◎ KONICA (コニカ) HEXANON AR 57mm/f1.2《後期型−I》(AR)

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※解説とオーバーホール工程で使っている写真は現在ヤフオク! 出品中商品の写真ではありません

オーバーホール/修理ご依頼分ですが、当方の記録用として掲載しており
ヤフオク! 出品商品ではありません (当方の判断で無料掲載しています)。
(オーバーホール/修理ご依頼分の当ブログ掲載は有料です)


死角に入っていてスッカリ忘れ去られてしまい,何と今まで10年間一度も扱ったことがないままに過ぎていました(笑) 今回オーバーホール/修理ご依頼を賜り、ようやく「あッ!コイツやってない!」と気がついた次第です(笑)

そして今回扱ってみて・・確かに市場ではコニカ製オールドレンズが溢れんばかりと言うよりマジッで溢れちゃってるくらいにいつでも好きなだけ出回っていて特に気にもかけないような印象ですが,マウント規格がマウント規格なだけに下手すると蔑まれているようなとても可哀想な身の上です(笑) しかしこの「開放f値f1.2モデル」が改めて素晴らしい銘玉なのだとの印象を新たにし、いやいや申し訳ないと誠心誠意想いを込めて今回のオーバーホール/修理を 完遂しました(泣)

このような機会を与えて頂きましたこと、感謝申し上げます。
ありがとう御座います!

《オーバーホール/修理ご依頼の内容》
マウントアダプタ装着で無限遠合焦しない。
絞り環の操作がガチガチと硬いクリック感になっている。
光学系内にブラウニング現象が起きている。

無限遠合焦しない不具合を当初バラす前の実写チェックで確認しました。無限遠合焦まで あともう少し足りないと言うレベルではなく全然合っていないように見えます。

また絞り環のクリック感がガチガチと硬い操作性なのも確認しましたが、ハッキリ言って これは多くのコニカ製オールドレンズに共通的に発生する症状で、その根本的な因果関係は「両サイドに絞り値キーが備わっている設計だから」と言えます。

さらに 光学系内のブラウニング現象は、光学系の硝子材に「酸化トリウム」を含有している為に経年で「ブラウニング現象」が生じて「赤褐色化」してくる為です。

従ってご依頼内容のはその理由が分かっているので対策や対処方法も既にありますが、問題なのはの無限遠合焦しない状況で、特にその描写性が単純にヘリコイド (オスメス) ネジ込み位置ミスなどによる合焦しないレベルではない「???」な印象です。

それぞれご案内していきます・・。

無限遠合焦しない不具合

これが相当難しくてこの原因を調べるだけで丸一日探索モードに費やしてしまいました(泣)

このモデルには「無限遠位置微調整機能」が備わるので,悪くても過去メンテナンス時のヘリコイド (オスメス) ネジ込み位置ミスが原因でその微調整範囲を超えてしまっている事が多いのですが、その対処をするにも全くネジ込み位置が適合していません。

つまり過去メンテナンス時の整備者が何を考えてこのようなヘリコイド (オスメス) のネジ込みで組み上げたのかがそもそも「???」です。

バラしていくと過去メンテナンスは一度ではなく、おそらく3回に分かれてその都度別の整備者の手に架かって作業していたように見えます (時間的にも互いがだいぶ経過していたように見える)。直近ではヘリコイド (オスメス) に「白色系グリース」を塗っていますが,その時の ネジ込み位置が全くデタラメです。

今回当初バラした直後の各部位や各構成パーツの固定位置は「原理原則から逸脱」している ように見え、細かいパーツの微調整にも疑念が残る感じですが、それらをイジれる技術スキルを持つ整備者の手による事は明白なので、単純に「ごまかし整備」で組み上げたようにも見えず、やはり「???」なままでした。

もちろん当方も今回扱うのが初めてであり「過去メンテナンス時の状況が正しいのか否かも 不明」とも言え、悪い事にこのモデルの内部構造はだいぶ複雑な設計を採っており解決を遅くした由縁です。

今回オーバーホールの為に完全解体しましたが、おそらく過去メンテナンス時は「バラした時の手順でしか組み上げられないスキル」の整備者だった事が分かりました。しかしこのモデルは「バラす時と違う組み立て手順が必要になる設計」を採っている為、納得しながらバラせる技術スキルを持つ整備者でないと正しく/適切な微調整で組み上げられません。

要はそもそも一番最初のバラす時からして「原理原則」に則り納得尽くでバラしていかないと組み上げる時の手順を再構築できません。いったい自分が今何をバラしているのか、どの部位の何の役目のパーツを外しているのか、そしてそれは何処とチカラの伝達/連係をしているのか凡そそのような事柄を逐一細かく考察できるスキルを持つ整備者でないとムリですね (つまり高難易度モデルと言うこと!)(笑)

かく言う当方も実際バラしていった時は、どうしてそのような組み付け方で設計しているのかすぐに分からない部位もあったりしました(笑) さらにバラしていって初めて「あぁ〜、そういう連係/繋がりになっているんだ!」と理解したくらいなので、単にバラした手順で組み立てようとすると「まず正しい位置で固定できない」事が判ります。逆に言えば今回オーバーホール作業で2日目にようやく組み立て工程に入りましたが、その時は今実施している工程の次に何をどうするのかが完全に見えているからこそ「確実に適切な位置でバシッと一発で固定できた」ので,最終的にちゃんとした操作性と、当然ながら無限遠合焦も合わせ鋭いピント面に 仕上がった次第です。

その意味で今現在も「バラした逆手順で組み上げれば良い」と信じてやまない整備者が数多く居ますが(笑)、そのようなスキルの人達にはとても適切に仕上げられるレベルのモデルではありませんね!(笑) もっと言うなら「このモデルは組み立て手順の構築が最大の難関作業」であって、各構成パーツの微調整や固定位置などはそれらが理解できていれば特に難しい話にもなりません。

そんなモデルでした・・(笑)

絞り環の操作がガチガチと硬いクリック感になっている。

前述のとおりコニカ製オールドレンズの多くのモデルで両サイドに「クリック感を実現する為の刻み込み/絞り値キーが両サイドに備わる」為に,絞り環の両端でベアリングがカチカチとハマる仕組みで「ガチガチした印象のクリック感操作になってしまう」宿命です (今回の個体 だけに限定した話ではない)。

当時の国内外多くの光学メーカーが片側に絞り値キーを用意する設計を採る中、何故コニカ だけがこんな設計にこだわり続けたのか不明なままですが、さすがに撮影に没頭できるようなレベルではないので「使い辛さの大きな要素」になってしまっています(泣)

今回のオーバーホールではだいぶ軽めに低減できたのではないかと思います (つまり対処を 施しました)。

光学系内にブラウニング現象が起きている。

光学系は6群7枚の拡張ウルトロン型構成と当方では呼んでいますが右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した後、光学系の清掃時に当方の手でデジタルノギスを使って逐一計測してトレースした図になります。

左端が第1群で前玉になり、右端が第6群後玉です。

そこで今回このモデルに於ける最大の発見だった話しをしますが(笑)、右構成図は現在ネット上で数多く掲載されている構成図と「特に後群側が異なる/別モノ」になっています。

実は前述解説のとおり今回のオーバーホールで当方が「探索モードで丸一日がかり」に陥ってしまった最大の理由がこの構成図であり、後群側「第5群と第6群の光学硝子レンズは互いが入れ子になっていた」のです!(驚)

もっと言うならネット上で真しやかに語られ続けている「後玉が平 (たいら)」という話が実は「思い込み」だったと判明したのです! いえ、もしかしたら別のモデル・バリエーションではネット上の掲載構成図が正しいのかも知れません (全て扱っていない為現時点で不明)。

然し少なくとも今回のモデルは「後玉は外側露出面が平坦に近いほど緩やかな両凸レンズで 内側の曲率のほうが大きい)」のであって平坦ではないのです。逆に言うなら一つ前の第5群は絞りユニット側面がまさに平坦な平凸レンズでした。

つまりまさにこれこそが「無限遠合焦しない妙な写り方/ピント面/アウトフォーカス部の乱れ方」の真犯人だったのです!(驚)

おそらく過去メンテナンス時の整備者が光学硝子を格納する際にミスったのか,或いは前回の整備時はヘリコイド (オスメス) のグリース入れ替えだけで、さらにその一つ前の整備時点で 既にミスっていたのか・・そこまではさすがに推察できませんが、いずれにしても正しい格納ではないまま無限遠位置をムリヤリ合わせようとトライし続けていたので、こんな変な話に なってしまったようです。

とは言いつつも当方も今回の扱いが初めてだったので、さすがに光学系を疑いませんでしたね(泣) まさに・・未熟者め!・・と言われそうな話です (何だかんだ偉そうな事を言っていても当方はそんな程度の技術スキルです)(笑)

・・と言うことで,数多くネット上に掲載されている構成図とは上の右図は違いますので、
ご留意下さいませ。

ちなみに構成図で 色部分の光学硝子材に「酸化トリウム」を含有している、いわゆるアトムレンズ (放射線レンズ) であり、半減期が長い為にいまだに放射線を放出し続けています。

普通一般的に「酸化トリウム」を含有させる事が多いのは光学系の中の貼り合わせレンズだったりしますが、このモデルでは単独で含有しています。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

また「酸化トリウム」を光学硝子材に含有させるのは屈折率を最大で20%向上できる事を狙った目的になりますが、時間の経過と共に「ブラウニング現象」が発生して光学硝子材が「赤褐色化」してくる為、後の時代1970年代以降になると世界中の多くの光学メーカーで含有をやめています。但しもう一つ「ランタン材の含有」も当時流行り、こちらは最大で10%の屈折率 向上を狙いつつも当初から「褐色化」していたりします。

従ってオールドレンズの光学系に蒸着したコーティング層 (モノコーティングやマルチコーティングの別なく) の経年変質である「コーティング焼け (酸化)」とは異なり、且つその際の色合いは「レモンイエロー」が多いので「黄変化」と呼ばれているワケで、今までオールドレンズを3,000本以上扱った当方の判定では「ブラウニング現象」を「黄変化」とは呼びません。
たいていの「酸化トリウム含有アトムレンズ (放射線レンズ)」では「赤褐色化」が多く、例えばUV光の照射で半減したり無色化できても「レモンイエロー」だけが残る場合があり、それは一緒に反応してしまった「コーティング焼け」ではないかと考察しています (UV光の照射でも無色化できないから残ってしまう/コーティング焼けはUV光の照射で変化しない)。

↑上の写真は左側写真が当初バラした直後に撮った第1群と第5群〜第6群の光学硝子レンズです。「ブラウニング現象」により「赤褐色化」しているのが分かりますが、どちらかと言うと第5群〜第6群のほうが濃いめです。

一方右側写真は24時間のUV光照射後に撮っており「ほぼ無色化完了」しています。逆に上の写真に含まれない第2群〜第4群までは無色透明なままなので「酸化トリウム」を含有して いないとみています (今回UV光照射せず)。

↑また上の写真は今度は第2群〜第4群までを並べて撮っています。特に第2群〜第3群は グリーンの矢印 (左写真) で指し示したとおり「純粋にただ第3群の上に重なっているだけ」と言う設計で、右写真のやはりグリーンの矢印のとおり第2群/第3群が接触する箇所は「黒塗り処置され入射光が透過しない」設計を執っている事が分かります (この箇所は溶剤で拭いても溶けないので製産時点で処置されていると推定)。

↑今度は前に載せた光学系構成図で、第4群のカタチがネット上で数多く掲載されている構成図のカタチと異なる点を、その「証拠写真」として撮りました (当方がウソを載せていると 言われるので)(笑) グリーンの矢印の箇所でカタチが異なるのが分かりますし、赤色矢印部分は貼り合わせ面です。

また右写真も前述の第2群〜第3群が「単に重なって乗っているだけ」なのを、やはりその 証拠として「光学系前群格納筒」の内側を見せて撮影しています。グリーンの矢印で指し示している突出部分が第2群の縁を押さえつけ固定しますが、一方赤色矢印のとおり次にセットされる第3群は格納位置を決める突出など存在せずに「重なっているだけなのが事実」だと分かります。

いちいちSNSなどで批判されるので面倒くさいですが仕方ありません(笑)

  ●               

コニカの歴史は相当古く、何と明治6年 (1863年) に東京麹町で米穀商「小西屋」を営んでいた6代目杉浦六右衛門が、25歳の時に当時の写真館で撮影した写真に感動し写真材料の扱いを 始めたのが原点です。その後東京日本橋に写真材料と薬種を扱う「小西本店」を開業したのが創設になります。

それから30年後の明治36年 (1903年) 国産初のブランド付カメラ 『チェリー手提用暗函 (6枚の乾板装填式)』国産初の印画紙「さくら 白金タイプ紙」を発売しました (左写真)。

その後大正12年 (1923年) 現在の東京工芸大学の前身「小西写真専門学校」を創設し、昭和11年 (1936年) に株式会社小西六本店と社名変更しています (後のコニカ株式会社)。

今回扱うHEXANONシリーズは当初マウントが違うFマウントでしたが1965年12月に発売した世界初のAE方式一眼レフ (フィルム) カメラ「AUTOREX」からARマウントに変わっています。ARマウントの名称は「AutoRex」の頭文字を採っており、前期は「EE (Electric Eye)」後期は「AE (Auto Exposure)」機能を装備しています (セットするとシャッター優先AE機能が働く)。

【コニカ製一眼レフ (フィルム) カメラの変遷】(発売年度別時系列)
AUTOREX/AUTOREFLEX (1965年12月発売)
AUTOREX-P/AUTOREFLEX-P (1966年3月発売)
FTA (1968年4月発売)
AUTOREFLEX A (1970年発売:輸出専用機)
AUTOREFLEX T (1970年発売:FTAの輸出専用機)
New FTA/AUTOREFLEX T2 (1970年6月発売:輸出専用機)
AUTOREFLEX A2 (1971年発売:輸出専用機)
AUTOREFLEX A1000 (1972年発売:輸出専用機)
AUTOREFLEX A3 (1973年3月発売:New FTAの輸出専用機)
AUTOREFLEX T3 (1973年4月発売)
AUTOREFLEX T3N (1975年発売:輸出専用機)
ACOM-1/AUTOREFLEX TC (1976年11月発売)
AUTOREFLEX T4 (1977年1月発売:輸出専用機)
FS-1 (1979年4月発売)
FP-1 (1980年8月発売)
FC-1 (1980年10月発売)
FT-1 (1983年4月発売)
AUTOREFLEX TC-X (1985年4月発売)

上の列記で、オレンジ色①は「EE」タイプでグリーン⑨は「AE」タイプです。時系列で見ると1985年以降一眼レフ (フィルム) カメラの発売はなく、コンパクト (フィルム) カメラである「コニカカメラ」或いは「現場監督」ばかりを発売し、ついに2003年をもってフィルムカメラ事業から撤退してしまいます。

HEXANON 57mm/f1.2 EE (AR)』は、1965年発売のフィルムカメラ「AUTOREX (AUTOREFLEX)」発売時点で用意されていたセット用標準レンズですが、今回扱う個体のタイプがセットレンズとして使っていたフィルムカメラは、1968年発売の「FTA」からになります。

歴代のコニカ製一眼レフ (フィルム) カメラを如何に列挙します。




【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元を示しています。

前期型1965年発売
絞り環刻印優先機能:EE
開放f値刻印:有 (囲み無/有)
指標値環:梨地シルバー
筐体外装:梨地プラック
銀枠飾り感:有 (フィルター枠/距離環)
距離指標値刻印:feet/meter

前期型 (ブラックバージョン)
絞り環刻印優先機能:EE
開放f値刻印:有 (囲み無/有)
指標値環:梨地ブラック
筐体外装:梨地プラック
銀枠飾り感:有 (フィルター枠/距離環)
距離指標値刻印:feet/meter

後期型−I:1970年発売
絞り環刻印優先機能:EE
開放f値刻印: (囲み無/縦棒)
指標値環:梨地シルバー
筐体外装:梨地プラック
銀枠飾り感:有 (フィルター枠のみ)
距離指標値刻印:feet/meter

後期型−II1973年発売
絞り環刻印優先機能:AE
開放f値刻印:有 (囲み無/有)
指標値環:梨地ブラック
筐体外装:梨地プラック
銀枠飾り感:有 (フィルター枠のみ)
距離指標値刻印:feet/meter

  ●               





上の写真はFlickriverで、このモデルの特徴的な実写をピックアップしてみました。
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で あり転載ではありません。

一段目
左端からシャボン玉ボケが破綻して滲んで円形ボケへと溶けていく様をピックアップしています。口径食や収差の影響が突然現れるので乱れた背景に至る事があるものの、ピント面の鋭さは相応にキープしており、且つ被写界深度が狭くてピント面のエッジも細く独特なメリハリ感を演出してくれます。

二段目
さらに収差の影響が濃く出てきてだいぶ背景が乱れた写り方に変わりますが、これを「背景効果」として使ってしまうのも今ドキのデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならではの要素だと考えます。また相変わらずピント面のエッジが繊細ながらも鋭さを維持するのでメリハリ感が強くとも違和感にまで至らない「画全体的な繊細感にまで引っぱらない自然さが大きな魅力」です。ある意味フワッとボケていく時もあるので楽しい写り方です!

三段目
この段はコントラストの高い写り方をピックアップしましたが、単にそれだけでなくダイナミックレンジが広く、ギリギリ黒潰れするかどうかといったところで耐えているのが分かります (但し突然ストンと堕ちてしまう)。しかしそうだとしても (それぞれの撮影者が異なるのに) 何処か違和感が全く感じられないコントラストのメリハリが強くて、なかなかこういう描写性能をサクッと撮れるモデルは多くないと思います。

四段目
ここでは左側2枚で今度はダイナミックレンジの明部のグラデーションが素晴らしい (ちゃんと維持できている) のをポイントとしてピックアップしました。また右側2枚は何かしらフィルター処理されているかも知れませんが、それでも極端さがなくてナチュラルを残しながらもやはりインパクトの強いポートレートになっていて好感が持てます。

五段目
基本的に開放時の被写界深度は相当狭く出てきて、且つ乱れも強いのである程度シ〜ンを選ぶかも知れません (下手すると主体が何だか分からなくなるかも)。一方光源や逆光など明るさが入ってくるとその体制の良さが手伝ってしっかり階調を残せていると評価します。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。構成パーツ点数が多すぎて撮影に使っている楢材のお盆に並びきりません(笑) それでも回転機構部に組み込まれているベアリング部分を解体していないのでまだ良いほうです。

ベアリング機構部は全部で2箇所 (絞りユニット内とマウント側) ありますが、いずれもベアリングの直径だけで支える組み込み方式なので、これをバラすコツが必要になりなかなか時間がかかります(笑) 何故ならバラすと環/リング/輪っかが3つに分かれますが、互いの径が大きい為に3つとも貫通してしまい組み上げが難しいからです。

従って特に回転が滑らかで問題なければバラさずそのまま使っています。

↑絞りユニットを組み込む鏡筒を撮っていますが、ご覧のように大変短く薄っぺらな奥行きしかない独特な設計です。普通鏡筒と言うと多くのオールドレンズでは光学系「前群」が丸ごと格納するくらいの長さ/奥行きを持つモデルが多いのですが、珍しい設計です。

↑さらにコニカ製オールドレンズにわりと共通的に採用されている独特な絞りユニットの構造です。写真手前側に位置する「カム」が「開閉環」の突出にハマったまま「プレッシング」で留められている為、この絞りユニットの駆動に酸化/腐食/錆びなどの問題が起きていると「滑らかに改善させる手法が限られている」事から「絞り羽根開閉異常」を修復できない場合があります。

つまりコニカ製オールドレンズで「絞り羽根開閉異常」が起きている個体は修理できない事があり要注意です。

この「カム」がネジ止めなどで取り外しができれば開閉環やそれがハマる溝部分の「磨き研磨」が可能で平滑性を取り戻せるのですが、このままハマったままなので難しいワケです。

さらに厄介なのが「捻りバネ」でとても線径の細い単純な捻りバネなので、やはりここも経年劣化で弱っていると絞り羽根が完全開放しないなどのトラブルに見舞われます。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑こんな感じで6枚の絞り羽根がセットされます。

↑ひっくり返して再び駆動系の裏側を撮影しました。結局「カム」が1箇所だけで「円形の開閉環を駆動する」方式なので (多くの光学メーカーでこの1箇所駆動を採用した設計)、普通に考えてもすぐに分かりますが「カムのチカラが何処に集中するのか」が分かると思います。

また「停止キー」のC型環をネジ止めしてあるので「カムが動く (ブルーの矢印①)」とその 移動量分だけ「開閉環が動き停止キーで止まる (ブルーの矢印②)」ので、この時の停止キーの位置が「開放時なのか最小絞り値の時なのか」の判定が必須になります。

要は平滑性がポイントになる場所なので「単純にC型環をバラす前の位置で固定しても適切とは限らない」ので、まずはここの組み立て工程が最初の難関になります (特に絞り羽根開閉 異常がある固体の場合はその改善が相当難しい)。

従って何でもかんでも当初の位置で固定すれば良いと考えていると、オールドレンズは必ずしもそうとは限りませんね (ちゃんとパーツなどのカタチや固定にその理由や目的が分からないと改善できない)(笑)

↑再びひっくり返してメクラ板をネジ止めしてから鏡筒の奥にセットしました。

↑さて次の難関がここの工程になります。上の写真で鏡筒の奥にセットした絞りユニットの 直前にネジ込んだアルミ合金材の環/リング/輪っかは「光学系前群用の格納環」で、ここに 光学系前群格納筒がネジ込まれてセットされます。

ところがこの「光学系前群格納環」は鏡筒の側面から左写真のようなイモネジ (3本) で締め付け固定されます (グリーンの矢印)。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイスの切り込みが入っている
ネジ種

従ってここでのポイントはイモネジを使うので「締付固定位置が微調整できる箇所」と言うよりも「位置を微調整しなければならない箇所」であって (だからイモネジを使っている) 要は「光学系前群の光路長を決めている場所」であり・・イコール「ピント面の鋭さがここで決まる!」とも言い替えられるほど非常に重要な工程なのです。

そしてプラスしてこの鏡筒の側面には「直進キーガイド」なる溝まで備わっているのが複雑にしています (赤色矢印)。

↑完成した鏡筒をひっくり返して再び裏側を撮影しました (後玉側方向から見ている写真)。

すると裏側にもビッシリと絞り羽根開閉を司る機構部が密集しています。スプリングがグルッと張られていて「常時最小絞り値まで閉じる設計」にチカラが及んでいるのがポイントです。

どうしてポイントなのか???(笑)

前の工程で絞りユニットにある「カムの捻りバネ」がありました。とても線径が細くて経年劣化で弱り易いと説明しましたが、その理由がこのスプリングのチカラです。その「捻りバネ」は「常に開こうとするチカラ」を及ぼすので、このスプリングのチカラとは相反する方向に及んでいます。従って、このスプリングのチカラと捻りバネのチカラが「互いに各部位を連係してつり合う」必要があるのがポイントなのです! この時にスプリングのチカラのほうが当然ながら大きいワケですが、各構成パーツが介在する事でチカラが低減されて最終的に捻りバネの弱いチカラとのバランスを保つので、問題は介在する構成パーツの平滑性や連係/関係などが重要になってくるからです。

意外とこれを重要視せずに蔑ろにしたまま組み上げている整備者が今現在の整備会社でも多いのが現実だったりします(笑) そもそもスプリングのチカラと捻りバネのチカラが互いに同一ではない事など明らかなのに、一方は「常時閉じるチカラ」で他方は「常時開くチカラ」が いったい何処でバランすするのか不思議に思わない時点でアウトですね (どうして開くチカラが必要なのか理解していない!)(笑)

そんなレベルの整備者と整備会社だったりします・・(笑)

なお、絞り環操作やマウント面から飛び出る「開閉アーム」の操作などでブルーの矢印③のように動かされると、それに従いブルーの矢印④のように制御キーが移動するので「絞り羽根が閉じたり開いたりする角度が決まる」仕組みです。

つまり「カムと捻りバネ」が必ず関わっているワケですが「強力なスプリング vs 弱ッちい 捻りバネ」みたいな話なので、どんだけ各構成パーツの連係でチカラが伝達される中「均整が執れるのか」が重要だと言っている次第です(笑)

答を言ってしまえば「制御キーの蛇行した溝にカムがハマッている」ところでチカラの均整が摂れる設計なのだと気が付かなければダメですね(笑)

単にバラした時の逆手順で組み上げようとしてもダメな理由が少しはご理解頂けるでしょうか???(笑)

↑基台をセットしたところです。「直進キー」なる真鍮 (黄鋼) 製のパーツが両サイドにネジ 止めされます。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

↑ひっくり返して再び鏡筒側を撮影しました。ちゃんと鏡筒の両サイドに「直進キー」が刺さっています。従って距離環を回すとその回転するチカラが鏡筒を押し上げて繰り出したり収納したりする直進動するチカラに変換される仕組みです。

ところでこの段階では「何と鏡筒はまだ一切固定されていないまま」なのがこのモデルの一番難しい要素です。この鏡筒をいつ固定すれば良いのかの判断をミスると、過去メンテナンス時の整備者のようにムリに組み上げる事になってしまいますね(笑) 何故なら両サイドにある 直進キーが鏡筒を固定するなら「距離環の操作で繰り出し/収納ができなくなる」のは自明の理で(笑)、従って現段階で鏡筒が「中空に浮いたまま」状態である必要があります (後からヘリコイドオスメスをネジ込むから)。

こういう要素で「組み立て手順の再構築が必要」なのであって、それがイコール最終的な操作性の良さや滑らかさに繋がっていく次第ですから、何でもかんでもバラした時の逆手順で組み上げるレベルの整備者には・・実現できませんね(笑)

ではどうして「組み立て手順の再構築が必要だと判定できるのか?」と言えば、それは「直進キーを固定する場所とその固定方法から判定できる話」であって・・「どうして直進キーが 基台の外側から刺さるように固定されるのかを見た時点で気が付かないからダメ!」なのだと言っているのです。従って当方は当初バラしている時点でもう組み立て手順が違うと分かっているワケです (直進キーを見るまでは分からないが見た時点で判明している)。

従ってバラしながら各構成パーツの使われ方を納得しているワケで、もしもバラした時点で「意味不明」だとしたらその先の何かが関係していると考え注意深くバラし工程を進める話になります。その中で結果的に「組み立て工程の再構築が必要なモデル」と判定を下すワケで、ネット上の何処かにそんなヒントが出ている話ではありませんね(笑)

↑真鍮 (黄鋼) 製のデカイ環/リング/輪っかですがヘリコイド (メス側) を無限遠位置の当たりを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。冒頭解説のとおり過去メンテナンス時の整備者がネジ込みをミスっていた工程に差し掛かっています(笑)

↑さらに拡大撮影しましたが,この真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (メス側) には均等配置で3箇所「距離環用固定ネジ穴」が用意されています (赤色矢印)。

ところがその箇所を過去メンテナンス時に (いつのタイミングなのか不明ですが) ヤスリ掛けして削っています!(驚)

もっと言うなら距離環を締め付け固定する為のネジ穴3箇所にブラスして、さらに距離環が 入る箇所の切り欠き部分まで含め全部で4箇所を削っています。

もちろんこんな削り込みは製産時点で行いません!(怒)

フィルター枠を最後にセットするとこのヘリコイド (メス側) に当たってしまい固まる為、おそらく別の個体から転用した (モデル・バリエーションが違うタイプのフィルター枠) ではないかとみていますが、正確なところは不明です。その問題からヤスリ掛けしたのではないかと考えています。

↑今度はアルミ合金材で削り出しされたヘリコイド (オス側) をやはり無限遠位置の当たりを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルは全部で11箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

こんな感じでヘリコイド (オスメス) がネジ込まれるワケですが、実は真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (メス側) にはグリーンの矢印で指し示した箇所に切り欠きが備わっています。この切り欠きは距離環をセットする際に必要な切り欠きなのですが、過去メンテナンス時の整備者は「この切り欠きがどの位置に来れば良いのかが分からないスキルの人だった」為にちゃんと組み上げられなくなります(笑)

さらに言うなら「制限壁」が飛び出ているので「無限遠位置と最短撮影距離位置の両端でカチンと突き当て停止する場所」なのも、その関連付けができない整備者だった次第です。

最後の極めつけはオレンジ色矢印の切り欠きの意味もきっと「???」だったのでしょう(笑)

↑上の写真は距離環の内側を撮っていますが、グリーンの矢印で指し示した箇所に出っ張りがあり「制限キー」の役目です。この「制限キー」が前述の真鍮 (黄鋼) 製ヘリコイド (メス側) にあった切り欠き部分を通ってハマる事で距離環がセットされ、合わせて「制限壁にカチンと突き当たるので距離環が停止する」のは無限遠位置と最短撮影距離位置の両端ですョね?(笑)

すると真鍮 (黄鋼) 製のヘリコイド (メス側) はどの位置にその切り欠きが来れば良いのか???

・・この「原理原則」がちゃんと理解できていないからデタラメなヘリコイド (オスメス) の ネジ込みで組み上げてしまうワケです(笑)

結局今回のモデルはデタラメに組み上げられてしまったので、当方がオーバーホール作業で 執り行ったのは「原理原則に基づきゼロからネジ込み位置を変更してオスメスの両方で最も 適切な位置でネジ込んで一発で決めた!」次第です。

原理原則が理解できていれば何ら迷う話ではありません・・(笑)

そうすると最後に組み上がってからこのモデルに備わる「無限遠位置の微調整機能」だけで 十分に微調整が適い、まさに設計者の意図が伝わってくると言うストーリーです(笑)

ちゃんとそれぞれに意味があるのですねぇ〜(笑)

ネット上の解説を見ていると「バラした時の無限遠位置/ネジ込み位置をマーキングしている」整備者が居ますが、そのマーキング位置で再び組み上げるのははたしてそれが正しいのか否か必ずしも今回のモデルのように適切とは限りません (組み立て手順の変更で変わるから)。

それを相殺する役目なのが「無限遠位置微調整機能」を備えている話であって、それを勘案しつつ作業を進めていく必要があるのであって、必ずしもバラした直後の位置が適切だとは限りません。

もっと言うなら「過去メンテナンス時に固着剤を使っている箇所は外さない」と過去の整備 時点で微調整した位置が適切なのだと胸を張って明言している整備者も居ますが(笑)、そんなのは当方にすれば全く以てナンセンスで笑ってしまいます!・・どうして過去のメンテナンス時に処置した微調整が信用できるのですか???(笑) その根拠って何ですか???

意外と簡単な答で「適切だからこそ経年で動かないよう固着剤を塗っているのだ」と質問と答が乖離してしまっている事すら認識できていなかったりします(笑)

従ってネット上の解説を見ているだけで「原理原則を理解しているか否かもバレてしまう」 話になりますね(笑)

当方は自らも信用/信頼が皆無なので(笑)、過去メンテナンス時の固着剤で固めた箇所は「全て固着剤まで剥がしてゼロから微調整する」と言うポリシーであり、そこから「原理原則」に 則れば自ずと最も適切な固定位置が判明するのであって、必要ならまた固着させれば良いだけの話です。

だから「在るべき姿で組み上げた!」と明言できるワケで、何だか本末転倒な事を公然と言っている整備者が多いように思いますね(笑)

サービスマニュアルが無いのにどうして分かるのか・・とか、固着箇所はゼッタイだとか・・そもそも「思考している世界が全く別モノ」であって、当方からすれば話し相手にもなりま せんね!(笑)

全て何もかも完全解体して初めて「最も適切な状態での組み上げが適う」のであって、それは正しい組み立て手順を踏んで設計者や製産時点の意図や目的に接しつつも、専用の治具が手元にない部分を補う方策を経て組み上がるから「在るべき姿に到達する!」ワケですョ(笑)

組み立て時の専用治具が無いのは間違いないので、必然的に厳密な検査が適わず「当方は電子検査機器で検査できませんと予め謳っている」ワケで、この何処にいったい理に適っていない要素があるのですか???(笑)

↑こんな感じでそれぞれが組み上げられますが、何を隠そうこの工程で「やっと鏡筒が固定 された」のを撮っているのです(笑)

つまりここまでの工程では鏡筒は宙に浮いたままで全く固定されずに、然しヘリコイド (オスメス) のネジ込み位置は一発で決めてしまい、且つ「直進キー」も鏡筒の側面に用意されて いる「直進キーガイド (溝)」でキッチリハマって、距離環の駆動範囲も「制限壁」にカチンと突き当て停止する位置も何もかも「バッチリ適切!」でないと・・組み上がりませんね(笑)

↑距離環がセットされて「らしく」なってきました(笑)

↑ひっくり返して撮りました。既に「直進キー」も本締めが終わっていてとても滑らかに軽い トルク感でスルスルと気持ち良く回ります (繰り出しと収納が軽い操作性)(笑)

↑ベアリングが丸穴にハマってクリック感を実現する「絞り値キー」をネジ止めします・・がここにもポイントがありグリーンの矢印で指し示した位置に「離れて丸穴がある」意味も理解していないとダメですね(笑)

↑絞り環の内側にはご覧のように「EEのロック解除ボタン機構」が備わります (ちゃんと確実にカチッとハマるよう磨き研磨しました)。

絞り環の一箇所に右写真のような金具がネジ止めされて、実はこの 板状パーツが鏡筒内部に刺さる事で「設定絞り値が伝達されている」仕組みです (マウント部から飛び出ている開閉アームとの関係性)。

ところが板状パーツには裏側に赤色矢印で指し示したような「叩き 込み/凹み」があり、これか何の為にあるのかその意味も過去メンテ ナンス時の整備者は理解していませんでした(笑)

今度は絞り環にセットされて前の工程で出てきた「絞り値キー」の穴にカチカチとハマってクリック感を実現する仕組みが左写真です。

ベアリングスプリングシリンダー」の3つで1セットになり、これが絞り環の両サイドに垂直状に刺さって「絞り値のクリック感を実現」ですから、この微調整をしないとご依頼内容の 絞り環の操作がガチガチと硬いクリック感になっている・・が改善できませんね(笑)

↑前述のベアリングのセットがグリーンの矢印のように両サイドに刺さります。そしてこの上にマウントが被さって固定ネジで締め付けられます。

↑この後は光学系前後群を組み込んでから無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。ご依頼内容の全てについて完璧に改善できま した。ネット時用でこのモデルとしては最も評価が高い「後期型−I」で「前期型」と合わせて人気モデルです。

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体ですが、残念ながら前玉表面側にコーティング層経年劣化に伴う「極薄いクモリが全面に渡り発生」しており、清掃では除去できません。これはコーティング層なので硝子研磨して一旦剥がした後にコーティング層再蒸着しない限りクリアにできません。

↑光学系後群側はクリアな状態を維持しておりLED光照射で極薄いクモリが皆無ですが、やはり少々大きめの菌糸状なカビ除去痕が残っていて、コーティング層を反射させると視認できます (写真には影響しないレベル)。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は
完璧に正六角形を維持したまま」閉じていきます。また絞り羽根開閉の動きも微調整した ので「俊敏」です(笑)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑塗布したヘリコイドグリースは当然ながら「黄褐色系グリース」で距離環を回した時にとても軽い操作性でピント合わせできるよう仕上げています。もちろんピント面の微動も軽く動く よう調整済です。

 

ご依頼内容の マウントアダプタ装着で無限遠合焦しない・・もちゃんと合焦していますし、何よりも「ピント面の鋭さが本来に戻った」のが嬉しいですね(笑)

↑絞り環のガチガチ感も可能な限り低減させましたが、これ以上軽くしてしまうと今度はクリック感自体が弱ってしまうのでギリギリのところで処置を留めています。それでもまだまだ ガチガチ感が残っていますが,冒頭解説のとおり設計上の問題でもあるので仕方ありません (ちなみに片側だけに省いても改善にならない)。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

上の写真はこの後の絞り値でも影響が現れますが、前述の「前玉表面側の全面に渡る薄いクモリ」の影響でコントラストが低下してしまいます。何とも・・惜しい限りです(泣)

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。撮影時には拡大でピント面をちゃんと視認できるくらいに鋭くなっています。

↑さらに回してf値「f2.8」で撮りました。だいぶピント面の鋭さが視認できるようになってきました (コントラストは相変わらず低め)。

↑f値は「f4」に変わっていますが、ご覧のとおり「f4」になるとピント面の鋭さがこのモデルらしい写りに変わってきました。

↑f値は「f5.6」に上がりました。ようやく「らしく」なってきたでしょうか。これでコントラストがとれれば文句なしなのですが・・(泣)

↑f値「f8」です。素晴らしい写り具合です!

↑大口径ですが「f11」ともなるともぅだいぶ絞り羽根が閉じてきています。それでもこんだけ出ますからたいしたモノです!(泣)

↑最小絞り値「f16」でこれですからね・・さすがです! 大変長い期間に渡りお待たせし続けてしまい本当に申し訳御座いませんでした。お詫び申し上げます。今回のオーバーホール/修理ご依頼,誠にありがとう御座いました。