♦ KONICA (コニカ) HEXANON 57mm/f1.4 EE《中期型−II》(AR)

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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホール/修理が終わりご案内するモデルは、国産は
コニカ製標準レンズ・・・・、
HEXANON 57mm/f1.4 EE《中期型−II》(AR)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホール/修理が終わってご案内するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のKONICA製標準レンズ「57㎜/F1.4」の括りで捉えると10本目にあたりますが、今回扱った「EEタイプ」だけでカウントすると4本目です。

↑上の写真は、今回扱った個体から取り出した光学系第3群と第4群を並べて撮っていますが
互いに絞りユニットを挟んで相対の位置にセットされます。

上の写真で示したかったのは「光学硝子レンズのコバ端のカタチ」で、その結果が右の構成図になります。

今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時に当方の
手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子レンズを計測したトレース図です。

カシメ環で固定しているのが分かりますが、それぞれの光学硝子レンズ格納筒は「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」であり、経年での揮発油成分を嫌う仕様なのが分かります。

↑今回のオーバーホール/修理ご依頼内容は「距離環を回す時のトルクが重すぎる」及び「筐体にガタつきがある」の2点が主な内容です。

距離環のトルクが重い」原因は、古いヘリコイドグリースが「黄褐色系グリース」であったものの (最近では珍しいですが)、相当経年劣化が進んでいて粘性を帯びていた為に重くなっていました(汗)

それ自体はヘリコイドグリースを入れ替えれば相応に軽く改善できると推察したものの、問題は上の写真でした(泣)

筐体のガタつき」を確かに確認しましたが、重要なのは「どうしてガタつきが現れている
のか???
」です。

絞り環のガタつきも出ているものの、何と基台側 (指標値環) にもガタが出ています(汗) このモデルの場合、普通は基台にガタつきが残る理由がありません(汗)

むしろ「基台と言うよりも、鏡筒側に何か瑕疵が残っていて、それをごまかす為にガタつきを敢えて残して仕上げている」のではないかと捉えました(汗)

この仮説を検証しているのが上の写真で、当初バラし始めた時に取り出した鏡筒の写真です。鏡筒裏側は「絞り羽根開閉を制御する機構部が備わる」設計です。「開閉操作環」がフィルムカメラ側から (シャッターボタン押し込みにより) 瞬時に操作され/回転し、その結果「制御
キー
の位置が動く
」のが「カム」により鏡筒最深部に組み込まれている絞りユニットに伝わり「絞り羽根が瞬時に設定絞り値まで閉じる」原理です。

その時の設定絞り値は「絞り環操作で事前に決まっている」ものの、その具体的な設定絞り値に対する「絞り羽根が傾く角度閉じる角度」は上の写真「への字型の切り欠き/スリット/溝を有する制御キー」のカタチによって確定し絞り羽根に伝達されます。

そしてその絞り羽根開閉動作の際に非常に賢くも「KONICA設計陣に拠る壮大な工夫を伴って敢行した設計の気概」こそが、この鏡筒裏側の「絞り羽根開閉制御機構の設計概念」なのです!(涙)

当方が「非常に素晴らしい!」と感嘆を隠せない要素が「鏡筒の外回りをグルッと囲む引張式スプリングの存在」なのです・・上の写真の中で、オレンジ色の矢印で指し示している鏡筒外回りをグルッと囲む太めの引張式スプリングです。

この引張式スプリングの絶大なチカラの大きさにより「絞り羽根は常に閉じる方向のチカラが及ぶ」為に、この当時のKONICA製オールドレンズの多くのモデルがこの引張式スプリングの設計概念を基に造られ、絶妙な設計の工夫を伴って「常に絞り羽根を開くチカラとのバランスを整えている」とても見事な設計なのです(涙)

然し実は、このような引張式スプリングを使い鏡筒の外回りをグルッと囲み、且つ絞り羽根に常に一定のチカラを及ばせる設計概念は「戦前ドイツの光学メーカーで既に実用化されていた設計概念」なので、特に珍しい話ではありません(笑)

それでは、いったい何がこの当時のKONICA製オールドレンズの設計概念に驚異的な工夫を
もたらしたのか???

それはこの絶大で一方的な大きなチカラを及ぼす、引張式スプリングが放つ「常に絞り羽根を閉じようとするチカラ」を様々な構成パーツを介在させることで「常時絞り羽根を開き続けるチカラとのバランス性を実現させた」その「チカラのバランス性の設計概念の素晴らしさで
あり、その介在パーツ設計の細やかさ
」だと指摘できます(涙)

そしてここからが今回の新たな真実の発見です!

上の写真でブルー色の矢印で指し示している箇所に「締付ネジ」があり「制御キー開閉操作環に締め付け固定している」のが分かります・・だから絞り環を回すと「開閉操作環が同時に連動して回転する為、その結果制御キーが移動する」原理です。

ブルー色の矢印の先をよ〜く見ると分かりますが「焦げ茶色の固着剤で締付ネジが固められている」状況です・・相当古い時代の固着剤で、おそらく50年前後の時間が経っていると推測できます(汗)

今まで数十年前まで使われていた一番多い固着剤は「赤色/朱色」に対し、今ドキ市場流通している固着剤は「青緑色」です。従って上の写真の「褐色系の固着剤は製産時点の固着剤」と捉えていたのですが、それが間違いだった『証拠』を今回の解体作業で掴んだのです(驚)

今回の個体でガタつきが現れていた根本的な原因は「上の写真、制御キーの固定位置が微妙に間違っている為」に、その結果絞り羽根開閉動作に異常が現れるので、それを改善させる為にいろいろあ~だこ~だ過去メンテナンス時にやっていた・・しかもそれが一番最初の整備時点だったのが「この褐色系の固着剤が証拠となり判明してしまった」次第です!(驚)

何故なら、この「制御キーの固定位置を適正化したら/戻したら、絞り羽根開閉動作は正常に戻った」からです(笑)

ちなみにグリーン色の矢印で指し示している箇所には「三角形のカタチのカムが居る」ものの
そこに「白色系グリース」を過去メンテナンス時に (おそらく10年以内の何回目かの整備で) 塗布しているので、既に経年劣化進行に伴い擦れて「濃いグレー状に変質している/アルミ合金材が摩耗している」のを明示しています(笑)

従って「への字型の微妙な曲りを100%絞り羽根の角度決定として伝達させていく制御キーの微調整/位置確定が必須になる」次第です。

ところが、今回の個体から取り出した時のこの「制御キー」の固定位置では、途中で応力に
反応してしまい引っかかって止まることが数回に1回程度の頻度で起きていました(汗)

然し、何しろ「制御キーの締付ネジが一番古い時代の褐色系の固着剤で固められていた」が為に、今までの過去メンテナンス時に一度も外されずにきたのです(笑)

当方同様「この褐色系の固着剤は、製産時点に塗布された固着剤 (つまり製産時点の固定位置を意味することになる)」と考え、誰一人この「制御キーを取り外さなかった」のです(笑)

・・結果、長年ず〜ッと「ごまかしの整備」が継承されていったのです(笑)

↑前述の「褐色系の固着剤は製産時点に使われたものではない (つまりその後の整備時に塗布された固着剤)」との確信を持ったのが上の解説写真です。

当初バラした際にこの光学系第3群格納筒 (格納筒自体は光学系前群を収容する) の第3群直前に「褐色系の固着剤がハミ出して固まっていた」のを発見した時に納得できました!(驚)

製産時点に固着剤がハミ出たまま組み上がることは有り得ませんし、第一光学系締付環の上から塗布しません (製産時点ならネジ部に注入するから)。それで製産後出荷されてからの、一番最初の過去メンテナンス時に塗布された固着剤なのだと確信を得ました(笑)

上の写真で言うなら、グリーン色の矢印の位置に光学系第2群の光学硝子レンズが格納されますが、それを締め付け固定する締付環がネジ込まれるネジ山 (赤色矢印) の上に塗布された為、さらにその上の光学系第1群前玉の裏面側にハミ出てしまい、飛び出ていたのです (前玉の
締付環とレンズ銘板の影になっていて直視できなかったので外からは見えない
)!(驚)

こんな製産時点の仕上がりのまま出荷された個体を今までに見た記憶がありません(笑)・・
だからこそ出荷後の過去メンテナンス時に塗布なのだとの確信に到達した次第です。

そしてもっと言うなら「褐色系の固着剤はラバー系に含まれる樹脂系固着剤なので完全硬質化していない」が故に、剥がそうとイジると伸びてへばりついて、溶剤でも溶けずにこびりつきます (いわゆる完全硬質化していないのでゴム状に伸び縮みする)。

このような樹脂系 (ラバー系) 固着剤が流行ったのは、住友スリーエムが流通させた「ボンド」の時代からですから、相当昔の話です(汗)

その後に流行ったのが「赤色/朱色の固着剤」で完全硬質化のタイプであり、今ドキ流通の「青緑色固着剤」同様嫌気性です (嫌気環境下で硬質化するタイプ)。従って、これら嫌気性の固着剤を外気に触れる環境下で塗布しても、剥離耐性度が低いのをその諸元値が数値で示していますから、例えばネジ頭に塗ってもネジが回る時にすぐに剥離して外れます (つまりネジの緩み防止には何ら貢献できていない話)。その一方で「ネジ部に塗布すると嫌気性が保たれるので剥離耐性度が増して容易に緩まない」と指摘できます (赤色/朱色の固着剤も同じ)。これらの推定はそれら固着剤の諸元書を確認すれば載っています。

従ってそれら「赤色/朱色の固着剤」或いは今ドキの「青緑色固着剤」以前なのが「褐色系の固着剤」時代の話なので、そもそも嫌気性ではなくラバー系でもあり伸縮性自体を持つ諸元です (試しに塗布してあるネジ頭を回してみると伸びて剥離するのが分かるものの、こびりついてなかなか容易に剥がれない/然しその一方でネジは外せてしまう)(笑)

ちなみにこの当時のKONICA製オールドレンズの多くのモテルで (今回扱った個体も含めて)、内部に使われている締付ネジの多くが「非磁性のタイプ」であり、今ドキの製品で使う「磁性タイプ」とは異なります(笑)・・ドライバーを帯磁させても反応しない (くっつかない)。

↑上の写真は過去に扱った時のオーバーホール工程写真からの転載です。鏡筒最深部にセットされる絞りユニットを後玉側方向から撮影している角度になります。すると「三角形のカタチをしたカム」が露わになっており、カムが動く (ブルー色の矢印) ことで「カムの動きに伴い開閉環が一緒に回る」から、絞り羽根が角度を変えていく原理ですね(笑)

このカムには「ハの字型の捻りバネ (トーションバネ)」が付随しますが、非常に細い線径です
・・このトーションバネ (捻りバネ) の目的/役目は「開閉環を回して常に絞り羽根を開かせるチカラの原動力/きっかけづくり」なのです。線径があまりにも細いトーションバネ (捻りバネ) なので、及ぼせるチカラには相当な限界があります・・が然し、それこそがKONICA設計陣の狙いであり、凄さなのです(驚)

戦前ドイツの光学メーカーが、前述した鏡筒外回りをグルッと囲む引張式スプリングの大きなチカラに対抗して、似たような大きなチカラで反対方向のチカラを及ぼし「強制的に常時閉じるチカラと開くチカラのバランスを執っていた」のに対し、当時のKONICA設計陣は「まるでニッポン人たる細やかさの現れの如く、微細なチカラの相殺手法を重ねていく中で少しずつ
チカラが減じられ、最終的にバランスを保っていく方法を編み出した
」のが凄いのです(涙)

それは「敢えてそれらチカラのバランスで経由させるパーツ/部位を増やして、そこで少しずつ必要外のチカラを相殺し減じつつ、目的とするバランスに導いていく非常に神経質な設計」とも言えます(汗)

だからこそ、それら設計概念を掴んで初めて「その微調整が必須である事が理解できる」ワケで、様々な部位を構成しているパーツの存在理由も、より具体的で明確になりますね(笑)

・・「観察と考察」とは、そういうことの繰り返しです(笑)

↑上の写真は既に完全解体してから、当方の手による「磨き研磨」が終わり、組み立てている工程の途中写真です。

鏡筒裏面側から「三角形のカタチをしたカム」の一部が露わになり、且つ取り外した「制御
キー
」を前に並べて撮っています。「制御キー」には「への字型の切り欠き/スリット/溝」があり、その長辺が「最小絞り値側方向」を意味し、一方反対側の「短辺側が開放側」と言う
原理の設計です。

ここに「カム」から突出している金属棒が刺さって行ったり来たりするので、その時の「への字型の切り欠き/スリット/溝の位置で絞り羽根の開閉角度が決まる仕組み」です(笑)

従って「カムの金属棒」が長辺側に移動すると「どんどん絞り羽根が閉じていく動き方」を
する一方、短辺側の「開放側は一定で動かない」設計です。

つまりこれが「円運動を絞り羽根が扇状に角度を変えていく、一定の決まった運動に変換する仕組みの原理」であり、こんな「への字型を使う概念」に、さすがはKONICAの設計陣だと
その素晴らしさに、こんな部位を見ただけでも感じずには居られません(涙)

しかも「カムから突出した金属棒」が直接接触したのでは「への字型の途中で応力に拠り引っかかって停止してしまう」が故に、それを相殺する目的で「伝達筒」と言う、回転しながら「への字型を行ったり来たりする筒」まで用意して (ブルー色の矢印のようにカムの金属棒に被さる)、スムーズに滑らかに駆動する原理を創造しています!(驚)

実はこの小さな「伝達筒」の存在により、への字型をスライドしていく中で「自らがクルクルと回転することでチカラの相殺を行っている」のが凄いのです!(驚)・・への字で絞り羽根の開閉角度の方向性を「逆転させてしまう発想 (長辺側と短辺側とで絞り羽根の開閉角度の向きがヒックリ返るから) に合わせて、その時に同時にチカラの相殺まで処置してしまう発想力」が凄いと言っているのです(涙)

・・凄いと思いませんか???(驚)

しかもこの「制御キー」のへの字型の切り欠き/スリット/溝をよ〜く観察すると、実はへの字型の頂点でカタチがグィッと曲がりが入っているのが分かります。この「グィッと曲がっている処で、なんと絞り羽根は一気に完全開放にまで開き切る動きを実現させている」のが鳥肌
モノなのです (実際一番最初にこの原理を理解した時は、両腕の鳥肌が凄かった)!(笑)

そういう気概が在ったからこそ、ニッポン人たる細やかさが、実を結んでいるのだと感じ入ってしまいます(涙)

・・こういう細かな要素こそが「観察と考察」の賜で、そこから設計概念を汲み取れる(涙)

↑同じ鏡筒を撮影していますが、今度はヒックリ返して前玉側方向から撮っています (一つ前の写真は後玉側方向からの撮影)。するとご覧のとおり、6枚全ての絞り羽根のお尻だけが顔出ししています (赤色矢印) が、正しいのは「内側にグルッと同じ幅で絞り羽根のフチが顔出しするのが適切な位置」です。

どうしてそれが適切と明言できるのかと言えば、そもそも絞りユニットに刺さっている、絞り羽根のカタチからして、物理的にフチが飛び出るサイズとカタチなのが明白だからです (フチが飛び出ないように刺すことができないサイズとカタチだから)(笑)

逆に言えば、この絞り羽根のフチの一部が全周に渡り均等に現れている状況で、その時にこの背後に光学系第4群の光学硝子レンズコバ端が近接すると、まるで申し合わせたが如く(笑)、キレイにピタリとコバ端のギリギリまで絞り羽根が来ているのが分かります。

・・だから、このようにフチの一部が現れるのが正しいのだと明言できている!(笑)

決してテキト〜に自慢話の如くウソを述べているワケでは・・ありませんね(笑)

当初バラした直後に調べた時、絞り羽根のフチの一部が現れているものの、その重なり方は
均一ではなく「数枚の絞り羽根は飛び出し量が多かった」が為に、結果的に最小絞り値:f16
に閉じた時に「絞り羽根が閉じすぎていた」裏を返せば「完全開放時にキレイに揃っていなかった」とも指摘でき、いちいち操作した時の結果が逐一適合し理に適うからこそ「原理原則」に照らし合わせ「それはおかしい」とか「正しい動き方」とかの判定に達するのです(笑)

・・従って当方の判定を覆すには、相応に駆動状況を説明できるスキルが求められます(笑)

↑前出のオーバーホール工程写真をもう一度掲載しています。

結局、今回のオーバーホール/修理ご依頼内容の一つ「筐体のガタつき」の引き金になっている瑕疵について、その原因を突き止めました。

前のほうで掲載した最初の写真で、今回の個体から取り出した時の「制御キー」の固定位置で
は、途中で応力に反応してしまい引っかかって止まることが数回に1回程度の頻度で起きて
いました(汗)

然し、何しろ「制御キーの締付ネジが一番古い時代の褐色系の固着剤で固められていた」が為に、今までの過去メンテナンス時に一度も外されずにきたのです(笑)

当方同様「この褐色系の固着剤は、製産時点に塗布された固着剤 (つまり製産時点の固定位置を意味することになる)」と考え、誰一人この「制御キーを取り外さなかった」のです(笑)

・・結果、長年ず〜ッと「ごまかしの整備」が継承されていったのです(笑)

制御キーのへの字型切り欠き/スリット/溝」と「自らがクルクルと回る小さな伝達筒」そして最も重要な「非常に細い線系のトーションバネ (捻りバネ)」の存在と、最低でもこれら3つの介在構成パーツが在ればこそ「絶大で強力なチカラを及ぼし続ける鏡筒外回りの引張式スプリング」のチカラが、とても細かく繊細に減じてコントロールしていけたのです(涙)

そしてこれらの根本的な発想の源は「この当時のKONICA製オールドレンズに共通項的に採用され続けていた半段ずつの絞り値 (絞り羽根開閉) 制御」なのです!(驚)

それは後に出てきますが、基台の内側両サイドに用意された「執拗な絞り値キーの存在」からも明白です(驚)

当時の多くの競合光学メーカーが「開放f値〜最小絞り値の手前までしか半段刻みに設計しなかった→例:f11まで半段ずつなるも、f11〜f16は一段で絞り羽根が閉じきってしまう」のに、当時のKONICA設計陣は「キッチリ最小絞り値まで完璧に半段絞りを維持し切る」ことにこだわり尽くしたのです(驚)

その結果基台の両サイドに「絞り値キー」と言う、絞り環操作時のクリック感を実現し、且つ設定絞り値をセットできる「鋼球ボールが入る穴が開いている細長い (弧を描いた) パーツ」を用意しています。

・・ここが当時のKONICA設計陣のこだわりのポイントです!(驚)

光学設計に於いて、最小絞り値側までキッチリと (最後まで) 入射光制御を続けたかったのです(汗)・・逆に言うなら、最小絞り値で絞り羽根がほとんど閉じきってしまう状況の中「それでも回折現象の影響を最小限に食い止めて描写性能を発揮させ続けたい」とのKONICA設計陣のモノの見事な意思表示の体現なのです!!!(驚)

実は、当方は以前から「どうしてこの当時のKONICAはガチガチとした操作性にしか仕上がらない、半段絞りの設定絞り値にこだわったのか???」との疑念が晴らせず、常に消化不良が続いていたのです(涙)

もちろん後の時代には「AE機能に移行」していく過程の中で、そのこだわりを魅せた「半段絞り」は一段絞りへと次第に墜落していきました(涙)

然し、それは裏を返せば「当時のKONICA設計陣の光学設計に対する徹底したこだわり/意地の現れ」ではなかったのかと、当方では受け取っています。

このように全ての出発点が「最小絞り値まで徹底的に半段絞りで入射光を制御させる光学設計の重要性」であり、それはどんだけ光学設計に自信を持っていたのかを/自負していたのかを
表している「設計陣の意思表示」だったのではないかと・・みています(涙)

その意味で、確かに今現在になれば、この当時のKONICA製オールドレンズは、その経年劣化進行に伴い「なおさらに絞り環操作はガッチガチな違和感に至っている」ものの、その因果/背景が分かると「そうだったんだぁ〜(涙)」と、ロマンス派な当方などは、むしろ感無量だったりします(笑)

・・しかしリアルな現実の話、この絞り環操作は違和感以外の何モノでもない(涙)

↑上の写真もオーバーホール工程を進めている途中の撮影です。取り外して「磨き研磨」を施してから制御キーを固定しました。グリーン色の矢印で指し示している、左右の締付ネジで固定する時の微調整により「への字型の切り欠き/スリット/溝の位置が極僅かに変化する」ので、先ずはここの微調整で丸っと「2時間を要した」と言う、如何に当方の技術スキルが低いのかを露わにする工程だったりします(笑)

これら左右の締付ネジは「今ドキの青緑色固着剤」を使い、ちゃんとネジ部に塗布しています (何故なら嫌気性の固着剤だから)・・ネジ頭の上から覆って塗布しません(笑)

逆に言うなら「製産時点は当初の冒頭写真の如く、ネジ頭の上を覆うように塗布しない」とも言い替えられます(笑)・・その根拠は、そもそも固着剤の諸元書を確認すれば一目瞭然ですが(笑)、ネジ緩みが生ずる時のチカラの強さに、どれだけ耐えられるのかです(笑) 単にネジ頭を覆っただけの塗布では耐えられませんが、ちゃんとネジ部に塗布すれば正規の諸元値どおりの耐性を持ちます(笑)

従って、上の写真赤色矢印で指し示しているように「6枚の絞り羽根全てが全周で同じようにキレイに揃って重なり合い、均一に真円状態で完全開放するように戻った (お尻だけ飛び出ていない)」次第です (上の写真撮影時は開放状態に設定してあり、6枚の絞り羽根が全て開き
きっています
)(笑)

ちなみに、上の写真の状態ではカムの「伝達筒」が「への字の短辺側に居る」ので、ブルー色の矢印の区間で動いても絞り羽根は常に上の写真の完全開放を維持し続ける」と言う設計どおりの動き方をします・・逆に言えば、もしも固定位置が適切ではなかったら、この短辺側に「小さな伝達筒」が移動しても、絞り羽根が極僅かに動いてしまい「顔出し現象が起きる」と言う不適切な動きの道理がとおるワケですね(笑)

それは前述のとおり、鏡筒外回りをグルッと回る引張式スプリングのチカラにより「絞り羽根は常に閉じきっている」状態になるものの、フィルムカメラにこのオールドレンズが装着されると「開閉レバーが勝手に (フィルムカメラ側から) 操作されて完全開放状態にセットされる」からこそ、フィルムカメラのシャッターボタン押し込み動作により「瞬時に設定絞り値まで絞り羽根が閉じる」その速さは、まさに引張式スプリングの強力な引っ張るチカラの効果により「シャコン!」と絞り羽根が閉じるのです(笑)

従ってこのモデルの場合「EE機能」を装備しているので、完全開放側で常時絞り羽根が開ききっている状況を維持させる際「への字型の切り欠き/スリット/溝部分の短辺側で絞り羽根が微動してはイケナイ」ワケで、短辺側に「小さな伝達筒」が居る時は、何処の位置に居ても「絞り羽根は完全開放を100%維持し続け微動だにしない」動き方が設計概念なのだと納得できるのです(笑)

この「短辺側」をちゃんとよ〜く観察できている人なら、決して水平の切り欠き/スリット/溝ではない (極々僅かに弧を描いている) のが分かるので、それはそもそも「制御キー」が「開閉操作環」に締め付け固定されて、円運動の中で絞り羽根の開閉角度を決める原理だから、当然ながら水平の切り欠き/スリット/溝の設計であってはイケナイのが自明の理です(笑)

・・このように全てには「原理原則」があるので、それを一つずつ実証しているだけです(笑)

当方の技術スキルが低いと自ら明言しているその根拠は、こういう時の解説からこそ明らかになるワケで(笑)、こんな工程作業に何一つ「高い技術スキル」など必要ありませんね(笑)・・
従って「原理原則」が分かっている整備者なら、誰でも簡単に組み上げられます(笑)

何処のプロのカメラ店様や修理専門会社様でも、容易く整備できる内容ばかりです(笑)

↑「開閉操作環」がブルー色の矢印のように回ると、ご覧のように「最小絞り値までどんどん絞り羽根が閉じていく」ワケですが、その時「への字型の長辺側に伝達筒が移動している」ので、上の写真のとおり見えない位置に入っています(笑)

↑今回の個体のオーバーホール工程の途中です。

基台 (微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工)
絞り羽根開閉制御伝達環
鋼球ボール保持環
締付固定環

までがセットでグリーン色の矢印で指し示した位置に組み込まれます。またブルー色の矢印で指し示している位置に鋼球ボールが6個セットされます。

↑「絞り羽根開閉制御伝達環」には「伝達レバー」と「ストッパー」は締付ネジにより、グリーン色の矢印で指し示した位置にそれぞれ締め付け固定されます。また鋼球ボールがスライドする場所をブルー色の矢印で指し示しています。

ここでのポイントは「締付ネジの種類」です(笑) 50年前後昔の一番最初のメンテナンス時に、やはり整備者の手により間違った締め付け方法を執られ、ず〜ッとそのまま何十年間も
触られなかったようです(笑)

↑その理由が上の写真です。赤色矢印で指し示した位置に「褐色系の固着剤が挟まっていた」為に、これら「褐色系の固着剤が製産時点ではないと確信した」次第です(笑)

何故なら、金属製レバーのほうで使っている締付ネジは「皿頭ネジ」なので、固着剤を赤色矢印で指し示している位置に挟んで固定する必要性が一切ありません(汗) 同様に樹脂製ストッパーのほうもそのネジ頭から「位置はズレないものの、むしろ樹脂材の応力分が逆に求められている」からこそ、設計者は金属製ではなく樹脂製のパーツにしています・・赤色矢印の位置で応力反応が必要だからです。

結果、それぞれグリーン色の矢印で示したようにレバー側は厚みが増してしまい干渉の原因になり、一方ストッパーのほうも鏡筒の外回りをグルッと回っている強力な引張式スプリングのチカラを相殺する意味合いから「樹脂製のストッパーにしてきた」のに、その意義を減じられてしまいます(涙)

何故なら、このストッパーに (引張式スプリングのチカラで) 勢い良く突き当たるのは「絞り環との連携アーム」であり、その連携時の結果が最終的に「例のへの字型の切り欠き/スリット/溝に伝達されていく」からと明言できます(汗)

だからこそ「金属同士の突き当て停止にせず、ここで一旦不必要なチカラの反発を相殺しきってしまい、適切なチカラだけをへの字型の制御キーに伝達させる」為に、樹脂製のストッパーとして設計してきたのです(涙)

・・だからこそこの樹脂製ストッパーに起きる余計な応力反応は一切除去すべきなのです。

それこそがこの黄鋼材で造られている締付ネジのネジ頭の意味です(笑)・・皿頭ねじとナベ頭ネジなど、凡そちゃんとネジ頭の違いに役目と目的が備わります(笑)

はたしていったいどだけの整備者が、これらの意義を適切に明確に掴み、設計者の企図に沿いオールドレンズを組み立てているのでしょうか???(笑)

・・「観察と考察」はそういうとても重要な工程の一つであり、決して蔑ろにできません!

結局、今回のこの個体では「開閉レバーの厚みが極僅かに増した分が抵抗/負荷/摩擦の発生源となり、最終的に距離環を回すトルクを重くしていった」と言う「チカラの伝達経路の確認」が蔑ろにされたままの過去メンテナンス時の整備者の落ち度です(汗)

しかも、固着剤で固められている箇所は触らない (何故なら既に適切な微調整が終わっているから) などと明言しているバカな整備者が多いのがリアルな現実の話で(笑)、そもそも「その
適切な微調整とは、いったいいつの話なのか???
」すら答えられません(笑)

一方当方は「観察と考察」に拠るこれらの事実から、過去メンテナンスがいつのタイミングで執られたのかを指摘できます。今まで解説してきたとおり50年近く前の、ほぼ一番最初の整備時にそもそも間違った所為が執られたのが大きな問題だったのに、固着剤のせいで誰も触られないまま経年してきただけなのです(笑)

・・これがバカな話だと、どうして言えないのでしょうか???(笑) 笑えます!(笑)

微調整は必ず整備したその都度施されるべきであり、過去の固着剤は100%全て除去し、自らの手で再び必要箇所だけに固着剤を塗布する」べきなのです(笑)・・至極当たり前の話
を述べているにすぎません!(笑)

↑結果としてどんな問題に影響を及ぼしたのかを説明しているのが上の写真です(汗) 鏡筒の
裏側に備わる「絞り羽根開閉操作環」にある飛び出ているキーが「開閉操作ガイド/溝」刺さったままスライドしていく時 (グリーン色の矢印) に「抵抗/負荷/摩擦が増大してしまった
次第です(笑)

要は距離環を回して鏡筒の繰り出し/収納をする時、その直進動の「移動量開閉操作ガイド/溝の長さ」だからです(笑)

すると一つ前の工程で解説した「余計な必要がない固着剤を塗布した結果、抵抗/負荷/摩擦が増大して鏡筒の移動時に重くなった」からこそ、ここのガイド/溝に「白色系グリース」を塗ったくっていました(汗)

白色系グリース」なので、当初バラした直後は既に「グレー色に変質」しており、アルミ
合金材の摩耗粉が混ざっていました(汗)

つまりこうです・・今回の個体でオーバーホール/修理ご依頼内容の一つ「距離環を回すトルクが重すぎる」の根本原因は、前述した「への字型制御キーの固定位置ミス (微調整ミス)」で
あり、プラスして「固着剤の間違った使い方」により鏡筒の繰り出し/収納時に不必要な抵抗/負荷/摩擦が増大してしまい、その抵抗/負荷/摩擦がソックリそのまま「距離環のトルクを重くしていった」因果へと繋がっていったのです(汗)

・・今までの50年間、誰一人整備者はこの流れに気づかなかった(笑)

このような事実が、どんだけバカらしい内容なのか、どうして誰も指摘しないのでしょうか?
ネット上の整備作業解説サイトを観ていると、誰一人これら固着剤の話を述べている整備者が居ません(笑)・・頭悪いんじゃないですかねぇ〜???

決して経年劣化進行に伴いトルクが重く変わってしまった話ではありません!(笑)・・とても多くの整備会社で「何でもかんでも経年劣化のせいにしてしまうアホな説明」ばかりが横行していますが、そう言うなら、どうして今回の当方のオーバーホール/修理で、この個体の距離環を回すトルクが劇的に軽く仕上げられたのでしょうか???(笑)

・・プロのカメラ店様や修理専門会社様! 説明してみてくださいョ!(笑)

↑「開閉操作環」が6個の鋼球ボールにより組み込まれる (ブルー色の矢印) とこうなります。上の写真を見れば一目瞭然ですが「開閉操作環の外径サイズは、基台内側の組み込み箇所の内径サイズよりも、さらに小径 (小さい)」なので、結果的に「鋼球ボールの半径分だけで開閉操作環を保持して支えている」設計です(汗) グリーン色の矢印で指し示しているのが絞り環からの設定絞り値伝達ガイド (溝) ですね(笑)

・・つまりここに抵抗/負荷/摩擦が起きる要素が残っていてはイケナイのです(笑)

↑ヘリコイドメス側と距離環の関係性ですが、そこに「制限環と言う環/リング/輪っかが介在する設計」です(汗)

これら環/リング/輪っかを見ていくと一目瞭然ですが「イモネジ用の下穴が製産時点から明確に用意されている」のが、実はポインなのです(笑)

↑上の写真はこの「制限環」に使う3つのイモネジです。一般的なイモネジは以下の左写真解説になります。

イモネジ
ネジ頭が存在せずネジ部にいきなりマイス切り込みが入るネジ種でネジ先端が尖っているタイプと平坦なタイプの2種類が存在する。

大きく2種類の役目に分かれ、締め付け固定位置を微調整する役目を兼ねる場合、或いは純粋に締め付け固定するだけの場合がある。

ところが、上の写真を見ると分かりますが、右側に並べた2個のイモネジは、左上の写真のタイプのイモネジと同じ「尖ったネジ部の先端」であるものの、左側の1個だけは「ネジ部の先端が平坦なので純粋な締め付け固定の役目 (締め付ける位置を微調整しない)」であり、これが意味するのは一つ前に出てきた「制限環を単に締め付け固定するだけの役目」が明白です。

さらに指摘するなら、その「制限環」が締め付け固定される先は「ヘリコイドメス側であり、その下穴に締め付けられる」ので、これらイモネジをギッチギチに強く締め付けると「アルミ合金材削り出しの制限環は簡単にすぐに撓ってしまう」のがバカでも理解できます(笑)

要は「これら3本のイモネジは軽く締め付けるだけの目的で用意された」ことが明白になり、単にそのように組み立てていけば良いだけです (何一つ高い技術スキルなど必要なし)(笑)

↑上の写真は既にヘリコイドオスメスをネジ込んであり、当然ながら「制限環」も入っています。赤色矢印で指し示している箇所には「経年劣化進行に伴う白サビ」が相応に残っています (ヘリコイドネジ山の谷部分の底にあたる)。

ここで注目すべきは「上の写真中央に位置する制限環に残るイモネジの締め付け痕やキズの痕」であり、これが意味するのは「過去メンテナンス時に間違った位置で距離環を締め付け固定していた」のがバレます(笑)

↑一方こちらはヘリコイドオス側ですが、ヘリコイドオス側の先端部分は「そのままフィルター枠に一体切削されている」造りです。

すると赤色矢印で指し示している箇所にブクブクと泡の跡のように「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工された塗膜の凹凸に生じた白カビの跡」が分かります。またグリーン色の矢印で指し示している箇所には「白カビの芯の痕」であり、これら白カビはメッキ塗膜面を侵食していくので、当方の手による「磨き研磨」を施しても、完全除去できません (除去するにはメッキを剥がすまで削る必要が起きる)(汗)

では、どうしてこれらヘリコイドオス側のフチに白カビが繁殖していたのでしょうか???(笑)

それは例え塗布されていたのが「黄褐色系グリース」としても、経年の中で揮発油成分に拠る「界面原理」と「吸引原理」から水分が引き留められ、その水分の中の有機成分を糧として「白カビ」がメッキ塗膜面の微細な凹凸に繁殖していったのです(涙)

ヤフオク!で「分解設備済」を謳いヤフオク!出品している整備者が居ますが(笑)、その整備者の出品ページを読むと「アルミ合金材の酸化に拠り保護膜が形成される為、サビやカビに
耐性を有する
」と述べられていますが・・ならばどうしてここに白サビが繁殖していたのでしょうか???(笑)

もっと言えば、どうしてヘリコイドオスメスのネジ山谷底に「白サビ」が残っているのでしょうか???・・ヘリコイドのネジ山はグリースに覆われるので、酸化やサビに耐性を有すると同じような解説されていますが、ならばどうして白サビが谷底に残るのでしょうか???(笑)

・・解説とリアルな現実の辻褄が全く合致していません!!!(笑)

その出品者の出品ページを読むと「水没しない限りヘリコイドのネジ山が酸化/サビる因果に至らない」と述べられていますが、今回扱ったこの個体は、過去に水没していたのでしょうか
???(笑)

・・全く以てバカバカしくて笑いを通り越して呆れるしか残りません(汗)

こういう「観察と考察」ができないクセに、如何にもありがたいみたいな押し付け根性に自ら浸り切って「分解整備済」を謳い、それを「まさにありがたがって落札していくバカどもが
居る
」から、また笑えます(笑)・・世も末ですねぇ〜(笑)

ヘリコイドオス側 (フィルター枠を兼ねる) の内側には、1箇所だけに「直進キーガイド (溝)」が切削されています。その溝に手前に並べて撮影している「直進キー」と言う板状パーツが刺さり (ブルー色の矢印)、スライドすることで鏡筒の繰り出し/収納が適う原理です。

直進キー
距離環を回す「回転するチカラ」を鏡筒が前後動する「直進するチカラ」に変換する役目

直進キーガイド
直進キーが直進動でスライドして移動するガイド/溝であり鏡筒の繰り出し量をカバーする

↑この「直進キー」をヒックリ返して反対側を撮影していますが、ご覧のとおり赤色矢印で指し示している箇所に打ち込みが2本残っています。この2本の打ち込みは製産時点に処置されています (この黄鋼材のカジリ付を防ぐ目的で打ち込んでいる)。

このように金属材同士は、互いが接触しながら擦れ合う時にカジリ付 (擦れ合う摩擦熱が引き金になり金属材同士の局所的な熱融解融着が起きる) が起きます。

すると、そもそも互いが接触しているものの「スライドしていく際の平滑駆動に至っていない箇所/面だからこそ打ち込みしている」との道理がとおります(笑)

これを未だにとても多くの整備者が間違った思い込みに支配され続けており(笑)、ブルー色の矢印で指し示しているこの平坦な板状面のに「グリースを塗ったくる」始末です(笑)

違います・・互いが確実に接触しながらスライドしていく場所は「グリーン色の矢印で指し
示している側面
」であり、ここが擦れ合うものの「瞬時にスライドしていく」為に、移動する時のチカラがここに蓄えられません(笑)

逆に言うなら、もしも仮にこの「直進キー」の場所に、距離環を回している時の掴んでいる指から伝わるチカラが蓄えられるなら「とても重いトルク感に変わってしまう」ハズですが、ちゃんと組み上げられていれば軽い操作性で距離環を回せます(笑)

・・つまりここにチカラは蓄えられません!(笑)

イコール、この「直進キーとガイドのみぞ部分には一切グリースが必要ない」にもかかわらず、トルクに影響を及ぼしていると長年信じられ、整備者の手によりグリースが塗ったくられ続けています (未だに白色系グリースを塗ったくる整備者ば・か・り)(笑)

・・どんだけ頭が悪いのかと思ってしまいます(笑)

逆に言うなら、当方は今までのオーバーホール作業で、この「直進キーとガイド (溝)」にグリースを塗ったことがありません (旧東ドイツ製オールドレンズのように直進キーが変形してしまっている場合を除く)(笑)

↑ヘリコイドオスメスを適切なネジ込み位置でネジ込んで基台をセットしたところです。つまり「もう既に黄褐色系グリースのヘリコイドグリースが塗られている」のを明示する為に、ワザと故意に露出を落として暗く撮影して「黄褐色系グリースの黄色い色合いが目立つように撮っている」ものの、分かりませんね(笑)

当方が塗布するヘリコイドグリースの塗布量は、このように徹底的に微量です(笑) 例えばヘリコイドネジ山の「谷底に残っていた白サビはそのまま残したまま仕上げている」ワケで、ムリヤリ何でもかんでも研磨していません

その理由は「ヘリコイドグリースに頼った整備を一切しない」とのポリシ~があるからです(笑)

当方はヘリコイドグリースに頼った整備を執らず、必要な「磨き研磨」しか処置しません(笑) 何故なら、ヘリコイドネジ山の谷底がヘリコイドグリースで覆われていたのなら、これら経年劣化進行に伴い酸化/腐食/サビが起きた長い時間の結果は「そのまま残すべき」だからです。

逆に言うなら、ヘリコイドのオスメスのネジ部で「凹凸の山谷は互いが全ての領域で100%接触していない」ので、谷底にグリースが溜まっていたのに、経年劣化進行に伴い白サビが生じたのなら、それ以上酸化/腐食/錆びが進行しない/促進されないレベルを保ったほうが良いとの判断から来ています。

もっと言うなら、それをムリヤリ研磨してしまってハダカにしたら、これからまた何年かの
時間を掛けて酸化/腐食/サビが進行していきますが、既に研磨でクラックが増大している分、その酸化/腐食/サビの程度/レベルは「より深刻化していく」懸念が高まるので・・手を加えないのです(笑)

もしも手を加えるなら、その所為の後でちゃんと該当箇所に「酸化被膜を構築」させるべきであり、当方ではそれを指して「エイジング処理」と述べています。そうしないと前述のとおり
再び数年で経年劣化進行に伴う酸化/腐食/錆びが促進され「何の為に整備したのか???」との話に到達します(汗)

当方が自ら処置した整備済品をお金を払って回収し (つまりオークションで再び出回った際に落札して入手している)、最大値で8年前の整備品についてまで、その経年劣化進行を把握している根拠がそれです (6年前、7年前、8年前まで回収し、再び完全解体し内部状況を調査し
当方が施したオーバーホールの所為に対する経年劣化進行度合いを検証している
)(笑)

・・単に頭でっかちになって決めつけるのではなく、リアルな現実に回収し検証している。

分解設備済」を謳う、アホなヤフオク!の出品者とは、ヤッている内容が別次元です!(笑)
・・一緒にしないでもらいたいですね。当方は「グリースに頼った整備をしない」ので、真似して「黄褐色系グリース」を塗布するものの、そのヤフオク!出品者の掲載写真を観れば明らかに塗布量が多いので、はたしてどうなのでしょうかねぇ〜(笑)

互いに接触する金属材同士なら、何でもかんでも研磨すれば良いとの「一方的な結論」に固執して処置するから「ごまかしの整備」がいつまで経っても消えません(涙)

↑上の写真は冒頭で述べた「絞り値キー」が基台の両サイドに備わるのを赤色矢印で指し示しています。右横に斜めに立てかけているのが絞り環です。

↑ここがポイントであり、同時に『証拠写真』でもあります(笑)・・基台に絞り環をセットして、マウント面側の方向から撮影していますが (マウント部の爪はまだ被さっていない)、ご覧のとおり「絞り環が接触する箇所は極一部だけ」なのを明示しています(笑)

然しこの当時の多くのKONICA製オールドレンズの個体で、この絞り環の部位にはやはり「白色系グリース」が塗ったくられます(笑)

今回のオーバーホールでは上の写真のとおり「当方は一切ここにグリースを塗りません」し、そもそも絞り環操作時にガチガチと違和感を感じるクリック感に至る「鋼球ボール+スプリング」が入る場所がグリーン色の矢印で指し示した2箇所です (赤色矢印で指し示している絞り値キーの直上)。

従ってここに入った鋼球ボールがスプリングの反発力で反対方向にチカラが及ぶので「マウ
ント部を被せてもその反発力分のマチが備わる
」為に、このモデルの「絞り環にガタつきが
現れる
」のは、僅かなガタつきなら「それは設計上の仕様」と捉えるべきであり、それ以外
の何モノでもありません(汗)

もしも仮にスプリングの反発力の分のマチを用意しなければ、マウント部を被せた時には
絞り環操作が異常に重く変わり、ガチガチだけではなくなるのが明白だからです(汗)

つまり今回のオーバーホール/修理ご依頼内容の一つ「筐体ガタつきの中の絞り環に係るガタ
つきの要素は改善できません
」と言う話に至ります(汗)

↑最後に、今回の個体は光学系第1群前玉の締付環に「外側を工具で掴んで回そうとした痕
(キズ) が残っていた」ことを撮影しています。

↑今回出品の個体を完全解体した時のパーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はHEXANON 57mm/f1.4 EE《中期型−II》(AR)のページをご参照下さいませ。

ここまで掲載したオーバーホール工程の写真は「全て過去扱い品/個体からの転載」です。オーバーホール済でヤフオク! 出品する際の個体写真とは一部に一致しない場合があります。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホール/修理が完了したオールドレンズの写真になります。

↑完璧なオーバーホール/修理が終わりました。距離環を回すトルクは「軽め」に大幅に改善できたものの、絞り環のガタつきはわずかに残っています。その一方で筐体外装のガタつきは消えています (絞り環の僅かなガタつきだけ現れる)。

↑この当時のKONICA製オールドレンズにしては「まさに驚異的なクリアな光学系を維持」しています!(驚)・・もちろんLED光照射でコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリなど皆無です(笑)

↑光学系後群すらカビ除去痕一つ残っていない始末です!(驚) こんな状態が良い光学系を残したこのモデルは、本当に久しぶりに見た印象です(涙)

↑冒頭でさんざん解説したとおり「適正な制御キーの固定」に組み上げたので、製産時点の絞り羽根開閉角度に戻っています(笑)・・絞り羽根が閉じる際は「完璧な六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑塗布したヘリコイドグリースは「黄褐色系グリース」ですが「軽め」のトルク感に大幅に改善でき、もちろん当方独自の「ヌメヌメっとしたシットリ感漂う操作性の良さ」に仕上がり、ピント合わせの際は掴んでいる指の腹に極僅かにチカラを伝えるだけでピントのピーク/山の前後動が適います。

このモデルのピントのピーク/山の訪れは「ゆっくりピークを迎える」ものの、その被写界深度は開放側になればなるほど「相当狭い/浅い」ので、確かに距離環を回すトルクが「重い」と辛すぎです(涙)

・・最短撮影距離:45cmまで素晴らしい感触と軽さを、是非ともご堪能下さいませ(笑)

↑無限遠位置は当初よりも「さらにオーバーインフ量が増えている」ものの、これは前述のとおり「制限環固定の際に用意されている下穴だけを使って組み上げたから」ともご報告でき、それが明示するのは「出荷時点に戻った無限遠位置」とも明言でき、無理強いせずに「ありのままの姿」として仕上げました。

その根拠の最大の理由は「絞り羽根を閉じるチカラと開くチカラのバランスに細かな工夫を伴うから」とも言いかえられ、それこそがまさにKONICA設計陣のこだわり「半段ずつの絞り値入射光制御」であり、詰まる処「光学設計至上主義」との姿勢だからです(涙)

・・当方ではこういう面をオーバーホール/修理の際に最大限最優先しています!(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置から僅かに増大/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離57㎜開放F値f1.4被写体までの距離90m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度45m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、50m辺りの被写体にピント合わせしつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の90m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には
応えられません

↑当レンズによる最短撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2」で撮影しています。

↑さらに回してf値「f2.8」での撮影です。

↑f値は「f4」に上がっています。

↑f値「f5.6」になりました。

↑f値「f8」です。

↑f値「f11」での撮影です。次の最小絞り値も相変わらずの半段絞りのままでガチガチです(笑)

↑最小絞り値「f16」での撮影です。絞り羽根が閉じきっていますが「回折現象」の影響は微塵も見えません。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。

今回のオーバーホール/修理ご依頼、誠にありがとう御座いました。引き続き次の2本目作業に入ります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

いくらでも市場に転がっている当時のKONICA製オールドレンズですが(笑)、それとは真逆に当時のKONICA設計陣の気概に感じ入る「素晴らしい光学描写性能」を堪能できる逸品だと信じています!(涙)

皆様にもこのKONICA製の写りを、是非ともお薦めしたい気持ちでいっぱいです!(涙)