◎ Meyer Görlitz (マイヤー・ゲルリッツ) Primoplan 5.8cm/f1.9《戦前型》(exakta)
(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
写真を閉じる際は、写真の外 (グレー部分) をクリックすれば閉じます
※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。
今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、戦前ドイツは
Meyer Görlitz製標準レンズ・・・・、
『Primoplan 5.8cm/f1.9《戦前型》(exakta)』です。
ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ! Слава Україні! Героям слава!
上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。
Slava Ukrainieie! Geroyam Slava!
《 事 後 談 》 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
5月に無事にオーバーホール/修理が終わりご依頼者様宛にお届け完了しました。しかし先日、
ご依頼者様より「不具合発生のご連絡メール」が着信し、今回のこの掲載に至りました。
先ずは冒頭にて、過日5月に大変貴重なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りましたこと、改めてここで感謝の意を表します・・ありがとう御座いました!
そして、合わせて「不具合の発生」につき、心よりお詫び申し上げます・・誠に申し訳ございません。
←左写真は、先日着信した「不具合発生のメール」に添付されていた写真です。
このモデルの最小絞り値は「f22」すが、一部の絞り羽根が閉じきらない状況とのこと(汗)
先ずは、このような不始末な整備をしてしまったことに対し、心より
お詫び申し上げます・・スミマセンでした(涙)
当然ながら、以下このブログ掲載のオーバーホール工程を経て、間違いなく「最小絞り値:f22まで閉じきる事を確認して5月にお届けした」ために、正直なところ絞り羽根が閉じきらなくなってしまった原因が全く思い浮かばず「???」でした(汗)
いずれにしても「当方の整備の不始末」ではある為、当方宛の返送費用は当方が負担し早々にお送り頂きました(汗)
↑上の写真は、今回ご返送頂いた「不具合発生個体」を箱から取り出し、仕様諸元たる「最小絞り値:f22」まで、絞り環を回して閉じてみた時の撮影です。
絞り環操作する限り、間違いなく (問題なく) 最小絞り値:f22まで絞り羽根が閉じきっているように見えます(汗)
↑次に撮影した上の写真は、絞り環を操作して「f11」に絞り羽根を閉じた時の閉じ具合を撮影しました。
パッと見では、お送り頂いた「不具合発生連絡のメール」の絞り羽根閉じ具合は、上の写真と同じくらいに見えます(汗) 念の為にご依頼者様に写真撮影された時の絞り値をお聞きしましたが、その返信メールでは「f22」との話でしたので「そうだとすれば全く閉じきっていない話になり、誠に大問題!」と受け取り、早々にお送り頂きました(汗)
が然し、一応5回試しましたが絞り環操作で問題なく「最小絞り値:f22」まで閉じきっています(汗)
着信メールを読み返すと、どうも文章が不明瞭な内容で「絞り羽根が数枚閉じきらない」とも記載がありました。
すると「最小絞り値まで閉じきらない」ではなく「数枚の絞り羽根がちゃんと閉じていない」とのニュアンスにも受け取れます。
実際上の写真を試しに撮影しても (f11)、確かに1〜2枚の絞り羽根が閉じきっていないように見え、歪なカタチで「真円の円形絞りを維持したまま閉じていない」ように見えます(汗)
↑上の写真は、以下掲示した5月のオーバーホール工程掲載写真から再び転用した写真です。
上の写真を撮影したタイミングでは、既に14枚の絞り羽根の清掃が終わり、鏡筒など構成
パーツすべての「磨き研磨」も終わり、組立工程を経ている途中ですが、ちゃんと最小絞り値:f22まで絞り羽根が閉じきっている写真です。
すると5月にお届けした時はちゃんと閉じていたのに、今現在突然閉じなくなったと受け取りましたが、然し届いた個体を確認すると問題なくちゃんと閉じきっています。
グリーン色の矢印で指し示したように、目印として「鏡筒側面の切り欠き/スリット/開口部の位置」を決めて撮影しています。すると赤色矢印2本を新たに示しましたが「この2枚の絞り羽根の閉じる時の角度が狂っている」が為に、真円を維持したまま閉じきっていないことが
分かります。
然し、これは (上の写真は) 5月に施したオーバーホール時の工程内での撮影です。
・・何を言いたいのか???
つまり5月にお届けした個体の絞り羽根は、その時点から「2枚の絞り羽根の閉じる角度が
狂っていて真円を維持したまま閉じきらない」組み上がり状態だったと言えます。
然し、当方では「真円を維持した円形絞りの閉じ具合」と捉えており、この問題を瑕疵内容として捉えていませんでした(汗) もっと言うなら、この原因が分かっているので「円形絞りの
範疇」との判定を下しています。
この2枚の絞り羽根が閉じる時の角度を狂わせている因果は「絞り羽根に製産時点に打ち込まれているキーが垂直状態を維持していないから、開閉動作時の角度が狂っていく」と認識しています。
では、どうしてその「キー」なるモノが垂直状態を維持していないのかと言えば、それは生産されてからの経年の中で、例えば絞り羽根の油染みにより粘着性を帯びているだけで「製産時にプレッシングされていたキーが垂直状態を維持できなくなる」のが「原理原則」であり、それは経年の中での一つの事象とも言えます。
次に示した内容は、以下のオーバーホール工程の中でも解説していた部分なので、そっくり
そのままコピーして転載しています。
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絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
◉ 絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている
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上の解説の「キー」と言う金属棒が垂直を維持しなくなるのは絞り羽根の油染みにより粘着性を帯びている中で「それでもムリに絞り環操作され続けた」ときに、絞り羽根の膨れ上がる
チカラにより「キーが垂直状を維持できなくなる」現象が起きます(汗)
その結果、絞り環操作時に「絞り羽根が閉じる時の角度が次第に狂っていく」のが道理です。
↑上の写真も以下のオーバーホール工程の中で使っていた写真の転載です。鏡筒を前玉側方向から観ている写真ですが、丸い穴が「位置決めキー用の穴」であるものの、この鏡筒を取り出す際にカニメレンチを使ったが為に、そのキズや凹みが残っています。
オーバーホール/修理ご依頼内容の中に「アンダーインフ状態」との話があった為、どうしてもこの鏡筒を取り出す必要がありましたが、固着が酷く「加熱処置」でも全く敵わず、仕方なくカニ目レンチを使っています(汗)
念の為にグリーン色の矢印で、切り欠き/スリット/開口部が同じ位置になるよう合わせて明示しています。
↑上の写真は、今回ご返送頂いた個体を再びバラして「位置決めキー用の穴の部位を磨き研磨した (ブルー色の矢印)」時の撮影です。同様位置が同じようになるようグリーン色の矢印で
指し示しています (切り欠き/スリット/開口部の位置)。
要は14枚の絞り羽根が引っかかり無くスムーズに開閉動作するよう「さらに追加で磨き研磨を施した」次第です。
↑もう一度組み立てて完成した個体の絞り環を回し「f11」にセットして撮影したのが上の写真です。14枚の絞り羽根は、全てをシャッフルして同じ位置にならないよう混ぜて組み込んでいます。
↑同じように完成した個体の絞り環を最小絞り値まで回して「f22」を撮影しました。やはり1〜2枚の絞り羽根が角度が狂っていますが、これらの事から「絞り羽根のキー側の問題ではなく位置決めキー側の穴の問題」とも受け取れます。
いずにしても最小絞り値:f22までちゃんと正しく閉じますし、その時の閉じ具合は当方の判定では「円形絞り」であり、この閉じ具合を「真円に戻せ」と言われても、残念ながら当方
では処置できません(涙)
・・申し訳ございません。
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当方でのオーバーホール/修理ご依頼では、オーバーホール/修理が完了しご返送した際「荷物到着後3日以内のご確認」をお願いしています。
そうは言っても杓子定規にキッチリ3日経過後の対応を一切受けないのではなく、実のところ今までの13年間で、確かに「最大で3年前に遡って整備した個体の再修理を承った」こともあるので(汗)、何年経過しようが「不具合発生」時は真摯に承っています。
・・が然し、5月のオーバーホール/修理時点でも「ちゃんと最小絞り値:f22まで絞り羽根は閉じきっていた」ことを確認済ですし、1〜2枚が閉じる角度が狂っている点まで同一です。
・・「この閉じ具合を真円の円形絞りとは呼ばない」とのご不満。
なのであれば、それは確かに仰る通りですが、そもそも5月時点でも今でも、当方では絞り
羽根が閉じる時のその角度を微調整する技術スキルは、残念ながら持ち合わせていません(涙)
「ご納得頂けない分の金額はご返金申し上げます」ので、最大値/MAX値は「ご請求額まで」とし、お支払い頂きました金額「40,060円」の金額までの範囲内でのご返金が可能です
・・どうしてもご納得頂けないのであれば、ご返金をご指示下さいませ(涙)
(但し当方による弁償などは対応できません。申し訳ございません)
また、大変申し訳ございませんが、今月は生活に困窮している為、ご返金は来月8月とさせて頂きたく、切にお願い申し上げます(涙)
本日厳重に梱包した上で「クロネコヤマト宅急便」にてお届け申し上げます。折返し、ご返金額のご指示をメールにてお願い申し上げます。
最後に今一度、今回の不始末をお詫びするとともに、お手数おかけしまた事、申し訳ござい
ませんでした。
↑なお、お詫びの気持ちとして、前回の5月お届け時に付属させていなかった「汎用樹脂製
スナップ式前キャップ:⌀ 40.5㎜」を用意して同梱します (赤色矢印)(汗)
↑製品のフィルター枠とは違いますが、こんな感じでシッカリと装着できます(汗)
今回の個体にセットされていたmarumi製フィルターも、既に汚れが残っていたので、本体
オールドレンズ側の光学系同様、全てを今一度取り外して光学清掃を行い、キレイに組み上げています(汗)
・・上の写真の状態で梱包しお届け申し上げます。
また今現在このブログをご覧頂いている皆様も、どうか是非とも、このように当方の技術
スキルが低いことをご承知おき頂きたく、お願い申し上げます(涙)
巷では自分のブログだから、不利な内容は載せないと言われますが(笑)、重要なのは如何に
正直で公正、且つ真摯に臨むのか・・ではないかと思います。今回の掲載のように、ちゃんと
「事後談」として不利な内容でも逐一載せています(汗)
以下の内容は、5月時点でのこのモデルに関するブログ掲載内容です。
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今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で捉えても今回の扱いが初めてです。
先ずは冒頭で、このような大変希少なオールドレンズのオーバーホール/修理ご依頼を賜りました事、ご依頼者様に感謝とお礼を申し上げたいと思います・・ありがとう御座います!
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当方は「プロにもなれず、マニアすらなれなかった整備者モドキのクソな転売屋/転売ヤー」と巷では罵られている立場ですが(笑)、確かに『転売屋/転売ヤー』の視点から捉えるなら、どんなにオーバーホール済でヤフオク!に出品したところで (いわゆる今ドキに流行っている整備済を謳ったヤフオク!出品)、市場価格至上主義の概念の中にあって「割高な即決価格を平気で強行しているヤツ!」との評価が多勢でしょう(汗)
ところが、例えば今現在オーバーホール済でヤフオク!出品している最中の『FOR ALPA SWISS MULTI-COATED AUTO-ALPA ⌀52 50mm/f1.7 (M42)』にしても、30回を超えて
おそらくは40回に近かったハズの「延々と繰り返し続けた組み直し回数」も、イザッ出品してしまえば「割高すぎて誰も見向きもしていない!」のがリアルな現実です(笑)
このように組み直した回数を述べると「公然と平気でウソばかり言っている」との批判の嵐のようですが(笑)、以下の5点についてアッチを改善すればコッチが影響して改悪になり、それら全てを満たして「正しく適切な駆動状態に仕上げるのに組み直した本当の回数」なのに・・
誰も信じてくれません(笑)
❶ 絞りユニット内の絞り羽根開閉角度微調整
❷ 制御環 (なだらかなカーブ) とカム突き当てに係る微調整
❸ 絞り連動ピンからのチカラ伝達経路の微調整
❹ A/M切替スイッチと絞り連動ピン機構部との整合性
❺ 絞り環と制御アーム/開閉アーム/操作アームの微調整
これら❶ 〜 ❺ 全てが互いに影響し合い、関わり合って最終的に「絞り羽根開閉異常」が解消され、マウント面から飛び出ている絞り連動ピンの押し込み動作や、A/M切替スイッチの操作
絞り環操作などなど、当然ながら3つ備わるアームが距離環の駆動に従い延伸域や収納位置での動き方も大きく影響するので、本当は ❻ としてヘリコイドの繰り出し/収納時での整合性ですら必須作業です(笑)・・少なくとも❶ 〜 ❺ だけでも全部で120通りですから、それが
どうしたんだ!と問い正された時、はたして何も言えない自分だったりします(笑)
おそらく皆さんからみれば、一つずつ確実に改善方向に潰していけば良いだけの話ではないかと仰るでしょうが(笑)、そのとおりに進まないのがリアルな現実の作業工程の話で、特にこの
モデルのような辻褄が合わない内部構造と設計概念を採っているオールドレンズでは、いったい何処で妥協すべきか考えたくなってしまうのが、作業している最中の人情やホンネだったりします(笑)
然し、どんなに時間を掛けて (一切の妥協を捨てて) 青天井で整備したところで、単なる『転売屋/転売ヤー』の出品である以上「割高な即決価格を平気で強行しているヤツ!」にしか映りません(笑)
・・本当に世知辛い世の中です(涙)
そんな中でついぞ落胆していた最中でしたが、直近で最も楽しみにしていた (本当に楽しみで仕方なかった) 今回扱ったオールドレンズのオーバーホール/修理作業は、自身の13年間にも
及んだ技術スキルが全てヒックリ返ったほどに「凄まじい内部設計概念 (決して内部構造の話ではない)」としか言いようがないほどに、この数日間を掛けて四苦八苦していた始末です(汗)
前述のAUTO-ALPAレンズが「整合性が一切担保されていない内部構造と設計概念」との印象しか残っていないのに対し、まるでその対極に座しているかの如く「当時のMeyer Görlitz の
設計陣による、至高で且つ崇高な挑戦魂と滾る情熱」に、畏敬の念を抱かざるを得ませんでした(涙) もちろん一にも二にも「実装光学系の素晴らしさ!」も、オーバーホール/修理完了後の現物で実写確認すれば一目瞭然で、思わず「ちょっとコレ、欲しいかな?!(汗)」とマジッに考えたほどです(笑)
・・本当に素晴らしい経験をさせていただき、感謝感激です!(涙)
何しろ市場流通価格が、下手な光学系の状況であるにも関わらず13万円台〜28万円台と、とても当方が手を出せる価格帯ではないので、シッカリと眺めてイジって(笑)、酒の肴を勤めてもらいました!(涙)・・とにかくおそらくは1937年製造の個体ではないかと推測していますが、87年前にもかかわらず「本当に微細な気泡しか残っていない光学系」と言う、リアルな現実に相当なショックを覚えたほどです (おかげでちょっと酔いすぎました)(笑)
・・そんくらいスカッとクリアで絞り環と距離環を回すトルクも完璧に納得できる仕上げ!
・・とこのブログを打ち込んでいる今も、まさにもう一度触りたいくらいの衝動に耐えているところで御座いまする(笑)
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←左の写真は1936年4月に発売されたIhagee Dresden 製一眼 (レフ) フィルムカメラ「Kine-Exakta 丸形ルーペ装備型」で固定式の
ウェストレベルファインダーに、視野が狭すぎたと言われている丸型ルーペを装備しているタイプです (1936年12月には長方形ルーペに仕様変更)。
この左写真で注目すべきは装着している標準レンズで「Meyer Görlitz Primoplan 5cm/f1.9 Nr.718963」である点です(汗)
1936年4月の発売時点で用意されていた (撮影用なのか???) 標準レンズながら「焦点距離:5cm」なのがオドロキです(驚) 「5cm/f1.9」モデルは、先んじて「旧CONTAX Cマウント規格品」とその次に「ライカスクリューマウント (L39) 規格品」が先行発売されていたようなので、その鏡筒を転用しつつ、専用の筐体外装を急拵えしたのかも知れませんが「exaktaマウント規格品」の市場流通品をいまだ見た記憶がありません(汗) おそらく前出2つのマウント規格品とは実装光学系の設計が違うと推察できるので、あくまでも転用したのは鏡筒周りだけだったのかも知れません (筐体外装パーツは以降の量産品にも刻印位置と内容の変更だけで使えるから)・・このような憶測は、当方がいろいろ完全解体してバラしつつ整備を進めている視点から述べているのであって、客観的資料を供出していないとか何とか難癖つけないでほしいです(笑)
↑今回は現在市場流通している138本をサンプルとしてチェックし、当方の完全解体している内部構造面まで含めた立場から捉えた、モデルバリエーション一覧表を更新しています。
今回扱った『Primoplan 5.8cm/f1.9《戦前型》(exakta)』は、上の一覧表で 色付している行になり、❹ 戦前型のバリエーションに入ります。
実は今回の個体を完全解体してみて初めて「現在ネット上で確認できる全ての❹ 戦前型が同じ内部構造でしか造れない」点について明確な確信を得ました(驚) これは内部構造面も含めた結論なので、もしもこの判定に対し異議をつけるなら、ちゃんと構造面から論破してもらいたいですね (この点について上の一覧表ではその他欄に内部構造1種類と明記しています)(笑)
なお、今回のこのブログ掲載から、今後距離環などのローレット (滑り止め) 切削やラバー製に
ついて「平目模様:縦方向の線状切削/ジャギー」或いは「綾目模様:菱形/ダイヤ型切削」と金属加工業界の呼称に統一します。
【 モデルバリエーション】
※オレンジ色文字部分は最初に変更になった諸元値の要素を示しています。
「初期型」Meyer Görlitz製:戦前1934年発売
焦点距離:5cm、絞り値:f1.9〜f16
絞り羽根枚数:12枚
最短撮影距離:1m
筐体材質:真鍮製/ブラス製
マウント規格:ライカ向けL39 (距離系連動装備)
「初期型」Meyer Görlitz製:
焦点距離:5cm、絞り値:f1.9〜f16
絞り羽根枚数:12枚
最短撮影距離:―
筐体材質:真鍮製/ブラス製
マウント規格:旧CONTAX Cマウント
「初期型」Meyer Görlitz製:1936年発売 (プロトタイプ)
焦点距離/レンズ銘板:5cm、絞り値:f1.9〜f16/V刻印無
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.7m
筐体材質:真鍮製/ブラス製
距離環/指標値環/マウント部:平目模様/一体型/平目模様
「戦前型」Meyer Görlitz製:1937年発売
焦点距離/レンズ銘板:5.8cm、絞り値:f1.9〜f22/V刻印無
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.7m
筐体材質:真鍮製/ブラス製
距離環/指標値環/マウント部:平目模様/一体型/平目模様
「前期型−Ⅰ」Meyer-Optik Görlitz製:1949年発売
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金製
距離環/指標値環/マウント部:平目模様/独立型/平目模様
「前期型−Ⅱ」Meyer-Optik Görlitz製:?発売
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:平目模様/一体型/平目模様
「前期型−Ⅲ」Meyer-Optik Görlitz製:?年発売
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:平目模様/独立型/平目模様
「前期型−Ⅳ」Meyer-Optik Görlitz製:1950年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:平目模様/一体型/平面切削
「中期型−Ⅰ」Meyer-Optik Görlitz製:1952年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/平面切削
「中期型−Ⅱ」Meyer-Optik Görlitz製:1953年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ切削
「中期型−Ⅲ」Meyer-Optik Görlitz製:1954年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V,△刻印付
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.65m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ切削
「中期型−Ⅳ」Meyer-Optik Görlitz製:1955年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V,△刻印付
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ切削
「後期型−Ⅰ」Meyer-Optik Görlitz製:1956年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V,△刻印付
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.6m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ長形切削
「後期型−Ⅱ」Meyer-Optik Görlitz製:1957年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V,△1刻印付
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.6m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ長形切削
「後期型−Ⅲ」Meyer-Optik Görlitz製:1957年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V,△S刻印付
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.6m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ長形切削
「後期型−Ⅲ」Meyer-Optik Görlitz製:1958年発売 (?)
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V,△S刻印付
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.6m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ長形切削
*以下は番外編/二重レンズ銘板装着の検証分としての掲載・・・・・・、
「中期型−Ⅱ」Meyer-Optik Görlitz製:A-traplan/Imoplan
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f1.9〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/すぼみ切削
「中期型−ⅠV」Meyer-Optik Görlitz製:Optimat
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f2〜f22/V刻印有
絞り羽根枚数:14枚
最短撮影距離:0.75m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/平面切削
「中期型−Ⅰ」C. Z. Jena製:Biotar 58mm/f2 ♢
焦点距離/レンズ銘板:58㎜、絞り値:f2〜f22/♢刻印有
絞り羽根枚数:12枚
最短撮影距離:0.5m
筐体材質:アルミ合金材
距離環/指標値環/マウント部:山谷/一体型/平面切削
・・こんな感じになりました。なお最後に掲載した⓱ と ⓲ は、それぞれ明記した時期のバリエーションに入りますが「輸出仕様」専用としてレンズ銘板を交換していたようです。
また⓳ の旧東ドイツはCarl Zeiss Jena製標準レンズ「Biotar 58mm/f2 ♢」も、当時旧西ドイツはCarl Zeiss (oberkochen) から制約を受け続けていた内容を履行している「証」として載せており「レンズ銘板の二重装着」であり、制約内容により「Carl Zeiss銘の刻印禁止」の他、モデル銘の全体表記も制限され頭文字だけ認められ (従ってBiotarはB刻印のみ)、合わせてモノコーティング刻印たる「zeissのT」も認められず「♢」刻印を代用していた次第です。
この写真に写っている (途中まで回して外している) レンズ銘板を取り外すと、中から正規の
レンズ銘板がもう一つ現れますが、当初は正しい工場出荷時の刻印 (上の写真で言うならCarl Zeiss Jena刻印と共にBiotar銘とT刻印まで含め残っている正規のレンズ銘板) だったものの
途中からバレてしまい「制約内容の表記箇所を削り取るよう強制された」ほどの徹底ぶりで、戦前は元々同じ仲間だったハズなのに、旧東西ドイツに分断されたからと言って、そこまで
するのかと同じ同胞たるドイツ人なのに、半ば「???」な思いです(汗)
なおモデルバリエーションの中で最後の⓰ は、ネット上のサンプルに「以降の製造番号が発見できなかった」だけの意味合いで載せているだけです。
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今回扱ったモデル「Primoplanシリーズ」については、実装光学系に関しネット上でいろいろ語られています(汗)
実は前回扱った2023年以降に、Carl Paul Görz (カール・パウル・ゲルツ) 氏創業のOptische Anstalt C.P.Görz Berlin (C.P.ゲルツ・ベルリン光学研究所) 略して「C. P. Görz (ゲルツ)」を調べていて、1892年にゲルツに就職したEmil von Hoegh (エミール・フォン・フューグ) 氏が設計した「ダゴール型光学系」を探っている時に、2千件ヒットしたゲルツに
係る特許出願申請書を片っ端にチェックしている際、ROBERT RICHTER (ロバート・リヒター) 博士に拠る1925年出願の「プリモプラン型光学系」特許出願申請書を見つけてしまいました (当方が勝手にそのように受け取っているだけ)(汗)
ネット上ではStephan Röeschlein (ステファン・ロシュライン) 氏とPaul Schäfter (ポール・シェフター) 氏の2人による設計、或いは新生Meyer-Optik GörlitzのホームページではPaul Schäfter氏設計と明言されていますし、一方Stephan Roeschlein氏自身が設立した会社「Roeschlein-Kreuznach」の発売製品には「Luxon 50mm/f2 (paxette)」と言う、プリモプラン型光学系に瓜二つの光学設計を実装した標準レンズが顕在します。
←左の特許出願申請書は、1936年6月17日にHugo Meyer & Co. Görlitzより提出された特許出願申請書「DE1387593U」であり
記載の構成図は「100mm/f1.5」を事例として挙げているとの記述
です (1936年10月6日登録)。
↑一方上に挙げた特許出願申請書は、左から順にLudwig Jakob Bertele (ルートヴィッヒ・ヤコブ・ベルテレ) によるドイツ国内向け「DE401275C (1922年2月19日提出)」であり、次が同Bertele氏提出のドイツ国内向け「DE458499C (1924年7月22日提出)」であり、これら2つは記述を読むと「トリプレット型光学系」から発展させた「エルノスター型光学系」である事が分かるのだと思います (当方自身はよく分かっていない)。
また右側に移り、3つ目がROBERT RICHTER (ロバート・リヒター) 氏による米国向け「US1588612A (1925年2月12日提出)」になり、やはり「エルノスター型光学系」の発展系と当方では受け取っています。そして最後右端が同氏によるドイツ国内向け「DE428825C (1925年2月13日提出)」であり、どう見ても「プリモプラン型光学系」にしか受け取れませんが、記述は「エルノスター型光学系」からの発展系である事を示しているようにも見えます。
(何しろ光学知識皆無なのでよく分かっておらず申し訳ございません)
↑上に挙げた4つの光学系構成図は、いずれも当方が勝手に「プリモプラン型光学系」と捉えている構成図を、当方の手でトレースしています(汗)
左端から順に前述 Hugo Meyer & Co. Görlitzより提出の特許出願申請書「DE1387593U」トレース図。2つめがROBERT RICHTER 氏による米国向け「US1588612A」そして3つめが当方が過去に扱ったモデルバリエーションで言う処の「前期型-I 〜 前期型-II」を完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。
さらに最後右端が今回扱った『Primoplan 5.8cm/f1.9《戦前型》(exakta)』を、同じように
完全解体した際、光学系の清掃時当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子
レンズを計測したトレース図になり、モデルバリエーション一覧で言う 色付している行にな
り、❹ 戦前型です(汗)
如何でしょうか???(汗) 当方にはどうしても同じ「プリモプラン型光学系」のようにしか受け取れないのですが、ネット上の解説サイトでは自身の思い込みが酷く「公然と平気でウソを拡散し続けている」との当方に対する評価です(泣)
ちなみに前出のモデルバリエーション一覧表で言う処の「前期型-I 〜 前期型-II:31.41mm」と「後期型-II 〜 後期型-III:31.47mm」に対し、今回扱った「戦前型:30.95mm」で、光学系第1群前玉の外形サイズ計測値 (平均値) が小径である事を確認済ですから、自ずと光学系第4群後玉の外形サイズは、さらに小径だったりします(汗)
・・残念ながら、現在手元に他の個体が無いので『証拠写真』は掲出できません(汗)
オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。
↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造と構成
する内部パーツの点数だけから捉えるなら、至って簡素で誰でも整備できてしまうと受け取られてしまうほどに大変少ない点数です(笑)
ところが実際に完全解体してから溶剤で洗浄して、オーバーホール/修理の工程作業に入ると、当方の手による「磨き研磨」が終わり「エイジング処理」も終わり、イザッ組み立てに入って最後まで進むと「まともに組み上がっていない!」と言うか、無限遠位置での合焦はとんでもないアンダーインフ状態です!(汗)
そもそも今回のオーバーホール/修理ご依頼内容が「アンダーインフを直してほしい」であり、実際に当初バラす前の実写確認をしても「凡そネジ山でもう1周分ネジ込みが足りていない
印象を受けるアンダーインフ状態」であり、要はそういう無限遠位置での合焦でした(汗)
ネジ山で残り1周分足りないとなれば、相当なアンダーインフ状態に仕上がっており、無限遠位置での合焦は、それこそ円形ボケの世界に入ったかの如く、ありとあらゆるモノが円形ボケ状態です(笑)
って言うか、実は一番最初の組立工程では「過去メンテナンス時の整備者が犯したミス」を
把握するために、敢えて故意にワザと当初の位置のまま組み立てていっただけなので、当然な結末でしかありません(笑)
・・「観察と考察」により「原理原則」に照らして不合理である点を発見する。
狙いでした。その思惑とおり大凡のミスの内容が判明したものの「1周分ものネジ山でズレが生じていない???」と、そもそも道理に適わないのです!(汗)
13年前からの累計扱い本数で3,000本を優に超えているとなれば、アンダーインフ状態の写り具合をチェックして、大凡の足りていない「鏡筒格納位置の不足している距離」を把握できるので、今回の個体については「凡そ1周分のネジ山をさらにネジ込む必要がある」と結論した次第ですが、それだけの距離で鏡筒をネジ込める猶予が一切ありません!(驚)
この時初めて、自身の今までの13年間積み上げてきた「感覚」が音を立てて瓦解していくが如く崩れ去り(涙)、何か得体の知れない設計概念がこのモデルには纏わりつくと、ちょっとしたホラ〜な感触すら感じ恐れおののいた次第です(笑)
そのような状況で3日間四苦八苦していたワケです・・情けない(恥)
↑真鍮製/ブラス製の本格的な造りの鏡筒ですが、赤色矢印で指し示して解説している内容の中で「位置決めキー用の穴」と明示している矢印の先を見ると「幾つかの穴が削れている」のが分かります。
・・コレ、カニ目レンチを使って当方がムリにチカラを加えて削れてしまった箇所です!(汗)
そうなんです! 実はこの鏡筒はヘリコイドオス側の格納筒にネジ込んであったワケですが、全く外れずビクトもせず「加熱処置 x 2回」実施しても受け付けなかったくらいです(怖)
仕方なくカニ目レンチの登場になりましたが、目一杯のチカラを入れて8回挑戦してようやく周り始めた次第です(汗)・・その際チカラを入れすぎた為「位置決めキー用の穴が摩耗した」結果、削れているように見えます(涙)
一つの穴に集中的にカニメレンチを使い続けると、本格的に摩耗してしまう為、本来ここに刺さるべき絞り羽根の「位置決めキー」に悪影響を来すので、都度位置を変更していった為に「全部で8箇所の穴が摩耗」と言う次第です・・申し訳ございません(涙)
ッて言うか、おそらく過去メンテナンス時の整備者もこの鏡筒を外せていなかった事が確認できています。この鏡筒はヘリコイドオス側の格納筒にネジ込んでいって、最後にイモネジで締め付け固定して鏡筒を固定するので「そのイモネジの締め付け痕が1つしか残っていない」点に於いて「製産時点から一度もこの鏡筒は外されていない」ことが判明しました(汗)・・締め付け痕に一切のズレや削れが確認できなかったので「一度も外されなかった製産時点のままを維持してきた個体」なのが確定してしまった事になります(驚)
・・87年間、一度も外されなかったのです!(驚) マジッで凄い!(驚)
さすがに「加熱処置 x 2回」でもビクともしないとなれば、実は別の手法でカニメレンチを使い処置した次第ですが、それは金属加工を生業としている人ならご存知の手法でしょう(笑)
もちろん締め付け固定しているイモネジはちゃんと外してありますが、イモネジ自体が必要以上に締め付けられていなかったのも確認できており、まさに「製産時点を維持」してきた個体だったのが判明です(涙)
何しろ金属材が真鍮製/ブラス製なので、下手に強めにイモネジを締め付けると「途端に応力が現れる」のが原理のハズですから、まさに製産時点はそのように処置していたのが確認でき、内心自身の論説が補強されたとホッと一安心だったりします(汗)・・が然し、意外と過去メンテナンス時の整備者の多くが「ギッチギチに最後までイモネジを締め付けている」のがほとんどの個体の状況なので、笑ってしまうと言うか、毎回毎回酷い目に遭っているのは何を隠そう当方だったりします(笑)
・・そんなリアルな現実は、皆さんは知る由もありませんが(笑)
このような内容の話も「観察と考察」に「原理原則」を照らし合わせた「本来在るべき姿」を追求する探究心の一つだったりしますが、誰からも支持されないのがリアルな現実の世界です
・・だからこそ世知辛い世の中だと痛切に感じる次第です(涙)
・・まさに今現在出品中のAUTO-ALPAがそれを物語っているワケです(笑)
↑一つ前の鏡筒最深部の備わる「位置決めキー用の穴」に、絞り羽根の位置決めキーが刺さり、その上からさらに上の写真「開閉環 (左)」が被さり、セットした14枚の絞り羽根の開閉キーが入ります。
そして右側に並べて撮っている「C型締付環」により、この「開閉環」が鏡筒内部に固定格納されるので「最小絞り値方向に絞り環操作して絞り羽根が膨らんでも外れない/バラけない」次第ですね(笑)・・「原理原則」ですが、真にそれを示しているのは上の写真で指し示している、グリーン色の矢印です(笑)
指し示している箇所は「平滑仕上げ」に今回のオーバーホール/修理工程の中で、当方の手に
よる「磨き研磨」でキッチリ仕上げています(笑)
・・もちろん天敵である金属用研磨剤などの薬品は一切使っていません(笑)
逆に言うなら、これらをちゃんと設計者の意図として汲み取り「平滑仕上げ」に仕上げたからこそ「むしろ絞り環操作にトルクを与え重く仕上げ、スカスカ感に堕ちないよう配慮できる」ワケで、それこそが本当に顧客に対し示すべき気配りであり、心遣いなのではないかと強く、本当に強く思ったりしていますが、誰からも支持されません(笑)
・・何故なら、遍く数多くの整備会社でそのような処置が講じられないから誰も認めない(笑)
何事も大袈裟に述べ、如何に大変だったのかばかり喧伝する事に固執している輩にしか受け
取られていないので(笑)「まさに異端児扱い」であり、昔なら宗教裁判にでも架けられて、
火あぶりの刑に至るのがオチです(笑)・・世の中、異質なモノの排除しか考えない(笑)
絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。
◉ 位置決めキー
「位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー
◉ 開閉キー
「開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー
◉ 位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)
◉ 開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環
◉ 絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている
上の左写真を見ると、2つの色付で矢印を明示していますが、本来この当時の非常に多くの
オールドレンズで (当のMeyer-Optik Görlitz製モデルすら) ブルー色の矢印で指し示した
位置で繋がってプレッシングされており「まるでさやえんどうの如くブラブラとぶら下がり
ながら絞り羽根がプレッシングされる」のが生産工程なので、この当時の円形絞りを採用する
多くの絞り羽根には、ブルー色の矢印で指し示した位置にカットした時の切削痕が残っていたりします (例:当時の旧東ドイツはCarl Zeiss Jena製モデルなど)(笑)
ところが今回の「❹ 戦前型モデル」ではグリーン色の矢印で指し示した位置に切削痕が残っていて、とても珍しい製産工程だとの印象です(笑)・・ッて言うか、こういう要素などもまさに当時の製産状況を知る手懸りになったりして、とてもありがたい事実です(涙)
↑さらにオドロキだったのが上の写真で、絞り羽根の表面がどのように処置されて造られていたのかをご紹介する為に拡大撮影しています・・写真スキルがド下手なので上手く撮影できていませんが(汗)、実は「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」に14枚全ての絞り羽根が表裏面で処置されている気の入れようです!(驚)
さすがに当時のライカ製オールドレンズですら、ここまで徹底したメッキ加工を絞り羽根に
被せていません (ライカ製オールドレンズの設計はもっと絞り羽根に肉厚があり、初期的な
フッ素加工が施されている為、別の角度から指摘できるこだわりをちゃんと持つ設計)(驚)
どうしてこの細かくゴツゴツした表層面が「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」と
判定できたのだと言えば、溶剤で洗浄した時に「一切赤サビが出ていなかった」為に、これは単なる普通のカーボン仕上げではないと確信した次第です(汗)・・もッと言うなら、溶剤で
洗浄した後に不織布で拭くと「黒っぽく僅かに汚れたくらい」だったので、メッキ加工を
被せてあると初めて知り得たワケです!(驚)
逆に言うなら、もしも仮にカーボン仕上げであれば、溶剤で洗浄した際に除去できた焦げ茶色の赤サビは、その剥がれた領域が必ず白っぽく残ります (赤サビが剥がれたから白っぽく変わり、それはイコール、被せてあったカーボンが剥がれている証)。
上の写真で白い塵/埃が付着しているのは、拭いた時の不織布の残骸ですから(汗)、鏡筒内に
セットする際はちゃんとキレイに除去してあります(笑)
↑普通にサクッと14枚の絞り羽根を鏡筒最深部に組み込んでいるが如く見えてしまいますが(涙)、実は上の写真を撮影するのに3時間を優に費やしている始末です(汗)・・何しろ絞り羽根1枚1枚の抵抗/負荷/摩擦が強いので、最後5枚を残すだけと言う作業状況に至ると「先に
セットしてあった他の絞り羽根が摩擦で擦れて外れてしまう」ほどに、各絞り羽根の表層面の微細な凹凸は明確にデコボコしています (だから初期の時代の微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工だと確信した)。
さすがに絞り羽根の組み込み作業だけで3時間もかかると「恍惚状態に陥る」ので、今自分が何をしているのか忘れていったりします(笑)・・1枚ずつ重ねて組み込んでいく作業なのですが
それを14枚続けつつも9枚目辺りで順に外れていくとなれば、またそこから振り出しに戻るワケで、延々とそんな単純作業を3時間も続けているのは「異様な世界」だったりします(笑)
↑完成した鏡筒を立てて撮影しました。側面には切り欠き/スリット/開口部が備わり、その奥に「被さっている開閉環が見えている」と共に、1箇所ネジ穴が用意されていて、赤色矢印で指し示した箇所にシリンダーネジが入り「絞り環と連結する」原理です。
(下の左写真の特殊ネジ)
◉ シリンダーネジ
円柱の反対側にネジ部が備わり、ネジ部が締め付け固定される事で円柱部分が他のパーツと連携させる能力を持ち、互いにチカラの伝達が実現できる役目として使う特殊ネジ (単なる連結のみに限らず多くの
場合でチカラの伝達がその役目に含まれる)。
↑冒頭で当方の手によりデジタルノギスを使い逐一計測していった「取り出した光学系の各群」を並べて撮影しています。左端から順に光学系第1群前玉〜第4群後玉の順になり、2枚目の
写真は単にヒックリ返して裏面側を上に向けて撮っているだけです。
するとブルー色の矢印で指し示した箇所に過去メンテナンス時の整備者の手による「反射防止黒色塗料」の着色が執拗に残っていました(汗)
上の写真は既に当方の手によりそれら「反射防止黒色塗料」を全て溶剤で除去した後の撮影です。するとみれば一目瞭然ですが、一部は「ちゃんと製産時点にメッキ加工されていて黒っぽく/メタリックグレーに仕上げられている」のが分かります。
特にこれらの与件で当方が問題視したのは「光路長方向での反射防止黒色塗料の厚塗りは、全てが光路長を微妙に狂わす一因にしか至らない」点です(涙)
そもそもこの当時の光学設計は、各光学メーカーに拠る違いが在るものの、凡そ「±0.02が許容範囲」なので、これら4つの群で「反射防止黒色塗料」を厚塗されていくと、どんだけ
光学系内の光路長に悪影響を及ぼしているのか、本当に怖かったりします(怖)
何故ならこれら光路長を狂わした結果が「最終的に無限遠位置の合焦ズレに加味されていく」のは自明の理であり、どうしてせっかく整備するのにそのような所為が執れるのか、ひたすらに「???」しか残りません(汗)
・・どうして皆さんは、そんなに光学系内を真っ黒に仕上げたがるのですか???(涙)
製産時点にちゃんと設計者がメッキを被せているメタリックグレーだって・・いいではありませんか???!!!(怒) 当時の品質レベルでも (今ドキと比較して) 相応だった時代の白黒
写真フィルム印画紙に対してでさえ、設計者がこれで十分と判断して被せるよう仕向けた設計なのではありませんか???
・・どうしてそんなに迷光、迷光とこだわり続けるのでしょうか???
その結果執拗に「反射防止黒色塗料」が厚塗りされて無限遠位置の合焦ズレに至っているならまさに本末転倒だと強く、本当に強く感じ入るのは当方だけなのでしょうか???・・当方の考え方が異常なのですか???(涙)
いまだに非常に多くの整備会社で同じ処置が継承され続けているので、皆さんの感覚を当方は疑いたくなってしまいます(涙)
当方などは、当時の設計者が自らの意志で成した製産時点を、そっくりそのまま「本来在るべき姿」と受け取っているのですが、それが間違いだと言うなら、そんな輩はサッサと引退して身を引くのが『絶滅危惧種』たるオールドレンズの延命には、むしろ希求されているのだと
最近思うようになりました(涙)
・・要は当方の13年間はオールドレンズを短命化させていただけ!!!(涙)
それが本当なのかも知れないと最近強く心にグサグサ刺さり続けていて、本当に痛いです(涙)
そろそろそう言う、やはり身を引くべきタイミングが訪れているのだと、心が痛くなるようになりました(涙)
批判や誹謗中傷もまるで多いので、性格含め適していないのだと思います。
↑ここから光学系第1群前玉から順に、表裏面写真を掲載していきます。「❹ 戦前型モデル」なので、ご覧のようなノンコーティングの光学系だったりします(汗) 同様ブルー色の矢印で指し示している箇所には、当初バラした直後に過去メンテナンス時の整備者による「反射防止黒色塗料」の着色があったので、上の写真を撮影した時点では、当方の手により溶剤で完全に除去した後です。
・・逆に言うなら、製産時点のメッキ加工なら、溶剤如きで溶けて剥がれ落ちません(笑)
特に2枚目の写真を見れば一目瞭然ですが、裏面側の内側にはちゃんと製産時点のメタリックグレーなメッキ加工が被せてあります。1枚目の写真が表面で露出面を意味し、2枚目の写真が裏面側です。
↑同様、今度は光学系第2群の2枚貼り合わせレンズです。ブルー色の矢印で指し示している
箇所に当初バラすした直後は「反射防止黒色塗料」が着色されていました(汗)
1枚目も一目瞭然ですが、外周の遮光環がちゃんとメタリックグレーにメッキ加工されているのが分かりませんか???(涙) どうしてメタリックグレーだとイケナイのでしょうか???
逆に指摘するなら、どうして当時設計者は「微細な凹凸を伴うマットな黒色梨地メッキ加工」に製産工程を指示しなかったのでしょうか??? メタリックグレーなメッキを被せるだけで十分との結論だったのではないかとの考え方は、当方の間違いなのでしょうか???(泣)
このような内容の話は、以前取材した工業用光学硝子精製会社様でいろいろご教授頂いた際に
ご担当者様に一言「そこまで言うなら、ではどうして真っ黒な絞り羽根として、世界中の光学メーカーが造らなかったのですか???」と逆質問されて、まるで目からウロコだったのを
とても懐かしく思います(笑)
「迷光騒ぎ」の話で尋ねたらそんな逆質問に遭い、穴があったら入りたいほどに恥ずかしく
赤面した次第です (当方の光学知識なんてそんなレベル)(恥)
表裏面がメタリックグレーな絞り羽根で、オールドレンズを傾けたりして光に反射させた時「絞り羽根を閉じている最中に、間違いなく反射して光っていることだってある!」と信じてやまなかったワケですが、そんなことはきっと当時の設計者は百も承知だったハズです(汗)
・・自分は何と言う低俗な知識レベルなのだと、至極猛省したのを覚えています(恥)
こういう低俗な輩だから、巷で批判と誹謗中傷の嵐なのだと思いますね、ご尤もな話です(涙)
さらに赤色矢印で指し示している箇所は、絞りユニットに実装した際に「開閉環との間に空間ができる」のを実測して確認したので、ちゃんと当方の手により組立工程の中で「反射防止
黒色塗料を再着色」して仕上げています。
なお、上の写真でグリーン色の矢印で指し示している箇所1箇所だけを、ちょっと覚えていて下さいませ・・後で解説します。
↑さらに進めて今度は光学系第3群になり、光学系内で「後群に含まれる群」に移りました。同様一部はちゃんとメタリックグレーなメッキ加工が被せてありますがブルー色の矢印のとおり「反射防止黒色塗料」で着色されていました。
↑最後光学系第4群後玉です。これらはご覧頂くと明白ですが「光沢が在る黒色メッキ加工」が製産時点に被せてあるのに、この上からさらに過去メンテナンス時の整備者は「反射防止
黒色塗料」を厚塗していました(笑)・・上の写真撮影は、当方の手により溶剤でそれら「反射防止黒色塗料」を全て完全除去してから撮っています (だから光沢が在る)。
従って、今回のオーバーホール/修理工程の中で、当方が再着色した箇所は極一部だけです(笑)
下手すると、それら過去メンテナンス時に着色された「反射防止黒色塗料」のインク成分が経年劣化進行に伴い飛んでしまい「光学硝子レンズの蒸着コーティング層にしつこく付着してしまう」結果、薄いクモリに至る事があるので、当方は「これら必要外の反射防止黒色塗料着色を嫌う」次第です(汗)
↑上の写真が前述したグリーン色の矢印で指し示している1箇所の話で、光学系第2群の2枚
貼り合わせレンズの外周部分です(汗)
1枚目の写真を見ると分かりますが「黒っぽく菌糸状に伸びている」ように見えてしまうものの、実はこれは「光学硝子の張り合わせ時に混入してしまった不純物に拠るバルサム剤の浮き部分」であり、菌糸状ではなく「パッと見でまるで雪の結晶のように四方に広がる」のが本当のところです(汗)
従って2枚目の写真のように「見る角度をズラすと視認できなくなってしまう」ので、前玉側方向からLED光照射で確認してもほぼ見えない事が多かったりします(笑)・・不純物とは物理的な物体である場合もあるものの、多くはガス状の物質だったりするようです(汗)
気にしても仕方ない内容ですが、例えばひいて言うなら「円形ボケの表出の内側にこの模様の影が写り込むのは非常に稀」とも指摘できるらしいので、心安らかにして頂くのがヨロシイかと思ったりします(笑)・・バルサム剤は完全固着しているので、この箇所から自然剥離することは起きません。
↑実際に光学系前後群を清掃して格納し装着したところです。ブルー色の矢印で指し示している箇所が、当初バラした直後に確認できた過去メンテナンス時に着色されていた「反射防止黒色塗料」の位置でもありますから、どんだけ光学系の光路長に影響を来していたのか明白ではないでしょうか???
赤色矢印で囲っている長さのネジ山が「絞り環がネジ込まれる領域」なのですが、ここで散々ハマりまくって3日を要した次第です(涙)・・ただ単に普通に絞り環をネジ込めば良いと捉えていたのが間違いだったのです(笑)
↑ヒックリ返して後玉側方向から撮影すると、こんな感じです。光沢感が残るメッキ加工ながら、気に入りませんか???(笑)・・しかしこれがまさに「製産時点」そのままであり、当時このモデルを購入した人達も、同じような輝きを見ていたのだと思います。
・・まさに87年前にタイムスリップしたかのようで、当方などは感慨深いです!(笑)
「製産時点を担保する」ことは、確かに最も適切で正しい組み上がりを保証する事に繋がる
のでしょうが、或る意味このような感慨深ささえも、また新鮮な感覚に浸ることが叶い・・
「あぁ〜、当時はそんなふうに感じて眺めていたのか」と、それはそれでロマンだったりします (きっとそう思うのは当方だけなのでしょうが)(笑)
↑問題の絞り環をヒックリ返して裏側を撮影しています。グリーン色の矢印で指し示している箇所に、鏡筒内の「開閉環に備わるネジ穴と連結するシリンダーネジが入る」ワケですが、ここもクワセモノで単なるこんなコの字型の切り欠きだけでハマりまくりです(笑)
パッ見で赤色矢印で囲っている領域が前述の鏡筒のネジ山の領域/長さと同じに見えたことが「大きな間違い!」でした(涙)
普段「観察と考察」に「原理原則」と偉そうに言いまくっているワリに、こう言う為体な始末で、本当に返すコトバがありません!(恥)
↑実際に真鍮製/ブラス製の絞り環をネジ込んで、前出のシリンダーネジをネジ込んで連結させると (グリーン色の矢印)、こんな感じに仕上がりますが、実はミスを犯している事にまだ気づいていないタイミングでの写真撮影です(笑)
↑さらに完成した鏡筒と絞り環を、今度はヘリコイドオス側格納筒にセットします。外壁に
切削されて用意してあるネジ山こそが「まさにヘリコイドオス側のネジ山」です。
ところがここでも当方はミスを犯しました(汗) ブルー色の矢印で囲っている❶のネジ山長さ/領域と、❷の「直進キーガイド」の切り欠き/スリット/開口部の長さが同一だと信じてやまなかったのが大きな間違いです(笑)
結局、原理的にはこれらネジ山の長さの分だけ「鏡筒の繰り出し/収納を行う」から、距離環を回した時にピント合わせできてちゃんと合焦する原理のハズです・・ハイ、そう思い込んで信じてやまなかったのです(笑)
・・何を隠そう、上の写真でさえ当方のミスがそのままの状況です(笑)
❶ 鏡筒固定位置を確定する締付環
❷ 距離環、兼ヘリコイドメス側 (裏側のネジ山切削)
❸ 基台 (内側にヘリコイドメス側向けのネジ山がさらに切削されている)
❹ マウント部 (exaktaマウント規格)
これが3日間ハマりまくった因果の撮影です(笑)
❶のブルー色の矢印で囲っている「距離環向けのネジ山切削」の長さ/深さ/領域と、❷のヘリコイドメス側のネジ山の長さ/深さ/領域の違い、さらには前述のヘリコイドオス側の同様❶と❷ (直進キーガイド) の長さ/深さ/領域と、これら全ての違いに「実は明確な設計者の意図が
込められていた」のを、当方は浅はかなので発見できなかったのです(汗)
その具体的な内容を、ここでこのブログで解説することはしません(笑)・・同業者の営業補助をする気は毛頭ないので(笑)、敢えて故意にワザと本当に事柄は隠したまま明示しません(笑)
例えばこの当時の同じような内部構造を持つ数多くの光学メーカー製品にも、上の写真で並べた❶ 鏡筒固定用締付環などは多くの設計の場合で存在します。
ところが、今回のこのモデルはその設計概念がそれら他社製品とは全く乖離しており、それにすぐに気づいたものの、いったい何処の部位でその設計概念を反映させれば良いのかが・・
「???」になってしまい、ついに3日間を費やした次第です (恥ずかしい)(恥)
↑上の写真は❸の基台を拡大撮影していますが、両サイドに「直進キー」が刺さる穴が備わります。ここに「直進キー」が刺さり、前出の「直進キーガイド」に刺さるので、距離環を回す「回転するチカラ」が鏡筒の「直進動のチカラにそのままダイレクトに変換される (伝達されるチカラに増減が起きず、且つ起きてはイケナイのが原理)」なワケですが、実はこのモデルは「ヘリコイドのネジ山と距離環の回転方向が逆転の設計」なのです(涙)
・・何を言いたいのか???
つまり距離環を回して最短撮影距離位置まで到達してカツンと音が聞こえて突き当て停止した時が「無限遠位置」なのです(汗)・・逆に言うなら距離環が∞刻印位置まで廻った時「鏡筒は最も繰り出されていて最短撮影距離位置に到達し、カツンと音が聞こえて突き当て停止いる」次第です(笑)
別にそんなオールドレンズなど、当時も含めいくらでも顕在しますし、特に珍しい設計でも
ありません(笑)・・必ずしも距離環の刻印で「∞刻印位置が必ず鏡筒が最も格納している時」と言う世界標準の国際規約などありません(笑)
要は反転方向で/逆方向で繰り出し/収納していても良いワケです(笑)
然し乍ら、一般的に言うならこのモデルのように「距離環を回して繰り出している時が、実は逆に最も鏡筒が落ち込んでいる時」と言う「真逆のヘリコイドネジ山の切削」は、意外にも多くの整備者にとって相当ハードルが高く(笑)、これをまともに組み立てられる人はだいぶ少ないハズです(笑)
それはそうです。実際「自分はネジ込んでいるつもりなのに、リアルな現実は外している方向に回しているだけ」みたいな話ですから、その感覚的な部分が全く正反対の結末に到達するとなれば、その環境下で「キッチリ無限遠位置を微調整できる整備者は相当少ない」と指摘できます(笑)
もしも皆様にこのような話がどれだけ違和感しかない世界なのかをお示しするなら、例えば、
撮影の時に覗き込んでいる「ファインダー」内に写っている被写体含めた撮像が「上下方向でヒックリ返った反転画像」だったとしたら如何ですか???(笑) 当時の一眼 (レフ) フィルムカメラも「ペンタプリズム」が無くて、オールドレンズから入ってきた入射光が反射せず (レフレックス/reflexの意味) 写像がヒックリ返らなければ「上下逆転したままの撮像を観ながら
撮影するハメに陥る」ワケです(笑)
上下逆の世界ですから、撮影時どんだけ違和感しか感じられないのかが、ご理解頂けると思います(笑)・・前述のヘリコイドネジ山が反転した概念とは、そういう世界の中で「無限遠位置を合わせていく話 (工程)」だからこそ、整備者の感覚として適切に組み上げていくのは相当にハードな作業に至ると、申し上げている次第です(汗)
残り後1周分でネジ山を詰めて、鏡筒を落とし込みたいだけなのに、実際は「逆に落とし込まず繰り出す方向に鏡筒を仕向けなければイケナイ」と言う考え方が、どんだけ一般的な整備者にとり辛い話なのかを考えてみて下さいませ(笑)
しかし、そんな逆転方向のヘリコイドネジ山の切削で造られているオールドレンズなど数多く顕在するワケで、別に珍しい話でもありません(笑)
ところが前述のとおり、このモデルはそれにプラスして「全く異次元の設計概念で造られていた真実」が別に在ることを、この3日間でようやく掴んだのでキッチリ完璧な状態に組み上げられた次第です(汗)
・・単なるヘリコイドネジ山切削が逆転のオールドレンズではなかったのです!(驚)
だからこその・・恐るべし、Meyer Görlitz なのです(怖)
↑実際に基台に距離環のヘリコイドメス側をネジ込んだところを撮影していますが、この位置でOKと確信を得るのに3日間を要した次第で「どんだけ技術スキルが低いのか???!」をまさに明示する以外、有り得ない状況です(笑)
要はこのモデルの設計は「全てのネジ山の長さ/深さ/領域と回転方向に歴とした設計者の意志が込められていた」次第で、それを汲み取れなかった当方の自滅でしかありません(笑)
鏡筒をネジ込む際のネジ山も、絞り環をネジ込む時のネジ山も、基台のネジ山は当然ながら、ヘリコイドオスメスのネジ山も、最後の極めつけ固定用締付環のネジ山まで、ありとあらゆるネジ山に「各部位別に明確な設計者の意図が隠されていた」ために、それを把握してもなお「それらネジ込みの順番がそもそも一般的なオールドレンズのそれに乖離していた」からこそ
最終的に3日がかりで取り組み続けていたのは「最も適切であろう組み立て手順の確定作業」だったワケです(汗)
今回このモデルを扱って感じ得たロマンとは、当時の戦前のMeyer Görlitzが、同じように戦後も異次元の設計概念を貫ける環境下で操業を続けられていれば、きっと再びCarl Zeiss Jenaと肩を並べるポジショニングまで到達できていたと強く感じ取りました(涙)
然し乍ら、皮肉にも敗戦時に迎えたMeyer-Optik Görlitzの運命は冷徹すぎて(涙)、その後に再び異次元の設計概念を取り戻せるほどに周囲の環境は改善されず、ついぞ商売敵だったハズのCarl Zeiss Jenaに自身の工場を売却せざるを得ず、合わせてそれにプラスして、よりによってPENTACONなどと言う、平気でドイツ系ユダヤ人が発明した一眼 (レフ) フィルムカメラ案件を略奪し、自分のモノにして戦後のフィルムカメラ拡販へと繋げていく「その一助を担わされてしまった悲運」こそが、戦後Meyer-Optik Görlitzの総てを決めてしまったのだと強く感じ入るしかありません(涙)
確かに戦前ドイツは敗戦後の戦時賠償で、ほぼ7割方の既存特許権を剥奪されたワケですが、PENTACONがドイツ系ユダヤ人から没収した特許権剥奪は (当方はそれを略奪と捉える) そもそも敗戦する前の話で、全地球規模での「或る特定民族と人種の虐殺/抹殺/殲滅の一貫作業の一つ」でしかなかったことを掴んでおり、それは戦時賠償とは全く次元が異なる話です。PRAKTICAシリーズたる戦後PENTACONが執った所為は、そのようなアンダーな背景をも持ち合わせている事を、今一度この機会に捉え直してみるのも良いかも知れません。
もしも興味関心を抱いた方は、是非とも「ナチスドイツ政権が開催したWannsee (ヴァンぜー) 会議」を題材とした映画「ヒトラーのための虐殺会議」なんて言うのも、観てみると良いかも
知れませんね(汗)
その意味で捉えても、今回扱った「❹ 戦前型プリモプラン」は、唯一無二の、滾る情熱真っ只中だった頃のMeyer Görlitzの気概を残す、本当に大切なオールドレンズなのだと確信した次第です(涙)
・・もしも機会が訪れたら問答無用で手に入れて下さいませ! ゼッタイ後悔しません!(涙)
ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。
↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。いろいろ3日間ありましたが(汗)、本当に素晴らしい仕上がり状態に完成しています!(涙)・・コレ、マジッで欲しいです!(笑)
いえ、仕上がり状態が良いから欲しいのではなく(笑)、その描写性能の素晴らしさと共に、この各部位を回す時のトルクの、操作性の「気持ち良さ、心地よさ、充足感」が総てを物語っているとしか言いようがない設計者の意志だったのを知り得たからです(涙)
・・マジッで誰の設計なのか、光学設計に限らずお名前をぜひとも知りたい!(涙)
そのような想いしか抱きません(涙)
↑上の写真を見ると中心部に微細な点キズが残っているように写りますが、実は「微細な気泡の集合」なので、仕方ありません(泣)
◉ 気泡
光学硝子材精製時に、適正な高温度帯に一定時間到達し続け維持していたことを示す「証」と捉えていたので、当時の光学メーカーは正常品として「気泡」を含む個体を出荷していました (写真に影響なし)。
逆に指摘するなら、冒頭で述べたとおり、87年の古 (いにしえ) の時間を経ているのに、こんだけ限りなく透明すぎるのが「罪に感じるくらい」の大変素晴らしい光学系です(涙)
・・信じられません!(驚)
↑光学系後群含め「完璧」です!(驚) LED光照射して確認するのに躊躇するほどにスカッと
クリアで「まさにノンコーティングの真髄を知った想い」しか残っていません(汗)
↑14枚の特別なメッキが被さっている絞り羽根もキレイになり、絞り環を回すトルク感もネットリしていて十分に納得できるトルクを与えて仕上げてあります (そうしなければイケナイモデルだからです!)。
・・せめて設計者に対しその誉れを称える気概を持つなら、当然の話しです!(涙)
絞り羽根が閉じる際は「完璧な円形絞りを維持」して閉じていきます。
ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。
当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。
詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。
もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し「製品寿命の短命化を促す」結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない『磨き研磨』により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる『完全解体を前提とした製品寿命の延命化』が最終目的です(笑)
もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)
実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)
その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施す『DOH』そのものなのです(笑)
特に最近のヤフオク!出品者の中には、金属用研磨剤を使って処置している出品者が居るのでご注意下さいませ。
↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」だけを使い、特にこのモデルのピントのピーク/山がイキナシ到達し、アッと言う間に超えてしまうので、それを勘案したトルクに仕上げたつもりです・・つまり軽すぎると、ピントが合焦した後に距離環をから指を離しただけで「ピーク/山がズレてしまう」ので、ちゃんとそれを意識した少々シッカリした重さのトルクに仕上げています。
こういう配慮も完全解体しているからこその醍醐味だと、当方は勝手に感じています(汗)
なお、ご依頼者様お一人様だけは使っている最中に気づかれると思いますが、このモデルは「構造上/設計上ヘリコイドのオスメスが互いに距離環の内側で実際にネジ込んでいる露出状態」なので、戦後の多くのオールドレンズモデルで採用された「距離環のフチを減りオスメスのネジ山位置から遠ざける」配慮がありません(汗)
結果、冒頭のモデルバリエーションで掲載した❶ 初期型のライカ向け「LTMモデル」同様、ヘリコイドのネジ山は露出状態です。従って距離環を回しているうちに「ヘリコイドグリースが滲み出てくる」のは防ぎようがないので、ご留意下さいませ。
距離環操作していて「手が油で滑って落下させてしまう」などの懸念も残るので、ご留意下さいませ!(涙)・・申し訳ございません。
技術スキルが低い当方は、こう言う話の内容でしか顧客にメリットを訴えられないと、何処ぞのサイトのコメント欄に記述されているらしいです(笑) 如何にも的に此れ見よがしな論調で歯が浮いて気持ち悪いらしいです(笑)・・まぁ〜、事実なので否定はしませんが(笑)
いずれ近いうちに訪れる引退のタイミングまで、言いたいだけ言いまくるだけの話です(笑)
↑何の気なく普通に組み上がっているようにしか見えませんが、実は3日間上の写真のように「縦線の基準マーカーがキッチリ∞刻印位置に来なかった」ワケで(笑)、しかもアンダーインフ状態が当初バラす前の実写確認時と「まるでおんなじ円形ボケの世界」で、ひたすらに自らの技術スキルの低さと、低俗さと、情けなさの中でのたうち回っていた次第です(笑)
こんな角度の違う「こだわり」で設計してあるオールドレンズを、今までの13年間に手にした記憶が皆無です(汗) まさに「戦前Meyer Görlitzの凄まじさを思い知らされた」今回の
オーバーホール/修理ご依頼だったとしか、言いようがありません(笑)
ちなみにフィルター枠部分はご依頼者様ご存知のとおり「ネジ込んであるだけの設計」ですが
何しろ金属材が真鍮製/ブラス製なので「下手な応力が影響するのを可能な限り避ける」意味
合いから、今回オーバーホール/修理工程では「敢えてフィルター枠のネジ込みに固着剤など
を注入しない」処置で組み上げています。
結果、下手にフィルターやステップアップリングを強めにネジ込む、外れなくなったりして
ヤバいので、少しくらい回ってしまっても自分でまたネジ込むくらいの心持ちでご使用頂く
のが良いと思います。
固着剤を入れて強めにネジ込まれてしまうと、その分の応力が働き絞り環操作に影響が現れ
ます(怖)
なおご依頼内容の「アンダーインフ状態」は本当にピタリと無限遠位置が一致して合焦し、合わせて徹底的に「反射防止黒色塗料」を除去しまくったので(笑)、ハッキリ言ってピント面の鋭さ感に「おぉ〜ぅ!」と唸ってしまった程です(驚)
・・恐るべし、戦前Primoplan!!!
当方でオーバーホール/修理工程で確認に使ったマウントはK&F CONCEPT製「exakta→SONY Eマウントアダプタ」なので、もしもお手持ちのマウントアダプタで無限遠位置がピタリと合致しなかった場合は、大変申し訳ございませんがK&F CONCEPT製マウントアダプタを手に入れて頂くのが良いと思います。もう一つ所有している日本製Rayqual製マウントアダプタのほうでは、装着するとガタつきが酷く使って微調整していません(汗)
と言うのも、このモデルは「無限遠位置の微調整機能を一切持たない」ので「製産時点の位置でしか組み上げられない」のを確認しているからです(汗)・・逆に言うなら、ご返送して手に
取り操作して頂いた「一番最初の感動は、きっと当時87年前に大枚をはたいて購入した、
その映え在るお一人様だけが感じた想いそのモノ」とも明言でき、ぜひともご記憶に留めて
頂きたく、事前に申し伝えておきます(涙)
・・以上、瑕疵内容は一つも残っていません!(涙) コレ、欲しいです!(笑)
オーバーホール/修理ご依頼者様皆様に告知しているとおり、もしもお届けしたオールドレンズの仕上がり状況にご満足頂けない場合は、そのご納得頂けない要素に対して「ご納得頂ける分の金額をご請求金額より減額」下さいませ。
減額頂ける最大値/MAX額は「ご請求金額まで (つまり無償扱い)」とし、大変申し訳御座いませんが当方による弁償などは対応できません・・申し訳御座いません。
なお、被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離:58㎜、開放F値:f1.9、被写体までの距離:69m、許容錯乱円径:0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度:34m、後方被写界深度:∞m、被写界深度:∞m」のため、
40m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体である70m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。
・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭です(笑)
↑当レンズによる最短撮影距離70cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。
各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。
↑f値「f16」での撮影です。そろそろ背景のお城模型辺りにコント低下の「回折現象」影響が現れ始めていますから、フードを使うのが良いのかも知れません。
◉ 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。
◉ 被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。
◉ 焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。
↑最小絞り値「f22」での撮影です。如何でしょうか??? これだけの描写をサクッと残せてしまう「Meyer Görlitz 時代の戦前Primplan」素晴らしいと想いませんか???・・87年前の製産品ですョ?!!!(驚)
今回のオーバーホール/修理ご依頼、真にありがとう御座いました。本日キレイに梱包してクロネコヤマト宅急便でご発送申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。