〓 Carl Zeiss (カールツァイス) CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)

(以下掲載の写真はクリックすると拡大写真をご覧頂けます)
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※解説とオーバーホール工程で掲載の写真はヤフオク! 出品商品とは異なる場合があります。

今回完璧なオーバーホールが終わりヤフオク!出品するのは、旧西ドイツは
Carl Zeiss製広角レンズ・・・・、
CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』です。


  ЯПОНІЯ З УКРАЇНОЮ!    Слава Україні!  Героям слава!  

上の文は「日本はウクライナと共に! ウクライナに栄光あれ! 英雄に栄光を!」の一文をウクライナ語で国旗色を配って表現した一文です。現地ウクライナでは民衆が「ウクライナに栄光あれ!」と自らの鼓舞を叫ぶとそれに応えて民衆が「英雄に栄光を!」と返すようです。

Slava UkrainieieGeroyam Slava

ご落札頂きましたぁ~!
ありがとう御座います!(涙)

お気にのオールドレンズゆえ、落札されるとまた喜びもひとしおです!(祝)
僅か4群に収めてしまったレトロフォーカス型設計の醍醐味を、是非ご堪能
下さいませ。

3時間半かけてバルサム剤を剥がしまくった甲斐があったというものです(涙)
ありがとう御座います・・。

今回完璧なオーバーホールが終わってヤフオク! 出品するモデルは、当方がオーバーホール作業を始めた14年前からの累計で、当時旧西ドイツはoberkochen (オーバーコッヘン) 市を拠点にするCarl Zeiss製オールドレンズの中から、一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTAREX」向けオプション交換レンズ群に限ってでカウントすると48本目にあたりますが、その中で今回扱った「Distagon銘」だけに括ると僅か4本目です。

先ず一番最初に申し上げておきますが、当方のにとりこのZiess Ikonから1959年に発売された一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTARX I型」向けオプション交換レンズ群のオールドレンズは、いずれのモデルも「銘玉中の銘玉」との位置づけの認識であり、それは当方の中ではライカ製オールドレンズをも凌ぐ勢いです(涙)
(右写真は標準レンズPlanar 50mm/f2を装着したCONTAREX I型)

どのモデルが当方にとり上位モデルなのかと言えば、標準レンズ『CONTAERX版Planar 50mm/f2 (silver)《前期型》(CRX)
一番であり、その次に今回扱う広角レンズCONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』が鎮座しています。
(左写真は以前扱った時のPlanar 50mm/f2 silver)

その写りは繊細で緻密で優しくて穏やかで、ひたすらに忠実にリアルで期待を裏切らない写りに見えるのです(涙)・・惚れ込んでいますね(笑) 当方にとり、今ドキのデジタルなレンズとの描写性の比較など意味がありません(汗) 収差ありきのその写りこそ魅力であり、その根底に流れるのは「人の瞳で見たがままであること、そしてそれは見ているようで視ていない」と言う、そもそも人間の感性/嗜好/想いが即座に働いてしまう、或いは影響してしまうからこそ、そのシ~ンを前にした時、実は既に脳が反応してしまった後だから・・を大前提としているからです。

それほど人間の脳の反応は速く、瞬時に眼の前のシ~ンの中で気になっている箇所を特定してしまっているのだと思います。そしてその際大きく働いているのが心の反応であり、前に記述した内容に合致します。

もしも仕事でその目前のシ~ンを目にしているなら、先ずはその範疇で捉えようとしているから、例えば運転手なら目前の状況を瞬時に把握していると思います。この時、仮に今ドキのデジタルなレンズの如く脳裏に焼き付いているのだとすれば、人の脳の中の記録量は相当膨大になってしまうハズですが、意外にも覚えていません(笑)

するとそこに「選択」が無意識のうちに成されており、目にして脳で反応してきた膨大な「」の情報は「記憶に留めるか否かを選択している」としか考えられず、その時に何を基準に据えてそのタイミングで記憶に留めるのかチョイスしているように考えます(汗)

要は仕事は仕事として、趣味は趣味として、憩いは憩いと自然に脳が切り替わっているから、思い出 (のシ~ン) はまさに思い出になるのだと思います(汗)

だからこそ人によって写真の捉え方「」の受け取り方は、その人の感性が必ず働くから一概に評価でず、それは至極道理に適った話と当方は考えているのです(汗) 従ってオールドレンズで撮影されているシ~ンを基に、画の隅々まで等倍拡大して厳密にチェックし評価することに「何一つ意義を見出さない」と当方の頭の中では結論づけしています(笑)

そういう意味で当方にとり最も反応するレベルが高い存在のオールドレンズが、この「CONTAREX版オプション交換レンズ群」であり、それが意味するのは「まさに実装しているその光学設計の素晴らしさ」所以ではないかと捉えています(汗)

  ●               

ここからはネット上の解説で「DIstagon (光学系の) 発明者はErhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル) である」との定説に異を唱える解説を試みます (ネット上でDistagonにて検索すると必ずヒットする結果を基に指摘しています)。

↑上図は1950年代以降に開発された広角レンズ域・・いわゆるレトロフォーカス (逆望遠) 型光学系・・に関する旧西ドイツはCarl Zeiss (oberkochen) からの特許出願申請書の抜粋を挙げています。

CH321571A (1953-07-08)』スイス特許庁宛て出願
→ Günther Lange (グンター・ラング) 氏による発明案件

DE1073767B (1958-02-27)』ドイツ特許省宛て出願
→ Helmut Eismann (ヘルムート・アイスマン) 氏とGünther Lange (グンター・ラング)
 氏による発明案件

US2922337A (1957-11-12)』米国特許庁宛て出願
→ Erhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル) 氏による発明案件

これらの特許出願申請書は、Carl Zeiss (9,579件)、及びGünther Lange (グンター・ラング) 氏 (144件)、或いはErhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル) 氏 (33件) の名前検索でヒットした、合計9,756件に及ぶ特許出願申請書の中から、特に光学系に関する案件のみを指定して片っ端にチェックした時に発見した内容からピックアップしています。その際、特にGünther Lange氏の発明案件の中でDistagon銘の由来と思しき記述と図面を発見し記録していた結果、今回のブログ掲載にまさに役立ちました(汗)

↑そして実際に前出の発明された案件が、いったいどのように量産型のオールドレンズ製品へと繋がったのかを示すのが上の写真になります (左端のみネット上からの引用で、他は当方が過去に扱った個体写真からの転載)。

:Carl Zeiss製 Distagon 60mm/f5.6
→ Hasselblad 1600F向けに1954年発売。
 事実上、このモデルで初めて「Distagon銘」がモデル名として使われた/刻印された。

2つめ:Carl Zeiss製 Distagon 35mm/f4 (silver)
→ CONTAREX向けに1959年発売。
 事実上、民生向け「Distagon銘」登場はこのモデルが初になる。

3つめ:Carl Zeiss製 Distagon 25mm/f2.8 (silver)
→ CONTAREX向けに1963年発売。
 初めて「Erhard Glatzel (エアハルト・グラッツェル)」氏が特許出願申請書に出現。

:Carl Zeiss製 Distagon 35mm/f4 “Blitz
→ CONTAREX向けに1966年発売。
 既存の「Günther Lange (グンター・ラング)」氏発明案件の発展系。

従って、前述した特許出願申請書の発明案件を時系列で捉えた時、先ずネット上の定説たる「Distagon銘」がモデル銘として採用されたタイミングは、Glatzel氏発明案件が最初ではなくLange氏の案件だったことが間違いありません (1953年の出願)。実際、その発明光学系を採用した量産型として製品が発売されています (1954年発売)。

確かにプロ向け、いわゆる民生向けではない製品ではあるものの「Distagon銘」はちゃんとレンズ銘板に刻印されています(笑)

その一方で民生向けとしては一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTAREX I型」のオプション交換レンズ群に載っている今回扱うCONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』がまさに最初の製品と指摘できます (1959年発売)(汗)

そしてCarl Zeiss光学設計局の主務者の座をGlatzel氏に明け渡した後に発明され登場したモデルがCONTAREX版 Distagon 25mm/f2.8 (silver)(CRX)』であり、純粋なまさに7群8枚のレトロフォーカス型光学系を採用しています。以降Carl Zeissが発売する数多くのモデルの光学系を設計していきます。いわゆる「グラッツェル法」と言う、光学設計に於ける当時のコンピューターを活用した評価量に対する有効な変数だけを判別して最適化した自動計算システムの発明は有名なところです(汗)

最後に挙げた右端のCONTAREX B-Distagon 35mm/f4 “Blitz (CRX)』は、全く別の企図で「フラッシュマチック (Flashmatic) 機構 “Blitz (ブリッツ)”」を実装したモデルとして登場した発展系であり、その実装光学系も既存の発明案件を参照しつつ「最短撮影距離を38cmに後退させた」製品と指摘することができます (1966年発売)
・・但し当然ながら最短撮影距離が「19cm38cm」と違う為、
光学系は再設計されています。

今ドキのオークションを観ていると「端正なブラックバージョンのCONTAREX版Distagon」と囃し立てられて人気がありますが(笑)、その実で最短撮影距離が大幅に後退しているのは、当方のようなオールドレンズ大好き人間からすれば「今更ながらのフラッシュ撮影連動機構」の必要性すら感じず(笑)、それこそ製品の企画が全く異なるのに可愛そうだなと思ったりもします (真にCONTAREX版Distagon狙いなら、最短撮影距離:19cmの光学系こそがナンボのもん)(汗)

・・総ては僅か4群にレトロフォーカス型を収めてしまった発想の素晴らしさではないか。

Günther Lange (グンター・ラング) 博士を敬い、その功績を奉りたい想いがとても強いです
(しかもコンピューター活用ではなく、まるで手計算だけで成し得ているから凄いのです/みんなそうやってきたのですが)(涙)

↑上の図はいずれも前述した特許出願申請書の発明案件に因み、実際に製品化されたオールドレンズの光学系をトレースした構成図です。

:Carl Zeiss製 Distagon 60mm/f5.6
→ Hasselblad 1600F向けに1954年発売。ネット上掲載図面からトレース。

:Carl Zeiss製 Distagon 35mm/f4 (silver)
→ CONTAREX向けに1959年発売。オーバーホール時の完全解体で実測トレース。

:Carl Zeiss製 Distagon 25mm/f2.8 (silver)
→ CONTAREX向けに1963年発売。オーバーホール時の完全解体で実測トレース。

するとこれら前出の特許出願申請書に記されている記述を読んでいくと、その参照発明案件を辿った時に示されているのは全て3群3枚トリプレット型光学系からの発展としての発想が窺えます。「Distagon 60mm/f5.6 (左)」はまさに純粋に3枚玉トリプレットの第2群 (発散) と第3群 (集光) に色消し効果とコマ収差改善を狙って、2枚貼り合わせレンズにダブレット化させているのが分かります (第1群前玉はまさにレトロフォーカス化の役目)。

一方中央の「Distagon 35mm/f4」は少々難しかったですが、参照案件を探っていくとBerteleが発明した「3つの群に収められるレトロフォーカス型光学系」も参考にしているのが判明し、やはりそうなるのかと感銘を受けた次第です(涙)

また最後右端「Distagon 25mm/f2.8」は、唯一後任たるGlatzel氏の発明ですが、その基本成分を4群6枚ダブルガウス型光学系を崩した発案として理解できます。レトロフォーカス化の為に第1群前玉が鎮座するものの、第2群で入射光の波長制御により敢えて不必要な波長を排除させて集光群へと導いていることが読み取れます (但し光学知識皆無な当方の妄想範疇に留まる)。

しかし凄いと感心したのは、いずれも本格的な描写性能を発揮する仕上がりに至っているワケで、本当に素晴らしいとため息混じりです。

願わくば、一番左端の「Hasselblad版Distagon 60mm/f5.6」を死ぬまでにバラして触ることができれば、悔いなく逝けるのではないかと、微かな「希望という希望はある」との座右の銘にしがみつくワケで御座います(笑)

↑完全解体した時の内部構成パーツ全景写真です。オーバーホール工程やこのモデルの当時の背景など詳しい解説はCONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』のページをご参照下さいませ。

ハッキリ言って、CONTAREX版向けオプション交換レンズ群のモデルを、ここまて完璧に完全解体してバラしてから組み立てていける整備者というのは、あまり聞いたことがありません(笑)
・・唯一バラせないのが距離環のローレット (滑り止め) を含む「ヘリコイドオス側」であり、コイツが解体できるか否かは50%と言ったところです(汗)

しかも非常に多くの整備者がこのCONTAREX版オプション交換レンズ群のモデルをバラす際に「とても強いチカラでローレット (滑り止め) を回してしまう」ワケで、その結果どうなるかと言えば「ヘリコイドオス側の上に被さっているローレット (滑り止め) だけがズレてしまい、そのままカジリついてしまう」ゆえに、余計に当方がバラすタイミングでは解体できない個体が多くなってしまいます(涙)

すると実は「そのズレてしまったローレット (滑り止め) の途中に距離環駆動域を限定する制限壁が備わる」が為に、無限遠位置「∞」刻印と実際の無限遠合焦位置が合わず、それを「ごまかす整備」が執られてしまうため、当方がバラして組み立てる際に難儀するワケです(涙)

タダでさえそれくらい大変なモデルなのに、例によっていつもの如く「固着剤」だらけで、そもそも最初の鏡筒締付環すら外せず、途中で完全解体を諦める寸前でした(涙)

こういう整備の話になると「完全解体だけが全てではない」などと格好良く述べている整備者が居ますが(笑)、ではそのバラしていない部位の経年劣化進行に伴う酸化/腐食/サビはいったいどうなったのか問い正したいですね。

すると経験値からたいしたレベルではないので気にならないし、組み上がってから問題にもならないと言いますが、実際に自分の目で見て触って確認したのか否かを問うているのであって全く話が噛み合いません(笑)

↑上の写真はその「距離環ローレット (滑り止め)」を完全解体した時の撮影で、既に当方の手による『磨き研磨』が終わった状態で撮っています。

前述のとおり、一番左端の「ローレット (滑り止め)」下部に突出する「制限壁」が存在するが為に、この位置がズレると「イコール突き当て停止位置がズレる」結果に繋がり、だからこそ無限遠位置が狂うと述べています(汗)

するととても多くの整備者がすぐに「∞刻印の指標値環はイモネジによる締め付け固定だから
どうにでも位置を変更できるではないか!
」と指摘するのでしょうが、肝心なことが見えていません(笑)

確かに仰る通り「∞」刻印位置をピタリと突き当て停止位置にズラして固定できますが、だからと言って「ヘリコイドオス側のネジ込み位置まで調整できた話ではない」のは自明の理で、要はカチンと音が聞こえて突き当て停止してしまった位置で、本当に鏡筒がちゃんと下がって格納されていて「無限遠合焦するのか???」が担保されていません(笑)

その結果アンダーインフ状態に陥り (ヘリコイドオス側のネジ込み位置が後ろすぎた) 甘いピント面だったり、その反対で多めの (凡そ2~3目盛り分) オーバーインフ状態 (ヘリコイドオス側のネジ込みが手前すぎた) で組み上げられている個体を、今までに扱ってきたCONTAREX版個体47本の中でさんざん扱っています(笑)・・酷い場合はそれにプラスして「距離環が固着している」のもザラで、要は外そうとしてムリヤリ回すからカジリ付いてしまい完全固着しています(涙)

・・本当にロクなことをしません!(涙)

上写真で一番重要なポイントは「右端締付環が同じアルミ合金材削り出しアルマイト仕上げ」であり、面取り加工されていない (つまり指を切り易いくらい鋭い) ネジ山である点です(怖)

要は距離環ローレット (滑り止め) を締め付け固定するのに「締め付けるだけで固定する方式」で、ロックする仕組みになっていないのが問題なのであり、その為にワザワザ敢えて「座金」を間に挟むようにしています。

同じ原理で設計しているのがレンズ銘板を外した直下の「鏡筒押さえ環/締付環」の部位で、全く同一原理で構成パーツを用意しています。つまりこの当時のCarl Zeiss製CONTAREX版オプション交換レンズ群の多くのモデルが「締め付けだけで固定していた」概念の製品設計だったのが間違いなく、しかしそれでいてシッカリと確実に固定できる工夫を執っていたのが、一度でもバラしてみれば一目瞭然なのに、そこに執拗に「固着剤」を塗布しまくるから、次の整備の際に今度は溶剤を注入しても溶けずに解体できません(涙)

・・問題なのはそれを全く理解していない整備者の所為のほう(笑)

と指摘できるのではないでしょうか???(笑) 自分だけ良ければそれでいいと言う自己中心的な考え方が横行し、将来的なサービスレベルを残そうという配慮が無いから、こういう話ばかりになります(涙)

↑その証拠 (ムリヤリ強いチカラで回して外そうとした) がまさに上の写真で白日の下に晒されます(笑) 赤色矢印で指し示しているとおり「イモネジ用の下穴が2つ在る」ものの、無限遠位置の合焦でカチンと音が聞こえて突き当て停止する場所は「1箇所だけ」なので、必要とする下穴は「1つだけ」なのが製産時点を意味します(笑)

・・つまり過去メンテナンス時にもうひとつ下穴をドリル穴あけした(笑)

このローレット (滑り止め) がズレてしまったので (しかも上の写真を見ると相当な長さでズレまくっている) 仕方なく「∞」刻印の位置がピタリと合うようドリル穴開けしたワケです(笑)

・・こういうのを「ごまかしの整備」と言いませんか???(笑)

当初バラす前時点の確認で無限遠がピタリと合焦していたので、まさか「ごまかしの整備」が施されているとは予想しませんでしたが、次の要素でそれを確信した次第です(汗)

なお、過去メンテナンス時の整備者は、おそらく技術スキルを有するプロレベルだったと推測でき、ムリヤリ回してローレット (滑り止め) だけがズレてしまったのを知ると、今度はヘリコイドオス側のネジ込み位置をズラして無限遠位置の辻褄を合わせる目的で、さらにローレットをズラしているのが締付環の状況から見えてきました (だから当初バラす前の実写確認で無限遠位置が合っていた/下穴を明けて指標値の∞をズラした)(汗)

↑上の写真は既に完全解体が終わってオーバーホール工程で組み立てている最中の撮影です。

光学系第1群前玉の2枚貼り合わせレンズを清掃していたら「ウ〜ン・・」と微かな汚れのようなモノを前玉外周に発見したものの、それが露出面ではない「貼り合わせ面」なのが判明し仕方なく一旦剥がして処置を進めているところです(涙)・・何故なら、多くの場合で貼り合わせ面の「汚れ状 (に見えるモノ)」はバルサム切れでしかありません (稀に貼り合わせ面のコーティング層経年劣化進行もある)。

はたして1959年以降の発売で、その製産時点に二液性レジン液」を使い貼り合わせていたのでしょうか???(汗)

上の写真は剥がし始めて既に1時間経過したタイミングで撮影していますが、赤色矢印で指し示している箇所が「剥がせた光学ガラス面とバルサム剤との境界」であり、まだ残っている「二液性レジン液たるバルサム剤」がグリーン色の矢印で指し示している領域です(涙)

・・まだ1/3ほどしか剥がせていません(涙)

溶剤はどの溶剤種別を浸しても一切溶けず、シルボン紙などでは歯が立たず、仕方ないので高価なのですが工業用の光学硝子レンズ専用綿棒を使い「まるで本当にガシガシとチカラを入れて削り取っている状況」であり、容易に剥がせないからこそ1時間でたったこれだけの領域しか削れていません(涙)

右隣に並べている両凹レンズも数点レジン液が残っていましたが、凡そ30分ガシガシやってキレイに剥がしました(汗)

つまりそれが意味するのは「このバルサム剤 (おそらく二液性レジン液) は片側の面にしか接着していなかった」ことが明白であり、もっと言うならおそらくこの1950年代~1960年代辺りに最も使われていたであろう接着剤と言えば「まさにカナダバルサム剤」であり、それを剥がした時は「必ず両面側に接着している (つまり剥がした両方の面にカナダバルサム剤が残っている)」のは至極当たり前の話です(汗)・・当然ながら剥がす際にも「ツンと鼻につく独特な刺激臭」であり、まさにバルサムモミから採取できる天然樹脂剤の匂いそのモノです(笑)

すると上の写真の接着剤は「近年の整備で使われたバルサム剤」と推測でき、いったい整備後何年経過したのか分かりませんが、塗布されていた「白色系グリース (ウレアタイプ)」の劣化状況から10年以内とみられ、たかがその程度の年数で剥離が始まるバルサム剤とは一体何なのかと言いたくなります(涙)

そう考えた時、経年の中で例えば季節の変化や地域性の問題から気温差が生じるのだとしても「100℃を超えない」のは当たり前ではありませんか???(汗) 100℃以下の温度帯で重合反応してしまうバルサム剤を使う理由が頭が悪い当方には全く以て分かりません!(怒)

しかもその際に凸レンズ側の面に接着剤の大部分が残る時点で、このバルサム剤の成分/性質面で違和感を覚えます。

↑さらに1時間が経ちました(笑)・・もぉ~こうなると笑うしかありません(笑) どうにでもしろ!と、怒鳴りたくなるのを通り越して、ヘラヘラ笑っている感じです(笑)

実は以前にも確か標準レンズのPlanar 50mm/f2のほうで、全く同じ性質の接着剤で4時間がかりで剥がした記憶が残っていますが、今回はちょっと短めの3時間半で全面キレイに剥がせました (ちょうどこのくらいがピークで、この後はコツが分かって剥がすスピードが上がっています)(笑)

接着力が強い (強いならどうして浮きが始まっていたのかよく分かりませんが) ものの、実は剥がす際には「綿棒を30回ほど強く擦って往復させると、ようやくペリペリと0.5㎜ほどでめくれて剥がれていく」感じなので、広い領域を剥がそうとすればそれだけの時間を要します(涙)

・・このたったの0.5㎜四方だけ剥がれる世界ッて、いったん何なの???!!!(涙)

そういう声にならない声を、ひたすらに3時間半も心の中で叫び続けていた感じです(涙)

今現在もヤフオク!で「分解整備済」を謳ってオールドレンズを出品している出品者が居ますが、その出品ページを読むとバルサム切れを剥がして再接着しているとのこと。それはそれで良いのですが、その時使っているバルサム剤のデータシートを取り寄せてみると「65℃以上で重度の重合反応」の告知がちゃんと明記されているのに、その接着剤を使っています(笑)

はたして盛夏の車内でさえ、日本国内でも下手すれば80℃を超える地域があるとのJAFデータを見るにつけ、とてもそんな温度で重合反応してしまうバルサム剤など使う気持ちになりません(汗) 今回の個体もそういう為体な「接着できて褐変化しないなら何でも良い」的な発想で使うから、堪ったものではありません(涙)

・・おかげで擦りすぎて指に震えが出てしまっています(涙)

↑今回の個体もいつもと同じですが、相変わらずの「反射防止黒色塗料」まみれで、溶剤で溶かして剥がしたらその下から現れたのは「製産時点に黒色メッキが被せられているコバ端」であり、いったい何でこの上からさらに「反射防止黒色塗料」を塗りたがるのか、マジッで分かりません!(怒)

・・どうしてこの製産時点のメッキではイケナイのでしょうか???(涙)

本当に涙が出てきます(涙) バラす個体全てが必ずこうですから、頭にきたり嫌になるのを通り越して自分の宿命だと、最近は考えるようにしています(涙)

ちなみに以前特許出願申請書を読み漁っていて、たまたま偶然1970年代の申請書を発見し記述を読みましたが「反射防止黒色塗料の役目とその塗料の成分に配合レベル」を知るにつけなるほどなと感銘を受けた次第です。

黒色の染料 (基は顔料ではない) を使うものの、その基材になるレーキ (染料を金属塩を媒介にして沈殿させた有機顔料) を主剤としながら、短波長4500Åよりも長波長の6500Å側で分光透過性を最大で40%増大した際が最も好ましい結果に繋がったと記されており、さらに配合の詳細として「オレンジ系赤系」を適時混色するのが好ましいとあり、要は寒色系ではない長い波長系がベストと理解できました(汗)

・・それが濃い紫色のメッキ加工が多い本質と心得た次第です!(驚)

細かい話ですが、こういう処にどうして非常に多くのオールドレンズで「濃い紫色の鏡筒が使われるのか???」を解読する根拠に繋がると感心した次第です (何しろ頭が悪いので、いちいちこういう事柄を掴まないと理解できない)(笑)

するとここで「えッ?」と思い至ったのは「同じ反射防止黒色塗料にもいろいろある」と、まさに溶剤で溶かしている時に視認する「基本色の違い」が明確に理解でき、同じ「反射防止黒色塗料」でもどんな基本成分がベストなのか自信を得たように感じました (そう言う低レベルのお話でした!)(笑)

まぁ~、当方で使っている「反射防止黒色塗料」はもぅ決まっているのでどうでも良い話ではあります(笑)

DOHヘッダー

ここからは完璧なオーバーホールが完了した出品商品の写真になります。

↑完璧なオーバーホールが終わりました。近年稀に見る「これ以上存在しないと明言できてしまうレベルの光学系」です!(驚)・・もちろん第1群前玉のバルサム切れを剥がして再接着している分、キレイなのは間違いありませんが、そもそも点キズの少なさがハンパなく素晴らしい限りです!(驚)

この後の写真を見れば分かりますが、光学系第1群前玉のコバ端 (下部) は製産時点に戻している為「反射防止黒色塗料」のメッキが被さっていますが、その側面側には今回全く着色していません(笑)

その意味でも非常に数多くのオールドレンズで「コバ端を塗りまくっている」リアルな現実が大きな誤りであることを、明確に示していると考えますが如何でしょうか???(笑)

製造番号から「3256xxx~」の「中期型」であるのを確認しました (実装光学系含め)。

↑とにかくひたすらにクリアです(笑) 光学系内の透明度が非常に高い状態を維持した個体です。LED光照射でもコーティング層経年劣化に伴う極薄いクモリすら皆無です。

黒っぽい影が斑点状に映り込んでいますが、撮影に使っているミニスタジオの背景映り込みです。また前述の通り「光学硝子レンズの側面を着色せずとも、光学系内は鏡筒の濃い紫色で十分に真っ黒に仕上がっている」ことが確認できます。

↑上の写真 (3枚) は、光学系前群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

↑後群側もスカッとキレイになり、LED光照射でも極薄いクモリすら皆無です。もちろんコバ端から締付環まで何もかも必要最低限レベルでしか「反射防止黒色塗料の再着色をしていない」仕上がりです(笑)

そもそもこのモデルの設計上、鏡筒がそのまま突出する構造の為、上の写真に写っている光学系後群格納筒がまるで鏡筒そのモノであることを意味します。するとこのような「濃い紫色のメッキ加工」なので、十分に「6500Å」の長波長側で反射防止効果を発揮できているのが理解できます。

モデルバリエーションの「前期型」の頃は黄銅材の鏡筒だった為、やはり「濃い紫色のメッキ加工」を施して製産していたのも、既にオーバーホールしたことがあるので確認済です。

↑上の写真 (3枚) は、光学系後群のキズの状態を拡大撮影しています。すべて極微細な点キズを撮っていますが微細すぎて全部写りませんでした。

【光学系の状態】(LED光照射で様々な角度から確認)
・コーティング劣化/カビ除去痕等極微細な点キズ
(経年のCO2溶解に拠るコーティング層点状腐食)
前群内:10点、目立つ点キズ:6点
後群内:12点、目立つ点キズ:8点
・コーティング層の経年劣化:前後群あり
・カビ除去痕:なし、カビ:なし
・ヘアラインキズ:あり(前後群内僅か)
(前後群内に極微細な薄い最大5mm長数本あり)
・バルサム切れ:なし (貼り合わせレンズあり)
・深く目立つ当てキズ/擦りキズ:なし
・光源透過の汚れ/クモリ (カビ除去痕除く):なし
・光学系内は透明度が非常に高いレベルです。
(LED光照射で確認しても極薄いクモリが皆無)
・その他:光学系内は微細な塵や埃が侵入しているように見えますが清掃しても除去できないCO2の溶解に拠る極微細な点キズやカビ除去痕、或いはコーティング層の経年劣化です。

↑8枚の絞り羽根もきれいになり、絞り環共々確実に駆動しています。絞り羽根が閉じる際は「完璧に正八角形を維持」したまま閉じていきますが、途中は別の形になり、最後は上の写真のように真四角に閉じます。

以下に各絞り値での絞り羽根の閉じ具合をちゃんと撮影したので載せておきます(汗)


↑もちろん製品自体に絞り環を装備していないので、上の写真撮影をした時の状況は「付属品たるCRX→LMマウントアダプタ装着状態」である点をご留意下さいませ(汗)

上段左端から順に「開放f値f4f5.6f8f11」下段に移って「f16f22f32f64」です(笑)

まぁ~f64なんて言う絞り値が現実的なのかと言えばどうかと言う気持ちなのでしょうが(笑)、実はこのブログの最後に載せたオーバーホール後の各絞り値による実写確認を見る限り、まだまだ使える画だからオドロキなのです!(驚)

ここからは鏡胴の写真になりますが、経年の使用感が僅かに感じられるものの当方にて筐体外装の「磨きいれ」を施したので大変落ち着いた美しい仕上がりになっています。「エイジング処理済」なのですぐに酸化/腐食/錆びが生じたりしません。

↑【操作系の状態】(所有マウントアダプタにて確認)
・ヘリコイドグリースは「粘性:中程度+軽め」を使い分けて塗布し距離環や絞り環の操作性は非常にシットリした滑らかな操作感で距離環を回す時のトルクの印象は「普通」人により「重め」に感じ「全域に渡り完璧に均一」です。特にピント合わせ時は距離環を掴んでいる指の腹に極僅かなチカラを伝えるだけで微妙な前後動が適い正確にピント合わせできる素晴らしい操作性を実現しています。
距離環を回すとヘリコイドネジ山が擦れる感触が指に伝わります(神経質な人には擦れ感強め)。
・絞り羽根が閉じる際完璧に正八角形を維持しながら閉じていきますが、最後は四角形に閉じます。(製品の設計上の仕様です)
・付属マウントアダプタによる絞り羽根開閉動作も確実で正常です。マウントアダプタ側の設計から装着しても絞り環刻印絞り値は連携しません。
※任意の位置でバチン音が聞こえてハマっても操作しているうちにf1.4刻印位置にロックします(つまり刻印絞り値は便宜上用意しただけで厳密に合致しませんし、そもそも開放f値を認識する機能がマウントアダプタ側に備わっていません)。
絞り環付マウントアダプタ装着後はマウントアダプタ側の絞り環操作で確実に絞り羽根の開閉が行われます。
※絞り環操作時のクリック感を軽い印象になるよう変更しています。製品に組み込まれていた鋼球ボールも添付するので、もしも硬いクリック感に戻したい場合はお手数ですが戻す作業をするのでお送り下さいませ/但し往復送料実費です。
・マクロヘリコイド付マウントアダプタ側のマクロヘリコイド操作は軽めの印象に一度バラして変更しています(元に戻せません)。

【外観の状態】(整備前後関わらず経年相応の中古)
・距離環や絞り環、鏡胴には経年使用に伴う擦れやキズ、剥がれ、凹みなどありますが、経年のワリにオールドレンズとしては「実用品」の当方判定になっています (一部当方で着色箇所がありますが使用しているうちに剥がれてきます)。
当方出品は附属品に対価を設定しておらず出品価格に計上していません(附属品を除外しても値引等対応できません)。

今回のオーバーホール済でのヤフオク! 出品に際しセットした附属品の一覧です。

《今回のヤフオク! 出品に際し附属するもの》
純正樹脂製バヨネット式前キャップ (中古品)
本体『CONTAREX版 Distagon 35mm/f4 (silver)《前期型》(CRX)』
haoGe製CRX→LMマウントアダプタ (絞り環付) (新品)
haoGe製マクロヘリコイド付マウントアダプタ (新品)
汎用樹脂製バヨネット式SONY E後キャップ (新品)
クリーニング用ファイバークロス (新品)

元の製品仕様が「最短撮影距離19cm」なのに、どうしてこんなマウントアダプタのダブル装着が必要なのかと言えば「SONY Eマウント規格」で使えるフランジバック計算で仕上げつつも、もちろん無限遠合焦しながら「マクロヘリコイド装備」なのが、イザッと言う時の「さらに明るくボケ量を増やせるありがたみ」としてセットしている次第です (このブログ最後を見れば分かります)。

なお、このモデルはピント面のピーク/山が非常に狭いので、アッと言う間に超えてしまう為、ピント合わせ後に距離環から掴んでいる指を話しただけで微妙にピント面がズレてしまいます(汗)

その使い辛さを防ぐ意味から「敢えて距離環を回すトルクを与えて仕上げている」結果、相応のトルク感を感じますが、その反面ピント合わせ時には非常に軽い微動だけで操作できるよう仕上げてあります。

↑CONTAREX版モデルなので、上の写真のように絞り環を装備しておらず、代わりに備わるのは「板バネ方式の絞り羽根開閉環」でけです(笑)

板バネ方式なので、水平の円形状ではなく「途中から上に迫り上がった形状 (だから板バネ) の頂点にコの字型切り欠きが備わる」のを赤色矢印で指し示しています。

実はネット上で全く語られませんが、このコの字型の切り欠きにマウントアダプタ側の爪が確実に入るかどうかはマウントアダプタ側の問題。

・・なのに、ちゃんと解説されていません(汗)

↑上の写真は以前CONTAREX版向けオールドレンズをオーバーホール/修理した際に問題になった、ご依頼者様から送られていたマウントアダプタの拡大撮影です。

マウントアダプタ側には絞り環を装備するので、オールドレンズ側のマウント部 (の切り欠き) との連結の目的で「板状の爪」が用意されています。

ところが上の写真のように「赤色矢印方向に厚みが多すぎる製品の場合は、装着後に開閉環が撓ってしまい非常に重いトルクに堕ちる」問題が発生します(怖)

↑今回付属させているマウントアダプタのほうの同じ部位の拡大撮影です。赤色矢印のとおり「肉厚が薄い板状の爪」なので、装着時に問題なく、抵抗/負荷/摩擦など感じず確実に装着できますし、もちろん撮影時の操作面でも適正な絞り羽根開閉動作が行なえます。

いわゆる中華製品なので何とも言いようがない (ぶつけようがない) 憤りを感じますが、絞り羽根開閉時にどうして重い操作性に陥るのか、すぐにこんな箇所に思い当たるほど当方は賢くないので、原因を掴むのに相応の時間を要しましまた(恥)

しかもこれを事前に掴んでからマウントアダプタを入手するなど不可能であり、いちいち手に入れてはチェックしている始末で、ジャンク箱には2つほど使えない同型品が転がっている次第です (最近割高になってきているし)(涙)

・・もぉ~、悔しいったらありゃしません(涙)

当然ながらこの付属したCRX→LMマウントアダプタがあれば、今後将来的にどんな焦点距離のCONTAREX版モデルを装着しようとも、絞り環操作時に問題を起こすことはありません し、絞り環操作時のクリック感も軽めに仕上がるよう調整済みです(そういう心の健康のほうが当方にとっては重要)。

↑オールドレンズ側マウント部は、ご覧のように絞り羽根が閉じていようが開いていようが一切関係ありません (赤色矢印)。グリーン色の矢印で指し示している箇所の板バネ方式切り欠き「コの字型」がちゃんと装着時にバチンと音をたてて反応してくれるので (シッカリハマってくれるので) 気にする必要がないのです(笑)

ブルー色の矢印で指し示している箇所のリリースマーカー同士を合わせてセットすれば装着OKです。

↑次にLM→SONY Eマウントアダプタの、やはりリリースマーカー同士を重ね合わせてセットすれば装置ぉく完了です (ブルー色の矢印)。もちろんこの時の絞り環の絞り値は一切意識する必要がありません (グリーン色の矢印)。

↑無限遠位置 (赤色矢印) の状態で2つのマウントアダプタを装着した写真です。絞り環は開放位置を示しており (グリーン色の矢印) マクロヘリコイド付マウントアダプタのほうも「仕様状態」を示す位置でヘリコイドのローレット (滑り止め) が停止しています (ブルー色の矢印)。

するとCRX→LMマウントアダプタ側は装備している絞り環に刻印されている絞り値が意味を成していません(笑) 便宜上f1.4か順に刻印されているだけで、Zeiss Ikonの一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTAREX I型」のように、マウント部に装着と同時に開放f値がセットされて連携しているような仕組みでマウントアダプタ自体が造られていません(笑)

上の写真で言うと、ちょうどグリーン色の矢印で指し示している箇所のオールドレンズ側マウント部直前に「縦線」が刻んでありますが、実はこの位置のマウント部切り欠きで開放f値がフィルムカメラ側マウント部に伝達されます。

ところが絞り環を装備しているマウントアダプタには、それを受け取る仕組みがありませんね(笑)・・もしも装備するなら、CONTAREX版向けオプション交換レンズ群全ての開放f値に対応するべく「切り欠きが当たってスライドする機構部が必要」になるのは自明の理です(笑)

・・そうしないと「f1.4なのかf2なのか」判断のしようがありませんョね???(笑)

だからこそ絞り環刻印絞り値には何の意味も無いと指摘しています。「自分の整備の拙さを隠す為にウソを告知している」とまで誹謗中傷されているらしいですが(笑)、それならどうやって開放f値を伝達しているのか、ちゃんと説明してほしいです (貶して言うばかりで根拠を示さないのは卑怯ですね)(笑)

さらにマクロヘリコイド付マウントアダプタのほうは、ローレット (滑り止め) の端がブルー色の矢印の位置にいる時が「仕様状態」を意味し、このローレット (滑り止め) を右方向にスライドさせていくと全体が最大で5㎜まで次第に繰り出される仕組みです。

↑オールドレンズ側の距離環ローレット (滑り止め) を回して鏡筒を繰り出し、最短撮影距離「19cm」の位置まで繰り出しました (赤色矢印)。しかしこの時、一番下のマクロヘリコイド付マウントアダプタ側のローレット (滑り止め) は基準位置のままなので、繰り出しておらずそのまま仕様状態たる「19cm」を維持しています。

↑そのまま最短撮影距離:19cmのママで一番下のマクロヘリコイド付マウントアダプタのローレット (滑り止め) を回していくと、カチンと突き当て停止したブルー色の矢印の位置で、全体が最大5㎜分繰り出し終わっているワケです・・この時の最短撮影距離は当方の実測値ですが「凡そ17cm」でした。

たかが「2cm」の違いですが、その実距離よりも重要なのは「被写体からの入射光量が増大し、明るく写ってボケ量が増す」結果、余計に (とんでもなく) トロットロボケに変化するのが楽しいからこそ「疑似マクロ化」と謳っています(笑)

もちろん全て戻せばそのままに無限遠位置でシッカリ合焦します(笑) 気に入った時だけローレット (滑り止め) 操作して、ボケ量を増やせば良い話で「まさに直感的な撮影ができて非常にありがたい」とお褒め頂きました(涙)

もちろんそれは (ローレット操作でボケ量を増やせるのは) 最短撮影距離の時だけの話ではないので、被写体に近寄れない場合のシ~ンなど、そういう時に僅か5㎜ですが繰り出すことで、光量とボケ量を増大できる選択肢が増えたことを意味し、合わせてオリジナルの仕様にいつでも戻せるが故に「直感的な操作」こそがこの配慮の最も重要なポイントだったりするのです。

・・たったそれだけの話しですから、たいしたことはありません(汗)

なお付属のマウントアダプタ2つは共に一度完全解体して調整しています。CRX→LMマウントアダプタのほうは、当初入手時に絞り環操作時のクリック感が硬すぎたので、軽めに調整して仕上げています。また2つめのLM→SONY Eマクロヘリコイドアダプタのほうも、マクロヘリコイドの操作がやはり重すぎて使い辛かったので、これもバラして軽い操作性になるようヘリコイドグリースを入れ替えています。

CRX→LMマウントアダプタのほうは、交換した鋼球ボール (オリジナルのほう) を添付して戻せるよう配慮していますが、LM→SONY Eマクロヘリコイドアダプタのほうはヘリコイドグリースの問題なので、残念ながら元に戻すことは不可能です (スミマセン)(汗)・・事前告知済みなのでクレーム対象としていません。ご注意下さいませ。

無限遠位置 (当初バラす前の位置に合致/僅かなオーバーインフ状態)、光軸 (偏心含む) 確認や絞り羽根の開閉幅 (開口部/入射光量) と絞り環絞り値との整合性を簡易検査具で確認済です。

被写界深度から捉えた時のこのモデルの無限遠位置を計算すると「焦点距離35㎜開放F値f4.0被写体までの距離12m許容錯乱円径0.026㎜」とした時、その計算結果は「前方被写界深度6m後方被写界深度∞m被写界深度∞m」の為、10m辺りのピント面を確認しつつ、以降後方の∞の状況 (特に計算値想定被写体の20m付近) をチェックしながら微調整し仕上げています。

・・一言に無限遠位置と述べてもいったいどの距離で検査したのかが不明瞭ですね(笑)

当方所有 RICOH製GXRにA12レンズユニット装着状態で「LMマウント
規格として無限遠位置をピタリに合致させて微調整し仕上げている」
為、その
ままLMマウントとしてご使用頂いても問題ありません(笑)

詰まるところ、冒頭に掲載した距離環ローレット (滑り止め) に残っていた2つのイモネジ用の下穴の一方が、全くのデタラメで製産時点を示していなかったのが判明しただけです(笑)

↑当レンズによる最短撮影距離19cm付近での開放実写です。ピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に「球部分」にしかピントが合っていません (このミニカーはラジコンカーなのでヘッドライトが点灯します)。カメラボディ側オート・ホワイト・バランス設定はOFFです。

各絞り値での「被写界深度の変化」をご確認頂く為に、ワザと故意にピントはミニカーの手前側ヘッドライトの本当に電球部分に合わせています。決して「前ピン」で撮っているワケではありませんし、光学系光学硝子レンズの格納位置や向きを間違えたりしている結果の描写でもありません (そんな事は組み立て工程の中で当然ながら判明します/簡易検査具で確認もして います)。またフード未装着なので場合によってはフレア気味だったりします。

↑そのまま今度はマクロヘリコイド付マウントアダプタ側のローレット (滑り止め) を操作して、最大値5㎜分の繰り出しで同じ「f4」のまま撮影しました。たとえ僅か5㎜でも繰り出し量が増えたので、ご覧のように画角が拡大し光量が増えてボケ量もさらにトロットロボケに変わっています(笑)

・・当方が狙っているのはこういう話です (分かりにくくてスミマセン)(汗)

↑絞り環を回して設定絞り値「f5.6」で撮影しています。同様1枚めがオリジナルの使用状態で、2枚めが5㎜分の繰り出しによる撮影です。

↑さらに回してf値「f8」で撮影しました。

↑f値は「f11」に上がっています。オリジナルの状態でもぜ~んぜんボケまくりで、本当に素晴らしいモデルです(涙)

↑f値「f16」になりました。

↑製品仕様上の最小絞り値たる「f22」での写真ですが、ご覧のように全く以てボケまくりです(笑)

こうやって観ていくと「絞り値の概念が吹っ飛ぶ」のは、まさに「光学設計の問題」なのだと、このモデルを触って本当に思い知らされました(驚)

↑ここらは純正Zeiss Ikon製一眼 (レフ) フィルムカメラ「CONTAREX I型」への装着ではきっと撮れない (やったことがないのでよく知りませんが) 規定外の絞り値による撮影で、今ドキのデジタル一眼レフカメラ/ミラーレス一眼レフカメラだからこその「マウントアダプタによる恩恵」と指摘できます(笑)

・・f値「f32」での撮影です。

↑なかなか目にしませんが「f64」と言う絞り値の世界です(笑) 一般的に言うところの「回折現象」の影響なんて、微塵も感じ取れません(笑)

 回折現象
入射光は波動 (波長) なので光が直進する時に障害物 (ここでは絞り羽根) に遮られるとその背後に回り込む現象を指します。例えば、音が塀の向こう側に届くのも回折現象の影響です。
入射光が絞りユニットを通過する際、絞り羽根の背後 (裏面) に回り込んだ光が撮像素子まで届かなくなる為に解像度やコントラスト低下が発生し、眠い画質に堕ちてしまいます。この現象は、絞り径を小さくする(絞り値を大きくする)ほど顕著に表れる特性があります。

被写界深度
被写体にピントを合わせた部分の前後 (奥行き/手前方向) でギリギリ合焦しているように見える範囲 (ピントが鋭く感じる範囲) を指し、レンズの焦点距離と被写体との実距離、及び設定絞り値との関係で変化する。設定絞り値が小さい (少ない) ほど被写界深度は浅い (狭い) 範囲になり、大きくなるほど被写界深度は深く (広く) なる。

焦点移動
光学硝子レンズの設計や硝子材に於ける収差、特に球面収差の影響によりピント面の合焦位置から絞り値の変動 (絞り値の増大) に従い位置がズレていく事を指す。