◎ MIRANDA CAMERA K.K. (ミランダカメラ) AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8《最後期型》(M42)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク!出品するモデルは、国産は
ミランダカメラ製標準レンズ・・・・、
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8《最後期型》(M42)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた13年前からの累計で、当時のミランダカメラ製標準レンズの括りで捉えると14本目にあたりますが、その中で「50mm/f1.8」だけでカウントすると僅か3本目。さらに今回扱った「M42マウント規格品」は初めての扱いと言う状況です。

MIRANDAの一眼 (レフ) フィルムカメラに採用したマウント規格は、とても珍しいダブルマウント規格で「外爪をバヨネット式のMB (MIRANDA Bayonet) マウント規格」さらに「M44スクリューを
内側にも備える
」ダブルマウントです (主体的に使うのはMB)。
(右写真は現在市場流通するMB→SONY Eマウントアダプタ製品)

パッと見ではカメラ側マウント部に爪があるので、CanonのFDマウント方式のような印象を受けますが「オールドレンズ側マウント部に用意されているスピゴット環を回して締め付け
固定する方式
」とは異なり、オールドレンズ側本体を回して締め付け固定するバヨネット方式です・・要は「爪がカメラ側マウント部に備わるか、オールドレンズ側マウント部に用意されているかの違いだけの話」であり、オールドレンズ側を回して締め付け固定する手法は同じなのでバヨネットマウント方式と受け取れます。

バヨネット (bayonet)
小銃などの銃口に装着する銃剣で、差し込んでからさらに回すことで固定される方式

ミランダカメラの前身は戦後すぐの1948年に創設したオリオン
精機産業有限会社ですが、1955年に国産初のペンタプリズムを
装備した一眼 (レフ) フィルムカメラ「MIRANDA T」を発売し、
合わせてオリオンカメラ株式会社に社名変更の後、1957年に
ミランダカメラとしています。
(右写真は1955年発売時点のMIRANDA T-1)

その後MBマウント規格の一眼 (レフ) フィルムカメラ製品を発売し
続けますが、1970年クィックリターンミラーに内蔵させたミラーメーターによる絞り込み測光TTLメーターを実現した一眼 (レフ)
フィルムカメラ「MIRANDA SENSOMAT RE」を発売します。

その後1974年に一眼 (レフ) フィルムカメラのマウント規格を「M42マウント規格」に変更した「MIRANDA SENSOMAT TM」や、Soligor (ソリゴール) ブランド「SOLIGOR TM」も
発売し、さらに翌年1975年には「MIRANDA SENSOMAT RE」のペンタプリズムカバー上部にホットシューを装備した「MIRANDA RE-II」も発売しますが、合わせてドイツの写真機材商社向け輸出仕様「PALLAS TM」も発売しています。

↑上の写真は、左端から順に MIRANDA TM (1974年)、MIRANDA TM (1975年)、SOLIGOR TM (1975年)、PALLAS TM (1974年) です。

これら「M42マウント規格」の「TM刻印モデル」は、従前「MBマウント規格」品マウント部を、そのフランジバックの調整から延伸させた上でモルトを張り付けて仕上げています・・それぞれのフランジバックは「MBマウント規格41.5㎜」に対し「M42マウント規格45.46㎜」になり「3.96㎜のマウント部延伸」と言う次第です。

ちなみにこれら「TM刻印」は「hread ount (ネジ込みマウント)」の略になります。

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一眼 (レフ) フィルムカメラ側の変遷はこのような流れになりますが、今回扱ったAUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8《最後期型》(M42)』についての登場背景も探っていきます。

が然し、ハッキリ言って今回オーバーホール済でヤフオク!出品するこの個体は、ネット上で今まで目にすることがなかった『最後期型』なのが確定して
います・・はたしてそこに希少性を見出すか否かは人それぞれですが、少なくとも「明確な特異点」が分かっています。

先ず、このモデルの登場背景を探る際にその基準としなければならない要素が判明したので、上記「明確な特異点」とは別に、先にそこから解説します。

↑上の写真は、今回のモデルがセットレンズとして登場したタイミングの1974年発売一眼 (レフ) フィルムカメラ「MIRANDA SENSOMAT TM」の取扱説明書の表紙 (M42マウント
モデル
)(左) と、その原型たる1970年発売「MIRANDA SENSOMAT RE」の同じく取扱説明書の中から、セットレンズとその光学系が掲載されているページの抜粋です  (MBマウントモデル)(右)。

載っているセットレンズを見るとAUTO MIRANDA 50mm/f1.8とあり、典型的な4群6枚のダブルガウス型構成なのが分かります。
(該当モデルを以前オーバーホールした際のリンクを施してあります)

そして右構成図は今回のオーバーホールで完全解体した際に光学系の清掃時、当方の手によりデジタルノギスを使い逐一全ての光学硝子
レンズを計測したトレース図です。

上記右の取扱説明書掲載の構成図と100%同一なのが確認できました。掲載構成図は「MBマウント規格品」のほうの構成図が載っていますが、今回扱った「M42マウント規格品」も同じ光学設計だった点が確定したことになります (デジタルノギスで計測した平均値の計測時誤差は最大でも0.04㎜)(驚)

確かにネット上でもそのように解説されていることが多いワケですが、実際に4群全ての外形サイズや曲がり率などまでちゃんと計測した結果として判明すると、それはそれでまた一段と安心感が増します(笑)

・・要はMBマウント規格品と同一の描写性能なのが確定した事になるから。

M42マウント規格品」なので扱い易さは折り紙付きです(笑) さらに内部構造の同一性も指摘できるので「ミランダカメラ内製品」である点も、以下のオーバーホール工程をご確認
頂ければ分かるように解説していきます (以前扱った際のMBマウント規格品との比較で説明します)。





↑上の一覧は現在のネット上で確認できる、今回扱ったモデルと同型・・いわゆるレンズ銘板の刻印を変えただけ・・と思しき個体写真を「証拠」として列記しました。但し、 と最後
だけは特殊です (後でちゃんとその根拠を解説します)。

・・何しろ信用/信頼が皆無なので、いちいち証拠を載せないとイケナイのです(汗)

AUTO MIRANDA-TM 50mm/f1.8 (S/N:4900121)
PALLAS AUTO TM 50mm/f1.8 (S/N:1080563)
AUTO SOLIGOR 50mm/f1.8 (S/N:1081511)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1082472)
AUTO SOLIGOR 50mm/f1.8 (S/N:1083272)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1084663)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1085985)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1086xxx)
※他人のブログの為、他の写真を転用しボカしています。
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1087xxx)
※他人のブログの為、他の写真を転用しボカしています。
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1088926)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1089004)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1090965)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1091855)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:1092557)
AUTO SOLIGOR 50mm/f1.8 (S/N:1094771)
AUTO SOLIGOR 50mm/f1.8 (S/N:1096858)
AUTO SOLIGOR 50mm/f1.8 (S/N:1097613)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:7711179)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:7711306)
AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8 (S/N:7711xxx)

現在のネット上で確認できる個体写真やブログなどの掲載写真から、凡そ89本のサンプルの中からチョイスして「製造番号のシリアル値」増分を基に並べています。

上記の中で  だけが一眼 (レフ) フィルムカメラ「MIRANDA SENSOMAT TM」取扱説明書の表紙から引用しています。製造番号が「4900121」なのと合わせて、刻印のモデル銘も「AUTO MIRANDA−TM」となっており、フィルムカメラの発売時期が1974年としても
プロトタイプを装着しているのではないかとみています (市場流通が確認できない)(汗)

上の一覧を見ていくと、製造番号シリアル値の中で「MIRANDAモデル」の他にOEMモデルたる「SOLIGORモデル/PALLASモデル」が混在しているのが明白です。

の製造番号には、他にPALLASモデルも顕在しています。また には当方が以前扱って載せたオーバーホール工程のページもあるので、リンクを付してあります。 は他にSOLIGORモデルも確認できています。

これらの検証から、製造番号帯シリアル値の中で、混在してOEMモデルを製産し出荷して
いたのが間違いありません。

さらに判明した事実があり・・ は製造番号「1097613〜以降」が発見できませんでした。その代わり、 のように製造番号帯が変更になり「7711xxx」としているのが分かり
ますが、その中で今回扱った個体を最後にネット上には個体写真が現れません(汗)

そして最大の発見は・・一番最初の モデルの「フィルター枠部分が遮光環まで一体切削」だった事実と、さらにその後 まで全ての個体が「レンズ銘板から遮光環へと繋がる箇所は、6列がフィルター枠の部位として一体切削されていた」にもかかわらず、最後の (今回のヤフオク!出品個体) だけが「僅か3列しか切削が存在しない」点に於いて特異性が確認できます(驚)

これは光学系第1群前玉を締め付け固定しているのが遮光環であり、 までの19本
全てが同じ長さの遮光環切削です。さらにフィルター枠からの繋がりは完璧に接触しており
3列で切削をやめて残り3列分の空間が空いているワケではありません (製産後に人の手に
より削られてしまったワケではないと言う意味
)(汗)

ちなみに「MBマウント規格品」のほうには、一部の初期モデルに関し同様にフィルター枠〜遮光環までが一体切削で造られていたタイプが顕在するので、 の指摘事項については当方
自身は納得できています (但し製造番号からプロトタイプと捉えている)(汗)

結果、最後の (今回のヤフオク!出品個体) を「最後期に製産出荷された個体」と受け取ることができ、まさに倒産寸前の断末魔の中で造られた個体ではないかとみています (実際に
ネット上ではさらに続く製造番号の個体が現れない
)(涙)・・ヤフオク!出品個体なので、製造番号の下3桁を「xxx」表記としていますが、ご落札頂いたご落札者様お一人だけが本当に最後の番号なのが手にとって確認できる」点をご案内しておきます (但し現時点で以降の製造番号が確認できていないとの内容です/3列の遮光環切削なのは変わりようがない事実)(笑)

少なくとも の2本から製産されたシリアル値を1,000本 (7711000 〜 7711999) と捉えれば、その中で残る流通個体数は998本しか想定できず、さらにその中の1本 をご落札者様が手にするものの、遮光環切削から捉えれば『唯一の1本』を手に入れると述べて
いるのです
(笑)

・・どうでも良い内容かも知れませんが、希少性は人それぞれの感覚とも思いますから(汗)

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↑上の写真はFlickriverで、このオールドレンズの特徴的な実写をピックアップしてみました。
ピックアップした理由は撮影者/投稿者の撮影スキルの高さをリスペクトしているからです
(クリックすると撮影者投稿ページが別ページで表示されます)
※各写真の著作権/肖像権がそれぞれの投稿者に帰属しています/上記掲載写真はその引用で
転載ではありません。

一段目
MBマウント規格品」のAUTO MIRANDA 50mm/f1.8 (MB)」と光学系設計が同一なのが冒頭の解説のとおり判明したので、その描写性も同一と捉えられます(汗) 左端から円形
ボケの写り具合を確認していますが、すぐに溶けてしまうのか、やはり円形ボケのエッジが
明確に残らず消えがちです(涙) さらに相当な収差と乱れ具合が残るので、シ~ンによってはご覧のように見辛い印象に至ります。

二段目
いつもMIRANDA製オールドレンズを扱っていて不思議に思うのですが、或る特定の境界から突然滲み具合が強烈になり、あっという間にトロットロに溶けて行ってしまいます (良い意味として指摘しています)(汗) 合わせてピント面のエッジ表現が誇張されつつも違和感には決して至らず、ここから先にMIRANDA製オールドレンズお得意の表現性へと向かう要素が現れます。

三段目
何を隠そう、当方がこよなくMIRANDA製オールドレンズを慈しむ最大の表現性が、まさにこの段の実写です(涙)・・背景のボケ味が大きく貢献するのだと思いますが、ピント面の鋭さ感に誇張感が無いものの「絶妙な空気感を醸し出す」のが、いつ観ても堪らないのです!(涙)

或る意味ライカ製オールドレンズ達のまさにリアルな空気感「空気まで写す」表現性が、それは同時に「ドキドキ感/現場の緊張感/緊迫感まで写し込んでしまっている」とするなら、これらMIRANDA製オールドレンズ達の「空気感」とは「ほんのりと優しい表現性」であり、そこにライカ製オールドレンズ達に通ずる緊迫性は付随しません(汗)

緊迫感を伴う表現性は、間違いなく唯一無二の誉れ高い孤高の存在であるのは間違いなく、然しその一方で「こういう優しい雰囲気を残す空気感も・・ステキ」と思えてしまうのです(涙)

四段目
従ってこの段でピックアップしている被写体の素材感や材質感を写し込む質感表現能力の高さにも、誇張感を伴いません(笑)・・このような要素を「甘い写り」と貶すなら、それはそれで致し方なしと敢えて受け入れてしまいます(笑) そう言う優しい表現性が大好きなんだから、どうにもなりません(笑)

当方にとり、ライカ製オールドレンズが孤高の空気感を写し込む表現性なら、旧西ドイツのCarl Zeiss (oberkochen) 製オールドレンズのCONTAREXシリーズが「中庸的な空気感の緊張感」とした時、MIRANDA製オールドレンズ達が残す空気感は「ひたすらにお優しい」のです(涙)

五段目
白黒写真になると俄然に解像感が広がるのがまた新鮮ですが、その一方で暗部の耐性がとても高く「相変わらずの空気感を写し込む表現性」にその安定性を感じずには居れません(汗)・・とにかく素晴らしい!(涙)

六段目
ピックアップした実写がフィルムカメラでの撮影ばかりしか手に入りませんでしたが(汗)、やはり黒つぶれの耐性が高いように感じますが、如何なのでしょうか?

オーバーホールのため解体した後、組み立てていく工程写真を解説を交え掲載していきます。すべて解体したパーツの全景写真です。

↑ここからは解体したパーツを使って実際に組み立てていく工程に入ります。内部構造はワリと簡素な部類に入るものの「M42マウント規格」なので、特に基台とマウント部の構造が既存の「MBマウント規格品」とは、当然ながら異なります。

←左の写真は、以前扱ったAUTO MIRANDA 50mm/f1.8 (MB)」からの転載で、同じ完全解体した後の全景写真です。

当方ブログの該当ページを確認するとよく分かりますが、光学系前後群とその格納筒、及び鏡筒を含めたヘリコイドオスメス、或いは絞り環までが同一構造なのが分かります。

その一方で前述のとおりマウント規格が異なるので、基台とマウント部の2つの部位については構造と使っている構成パーツが違います。

↑絞りユニットや光学系前後群を格納する鏡筒です。

←同様、左写真は過去扱いの「MBマウント規格品」からの転載で、同じ鏡筒を撮影していますが、全く同一のパーツで造られているのが分かります。

光学系設計が前後群共に100%同じなので、必然的に鏡筒の設計も同一です。

絞り羽根には表裏に「キー」と言う金属製突起棒が打ち込まれており (オールドレンズの中にはキーではなく穴が空いている場合や羽根の場合もある) その「キー」に役目が備わっています (必ず2種類の役目がある)。製産時点でこの「キー」は垂直状態で打ち込まれています。

位置決めキー
位置決め環」に刺さり絞り羽根の格納位置 (軸として機能する位置) を決めている役目のキー

開閉キー
開閉環」に刺さり絞り環操作に連動して絞り羽根の角度を変化させる役目のキー

位置決め環
絞り羽根の格納位置を確定させる「位置決めキー」が刺さる環 (リング/輪っか)

開閉環
絞り羽根の開閉角度を制御するために絞り環操作と連動して同時に回転する環

絞り羽根開閉幅
絞り羽根が閉じていく時の開口部の大きさ/広さ/面積を指し、光学系後群側への入射光量を決定づけている

←左写真も過去扱いの「MBマウント規格品」からの転載で、同じ
絞り羽根を撮影していますが、100%同一の設計であるのが確認
できます。

絞り羽根の片面に「開閉キーと位置決めキー」の2つを備え、且つ
キーのプレッシングに際し膨らみを設けて「絞りユニットへの抵抗/
負荷/摩擦を低減する配慮を施した設計
」まで同一です。

↑鏡筒最深部にセットされる絞りユニットの構成パーツで「開閉環 (左) 位置決め環 (右)」です。「開閉環」のほうには途中に「開閉アーム」と言う、先端部に「コの字型の爪」を有する板状アームが飛び出ています・・いずれも「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」に仕上げられており、経年劣化進行に伴う揮発油成分の流入を可能な限り防ぐよう配慮されているのが分かります (絞り羽根の油染み対策の一つでもある)。

↑絞りユニットを鏡筒最深部に組み込んだところです。

←同様過去扱いの「MBマウント規格品」からの転載ですが、絞り
ユニットを組み込んだ後の目隠しパーツまで100%同一なのが分かります。

やはり「微細な凹凸を伴うマットな梨地メッキ加工」が施されていて
経年劣化進行に伴う揮発油成分の侵入を防いでいます。

↑完成した鏡筒を立てて撮影しています。

←過去扱いの「MBマウント規格品」からの転載も全く同一で、鏡筒の外回りには「ヘリコイドオス側」のネジ山が備わり、合わせて両方のサイドに「直進キーガイド」と言う「直進キーがスライドする溝」が用意されています。

これら鏡筒は互いに同一パーツなので、仮に転用してもそのまま使えてしまいます(笑)

↑完成した鏡筒をヒックリ返して、今度は後玉側方向から撮影しています。

←「直進キーガイド」の溝部分が両サイドに切削されていて、鏡筒の底には「開閉アーム」の「コの字型の爪」も見えています。

この「開閉アーム」が鏡筒底面の切り欠き部分を行ったり来たりスライドする事で、実装してある6枚の絞り羽根が一斉に同じタイミングで開いたり閉じたりする原理です (左写真のブルー色の矢印)。

↑距離環やマウント部を組み付けるための基台です。

←基台には「制限壁」と言う突出した壁が用意されており、そこに「距離環」がカツンと音をたてて突き当たるので「無限遠位置側 (上の写真ブルー色の矢印)」とその反対側の「最近接撮影距離側 (オレンジ色の矢印)」で突き当て停止する原理です。

しかしマウント規格の違いがあるので、この基台部分からマウント部にかけて少しずつ違いが現れてきます。

↑黄鋼材を切削して用意されたヘリコイドメス側が無限遠位置の当たりをつけた場所までネジ込まれます。最後までネジ込んでしまうと無限遠が出ません (合焦しません)。

←基台の仕様が一部異なるものの、黄鋼材のヘリコイドメス側は同一で、繰り出し量やヘリコイドのネジ山数も全く同一です。

ところが基台の一部仕様が異なる影響から「距離環を固定する箇所の設計は互いに異なる」ので、ヘリコイドメス側は転用が利きません(汗)

↑完成している鏡筒のヘリコイドオス側を、やはり無限遠位置のアタリを付けた正しいポジションでネジ込みます。

←このモデルは全部で9箇所のネジ込み位置があるので、さすがに
ここをミスると最後に無限遠が出ず (合焦せず) 再びバラしてここ
まで戻るハメに陥ります(汗)

基台の仕様の相違部分の影響をヘリコイドメス側のほうで相殺させる設計概念なのがちゃんと掴めるか否かが組立工程での一つのポイントになります。

↑ヘリコイドオスメスをネジ込んだ基台をヒックリ返して反対側の後玉側方向から撮影しています。

この設計が「MBマウント規格品」との大きな相違点で「直進キーが両サイドに用意されている」のが違います。基台の1箇所にはベアリングがカチカチとハマってクリック感を実現する「絞り値キー」と言う溝が削られています。

↑マウント部の写真ですが、既に各構成パーツを取り外して当方の手による「磨き研磨」を終わらせた状態で撮っています。

←左写真は以前扱った「MBマウント規格品」のマウント部写真ですが、ご覧のとおり「真鍮製/ブラス製」なのが分かります (シルバー色にメッキ加工されているだけではなく金属材の材質自体が違う)。

一方、今回扱ったモデル「M42マウント規格品」のほうはアルミ合金材の削り出しになります。互いに裏側にはマウント部が切削されています。

↑取り外していた各構成パーツも「磨き研磨」を終わらせて組み付けました。「M42マウント規格品」なのでマウント面から飛び出る「絞り連動ピン」の機構部が存在します。手前側に垂直状に立つのは、鏡筒に備わる「開閉キーの爪」に刺さる「開閉レバー (板状)」です (このレバーが刺さるのでコの字型の爪になっていた)。

↑絞り環をセットして「制御キー」が組み込まれ、マウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」の押し込みに従い、ブルー色の矢印で指し示している金属製の円柱パーツが「制御キー」にカツンと突き当たり、その突き当たった箇所の勾配に従い「絞り羽根の開閉角度が決まる」原理です・・なだらかなカーブの坂を登りきった頂上部分が「開放側」になり、その反対側麓部分が「最小絞り値側」です。

←マウント部内部の格構成パーツ設計概念や原理は同一ですが「MBマウント規格品」とは絞り連動ピンの概念が違うので同一のパーツにはなりません。

また「直進キー」が1つしか存在しないのも「MBマウント規格品」の特殊性と指摘できます。

これはよくよく考えられて設計してあり、鏡筒側のアルミ合金材に対して、マウント部を真鍮製/ブラス製にする事で金属材の応力反応まで考慮されている設計です。

←「MBマウント規格品」のほうの完成したマウント部をヒックリ
返して「まさに爪の受け部分が存在するマウント部を撮影している」写真です。

例えば「PKマウント規格」やNikon、或いはOLYMPUSなど数多くの他社製バヨネットマウントと比べて「爪が存在する側が異なる」のが分かります。

MBマウント規格品」はオールドレンズ側マウント部が他社製品のフィルムカメラ側マウント部の概念に等しく設計されているのが分かりますね・・従ってパッと見ではまるでCanonのFDマウントの如くスピゴット式にマウント規格に見えてしまいます (しかしよ〜く観察するとマウント部にスピゴット環が存在しないのでオールドレンズ本体を回して爪を噛み合わせるバヨネットマウント方式なのが明白)(汗)

↑完成したマウント部を基台にセットします。

↑距離環を組み込んで、この後は光学系前後群を組み込み、無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠とレンズ銘板をセットすれば完成です。

←「MBマウント規格品」のほうも距離環を組み込んだら、最後は
光学系前後群をセットして無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅の確認 (解説:無限遠位置確認・光軸確認・絞り羽根開閉幅確認についてで解説しています) をそれぞれ執り行い、最後にフィルター枠
とレンズ銘板をセットすれば完成です。

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。ご報告すべき瑕疵内容が何ひとつ残っていません(笑)

↑光学系第1群の前玉を締め付け固定するのは上の写真「遮光環」の役目で、この環/リング/輪っかを回して外すと「前玉がゴロッと外れる」次第です(笑)・・さらにフィルター枠のレンズ銘板から続く切削はブルー色の矢印で指し示しているとおり「僅か3列分の遮光環しか用意
されていない
」点に於いて、冒頭で列記した までの全てのタイプとは異なる特異性が確定していると述べている次第です。

・・どうして倒産寸前の最後の最後でここだけ設計変更したのかその理由は「???」です。

なお、ミランダカメラは1976年に発行株式を100%保有していた米国の商社 AIC
(Allied Inpex Corporation) からの資金が途絶し、年末に倒産してしまいます。ネット上の
解説でもそのような内容が語られ続けていますが、実は当方の考察はちょっとばかり異なり
ます。

そもそも1970年代となれば初頭の時点で、既に光学メーカー各社は相当な技術革新とともにフラグシップモデル含めた一眼 (レフ) フィルムカメラとそのオプション交換レンズ群を投入し続けています。NikonCanon他、OLYMPUSMINOLTAなどなど、それら光学メーカーのオールドレンズ達を完全解体していくと「或る一つの事実に辿り着く」と明言できます・・それは「自社工場の機械設備更新が一段落している」点であり、この事については各光学メーカーの細かい沿革や、工場機械設備の変遷を調査せずとも「完全解体した各構成パーツを見るだけで/手にするだけで歴然とした事実」と指摘できます。

その根拠は「切削レベルが別次元に到達していてNC旋盤機が新型に更新されている」ことが容易に窺えるからです。これは例えば当時の栗林写真工業や東京光学、或いはその他諸々の消えていったカメラメーカー共々、ミランダカメラのオールドレンズを完全解体して触っていると「切削レベルは旧態依然のまま」である点がイヤでも確認せざるを得ません(涙)

そこで当方が抱いた考察は「おそらく経営陣はAICに自社工場の機械設備更新を強く上奏していたものの、ついに最後まで受け入れられず、会社の存続を断念したのではないか」とみているのです(涙)

逆に言うなら、創業者と経営陣がそもそも技術者上がりなので、次世代に向けて機械設備の更新はなくてはならない通るべき道筋と捉えていたのは火を見るより明らかだと考えられるからです。一方経営権を握っていたAICは単なる商社であり、そこにミランダカメラ経営陣との大きな齟齬が生まれていたと・・当方では捉えています(涙)

・・1976年の12月は、まさに到達すべきして迎えた終焉だったのかも知れません(涙)

↑光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化進行に伴う極薄いクモリが皆無です。

特に近年MIRANDA製オールドレンズの光学系は、なかなか状態の良い個体を手に入れられ
ないので・・希少です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑光学系後群もスカッとクリアで極薄いクモリが皆無です。

オモシロイと思ったのは「MBマウント規格品」のほうの後玉締付環はカニ目溝がマイナスの切り込みですが、反面「M42マウント規格品」はSoligorモデルやPALLASモデル含め上の
写真のように「丸穴のカニ目溝」と共通仕様です(笑)

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:13点、目立つ点キズ:8点
後群内:19点、目立つ点キズ:13点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:あり、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(光学系内に極微細な薄い8mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑6枚の絞り羽根もキレイになり絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正六角形を維持」したまま閉じていきます。

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

当方ではヤフオク! で流行っている「抗菌剤/除菌剤による清掃」などは絶対に実施しません。これをやると薬剤に含まれている成分の一部が金属の表層面に対して酸化/腐食/錆びを促す結果に至るので、早ければ1年、遅くとも数年でポツポツと錆が表れ始めます。

詳細は厚労省の「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」が詳しく解説しています。

もっと言うなら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類も一切利用しないので、金属材表層面に影響を及ぼしてしまう処置は何一つ講じていません(笑) 特にヘリコイドのネジ山などを研磨剤にて処置すると、塗布するヘリコイドグリースの成分/配合によってはそれらの浸透を促してしまうので、ザリザリ感やスレ感が数年で増大し製品寿命の短命化を促す結果に到達しますから要注意です(泣)・・当方独自のヌメヌメ感を感じるシットリしたトルク感は、それら「光沢剤/研磨剤/化学反応」の類を一切利用しない磨き研磨により実現している特異なトルク感であり、巷で流行る「分解整備済」とは全く異なる完全解体を前提とした製品寿命の延命化が最終目的です(笑)

もちろんそれらの根拠として「当時製産時点に使っていたであろう成分/配合の分類に可能な限り近い黄褐色系グリースだけを使う」事をその前提と据えており、今ドキ流行っているシリコーン系「白色系グリースの何♯ (番)」などを謳って整備するのは以ての外で(泣)、そのような整備は「製品の延命処置」からはまさに逆行した所為と指摘せざるを得ません(涙)

実際それらシリコーン系「白色系グリース」が塗布されている個体を数多く確認していますが
距離環を回した時のトルク感は「ツルツルした感触」しか感じず、合わせてピントのピーク/山の前後微動に於いて、意識せずとも微動してしまう使いづらささえその印象として残るので、はたしてそれで撮影に没頭できる操作環境を真に提供できているのかとの疑念さえも湧いて
きます(笑)

その意味でも整備で塗布するグリースの問題は、製産時点/設計概念に配慮した内容だけに留まらず、組み上げられたオールドレンズの使用感にまで気配りした概念がそこには介在し、結果的に「製品寿命の延命化」に到達できていれば、なおさらに最高ではないかとのポリシ~が
根底にあったりするのが当方が施すDOHそのものなのです(笑)

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「軽め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「超美品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
marumi製MC-1Bフィルター (新品)
本体『AUTO MIRANDA TM 50mm/f1.8《最後期型》(M42)』
汎用樹脂製ネジ込み式M42後キャップ (新品)
汎用樹脂製スナップ式前キャップ (新品)

完璧なオーバーホールが終わっており、ご報告すべき瑕疵内容は一つも残っていません・・まさに本来在るべき姿の仕上がりです(涙)

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

もちろん光学系の光路長調整もキッチリ行ったので (簡易検査具によるチェックなので0.1mm単位や10倍の精度ではありません)、以下実写のとおり大変鋭いピント面を確保できました。電子検査機械を使ったチェックを期待される方は、是非ともプロのカメラ店様や修理専門会社様が手掛けたオールドレンズを手に入れて下さい当方の技術スキルは低いのでご期待には応えられません

↑いつもどおり当方所有のマウントアダプタではありますが、ちゃんと事前に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 上の写真は中国製のK&F CONCEPT製「M42 → SONY Eマウントアダプタ」に装着し、合わせてマウントアダプタ内側のピン押し
底面を「凹面」にセットした状態で全く問題がない正常動作である事を確認しています。

赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合にそれが干渉しないよう、約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後までネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる)。

この「K&F CONCEPT製M42マウントアダプタ」に関する解説は、ちゃんと補足解説として『◎ 解説:M42マウント規格用マウントアダプタピン押し底面について』で詳しく説明して
いるので、気になる方はご参照下さいませ (別に中国のK&F CONCEPT社からお金を貰って
いるワケではありませんが/皆様の利便性追求を以て解説すると、今度はそのような意味不明
な批判を言ってくる人が居るからウケます
)(笑)。

↑同様今度は日本製のRayqual製「M42 → SαE マウントアダプタ」に装着して「操作性の確認と共に各部位の駆動をチェック」しています(笑) 赤色矢印で指し示している隙間がオールドレンズとマウントアダプタ側の互いのマウント面に生じているのは、オールドレンズ側マウント面に「開放測光用の突起」があるモデルの場合に、それが干渉しないよう約1mmほど突出させた設計で造られているからで、製品上の仕様になります (隙間があってもちゃんと最後まで
ネジ込めて指標値も真上に来ているのが分かる
)。

↑当レンズによる最近接撮影距離45cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑絞り環を回して設定絞り値「f2.8」で撮影しています。このモデルの絞り環クリックは「一段ずつのクリック位置」です。

↑さらに回してf値「f4」で撮影しています。

↑f値は「f5.6」に上がっています。

↑f値「f8」になりました。

↑f値「f11」です。

↑最小絞り値「f16」での撮影です。もうほとんど絞り羽根が閉じきっている状況なので、極僅かに「回折現象」の影響が現れ始めています。

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。