〓 CHIYODA KOGAKU (千代田光学精工) SUPER ROKKOR 5cm/f1.8(L39)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク!出品するモデルは、
千代田光学精工製標準レンズ・・・・、
SUPER ROKKOR 5cm/f1.8 (L39)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

Chiyoko・・ちょっと予想外にあまり人気がないですね(涙)・・残念です。
扱い数は今までどおり年間1~2本ペースがちょうど良いのかも知れません。
・・反省です。

ご落札頂きました!とても助かります・・(涙)
ありがとう御座います!

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた12年前からの累計で、当時の千代田光学精工製標準レンズ「5cm/f1.8」の括りで捉えると4本目にあたります・・前回の扱いが2022年1月なので久しぶりです。

ハッキリ言ってこれら千代田光学精工製オールドレンズの写りに大変魅力を感じるものの、残念ながら現在市場流通している個体の「特に光学系の経年劣化進行が酷い」問題から、なかなか手を出せずにおり、合わせてどう言うワケか数多くの「L39マウント規格品」の中でも当方との相性があまり良くなく(泣)、そもそも扱う気持ちになる事が少ないのがホンネです(汗)・・従って、今後も年間で1~2本しか扱わないペースになると思いますから、千代田光学精工製標準レンズをお探しの方は、今回の機会に是非ご検討下さいませ。

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今回千代田光学精工製オールドレンズの中から標準レンズに限定して3種類のモデルをピックアップし、特に「光学系の状態が良い個体」に絞り入手に努め、ようやく3本揃ったのでこのタイミングでまとめての出品になります。

1957年に千代田光学精工社から発売された標準レンズSUPER ROKKOR 5cm/f1.8 (L39)』です・・バルナック判ライカコピーモデルで、主に「Minolta−35 A」から始まるシリーズ向けセットレンズとして登場した「SUPER ROKKOR 45mm/f2.8 © (L39)」(1947年発売)に続く、1948年発売の「SUPER ROKKOR 5cm/f2 (L39)」から遅れること9年目にしてようやく日の目を見た、前述「Minolta-35シリーズ」群終盤期のモデルです。
(右写真はMinolta-35 A)

マウント規格がバルナック判ライカコピーモデルのセット用との立場から、必然的に「L39マウント規格」を採りますが、これらこの当時の千代田光学精工製標準レンズ群に於いて、当然ながら「距離計連動ヘリコイド」を装備する運命であるものの、レンジファインダーカメラ側サイズとの関係性から筐体サイズを大型化できない制約の中での設計を余儀なくされます。

すると他社光学メーカー同様「空転ヘリコイド」を基本としたヘリコイド駆動方式を採らざるを得ず、特に発売時期からして「黄銅材」による生産が中心だった時代である点からも「その経年劣化進行状況」が当方にとり大きな問題に至ります(泣)

冒頭で述べたように、富に近年の市場流通品に於ける光学系の経年劣化進行に関する問題以前に、完全解体した上でオーバーホール工程を進める当方にとって「黄銅材白色系グリース」の組み合わせで過去メンテナンスが施されている点が、相当な脅威に至っています。

↑上の写真は当初バラし始めて取り外した鏡胴「後部」側のヘリコイド群です。左側に置いたのが「距離計連動ヘリコイドを主体としたマウント部」ですが、右横にひっくり返して並べた「空転ヘリコイド (黄銅材)」に過去メンテナンス時に塗られている「白色系グリース」が残っているのが分かります。

白色系グリース」と呼称するのはあくまでもその色合いからそう表現しているだけです。基本的にグリースを含む潤滑剤にその生産時に単に色付をしているだけの話なので、基剤や増ちょう剤に添加剤など、その成分や配合から調べればグリースの色合いで区分けするのは正直好ましくありません(笑)

しかし実際にオールドレンズを完全解体してバラしてみると「黄褐色系グリース」が過去メンテナンス時に塗られていた場合の金属材への経年新雨に伴う影響と、その一方で「白色系グリース」が塗られていた場合の影響とでは決して同一になりません。

経年進行で金属材表層面に酸化/腐食/サビが生じてしまうのはいずれのグリースでも近似した結果に繋がりますが (酸化/腐食/サビが生じない事はありえない)、当方にとって問題になるのはその金属材への影響度です。「黄褐色系グリース」が塗布されていた場合の影響は、単なる金属材表層面の酸化/腐食/サビに伴う抵抗/負荷/摩擦の増大だけですが、その一方で「白色系グリース」の場合は「金属材表層面の酸化/腐食/サビとともに内部への侵食も促されている」のが問題なのです(涙)

上の写真を見ると分かりますが、過去メンテナンス時に塗られていたのが「ウレアグリース」だったので、経年進行に伴う金属材の摩耗が起きていません。例えば当方が呼称する「白色系グリース」がアルミ合金材に使われると、経年進行に伴い「濃いグレー状に変質」し当初の白色ではなくなります。同様相手が黄銅材の場合も「黄褐色化」して変質します。これら色合いが当初ま白色から変質しているのは、無色透明な溶剤にそれら変質したグリースを入れてみれば判明します。

濃いグレー状」の場合は、無色透明の溶剤に入れると底にキラキラとアルミ合金材の摩耗粉が沈殿します。同様「黄褐色化」したグリースも底に金色の微細な摩耗粉が沈殿しています。詰る処、経年進行に伴い塗布されていた金属材の摩耗粉によって色合いが変質しているのが分かりますが、その一方で「白色系グリースに限定して金属材に浸透してしまう」のが問題なのです(泣)

アルミ合金材でも黄銅材でもいずれの場合でも「白色系グリース」が塗られると金属材内部にまで白色成分が浸透してしまいます。これら金属材内部に浸透してしまった白色成分は溶剤で洗浄しても一切除去できません。さらに当方が施す「磨き研磨」でも、相当なレベルまで研磨を進めなければ除去できません。

つまりそれだけ金属材内部にまで深く浸透している事の現れでもあるので、単に白色の色合いを消すだけの為に研磨を進めてしまうのは好ましくありません。

↑上の写真は一つ前の写真で左側に並べて執っていたマウント部から「距離計連動ヘリコイド」を取り出して左側に置いて撮っています。また右側の環/リング/輪っかは「絞り環用のベース環」ですが、いずれも黄銅材です。

するとご覧のように経年進行に伴い黄銅材の色合い自体も「金色から焦げ茶色に変質している」のが分かります。後で完全解体したパーツの全景写真を載せるので、それをご覧頂ければ本来の黄銅材の色合いたる「金色」が分かると思います(笑)

結局、経年劣化進行に伴い金属材の表層面は酸化/腐食/サビにより変質すると同時に、特に黄銅材の場合は「緑青」まで生じてしまいます(泣)・・これは経年で揮発化した油成分によって引き留められてしまった水分により酸化/腐食/サビが進行した結果です。

同じように相手がアルミ合金材の場合は「白っぽくポツポツと、或いは菌糸状にアルミ合金材内部へと浸透していく」のが酸化/腐食/サビです。いずれにしても金属材表層面のみならず内部にまで浸透していくので、結果的に当方が施す「磨き研磨」でも経年の酸化/腐食/サビは完全除去できません(涙)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『SUPER ROKKOR 5cm/f1.8 (L39)のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わっています。パッと見で一見すると大変綺麗で良い状態を維持した光学系のように見えますが (当方も調達時それでダマされた)、実際は特に前玉露出面側の
コーティング層経年劣化進行が進んでいます。

調達する際のオークションなどで出品者がワザと故意に、そのような角度で撮影して写真掲載するので「真の光学系の状態が全く分からないまま手に入れる」しかありません(涙)

中には気を利かせているつもりなのでしょうが(笑)、ヤフオク!などのオークションでも稀に「LED光照射した光学系内の写真を掲載」する出品者も居ます。ごまかして角度を変えてキレイに見える位置からの写真ばかり載せている出品者に比べればまだマシですが、光学系内を単にLED光照射しても「どの群の光学硝子レンズに瑕疵が残っているのか」まで判別できる角度で撮らない限り意味がありません・・多くの場合で単に経年劣化進行に伴う瑕疵が多く残っているようにしか見えません (つまり単に落札価格を低めているだけの意味しかない)(笑)

・・こういう部分に出品者のレベルが見え隠れしてしまいますね(笑)

真に光学系内の状態を落札者に伝えたいなら、例え気を利かせてLED光照射するにも、最低限数枚の角度で撮らなければ意味がありません(笑)

↑光学系内を前玉側方向から、真正面から覗き込んで撮影すればこのようにキレイに写ります(笑) ポツポツと内部に見えているのは「気泡」です。スカッとクリアでLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

これは実際に工業用光学硝子精製会社の取材で確認できた話なので、当時の状況は国別にも時代別にも、もちろん光学メーカー別でもバラバラですが、ほぼ間違いありません。基本的に融解設備が必要で個体だった光学ガラス材の資料 (ここで言う資料とは材料となる鉱物を指します) が融解して光学硝子材に生成される時、或る特定の時間決まった温度帯を維持する必要がありますが、その際に含んでいた空気が集まり「気泡化」するので昔は温度帯の目安として捉えていたようです。

写真撮影には影響が現れませんが、但し「円形ボケ」で特に「玉ボケ」の内側には、これら気泡が点状に写り込む懸念は常に残ります。しかしそれはある程度の大きさで視認できる状況に限定されるので、いくら「玉ボケ」が複数写っていてもその径が小さければ写り込んでいる「気泡」はさらに微細で視認できなくなります (その観点から捉えるなら一概に影響なしとも言い切れない)(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側もスカッとクリアでLED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:8点
後群内:18点、目立つ点キズ:15点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内極微細な薄い最大3mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑10枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正十角形を維持」しながら閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-UVフィルター (新品)
本体『SUPER ROKKOR 5cm/f1.8 (L39)』
汎用樹脂製ネジ込み式M39後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

距離計連動ヘリコイド」の設定は、当初バラす前の位置のまま組み上げているので当時のライカカメラやレンジファインダーカメラなどを使って確認できていません (当方にはライカカメラが無いので確認環境がありません/当時のレンジファインダーカメラなどを使っても視認できないので確認できません)。あくまでも今ドキのデジタル一眼カメラ/ミラーレス一眼カメラ向けにマウントアダプタ経由装着してご使用頂くことを前提としています (距離計連動ヘリコイドに纏わる無限遠位置の問題などクレームとして対応できません)。

今回オーバーホール済でヤフオク!出品するこの個体は、光学系内の透明度が非常に高く (薄いクモリなど一切なし)、距離環や絞り環の操作性が良く (軽いトルク)、ピント合わせが楽である (前後微動が軽い) 点を以てお勧めします。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離1m付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。開放f値が「f1.8」なのでほとんど変化が分かりません(笑)

↑さらに回してf値「f2.8」で撮影しています。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」での撮影です。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。もうだいぶ絞り羽根が閉じてきているので「回折現象」の影響が確認できています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

↑f値は「f16」になりました。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。