〓 Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Xenon 50mm/f2 ▽《後期型:1949年製》(exakta)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホールが終わり出品するモデルは、旧西ドイツは
Schneider-Kreuznach製標準レンズ・・・・、
『Xenon 50mm/f2 ▽《後期型:1949年製》(exakta)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のSchneider-Kreuznach製標準レンズ「50㎜/F2」だけで捉えると10本目にあたります。
前回の扱いが2022年なので凡そ2年ぶりですが、実はその年の1月に海外オークションebayで米国から調達したものの、光学系の状態が悪く、鏡筒も取り出せずにジャンク箱に転がっていました。
諦められず、夏になって「Akarette版モデル」を同じくebayで今度はドイツから調達して扱ったのが『Xenon 50mm/f2 ▽《akarette版》(akr)』になり、それで2022年以来と言う
話なのです(汗)
従ってジャンク箱に転がしておくには忍びなく (調達時の価格も相応に高額)、それ以来2年間探し続け、ようやく今回同じく米国から手に入れられた次第です(汗)
「Xenon 50mm/f2」の一番最初の登場は某有名処含め、wikiなどの解説によると1925年の「Albrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ)」氏発案による
特許出願申請書『DE439556C』と紹介されています。
・・然しその特許出願申請書を見ても絞りユニット背後の光学系後群しか載っていません(汗)
それで特許出願申請書の記述を読んでみると、どうやらその前年1924年に彼の有名な「Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ)」氏が特許出願申請書した『DE458499C』の後群側に対する改善点を指摘し、それについて発案したようです。
↑上の羅列は、左端が1925年の特許出願申請書『DE439556C』で、その掲載光学系構成図から、ネット上で案内されている「OPIC型光学系」への展開としての構成図を当方の手で
トレースして2つめに載せています。
さらに3つめが1935年に申請された特許出願申請書『US2106077A』になり、まさに「Xenon 50mm/f2」を明示する内容との話が一般的であり、その掲載図面からトレースした光学系構成図が右端です。
ネット上で紹介されている一般的な流れはこのような経緯になりますが、しかし右端のとおり光学系後群の中で、第4群に位置するのは「3枚の貼り合わせレンズ」です(汗)
記述を読んでも「OPIC型光学系」からの発展なり改善点として、張り合わせ枚数を増やした
との内容が見られません(汗)
従って『光学知識が皆無』な当方には、どうしてもこれら展開していく流れがピンと来ず(汗)
何だか「???」な印象でした(恥)
ところが過日扱った同じSchneider-Kreuznach製標準レンズ『Leitz Xenon 5cm/f1.5《後期型》(L39)』の探索で、色々ネット上を漁っていてようやく「当方の思い込みが大きな間違いを犯していた」ことに気づき、反省した次第です (本当に恥ずかしい)(恥)
↑上の図は「当方の思い込みによる捉え方の結果」を示しています(恥) 左端は彼の有名な「Ludwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ)」が1924年にZEISS IKON AG在籍時に発案した時の特許出願申請書『DE458499C』で、次の図が当方が掲載構成図からトレースした「Ernostar型光学系」です。
さらに次の特許出願申請書が1925年申請の特許出願申請書『DE439556C』で、前述の
とおり「Albrecht Wilhelm Tronnier (アルブレヒト・ヴィルヘルム・トロニエ)」氏による
発案であるものの「光学系後群だけの記述しか載っていない」のが分かりますし、記述自体もそのような内容 (後群の話しか述べていない) と受け取れます。
そこでこの2つ「エルノスター型光学系の前群とToronnier発案の後群を合体させると」ものの見事に「Xenon 50mm/f2」の構成図になると言う、まさにドシロウト感覚だけで話を進めている内容です (実際はこの右端の構成図は以下の製品カタログからトレースした図です)(笑)
↑そこでトロニエ氏が考案して、実際に後に製品化されたのが上の写真左側Adox製Adoretteに装着された例として明示した「Kleinbild-Xenon 5cm/f2」であり、右側に掲示したのは
1937年当時のカタログから当方がトレースした構成図です。
ここでようやく時系列的な発展としての流れに「ドシロウトなりに納得できそう」な気持ちになりました(笑) まさにBertele氏考案の「Ernostar型光学系」を光学系前群に持つが如く「拡張ガウス型光学系」としての「Xenon 50mm/f2」に生まれ変わりました(笑)
・・こじつけもここまで行くと、ドシロウトながら関心している始末です(笑)
↑上の図はさらにその後の1950年1月にTronnier氏により申請された特許出願申請書『US2627205A』であり、この出願申請書のページをめくった次に載っていた申請書が左端になり、さらにその掲載図から当方がトレースした構成図が中央です。そして右端が今回の
オーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い
逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
・・いずれにしても、あくまで「光学知識皆無なドシロウト感覚」なのでどうかご容赦を(汗)
↑上の写真は、2022年に海外オークションebayで米国から調達した個体から取り外した
光学系第1群前玉の露出面側です。
赤色矢印で指し示している箇所に盛大な光学硝子レンズの「欠け/欠損/割れ」が起きており、さらに中央の多くの領域でクモリが生じていました (グリーン色の矢印)(涙)
↑同様その時の前玉をヒックリ返して裏面側を撮影しています。光学硝子レンズの「欠け/欠損/割れ」が起きていたのは、この裏面側の端で赤色矢印で指し示している箇所です(涙)・・薄く円形状に何回も欠けていったのが分かる「割れ方」です(汗)
(実際バラした時に複数の扇状のカケラが散らばっていた)
当初2022年時点ではまだ気づかなかったのですが、実はその後にもう一度調べたところ「割れていった過程とその原因」が判明しました。
ちなみにグリーン色の矢印で指し示している箇所がクモリ箇所ですが、この写真からは分かりにくいものの相当な領域で蒸着コーティング層の経年劣化進行に伴うクモリが生じています。またブルー色の矢印で指し示している、真鍮製/ブラス製格納筒の外周には「一部に反射防止
黒色塗料が残っていた」状況です。
↑こちらは次の光学系第2群で、やはり2022年時点の個体から取り出しています。実は赤色矢印の箇所に「相当な厚塗りで反射防止黒色塗料が着色されていた」ものの、上の写真撮影時は既に当方の手により溶剤を使い完全除去しています。
するとご覧のとおり「そもそも製産時点からちゃんと微細な凹凸を伴うマットな黒色梨地メッキ加工」されていたのが明白です (メッキ加工なので溶剤で拭っても全く溶けません)(汗)
そこで一つ前の前玉の「欠け/欠損/割れ」の話に繋がりますが、この赤色矢印で指し示した箇所に「厚塗されていた反射防止黒色塗料」が前玉裏面を圧迫してしまい、そのチカラの応力により格納枠が反応して、結果的に光学硝子レンズが欠けてしまったのです (この第2群は前玉
裏面にネジ込む方式の格納だから)(涙)
基本的に真鍮製/ブラス製の金属材は撓るチカラにそのまま反応し影響をけますから、例えばイモネジや小ネジなどで強く締め付け過ぎると
その応力で撓ります(怖)
◉ イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種でネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。
大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある (上の左写真)。
↑同様第2群をヒックリ返して裏面側を撮影しています。こんな感じで格納枠両端に「カニ目穴」が備わり、第1群前玉の内側にネジ込む仕様です。
然しこの裏面側を見ても「やはり外周部分が欠けている」のを赤色矢印で指し示していますが
相当な領域の長さです(汗)
↑さらに進みます。今度は光学系第3群になりますが、赤色矢印で指し示した位置にネジ山が備わるのは「ここに第1群前玉の格納枠がネジ込まれる」設計です。するとブルー色の矢印で指し示している箇所、及びこの内外壁全てに「反射防止黒色塗料」が着色されていました(汗)
・・それでその一部が前玉格納枠の外周に残っていた次第です(汗)
するとここまでで見えてきた「前玉裏面側端の欠け/欠損/割れ」の因果は、そもそも第2群をネジ込んだ際に「反射防止黒色塗料が当たって突き上げていた」のが見えてきますし、さらに悪い事にこの第3群格納筒にネジ込む際に、やはりブルー色の矢印の箇所が応力を発生させる原因になり、今度は第2群裏面側のモールド端に圧力を与えたのが浮かび上がります(汗)
(実際各群の内部には欠落したガラス片が散らばっていた)
するとここまでで一つだけ明らかになる推察が結論づけできますが「このモデルの光学硝子
レンズが既に限界に達していて、相当脆くなっている」と指摘できそうです(涙)
さらに始末が悪いことに、これら格納筒が真鍮製/ブラス製なのも「応力の影響が伝わり易い」が為に、影響度合いが増幅された要因の一つと考えらます(涙)
ちなみにグリーン色の矢印で指し示しているのは、裏面側コバ端の塗膜ハガレです(汗)
↑光学系第3群の裏面側を見るとこんな感じです。コバ端塗膜が剥がれ落ちており (赤色矢印)
さらにブルー色の矢印で指し示した箇所にも「厚塗りの反射防止黒色塗料」着色がありましたが、溶剤で完全除去しています。
いずれにしても、前玉の真鍮製/ブラス製格納枠の外周も、このブルー色の矢印で指し示した
箇所も「共に光路長に影響を来す一因にしかならない場所」であり、要はピント面の鋭さ感を失う方向へと仕向けているとしか言いようがありません(涙)
↑一つ前の光学系第3群までが「光学系前群」にあたりますが、絞りユニットを挟んでここからが「光学系後群」に移ります。上の写真は今回米国から調達した個体から取り外した「光学系第4群の2枚貼り合わせレンズ」格納筒であり、赤色矢印で指し示している箇所に同様、
「反射防止黒色塗料」が着色され、グリーン色の矢印は裏面側のコバ端塗膜ハガレです。そして致命的だったのはブルー色の矢印で指し示した「バルサム切れ」でした(涙)
↑ブルー色の矢印で指し示しているのは「バルサム切れ」に伴う白濁の一部です(涙) グリーン色の矢印はコバ端の塗膜ハガレですが、相当な厚みがあります(汗) またやはり光路長を狂わせる因果にしかならない、赤色矢印で指し示している箇所への「反射防止黒色塗料」着色も
ありました (既に完全除去済)(涙)
この光学系第4群格納筒は鏡筒裏側にネジ込み式で格納するので、ちょうど赤色矢印で指し
示している箇所が最後に鏡筒に接触して、ネジ込みが終わります。それに配慮して黄銅材に
仕上げた設計なのに、その上に「反射防止黒色塗料」を着色すれば、その着色した塗膜の
厚み分が「そっくりそのまま光路長を狂わせる量に加算されていく」話になりえます(涙)
↑最後の光学系第5群後玉も、ブルー色の矢印で指し示した箇所の相当領域にクモリが生じ、且つ一部に菌糸状のカビ除去痕が残ります。また赤色矢印で指し示した箇所は、やはり「反射防止黒色塗料」で厚塗されていたので、当方の手により溶剤で完全除去しています(涙)
↑後玉の裏面側も同じです(汗) クモリと菌糸状カビ除去痕 (ブルー色の矢印) に「反射防止黒色塗料」です (赤色矢印)。
結局、一つ前の光学系第4群貼り合わせレンズ格納筒で「微細な凹凸を伴うマットな梨地黒色メッキ加工」部分が、これら赤色矢印で指し示している箇所にあてがわれる為、この後玉格納枠を最後までネジ込んでいった時、赤色矢印の箇所がほぼ接触に近い状態まで近接するので「反射防止黒色塗料で着色する必要すら無い」のに、過去メンテナンス時の整備者が幾度と
なく厚塗していきます(汗)
なお、これら光学系第1群〜第5群までの各群は、ニコイチにより上の写真
とは別のキレイな光学硝子に替えて組み上げています (出品個体の写真では
ありません)。
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結局、今回オーバーホール済でヤフオク!出品する個体は「2022年の個体と、今回の個体の2つから、ニコイチで良いとこ取りして合体させた個体」になります(涙)
その結果、このモデル「Xenon 50mm/f2」として捉えた時、今まで扱ってきた10本の中で「最も光学系の状態が良く、クモリが生じていない個体」として出品できるものの「残念ながら2つ分の個体の調達コストが含まれる」と言う、非常に不本意な状況です(涙)
・・従って、残念ですが、調達がハイリスクすぎるので、今回の扱いを最後にします(涙)
自分のお気にモデル上位に入るモデルだけに、非常に残念極まりない話ですが、現在の市場
流通個体を見ても、どれも同じレベルでしかなく、もはや『製品寿命を迎えているモデル』としか、受け取れません(涙)
・・その意味でも、最後の扱いとして有終の美を飾るべく肝入で整備しました!(涙)
↑今回出品の個体を解体した時のパーツ全景写真です (完全解体できず)。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説は『Xenon 50mm/f2 ▽《後期型》(exakta)』の
ページをご参照下さいませ (但し冒頭解説は当方の考察が進む前段階です)。
ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。
ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。
↑完璧なオーバーホールが終わっています。一つ前の解体した全景写真を見れば分かりますが、今回米国から個人輸入した個体は「光学系第3群格納筒が完全固着して絞りユニットをバラせない」状況です(涙)
2022年に扱った個体は光学系が致命的で、今回調達個体も後群側の「バルサム切れ」により、むしろ2022年の個体から後群側を転用しているほどです(汗)
その一方で2022年の個体は「鏡筒の完全固着」により、やはり絞りユニットを取り外せず
しかも鏡筒が固着していると「無限遠位置を一切調整できない」ことから、そもそもオールドレンズとして全く機能しません (その結果、自ずとジャンク箱に転がった運命)(涙)
従って、今回の米国からの調達時にさんざん出品者に確認しまくったのは「個体の状況」です(笑)・・その先には、当然ながら「ニコイチ」を見据えての話でしたが、そもそも出品者でも分からない要素はいくらでもあるので、手元に届いて初めて「ニコイチが可能か否か」が明確になります(涙)
そんな一か八かの冒険をするには、2つの個体だけで優に「5万円超え」の調達価格なので、国際輸送コストまで加えれば6万円では収まりません(涙)
そのような状況から、どんなに自分のお気にモデルとしても「もう二度と扱えないモデル」へと、奈落の底へ堕ちていった次第です (実際1個分の構成パーツがガチャガチャにジャンク箱に散らばっている)(涙)
ちなみに、製造番号から主体的に「ニコイチ」した個体の番号は「1949年製」と捉えられます・・そのように捉えると、そもそも75年経過ですから、光学硝子レンズが脆くなるのも
自分の歳同様当然な成り行きと諦めも付くと言うものです(笑)
いくら戦時中に軍需品を生産していたとは言え、戦後僅か4年でここまでの製品を送り出せるのは凄いと、光学設計のみならず、バラしていてつい感心してしまいました(汗)
・・その意味でも、まさに会心の逸本として自信を以てご提供できます!(涙)
なおレンズ銘板部分も溶剤を使い完全除去しているので、製産時点のメッキ加工がそのまま
露わになっています。これは下手に今回着色すると、前玉の清掃時にインク成分が溶けて
薄いクモリが及ぶので、スッキリさせる目的で敢えて着色して格好付けしていません (つまり
メタリックグレーです)(笑)
↑光学系内の透明度が今まで扱ってきた中では最も優秀なレベルです(汗) LED光照射でも蒸着コーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリが皆無です。
確かに後玉に残る僅かなカビ除去痕に付随する薄いクモリは「無」とは評価できないものの、判定は「ギリギリクモリに至っていないレベル」と指摘できます。
さらに上の写真のとおり、光学硝子レンズの状況からしてムリに「反射防止黒色塗料」の再着色を施さず、光学系の群で互いが近接するコバ端は再着色を見送りました。
↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
↑光学系後群側も、2022年の個体から転用したものの、今回の米国からの調達品が致命的なクモリとカビ除去痕だったので、まるでウソのようにクリアです(涙)・・もちろん、LED光照射でスカッとクリアであり、極薄いクモリすら皆無です (後玉露出面側のみカビ除去痕があります)(笑)
↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。
【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:8点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(後玉に微細カビ除去痕複数あり/特に外周に3mm大のカビ除去痕あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な2mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
(但し前述通り微細なカビ除去痕複数あり)
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・絞り羽根に油染み痕が残っています(除去不可能)。
・光学系内に微細な点状の「気泡」混入しています。当時は光学硝子精製時に一定時間高温度帯を維持し続けた証として気泡を捉えており、正常品としそのまま出荷していたので現在も市場流通し続けています。
↑マウント部の内側、光学系後群周り (鏡筒外縁部も含む) は、今回「反射防止黒色塗料」を
完全除去した後に再着色しませんでした。その理由は「鏡筒の直進動時に反射防止黒色塗料が干渉し易いほどに近接する」からです (特に赤色矢印で指し示している箇所など)。
またグリーン色の矢印で指し示しているように、後玉外周部も「反射防止黒色塗料」除去した後に再着色していまん。
結果、製産時点にちゃんと「微細な凹凸を伴うマットな梨地黒色メッキ加工」されている箇所はともかく、光学硝子レンズのコバ端に限定して「反射防止黒色塗料」再着色しています。
↑米国から今回調達した個体は鏡筒をバラせなかったので (冒頭の解体全景写真参照)、15枚の絞り羽根はセットしたままで清掃しただけですが、キレイです(笑) 絞り羽根は「完璧な円形絞り」として閉じていきます。
鏡筒をバラせていないので「絞り環操作はそのトルクが少々重めの印象」ながらも、シッカリした印象です (操作時に違和感を感じるほどではない)。
なお、このモデルの絞り環は独立しているので、距離環でピント合わせ後に絞り環操作してもピント合焦に影響を及ぼしません。また最小絞り値側「f16」位置で基準「|」マーカー合致の設計なので、絞り環は開放側が「f2の先まで回る」仕様です。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
・絞り環操作は無段階式(実絞り)ですが少々重めのトルク感です。
・後キャップ装着時や後玉を下に向けて置く時は必ず最短撮影距離の位置まで繰り出して下さい。無限遠位置のまま後キャップ装着、或いはそのまま置くと後玉にキズが付きます。
(後玉が突出しているためご注意下さい)
【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
・当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・付属品の前後キャップやフィルターアダプタなどには経年並のキズや擦れ痕が残っています。またフィルターには微細なヘアラインキズもあります。
↑今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。
《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
❶ 米国Mil-O製ステップアップリングセット (中古品)
❷ 米国Ednalite製DURAKLAD COATEDスカイフィルター (中古品)
❸ 本体『Xenon 50mm/f2 ▽《後期型:1949年製》(exakta)』
❹ 汎用金属製バヨネット式後キャップ (中古品)
❺ 汎用金属製被せ式前キャップ (中古品)
↑上の写真は今回のオーバーホール済ヤフオク!に付属する米国はMil-O製「Ratailing Ring Set」で、要は「Xenon 50mm/f2」専用に造られたステップアップリングで、SERIES Vの
フィルターを装着できるようになっています。「Xenon 50mm/f2」のフィルター枠にピタリとネジ込めますが、ネジ切りが長いので最後までネジ込む必要はありません。
↑こちらはスカイライトフィルターで、やはり米国はEdnalite製「DURAKLAD COATED SKYLITE 1A」フィルターです。
↑カビ取りと清掃済ですが、微細な拭きキズなどが僅かに残っています。前述のリングセットに入れ込む際は「黒帯部分を前玉側方向に向けてセットする」ので、刻印文字の向きは逆になります。
↑フィルターをセット後に上から被せてネジ込む「蓋のような役目」で、この内側にフィルターが入ります (フィルターは僅かなマチが空くので微かに揺れます)。それぞれアルミ合金材削り出しですが、切削制度がそれほどではないので(笑)、このまま装着状態にして発送する予定です(笑)
なお「Xenon 50mm/f2」モデルの前玉はネジ込み式なので、これらフィルター枠セットを
強めにキツくネジ込んだりすると外れなくなり、外す際前玉まで一緒に回ってしまいます(怖)
冒頭で解説したとおり「そろそろ光学硝子レンズの体制が限界に来ていてモロイ」為、再び
ネジ込んだりしているとまた欠ける懸念が高いです(怖)
・・できればこのまま外さずにご使用下さいませ(怖)
梱包前にもう一度チェックしますが、これらフィルターセットは強めにネジ込んでいません。さらに指摘するなら、フィルターセットのネジ山切削が甘いので(汗)、ネジ込む時に一瞬固くなる箇所があり、そこからさらに先までネジ込むと適正な固定に到達します(怖)
そういう細かい検証も行いつつ、最も安心で適切な状態に「既に現状で組み上げてある」為
そのままご使用頂くのがヨロシイかと思います(笑)
↑上の写真は、距離環を無限遠位置に回して突き当て停止した時の「後玉の突出量」です (赤色矢印)。従ってこのまま (無限遠位置のまま) 下に向けて置いたりすると「後玉が当たってキズ
つける」原因になるので、このモデルだけは「最短撮影距離まで回して必ず置く」事を心がけて下さいませ(怖)
なお、無限遠位置含めピント面の鋭さ感は、当初バラすまえの実写確認時点よりも相当カリッカリに改善しており、冒頭で解説してきたとおり「どんだけ過去メンテナンス時に厚塗された反射防止黒色塗料が光路長を狂わせていたのか」と言う話になります(汗)
それは当初バラす前の実写確認時点 (バルサム切れ状態でしたが) の時の無限遠位置のピント面鋭さ感と比較して、或いは無限遠位置に限らず他の実効距離でのピント面鋭さ感までシッカリ調べています。
当然ながら組み上がり後のそれらピント面も、その鋭さ感が「増したことをピーキング機能を使い、オーバーホールの前後で確認して検証している」ので、鋭く改善できたと述べている
次第です(汗)・・決して自慢話として煽っているワケでは御座いません(笑)
・・ようやく本来の鋭いピント面に戻り、残りの余生を華やかに送ってほしい(涙)
・・と願うばかりです(涙)
そもそもこのモデル「Xenon 50mm/f2」は、その内部構造の設計として合理的な仕様になっておらず、まともに解体できる人は相当少ないと思います。今回は光学系第3群の固着によりバラせませんでしたが、それよりも鏡筒自体の組み込み方法が特殊なので、それに気づける人がだいぶ少ないと思います(怖)
さらに、ヘリコイドオスメスを組み込むにも「ヘリコイドの繰り出しで無限遠位置/収納で最短撮影距離」と一般的なヘリコイド駆動とは間逆なのに、肝心な鏡筒の組み込みが、またそれとは逆なので、その感覚でちゃんと鋭いピント面に仕上げていくのが「技術スキルを要する」ために高難度の構造です(汗)
それもあって今まで「Akarette版」などまで手を付けましたが、内部構造の設計概念は同じなので厄介極まりないモデルの一つです(笑)
無限遠位置 (当初バラす前の位置から改善/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。
被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:50㎜、開放F値:f2.0、被写体までの距離:49m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:24m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」の為、30m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の50m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離75cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
確かにネット上の評価のとおり、Tronnier氏の発案光学系は、決して時代の中で画期的で歴史的な発明と称賛される設計ではなかったのかも知れませんし、むしろそれこそまるで「計算魔」の如く、相当な数の特許出願申請書を出し認可を受けていますが(笑)、例えそれが事実なのだとしても、当方にはこのモデルの描写性が真に琴線に触れまくりで「大好きなモデルの
筆頭格」の一つです(涙)
・・どうか真にご活用頂ける方の手に渡りますように!(祈)