◎ Schneider-Kreuznach (シュナイダー・クロイツナッハ) Xenon 50mm/f2 ▽《akarette版》(akr)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わって出品するモデルは、旧西ドイツは
Schneider-Kreuznach製標準レンズ・・・・、
Xenon 50mm/f2 《akarette版》(akr)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieGeroyam Slava

今回オーバーホール済でヤフオク! 出品する個体は当方がオーバーホール作業を始めた10年前からの累計で今回が初めての扱いになります。

今回のモデルを扱う理由はたったの一つ・・本来当方の琴線に触れる10本のオールドレンズの中に入るXenon 50mm/f2 《後期型》(exakta)』がありますが、何しろ市場流通数が極端に少なく、海外オークションebayでも1年に1〜2本出現するかどうかの頻度です。さらに既に製産されてから凡そ70年を経ている為にその光学系の状態が悪く、特にコーティング層の白濁やバルサム切れなどまで考えるとせっかく出現した個体も手に入れられない状況だったりします。

そこで同じSchneider-Kreuznach製で同銘のモデルならレンジファインダーカメラ向けの「Akarette版」としても近似した光学性能を期待できるのではないかとの儚い期待から思い切って入手した次第です。オーバーホール済でのヤフオク! 出品も同様今までのXenon 50mm/f2と同価で出品しますが、附属のマウントアダプタだけで1万円する為最終的に「即決価格69,500円」です。

さらに附属させたマウントアダプタも結局のところフランジバック計算が合っていない事が判明し、イジッて微調整済です。単にフランジバックだけ合わせてオールドレンズ側のピントが合うだけで良いならもっと簡単な話ですが、今回当方が頑なにこだわったのは「Xenon 50mm/f2 の写りはこんなんじゃない!」とのピント面の鋭さからもう一度スタートして最後組み上げて仕上げたので、その意味で単なるフランジバック目当てで組み上げていません。それはまさに細かく調べていく中で「ピント面の鋭さが堕ちる領域が両方にある」のを知ったからで、無限遠位置方向に解像度が低下する方向性と共にその反対側たる最短撮影距離方向についても「また異なる解像度の落ち方」をしている事実を発見したからこそ「そこから逆算したフランジバックが必ず顕在する」との、あまりにも至極当然な話に落ち着いた次第です。

従って単なるフランジバック合わせで今回オーバーホール済で出品しません。あくまでも「Xenon 50mm/f2 の写り」が大前提として最後まで仕上げていったのをここに明言しておきます。

いつも思うのですが、このXenonで撮影すると不思議に画に艶やかさを感じるので、いったい何が影響してそのような写りになるのかよく分かりません。

当方は何しろカメラ音痴なので、いえ、カメラに限らずそもそもライツ製やライカ製オールドレンズでさえほとんど理解していません(笑) とにかくオーバーホール作業を始めた10年前に、気がつけば社会人になってからというもの仕事しか自分の趣味と言えるモノが無い事に初めて気がつき(笑)、その時に写真でも撮ってみるかと当時のOLYMPUS製フォーサーズマウント規格「E-300」を手に入れて撮影に勤しんでみたのが始まりです。

やがて2年もせずに以前働いていた家具専門店の時代に社長夫人に「アナタってインテリア的なセンス皆無ね!」と宣告されてしまった時の如く(笑)、やはり写真センスも皆無である事を痛感し、然し機材を揃えてしまった以上後ろ髪を引かれているうちにフッとした事から不具合のあるオールドレンズをバラして直そうと試みたのがスタート地点でした。

・・それからアッと言う間に10年が過ぎました。

今となっては昭和〜平成〜令和と三世代を跨ぐ勢いですが、子供達 (3人居ます) に言わせると自分の人生を賭してひたすらに仕事一筋なのがどうも理解できないようです(笑) まッそれが今ドキの若い人達の仕事観なのでしょう。特に大正〜昭和と激動だった時代を跨いできた身の上としては仕事一筋が時勢の「当たり前」な感覚で、早く一人前になって社会に貢献したいとむせる思いに駆られていた青春でした。ある意味「古き良き時代昭和」的に何とも愛着があり例えば当時は必然だった「角刈り頭」なんかも白黒写真を眺めるにつけいまだに違和感を覚えません(笑) 父の時代には自分を「僕」相手を「君」と言う、今ではまるで時代劇のような時勢です(笑) 確かにメダカの学校と揶揄されるのも納得ずくですが、在る一つの方向性で皆が一目散に働いていた時代ではないかと懐かしくも思います。北朝鮮ではありませんが、若い男子女子が同じ方向を見ながら指差し意気揚々と描かれた町中の壁画の如く(笑) そんなニュースの一場面を観てもまるで違和感さえ感じない程に国民が同じ方向を見ていたのをある意味誇りのように感じるのが「あぁ〜俺もとうとうジジイになったなッ!」と強く思う次第です。

ポマード」と言うコトバをご存知でしょうか?(笑) 髪の毛をカッチカチに固めるモノですが、父が使っていたその「異臭」に嫌気が射していたのを覚えていながら、イザッ自分が子供達から「(昭和)臭い」と言われるのを目の当たりにして (臭いだけに限らず普段の生活や仕草などあらゆる物事に対して)、今さらながら父に「いやいや、親父ゴメンよ!」と心の中で謝っている始末です(笑)

・・いまだに頑なに昭和丸出しな生活なので子供達からも失笑状態ですね(笑)

だいたい当たり前の如く出掛ける際にジーバン履いている時点でアウトらしいです(笑) いい歳になった長女はともかくも、まだまだ若い次女はいつもちょっと離れて歩きます(汗) 父が好んで聴いていたスイングジャズ音楽 (ベニーグッドマン楽団やカウントベイシー楽団等々) を久しぶりに音量を上げて聴きまくってウットリしていると、気がつけば子供達からの白い視線
・・どうやら騒音苦情のようで、なかなかです(笑) 今流行りの旧統一教会云々は別としてもせめて音楽の嗜好くらいは憲法で保証してもらいたいくらいです・・(笑) だって、いつも妻が大好きなB’zとか聴かされまくりなのに!・・いい歳していまだに追っかけでコンサート行っているそのお金、誰が稼いでいるのョ!!! (コンサートでは必ず最前列で狂気の騒ぎまくりらしいです/長女が以前一緒に行って閉口したくらいなので)(涙)・・と現実はこんな感じなので「家長たる夫/父親は家族が敬う存在」と爺ちゃんから聞いたものの、ウ〜ンちょっと違うョなぁ〜。

・・話が反れました(汗)

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1946年に旧西ドイツ側のFriedrichshafen (フリードリヒスハーフェン) 市で創業し、当時のフィルムカメラ用アクセサリー分野での開発/製造からその後すぐにライカ判フォーマット「24x36mm」フルサイズを見越したレンジファインダーカメラの開発/製産へと移行したカメラメーカーです (残念な事に1961年には倒産してしまいます)。

右写真は1951年時点での雑誌広告からの抜粋ですが、ちゃんと「Akarette II」他のモデルが列記されており、まさに全盛時代だったのが理解できますが、意外にも早く終焉を迎え1961年には倒産してしまいます。後にakaretteは「AkArelle (アカレル)」とその名称を変更しますが、このコトバをドイツ語発音させると「アカエレ」と聞こえるものの英語での発音時は「アカレル」なので、いずれが正しいのか不明です。

当然ながら今回扱ったXenon 50mm/f2 《akarette版》(akr)』もちゃんと掲載されています。

 

↑上の写真は当時の発売順序のままに左から順に「Akarette I (1947年発売)」そして「Akarette 0 (1949年発売)」さらに「Akarette II (1950年発売)」になります。

↑上の写真は当時顕在していたカタログです。

実は今回扱ったXenon 50mm/f2 《akarette版》(akr)』以外にも幾つかの標準レンズや中望遠レンズが用意されていたワケですが、ネット上のプロカメラ店様などの掲載記事を見ると「フランジバックが異なるモデルがある」と明記されています。

これは「確証たる裏をとったのか?」との思いに達しますが、同じレンジファインダーカメラに対して2種類以上のフランジバックが顕在するハズがあり得ません。どう考えても道理が通りません。前述したモデルバリエーション上の「Akarette IAkarette 0Akarette II」の中で捉えるなら、上に示した当時のカタログからしてそのようにフランジバックが異なる話を一切明示していません。

そもそも一つのフィルムカメラに対して異なるフランジバックの製品を用意するなら「基本的にその型番/モデル銘は別銘に替えなければ混乱を招く」のは自明の理であって、同時期に同一モデル銘の中で「異なるフランジバックが顕在し得る要素が見出せない」と判定できます。

フランジバック
レンズマウント面から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス一眼ならば撮像素子面) までの距離

バックフォーカス
光学レンズの後玉端から撮像面 (フィルムカメラならフィルム面でデジカメ一眼/ミラーレス 一眼ならば撮像素子面) までの距離

冒頭の解説のとおり当方はカメラ音痴なのでもしもこの考察に大きな誤りがあるなら是非ともご指摘/ご教授をお願い申し上げます。

実際、上のカタログの印刷をチェックしても今回扱ったXenon 50mm/f2 《akarette版》(akr)』が他の廉価版標準レンズなどと一緒に案内されており、然しその一方で「フランジバックの相違の説明は皆無」なのが明白です (今回扱ったXenon 50mm/f2 は上図一番右側にあたるカタログページの中で右上の位置に印刷されています)。

然し、実は、そのようにプロのカメラ店様や修理専門会社様が「捉えたくなる要素」が今回扱ったオールドレンズには顕在し、それはまさに「設計上の問題」とも受け取れるのが判明しました!(驚)

・・つまりフランジバックが異なるのではなく単に組み立て工程が拙いだけの話。

今回のオーバーホールに際し完全解体する際に「そもそもバラし方が分からない/難しすぎる」との状況の中で、さらに組み上げる際は「設計者の意図が全く汲み取れないくらいに変則的な概念」であった事が判りました/苦しみました。

・・はい、実は今回の個体を組み上げるのに丸四日を要した次第です(涙)

構造自体は理に適うものの、どうしてこういう概念で設計するのかなぁ〜といささか腹が立つ程に「???」だったのが正直な処です。つまり「無限遠位置」や「最短撮影距離の位置」或いはピント面の鋭さに対しての最も適切な「鏡筒固定位置」と言う、まるで三つ巴的な要素を総て完璧に満たさない限り「適切な駆動に至らない」からこそ・・実は過去メンテナンス時にまともに仕上げられた個体がとても少ない現実をあからさまに知り得ました。

何を隠そう、今回扱った個体も入手時には (つまりバラす前のチェック時点で) 無限遠位置は「距離指標値の2.4mで合焦してしまう劇的なオーバーインフ状態」だったのです。距離環の刻印距離指標値の「∞」位置から7目盛分も前 (刻印指標値の2.4m辺り) で無限遠合焦してしまう整備に「はたしてそれを適切/正常と捉えるべきなのか???」との疑念しか湧きません! 逆に言うなら無限遠位置がそれだけ手前側になっている分、今度は最短撮影距離自体が全く以て仕様上の1mに達していません (1mに到達する以前に突き当て停止してしまい距離環のがそれ以上回らないから)(怒)

そんな思いから調達した後に/オーバーホール後に改めて海外オークションebayの出品個体写真をチェックすると、何と総ての個体でマチマチな位置で鏡筒が繰り出されている現実を知りました。それはいったいどうやって判定しているのかと言うと、マウント部直前の指標値 (基準マーカーや絞り値に見合う被写界深度を使命刻印/ラインなどがある部位) に対しての距離環の繰り出し状況/距離指標値との位置的な写真から容易に大凡の判定が適います)。

・・つまり過去メンテナンス時に総ての個体でバラバラに組み上げている事実が判明。

通常一般的にオールドレンズの多くは「無限遠位置を確定する位置はほぼ特定される」のが多く、その設計概念に慣れ親しんでいるために今回の個体の「無限遠位置を探り出す」作業を要する現実に戸惑いを隠せません(泣)

・・このモデルは無限遠位置を自在に変更できる設計を採っています!(驚)

もちろんそんな設計概念のオールドレンズはとても少ないですが、妄想するに発売したレンジファインダーカメラの売れ行きに対して期待値を大幅に下回っている状況から思考錯誤の最中だったのではないかと勝手に推察しています。詰まるところその結果がまさに1961年時点での倒産であり、哀しい限りですね・・(涙)

このレンジファインダーカメラたるAkaretteとは直接関係ありませんが、セット付で供給していた標準レンズや中望遠レンズが幾つか顕在します。今回扱った標準レンズはその中の一つですが、当方の琴線にまさに触れまくりのオールドレンズの一つなので扱った次第です。

今までに扱ってオーバーホール済でヤフオク! 出品したモデルは同じ「Xenpn 50mm/f2 」としてももレンジファインダーカメラ向けの製品ではないバックフォーカスが長い一眼レフ (フィルム) カメラ向けでした。

巷では今回扱ったAkarette版モデルのXenon 50mm/f2 』に対して異なるフランジバックや光学系設計を採っていたと何の根拠も無いままにあからさまに記載しているプロのカメラ店様やネット上のサイトが横行していますが、当方はそれらに対して異議を申し立てます。

その根拠はまさに前に示したとおり一つのカタログ掲載の中でフランジバックの相違を明示せずにオプション交換レンズ群を案内している時点で「同一のフランジバックで問題なくそのまま差し替えて使える」のが大前提である事は自明の理と考えたからに他なりません。

その意味で、今現在もネット上、ひいてはプロのカメラ店様などで指摘されている「一部にフランジバックが異なるモデルがあるようです」との指摘は全く以て的ハズレなのだと敢えて明言します!

どう考えても同じシリーズのフィルムカメラに於いて使えるオプション交換レンズ群に「フランジバックが異なる製品」を混ぜて発売するそのメリットに説得力を欠いています。

今回初めてこのモデルを扱いましたが、少なくともSchneider-Kreuznach製オールドレンズとしてAkarette版モデルは全く以て当時の一般的な (自社内での発売も含め) 逸脱した設計概念だった事を・・ここに明言させて頂きます

・・要はそれだけ特異な組み上げ工程を経なければ完成できませんでした!(涙)

ちなみにネット上をさんざん調べまくると「Akaretteのフランジバック42mm」とあるのですが、今回のオーバーホールで組み上げていくと (最後の工程でフランジバックを探索し無限遠位置を策定する作業を延々と2日間続けていた) どう考えても42mmのフランジバックでは計算が合わず、もっと短いのではないかと考えます。

逆に指摘するなら42mmのフランジバックで捉えると「ヘリコイドのネジ山が足りない」話になるのを突き止め、そもそも基準に捉えていた42mmのフランジバックが違っているのだと考えを改めた途端に、まるで真っ暗なトンネルのだいぶ先に光が見えてきたように感じられ幾ばくかの希望に改めてパワーを抱いた次第です(笑)

詰まるところオールドレンズの場合は最も鏡筒が収納されている状態で無限遠位置が来るハズですが、今回のモデルはヘリコイドのネジ山「オスメス」の駆動概念 (使い方) が全く一般的なオールドレンズの設計概念を逸脱していたので、まさにフランジバックが当てにならず (つまりせっかく入手したマウントアダプタ自体の寸法も違っていた)、且つ無限遠位置の特定が適ってもその反対側たる最短撮影距離の位置が全く仕様に到達しない。合わせてそれらの関係性を調べていく中で「ピント面の鋭さが変わってしまう範囲が顕在する事を発見」し、ついに (当然ながら) ピント面の鋭さを最大限に重要視しつつ、同時にフランジバックと無限遠位置の逆算に挑戦を続けるべきとの全く今までに挑戦した事がない作業に入った次第です。

つまりどんなにフランジバックが適切で無限遠位置が合うとしてもその時に合焦したピント面が当初バラす前の時点同様「カメラのピーク検知 (フォーカスピーキング) にすら一切反応しないレベル」との状況を「是としない」事から今一度スタート地点を改めて「観察と考察」をやり直しつつ、そこに「原理原則」を当てはめていくと・・この四日間の苦しみは何だったのかと言わんばかりにス〜ッと総てが明確になりました(涙)

・・まさに本当に苦しい四日間でした(涙)

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

上の写真二段分
AkaretteのモデルとしてXenon 50mm/f2 』を括ると相当実写が少なくまとめて解説します。ピント面のアウトフォーカス部に目立つ収差が愉しいですが(笑)、意外にもレンジファインダーカメラ向け標準レンズながらピント面の鋭さはたいしたものです。

さらにその上に「シアンに振れる発色傾向」だとしても決してコッテリ系の色乗りに堕ちないながらもスッキリ感が漂うナチュラルな傾向の発色性にとても好感を覚えます。

さらに付け足してまさにSchneider-Kreuznach製Xenonたる所以ですが、このピント面の「繊細なエッジ表現」に独特な要素を見出し、正直な処開放f値「f1.9」ではなくて敢えて「f2.0」に絶大なる魅力を感じている次第です。

逆に言うなら太目で骨太に明確なエッジを伴いつつ鋭さを演出するオールドレンズは数多く存在しますが、このように「繊細で細いエッジ」で表現してくれるピント面のオールドレンズとなると、なかなか数を挙げられません。しかもそれにブラスして当時の旧西ドイツ製オールドレンズの傾向たる「シアンに振れる」要素も影響してとてもスッキリした、然し「記憶色にまるで忠実な」色彩表現に感嘆を隠せません。もちろんそうは言ってもライツ製/ライカ製オールドレンズとは全くの別モノですが(笑)

・・その意味で当方にはある特定の嗜好としてこのモデルの写りはいまだに溜息混じりです。

ちなみにこの「エッジの太さにこだわる概念」こそは、まるで家具インテリア専門店に勤務していた時代に社長夫人から事細かくご教授頂いた「シ〜ンのエッジにこだわりなさい!」との助言に頑なに今もこだわっている所以です (専務/社長夫人・・ありがとう御座いました!)(涙)
(その先に顧客が好む嗜好要素を散りばめれば部屋全体の趣が嗜好に適いお客様が納得できる)
だからこそ最初からシツコクしないのが肝心だと教えて頂きました (感謝しています!)(涙)

意外にもインテリア的な嗜好に即して考察すると、例えば世の中のコーディネーターは「とかくインテリアの趣き/種類にこだわりがち」なるものの、実は顧客のイメージはそこまで完成されておらず曖昧だったりします。するとそこに「齟齬」が生まれてしつこいとか煩いとの評価が現れるのが常なので、ならばいったいどうやって顧客との「最も満足できる接点を見出すのか?」との問いに対して・・当方はあからさまに「それはインテリア性を逸脱した顧客個人の嗜好に沿うしかない」と明言してしまったからこそ社長夫人がカチンと来たようです(笑)、後に「うちの会社には無くてはならない存在」とまで仰って頂き、これ以上ない誉れです!(涙)

・・詰まるところ感性に訴えるなら曖昧さも重要ですが整備はそうとは限りません(涙)

右の構成図は一般的な4群6枚ダブルガウス型構成としてCarl Zeiss Jena製標準レンズの「Biotar 58mm/f2.8」の光学系構成図を掲載しました。

実はネット上やプロのカメラ店様などでさえもこのモデルXenon 50mm/f2 《akarette版》(akr)』は4群6枚ダブルガウス型構成を実装していると掲載されてしまっています。

確かに当時Schneider-Kreuznachに於いて「Xenon」の定義は曖昧ですが、既に1927年時点で5群6枚のウルトロン型構成を実現していたにもかかわらず、様々な収差改善を見越してもなお敢えて4群6枚を採ってくる理由がどう考えても思い当たりません(泣)

従って当方は端 (はな) から4群6枚ダブルガウス型構成に抵抗感が強く「戦後に於いてXenonに4群6枚はあまりにも適さない」との考察から、実はかたくなにこのAkarette版モデルについても「絶対に5群6枚のウルトロン型構成だ!」と信じてやまなかった次第です(笑)

なかなかその仮説を基に検証するにも資金が乏しく機会を逸していましたが、ここに来てようやく入手が適いました!(涙) 思えば2年掛かりの調達だったので感無量な思いでいっぱいです (Aakaretteのマウントアダプタがそもそも存在しなかった)(涙)

↑上の写真は今回扱った個体から取り出した光学系で、左端から順に第1群 (前玉) 〜第5群 (後玉) へと並べて撮影しました。前述のようにネット上やプロのカメラ店様などの解説でこのモデルの光学系が4群6枚のダブルガウス型構成と案内されているので、当方が「5群6枚のウルトロン型」と主張するといつもの如くSNSでまたウソを平気で拡散していると批判されるので証拠写真を撮った次第です(笑)

上の写真で第1群〜第3群までが「光学系前群」にあたり第4群〜第5群が「光学系後群」になります。従って絞りユニットは第3群と第4群の間に配置されている事になります。またこの中で唯一第4群だけが貼り合わせレンズなので、光学系の構成としては「5群6枚」と言う説明に至ります。

貼り合わせレンズ
2枚〜複数枚の光学硝子レンズを接着剤 (バルサム剤) を使って貼り合わせて一つにしたレンズ群を指す

確かに戦前にはSchneider-Kreuznachでも4群6枚のダブルガウス型光学系構成で「Xenon銘」を冠するモデルを製産しましたが、戦中〜戦後には4群6枚ダブルガウス型構成で「Xenon銘」を送り出した事は無いと認識しています。

右図はまさに今回のオーバーホールに於いて完全解体した時に光学系の清掃時、当方の手でデジタルノギスを使って各群を逐一計測してトレースした構成図です。この中で第5群 (後玉) は両凸レンズながらも露出面側のほうが曲率が高い (逆に内側は曲率が小さく平坦に近い) 設計でした。

今回の個体はその製造番号から1951年5月の製産個体と推測しています。

なお、今回の個体も当初バラす前の実写確認時には「こんな程度のピント面で甘いなぁ〜」とまるで心が沈んでしまう印象でしたが、その因果関係はいつものとおり「光学系の各群を執拗に反射防止黒色塗料で塗りまくっていた」事が悪影響を及ぼしていたワケで、本当に毎回毎回バラすたびに反射防止黒色塗料を落とすだけで/除去するだけで優に1〜2時間を要し頭に来ます(怒)

↑例えば上の写真は光学系第4群の貼り合わせレンズになりますが、ご覧のように光学硝子レンズ格納筒にモールドされています。既に当方の手により「磨き研磨」が終わっている段階なのでピッカピカに黄銅材の一部が光り輝いていますが、当初バラした直後は溶剤で洗浄したもののこんな黄金色の光彩など放たず「焦茶色」です(笑)

黄金色にピッカピカにキレイに輝かせるのが目的ではなく(笑)、最大の狙いは「適切な光路長を確保するよう最後までネジ込める事」なので、例えば上の写真2枚目の黄金色に光彩を放つ箇所にまで過去メンテナンス時に厚塗りされた「反射防止黒色塗料」が塗布されていた為に「その塗料の厚み分だけ光路長が適正ではなかった」と断言できます。

それを示す証拠が実は1枚目の写真のほうで、この第4群の貼り合わせレンズを表裏でひっくり返して撮影しているに過ぎませんが、1枚目の写真を見れば「誰が見ても黒色に塗られている」のが歴然です。

実はこの黒色部分にまで「過去メンテナンス時に反射防止黒色塗料が厚塗りされていた」次第で、溶剤を使ってそれこそ数十分を要しながらその塗料を除去すれば、まるで溶剤などで溶けない/除去できない「ちゃんと製産時点に焼き付け塗装されているマットな黒色塗膜が現れる」ワケで、いったいこの何処に反射防止黒色塗料を厚塗りする必要性があるのか全く以て理解できません。

どうしてそこまで執拗に徹底的に攻撃的な態度に出るのかと言えば、これら光学系の各群は当初バラした時点で「外周から中心に向かって極僅かなクモリを帯びていた」ワケですが、何度清掃してもすぐに再び外周に「薄いクモリが現れる」始末です。

通常光学硝子レンズはこのようにモールドされていてもせいぜい数回清掃すれば全く以てクリアになりますが、今回の個体は何度清掃しても結果は同じで「外周に薄いクモリを帯びる」ワケです。

その原因は当然ながら清掃時に使っていたシルボン紙に「黒っぽい痕が残る」ので過去メンテナンス時の反射防止黒色塗料の塗布が原因と判っていましたが、さすがに頭に来ます。

結局これら5群の光学系について過去メンテナンス時に厚塗りされてしまった反射防止黒色塗料を除去する作業だけで2時間を要しました(涙)

当初バラす前の甘いピント面の印象は、まさにこれら5群の光学硝子レンズに塗布されまくっていた反射防止黒色塗料が原因であり、合わせて不必要な箇所にまで着色していたが為に「各群が適切な光路長に到達していなかった」事が歴然です。

何故ならこのブログの最後のほうに実際に組み上げが終わって実写した写真を各絞り事に載せていますが、そのピント面をご確認頂ければどんだけ鋭いピント面なのかが明白です。

上の写真光学系第4群はちゃんと最後までネジ込めるように「磨き研磨」を施し適切な光路長に至るよう処置しました (当然ながら他の群も同じです)。その結果はこのブログ最後に仕上がった個体による実写として掲載しています。

・・結局光学系に薄いクモリを帯びさせていたのは反射防止黒色塗料のせい!

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。バラしてみれば上の写真のようにまるで簡素にしか見られない内部構造の設計ですが、実はそう簡単にバラせない相当に高難度なモデルです(泣)

最初に外せるのはたったの一つ「絞り環」だけで、それ以外は距離環もマウント部も鏡胴も何もかもどうにも外せません。さらに厄介だったのが手に取ってこのオールドレンズを操作すればすぐに分かりますが「回転式ヘリコイド駆動」なので、絞り環もクルクルと一緒に回っていく仕組みです。それ故に絞り環に刻印されている絞り値は両サイドに刻まれています。

従っていきなり上の写真を見て簡素な構造だからとバラそうと挑戦しても「絞り環の環/リング/輪っかをはずすだけで終わる」と言うとんでもない設計です。ちなみに光学系だけは光学系前群側も後群側も簡単に外せますから、せいぜい光学系の清掃だけで終わります。

何しろオール真鍮 (黄銅) 製なのでズッシリと重みを感じる筐体ですが、特にヘリコイド (オスメス) についてはヘリコイドグリースを入れ替えて少しでも軽い操作性に戻したい気持ちになります。

回転式ヘリコイド駆動」のオールドレンズなどはこの時代の傾向で考えれば特に珍しくもなく相応に幾つも顕在しますが、正直これほどまで完全解体が難しいモデルは初めてでした(涙)

オール真鍮 (黄銅) 製なので扱った事がある方はご存知でしょうが、下手にチカラ任せで回し過ぎるとアッと言う間にネジ山が噛んでしまうので大変な事になります。かと言って一つも外せない以上、回したくなるのが人情で(笑)、製産時点に人の手で組み立てられていたのだからとついついチカラ任せに回したくなります。

実は筐体の鏡胴側が相応に長さを持つものの、絞り環を外した後に距離環も外せるのですが「単にイモネジを外して固定されていたのがフリーになるだけ」で距離環自体は絞り環のベース部分に被った状態なので引っかかって外れません。

もちろん距離環が被さっているので絞り環が固定されていたベース環/リング/輪っかも外れず、すると絞りユニットもバラせないことになります。一方マウント部もイモネジがあるものの外したところで同様にバラせず、ただただひたすらに外したイモネジばかりが転がっている始末です(泣)

・・こんな奇々怪々な構造の回転式ヘリコイド駆動モデルは初めてです!(泣)

おそらく過去メンテナンス時の整備者も相当苦労したのではないでしょうか。塗布されていたヘリコイドグリースがまだ新しいのでつい数年内に整備されたものと推測できます。しかし組み上げに際しこのモデルの「高難度な構造」が理解できず、やっとの事で何とか「それらしく組み上げた」レベルだったと容易に察しが付きます。

その理由は・・距離環の刻印距離指標値「2.4m」辺りで無限遠合焦してしまうと言う意味不明な組み立て状況だったからです。つまり今回扱ったこの個体は確かにヘリコイドグリースが入れ替えられて滑らかな操作性であるものの、光学系はクモリだらけでバラす前に実写確認しても低コントラストでとても写真を撮っている気持ちになりません (何しろ霧中撮影のイメージ)。さらにピント面の鋭さと言えばカメラ側のピークには一切反応せず、どうにか目視でピントの山のように見えるくらいで明確な合焦になりません(涙)

・・そこで過去メンテナンス時にただ「らしく組み立てただけ」との判定に至りました。

《当初バラす前のチェック時に気になっていた内容》
絞り環を回すとトルクが重すぎる。
距離環を回すトルクは軽く滑らかだが途中から急に重くなる。
 距離指標値2.4m辺りで無限遠合焦してしまう。
当然ながら最短撮影距離1mには程遠い。
光学系内の各群にクモリが残っている状況。
回転式ヘリコイド駆動を見越した整備に到達していない。

《バラした後に新たに確認できた内容》
 まだ新しい黄褐色系グリースが塗布されている。
光学系内の総てに反射防止黒色塗料を塗布している。
このモデルの設計を考えずにデタラメに組み上げている。

・・こんな状況でした。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。真鍮 (黄銅) 製なのでこの鏡筒だけでもズッシリと重みを感じます。当方の手により既に「磨き研磨」が終わっていますが、そもそも内部/内側にちゃんとマットなメッキ加工が施されているのが分かります。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

↑15枚もある絞り羽根を組み込んで絞りユニットを仕上げたところですが、実は上の写真の状態ではまだ「開閉環が一切固定されていない状態」なので、このまま逆さにすると外れて絞り羽根が散けてしまいます。

つまりこのモデルの絞りユニットは特に「開閉環」の固定について「光学系前群のネジ込みでようやく固定される方式」を採っているのが判明します。

しかし過去メンテナンス時の整備者はそれすら理解していませんでした。一旦このモデルをパラして何とか「らしく」組み上げられる技術スキルを持つ整備者なのに、決してシロウト整備はこのモデルに関しては不可能で、それでいて「光学系前群の格納で開閉環を固定する方式に気づかない」点に納得できません。もしかしたら単にバラして逆手順で組み立てられるレベルのスキルなのかも知れませんが、例えそうだとしてもこのモデルを「らしく組み立てられる整備者は少ない」とも考えます。

・・意味不明です「???」

↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。写真上方向が前玉側方向になります。当初バラした直後はこんなにピッカピカに黄金色ではなく真鍮 (黄銅) 材の経年による酸化/腐食/錆びにより「焦茶色」でした。

ご覧のように鏡筒の外周には「絞り環用のネジ山」が備わります (赤色矢印)。一方グリーンの矢印で指し示した箇所が実は「絞り環の操作性を軽くする為に処置が必要な箇所」なのに、その点について過去メンテナンス時の整備者は一切気づいていません (つまり焦茶色のままグリースを塗っていた)。

従って当初バラす前の時点で「絞り環操作が重いトルク感」だった因果関係がまさにこの工程での仕上げ方だったと言えます。今回のオーバーホールではご覧のようにピッカピカに「磨き研磨」を施し、グリーンの矢印の箇所の平滑性を取り戻しています。

これにはちゃんと理由があり「回転式ヘリコイド駆動」なので距離環を回してピント合わせしていくと絞り環も一緒に回っていきます。するとピント合わせが終わってボケ味をイジりたいと思った時に「絞り環を回すと途端にピント面がズレてしまう (距離環が回るから)」現象に至るので、できるだけ絞り環操作を軽く仕上げたいのです。

かと言って距離環側を重いトルク感に仕上げてしまえばピント合わせ後に絞り環操作しても簡単にピント面がズレないよう仕上げる事は可能ですが、すると今度は「ピント合わせが疲れる (重いトルク感だから)」話に至り、とても操作性の良い仕上がりとは言えなくなります。

・・詰まるところ距離環は軽くさらに絞り環も軽い仕上げが必須。

となれば、上の写真の如く「磨き研磨」により平滑性を取り戻すべきであり、もっと言うなら「その為に平滑面としてちゃんと設計されていた」点に整備者が気づく必要があったワケです。

つまりこのモデルは設計者の意図を汲み上げながら作業を進めるべき「高難度モデル」と判定できます。

↑鏡筒の外周に備わるネジ山に「絞り環用ベース環」をセットします。最後までネジ込んでしまうと動かなくなるので適切な場所でネジ込みを止めます。グリーンの矢印で指し示した箇所に鏡筒内部の絞りユニットにセットされている「開閉環」と連結したシリンダーネジが見えています。

前述のとおりこの状態でもまだ「開閉環は一切固定されていない」ので、このままひっくり返したら絞り羽根が散けてしまいます。

↑さて、一つ目の難関に差し掛かろうとしています。上の写真は光学系の第1群 (前玉) 〜第3群までを組み上げたところです。ここで特に重要な要素が3本の矢印で指し示している箇所です。

グリーンの矢印:光学系前群の格納位置を決定する平滑面
つまり適切な光路長で仕上げようとするならこの箇所の「磨き研磨」が必須で、シッカリと最後まで光学系前群がネジ込めるよう経年の酸化/腐食/錆びを除去しておく必要があります。

赤色矢印:絞りユニット内開閉環を固定する目的の平滑面
過去メンテナンス時の整備者はこれを全く理解しておらず、ここにまで反射防止黒色塗料を塗りまくっていたのです。だからこそ当初バラす前の時点で「絞り環操作が重い」話に至ります(笑) 当然ながら今回のオーバーホールでは当方の手で「磨き研磨」を施し本来必要とされる平滑性を取り戻しました (もちろん着色などしない)。

ブルーの矢印:開閉環内部の平滑面
さらに絞りユニット内部の「開閉環」がマットな艶消し仕上でメッキ加工されている箇所にまでこの部分が入り込み確実に絞り羽根の浮きを止めている設計です。多くのオールドレンズでも同様ですが「最小絞り値側方向に絞り羽根を閉じていくと絞り羽根は応力で膨れあがろうとする」のをここで防いでいるのです。

従ってこのように「光学系前群の格納により初めて絞りユニット内開閉環が固定される」設計である以上、問題となる「開閉環」との接触面に気配りして「平滑性を担保する」のが本来の求められる整備と言うお話です(笑)

ちなみに上の写真赤色矢印ブルーの矢印まで過去メンテナンス時の整備者は反射防止黒色塗料を塗りまくっていたので(笑)、当然ながら絞り環操作が重くなるのは必然です。

↑実際に鏡筒内部を覗き込むとこんな感じです。「開閉環の縁部分がちゃんと平滑面に仕上げられている設計」なのが分かりますし (赤色矢印)、その他の矢印も一つ前の写真で指し示したとおり「平滑面」処理がちゃんと有効になります。光学系前群の格納位置を確定する (つまり光路長を正す) 目的の平滑面がグリーンの矢印を意味し、合わせて絞り羽根の浮きを押さえる為に敢えて製産時点にマットな黒色メッキを被せた開閉環の内側にもブルーの矢印のとおり光学系前群の平滑面が有効です。

従ってオールドレンズは確かに簡単な構造で誰でも容易に組み立てできるのですが、然しその際ちゃんと設計の意図を汲まない限り適切な仕上がりには至らないのがご理解頂けると思います。

確かに絞り羽根の開閉をダイレクトに行う「開閉環」なのに、どうしてその内側だけ「マットな黒色メッキ加工を施しているのか?」と「観察と考察」を進めれば、自ずと最小絞り値側方向に15枚もの絞り羽根が重なり合った時にその応力が働き絞り羽根が膨れあがるのを押さえ込んでいるのだと気づかなければイケナイのです。

実際今回のオーバーホールで仕上がった個体をご落札頂いたご落札者様お一人様だけですが、絞り環操作して回した時「あッ!確かに最小絞り値側だけ僅かに重くなる」と前述の応力の働きを指で感じる事が叶います (実際少しだけ抵抗感を感じるから)。

・・こういう話がオールドレンズ組み立てのコツでもあります。

↑ちゃんと必要な箇所の平滑性を取り戻したので光学系前群が適切な位置までネジ込まれました。前述のとおり、この段階でようやく「開閉環が固定された」のでこのままひっくり返しても内部で絞り羽根が散ける心配はありません(笑)

すると赤色矢印で指し示している箇所に隙間があり「絞り環用ベース環が接触していない」のが分かります (つまりちゃんと適切な位置でベース環のネジ込みを止めたから) し、合わせてグリーンの矢印の箇所にもちゃんと隙間が空いているのでやはり絞り環操作に抵抗/負荷/摩擦など起きないのが自明の理です。

・・設計の総てにちゃんと意味があるのを知るべきですね(笑)

↑第一の難関をちゃんとクリアできて適切に汲み上げられたので、ここでようやくひっくり返す事が適います。上の写真下側方向が前玉になります。既に光学系後群側も格納済ですが、鏡筒にはその延長上に「ヘリコイド (オス側)」のネジ山が備わります。

回転式ヘリコイド駆動方式」なので至ってこの当時にすれば一般的な設計概念です (この当時のオールドレンズには絞り環まで一緒に回っていくモデルが多かったから)。

但し、ここでよ〜く考えると冒頭でご案内したSchneider-Kreuznach製標準レンズの中で当方の琴線に触れるモデルXenon 50mm/f2 《後期型》(exakta)』があるので、どうして今回扱ったこの「Akarette版だけが回転式ヘリコイド駆動方式を採ったのか?」との疑念を抱かなければダメです(笑)

・・実はそれこそがこのモデルの構造を理解するヒントになりました。

↑右横に並べて撮影しましたが、途中に「制限壁」が備わるヘリコイド (メス側) を撮っています。この「制限壁」が距離環の駆動域を限定する役目を持ちます (グリーンの矢印)。

↑実際にヘリコイド (メス側) をネジ込んだ状態です。無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みますが、このモデルは全部で8箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

ちゃんと「制限キー」と言うシリンダーネジが刺さっていて (赤色矢印) そこに「制限壁」がカチンと突き当て停止するので (グリーンの矢印) 無限遠位置でカツンと音が聞こえて気持ち良く距離環の回転が停止します。

↑さていよいよ佳境に入っていきます。一番最後に「繰り出し停止環」なる環/リング/輪っかをネジ込んで固定しました (赤色矢印)。するとヘリコイド (メス側) がブルーの矢印の範囲内で回転するので、結果的に鏡筒が繰り出し/収納が適う原理です。

実はこの原理がこのモデルでの最大の難関でまさに「高難度モデル」たる由縁にもなっています。普通パッと考えるとこのブルーの矢印の範囲こそが距離環の駆動域と考えがちですが、実は前述のヘリコイド (オスメス) のネジ山はその勾配が意外にも急勾配で「クルクルと何周も回る」設計として切削され用意しています。

つまりこのブルーの矢印で指し示した領域は「距離環の駆動域を包括しつつも距離環の駆動域に非ず」と言う設計概念に気がつかなければ全く適切な組み上げができないモデルだったのです。

逆に言うならヘリコイドをネジ込む時のネジ山は全部で8箇所あるものの、実はある特定のフランジバックとして考えるとそのネジ込み箇所は1箇所しか存在せず、では他の7箇所のネジ込み位置はいったい何の為に備わるのか・・との「観察と考察」が必須だったのです。

どうしてもパッと見で惑わされるので当方が丸四日がかりで今回のこの個体の組み上げ作業を行ったものの、その1/3の時間はどうやってバラせば良いのか思考錯誤を繰り返していた (つまり完全解体できなかった) 時間です。

そして残りの2/3の時間を要してフランジバックの探索から無限遠位置の策定に至るまでゼロから考察を進めていた次第です。

・・要は当方も惑わされてしまいなかなか気づけなかったと言う笑い話(笑)

さんざん過去メンテナンス時の整備者を貶していましたが自分も同じだったワケです・・(笑)

↑如何にも「らしく」組み上がっているように見えますが、実はここからが本勝負で「フランジバックの探索」と共に「適切な無限遠位置の策定」の2つをこれからスタートするところです。

一つ前の工程写真は実は解説用に撮影しているので組み立てが一部違っています。正しくはご覧のように「距離環を先に組み込む必要がある (後からセットできないので)」為に上の写真が正しい組み立て手順になります。

さらに実際はこのモデルのマウント規格が「Akaretteマウント規格」としてもそれは「スピゴット式方式」なので、レンジファインダーカメラ側のマウント部に置いてから「締付環で締め付け固定する方式 (つまりスピゴット式)」なるものの、その「締付環」も入れ込んでおく必要があります (やはり後からセットできない)。

つまり上の写真でさえも解説用に正しい手順で組み立てていません(笑) 正しくはここに「締付環」まで入っている必要がありますが、締付環が入ると赤色矢印で順番に説明できなくなるので上の写真では敢えて締め付け環を入れていません。

絞り環は一番最後にセットすれば良いので、とにかくここから初めて「フランジバック探索」と「無限遠位置策定」がスタートできると言う、ようやく本題に入れる話なのです(泣)

つまりここから何度も何度もバラしては組み直しをしながら附属のマウントアダプタでフランジバックを見つけて、その後にやっと無限遠位置を決めて上の写真のように「距離環/指標値環/締付環/マウント部」の組み込みが終わり仕上がるオールドレンズだったのです。

・・こんな難しいモデルは初めてでした(涙)

この後は最後に絞り環をセットして最終的な無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行えば完成です。

DOHヘッダー

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。正直な処、こんなに大変で難解なモデルだとは一切想像していなかったので相当堪えました(涙)

何しろ丸四日掛かりと言うのはさすがに異常な難しさです。その理由はそもそも附属のマウントアダプタ (今回の出品に合わせて海外オークションebayから調達) のフランジバック設定が間違っていた事に気づけなかった点と、合わせて前述の如くパッと見で「距離環の駆動域だと思い込んでしまった」のが最終的に「えッ?どうして無限遠位置が決まらないの?」とまるで意味不明状態だったのです。

まさに過去メンテナンス時の整備者と全く同じ状況に堕ちていたのです・・(涙)

一例をご案内するなら無限遠位置を策定してキレイに無限遠合焦できたのにそのまま距離環を回していくと最短撮影距離の仕様上「1m」まで到達しないのです (1mどころか5m辺りにしか近接できないまま距離環が停止する)。

ならば最短撮影距離側でちゃんと仕様上の1mに合致させて組み上げると、今度は無限遠合焦どころではなく全く以てアンダーインフ状態で無限遠が出ません。

・・そんなオールドレンズの設計が在るワケがありません!(涙)

詰まるところ前述のとおりブルーの矢印の範囲を「距離環の駆動域だ!」と思い込んでしまったのが大きな過ちだったのです。

まさしく距離環の駆動域を包括しつつも無限遠位置を自在に設定できる設計を採っており、もしかしたらAkarette向け以外にも出荷するつもりだったのかも知れません (マウント部だけ差し替えれば良いから)。そんな欲がまだ残っていた「まだまだ元気な頃のSchneider-Kreuznach製オールドレンズ」の如く、ある種の感無量感が湧き上がります(笑)

逆に指摘するなら、ネット上でチェックできた幾つかの個体を見ていて、どうして個体によって最短撮影距離1m位置の時の指標値環の露出度合いがバラバラなのか「???」だったのですが、その意味がようやく判りました。

要は市場流通しているこのモデルの多くが適切な設定で組み上げられておらず、おそらくオーバーインフ量が相当大きい (∞刻印から数目盛分前で無限遠合焦してしまう) と同時に、仕様上の最短撮影距離1mを充たしていないと考えられます。或いは最悪無限遠合焦しないアンダーインフ状態のまま平気で組み上げているかも知れません。

そんなワケで、下手に知らないフィルムカメラ向けのオールドレンズに手を付けると痛い目を味わうとの大きな反省に至りました(笑)

このモデルについてはまだ市場出現率が高いほうなので今後も扱うつもりで今回に手に入れましたが・・懲りました(笑)

・・残念ながら今回の扱いが最後です

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリが皆無です。

そもそも当初バラす前の時点で光学系内はクモリまくりでしたが、その因果関係は過去メンテナンス時に全ての群に厚塗りされていた反射防止黒色塗料のインク成分でした。

従って今回のオーバーホールでは5群総てについて塗布されていた反射防止黒色塗料の一切を除去しています。さらに必要箇所は当方の手により「磨き研磨」を施したので本来の適切な光路長確保が適い、このブログページ一番最後の実写のように大変鋭いピント面を実現できています。

・・せっかくの5群6枚ウルトロン型構成ですから、こうならなければです!

ちなみにパッと見で点キズのように見えますが「微細な気泡」が数点あります。

気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群側も大変クリアに戻り惚れ惚れする程にスッキリしました。当初バラす前はまるで霧中撮影の如くクモリまくっていたのがウソのようです(笑) もちろん現状でLED光照射でも極薄いクモリが皆無です (その代わり総ての反射防止黒色塗料を除去しています)。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:18点、目立つ点キズ:13点
後群内:20点以上、目立つ点キズ:20点以上
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
(前後玉に微かな点状カビ除去痕が複数あり)
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(特に前玉に極微細な薄い拭きキズ多数あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
(前後群内に微細な経年の拭きキズ複数あり)
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。
・光学系内には大小の「気泡」が複数あり、一部は一見すると極微細な塵/埃に見えますが「気泡」です(当時気泡は正常品として出荷されていた為クレーム対象としません)。「気泡」も点キズにカウントしているので本当の点キズは僅かしかありません
・いずれも全て実写確認で写真への影響ありません。

↑15枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に円形絞りを維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感でトルクは「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。
距離環を回すとヘリコイドのネジ山が擦れる感触が指に伝わります(擦れ感強め)。
・回転式ヘリコイド駆動方式なので距離環を回して繰り出し/収納している時に一緒に絞り環側も回転していきます(絞り値が両サイドに刻印されている)。従って距離環側のトルクを僅かに重めに仕上げて且つ絞り環側は僅かに軽めに仕上げています。距離環でピント合わせ後に絞り環操作してボケ味を決めてもピント面がズレにくい配慮を施していますが完璧にトルクを分けるのは原理上不可能なのでご留意下さいませ。
(事前告知済なのでクレーム対象としません)
・マウント規格はスピゴット式なのでマウント部に置いてからレンズ側締付環をネジ込んで固定する方式です。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。
・附属品のakarette → SONY E マウントアダプタは海外オークションebayにて入手した自作品で新品ではありません。またフランジバックを合わせていますがネット上で告知されているフランジバックの寸法と少々違うような気がします。詳細は当方ブログで解説しています。なお海外オークションebayの出品者による自作品なのでそれ相応な仕上がりです(機能はちゃんと果たしているので問題ありません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
本体『Xenon 50mm/f2 《akarette版》(akr)』
akarette → SONY E マウントアダプタ (海外自作品)
汎用樹脂製バヨネット式SONY E 後キャップ (新品)
純正樹脂製ネジ込み式前キャップ (中古品)

純正樹脂製前キャップは刻印を見ると「AKARELLE/AKAREX」になっていますが、レンジファインダーカメラの「Akaretteシリーズ」はすぐ後に「AKARELLE (アカレレ)」と名称を変えるのでその頃の前キャップだと考えます。実測するとおそらくフィルター枠は「⌀ 31mm」のように考えますが市販されていないサイズです。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です (無限遠位置は独自に調べて設定しています)。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑右横にマウントアダプタを並べて撮っていますが、オールドレンズ側マウント部にある「切り欠き」部分をマウントアダプタ側マウント部の「リリースキー」の突出に噛み合わせて置いてから (グリーンの矢印) マウント部の外周にあるネジ山に「締付環を締め付け固定する」方法でオールドレンズを固定する「スピゴット式マウント」になります (ブルーの矢印)。

↑そのマウント部にある「締付環」を赤色矢印で指し示しています。一方マウントアダプタ側マウント部外周にネジ山があるのでブルーの矢印で指し示しています。

従って単に切り欠きを合わせてスッポリハメ込むと言うよりも「ただ置くだけ」でその後すぐに締付環でネジ込んでしまえば固定できる簡素な仕組みです。「締付環」は凡そ2周少々でシッカリネジ込みが終わるので普通に締め付けるだけで大丈夫です。外す際は少しチカラが必要になりますがそのまま反時計方向に回せばカクンと回り始めて外せます。

スピゴット式マウントは単にオールドレンズが置いてあるだけのような感じなので、特に外す際に誤って落下させないようご注意下さいませ。

また当初バラす前の時点では「締付環が指標値環に斜め状に噛んでいた」ので今回のオーバーホールでは敢えてイモネジを使い上の写真のイモネジの位置より上に「締付環が上がらないように処置済」です (イモネジを少しだけ長いのに変更してあります)。

そうしないと下手に噛んでしまうと互いに真鍮 (黄銅) 材なのでキズだらけになります。

  ●               

長々と解説してきましたが、以下のオーバーホール後の実写の如くとても鋭いピント面を取り戻し、且つ巷では「4群6枚のダブルガウス型光学系構成」とまるでプロのカメラ店様でさえもアナウンスしていますが、やはり戦後1951年辺りの製産品なら「Xenon銘」を冠する以上5群6枚のウルトロン型光学系構成なのが自然な流れてはないでしょうか?(笑)

・・プロならプロらしく安直に案内せずちゃんと探索/研究する気概が必要だと考えますね(笑)

組み上がってしまえば「何だそう言う原理だったのか」とまるで呆気ない構造設計でしたが、それに気づくかどうかに相当な時間を要してしまい、なかなかなモデルでした(涙)

単なるレンジファインダーカメラ向け標準レンズと馬鹿にせずに、同じ「Xenon銘を冠するが故の写り」としてちゃんとリスペクト頂ける方・・是非ご検討下さいませ (このモデルの出品は今回が最初で最後です)。もぅ二度と苦しみたくないです・・(涙)

↑当レンズによる最短撮影距離1m附近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f4」で撮りました。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。既に絞り羽根がだいぶ閉じきっているので「回折現象」の影響により解像度の低下が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。