◎ MINOLTA (ミノルタ) AUTO ROKKOR-PF 58mm/f1.4《前期型−II》(SR / MD)

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つい先日オーバーホール/修理のご依頼で同じモデルを整備しました。また数日前にオーバーホール/修理のご依頼分で整備した現コシナ製のVoigtländer「NOKTON CLAASIC 40mm/f1.4 S・C (LM)」と比べると天と地の差があるほどにメンテナンス性の良さに秀でており、CanonやNikonのオールドレンズと比較しても、おそらくこの当時の光学メーカーの中で最もメンテナンス性に優れているのがMINOLTAのオールドレンズではないかと感じています。

1961年から発売されたフィルムカメラ「SR-1〜SR-3」用のセット用レンズとして用意されていた標準レンズ群の中のひとつですが後の1966年にフルモデルチェンジして登場した「MC ROKKOR」シリーズの先代にあたります・・モデル・バリエーションは全部で4つ存在しています。

【モデルバリエーション】
オレンジ色文字部分は最初に変更になった要素を示しています。

前期型 – Ⅰ:1961年発売
絞り環:二段刻印
距離環ローレット:短い
フィルター枠銀枠飾り環:有
プレビューレバー:有 (ツマミ附随)
指標値環基準マーカー:小さい▲型

前期型 – Ⅱ:1962年発売
絞り環:一段刻印 (絞り値のみ)
距離環ローレット:短い
フィルター枠銀枠飾り環:有
プレビューレバー:有 (ツマミ附随)
指標値環基準マーカー:小さい▲型

前期型 – Ⅲ:1962年発売
絞り環:一段刻印 (絞り値のみ)
距離環ローレット:短い
フィルター枠銀枠飾り環:
プレビューレバー:有 (ツマミ無し)
指標値環基準マーカー:大きい♦型
レンズ銘板:「LENS MADE IN JAPAN」刻印あり

後期型:1965年発売
絞り環:一段刻印 (絞り値のみ)
距離環ローレット:長い
フィルムカメラ銀枠飾り環:無
プレビューレバー:有 (ツマミ無し)
指標値環基準マーカー:大きい♦型
筐体サイズ (外寸) が小さくなった (コンパクト化)
レンズ銘板:「LENS MADE IN JAPAN」刻印あり

・・こんな感じです。今回オーバーホール済で出品する個体は「前期型- Ⅱ」にあたります。

MINOLTAのオールドレンズで特に「AUTO ROKKOR」シリーズに共通した描写性の特徴は「アクロマチックコーティング (AC)」の効果です。画全体の人間の目で観た自然な画造りはそのままにプラスα「マイルド感」タップリな描写を愉しめます。それは後の時代にモデルチェンジした「MC ROKKOR」シリーズよりも顕著に表れるので「MC ROKKOR」シリーズは当時のドイツ製オールドレンズの描写特徴を徐々に導入していった背景が裏にはあるのかも知れません。そして最終期の「MD ROKKOR (New MD含む)」シリーズの時代にはアクロマチックコーティング (AC) の効果はだいぶ薄れてしまったように感じます (実際光学系内のコーティング層にアクロマチックコーティング層の光学硝子レンズが1枚も存在していない)。その意味でオールドレンズとしての「MINOLTAらしさ」を求めるならば否応が無く「AUTO ROKKOR」シリーズに辿り着くワケです。ちなみに「アクロマチックコーティング (AC)」はこの「AUTO ROKKOR」シリーズでは「濃いグリーン色」に光彩を放っていたことから「緑のロッコール」と呼ばれています。

アクロマチックコーティング (AC)」は当時それまでは「単層コーティング (シングルコーティング)」しか存在しなかった時代に世界で初めて「複層コーティング (モノコーティング)」を施した最先端技術のコーティングでした。もちろんすぐ後にはマルチコーティング (多層コーティング) が登場します。

ちなみにこの複層コーティング技術はLeicaとの技術提携を促した当時の先進的技術だったようで、一部のLeica製オールドレンズにも「アンバー色」の光彩を放つコーティング層として「アクロマチックコーティング (AC)」を蒸着しています。

このアクロマチックコーティング (AC) が実際に写真の写りに対してどのような効果をもたらしているのかはメーカーカタログを見ても詳しく解説していませんが、人間の目で見たままの違和感を感じない自然な描写性を追求したようです。その技術と追求はその後の「MC ROKKOR」シリーズでも継承されていきますがその効果は減じられ先代の「AUTO ROKKOR」との描写性の相違を表す要素として、当方では「画全体のマイルド感」と言う表現を使っています。

つまりこの「AUTO ROKKOR」シリーズのほうがふんわりとした柔らかい描写性を示し画全体的な「マイルド感」を強調した画造りになっていると考えていますがピント面の鋭さはシッカリ表出しています。その意味では自然な写りを堪能したければ「AUTO ROKKOR派」になりコントラストや発色性を優先するならば「MC ROKKOR派」のような嗜好の別れ方が顕在するのかも知れません。

光学系は5群6枚の拡張ダブルガウス型になり筐体サイズを大柄に採ってきた設計で大玉の光学系を実装しています。光学系後群もマウント部の有効面積を最大限に使い切った拘りを感じる設計であり単純なダブルガウス型で設計してこなかったのは、やはり可能な限り収差を改善させてピント面の鋭さを追求したのではないでしょうか・・。

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。後の「MC ROKKOR」シリーズになるとパーツ点数はだいぶ合理化が進み減ってきますが「AUTO ROKKOR」シリーズはどのモデルも手の込んだ複雑な設計が成されており「組み上げ手順」を把握しているか否かが組み立て工程では非常に重要になってきます・・もちろんサービスマニュアルなどが手元にはありませんから必然的にバラしていく際にひとつひとつの構成パーツに関して「どうしてこのパーツを使うのか」「何故この位置/向きで固定するのか」など注意深い観察と考察を続けながら解体していくと自ずと組み上げ手順 (工程) も明確になってきます。それを怠って単純に取り付ける場所だけを確認していると、このモデルは組み上がりません。

絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。先日整備した個体は初めて目にしたクロームメッキ加工の鏡筒でしたが今回の個体は従来通りの「梨地仕上げ」が施された美しい鏡筒です・・この「梨地仕上げ」にしている理由は経年の使用に於いてオールドレンズ内に揮発油成分が廻ってしまった際に鏡筒内でその油分が移動するのを可能な限り防ぐ目的があります (単純にキレイに塗装しているワケではありません)。つまりはユーザーが購入した後のことまで配慮している「証」であり、しかも揮発油成分相手の話となれば相当な時間が経過してからの問題であり、そこまで考慮していたとは本当に恐れ入ってしまいます。

8枚の絞り羽根を組み付けて絞りユニットを完成させます。先日の個体と同じですが「AUTO ROKKOR-PF 58mm/f1.4」で最も難関なのがこの部位の調整になります。絞り羽根は「位置決め環」に刺さることで固定されるワケですが、当然ながら絞り環の操作に連動して開いたり閉じたりしなければイケマセン。その時の絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) の調整をここで行っているのです。開きすぎても閉じすぎていても絞り環の設定絞り値との整合性がなければダメですね・・。

ここの調整で難しいのは、絞りユニットを締め付けて固定するための「絞りユニット固定環」を最後まで締め付けてしまうと絞り羽根が動かなくなってしまうことです。かと言って緩すぎると (絞り羽根位置決め環との間の空間が多すぎると) オールドレンズを下向きにした途端に絞り羽根が脱落してしまいバラけてしまいます。しかし、キッチリと締め付けなければ絞りユニット自体がスルスルと回ってしまい絞り環で絞り値を変えても「開放のまま (或いは閉じたまま)」で一切制御できなくなってしまいます。適度に「絞りユニット固定環」を締め付けつつ、且つ絞り羽根がスルスルと軽く動く状態で固定しなければイケマセン。

こちらは距離環やマウント部を組み付けるための基台になります。

真鍮製のヘリコイド (メス側) を無限遠位置のアタリを付けた場所までネジ込みます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

鏡筒がストンと入る鏡筒格納筒も兼ねているヘリコイド (オス側) を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。このモデルでは全部で16箇所のネジ込み位置があるので、さすがにここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここまで戻るハメに陥ります。

距離環を回す際のトルク (つまりヘリコイドのトルク) は、この時点では大凡の確認しかできません・・距離環を回すトルクに影響するのはヘリコイドだけではないからです。この点を勘違いしている方が多いのですが、ヘリコイド・グリースを軽い粘性に替えれば距離環を回すトルクが軽くなると思い込んでいる方が非常に多いですね・・ところが実際にトルクに影響を与えているのはヘリコイド以外にも絞り連動ピンとの連係機構であったり絞り環との連係だったりしますし、もちろん「直進キー」と言うパーツの調整も大きく影響してきます。

そのような各連動系・連係系パーツから伝わってくる「負荷 (抵抗)」が距離環を回す際のトルク感として手に感じるワケであり単純にヘリコイド・グリースの粘性を軽くすれば改善できるお話ではありません。もちろんオールドレンズ内部の構成パーツに生じている経年の腐食などが残っていれば、さらにそれが「必要以上の摩擦」となって負荷 (抵抗) を増大してしまう原因になります。それゆえオールドレンズ内部の至る箇所にグリースを塗ったくって「グリースに頼った整備」を行ってしまうワケであり・・その必要以上に塗られたグリースは、いずれまた揮発油成分となってオールドレンズ内部に廻るので、まさに「悪循環」でしかありません。基本的にオールドレンズの内部でグリースが必要な箇所は「ヘリコイド (オスメス)」と「絞り環」の2箇所だけであり、実際に光学メーカーが生産時にその2箇所にしかグリースを塗布していなかったことが先日のオーバーホール/修理ご依頼で確認できました (生産後50年以上経っているワンオーナー品)。

こちらはマウント部内部の写真ですが既に各連動系・連係系パーツを取り外して当方による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮影しています。今回の個体はこのマウント部内部にグリースが塗られていなかったので「ほぼ生産時のまま」に維持され続けていた、やはり貴重な個体でした。そのこと (必要以上のグリースを塗布していないこと) が最終的には光学系内のコーティング層の劣化を抑えていたことになるワケです。

このモデルはマウントの爪が「隠しネジ」4本でマウント部内部から固定されているのでこの段階でセットしておきます (後から取り付けできません)。ちなみに、この後絞り環を先に組み込んでしまいます。

取り外していた各連動系・連係系パーツも個別に「磨き研磨」を施し組み付けていきます。

  • 直進キー:
    距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目のパーツ。
  • 絞り連動ピン連係アーム:
    絞り連動ピンが動いた際 (フィルムカメラ) に同時に鏡筒から飛び出ている「絞り羽根開閉アーム」を動かす機構部。
  • プレビューレバー:
    開放測光 (フィルムカメラ) でピント合わせをした際に実際に絞り環で設定した絞り値まで絞り込んで確認できるレバー。
  • 絞り羽根開閉幅制御キー:
    絞り環で設定した絞り値に絞り羽根が閉じたり開いたりする際の絞り羽根の角度を決定しているカーブ部分。

上の写真で「絞り羽根開閉幅制御キー」のカーブは頂上が「開放側」になり麓が「最小絞り値側」になります。なお、マウントの爪を固定している「隠しネジ」は既に見えなくなっています (従って後から取り付けできない)。また絞り環も既にセットされています。

絞り環を先に組み付けなければイケナイ理由を上の写真で解説していますが「プレビューレバー」がセットされてしまうと後から絞り環を入れることができなくなるからです。また「絞り羽根開閉幅制御キー」も絞り環に固定されるため、各連動系・連係系パーツがマウント部内部にセットされた後では組み付けることができないのです (従って一番先にマウント部内部に組み付ける必要があります)。

ようやくマウント部を基台にセットできます。マウント部の固定ネジ (4本) は、やはり「隠しネジ」になっており絞り環に用意された「孔 (穴)」を所定の位置に合わせてネジ込むことができるようになっています・・この時基台のネジ穴とマウント部のネジ穴が一致しないと当然ながら固定ネジがネジ込めませんから無限遠位置のアタリ付けが正しく行われていないとマウント部をセットできません。

絞り環用の銀枠「梨地仕上げの固定環」をイモネジ (ネジ頭が無くネジ部にいきなりマイナスの切り込みを入れたネジ種) 3本で締め付け固定します。

指標値環をネジ止め固定します。指標値環を固定するためのネジ穴があるので指標値環の固定位置は調整ができません・・逆に言うと絞り環の絞り値と実際のクリック感がズレてしまうことが無いので、このほうがメンテナンス性は断然良くなります (つまり調整箇所としていない)。絞り環や指標値環を組み付けていけば自ずとキッチリ絞り値とクリック感が適合するように配慮されています。

距離環を仮止めします。

マウント部内部の「絞り連動ピン連係アーム」の爪に鏡筒から飛び出ている「絞り羽根開閉アーム」を接続させながら鏡筒をストンと鏡筒格納筒 (ヘリコイド:オス側) の中に落とし込みます。鏡筒を前玉側より「固定環」で締め付け固定します。富岡光学製オールドレンズのように鏡筒の位置調整で絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) 調整を行っていないので単純に固定する目的だけなので、やはりメンテナンス性は高くなります (容易です)。ちなみに、絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) の調整は前述の絞り環にセットしている「絞り羽根開閉幅制御キー」と言うパーツ (カーブの真鍮板) ですね・・キーを固定する際にマチ (調整用の隙間) が用意されておりキーの角度を多少ズラすことができ、それによって絞り羽根の角度がビミョ〜に変わるようになっています (つまり開口部/入射光量の調整ができる)。

この後は光学系前後群を組み付けて無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

 

DOHヘッダー

 

ここからはオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

とても美しい光彩を放ち「緑のロッコール」の異名を持つMINOLTAの銘玉『AUTO ROKKOR-PF 58mm/f1.4 (SR/MD)』です。

ちなみに当時のMINOLTAではモデル銘の後にアルファベット2文字が附随しており今回の個体では「-PF」と記されています。これはこのモデルが実装している光学系の構成を示している暗号になります。

【MINOLTAオールドレンズのモデル銘に附随する暗号:アルファベット2文字】
※最初の左側1文字:光学系硝子レンズの群数

  • T:3群
  • Q:4群
  • P:5群
  • H:6群
  • S:7群
  • O:8群
  • N:9群

※最後の右側1文字:光学硝子レンズの枚数

  • C:3枚
  • D:4枚
  • E:5枚
  • F:6枚
  • G:7枚
  • H:8枚
  • I:9枚
  • J:10枚
  • K:11枚
  • L:12枚

・・従って今回のモデル「AUTO ROKKOR-PF」は「5群6枚」と言うことになりますね。

光学系内の透明度が非常に高い個体です。LED光照射しても薄いクモリすら「皆無」でありカビ除去痕なども一切ありません・・久しぶりに透明度が高い「緑のロッコール」を調達できました (それほど光学系の状態が良くない個体が市場には多く流通しています)。

上の写真 (5枚)は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。 すべて複数回清掃しても除去できなかった極微細な点キズを撮っていますが光学系前群は大変キレイな状態を維持しているので他にキズと言えるようなキズや汚れなどが一切ありません。

なお、前玉裏面の「アクロマチックコーティング (AC)」は濃い緑色の光彩を放つコーティング層なのですがコーティング層の経年劣化が進んでいた場合は清掃しただけでコーティング層が剥がれてしまいます (ヘアラインキズが付く)。今回の個体は前玉裏面にはカビが一切発生していなかったのでキズが付く懸念から清掃しないまま工程を進めました (しかし大変キレイな状態をキープしています)。

光学系後群も透明度が高いのですが後玉裏面の「アクロマチックコーティング (AC)」にはカビが発生しており仕方なく清掃しカビ除去を行いました。しかしその際に非常に薄く微細な「もわっとした」感じのヘアラインキズが複数付いてしまいました。アクロマチックコーティング (AC) 層は非常に薄く弱いので清掃しただけでこのようなことになってしまいますがパッと見ただけではコーティング層の経年劣化が進んでいるのか否か判断ができません。従ってイチかバチかで清掃してみるしか手がありません。

上の写真 (6枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。1枚目〜5枚目まではすべて極微細な点キズ (発生していたカビの芯部分) を撮っています。最後の6枚目がアクロマチックコーティング (AC) 層に付いてしまった非常に薄く微細なヘアラインキズを撮りました。上の写真で所々に入っている白っぽい影はミニスタジオの写り込みなのでキズやクモリ・汚れではありません。

【光学系の状態】(順光目視で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ:
前群内:18点、目立つ点キズ:10点
後群内:13点、目立つ点キズ:9点
コーティング層の経年劣化:前後群あり
カビ除去痕:あり、カビ:なし
ヘアラインキズ:あり
バルサム切れ:無し (貼り合わせレンズ有り)
光学系内LED光照射時の汚れ/クモリ:皆無
光学系内LED光照射時の極微細なキズ:あり
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが実際は清掃時除去できなかった極微細な点キズなので塵や埃ではありません。
光学系内の透明度は非常に高い個体です
・光学系内はLED光照射でようやく視認可能レベルの極微細なキズ<!–や汚れ、クモリ–>などもあります。
・光学系後玉の裏面 (アクロマチックコーティング層) 清掃時に付いた非常に薄く繊細なヘアラインキズが複数ありますが写真には一切影響しません。
・いずれもすべて写真への影響はありませんでした。

8枚の絞り羽根もキレイになり確実に駆動しています。フッ素加工が施されているので経年劣化に拠る汚れやサビも一切出ていませんから大変キレイです。

ここからは鏡胴の写真になります。経年の使用感がほとんど感じられないとてもキレイな状態をキープした個体です。当方による「磨き」をいれたのでとても落ち着いた美しい仕上がりになっています。

【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度」を塗布しています。距離環や絞り環の操作は大変滑らかになりました。
・距離環を回すトルク感は「普通〜重め」で滑らかに感じトルクは全域に渡り「完璧に均一」です。
・ピント合わせの際は極軽いチカラで微妙な操作ができるので操作性は非常に高いです。

【外観の状態】(整備前後拘わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。

フィルター枠のクロームメッキ部分にも経年使用に於けるキズがほとんど付いていないので、まるで新古品のように見えてしまいます (筐体も含めて微細なキズやハガレはあります)。大変キレイな個体です・・なかなかこのような状態の良い個体が最近は入手できなくなってきましたのでマイルド感タップリな「緑のロッコール」を是非ともご検討下さいませ。

当レンズによる最短撮影距離60cm附近での実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでベッドライトが点灯します)。

絞り環を回して設定絞り値をF値「f2」にセットして撮影しました。

絞り値はF値「f2.8」で撮影しています。

F値「f4」になりました。

F値「f5.6」です。

F値「f8」で撮っています。

F値「f11」になりました。

最小絞り値「f16」になります。バックのお城の左下に開口部がありますが、その奥までシッカリ解像しており (背景紙がちゃんと写っています) 如何に黒潰れしにくい描写性なのかが分かります。暗部に粘りがある階調幅の広いモデルであることが分かりますね・・素晴らしいです!