写真のとおり「光学系後群は単にストンと落とし込むだけで
ネジ込まれない設計」であり、グリーン色の矢印で指し示すように、イモネジ3本を外側から均等配置でネジ込んで締め付け固定する手法です (上の写真も今回の出品個体でオーバーホール工程を撮影しています)。
◉ イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種で
ネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。
大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。
結果、何が問題なのかと言えば「後玉の固定をミスると光軸ズレ/偏芯が発生して、撮影写真に異常が写る」次第です(怖)
それを危惧して、やはりヤフオク!での「分解整備済」もマウント部同様、この光学系後群側でさえ「イモネジを外さずにそのまま清掃している始末」であるものの、その一方で「後玉と光学系前群の3つの光学硝子レンズは外して清掃している」と言う、光路長の適正化が蔑ろの「分解整備済」です(笑)
なお赤色矢印で指し示している突出した金属棒を、前述の「マウント部内部の操作爪がガシッと掴んだまま離さずに、距離環を回すと移動している」為に、距離環を回した時のトルクの「重い/普通/軽め」の相違も、これら部位からの抵抗/負荷/摩擦が影響しており「単にヘリ
コイドグリースを新しく入れ替えれば、必ずトルク改善できる話とは限らない」ことを理解
するべきですね(笑)
↑ちなみに上の写真が今回の個体に於ける、過去メンテナンス時の「ごまかしの整備」であり赤色矢印で指し示している箇所にペンチなどの工具を使い、とても強いチカラでグイッとグリーン色の矢印方向に曲げてしまったのが判明します(汗)
このパーツは「直進キー」なので、距離環を回した時のトルクムラ、或いは重いトルクなどの何某かの瑕疵が既に現れていたことを示します(涙)・・当然ながら今回のオーバーホールで正しく水平なカタチに戻したので、距離環を回すとトルクは「軽めで全周に渡り均一なトルク感」に戻っています(汗)
◉ 直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目
但し、後で明示しますが、鏡胴の一部に打痕が残っている為「ヘリコイドネジ山が真円を維持していない分、擦れ感が酷い」印象です(汗)
↑ここからはオーバーホールが完璧に終わった、出品個体の解説に移ります。13年間もの間、死角に入っていて全く見向きもしなかった、その存在すら認知していなかったモデルバリエーションの一つです(汗)
このモデルは一般的に、PENTACONから1967年3月発売の一眼 (レフ) フィルムカメラ「PENTAFLEX SL」向けセット用標準レンズ「Domiplan 50mm/f2.8の系統」を引き継ぐ「Pentaflex Auto-Color 50mm/f2.8 (M42)」をセットして市場流通していたものの、極一部の本数だけが上位格として「Pentaflex Auto-Color 50mm/
f1.8 (M42)」に組み替えられ流れていたようです。
1967年3月〜1968年12月でその製産を完了している為、僅か22ヶ月間だけの限定製産とも言い換えられそうです(汗)
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリが皆無です。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:16点、目立つ点キズ:11点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な4mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」したまま閉じていきます。1枚の絞り羽根だけが閉じる時の角度に
経年劣化進行に伴う狂いが残っているので、上の写真のとおりその状況を視認できます。
なお冒頭解説のとおり、絞り羽根は「開放設定時に完全開放に近い状態に開くよう微調整した」為、その反面最小絞り値側:f16の時は、上の写真のとおり「開口部の面積/カタチ/入射光量がギリギリf値:F16に到達状況」の印象です (簡易検査具で検査した時、もう少し閉じると本格的にf16に入る印象/現状はf16の境界に一致しているような印象)。
従って開放側に明るめの設定の微調整とも言い替えられ、或いは「収差LOVE」な御仁には堪らないオールドレンズになるものと信じて疑いません(笑)
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。なお後キャップを外さずに距離環を回すと空気の吸い込みにより、さらに重いトルクになる為、後キャップを外して操作して下さい。
・距離環を回す時ヘリコイドネジ山擦れ感が強めの印象です (神経質な人は特に強く感じる)。
・装着するマウントアダプタによってはピン押し底面の深さの影響で絞り羽根の開閉動作に問題が現れる懸念があります。出品商品はK&F CONCEPT製、及び日本製Rayqual製マウントアダプタに装着して絞り羽根の開閉動作に異常なく正常である事を確認済みです。マウントアダプタ装着時の絞り羽根開閉動作に係る問題はクレーム対象としません。
・今回出品個体はオーバーホール工程で、故意にワザと絞り羽根開閉動作について特別な微調整を施しています。開放時に絞り羽根が完全開放するよう仕上げている為、その反対側の最小絞り値側「f16」はギリギリの設定です (本来開放時は絞り羽根が顔出しし六角形です) これは開放側での特に円形ボケや収差の写りにこだわりをみせて処置している為クレーム対象としません。
さらにその影響で開放側での撮影時(f1.8〜f2)のピント面ピーク/山が分かりにくくなっています。「f2.8〜f16」間はカメラ側ピーキング設定にも十分反応するので「f2.8」辺りでピント合わせをしてから、開放側に絞り環を調整すると撮影が楽かも知れません。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・鏡胴に1箇所打痕が残り、それが原因で距離環を回す際、擦れ感が強くなっています (打痕は修復済)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ 純正樹脂製被せ式前キャップ(中古品)
❷ 本体『Pentaflex Auto-Color 50mm/f1.8 (zebra)《中期型》(M42)』
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
❹ HAKUBA製MCレンズガード (新品)
※❹は在庫切れで、上の写真に写っていませんが、お届けする際は同梱します。
↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し底面を「平面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。
赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。
無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:50㎜、開放F値:f1.8、被写体までの距離:53m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:26m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の60m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離33cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。
なお上の写真含め、以下の実写撮影時は「汎用金属製フード:25㎜長 (ネジ径:⌀ 49mm)」を装着し撮影しています。フード未装着時は「設定絞り値F8時点でフレア状の写りが現れている」状況でしたから、ご用意頂くのがヨロシイかと思います(笑)
またこのモデルの設計上「絞り環のクリック感が非常に弱い感触」なので、クレーム対象になりません(汗) 例えば昔に試しに「反発式スプリングを強めに入れ替えたら、クリック感の溝 (絞り値キー) がさらに削れてしまい、結局弱いクリック感に変わってしまった」のを経験値としてもっているので(汗)、これはどうにもならないです(汗)
↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影していますが、開放f値が「f1.8」なのでほとんど
変化が起きません(笑)
↑さらに回してf値「f2.8」での撮影です。僅かにピント面のピークが上がった印象です(笑)・・こんくらいの鋭さ感が、このモデルでは美味しそうですッ!(笑)
↑f値は「f4」にあがっています。まだまだ背景はボケボケです(笑)
↑f値「f8」での撮影です。ピント面のピーク感がだいぶ上がりましたが、それでも前述のとおり「開放時に完全開放するようイジっている」ので、写り的には「f5.6」レベルの描写です(笑)
↑最小絞り値「f16」での撮影です。フード未装着では、フレアが凄く出て、とてもありがたく感じる写りではありませんでしたが(汗)「回折現象」の影響は感じません (上の写真はフードを装着して撮影しています)(笑)
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
↑なお余談ですが(笑)、上の写真はオーバーホール工程途中を撮影しているものの「磨き入れ」途中の写真です。当方の写真スキルが皆無なので(汗)、上手く撮られておらず分かりにくいですが (スミマセン)(汗)、赤色ラインを境にして赤色矢印側が「既に磨き入れ済」の一方グリーン色の矢印側が「未実施の筐体外装状態」を表します。
光を反射してメッキ加工された金属材表層面の光沢感が違うと思いますが、赤色矢印側は製産時点の光沢感を取り戻しているものの、グリーン色の矢印側は「実はメッキ加工の微細な凹凸面に残る経年の手垢/油脂」詰まる処「汚れ」です(汗)
もしもこのように光に反射させて金属材表層面を確認した時に「斑模様に微細な凹凸感が凄い (上の写真よりも何倍も凄い斑模様の意味)」なら、それは「経年の手垢/油脂ではなく、メッキ加工の微細な凹凸面を侵食しているカビ菌糸」であり、それが斑模様に視認できるのです(怖)
この場合、残念ながら単に「磨き入れ」しただけでは、それらメッキ塗膜面を侵食してしまった経年の「カビ菌糸の繁殖」は一切除去できませんし、今ドキのヤフオク!「分解整備済」で流行っている「中性洗剤による水洗浄」でも除去できません(笑)
専ら削り取るしか無く (何故ならメッキ塗膜面を深層まで既に侵食しているから) 当然ながら、製産時点に施されたメッキ塗膜面は「薄く削られてしまう」結果に至ります(涙)
これは当方が家具専門店に在籍時、師匠から伝授されている最中に学んだ内容なので、そこに木工品も金属もありません (材の表層面に被せている内容が違うだけの話で、必ず微細な凹凸面の水分を糧にしてカビ菌が繁殖していく)。ましてや手で触れる場所になればなおさらの話で
手垢/油脂は相当に厄介極まりないシロモノです(汗)
確かにオールドレンズなので数十年の経年など当たり前の話ですが(笑)、そのような経年の「手垢」を喜び勇んで触り続けているのだと捉えると・・はたしてどうなのでしょうか (当方などは相当キモくて嫌です)???(笑)
それを「無水アルコールで清掃している」など謳うバカなヤフオク!出品者が居ますが(笑)、無水にしろ何にしろアルコールなどで拭いたところで、全く効果などあり得ません(笑) それこそ中性洗剤を使いどうしても水洗浄したいなら「研磨しながら工業用精製水/純粋を使って流水の中で機械洗浄しない限り、将来的なエイジングを担保したまま磨くことなど不可能」です。
(流水洗浄後に必ずエイジング処理工程が必須/そのまま乾燥させると数年で酸化/腐食/サビがポツポツと現れる)(怖)
たかが筐体外装ひとつとってもこのような話なので(汗)、内部構成パーツの金属材に対する「水洗浄」など以ての外です(笑) なお上の写真は工程途中なので、まだエイジング処理未実施状態での写真撮影です。