♦ Carl Zeiss Jena (カールツァイス・イエナ) Biotar 4cm/f2 (RoBoT)《戦前型》(M26)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、旧東ドイツは
Carl Zeiss Jena製標準レンズ・・・・、
『Biotar 4cm/f2 (RoBoT)《戦前型》(M26)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
ご落札頂きましたぁ〜!(涙)
ありがとう御座います!(涙)何しろ実装するのが「歪曲絞り羽根」なので、”カメレオンの目“と呼んで
いますが(笑)、その組み込みがチョ〜大変で(汗)それだけに思い入れも強く、活用してくださる方の手に渡るのが・・
何よりも嬉しいです(涙)
まだまだ頑張ってほしいです・・。
ありがとう御座います。
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時の旧東ドイツはCarl Zeiss Jena製標準レンズ域「Biotarシリーズ」全てのモデルで括ると83本目にあたります。
その内訳は「58㎜/F2」で75本 (初期型:8本/前期型:21本/中期型:45本/王刻印付:1本) に、中望遠レンズ「75㎜/F1.5:6本」を加え、今回扱い品「RoBoT版Biotar 4cm/f2」が僅か2本目と言う状況です。
残念なからオーバーホール作業に際し、微調整が相当ハイリスクを伴い、且つ光学系の状態が良い個体を探し続けると、平気で6年も経過するため・・
「今回の扱いが最後」です(涙) お探しの方は、是非ご検討下さいませ。
※引退に向けて徐々に扱い本数を減らしていきます。なおご落札頂いた方には、ご希望があれば以下で撮影に使った「RoBoT II型
フィルムカメラ」を差し上げます (但しジャンク品/不動品)
※モデルバリエーションの2つめに写っている「RoBoT II型」
「RoBoT版Biotar 4cm/f2」と言う大変マイナーなモデルですが、そもそも当時のフィルム
カメラに於いて、特に戦前〜戦中に主流を成していたのはレンジファインダーカメラであり「人の目で見た自然な画角」という観点から世界規模で「標準レンズ域:40㎜〜45㎜」が受け入れられていました (バルナック型ライカ登場により、後の時代には標準レンズ域の画角として50㎜が流行り始め、世界標準の座を手にした)。
従って現在でもこの40㎜という画角が「最も見やすくて気に入っている」或いは「感覚的にハマるサイズ」と、撮影シ~ンの現場での感性面から捉えた自然な印象/感じ方/挙動として、しぶとく人気が残る画角でもあります(笑)
そのような「人の瞳で捉えた時の生理的な感覚/受け取り方」を大切にしたい気持ちが強く、実はこのモデル「RoBoT版Biotar 4cm/f2」を、前回扱った2018年来ず〜ッと探し続けていました(汗) しかしその登場背景と経緯から、なかなか状態が良い光学系の個体が流通せず
ようやく6年ぶりにめぐり逢えた個体です(涙)
しかし現物を手にしてバラす前の実写チェックを行えば「まるでアンダーインフ状態」と言う状況で、しかも光学系内は薄いクモリの世界に至っており「当たり前に霧中撮影」みたいな
感じです(汗)・・ここ2〜3年で特に強く感じますが「巷に流通するオールドレンズ光学系の悪化が酷く進んでいる」との加速感が増している傾向です(怖)
実際今回手に入れた個体を「完全解体」してバラしオーバーホール工程を進めるものの、相変わらずの「過去メンテナンス時の整備者による、執拗な反射防止黒色塗料の塗布」に接して、光学硝子レンズ面の蒸着コーティング層に対する「化学反応の脅威に晒され続けている現況」に危惧を超え、ついに『絶滅に向かい邁進している現実』を目の当たりにした印象です(涙)
それに加えて「光学系内の薄いクモリの因果の一つ」に、過去メンテナンス時に塗布された「白色系グリース」による経年劣化進行に伴う揮発油成分の付着があり「絞り羽根の油染み」含め「心無い人達による無作為な思考とその行為」により『絶滅危惧種』たるオールドレンズは、ただただひたすらに消滅に向かうだけの運命しか・・残っていません(涙)
・・この調子で進めば、とても50年の時を耐え忍べないのが、目の前のリアルな現実(涙)
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1955年に「世界初のマクロレンズ」として「Makro-Kilar E 4cm/f3.5 C ●●●」を開発/製造/発売した設計者「Heintz Kilfitt (ハインツ・キルフィット)」氏は、戦前ドイツはバイエルン州München市のHöntrop (ハントロープ) と言う町で、1898年に時計店を営む両親の子として生まれます。
時計職人の父親に倣い、自身も時計の修理や設計などを手掛けていましたが、同時に光学製品への興味と関心からカメラの発案設計など、実家の屋根裏に用意した作業場で熱心に没頭し手掛けていました。
Kilfittは27歳の頃に想起し5年の歳月を経て開発した、ゼンマイ仕掛けによる自動巻き上げ式フィルムカメラ (箱形筐体にCarl Zeiss Jena製Biotar 2.5cm/f1.4レンズを実装) のプロトタイプに関する案件を、当時のKodakやAgfaに持参しますが相手にされず、31歳の時に同じドイツのHans-Heinrich Berning (ハンスハインリッヒ・ベルニング) 氏に売却しています (左写真はその時のプロトタイプ)。
このカメラは後の1935年小型化され、よりカメラらしいフォルムになって「世界で初めての自動連続撮影が可能なフィルムカメラ:RoBoT I型」(ゼンマイ式自動巻き上げ機構を搭載した24 x 24フォーマット) として、父親の会社であるOtto Berning & CO. (オットー・ベルニング社) から発売されます。
左の図はその時の「RoBoT I型」に関するKilfitt氏の特許出願申請書『US2044434 (1934-02-14)』ですが、翌年に製品化した商品とは異なりますが原型でもあります。
この時、Kilfitt氏はオットー・ベルニング社に在籍し共同して参画するも、光学製品への情熱は捨てられず、自身の発案を売却して得た資金を本出にして1941年ミュンヘン市内の町工場を買い入れ試作生産を始めています。
大戦後1947年に隣国リヒテンシュタイン公国の首都Vaduz (ファドゥーツ) にて、念願の
光学製品メーカー「Kamerabau-Anstalt-Vaduz (KAV:ファドゥーツ写真機研究所)」を創業し、様々な光学製品の開発・製造販売を始めました (Kilfitt 49歳)。Kilfitt氏が発明し製品化する光学製品は、有名な現代物理学の父とも呼ばれるノーベル物理学賞受賞アインシュタイン
博士や友人のFrank Gerhard Back博士らの強い関心を得て、その縁からKilfiit氏は70歳の時に自身の会社を引退の後、米国のFrank Gerhard Back博士に会社を売却し1973年に75歳でその生涯を閉じます(涙)
売却した会社は後に「Zommar社」と社名を替えてシネレンズ業界に名を馳せ、様々な撮影
レンズを供給していきます。
《RoBoTシリーズのモデルバリエーション》
24 x 24mmスクウェアフォーマットによる最大48枚 (1回の巻き上げで最大24枚) 連写が可能なゼンマイ式自動巻上げ機構装備。
事実上1960年代まで連続撮影が可能なフィルムカメラとしてその市場を独占。
24 x 24mmスクウェアフォーマット。1回の巻き上げで最大8枚の連写が可能になる大型の巻き上げノブをオプションで用意。
M級シンクロ接点を装備。ちなみにファインダーは右横にも用意されており、視界の向きを変更するツマミを装備。
ドイツ空軍向け仕様:1939年
正式にドイツ空軍備品として登録されたので「Luftwaffe-Eigentum
(空軍備品)」刻印が許されます。
ちなみに供給フィルムカメラは陸軍はLeicaで海軍がIhagge DresdenのEXAKTA。
M/Xシンクロ接点とアクセサリーシューを装備。
135フィルムが使えるようになり、オプションでやはり最大48枚まで1回の巻き上げで連写が可能な大型ノブが用意される (オリジナルは 1回の巻き上げで最大24枚連写可能)。
「M26ネジ込み式マウント」規格の最終型。
24 x 24mmスクウェアフォーマットのまま距離計連動方式採用。
マウント規格がバヨネットマウントタイプに変わり「M30ネジ」も同時に装備。
36 x 24mmのライカ判フォーマットを初めて採用。
1回の巻き上げで最大16枚の連写が可能。
距離計連動機構を装備したバヨネットマウント規格。
36 x 24mmのライカ判フォーマットの他、1回の巻き上げで最大16枚の連写が可能。
距離計連動機構を装備したバヨネットマウント規格。
新たに5コマ/秒の連続撮影が可能になった。
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戦前の1932年にZeiss Ikonから発売され世界規模で一世風靡した
レンジファインダーカメラ『CONTAX I型』に標準レンズ『Tessar 5cm/f2.8 (nickel)《沈胴式》(C)』巷で「Black & Nickel Tessar」と呼ばれている沈胴式タイプを装着している写真です。
(右写真は沈胴をスライドして繰り出している状態)
戦前の時点で既に用意されていたオプション交換レンズ群には、最も明るいモデルで「Sonnar 5cm/f1.5」があるくらいなので、当時では相当なインパクトがあったのではないでしょうか(汗)
それでいてレンジファインダーカメラ側と言えば、1/1,000秒のシャッタースピードすら用意していたので、戦前ドイツ恐るべし(笑)
今回扱う「Biotar 4cm/f2」モデルのルーツを探ると、必ずここに
舞い戻ります。左写真は「CONTAX I型」に合わせて配布されていた1934年時点のCarl Zeiss Jenaオプション交換レンズ群カタログ (表紙) です。「THE EAGLE EYE OF YOUR CAMERA」なので、鋭いピント面であることを指して「鷲 (eagle)」なのが明白です。
・・巷で使われ続けている「鷹の目」ならHawkなので違いますね(笑)
↑上の図はBiotarだけにこだわった変遷を追って調べた時の順番で並べています。
左端と2つめが一つ前のCarl Zeiss Jenaオプション交換レンズ群カタログ「鷲のアイコンの
表紙」の掲載からの抜粋です。
Biotarの光学系構成図が載っていますが、2つめの抜粋文章を見ると「Biotar F2、45、1¾」との記載があり、計算すると「1.75インチ=44.45㎜」から、まさに「4.5cm/F2」なのが判明します(汗)
すると左端に載っているBiotarの構成図は「中判向けオプション交換レンズ群の光学系構成図だった」ことが分かりました。
一方右側の2つは、まさに前述「CONTAX I型」登場に合わせて配布していたレンズカタログからの抜粋で、その解説記事として3つめの抜粋から掴めます。この「4cm/F2」こそが
フルサイズフォーマットでのBiotar始祖を指し、その特許出願申請書を探ると、戦前ドイツのCarl Zeiss Jenaに在籍していたDresden生まれの光学レンズ設計技師、Willy Walter Merté (ヴィリー・ヴァルター・メルティ) 氏に辿り着き、1927年に申請した『US1786916 (1927-09-29)』の発明へと繋がりました (右端)(汗)
↑左側2つが「CONTAX I型」発売当時に用意されていたオプション交換レンズ群の中のモデルで、アルミ合金材鏡胴で造られている第一世代です。次の2つめがブライトクロームメッキが被せられた第2世代になり、真鍮製/ブラス製です。
そして3つめが今回扱う「RoBoT版Biotar 4cm/f2 (M26)」なるも、その「後期型」に値するのが明白です・・今までに一度も扱いがなくバラしたことがありませんが、それでも観ただけでその根拠に「構造として距離環にネジ込まれている制限キーの存在」を挙げられ、今回扱ったモデルにはこの2つの制限キー (皿頭締付ネジ) が存在しない構造だからです (単にネジが
2本刺さっただけの話ではなく、この為に内部の設計が一部違うのが分かるから)。
逆に言えば「今回扱った個体の構造は、この後期型よりももっと難しく、厄介な内部設計を
採っていた」とも言い替えられ、この「後期型」の登場理由が「内部構造の合理化/簡素化/
工程減」が狙いだったのが掴めるのです(汗)
ちなみに最後の右端が「ドイツ空軍備品」を表すドイツ語の「LUFTWAFFEN-EIGENTUM」刻印が記されています (3つめの個体とは別モノ)(笑)
←左図は画角をイメージする一例として載せました。一般的に「フルサイズ」とはライカ判フォーマットを指し「36 x 24㎜ (ブルーの範囲)」それに対し「APS-Cサイズ」は「26.3 x 16㎜ (赤色の範囲)」などがあり、一方今回のモデルは「24 x 24㎜スクウェア
フォーマット (黄色の囲み)」の為、これはこれで正方形として違和感を感じない人にとり十分に有効なフォーマットだと思います。
(それぞれの画角でシ〜ンが切り取られるイメージ)
むしろ当方のような人間にとっては、APS−Cサイズでスクウェアをヤッていてくれれば、即座に念願の富士フイルム製ミラーレス一眼を手に入れていたと思います(涙) それが「人の瞳で感じる自然な画角/捉え方/感性」であり、何もムリに横長にせずとも「天井の高ささえスクウェアに合わさっていれば違和感にならない」とも言え、全く以て残念極まりない撮像素子面サイズの話です(涙)
確かに当方は「写真スキル皆無」ではありますが(笑)、そうは言っても、もしかしたら感覚的に被写体の高さ感に違和感を抱くのかも知れません (物は言いよう)・・そんくらい人の瞳で
認知している画角は狭いのかも知れません (瞳を瞬時に動かして全体把握しているだけ)(汗)
パッと見て、脳が自然に瞬時に把握して違和感なく感じ取っているからこその「具合の良い、スパッとハマる画角感」みたいな話です(笑)
光学系は元祖4群6枚のダブルガウス型構成です。右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時当方の手により
デジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。光学系前群と後群との間に挟まっているのは、絞りユニットですが、後で解説する「歪曲型絞り羽根8枚」です(汗)
各群が互いに離れている距離は当然ながら、この「歪曲絞り羽根」のカタチまできっちり計測し、可能な限り正確にレースしています。
前出の「CONTAX I型」当時の標準レンズ光学系に比べると、画角が狭い分後群側のサイズが小さく、合わせて「歪曲絞り羽根」の導入による「使える光学系のためのスペース確保」が適い、小さく狭い範囲の被写体を狙いながらも、存分に設計してきたことが窺えます(涙)
(右構成図は前出特許出願申請書掲載図面からの当方によるトレース図)
どうせネット上の評価では「CONTAX向けこそがベスト」と罵られるのがオチですが(笑)、
天邪鬼な当方はそういう身の上に、心許なく同情を超えた共有感に浸れ、何だか実写を観て
いても構えることなく安心感漂うから不思議です (同じ穴の狢)(笑)
↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『Biotar 4cm/f2 (RoBoT)《戦前型》(M26)』のページをご参照下さいませ。
パッと見では完全解体しても構成パーツ点数が極端に少なく「まるで初心者向け」のように見えますが(笑)、ヘリコイドオスメスと鏡筒との関係性が特異なので、どちらかと言うと「難度が高いモデル」に入ります(汗) さらに各部位の微調整に関してはむしろ一級品並みに「高いスキルが必須」なので、確かにバラす前のアンダーインフ状態なのも納得の内部構造です(笑)
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑上の写真は当初バラしている最中の撮影ですが「位置決め環」を撮っているものの、赤色
矢印で指し示したとおり「反射防止黒色塗料」塗りまくりと言う、過去メンテナンス時の整備者による所為です (一部を当方の手により剥がし始めている写真です)(汗)
絞りユニット内部で使われる構成パーツの一つですから、ここに「歪曲絞り羽根」が刺さるのに「反射防止黒色塗料」を塗ったら、経年劣化進行に伴い「塗膜粉が光学系内に散らばる」という懸念すら無視するのが・・たいしたものです(笑)
↑上の写真は取り出した光学系を左から順に並べて撮っています。光学系前群を赤色文字で
表記し、光学系後群をブルー色の文字にしています。またグリーン色の矢印で指し示している方向は「前玉の露出面側方向を明示」しています。
光学系前群は第1群と第2群にちゃんと解体できましたが、残念ながら光学系後群側は
バラせずそのままです(涙) 然し、その光学系後群側の第3群貼り合わせレンズに「外周の
薄いクモリ」が生じている為に解体したかったのですが、何しろ2枚の光学硝子レンズ貼り
合わせなので「執拗に加熱処置できない」ことから途中で諦めました(涙)・・この貼り合わせ
レンズが、2枚の光学硝子レンズの黄銅材への一体モールド成形なので、下手にバルサム剤が溶けて浮き始めたら、剥がすことができないからです(怖)
黄銅材にしろ、アルミ合金材にしろ、モールド一体成型は「治具がなければ何もできない」ものの、逆に言えば「治具さえ在ればバラして再接着後に組み込める」ワケですが、整備で用意するとなれば相当な数のカタチや径が必要になり、現実的な話になりません (製造メーカーだから用意できていた話)(涙)
↑同様ヒックリ返して裏面側を撮影しています。今回の個体で大きな問題を招いていたのが
「オレンジ色の矢印で指し示している箇所に塗られていた反射防止黒色塗料」であり、これらの位置は「全てが光路長を狂わせていた一因」になり、結果的にアンダーインフ状態に陥っていたのは、至極納得できる話です(笑)
こういう要素こそが、永遠と今現在も非常に多くの整備会社で続けられている「反射防止黒色塗料の着色」であり、ちゃんと考えずに「単に仕上がり後の光学系の見てくれの良さだけを
追求して着色し組み上げている」から、堪ったものではありません(涙)
組み上がり後にちゃんと実写検査して計測値から「このモデルの光路長に匹敵している/近似している」と、どんだけの整備会社が検査の努力をしているのか、本当に疑わしいものです (もちろんちゃんと検査して実証済みで整備を進めている会社だってあるのを把握している/が然しほぼ9割方何も検査していません)(笑)
カメラショップ店頭のGケースに、整然と並べられている個体のいったいどれだけがちゃんと光路長検査済みなのか、それを疑わずして高額で買っている顧客が多いのも、当方から見れば笑けてしまうリアルな現実です(笑)・・アンダーインフに陥っていても「造られてから80年
以上経っているからねぇ〜」のひと言に、み〜んな納得してしまうのでしょう(笑)
そんな状況の中、当方が「キッチリ光路長を適正化できた個体数」などたかが知れていて(笑)
たったの僅か3,500本辺りのレベルですから、まるで焼け石に水状態です(笑)
それでもせめて、大好きな「Biotarの戦前個体」をキッチリ光路長確保して
仕上げられたのは、有終の美になると独り信じてやまない自身の御慰みだけ
の話です・・ハイ、自己満足大会でヤッてます(嘲)
↑上の写真は光学系第2群の2枚貼り合わせレンズ (左) に、光学系後群 (右) です。もちろん
オレンジ色の矢印で指し示している箇所にも執拗に「反射防止黒色塗料」が着色されていた
ものの、実は赤色矢印で指し示している箇所も「反射防止黒色塗料」だらけなるも、ここだけ
は別で「絞りユニット内の開閉環の膨れ上がりを押し込んで、適正な絞り環操作を実現させて
いる平滑面」なのに、平気で着色しまくります(汗)
当初バラした直後は一部の塗膜がハガレていたり、摩耗していたり、或いは抑え込まれている側の立場である「開閉環側のフチは摩耗状態」であり、貴重な「歪曲絞り羽根タイプの戦前
モデル」をただただ『製品寿命』へと誘っている始末です(怖)
当然ながら上の写真の黄銅材部分は、当初バラした直後は「焦げ茶色に経年劣化進行に伴う
酸化/腐食/サビ状態」だったのは、言うまでもありません (当方の手により2時間がかりで『磨き研磨』している)(汗)・・ご覧のとおり「最短で0.8㎜以上の隙間までキッチリ磨いて
いる」ものの、巷で流行る「金属研磨剤」などは決して使いません (黄銅材が堪ったものではないから)(泣) もちろん既に「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたり
しません。
↑絞りユニット内にセットされる「位置決め環 (左)」と「開閉環 (右)」です。この歪曲した面に「歪曲型絞り羽根」が完全接触しながら80年以上も開いたり/閉じたりしていたワケで、互いに接触しながらにも関わらず「焦げ茶色に経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが生じていた」リアルな事実こそが「決して酸化被膜に守られ続けていたワケではない」ことの証になっているワケで、今回のオーバーホールで当方が施した「エイジング処理」すら、どうせ10年くらいしか保ちまん (今までの自身整備品の回収実績から8年前まで、オールドレンズ内部の経年劣化の進行状況、酸化/腐食/サビの状況を把握済)(涙)
単に「観察と考察」に「原理原則」だけに頼らず、ちゃんと自身が今までに整備してきた個体が再び市場流通した際、お金を払って回収し、再度バラして内部状況を確認する実証検査まで
執っています (だからと言って決して信用/信頼の上積みには成っていませんが)(笑)・・それで具体的に「10年くらいは大丈夫 (検証結果は8年前まで)」言及できているだけの話です(笑)
↑同様ヒックリ返して裏面側を撮影していますが、重要なのは (冒頭で解説してきたのは) 右側の「開閉環」赤色矢印で指し示している箇所の「平滑性担保」です。ここに前出の光学系第2群裏面側平滑面がダイレクトに100%接触し、且つ絞り環操作に従い「開閉環の浮き上がりを圧迫しながら抑え込んでいる」からこそ「歪曲絞り羽根に対する経年の抵抗/負荷/摩擦を
最小限に抑えられている」のが「原理原則」です。
今回の個体はおそらく「0.1㎜以下の薄いシム環」でもここに挟み込めば「経年で摩耗して
擦り減ってしまった黄銅材の当初の厚みを補って取り戻せる」のかも知れません(泣)
↑前出の絞りユニット内構成パーツに挟まれる「歪曲型絞り羽根」を組み合わせて並べて撮影しています。表裏面に「キー」がプレッシングされているものの、それぞれの径と突出量は
微妙に異なり、ちゃんと内部で「回転運動で互いに擦り合う」ことを想定した配慮で設計されているのが分かります(汗)
これら8枚の「歪曲型絞り羽根」が最も上方向に浮き上がって膨張するタイミングは「最小絞り値側で互いが重なり合って膨張原理が働く時」なので、今回の個体の仕上がりも「最小絞り値側方向:f11〜f16が硬い絞り環の操作性」と言う、或る意味瑕疵内容が残ってしまいましたが、擦り減ってしまった金属材はどうにも戻せません(涙)
・・たかが塗料だからと何も考えないので、このように影響が他の部位に現れる(涙)
これこそが「観察と考察」であり「原理原則」の則れば、自ずと「本来在るべき姿」として
組み上がり、それは「限りなく製産時点に近似する」と述べているのです。
・・当方『DOH』のポリシ~。
なお、当方のオーバーホール工程では「具体的に、物理的に支障を伴わない限り、絞り羽根は磨いたりしない」ので(笑)、経年劣化進行に伴う状態そのままに使います (極僅かなカタチの変形や崩れだけでも違いの擦れる箇所が変化するので、絞り羽根の寿命に大きく影響するから/特にキーのプレッシング箇所が一番怖い/キーが脱落するだけで製品寿命になる)。
このモデルでは「歪曲型絞り羽根」が互いにピタリと全面で接触し合いながら開閉動作する
原理です(汗)
これら8枚の「歪曲型絞り羽根」のカタチを整え、絞りユニット内部に組み込み「可能な軽いトルク感で絞り環操作できるように微調整」する作業だけで2時間を要しますが、残念ながら既に他のパーツが金属摩耗している為「f11〜f16では絞り環操作が硬くなる」仕上がり状況
です (残念です)(涙)
↑ようやく組み上がった個体の掲載写真に辿り着きました(笑) 光学系後群の外周に残るクモリを除いて、光学系内がスカッとクリアなのを維持しているのが、全く以て信じられません・・何故なら「製産後86年経過している」からです(涙) 先の大戦を乗り越え生き存えただけでも奇跡的なのに、本当にオドロキの個体です。
↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリすら皆無です。
内部に混入して写っているのは「気泡」です。
◉ 気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「証」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。
但し「玉ボケ」などで相応に大きめの円形ボケが現れた内部に、これら「気泡」の影が映り
込むことは十分懸念が残りますが、然しはたしてどれだけの大きさで「玉ボケ」が表出するのかまで、ちゃんと考えれば「たいしたことにはならない」話なのが分かると思います(笑)
これが中望遠レンズなどのモデルで、光学系の設計から「とても大きな玉ボケが表出する」なら、その内側にポツポツとこれら「気泡」の影が映り込みます(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
前玉露出面側の一部には「擦りキズ/拭きキズ/ヘアラインキズ」などが極々微細に残って
います。
↑光学系後群側もパッと見でキレイに見えましたが、ヤラレました(涙) 中心部がギリギリの
ところで入射光を通してくれるレベルで耐え凌いでくれたので(涙)、本当にラッキ〜だったと
思います。
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
冒頭解説のとおり、この後群側をバラせていないので、内部の光学清掃もできていません(汗)
黄銅材の格納筒は可能な限り「反射防止黒色塗料」を溶剤で溶かしまくって、光学硝子レンズへの化学反応を防いでいます(怖) この話は以前取材させて頂いた工業用光学硝子レンズ精製会社様でご教授頂き「反射防止黒色塗料」に含まれる成分の影響がぜったいに無いとは言えないとご指摘を受け、どうしても着色が必要な時は「どのような成分を主体にするか」で必ず
チョイスするべきと窺いました(怖)
↑同様内部には「気泡」が混入しています (後玉側方向から内部を透過させて撮影した写真)。
↑普段はぜったいにLED光照射して内部を写した写真を載せないのですが (LED光照射しても、残念ながら皆さんは、光学系各群の何処の群に何が残っているのかまで正確に判定できない) からですが (もちろん当方が自分の目で視認すれば判定を下せる)、上の写真のとおり外周部分にクモリを帯びています(涙)・・はたしてこれか光学系第3群の2枚貼り合わせレンズに生じている「バルサム切れ」なのか否かまでは、この写真だけでは判定できません(汗)
・・バラせないので仕方ありません。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大4mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
但し光学系後群側を解体できず確認していません。単なる汚れなのかバルサム切れなのか確かめられずその点について確証はありません(クレーム対象としません)。
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):あり
(前述後群側の外周付近に薄いクモリあり)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが少ない)
(但し後群側外周の薄いクモリは残ってます)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内は「微細な気泡」が複数混入しています。光学硝子精製時に適正な高温度帯に一定時間到達し続けた「証」と捉えていた為当時正常品として出荷していました (写真に影響なし)。
↑8枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動していますが、冒頭解説のとおり絞り環操作時に「f11〜f16は絞り環操作が硬くなる」瑕疵が残っています・・但し、これは絞り羽根が最小絞り値側方向に閉じる際、互いに重なり合って「膨張原理」が働くので、仕方ない要素も含まれます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・このモデルの距離環操作は「クリック感を伴う」ため、刻印距離指標値の位置に従いカチカチとクリック感を感じます(指標値の間でも微調整は可能)。
・絞り環操作は無段階式(実絞り)方式ですが「f8」まではスカスカながら操作できるものの「f11〜f16」は硬めです。しかしf16まで回しても壊れることはありません(ちゃんと閉じますし構造上将来に渡り問題が起きない事を確認済)。但し回転式ヘリコイド駆動なので「絞り環も一緒に回る」為、ピント合わせ後に絞り環操作すると距離環まで回ってしまいます。
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ 本体『Biotar 4cm/f2 (RoBoT)《戦前型》(M26)』
❷ YEENON製『M26 → L39マウントアダプタ』(新品)
❸ 汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
❹ 汎用樹脂製被せ式前キャップ (新品)
↑付属する海外オークション「ebay」で入手したYEENON製「M26 → L39マウントアダプタ」です。造りはシッカリしていますが中国製です (上の写真はオールドレンズマウント側方向の面を撮影しています)。
↑ヒックリ返して裏側を撮りました。「L39ネジ山」が切削されていますが、手を切りそうな切削が残っておらず、ちゃんと面取り加工して仕上げているのが分かります。
↑黒色のメッキ加工が施されている「L39ネジ部」には3箇所に均等配置で「イモネジ」が備わるので、これを精密ドライバーなどを使い緩めれば「オールドレンズをネジ込んで装着した時の指標値のズレを微調整できる」次第ですが、ハッキリ言って使っている金属材が黄銅材なので、少々硬度が弱い印象であり、留意が必要です (できれば回さないほうが良い/既に指標値位置を合わせ済みです)(汗)
↑こんな感じで今回の出品個体マウント部にネジ込んでセットできますが、上の写真を撮影していて赤色矢印の箇所がピッカピカなのに気づき(汗)「反射防止黒色塗料」着色しています。
またこのマウントアダプタの外形が「ほぼ製品にピタリ」で、それはそれで見栄えが良いのですが(涙)、如何せん「強く締め込みすぎるとマウントアダプタを外せなくなる」ので、留意が
必要です(汗)
硬締めしてしまい外したくても「黒色メッキ加工のネジ部の環/リング/輪っかがだけが、イモネジで空転してしまい外せなくなる」最悪の状況に至ります(怖)
その意味でもこのまま専用にこのマウントアダプタをセットしたままお使い頂くのがベスト
です(汗)
↑このモデルの距離環と絞り環との関係性を解説している写真です。距離環が「基準▲マーカー」位置 (グリーン色の矢印) で「∞刻印」に合致している (赤色矢印) 状況ですが、この時
「絞り環側の指し示す▲刻印は別の場所にいる」のをブルー色の矢印で明示しています(笑)
↑距離環を回すと刻印距離指標値 (赤色矢印) で「カチカチとクリック感とともに音が聞こえ
つつ回転する」ものの (グリーン色の矢印)、その時絞り環も一緒に回転する「回転式ヘリコイド駆動方式」の設計です。
従って距離環を回してピント合わせ後に「ボケ具合で絞り環操作すると、途端にピント面が
ズレる」次第です (ブルー色の矢印)・・できればピント合わせ前に絞り値をセットしておくのが良いでしょう(笑)
↑その絞り環側の開放時の位置を撮影しています。グリーン色の矢印で指し示す「基準▲マー
カー」に対して開放f値「F2刻印」は少し手前位置で停止するものの、ちゃんと完全開放しています (赤色矢印)。
↑刻印絞り値「F8」(赤色矢印) まではスカスカですが絞り環操作は軽めの印象です (グリーン色の矢印)。
↑しかし冒頭解説のとおり「F11〜F16間は絞り環操作が硬くなり (赤色矢印)、写真の
ようにF16まで回せないこともある」ものの、硬くても最後まで締め付けてしまって構いません (それで将来的にトラブルに至らないよう配慮して組み上げています)。
・・まぁ〜、操作が硬いのでF8までで使えば一番楽チンです(笑)
このモデルは「指標値環の刻印着色の色合いは、距離環刻印距離指標値と絞り値まで色合いを合致させている」ので、被写界深度を見ただけで掴めるよう配慮して造られています (それが
カラフルな刻印の意味合いです)(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/ほぼピタリの状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:40㎜、開放F値:f2.0、被写体までの距離:31m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:15m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、20m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の40m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離70cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
・・如何ですか??? この写りが製造後86年を経たこの個体が吐き出す描写性です!(涙)
当初バラす前の実写確認時よりも「ピント面の鋭さ感がだいぶ増している」が判り、ホロっと来ました(涙)
↑最小絞り値「f16」での撮影です。もう歪曲型絞り羽根が閉じきっている状況なので(汗)「回折現象」の影響が現れています。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。