◎ SOLIGOR (ソリゴール) MC SOLIGOR C/D WIDE-AUTO 28mm/f2.8 ⌀49《シグマ製》(PK)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
SOLIGOR製広角レンズ・・・・、
MC SOLIGOR C/D WIDE-AUTO 28mm/f2.8 ⌀49《シグマ製》(PK)』
です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時のSOLIGOR製広角レンズ域で捉えても初めての扱いです。

国内のレンズ製造メーカーで「SOLIGOR (ソリゴール)」名称の会社は存在しないようで、あくまでも「ブランド銘」らしいです (wikiより)。

しかし鏡胴を見ると「LENS MADE IN JAPAN」刻印が在る為、間違いなく国産の工業製品、且つ国外向けの輸出製品でもあったことが分かります (国内での流通は、未だ発見できていませんが)。

これは当時の「外国貿易管理法」今現在の「外国為替及び外国貿易法 (略して外為法)」に則り製造国を製品に明示しない限り、国外輸出が認められていないとする法律から実施されている根拠に基づきます。

従って国産なのは確実ですが、はたしていったい何処の製造メーカー製品なのでしょうか。

↑上の一覧は、ネット上で案内されている「SOLIGORブランドの製造メーカーを表す内容」をまとめています。

製造番号の先頭1桁〜3桁を対象に暗号化されているらしく、それに従い製造メーカーを判別できるとしています。

今回扱う個体の製造番号先頭1桁は「2番」なので、上の一覧に習えば「サン光機製」と言う話になりますが、今回完全解体して内部構造を確認してみたところ「別の製造メーカー品ではないか」との疑念が湧き上がりました・・(汗)

そこで市場流通品の個体を確認する作業に入るワケですが、その確認時の根拠として「光学系の格納方法」を当てることにしました。

右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

ちなみに右構成図の後群側 (絞りユニットを意味する縦線の右側部分を光学系後群と呼ぶ) の中で、第4群の両凹レンズと第5群凸メニスカスとの間にある 色付部分は「空気レンズ」であり、光学硝子レンズではありません (要は空間で空いているだけの部分)。

このような空間を「空気レンズ」と呼ぶのには理由があり、光学設計時に於ける「空気を介在させることで入射光の分散性を利用する概念の一つ」を表し、簡単に言ってしまえば「入射光は波長なので、空気を媒介とする中で自然発散/分散していく特性」を利用した光学概念のようです。

仮に強制的に入射光を一意の角度で曲げようとするなら「屈折」させれば良いことになるので「光学硝子レンズを透過させることで強制的に屈折させることが適う」話になりますが、その際入射光の減衰を避ける、或いは余計な光学硝子レンズを介在させたくない場合などに「空気レンズ」を活用する考え方があるようです (数多くの光学設計に関する特許出願申請書の記述を読んで勉強しました/実際にそのような解説で記載されている)。

これは光学系内に入射する光は「波長」なので、光学硝子レンズの片面を透過する際「必ず4%分を反射して失う」為に、光学硝子レンズが必ず表裏面存在することを考えれば「1枚の光学硝子レンズを透過するだけで最低でも8%分の入射光を失う (失うと言う表記は透過していかないと言う意味であり、物理的に消滅することを表さない)」のが原理です。

すると今回のモデルのように「6群6枚の光学硝子レンズによ構成」とした時、入射光が透過するべき光学硝子レンズ面は「全部で12面」ですから、消失していく入射光は「合計38.729024%」失ってしまい、撮像面に届く入射光は「61.27%」分に減ってしまうことが計算できます(汗)

その凡そ4割弱失う入射光をできるだけ透過させて撮像面まで到達させる目的で発明されたのが「蒸着コーティング層の役目/目的」であり、それぞれの光学設計に於いて透過していく光学硝子レンズの配置から「どの入射光成分 (波長のこと) に対して透過率を向上させるのか」とした時に、必要な波長成分の蒸着コーティング層を光学硝子レンズの表面に真空引き蒸着させていく結果、製品に仕上がったオールドレンズを光に翳して反射させると「様々な色合いに蒸着コーティング層が反射して光彩を放つ」と言う原理です。

例えば入射光が波長である以上「短波長から長波長へと両極に分かれる」とした場合、実際に分光器を透過させてみると「紫外線域赤外線域」へと別れていく中で、光学系内を透過していく時に短波長である影響から一番先に減衰していってしまう「短波長たる青色成分」の透過率を上げる目的で蒸着されたのが「シングルコーティング (単層膜状着コーティング層)」なので、古い時代のオールドレンズ (戦前戦後辺り) にとても多く見られる光彩だったりします。

さらに戦時中に開発された「モノコーティング (複層膜蒸着コーティング層)」により、長波長域の「パープルアンバー成分」透過率を上げてきている発明概念になり「色の三原色」の特性からそれは解像度の向上を意味する狙いでもあったことが分かります。

従って最終的に「マルチコーティング (多層膜蒸着コーティング層)」になれば、その光学設計に従い「ブル~成分」の他「パープルアンバー」或いは「「アンバーパープル」さらに自然な色の表現性を高める (発色性を高める) 成分としての「グリーン色の蒸着コーティング層」も含まれつつ技術革新が進んでいった背景が分かります。

ちなみに皆さんは「明るく撮りたい時に白色を強く微調整すれば良い」と考えますが、そのようにデジタル一眼レフカメラ/ミラーレス一眼レフカメラに実装しているソフトウェアシステム上で表記しているだけでの話で、光学の世界では「ホワイトが増大すると色味成分はどんどん失っていき、最後は真っ白になり色味が消失する」ことを意味し、要は「コントラスト低下」に至った後に白飛びに向かいます(汗)

これは「色の三原色 (の法則)」と言う光の原理を無視できないからであり、今ドキのデジタルな世界で言うなら「 ()」で総天然色を表現できています。さらにそれら「三原色 ()」が混ざる領域は「黄色/水色/ピンク色」と混色した先に「全ての色合いが混ざるとホワイトに到達してしまう」のが動かしようがない原理です。

これこそが「コントラスト低下」で色味を失っていく原理を表しており「ホワイトを強くしていくと、それに反比例して色成分は逆に低下していく」ことを意味しています。

・・だからコントラストが低下すると色の濃さも失っていくハイキ〜な写りになる。

ではどうやって「明るさ/輝度を (色の濃さをそのままに) 上げるのか」と考えた時の手法が、
今ドキの「4K/8K」技術であり「」と「黄色」を増強させることで輝度を稼いでいる概念になります (各色のコントラストをそのまま維持できる)。

従って今回扱ったモデルで言えば、完全解体して取り出した光学硝子レンズ第1群前玉第6群後玉までを逐一チェックしていくと「第1群前玉ブル~/第2群グリーンアンバー/第3群プルシアンブル〜/第4群アンバーパープル/第5群グリーンアンバー/第6群後玉パープルアンバー」とそれぞれの群で蒸着コーティング層が放つ光彩の違いを確認できました。

ここから見えてくる話は、既に当時からして「明るさを稼ぐ目的でアンバー色のコーティング層を蒸着していた」ことが窺えますし、もっと言えば「パープルアンバーの組み合わせによって、最終的に解像度が向上する」ことも理解できます。それは今ドキのデジタル一眼レフカメラ/ミラーレス一眼レフカメラでも「ピーキング反応の設定で強弱を変更できる」概念が何かと言えば、まさに「コントラスト差を活用した技術」と指摘でき、決してホワイトではないことがご理解頂けると思います。

つまり「ピーキング反応」とは、コントラスト差を利用することで解像度が一番高い部分を明示させる技術を表し、それに強く影響している入射光成分 (波長は)「」と、まさに「色の三原色」の原理を活用していることが分かると思います(汗)

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話が長くなりましたが(汗)、今回のモデルの光学系後群側第4群〜第5群に「空気レンズ」を介在させてきた理由を探る時、それは光学硝子レンズの透過を使って強制的な屈折を使わず「自然に発散していくことで解像度を向上させながら忠実な色再現性も狙っていた」ことが見えてきそうですし、そもそも光学系第4群の蒸着コーティング層には「グリーン色」が使われ入射光分光スペクトルの「中間域」にあたり、まさに忠実な色再現性を狙っていたことが裏付けられます(汗)

↑上の図は「自然光の可視スペクトルと波長の状況」を示すもので、短波長の紫色域 (左端) から長波長の赤色域 (右端) まで分光することが分かります。

このようにパッと考えると「パープルレッドの近隣」のように受け取られがちですが (絵の具の並び順とは違う/色彩とは違う)、波長で捉えると違うのですね(笑)

何でも良いので、サクッと「パープルブル~グリーンイエロー、そしてレッド」と蒸着コーティング層が放つ色合いを捉えてしまうのも手です (光学知識皆無な当方などはその部類です)(笑)

こんな感じで対象となるオールドレンズの光学系構成図から紐解いてみて、その放つ光彩から蒸着コーティング層の理由を探ってみるのも、リアルな現実に撮られる写真との照らし合わせでより具体的に納得感が増すのではないでしょうか・・光学系を知るとは、そういう愉しみ方もあって良いと思いますね (実装する光学系構成図を確認するだけではなくて)(笑)

・・逆に言うなら、光学系構成図は光学知識者の為だけの存在ではない面もあると言えます。



↑上の写真は現在ネット上で拾えた「SOLIGOR 28mm/f2.8」の中から「フィルター枠⌀ 49mm」だけに限定してピックアップしたものです。他にフィルター枠のサイズは「⌀ 52mm⌀ 62mm」まで幅広く顕在します(汗)

冒頭解説のとおり「光学系の格納方法から捉えて製造番号の違いをチェックする」手法を採りますが、その格納方法で最も分かり易いのは「後玉の格納方法」になるので、それをそれぞれで確認しながら列挙しています(汗)

すると はレンズ銘板の刻印を見た時「MC刻印が無い」のが明白なので、同じ⌀ 49mmのフィルター枠にしてもモノコーティングのモデルなのが分かります。この時、注目すべきは後玉の格納方法で2枚目のを見ると「後玉の締付環が大型のメクラで覆われている (丸穴のカニ目穴あり)」のが分かります。

次にはレンズ銘板に「MC刻印あり」であり、今回扱った個体と同一のモデルバリエーションと推定できます。同様次の2枚目をチェックすると、やはり後玉の上に大型のメクラが被さっています(汗)

つまりこの2つは同じ光学設計を採りつつも、蒸着コーティング層が異なるモデルバリエーションと推察が適い、要はモノコーティングマルチコーティングの違いと受け取れそうです (最短撮影距離まで同一なので、おそらく光学設計はイジっていないと考えられます)(汗)

・・従って必然的に同一製造メーカーと妄想でき、確かに先頭2桁「28番」なのが分かる。

さらに探索を進めるとは製造番号先頭2桁「68番」と異なるものの、確かに次の2枚目を見ると「後玉の締付環が丸見え状態でメクラはその外周」なのが分かり、光学系の設計が違うと考えられます・・つまり製造メーカーの相違を妄想できる一つの要素と指摘できます(汗)

一方になると「887番」と3桁が他のと同一です。さらに肝心な後玉の格納手法も「カニ目溝が無い締付環で締め付け固定している」のまで同じであると同時に「メクラそのモノが無い」ことも明白です(汗)

このようにして捉えていった時、見えてきた光学系の格納方法の相違は (後玉だけでの判断ですが) に、と言う「3つの製造メーカーの違いが浮かび上がってきた」ことが判明します(汗)

例えば鏡胴の距離環や絞り環の回転方向の違いは「装着先フィルムカメラの仕様に向けて回転方向を変更するだけ」であって、それは製産工程の旋盤機の制御を変更するだけで容易です。

しかし光学系の格納手法を変更するとなると格納筒の長さや厚みに内部の深さなど、凡そ根本的な光学設計の変更を迫られるので、製産ライン内で旋盤機の制御盤で変更するだけでは済みません(汗)

その意味で「鏡胴の意匠の相違や、距離環/絞り環などの回転方向の違いを根拠にしても意味がない/説得力が低い」と当方は認識しています(汗) それは以前金属加工会社の社長さんへの取材で理解できた要素であり、旋盤機制御と光学設計の変更は同レベルの話になりません。

但し、後玉用の締付環にカニメ溝を用意するのか否かはどうにでもなるので、もしかしたらこれらの製造メーカーの違いは「2社」なのかも知れませんが、それは実際光学系を取り出してみなければ判定できません。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑今回のオーバーホール/修理個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。

今回扱ったモデルMC SOLIGOR C/D WIDE-AUTO 28mm/f2.8 ⌀49《シグマ製》(PK)』の根拠を示す内容は次の写真です。

↑上の写真は、当初バラしている途中に撮影していますが、光学系後群とマウント部だけを取り外して絞りユニット方向を覗き込んで撮影しています。

するとポイントはオレンジ色の矢印で指し示している箇所の「鏡筒をグルっと囲んでいる5つの方向にコの字型の爪が飛び出ているパーツ」が製造メーカーを確定する唯一の『証拠』になります(汗)

このパーツは「絞り羽根の開閉角度を決める制御環」と言うパーツですが、ご覧のとおり「」と全部で5つの刻印があり、それぞれに付随して用意されている
なだらかなカーブ」の向きと勾配が違っているのが分かります。

これが意味するのはそれぞれ「PKマウントOMマウントA不明M不明F不明」と
マウント規格別に絞り羽根の開閉角度の違いとあわせて「絞り環操作時の回転方向の違いまで含めて制御できる共通パーツ」なのが明白です(汗)

このようにマウント種別の相違で「鏡筒にグルっと回した制御環を共通パーツ化して配置」してしまう製品設計の製造メーカーは「SIGMA (シグマ)」しか、今のところ当方は知りません。他に例えば日東光学 (SUN) や東京光機 (トキナー) など、当方が今までに扱ったことがない製造メーカー品はありますが、他のNikon/Canon/OLYMPUS/東京光学/tamron/MINOLTA/富士フイルム/KONICA/コシナなどなど、凡そこのような手法で製品設計していません(汗)

ちなみにグリーン色の矢印で指し示している箇所の両サイドに締め付け固定されているパーツは「直進キー」です。またブルー色の矢印で指し示している箇所にはグルっと内部も含め「揮発油成分」が相当液化して付着しています。

なお赤色矢印で指し示している箇所「C型留め具」というパーツの使い方を過去メンテナンス時の整備者がミスっています・・ミスと言うよりも、おそらく使い方そのモノを知らないのだと思いますが(笑)

《オーバーホール/修理のご依頼内容》
無限遠位置でアンダーインフ状態 (フィルムカメラ装着時の話とのこと)。
距離環に回転方向の (左右方向の) 僅かなガタツキが必ず起きている。
絞り環操作時「f5.6→f2.8」の時、動きが硬くなることがある。
光学硝子レンズコバ端の剥がれ/浮き。

 距離環に打痕/凹みがあり一部塗装剥がれあり。
指標値環のイモネジ用の穴周囲に固着剤がハミ出ている。

《バラした後に新たに確認できた内容》
白色系グリースを塗布しているが経年で揮発油成分が液化して内部に多く出ている状況。
過去メンテナンス時に整備者が一部パーツの使い方をミスっている/不適切。
ネジ類や引張式スプリングなど、凡そ全てに固着剤を塗布している。
過去メンテナンス時の整備者はナベ頭ネジ/イモネジの使い方を全く理解していない。
絞りユニット内位置決め環が樹脂製パーツ。
指標値環の固定手法/製品設計が甘すぎる (適合しておらず合わせにくい)。
 マウント面の開閉レバー環の製品設計が拙すぎる。

・・とこんな感じです(汗)

今回のオーバーホール/修理ご依頼内容のの全てについて当方にて状況と現象を確認しました。このように事細かくご案内頂けると「意思疎通が適う」ワケで、オーバーホールの際にとても助かります・・ありがとう御座います!(涙)

これを単に「オーバーホールしてください」一言に済ませられてしまうと、整備している最中に「このくらいのチカラ加減で良いのだろうか」とか「このトルクでご納得頂けるだろうか」などなど凡そ心配事が尽きなくなり、小心者の当方としてはお届けしてから後、ご依頼者様より「整備状況を確認した云々の内容」でメール着信するまで眠れない日々を送るハメに陥り、数日を要する結果、何とも体調が悪くなる原因になったりします(涙)

・・マジッに打ち明けてます(汗)

そのようにホンネを曝け出すと頻繁に「これだけのスキルを持つのに何を仰る」と言われますが、実は自分自身が「スキルと捉えていない」ために、整備した結果/仕上がりについて「凡そ常に心配で心配で仕方ない」のが本当であり、だからこそこのブログでも「当方は技術スキルが低い」と何度も何度も執拗に述べています(恥)

唯一自分で自覚しているのは「その時々の整備で自分が納得できていたのかどうか」だけだったりします(汗)

過呼吸に陥る症状持ちの為、精神状況に拠って本当に体調が悪くなります(涙)

順にご案内していくと、先ずは当方ではフィルムカメラでの確認をしない為 (老眼が酷いのでファインダーでもう確実に視認できない)、特約事項に明記しているとおり「当方所有ミラーレス一眼にマウントアダプタ経由での装着確認しか対応できない」と謳っています(汗)

そこで所有するK&F CONCEPT製マウントアダプタ「PK-NEXマウントアダプタ」で実写確認すると「∞刻印から半目盛り分のオーバーインフ状態」になり、イキナシご依頼内容と齟齬が現れてしまいました(汗)

・・これはおかしいです!(汗)

仕方ないので、急遽日本製のRayqual製「PK-LMマウントアダプタ」を購入し、当方所有のRICOH製GXRに装着して実写確認しました。すると確かに極々僅かにピントの鋭さ感が足りないような印象の「アンダーインフ状態」なのを、ようやく確認しました(汗)

・・宅急便で届くのに日数かかり、それまでバラせず遅れてしまい申し訳ございません!(汗)

他、まで全てそのまま確認できています。はハッキリ言って、過去メンテナンス時の整備者が「直進キー」と言うパーツの締め付け固定を理解していないのが問題なのです(汗)

また他、はそのままですが、特に 位置決め環が樹脂製なのは、ちょっと焦りました
・・下手に「加熱処置」などしていたら溶かしてしまっていたところです(怖) 初めて扱うオールドレンズは、そのようなトラップがあったりするので、本当に気をつけないとヤバいです。

↑上の写真は既に完全解体が終わり、当方の手による『磨き研磨』まで完了している状態のパーツを撮影しており「距離環」です。

するとここに冒頭のアンダーインフの原因がモロに残っていました(笑)・・イヤ、整備する立場たる当方的には笑えてしまう内容なのですが、ご依頼者様にとっては常時アンダーインフ状態だったワケで、どんだけご心痛だったのかと言うレベルの話がリアルな現実なのです(泣)

距離環を締め付け固定する時に締付ネジ3本を使い均等配置で締め付け固定しますが、製産時点の締め付け痕と過去メンテナンス時の整備者による締め付け痕の2つがあからさまに『証拠』として残っていた次第です(汗)・・はたして赤色矢印の締め付け痕が製産時点なのか、グリーン色の矢印なのか???(汗)

当然ながら組み上がり後の現状は「どちらが過去メンテナンス時の整備者の仕業なのか」判明しています(笑)

しかもこのズレのまま締め付け固定しておきながら「固着剤を執拗に塗布している」所為がまるで「???」です(笑)・・はたして自分で実写確認して確信のうえで固着剤を注入したのでしょうか???(汗)

↑こちらは撮影の為にワザと故意に『磨き研磨』する前時点で撮影している「絞り環」です。赤色矢印で指し示している箇所に「冒頭の」の瑕疵内容に対する複合的な因果が残っていました(汗)

↑同じ箇所を (赤色矢印で指し示した箇所) を拡大撮影しました。既に溶剤での洗浄が終わっているので「グリースではない」ことが明白です。

この正体は「固着剤」です(汗)・・おそらく別のパーツに塗布していた「固着剤」の一部がハミ出て絞り環の内側に付着したまま硬化していったのだと思います。

当初バラす前時点にの症状についてマウントアダプタに装着したり、単独で確認したりなどいろいろ試したところ「必ずしも再現性が無い」ことが判明した為、金属材だけの原因ではないと既に完全解体する前段階で分かっていました(汗)

複合要因と述べたのにはちゃんと根拠があり、実は「位置決め環が樹脂製 (冒頭の)」なのも影響しているからです(涙)

・・その両方の要因での症状が現れたり、現れなかったりを繰り返していました(汗)

もちろん組み上げが終わった現段階ではちゃんとマイナスドライバーでゴシゴシやって削り落とした後、ちゃんと『磨き研磨』して仕上げています(汗)

↑特に不具合を引き起こす要素ではなかったので冒頭には含みませんでしたが、指標値環の刻印を過去メンテナンス時に着色しているものの、ご覧のようにハミ出たまま放置プレイです (もちろん今回のオーバーホールでちゃんと落としています)(汗)

↑ここからは完全解体が終わり、当方の手による『磨き研磨』も終わってオーバーホールの組立工程を進めていく途中の撮影で解説していきます。絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。

この鏡筒を見ただけで、凡そその製造メーカーの旋盤切削能力や面取加工技術に特にメッキ加工のレベルが窺い知る事が適います。

↑絞りユニットの構成パーツたる「開閉環 (左)」と「位置決め環 (右)」ですが、右側の「位置決め環」は樹脂製だったりします(汗)・・ポツポツとたくさん丸穴が空いているように見えますが、実際に使っている穴は一部だけです。

またブルー色の矢印で指し示している箇所に垂直状に切り立つのが「開閉アーム」です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

左写真で絞り羽根をヒックリ返して撮影するのを失念してしまい「開閉キー」が裏面になったままです(汗)

極普通の絞り羽根に見えますが、実はグリーン色の矢印で指し示している箇所に「もう一つ別のキーが穴として空いて用意してある」ワケで、これが意味するのは「別の焦点距離モデル、或いは全く別モデルとの共通パーツ化 (絞り羽根) だった可能性大」と言う話になります。

このように絞り羽根を共通パーツ化していた製造メーカーは、このシグマの他にコシナも一部モデに顕在していたりします (日東光学と東京光機は未扱いで知りません)。

↑完全解体して取り出した光学系第1群前玉第6群後玉までを順に並べて撮影しています。光学系前群を赤色文字で表記し、光学系後群側をブルー色文字としています。またグリーン色の矢印で指し示す方向は「前玉の露出面側方向」を意味し、光学系後群側では各群の光学硝子レンズの格納方向が絞りユニットを堺に反転する為、グリーン色の矢印の向きが逆向きになります。

↑同様ヒックリ返して裏面側を撮影しました。当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」との話なので(笑)、「公然と平気でウソを拡散し続けている」と某有名処のコメント欄に誹謗中傷され続けている始末で(泣)、仕方ないのでちゃんと『証拠写真』を載せて解説しなければイケナイみたいです (面倒くさい)(笑)

後で引退してから当該被疑者2人を営業妨害と慰謝料請求で告訴する為に、その被害を被っている事実として2022年以来記載し続けています (しつこくてスミマセン)。

ここでのポイントは「光学系前群内の第3群」であり、パッと見で2枚〜3枚の貼り合わせレンズのように見えてしまうものの、実はコバ端を「反射防止黒色塗料」で着色しているだけで、まるで1つの光学硝子レンズの塊です。

・・従ってこのモデルは6群6枚レトロフォーカス型光学系構成との結論に達します(汗)

↑上の写真はまだ光学清掃する前段階ですが、光学系前群第2群の裏面側拡大撮影です。すると表方向から確認しながら示すと、赤色矢印で指し示している箇所の位置がポツポツと微細な白い点状に多少集中的にコバ端剥がれしている箇所です (冒頭の)。

ご覧のようにキレイにコバ端着色してあり、それはそれとしても「特に前玉側方向から見て/覗き込んでほぼ真っ黒状態を維持できている着色」なので、これでヨシと判定を下し「冒頭の」に対する処置は見送りました(汗)・・申し訳ございません。

これは仮に一旦剥がして当方の手により「反射防止黒色塗料」を再着色しても、ここまでムラなくきれいな黒色として着色できる確信/自信がないから手を付けるのをやめました(汗)

・・スミマセン(汗)

↑完成した絞りユニットを鏡筒最深部に組み込んだところです。前玉側方向に露出するのが「位置決め環」であり、前述のとおり「樹脂製パーツ」です。

ところが過去メンテナンス時にグリーン色の矢印で指し示している箇所の締付ネジにまで「固着剤」を塗られまくっていたので、今回のオーバーホール工程の中でマイナスドライバを使い削り落としましたが (溶剤を使えないから/溶けてしまう為)、平らに戻せません(汗)

あまりゴシゴシと擦りすぎて締付ネジの回りを弱くしてしまったら本末転倒なので、平にまで戻せていません(汗)

結果、締付ネジで締め付けていくと「極僅かに残る樹脂材のマチ/隙間/遊び分で絞り羽根の開閉角度がほんの僅かに変化する」始末で、都合5回試しましたが「正六角形の開閉幅 (開口部の面積/カタチ/入射光量) に調整できない」と諦めました(涙)・・申し訳ございません。

その意味でも樹脂材に対する「固着剤」の塗布は、可能な限り施さないのが良いのではないかと思っているのですが、意外にも非常に多くのオールドレンズで過去メンテナンス時に実施されていることが多いです(涙)

逆に言うなら、樹脂材に「固着剤」を塗布することで「将来的なサービスレベルの阻害要因に至っている」ことは明白であり「自分だけ良ければいい」と言う精神性で過去メンテナンス時に整備に臨んでいたのが露わになったりします(涙)

ちなみに「樹脂製位置決め環」であるが為に、そもそも締付ネジで締め付け固定する以前に「既にそのマチ/隙間/遊び分で絞り羽根がガタつく為に正六角形にできない」ことも今回試してみて確認しました。絞り羽根にプレッシングされているキーの垂直性の問題なのか、キーの穴の問題なのか、確認のしようがないので諦めた次第です。

なお組み上がり後の簡易検査で絞り値に対しての閉じ具合と「制御環のなだらかなカーブのカム突き当て位置が極僅かにズレていた」為に、絞り羽根の閉じ具合を微調整しています。

↑完成した鏡筒をヒックリ返して裏側 (つまり後玉側方向) を拡大撮影しています。シグマ特異な「制御環」が分かります(汗)・・その「制御環」を鏡筒にキッチリ固定する役目なのが「赤色矢印で指し示している箇所の黄銅製C型留め具」ですが、当初バラした直後に使い方が間違っていので正しています (過去メンテナンス時の整備者の問題)(笑)

今回扱った個体のマウント規格は「PKマウント規格」なので、使うべき「なだらかなカーブ」は「P刻印がある位置」なので、その位置で「三角形のカム (ブルー色の矢印)」が突き当たるようセットします。

突き当たる」と述べたのは「三角形のカムに垂直状に立ち上がる金属棒が突出している」からで、その金属棒が「なだらかなカーブ」の坂を上り詰めた頂上部分 (上の写真で言う処の左端) にカチンと突き当たることで「開放状態」にセットされ、一方反対に麓側が「最小絞り値側 (右端)」なので、上の写真は「絞り羽根が最小絞り値まで閉じた状態で写っている」と言う仕組みです。

この時、当初バラした直後は「なだらかなカーブの右端僅かに角状に突き出ている箇所にカムが当たって停止していた (開放側)」ものの、その位置では絞り環との連携時に負荷が掛かります(汗)

その影響も一因になり「冒頭の」の現象が起きていたとも推測できます(汗)・・「開放側」は絞り羽根が完全に収納されるべき動き方を狙って「ロック機構を持たせている為、上の写真グリーン色の矢印で指し示している箇所の僅かに平らな部分こそが完全開放位置」を意味します(汗)

このように開放時に完全開放する際「ググっといきなり一発で完全開放させるロック機構方式」を採るオールドレンズの製品設計は意外に多く、様々なモデルで確認できます。

逆に言うならもしもこの角状に突出している箇所のアルミ合金材が経年の中で摩耗していくと「完全開放しなくなる」話になるので、ロック機構はそれを防ぐ意味から製品設計に採用されることが多いのではないかとみています。

ちなみに鏡筒の外壁には「ヘリコイドオス側」のネジ山が切削されていますが、その途中両サイドに「直進キーガイド」と言う溝が用意されています (オレンジ色の矢印)。

↑さらに鏡筒の反対側を見ると (同じ向きで後玉側が写真上方向)「開閉アーム」が引張式スプリングで常に引っ張られていることが分かり、これが意味するのは「フィルムカメラのマウント装着時に強制的に完全開放位置まで絞り羽根が開かれる」仕組みであり、絞り羽根はこの鏡筒単独状態では「常に閉じるチカラが及んでいる状態」なのが道理ですね(笑)

同様オレンジ色の矢印で指し示している箇所に「直進キーガイドの溝」が備わります (反対側にもあり)。

↑距離環やマウント部を組み付けるための基台です。赤色矢印で指し示している箇所に「切り欠き」が備わり、ここを距離環の「制限キー」と言う突出が行ったり来たりするので、無限遠位置と最短撮影距離位置の両端でカチンと音をあげて突き当て停止する仕組みです。

すると「距離環側の制限キーは削り出しで用意されているだけ」なのて微調整できず、合わせて上の写真のとおり赤色矢印の箇所も削り出しなので、これが意味するのは「無限遠位置を微調整して合致させても、必ずしも∞刻印の中心に基準◆マーカーが合わない」ことを意味します。

無限遠位置でピタリと無限遠合焦させることはもちろん可能ですが、だからと言って「∞刻印の中心に基準マーカーの◆が合うとは限らない」と述べているワケで、こういうのが「原理原則」だったりします(汗)

ちなみにグリーン色の矢印で指し示している箇所の大きめの穴は、今回のモデルでは未使用であり、やはり基台も標準化しているパーツの一つなのかも知れません。

↑アルミ合金材削り出しのヘリコイドメス側を無限遠位置の当たりをつけた正しいポジションでネジ込みます。

↑同様今度は完成している鏡筒 (ヘリコイドオス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で6箇所のネジ込み位置がある為、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

↑上の写真は鏡筒 (ヘリコイドオス側) の両サイドに位置する「直進キーガイドの溝」に刺さるべく「直進キー」を重ねて撮影しています。

板状の「直進キー」先端には側面に切削がありますが、それを比較すると (2つの直進キーで全部で4箇所) グリーン色の矢印で指し示している箇所の突出が少ないのに対して、他の3箇所は赤色矢印のような突出になっており、側面の飛び出し具合が違うのが歴然です。

これにはちゃんと理由があるのですが、過去メンテナンス時の整備者はこの理由を理解しておらず、しかもブルー色の矢印で指し示している箇所に用意されている「締め付け用のネジ穴」と締付ネジ「ナベ頭ネジ」の使い方すら知らず、適当に締め付けていたので「冒頭の」が常に現れていました(汗)

・・ハッキリ言って、ピント合わせのたびに左右ブレするのはマジッでイラっときます!(怒)

どんなに「白色系グリース」を塗布して軽いトルク感に仕上げたのだとしても、ピント使い辛さは明白であり、それをちゃんとチェックせずに整備完了させている時点で「???」でしかありません(驚)

・・こういうのがプロの整備者レベルなの、信じられますか???(汗)

そのクセ、キッチリ執拗に全ての箇所に「固着剤」を塗布しまくっていて、いったいこの状況の何に確信を得て「固着剤」で固める理由があるのか、全く以て意味不明な所為です(怒)

もちろん今回のオーバーホールでは本来の適切な固定手法を執り、距離環を回した時の左右ブレ (バックラッシュというのをご依頼者様に教えて頂きました、ありがとう御座います) は完璧に消えています (当たり前の内容でしかありませんが)(恥)

↑同様後玉側方向から撮影しました。オレンジ色の矢印の箇所に「直進キー」が刺さっています。グリーン色の矢印で指し示している箇所が「開閉アーム」ですが、そこに引張式スプリングが入るものの根本のほうです。一方赤色矢印で指し示している箇所のように、反対側のフックが「どうしてこんなに長いべきなのか???」当方には理解できません(汗)・・正直、この半分の長さでも十分引張式スプリングを固定できると思うのですが、ズレて仕方ないので「固着剤」で固めました (さんざん貶しておいて自分だって使っているじゃないか!)(汗)

↑指標値環をイモネジ3本を使い締め付け固定しますが、この基台側の締め付けるべき部位の設計が拙いのか「???」ですが、6回試しても全てズレまくりでこの後セットする絞り環操作が固くなります(汗)

↑絞り環には「制御アーム」と言うたいそうな真鍮材/ブラス材で造られているパーツが締め付け固定されますが、マチ幅がなく微調整できな製品設計です。

↑鋼球ボールを組み込んで絞り環をセットするとこのように仕上がりますが「絞り環が駆動する範囲が決まっていて微調整できない」設計なので、これか影響して前述した「制御環のP刻印があるコの字型の爪」に刺さるものの (上の写真)、その時の駆動域も自動的に微調整できません(汗)

つまりこのモデルの絞り環操作は「駆動域を微調整できない設計」が確定します。すると絞り羽根の正六角形を正したい時の微調整は「絞りユニット側で行うしか方法が残されていない」ワケで、これが「樹脂製位置決め環たる後悔」に至る次第です(涙)

おそらく禁足性の「位置決め環」であれば、もっとマチ幅や隙間など遊びが少なく造られていたであろうにと思ったりします(汗)

いずれにしても「冒頭の」は2つ〜3つの要因が重なって起きていた現象のように捉えています(汗)

↑マウント部内部の写真ですが、既に構成パーツを取り外して当方の手による『磨き研磨』を終わらせています。

↑取り外していた各構成パーツも個別に『磨き研磨』してから組み込んでいきます。マウント部の外側に「開閉レバー」が突出しますが、内側にもご覧のように「開閉レバー」が垂直状に切り立ち、このレバーが鏡筒横から飛び出ている「開閉アーム」を操作して絞り羽根を開いたり閉じたりします・・その時ブルー色の矢印のように動きます。

しかしその動きの本質は「グリーン色の矢印で指し示している箇所の封入環で封入さる (内部の) 98個の鋼球ボール」による転がりのチカラを利用しています。

すると当初バラした際に起きていたのは「封入環が勝手に動いていた」ワケで、要は固定されていなかったのです。もちろん「3箇所に固着剤が塗布してあった」ものの、塗布量が少なすぎた為に浮いていたりしました(汗)

やはりこの箇所でも今回のオーバーホール工程の中で「固着剤」を塗布し固めました(汗)

↑この後は光学系前後群を清掃してから組み込めば完成・・のハズでしたが(笑)

↑光学系後群の「後玉の締付環」兼目隠しのカバー (メクラ) がいきなり外れてビックリです (左)(驚)、右側は光学系後群用の格納筒です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑サクッとオーバーホールを終わらせるつもりが、結局1週間もかかってしまい、遅くなり申し訳ございません(汗) ご覧のように製造番号先頭2桁「28番」です。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。但し、残念ながら経年並みの拭きキズやヘアラインキズ (最大3mm長) などは残っています。

またご覧のとおり「冒頭の」の微細なコバ端剥がれは、ここまで黒色にキレイに再着色できる自信がなかったので処置しませんでした・・申し訳ございません。

ちなみに中心部分が濃いグレー状になっているのは光学系前群格納筒のメッキ塗色であり、そのままにしています・・「反射防止黒色塗料」など着色しません (経年の中でクモリの原因になる為)(汗)

↑光学系後群内も透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「ほぼ正六角形を維持」しながら閉じていきます (途中カタチが変わります)。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」を使い、当方独自のヌメヌメッとしたシットリ感漂う軽めのトルク感で、掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピント面の前後微動が適うトルクに仕上げられており、抜群の操作性を実現しています(笑)

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。

《オーバーホール/修理のご依頼内容》
無限遠位置でアンダーインフ状態 (フィルムカメラ装着時の話とのこと)。
→ GXR装着しRayqual製マウントアダプタにてピタリ位置に微調整済
距離環に回転方向の (左右方向の) 僅かなガタツキが必ず起きている。
→ 直進キーを適切に固定してバックラッシュを解消済

絞り環操作時「f5.6→f2.8」の時、動きが硬くなることがある。
→ 複合要因とみているが、全て解消済
光学硝子レンズコバ端の剥がれ/浮き。
→ キレイな黒色での再着色の自信なく、未処置

 距離環に打痕/凹みがあり一部塗装剥がれあり。
→ 可能な限り修復するも本格的な窪みだった為、完璧に処置できず

指標値環のイモネジ用の穴周囲に固着剤がハミ出ている。
→ 不必要な過去メンテナンス時の固着剤塗布なので今回塗布せず

《バラした後に新たに確認できた内容》
白色系グリースを塗布しているが経年で揮発油成分が液化して内部に多く出ている状況。
→ 内部は全て経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びを完全除去済

過去メンテナンス時に整備者が一部パーツの使い方をミスっている/不適切。
→ 全て正しい手法で組み上げて改善済
ネジ類や引張式スプリングなど、凡そ全てに固着剤を塗布している。
→ 最低限必要な箇所のみ (2箇所) 固着剤を塗布
過去メンテナンス時の整備者はナベ頭ネジ/イモネジの使い方を全く理解していない。
→ 全て正しい手法で組み上げて改善済
絞りユニット内位置決め環が樹脂製パーツ。
→ 樹脂製パーツの為、マチ幅/隙間/遊びが備わり、それを100%解消できない
指標値環の固定手法/製品設計が甘すぎる (適合しておらず合わせにくい)。
→ ドリル切削し位置を合わせてイモネジ締め付け固定した為、現状絞り環操作を適正化
 マウント面の開閉レバー環の製品設計が拙すぎる。
→ 製品設計なので解消できず

・・以上、グリーン色文字の与件については改善できましたが、赤色文字の要素は瑕疵内容が一部そのまま残っています・・申し訳ございません。

オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。

↑当初バラす前時点に実写確認した時のK&F CONCEPT製「PK−NEXマウントアダプタ」はこんな製品です。製品全高をデジタルノギスを使い調べると「27.33㎜」でした。17.7

フランジバック計算すると「PKマウント規格45.46㎜ ー SONY Eマウント規格18㎜ =27.46㎜」なので、その差「0.13㎜」分製品全高が足りず「オーバーインフ状態に陥る」のは間違いありません。

↑一方こちらは急遽購入した日本製のRayqual製「PK−LMマウントアダプタV3」であり、やはりフランジバック計算すると「PKマウント規格45.46㎜LMマウント規格27.8㎜ 17.66㎜」と言う計算値をとりますが、製品全高を測ると「17.7㎜」ありました(汗)

Rayqualさんでは、例えば「M42マウント規格45.5㎜」計算なので、それで計算すればまるでピタリと「17.7㎜」で適合です(汗)

・・それよりも問題だったのが次の写真です(汗)

↑Rayqual製マウントアダプタに装着すると、ご覧のようにマウントアダプタ内側に組込まれている「樹脂製遮光環」の縁に「開閉レバー」が干渉してしまい「完全開放したまま絞り羽根が動かない」と言うトラブルに見舞われました(汗)

仕方ないので一度だけ一番最初に指で押して「強制的に開閉レバーの位置をズラす」と、それ以降問題なく使用できます(汗)・・はたしてマウントアダプタ側の個体差なのでしょうか???(汗)

むしろ当初のほうがこの「開閉レバーに極僅かなガタつきを感じられた」のは、前述した封入環の締め付けで「固着剤」が剥がれていたせいですが、それを正してもなおこうなります(汗)

↑当レンズによる最短撮影距離30cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。また汎用フードを装着して撮影している為、一部の絞り値で周辺減光が現れています。

↑絞り環を回して設定絞り値「f4」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f5.6」で撮りました。

↑f値は「f8」に上がっています。

↑f値「f11」での撮影です。

↑f値「f16」です。

↑最小絞り値「f22」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっているので「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。本日厳重梱包のうえクロネコヤマト宅急便にて発送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。